2020年4月28日火曜日

【回転窓】在宅勤務と断捨離

マンション住まいのメリットに「24時間いつでもごみが出せる」を挙げる方も多かろう。物件によって違いはあるが、曜日や時間に関係なくごみ置き場が利用できるのは便利だ▼先日、燃えるごみを捨てようと思いごみ置き場の扉を開けたら、うずたかく積み上がったおもちゃや日用品、洋服が目の前に。年末の大掃除を超える量に少々驚いた▼新型コロナウイルスの緊急事態宣言後、自宅で過ごす時間が増え、この際と思い立って身の回りを整理する「断捨離」をする住民が増えたよう。自治体に寄せられる粗大ごみ回収の申込件数は増加傾向にあり、回収まで時間がかかるケースも▼タンスや押し入れを整理すると、捨ててしまったと思っていた品物や洋服が思わぬところから見つかる。逆に「何でこんな物がこんなところに…」と首をかしげたくなる場合もある▼多くの企業などが取り入れている在宅勤務。仕事場が自宅などになっただけなので、単語として在宅と勤務を切り離してしまうのはNGなのだろう。けれども時間の余裕ができたことで、一度立ち止まり、これまでと将来を考えるきっかけになったとも思える。

【会合の開催回避で議論進まず】新型コロナ、都内の街づくりに影響

新型コロナウイルスの影響で、東京都内の街づくり事業の停滞が懸念されている。感染拡大を受け、再開発準備組合などの会合が開けず、議論が進まない事業が出てきた。

 事業を支援するコンサルタントを決める手続きも自治体が中止したり公告を延期したりする動きが顕在化しており、今後の事業スケジュールに影響が出てきそうだ。

 7日の政府の緊急事態宣言の発令前後から、都内の自治体では感染リスクを抑えるため、会合の取りやめなどを検討する動きが目立ってきた。行政が主体で開く街づくり関連事業の説明会などは軒並み延期され、民間の街づくり組織でも、再開発準備組合の設立総会を開けないなどのケースが出てきている。

 一方、事業が重要な局面にあり、会合の開催に踏み切った事例もある。3月末、ある再開発準備組合は総会を開き、本組合設立に向けた認可申請などについて審議した。「新型コロナへの懸念はある」(準備組合事務局)ものの、さまざまな事情から事業スケジュールを変更することは難しく、当初の計画通りに事業を進めていくことなどを確認した。

 民間の街づくりをサポートするコンサルタントの選定作業も遅れが出始めた。新宿区は「飯田橋駅東口周辺地区(駅前地区駅直近ゾーン)における基盤整備の方針に関する調査検討業務」のプロポーザル案件の手続きを一時中止した。感染リスク抑制のため、月内に予定していたプレゼンテーション・ヒアリングなどの2次審査を延期した。

 中央区では、築地市場跡地周辺の街づくりの方向性をまとめるためのコンサルタント業務の発注を延期した。担当者は「この状況なので仕方がない」とし、年度内にも方向性の策定を見込む事業スケジュールに「遅れが出るかもしれない」と、頭を抱えた。

 都内の街づくり事業には、地元自治体や地権者、事業協力者、施工者など多くの関係者が携わる。コロナ禍で多くの関係者が集まって議論することは難しく、テレビ会議などもできる状況にない。感染予防のための3密(密閉・密集・密接)を避けながら、どう事業を進めていくのか、各事業者は難しいかじ取りを迫られている。

【YouTubeで完成までの歩み公開】東急建設、CLTの国内最大級屋根施工に挑戦

 東急建設は、東京都江東区で建設した展示場が完成するまでの工程をまとめた動画を動画投稿サイト・ユーチューブで公開した。

 動画で取り上げているのは大東建託から受注し、3月に竣工した「ROOFLAG 賃貸住宅未来展示場」。デジタル技術を活用し、都市部では前例の少ないCLT(直交集成板)を使った国内最大級の屋根施工に挑む発注者、設計者、施工者の思いを12分の動画にまとめた。

 最大60メートルスパンの格子梁構造を128個のCLT部材で構築するプロジェクト。発注者、設計者、施工者の動画は東急建設が発注者の要望に応えた施設を完成させるまでの様子を「デジタルのチカラ」「現場力」「コミュニケーション」の三つのポイントでまとめている。

 「デジタルのチカラ」ではBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)を活用することで困難な施工に取り組む様子を紹介している。建築本来の面白さを実感したという同社の施工技術者のインタビューや、「本物の良さを本物で伝えたい」という大東建託、自然の良さを生かしてデザインした設計者のマウントフジアーキテクツスタジオ一級建築士事務所の思いなどを取り上げた。

 建設地は東京都江東区東雲1の4の1。建物はRC一部S・W造4階建て(W造部分3階建て、RC造部分4階建て)延べ3725平方メートル(モデル棟749平方メートル)の規模。2018年11月に着工し、20年3月に竣工した。5月の開業を予定している。

2020年4月24日金曜日

【回転窓】10億分の4秒の驚き

大学生の頃、何げなく見たテレビ番組で興味をそそられ理論物理学者アルベルト・アインシュタインの本を読みあさったことがある▼「20世紀最高の物理学者」「現代物理学者の父」と表されるアインシュタイン。当時経済学を学んでいた文系学生にはどれも難解だったが、一般相対性理論の解説で目にした「時間は重力が大きいほど遅く進む」という内容が心の琴線に触れた▼一般相対性理論に関する東京大学や理化学研究所らの研究成果が先頃、英科学誌『ネイチャー・フォトニクス』に掲載された。テーマは「高さ約450メートルの東京スカイツリーの展望台は地上よりも時間が早く進むか-」▼研究チームは160億年に1秒しかずれない小型の超高精度「光格子時計」をスカイツリーの展望台と地上階に設置。時間の経過を観測し1日当たり4ナノ秒、展望台の時計が早く進むというデータを得た▼10億分の4秒というごくわずかなずれだが、重力が時間に作用することをつかんだ研究チーム。東大らの技術力の高さはもちろんだが、1世紀以上前に一般相対性理論を世に送り出したアインシュタインの天才ぶりに改めて驚いた。

【「万博前開業」に限定せず提案を】大阪府、大規模アリーナ整備の提案要件見直し

大規模アリーナのイメージ(大阪府提供)
大阪府は日本万国博覧会記念公園(吹田市)で大規模アリーナを中核としたスポーツ・文化拠点整備事業者の公募手続きで、提案要件や提出時期、事業者決定時期などを見直した。

 応募者にアリーナや、ホテルなどの主要施設は2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)までの開業を目指す提案を求めていたが、実現可能な最短の開業時期を提案できるよう改めた。新型コロナウイルスの感染拡大防止で活動を縮小している事業者に配慮。提案受付期間は7月27~31日、事業者決定時期も9月頃に変更、当初スケジュールから3~4カ月延期した。

 大阪モノレール万博記念公園駅南側の事業対象用地(吹田市千里万博公園23の17)の全体面積は約16・9ヘクタール。用地を複数の工区に分割し、いずれか一部について売り払いを前提とする提案も可能。事業者を決める公募型プロポーザルに参加できるのは計画立案や建設、管理運営に必要な資金と経営体制を備えた単体法人か法人グループ。

