2019年12月26日木曜日

【全国7カ所、豪雨対応を強化】国交省、新幹線車両基地などの浸水対策で検討指示

国土交通省は、大雨で浸水する懸念のある新幹線の車両基地や重要施設の7カ所について、具体的な対策を検討するよう鉄道関係の事業者に指示した。

 水防法の計画規模降雨を踏まえ、鉄道建設・運輸施設整備支援機構の長野新幹線車両センター(長野市)と、JR東海の鳥飼車両基地(大阪府摂津市)は高所への移設など運行への影響をわずかな範囲とする対策の検討を要請。JR東日本の新庄運転区(山形県新庄市)など5カ所に車両被害の最小化などを求めた。

 長野新幹線車両センターに留置された10編成が浸水するなどした10月の台風19号の被害を受けた措置。国交省は在来線を含めて運行への影響が大きい施設の浸水対策の点検を全国の鉄道事業者に指示している。新幹線は車両センター・車両所、車両基地、留置線など28カ所を調査し、7カ所に浸水被害が出ると想定した。水防法を踏まえ、数十年から200年に1度発生する計画規模降雨と、1000年に1度の想定最大規模降雨ごとに重要施設と車両の対策の考え方を整理しており、対策は関係者が必要に応じて協議し、結果を来春に報告してもらう。

 現在のかさ上げ対策や設置高さを考慮し、計画規模降雨では、長野新幹線車両センターと鳥飼車両基地で浸水被害が出ると想定した。想定最大規模降雨で被害を想定したのは▽新庄運転区(所有者=JR東日本、所在地=山形県新庄市)▽浜松工場(JR東海、浜松市中区)▽博多総合車両所岡山支所(JR西日本、岡山市北区)▽同広島支所(同、広島市東区)▽熊本総合車両所(鉄道運輸機構、熊本市南区)。

 浜松工場には留置機能はなく、鳥飼車両基地は安威川ダム(大阪府茨木市)が完成する23年度に計画規模降雨の浸水被害が発生しなくなると見込まれている。長野新幹線車両センターはJR東日本と鉄道運輸機構、熊本総合車両所はJR九州と同機構が協議することになる。

 国交省は、計画規模降雨で浸水被害が懸念される重要施設は、信号通信機器室など浸水時に影響が大きくなる施設の移設、防水扉の設置に加えて、代替品、電力供給への配慮を要請した。想定最大規模降雨に備え、施設の相互補完の検討も指示。車両は運行再開の手順などを含めた避難計画の検討を要請した。

 国交省は気象庁や河川管理者と連携し、車両避難を判断する際の防災情報の提供を巡る検討を進める。車両を避難させた場合、運転ダイヤに影響が出ることへの理解醸成に努める。

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