2020年3月18日水曜日

【1930年完成の閘門、復活目指す】名古屋市、松重閘門(中川区)を再生へ

 名古屋市は、水運時代に堀川と中川運河を結ぶ水路調整で活躍した「松重閘門」(中川区山王1)の再生に乗りだす。2020年度に耐震化調査、周辺の魅力向上策を検討する。現在は使われなくなった機能の復活も視野に入れる。

 江戸時代初期に名古屋城築造の資材運搬のために掘られた堀川と、1932年に開通した中川運河は、船による貨物輸送が盛んだった60年代初めまで名古屋の産業発展に貢献してきた。特に、名古屋港と旧国鉄笹島貨物駅間約8キロを結ぶ中川運河は、水運の要として活躍し「東洋一の運河」と言われた。松重閘門は、両河川の水位差約2メートルを調整するために建設され、1930年に完成した。

 46年間活躍してきた閘門だが、貨物輸送が船から自動車に代わり、役目を終えて1976年に閉鎖された。ただ、水門昇降用の釣り合い錘を収容するために設けられた2基1組、高さ約21メートルの優美な尖塔(せんとう)は保存され、1993年には市の都市景観重要建築物に指定された。

 現在、閘門周辺の水路は埋め立てられ、一部が公園になっている。だが訪れる人は少なく、近代遺産が観光資源として十分活用されていないのが現状。このため市は、堀川や中川運河の整備、観光船運航の充実と併せ、閘門の再生を図ることにした。耐震化などの調査では、閘門としての機能復活も検討する。両河川は、市内中心部の貴重な水辺空間であり、閘門の復活を沿川の活性化につなげる考えだ。

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