 国際的なスポーツ大会やコンサートなどが開催可能なアリーナ、ホテルなど周辺施設を整備する。アリーナやホテルなどを補完し、事業効果を高める事業の実施も求める。アリーナについては横浜アリーナ(横浜市、固定観客席1万5000席)以上の規模を見込む。固定観客席数の最低基準は1万人超でより多くの固定の観客席数を確保するとともに、活用状況に応じた多様な使い方ができる仕様・設備を要求している。

 バスケットボールやバレーボールなどの国際的な試合や、音楽ライブ・コンサートなどが開催でき、世界最先端の機能を備えた施設にする計画。スマートシティーの実現に貢献するプランも求めている。府は、新型コロナの状況によって今後さらにスケジュールなどを変更する場合があるとしている。

【おしゃれで機能的な作業服展開】ブリッツワークス、事業拡大へクラウドファンディング

 建設用作業服を手掛けるブリッツワークス(東京都千代田区、青野睦代表取締役)は、事業拡大に向けクラウドファンディングを実施する。

 ファッション性と機能性を重視した作業服ブランド「BMC(BLUE MONSTER CLOTHING)」を展開中。取り扱い店舗の拡張やアパレル系商社らへのブランドライセンスビジネスの推進につなげる。

 株式投資型クラウドファンディングサービス「FUNDINNO(ファンディーノ)」を活用。募集期間は29日~5月1日で、募集上限額は2100万円。

 「BMC」は作業服としては高価格帯だが、ネット予約分が完売するなど20~40代半ばの職人層を中心に支持されているという。全国約450店舗の作業服専門店などで取り扱われている。ファッション性を追求した作業服の普及で建設業に対するイメージを刷新し、担い手不足の解決に寄与するとしている。

 青野代表取締役は「オシャレを楽しむと労働意欲も増す」と指摘し、周囲から「オシャレな洋服を着てビルを造ってるね」と言われるような環境を目指すとしている。

【視聴希望者を1000人募集!!】映画「前田建設ファンタジー営業部」、ネットで無料上映

 映画「前田建設ファンタジー営業部」の製作委員会は、5月3~6日に同作をオンラインで無料上映する。

 視聴希望者1000人を募る。24~29日に映画の公式ホームページ(HP)か公式ツイッターで応募を受け付ける。新型コロナウイルスの緊急事態宣言が全国に拡大し、映画館での上映が困難になったため、オンラインで楽しんでもらう。

 映画は前田建設がHPで公開しているコンテンツ「前田建設ファンタジー営業部」が題材。「アニメの世界に登場する構造物を現実に建設しようとしたらどうなるか」を真剣に検討する社員の奮闘を描いた。脚本を上田誠氏、監督は英勉氏が担当。1月31日に全国の映画館でロードショーされた。

 オンライン上映に当たり、主演の高杉真宙さんは(写真中央)「熱く夢があり、元気になれるお話。今だからこそ見て頂きたい映画になっています。少しでも皆さんの楽しみにつながって頂ければうれしいです!」とコメントしている。

2020年4月20日月曜日

【回転窓】収束へ個人も組織でも

潮風の中で満天の星空ウオッチングをどうぞ-。高性能な双眼鏡のレンタルを観光協会が始めていた伊豆諸島南部の八丈島が危機感を一段と高めていると聞いた▼東京都八丈町は、帰省を予定する人にも不要不急の来島の自粛を要請中。観光客が減る影響以上に医療崩壊を恐れてのためだ。往来する飛行機の減便も計画され、島を挙げて感染症の防止に取り組んでいる▼同島をはじめ医療機関が限られる島しょ部は、建設業就業者の割合が高いところが少なくない。家族を加えると島内の人口に占める割合は大きく、八丈島建設業協会によると会員企業の職員とともに家族の感染防止にも努めるよう医療機関から呼び掛けがあるという▼80キロ離れた青ケ島を含む同協会の会員企業の事務所などには、群馬県建設業協会が作成した新型コロナウイルスの感染予防のポスター掲示が進みつつある。建設現場の対応をまとめてあるのが特徴。インターネットから得た情報に基づく使用許可の要請に群馬建協が快く応じたそうだ▼日本全体が緊急事態宣言の対象になった。個人の予防と組織の連携、収束には双方の一層の強化が欠かせない。

【凜】野原ホールディングスVDCカンパニー・陳姿君さん

 ◇台湾と日本に貢献する技術者に◇

 建設プロジェクトに使用する建具のBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)データ作製や積算業務に従事している。キャリアは約5年。「常に勉強しながら仕事を進めている。学ぶことが多いので楽しい」と笑顔で話す。

 昨秋、東京・渋谷に開業した商業施設では防火関連資材の数量算出や見積もりを担当した。「ものすごく大変だったが、いろいろなソフトを駆使して何とかうまくいった」と振り返る。

 建築分野を目指したきっかけは1999年9月に台湾を襲った大地震だった。多くのビルが倒壊した様子を目の当たりにして、「人の安全・安心を守る建物を造りたい」と強く感じた。台湾の大学院で建設マネジメントやBIMを学び8年前に来日した。

 仕事の幅を広げていくことが今後の目標。病院や老人ホームなどの案件も手掛けていきたいと考えている。そのためにはさらなるスキル向上が不可欠。仕事が終わった後、インターネットの動画を見ながら、BIMの操作を練習することもあるという。「将来は台湾と日本の両方に貢献できるようになりたい。だからこそ努力が大事」との姿勢でレベルアップを目指す。

 週2~3回はランニングで汗を流す。「目標距離を決めて何も考えずに走ることが一番のストレス解消」。仕事もプライベートも前を向いて走り続ける。

(ちん・しくん)

【やっぱり!マイ・ユニホーム!!】世紀東急工業「女性用ヘルメットなど改善」

 1月に迎えた創立70周年記念プロジェクトの一環として、女性用作業服をリニューアルすることになった。女性技術者は増加傾向にあり、女性の働きやすさも考慮したユニホームにすることで、働き方改革を推し進める。女性技術者の意見を取り入れ、ヘルメットや安全靴などを新調する予定だ。

 リニューアルするのはヘルメット、安全靴、インナーの三つ。ヘルメットは簡易着脱内装とし、サイズも女性専用に変更。日焼け対策として透明のあごひもを導入する。安全靴は女性の足型に合ったサイズにして軽量化も図る。曲げやすい素材を採用して歩きやすさにも配慮する。ゴムの靴ひもとベルト式のスニーカータイプとして、仕事の合間でも気兼ねなくお店などに入れるデザインとした。

 インナーは日焼け対策として紫外線(UV)カットの効果に優れ、吸汗速乾や強力消臭、遮熱といった効果もあるストレッチ素材を採用。夏場の不快感を軽減する。

 リニューアルに当たり、同社の担当者は「今回の周年事業だけにとどまらず、今後も職員の意見をどんどん取り入れ、働く環境の改善に対しても積極的に取り組んでいきたい」と話す。

【駆け出しのころ】大気社常務執行役員環境システム事業部東京支社長・安原政明氏

 ◇いろいろ学び苦手なくす◇

 地元(新潟県燕市、三条市)は古くから刃物や洋食器を中心にものづくりが盛んです。学校の周りに小さな工場が立ち並び、同級生の大半は実家が工場を営んでいたこともあり、普通科に進学するよりも工業高校で技術を身に付けた方がいいだろうと思いました。高校時代から自らの技をアピールすることに憧れていました。部活の体操部で技を磨き、県大会に出場して3年連続の団体優勝を果たしました。

