2019年12月17日火曜日

【記者手帳】長く愛されるシンボルに

福岡県大川市の筑後川河口付近に淡いピンク色のアーチ橋が架かっている。2020年度開通予定の有明海沿岸道路大川東IC~大野島IC間の主要構造物「(仮称)筑後川橋」だ。桁架設が先日完了し一つの橋としてつながった◆筑後川橋のアプローチ部を含む総延長は1008m、このうちメインの渡河部は延長450mの鋼4径間連続単弦中路アーチ橋。河川のほぼ中央にある土木学会の選奨土木遺産「デ・レイケ導流堤」の上に橋脚を設置し、この橋脚を境に二つのアーチが連続する◆土木遺産に橋脚を設置することには反対の声もあった。導流堤の橋脚を設置する箇所を解体して調査し、近隣の公園に移設展示することで落ち着いた。導流堤の解体調査を取材した際、橋脚の施工者が石組みを一つ一つ取り外し、丁寧に運び出していた様子を思い出す◆アーチ橋の構造形式は導流堤の存在が前提となっている。明治時代に築造され、地域を支えてきた土木遺産に新たな役割が加わったともいえよう。時代を超えた土木技術の融合で誕生した橋は地域の新たなランドマークとして、長く愛されるに違いない。(松)

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