2020年2月26日水曜日

【全9路線で構造物をより多角的に調査】東京メトロ、トンネル検査にドローン導入

 東京メトロは、トンネル構造物の検査にドローン(小型無人機)を使用する体制を9路線全線で整える。

 6日から半蔵門線で開始しており2020年度に丸ノ内線にも導入、他の路線も順次適用する。操縦者の育成も進め、検査用のドローンを3台程度確保する。「高い場所の対象物を多角的に確認できる」(今泉直也工務部土木課課長補佐)として積極的に運用する。

 東京メトロは9路線を保有する。路線延長195キロのうち85%に相当する約165キロがトンネルとなっている。トンネルは2年周期、20年周期で状態を把握する通常全般検査、特別全般検査を実施中。ドローンは遠方目視の対象としてきたトンネルの上部、開口部、立坑の検査に使う。換気用の通風孔、シールドマシンの発着箇所、シールドトンネルの上部などが主な対象となる。

 これまでトンネルの高い場所などは、軌道からの遠方目視に加えて、高所作業車や足場を組んだ上で検査してきた。ドローンを使うことで、対象に接近した検査を実施でき、高所作業の回数が減らせるため、効率性と安全性が高まると見ている。

 ドローンは、プラスチック素材のフレームを用いた球状。小型、軽量の高性能カメラを搭載している。対角寸法は機体が220ミリ、球殻が400ミリ、重さ1・15キロ。最高時速60キロ、最高到達高度50メートル、電波到達距離1000メートル。風速毎秒5メートル以下で飛行できる。

 利用の検討を18年12月から開始し、実用化への課題を抽出しながら実証実験を行ってきた。高さ5メートル以上で使用できるよう衛星利用測位システム(GPS)のない環境でマニュアル操作する際の性能を検証し、鉄道設備を損傷させずに撮影できるよう、フレームを用いた球状にした。撮影に伴う光の反射を抑えるために、フレームを黒色にするなど撮影の精度を高める改良を続けた。

 撮影から取得したデータを蓄積し、構造物のさまざまな性状確認に生かすという。現在外部から認定を受けた5人の社員が操縦している。全路線への適用を見据え、操縦者をさらに増やす。ドローンの運用にはベイシスコンサルティング(東京都文京区、泊三夫代表取締役)、東京大学大学院情報学環ユビキタス情報社会基盤研究センターが協力する。トンネル検査以外にも使用する自律飛行型ドローンの開発に本郷飛行機(同、金田貴哉代表取締役)と着手している。

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