 実家は左官業を営み、将来は家業を継ぐことになるのかなと漠然と考えていました。けれども両親は子どもに跡を継がせようとは思っていなかったようです。母親も「新潟での建設業は冬の間雪で仕事ができず収入がなくなるから、サラリーマンがいいのではないか」とよく言ってました。

 大気社に入ったきっかけは同じ部活の先輩からの誘いもあり、親には特に相談せずに入社試験を受けました。入社後は産業空調用の設計部門に配属。設計に必要な知識が全くなく、分からないことだらけでした。職場から寮に戻ったら先輩が帰ってくるのを待って、質問攻めの毎日です。当時では珍しい冷暖房完備の寮も若手にとってはいい教材になり、自分たちで管理しながらシステムを学ぶことができました。

 現場勤務に異動するまで設計部の4年半は、技術者として基礎固めの時期となりました。教わりながら自分で計算、設計、見積もりを行い、その成果が受注へとつながります。最後の試運転なども手伝い、一連の仕事を経験できたのはよかったです。

 設計部門のうち、ビル系空調は設計事務所のサポート的な役回りですが、産業空調は顧客と直接対話しながら設計作業を進めることができました。さまざまな企業の実験施設に携わり、顧客が何を求めているかをきちんと理解する大切さを学びました。

 思い出深い現場として、当社初の営業線地下鉄駅の冷房化工事では、見慣れない土木の図面と格闘しながら工期に間に合わせました。東京・大手町の超高層複合ビルの建設現場では、新宿に移転する都庁の建設と重なり、技術者と技能者の確保に奔走しました。

 若手の育て方は人それぞれですが、同じことだけをやらせるスペシャリストよりも、いろいろな部署をローテーションしながら経験を積むことが、本人の将来性を伸ばすことにつながるはずです。体操競技で培った技術・経験もそうでしたが苦手なものも平均点以上を取れば、得意なものと合わせて総合力で上位にランクされます。

 ものづくりは個の力だけでなく組織の力も不可欠。世代を問わずチームワークを良くするため、レクリエーションなども企画しながら交流の場を設けることにも率先して取り組んできました。プライベートの時間は尊重しますが、仕事だけでなく遊びもみんなで楽しむことは、組織の一体感を高めるために必要です。

東北支店の仲間たちと参加したおととしのどんと祭で(中央手前が本人)
(やすはら・まさあき)1974年新潟県立三条工業高校機械科卒、大気社入社。東京支社技術部長、東北支店長などを経て4月から現職。新潟県出身、65歳。

【新型コロナ対策】政府、緊急経済対策・補正予算で下請企業らの資金繰り円滑化

新型コロナウイルスの緊急事態宣言を受け建設工事の元請事業者が相次ぎ現場閉所に踏み切る中、政府は緊急経済対策で下請事業者の雇用維持と事業継続を支援する。

 2020年度補正予算案に雇用調整助成金の拡充や、一人親方を含む個人事業主を対象とした給付金制度の創設、納税猶予の特例などを取り込んだ。補正予算を早期に成立させ、下請や技能者の資金繰りの円滑化などを支援する。

続きはHP

2020年4月15日水曜日

【回転窓】知恵は経験の娘

「万能の天才」と言われたレオナルド・ダ・ヴィンチ。画家としての才能だけでなく、科学者や土木技術者としても数多くの功績を残している▼ダ・ヴィンチは科学の可能性を実践するというのが特徴だ。科学で得た知見を社会の中で活用する。その過程でまた別の発想を取り込み、さまざまな分野の発明につなげる。その繰り返しが多くの知見を見いだし、万能と言われるゆえんでもある▼奇抜で独創的な発想は自然界からヒントを得ていることも。「空中ネジ」と名付けたヘリコプターはハチの飛行を観察して着想し、パラシュートの発明はクモがはき出す糸から導き出した。自然界から得た知識を模倣する一方で、過去の定説にはとらわれないというのが、発想の源にあるようだ▼ダ・ヴィンチの科学論の中にこんな言葉がある。「知恵は経験の娘である」。解釈には諸説あるようだが、新たな理論(知恵)の構築にはまず各種の実験を積み重ね、その経験から検証するという意だろう▼これまで経験したことのないウイルスとの戦いが続く。まずは各種の施策を試みることが、解決に向けた知恵を導き出すのかもしれない。

【国交省は伝達式見送り】2020年春の叙勲・褒章、親授式など延期

 政府は14日、新型コロナウイルスの感染拡大と緊急事態宣言を踏まえ、5月に開催予定だった春の叙勲の大綬章親授式と重光章伝達式の延期を発表した。叙勲の中綬章以下と褒章は受章者らが天皇陛下に会う拝謁(はいえつ)を中止する。

 省庁ごとに行う伝達式を開くかどうかは各省庁が判断。国土交通省は伝達式の中止を決めた。叙勲と褒章の発令日は予定通り29日とする。

【直径69m、高さ73mの巨大水槽を地下に建設】東大、岐阜県飛騨市にハイパーカミオカンデ整備へ

 東京大学は、次世代の素粒子ニュートリノ研究観測施設「ハイパーカミオカンデ」を岐阜県飛騨市に整備するため、設計と施工の発注に着手する。

 地下に直径約69メートル、高さ約73メートルの巨大な水槽を建設し、素粒子ニュートリノを捉えて宇宙誕生の謎の解明する計画。本体案件の初弾として、地下空洞の設計や、トンネルの掘削工事などを2件発注する。委託先は8月上旬ころに決める予定。今回の発注規模は約110億円(税込み)。

 東大は13日に「東京大学(岐阜県神岡)ハイパーカミオカンデ(地下空洞等)設計業務」と、技術協力と建設を一括で発注する「東京大学(岐阜県神岡)ハイパーカミオカンデ(地下空洞掘削等)工事等・業務」の公募型プロポーザル(WTO対象)手続きを開始した。

 「工事等・業務」は、施工予定者が設計を支援するECI方式の「技術提案・交渉方式(技術協力・施工タイプ)」を適用する。東大では初の試みとなる。プロポーザルの優先交渉権者と技術協力業務の契約を締結し、設計業務に技術協力業務の提案内容を反映させながら価格などを交渉し、交渉が成立すれば工事契約を締結する。

 設計業務では、ハイパーカミオカンデの円筒・ドーム状の地下空洞(直径約69メートル×高さ約73メートル)の設計方針、周辺空洞とアプローチ坑道の設計方針を検討する。アクセス坑道と坑口の詳細設計をまとめる。履行期間は21年3月31日まで。

 工事等・業務の事業規模は110億円(税込み)を想定。このうち技術協力業務の費用は7000万円(同)となる。業務・工事内容と工期(全体工期約48カ月)は、▽技術協力業務=履行期間は約20カ月、22年5月31日まで▽県道切り回し等工事=県道484号の迂回(うかい)、桟橋の設置、ヤード整備。工期は約5カ月、21年2月末まで▽アクセス坑道掘削等工事=坑口、坑口からアプローチ坑道までの坑道など。工期は約16カ月、22年7月末まで▽地下空洞掘削等工事=円筒・ドーム状の空洞、アクセス坑道から地下空洞までのアプローチ坑道、周辺空洞の整備。工期は約27カ月、24年10月末まで。

 ハイパーカミオカンデは2度のノーベル賞受賞につながる成果を上げた「カミオカンデ」「スーパーカミオカンデ」の後継となる装置。同市神岡町にある神岡鉱山内の地下に設置される。検出用の大型水槽は、直径約69メートル、高さ約73メートルの円筒形タンク。超純水を満たし、壁面に設置される4万個の大型超高感度光センサーでニュートリノが水と反応して発する微細な光(チェレンコフ光)を捉える。有効体積の規模は、現行のスーパーカミオカンデの8・4倍になる。2026年度末までの全体完成、27年度の観測開始を目指す。

【回転窓】文化を守る行動

新型コロナウイルスが世界で猛威を振るい、各国の政府が外出を控えるよう国民に要請している。休業を余儀なくされた店舗も多く、営業再開時期が見通せず多くの人が途方に暮れている▼店舗休業と外出制限が続くフランスで、飲食店の資金繰りを支援する活動が展開されているそうだ。時事通信が13日に配信していた▼インターネットに立ち上げられた「ビストロ大好き」というプラットフォーム。仕組みはシステムに登録された飲食店を選んで、顧客側が1・5~50ユーロを電子決済で支払う。店舗は営業再開後に前払い分のサービスを提供する▼歩道にせり出したカフェでお茶を飲む。道路をにぎわいの場として活用する取り組みとして、東京都は虎ノ門と新橋を結ぶ幹線道路・新虎通りで数年前からプロジェクトを展開していた。勤め先から目と鼻の先にある街が姿を変える光景はとても新鮮だった▼「ビストロやカフェはフランスの象徴的な文化であり、支援しなければならない」。「ビストロ大好き」の運営者はこう話しているそうだ。先が見通せない困難な状況はつらい。それでも優しい気持ちは忘れずにいたい。

【日建協調査、首位は設計・建設コンサルに】建設系学生の希望就職先、ゼネコン人気後退

 日本建設産業職員労働組合協議会(日建協、鈴木誠一議長)が実施したアンケートによると、建設系学科に在籍する学生の就職先としてゼネコンの人気が後退していることが分かった。

 学生に希望就職先を質問したところ、2016年度から3年連続で希望就職先として1位だったゼネコンが19年度に初めて2位に転落。設計事務所・コンサルタントが1位となった。

 調査は2019年度の出前講座に参加した7大学、1研修センターの計693人を対象に実施した。就職先に考える業種などを聞き686人から有効回答を得た。希望就職先に関する質問では1位が設計事務所・コンサルタント(24・3%)、2位がゼネコン(21・7%)、3位が官公庁(10・1%)、4位が住宅メーカー(9・6%)、5位が不動産・デベロッパー(4・5%)だった。

 就職先としてゼネコンを敬遠する理由を聞いたところ(複数回答可)、「労働時間が長そう」(80・5%)が最も多かった。続いて「転勤・異動が多そう」(54・8%)、「仕事の内容が分からない」(38・4%)の順だった。自由回答では「本当に週休2日で休めるのか疑問」「自分の出身地で就職したいので、転勤のない業種がいい」などといった意見が寄せられた。

 就職先として各業種を希望する理由を聞いたところ、ゼネコンは「給料」(26・8%)が最も多く、他の業種と比較し割合が高かった。設計事務所・コンサルタントは「仕事の内容」(40・2%)、官公庁は「安定性」(49・3%)、住宅メーカーは「仕事の内容」(34・8%)がそれぞれトップだった。

 日建協は「学生にゼネコンを就職先として選択してもらうには、ゼネコンの仕事内容や魅力だけでなく、時間外労働の削減、休日取得などの労働環境の改善にどのように取り組んでいるかを伝えることも必要」と分析している。

【記者手帖】在宅勤務を経験して

長時間労働の是正が柱となる働き方改革関連法が施行から2年目を迎えた。取材を通じ建設関連各社の対応を見聞きしてきた。法令順守に向けさまざまな取り組みを進める中、企業の経営トップは「社員の意識改革が不可欠」と異口同音に話す◆職場環境を改善するだけでなく、足元では新型コロナウイルスの感染拡大を防ごうと、時差出勤や在宅勤務に乗りだす企業も多い。先月、社会人生活で初めて在宅勤務を経験した。多くの先輩から「記者たる者、記事のきっかけは足で稼げ」と言われ続けてきただけに、慣れない勤務形態に戸惑った◆終日自宅で仕事をするのは、通勤や移動時間がなくなるというメリットがある。一方で気持ちにメリハリを付けるのが難しい。新しい働き方に慣れるのは少し時間がかかりそうで、継続的な取り組みが必要か◆働き方改革と聞くと、労働時間の短縮に意識が向きがちになる。だが肝に銘じなくてはならないのは、仕事の質をどう高めていくかという視点だ。限られた時間の中で成果を出すには日々の自己研さんが求められる。在宅勤務を通じて改めて気付かされた。(司)

2020年4月13日月曜日

【回転窓】BIMエンジンにビジネス変革

働き方改革関連法の施行から1年がたった。時間外労働の罰則付き上限規制が建設会社に先駆けて大手の建築設計事務所に適用され、設計事務所の大半を占める中小も1日から規制の対象に▼長時間労働を是正する働き方改革と両輪を担うのが生産性向上だ。中でもBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)の活用は期待されるが、現状は設計段階あるいは施工段階だけの活用にとどまっている▼国土交通省は建築生産・維持管理プロセスの各段階でBIMを一貫活用するためのガイドラインを策定した。BIM活用の標準的なワークフローやBIMデータの受け渡しルールなどが整理された▼実務者がBIMデータの継続的な活用による省力化・効率化、業務の効率化やコスト低減といったメリットを実感できれば、BIMがエンジンとなって建築分野の生産性をさらに高める▼ある建築家が2009年を日本での「BIM元年」と位置付けてから10年がたった。国の指針もまとまり「導入」から「活用」の段階に入った。官民の垣根を越え活用が拡大すれば、建築分野のビジネスモデルも大きく変わるだろう。

【台風19号から半年】国交省、実効性ある対策立案急ぐ

出穂期を前に被災した堤防の復旧作業が急がれる(宮城県丸森町の阿武隈川水系新川で。4日撮影)
◇出水期までに万全期す◇

 昨年10月12日に上陸し東日本の広いエリアに大きな爪痕を残した台風19号。この半年、被災地では復旧・復興に向け行政機関や建設会社が懸命に対応してきた。国土交通省は河川堤防の強化策や土砂災害の対策などを検討。新型コロナウイルスの感染拡大で混乱が広がる中、出水期前までに実効性ある対策を取りまとめ、防災・減災対応に万全を期す構えだ。

 台風19号の襲来によって全国で140カ所の河川堤防が決壊し、土砂災害の発生件数は950件を超えた。台風に伴う土砂災害として過去最多を記録した。

 復旧・復興を加速するため地方整備局に新たな事務所を置き、決壊した阿武隈川(宮城、福島県)など7水系で「緊急治水対策プロジェクト」を推進。地域と連携し、ハード・ソフト一体の治水対策を展開する。

 気候変動の影響を踏まえた対策も検討。土砂災害防止対策基本指針を近く変更する。越水しても決壊しにくい堤防強化の緊急対策を夏までにまとめる。

【中堅世代】それぞれの建設業・252

建設業のやりがいの一つは、関係者が一丸になって仕事と向き合えること
◇ものづくりの魅力、若手と共有◇

 「みんなが一丸となって大規模インフラを完成させる達成感は何物にも代え難い」。大手ゼネコンに勤務し地方支店を統括する立場にある川崎幸彦さん(仮名)は、現場に出始めたころから抱く思いを打ち明ける。

 もともと大規模な構造物が好きで土木系の大学院を修了後、今の仕事を選択した。高速道路や橋梁などのインフラ整備に携わり勤続年数は30年を超える。ここまで自分が頑張れたのは若手時代の経験があればこそだ。

 時にはつらいこともあった。右も左も分からない駆け出しのころ、ものづくりに強い思いを持った先輩技術者に、強い口調で叱責(しっせき)されることもしばしばだった。心が折れそうになることもあったが、自分を奮い立たせて仕事への向き合い方や職人との接し方をがむしゃらに学んだ。

 仕事が終われば先輩たちと朝まで飲みに行って本音を打ち明け合い、「誰もが誇りを持って作業していることが分かった」。仕事と正面から向き合うきっかけになった。昼夜を問わず仕事に励む自分を「仕事が趣味」と笑いながら話す。

 働き始めて十数年が経過し、技術者として独り立ちできるようになった頃、世間の空気ががらりと変わった。仕事よりもプライベートを重視する考えが定着し、会社も働き方改革の取り組みを加速している。

 当時の先輩たちはほとんどが引退し、自分の周りには年下の部下や後輩たちが多くなった。若手の意識は大きく変化。残業を命じたり飲み会に誘ったりすることに戸惑いを感じるようになった。厳しく接すれば仕事を辞めてしまう。一心不乱に仕事と向き合ってきた自分とは異なる価値観。心に迷いが渦巻く。

 今の立場では、年上の技術者に指導することもある。彼らは若手に対して「最近の若い者はなっていない」と説教しがちだ。昔の考え方が抜け切らない口ぶりに共感を覚えながらも、人手不足に悩む建設業にとって後進の育成は不可欠な課題と考える。

 「これも時代の変化」と受け止め、若い人たちに受け入れられる業界となるように努力の日々を続けている。支店ではフレックスタイムの導入や工事書類の簡素化などを推進し、働きやすい職場づくりに腐心してきた。そのおかげか、このところ少しずつ時間に余裕がでてきた。「働き方改革も悪くないな」。家庭内で凝った料理を振る舞うなど、以前の自分からは考えられない変化を感じている。

 それでも常に考えるのは仕事のこと。若手の時は目の前の作業で手いっぱいだったが、今は案件を受注する戦略や働き方改革の拡充など幅広い仕事にやりがいを感じている。休日でも会社が施工する建設現場を見るために車のハンドルを握る。仕事は変わっても「仕事好きは相変わらずだ」と苦笑する。

 定年まであとわずか。仕事の終わりが見えてきた中で、できることは多くない。若手に建設業の魅力を伝えることが、自分の責務と考えている。「仕事への価値観は違っても、ものづくりのやりがいは共有できるはず」。強い思いを胸に秘め今日も後進育成に励む。

【やっぱり!マイ・ユニホーム!!】地崎道路「リニューアルで女性サイズ登場」

 2018年に迎えた50周年を記念し28年ぶりにユニホームをリニューアルした。今月から着用した新ユニホームは通年用のブルゾン、シャツ、パンツの3点。これまでは男性向けだけだったサイズ構成を変更した。

 人数が増えている女性技術者がより活躍できるようにと、女性用サイズも追加した。パンツにガンメタル色を採用することでアスファルト合材の汚れが目立ちにくいよう配慮した。新しいユニホームを身に着け元気にさっそうと働いてもらう。

 シャツには通気性や吸水・速乾性に優れた素材を採用。熱中症対策はもちろん、汗の臭いを抑える消臭テープを脇の下に取り入れるなど細かい部分にまで気を配っている。ブルゾンとシャツはポケットを増やし収納力をアップした。

 デザインは会社のロゴマークをイメージさせるスタイリッシュさが特徴。ブルゾンの袖ポケット口にコーポレートカラーの赤と青のライン、襟口と背面には青いラインが入る。

 リニューアルを担当した八木正輝本州統轄事業部副事業部長は「通気性・速乾性に優れた生地や汚れが目立ちにくい色の採用など機能にこだわって選定した。リニューアルを契機に気持ちを新たにし、会社の存在をアピールしたい」と話す。

【駆け出しのころ】関電工常務執行役員戦略技術開発本部長・牧野俊亮氏

 ◇最前線で自ら考え行動を◇

 学生時代はインバーターを研究し、電気設備関係の工事会社に入るとは夢にも思っていませんでした。当時、関東電気工事(現関電工)に入った大学の先輩が同じゼミの後輩たちを対象に、現場見学を開いてくれました。現場技術者に興味がわき、社名に関東とあるから遠くに転勤することもないだろうと思い、就職先に選びました。

 1カ月ほど研修した後、埼玉支店の工事部門に配属。初任地のマンション現場では、細かなことを覚える前に、どういう材料を使ってどのように施工しているかを「まずは現場で見て来い」と先輩たちに言われたのを覚えています。

 入社半年後には職業訓練校の現場に異動し、電灯コンセントの施工図を任されました。よく分からない中で自分なりに頑張ったのですが配線を1本書き忘れ、現場に迷惑をかけてしまいます。技能職の先輩社員と協力会社の職長などと行動を共にし、教わりながら必死に学ぶ毎日でした。

 2年目に現場代理人としてごみ焼却場を担当します。スキルも経験も少ない中、元請のプラントメーカーの現場担当者や協力企業の関係者に支えられ、育ててもらいました。竣工後の精算手続きなども含め、最終的に現場を閉めるところまで任され、いろいろと怒られましたが勉強になりました。

 若いころは一人現場が多かったです。目の前の仕事に一生懸命だったので、余計なことを考える暇もありませんでした。いかに現場を円滑に進めるかで頭の中がいっぱいとなり、夢にも現場でのやりとりがでてきたほど。その分、完成した施設の施工に自分も携わったのだという大きな達成感を得られ、仕事を続けるモチベーションになっていました。

 思い出深い現場の一つは、入社9年目に担当した電算センター。データセンターという言葉もないころの先進的な大規模現場を、後輩とともに現場代理人として任されました。施工に携わった現場代理人が適任ということで、竣工後の定期点検にも立ち会いました。約5年間、この施設で唯一電源を切ることができる、1月1日の点検のために出勤していたことは、普段できない経験です。

 入社12年目に営業本部の設計部に移り、太陽光発電の受注に取り組みます。当時はまだパッケージ化されたものがなく、自らインバーターを設計し、電池の組み合わせを検討するなど、一からつくり込みます。ここでの経験を生かして技術士の資格を取りました。

 一般的な電気工事にとどまらず、いろいろな経験をさせてもらいました。その時々に出会った人のつながりが、成長の糧になっています。現場は技術屋にとって最前線の職場であり、成長の場。若手には自主的に考え、行動しながら経験を積み重ねてほしいです。

入社10年目ころ、埼玉支店の安全推進大会で(中央が本人)
(まきの・としあき)1982年明治大学工学部電気工学科卒、関電工入社。営業統轄本部副本部長(現任)や戦略事業本部長などを経て2018年7月から現職。東京都出身、60歳。

2020年4月8日水曜日

【提携紙ピックアップ】セイズン(越)/新型コロナ対応でホテル活用

 不動産サービスを提供するサヴィルズによると、3月21日現在、ベトナム国内で145のホテルが新型コロナウイルス感染予防のための隔離施設として提供されている。

 宿泊需要が大きく落ち込む中、空室を提供することで政府の感染症対策を支援している。

 ベトナム観光協会の最新の報告では、2月の海外からの訪問者は前月実績から37.7%の大幅減となり、前年同月と比べても21.8%減少した。今後さらに入国者数が減ると予想している。

セイ・ズン、3月26日)

【提携紙ピックアップ】セイズン(越)/カントー市で開発事業が活況

 新型コロナウイルスの影響などによって不動産分野の市場環境が厳しさを増す一方で、南部カントー市の開発事業は活況を呈している。

 政府は交通インフラへの積極投資を続けており、国内有数の開発ハブへと急成長させるための支援策を強力に推進する。ビングループやノバランド、FLC、LDGといった大手デベロッパーも開発プロジェクトを積極展開している。

 カントー市はメコンデルタ地方の最大都市で、経済の中心。特に住宅需要は旺盛で、最近2年間で一部の住宅価格は3倍に上昇した。市は2017~21年の5年計画の中で新たな用地開発を重点施策に挙げている。交通網などインフラ整備に力を入れていることも事業者の投資意欲を喚起しており、不動産開発の市場拡大を後押ししている。

セイ・ズン、3月19日)

【延べ20万㎡超の大規模ビルに】京急電鉄、シナガワグース(東京都港区)を建て替え

 京浜急行電鉄は東京・品川駅西口にある複合施設「シナガワグース」の建て替え事業の概要を6日明らかにした。オフィス、MICE(国際的なイベント)、商業、ホテルなどの複合用途を備えた延べ20万平方メートル以上のビルを建設する。

 建設に当たっては、敷地の一部をトヨタ自動車に譲渡する。同日、両社は共同で開発を推進し、新たなビルの一部にトヨタのオフィスを設けることを盛り込んだ協定を結んだ。

 建て替え事業の設計、施工者は決まっていない。シナガワグースの営業は年度末ころまで継続し、営業終了後に既存建物の解体などに着手する方針。近隣でJR東日本が計画する大規模開発「品川開発プロジェクト(第i期)」が街開き予定の2024年ころから「大幅に遅れない時期」(京急電鉄広報)の完成を目指す。

 トヨタとの協定は、同社が計画地の近くに東京で初めて出店したことや、ターミナル駅前でありながら豊かな自然に恵まれた街づくりを目指す京急電鉄の理念に賛同したことで実現したという。

 シナガワグースの所在地は港区高輪3の13の3(敷地面積2・5ヘクタール)。完成からおよそ半世紀経過している。延べ約8・4万平方メートルの既存建物には、飲食店やバンケット、ホテルなどの機能が入る。

【緊急事態宣言受け対応方針公表】国交省、直轄工事・業務は受発注者で対応協議

 新型コロナウイルス感染症に関する緊急事態宣言を受け、国土交通省は直轄工事・業務の対応策をまとめた。

 東京など7都府県の対象地域で契約中の工事・業務は継続の可否を受発注者間で協議。知事要請を踏まえ受注者から一時中止などの希望がある場合は適切に対応する。

 入札手続き中や今後発注する工事・業務は引き続き進めるが、入札に関する資料の提出期限を延長するなど柔軟に対応する。

続きはHP

2020年4月6日月曜日

【印象的な作品ぞろいです】建コン協フォト大賞、最優秀は長吉秀さん(福岡県)と清水莞正さん(大阪府、清風南海高校)に

長吉秀さんの作品「狩場」
建設コンサルタンツ協会(建コン協、高野登会長)は、第11回「建コンフォト大賞」の受賞作品を決めた。最優秀賞は長吉秀さん(福岡県)の作品「狩場」を選定。高校生以下が対象の第7回「建コンフォト大賞Jr」は、清水莞正さん(大阪府、清風南海高校)の「JCTの美学」を最優秀賞に選んだ。

 「あなたのお気に入りの土木施設」をテーマに、フォト大賞は計304点の応募があった。フォト大賞Jrは「土木施設を探せ!」を主題に130人の中高生が応募。宇於崎勝也日本大学教授ら5人が審査し受賞作品を決めた。

清水莞正さんの作品「JCTの美学」
長さんは熊本県和水町にある白石堰を被写体に選んだ。餌の魚を取りに来たサギやミサゴ、河川とのコントラストが高い評価を受けた。清水さんの作品は大阪市内を通る阪神高速道路のJCTを写した1枚。折り重なって見える道路がダイナミックな印象を与える作品となった。

【契約額は108億円】盛岡南公園野球場整備PFI、清水建設グループと契約

 盛岡市はBTO(建設・移管・運営)方式のPFIで進める「盛岡南公園野球場整備事業」の事業契約を3月26日付で結んだ。

 契約先は公募型プロポーザルで優先交渉権者に選んだ清水建設が代表を務める企業グループ。契約額は税込みで108億8409万2378円だった。

 清水建設を代表とする企業グループには構成企業として久慈設計や菱和建設、フクシ・エンタープライズ、日本体育施設、第一商事の5社が参画。協力企業として環境デザイン研究所が名を連ねる。

 建設地は永井7の16の2ほか。清水建設グループの提案によると、野球場には観客席2万席(内野1万2000席、外野8000席)を確保。グラウンドは内野と外野の両方とも人工芝とする。ホームベースから両翼までの距離は100メートル、中堅までが122メートル。全面フルカラーLEDの大型映像装置を兼ねたスコアボードも設ける。プロ野球1軍の公式試合の誘致・開催を目指す。

 市によると、2020年度に設計を実施。21~22年に工事を進め、23年4月の開業を予定。

【建築家・安藤忠雄氏寄贈、年度内着工へ】神戸市、「こどものための図書館」基本方針案公表

 神戸市は、建築家の安藤忠雄氏が市への寄贈を申し出ていた「(仮称)こどものための図書館」の基本方針案を1日発表した。

 建設場所は市の都市公園・東遊園地(中央区加納町)の南側エリア。安藤忠雄建築研究所が設計・監理、建築を行い、完成後に市が公共施設として管理する。2020年度内に着工し21年度に完成する予定。

 図書館の対象年齢は主に未就学児~小学生。コンセプトに▽命の大切さと震災の教訓の継承▽公園の自然の中で埋もれる好奇心▽神戸の歴史・文化との出会い-などを掲げる。蔵書数はおおむね2万5000冊を予定している。

 建設場所の敷地面積は7699平方メートルで、図書館の規模はRC造3階建て延べ約750平方メートル(建築面積約600平方メートル)。施設は既存管理棟の3階部分と接続し、東遊園地との一体的な運用を図る。南側の創造交流拠点「デザイン・クリエイティブセンター神戸」(KIITO)との連携・相乗効果やウオーターフロント地区への回遊性向上につなげる。図書館の運営については指定管理者制度を導入する予定。

【凜】厚生労働省労働基準局安全衛生部安全課・小川沙織さん

◇働き手と家族の笑顔を守る◇

 建設業や林業などに従事する労働者の安全衛生施策の検討に携わる。改正出入国管理法(入管法)に基づき新在留資格「特定技能外国人」の受け入れが2019年4月に始まった。特定技能制度の開始以前から建設分野で導入している「技能実習生」と「外国人建設就労者」を含め、建設現場で働く外国人の安全衛生対策を担当している。

 さまざまな国の人たちに安全衛生の大切さや取り組みをきちんと伝える教材づくりは試行錯誤の日々。「一つの国でも地域ごとに言語が異なっていたり、自国の共通語を知らなかったりと日本語の単なる翻訳では伝わらない」と実感する。イラストを交えながら、安全に働いてもらうための教材を多言語で準備している。

 入省を機に労働行政の世界へ。労働条件(最低賃金)や労災などに関する業務を担当してきた。心身を壊すような働き方は本人もつらいが、家族も一緒につらくなる。一方、やりがいを持って働くことは、本人だけでなく家族の笑顔にもつながる。労働行政は「笑顔を守る仕事」と気を引き締める。

 建設業はインフラの整備や災害復旧など生活の基盤を、危険と隣り合わせで支える。だからこそ「もっと知らなければ」と思いを強くする。検討を重ねた安全衛生対策が「けがや病気がなく安全・安心に働き続けることにつながっていけばうれしい」。

 (建設安全対策室指導係長、おがわ・さおり)

【中堅世代】それぞれの建設業・251

子どもが未来を描ける地域をつくる
◇地域のつながりが働く力に◇

 中堅ゼネコンで土木工事の施工管理を務めた経験を持つ藤井結さん(仮名)は、夫の海外赴任に同行して自らのキャリアを中断した。帰国後は仕事に復帰するつもりだったが、赴任先で子どもが生まれ、病気がちだったこともあり次第に余裕が無くなった。海外勤務を終えて帰国し寄る辺ない思いをしていた時に自分を救ってくれたのは、これまであまり顧みることがなかった地域とのつながりだった。藤井さんは再び仕事に戻るという目標を取り戻していった。

 鉄道橋の設計に携わっていた父親の影響で、生活の基礎を支える土木の世界に興味を持った。父親が設計に加わった橋を家族で見に行き「縁の下の力持ちみたいで格好いい」と現場に関わる思いを強くした。

 縁あって入社した会社で土木設計部に配属され、基礎構造物や橋梁の設計を4年間担当した。折に触れて上司や周囲の仲間に現場希望をアピール。5年目に道路橋建設工事の施工管理に従事することになった。自分が判断しなければ仕事が進まない。厳しい状況に直面するたび必死に乗り切っていった。毎日新しいことが始まるのは刺激的で楽しく、やりがいを感じた。

 3年の期間限定で夫の海外赴任が決まったのは、担当する工事が終盤に入った頃だった。仕事が面白く同行をためらった直後に妊娠が分かった。頼れる家族がおらず、心を残しながら退職を決めた。

 日本に戻ってきてからは、入退院を繰り返す子どもにかかりきりで、自分のことは後回しだった。仕事に戻りたい思いは強かったが、子どもが頼れる存在は自分たちだけ。気心が知れた友人がいない場所での子育ては本当に孤独だった。そんな時、市役所で勧められ、地域の人をつなぐ「子ども食堂」に足を運んだ。いわゆる貧困家庭や一人親家庭の子どもたちだけでなく、育児中の親子や高齢者、外国人などさまざまな人たちと食卓を囲むと、自然に地域とのつながりが深まった。

 シングルマザーや外国人など境遇が異なる人たちとの出会いは「育児の悩みを話せて気が楽になった」。藤井さんの子どもは祖父母のような年回りのご近所さんと一緒に、和気あいあいと食卓を囲んでいる。子ども食堂はいつしか藤井さん親子の居場所になった。

 1月上旬、子ども食堂の仲間たちと「手前みそ」を仕込んだ。ゆでた大豆をつぶしたり大豆とこうじを混ぜたりと、一つ一つの工程を協力しながらこなしていく。仕事で感じた面白さと同じだと気付いた。みそやしょうゆは和食の味つけには欠かせない、私たちの生活を支えるインフラ「縁の下の力持ち」だ。

 ハードとソフトがそろってこそ、安心して暮らせる。建設業はその土台となる基盤の役割を担う。子どもを授かり、さまざまな人たちと知り合ったことで「子どもが未来を描ける地域をつくるのは大人の役目」だと強く感じた。わが子に誇れる仕事がしたいとも。資格取得の勉強を始めた。いつか現場で働くため、今は力を蓄えている。

【やっぱり!マイ・ユニホーム!!】西松建設「夏も冬も快適に作業」

 2015年にリニューアルした作業服は、長く継承してきたベージュをベースに、コーポレートカラーのグリーンをアクセントにしたのが特徴。夏用と冬用の作業服を用意し、季節に関係なく快適に作業できるよう、速乾性や保温性のある生地を採用するなど工夫を凝らしている。

 リニューアルに当たっては現場で働く社員の要望を丹念に聞き、着心地や快適性の機能向上に加えて作業服の基本性能である「強度」と「安全性」を追求している。

 夏用作業服は吸汗性と速乾性のある生地を採用。上着の脇部分と襟付け部分に消臭テープを縫い込んだ。一方、冬用は着心地がソフトで伸縮性のある生地を使い、着心地の良さと保温性にこだわった。

 女性用の作業服は体のラインに合わせたファッショナブルで動きやすいデザイン。着丈を男性用に比べて若干長めにすることで、しゃがんだ時に背中が見えないようにした。

 ヘルメットはつば部分を透明にし作業性と視認性を高めた。シールドを内蔵することで目元の安全を確保している。

【駆け出しのころ】前田建設取締役専務執行役員土木事業本部長・中西隆夫氏

 ◇諦めずに達成感を◇

 父親が建築関係の仕事をしていました、幼いころ現場に連れて行ってもらい、こういう仕事もいいなと思いました。あまのじゃくだったので親と同じ建築ではなく、土木に目が向きます。学生時代を過ごした福岡では地下鉄建設が真っ盛り。インフラで社会を下支えするダイナミックな土木工事に携わりたいとの思いが強くなりました。

 前田建設に入社後、最初の2年間は本社土木部に勤務。ダム関係の先輩技術者に付いていろいろ学びました。そのままダムの現場に配属されると思っていたのですが、行き先が二転三転します。最初に北海道の原発関連の現場と伝えられ、1週間後には石垣島のダム現場に変更。三度目の正直で瀬戸内海に工場用地を整備する埋め立て現場に赴任先が決まりました。

 結局、初勤務の現場には2週間しかいません。本社上がりの現場技術者1年生。受け入れ側は入社3年目の技術者としてのスキルを期待し、実際とギャップがあったのかと思います。

 次の現場は本四架橋関連の高架橋下部工。よく叱られ、しばらくは相当苦労しました。ある仕事を任された時、自分が納得するまで手離れできない性格もあり、みんなが帰っても遅くまで残業していました。現場の事務所兼宿舎で夜中に仕事をしていると、そこに寝泊まりしている所長によく注意されました。

 その後は、山奥の小さな現場を転々と任されます。本当に小規模工事だったので、ゼネコンがやらなくてもいい仕事ではないかと思ったほど。同期が大規模で技術的に難度の高い現場を担当し、焦りもありました。そんな中でつらいことも重なり、入社後たった一度、父親に現状への不満をぶつけました。

 電話口での父親の言葉はよく覚えていませんが、後になって振り返れば、当時の現場管理の経験は大変勉強になりました。大きくても小さくても基本のやるべきマネジメントは一緒。現場技術者としての基礎が固まりました。

 20代後半からは四国の高速道路の現場を中心に回り、トンネルも9本掘りました。貫通した時、山の中に後光が差す場面は何回見ても鳥肌が立ちます。竣工検査の日にはみんなで飲みに繰り出し、持参したヘルメットの中にビールやウイスキー、日本酒を入れて回し飲みしたのもいい思い出です。

 関係者が一丸となって決められた時間内にきちんと造り上げ、お客さんに引き渡した時の達成感がものづくりの楽しさだと思います。自分の主張ばかりを押しつけても現場は前に進みません。ワンチームになるには相手の立場でものごとを考える姿勢が大切。楽しいことばかりではないですが、若い人たちには諦めず、前を見て達成感を味わってほしいです。
入社7年目ころ、自身初のトンネル工事の現場事務所で(前列中央が本人)
(なかにし・たかお)1981年九州大学工学部土木工学科卒、前田建設入社。執行役員、常務執行役員などを経て2020年4月から現職。長崎県出身、61歳。

2020年4月3日金曜日

【回転窓】未来を見据えた道路とは

 人と人とが直接会うことは減少し、満員電車による通勤などの義務的な移動の必要性が薄れる-。社会資本整備審議会(社整審、国交相の諮問機関)道路分科会基本政策部会が検討している20年後のビジョンにこうしたイメージが示されている▼通勤などの定型的な移動が激減する一方で、観光など余暇の移動が相対的に増えると予測。自動運転などの普及とともに無人物流が主流となり、買い物目的の移動ニーズが縮小するという大胆な見立ても▼「もしも車が空を飛ぶようになったら、道路を造る意義が大きく変わるだろう」。建設業界関係者が話していた。それは道路が不要になるということではない。短距離・軽量の輸送と、大規模物流のような輸送とのすみ分けが進むという見方だ▼将来予測はさまざまだが、20世紀に映画などで描かれていたような未来が、本当に来ようとしている。必要なのは、変化にも対応して長期間有効に活用できる基盤を整えること▼インフラを巡る世論はともすれば現時点での価値にとらわれがちだ。先を見据え「先人はよく考えていた」と将来に思われるような想像力と実行力が求められている。

【災害復旧工事の早期完了に全力】関東整備局、久慈川緊急治水対策河川事務所を開所

 国土交通省関東地方整備局は、1日付で久慈川下流出張所(茨城県常陸太田市)に「久慈川緊急治水対策河川事務所」を新設した。2日に開いた発足式で石川武彦事務所長は「再度の災害防止に向け、久慈川全体の安全度を高めていきたい」と語った。

 同河川事務所は台風被害の最少化を目指す「久慈川緊急治水対策プロジェクト」の早期完了に向け、堤防などの整備、河道掘削で陣頭指揮を執る。台風19号で被害が発生した久慈川の本復旧工事の設計や用地買収、発注などを担当。直轄部分だけでなく、権限代行で県管理区間の業務も実施する。本年度は河道掘削の工事の発注を目指す。ソフト対策は主に常陸河川国道事務所が担うため、連携して減災に取り組む。

 式典では石原康弘関東整備局長と石川事務所長が看板を掛けた=写真。昨秋の台風・豪雨災害に関連し、国交省は東北地方整備局にも「宮城南部復興事務所」を1日付で新設した。

2020年4月2日木曜日

【お知らせ】紙面PDFを無料公開-在宅勤務やテレワークをサポートします

 日刊建設工業新聞社は新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、今後新聞配達などが困難になる恐れがあるため、当面の間、オンラインサービスで紙面PDFを無料公開します。テレワークや在宅勤務の方に利用して頂ければと思います。なお、配達は可能な限り行っていきます。

2020年4月1日水曜日

【大丸心斎橋店改築に適用】竹中工務店、歴史的建築物の外壁保存へ新工法開発

 竹中工務店は、文化的価値が高い既存建物の外壁を保存・活用できる新工法を開発した。異なる種類の外壁が用いられていても、地震時など外力による変形追従性能を高めることができる。建築家ウィリアム・メレル・ヴォーリズの代表作として知られる大丸心斎橋店(大阪市中央区)の建て替えプロジェクトに適用した。

 明治・大正期に建設された歴史的建築物には、外壁の仕上げの切り替わりが特徴的なものが多く、これらの保存・再生可能性が高まるとしている。

 開発した「外壁保存構法」は、保存する外壁の背面に補強躯体を設け、地震時に新しい躯体の動きに合わせて保存外壁をスムーズにスライドさせる仕組み。今回の工事では、外壁の仕上げが切り替わる3階・6階レベルで水平切断し、切断部分に免震装置を設けて新しい躯体と接続させている。

 大丸心斎橋店はネオ・ルネサンス様式やネオ・ゴシック様式の外観が特徴的で、1~2階を石、3~5階はタイル、6階を擬石で仕上げていた。天井のフレスコ画など随所にアールデコの装飾が施されており、ヴォーリズの最高傑作とも言われているが、完成から約90年がたち、安全性などが課題となっていた。このため、4スパン分の外壁を保存し、それ以外は解体して新本館を建設した。

 使用されていた部材の再利用・復元にも積極的に取り組んだ。ひび割れ計測と高精度赤外線解析で外壁の劣化や剥離部を検出。タイルは使用されていた12万枚のうち約90%を保存したという。各仕上材は約12・5万本のステンレスピンで原則すべてを躯体と緊結し、安全性を確保した。採取・保存したパーツは1階メインフロアを中心に再利用した。新しい鏡面天井で復元部分を映し込むなどデザインの相乗効果を図った。

 建て替え後の規模はS・RC・SRC造地下3階地上11階塔屋1階建て延べ6万6368平方メートル。基本設計・監修は日建設計、実施設計・施工・監理は竹中工務店。工期は2017年1月~19年8月。

【回転窓】新社会人へ

 新入社員の皆さんへ。新社会人、おめでとう。残念なことに新型コロナウイルスの影響で入社式に参加できなかった人もいるでしょう。でも、あなた方が社会人になったことをみんなが歓迎しています▼こんな時だからこそ、いま自分が何ができるかを考えてください。スマートフォンで知りたい情報をいつでも入手してきた皆さんは幅広い知識を持っています。だが、それをどう生かすかはこれからです▼ビジネスでは氾濫する情報の中から必要な情報を取捨選択し、次に起こりうる状況を想像して適切な行動が求められます。それを実現するには、さまざまな経験と想像力が必要です▼会社に入れば、望んだ仕事ばかりに就けるとは限りません。でも、その仕事は将来きっと役に立ちます。仕事の蓄積から生まれる、新たな発想と価値観はネットで得る情報とは異なり、あなた自身が肌で感じ得た情報となるからです▼ニュートンはペスト感染を避け、帰郷していた時に「万有引力の法則」を発見しました。自宅待機で会社に来られない人も、いまのこの時間を大切にしてください。そしてどんな時も「学び」の気持ちを忘れずに。

【新年度がスタート】品確法新運用指針で発注事務開始、熊本空港運営権事業も始動

年度が改まる4月1日は節目になる出来事が多い。法令の施行や制度・仕組みが始動。企業では新体制への移行や新卒者の入社など経て、2020年度のスタートを切った。

 19年6月施行の公共工事品質確保促進法(公共工事品確法)に基づく新しい「運用指針」による発注関係事務が始まる。改正法を踏まえ▽災害時の緊急対応の充実強化▽働き方改革への対応▽生産性向上への取り組み▽調査・設計の品質確保-の4点に関する事項が追加・強化される。

 建設業法を含む「地方分権改革に関する一括法」が1日に施行される。この中で業法は大臣許可の申請などで都道府県を経由する事務を廃止。大臣許可業者は1日以降、新規・更新の許可申請や経営事項審査(経審)の各種書類を地方整備局に直接提出する。山梨、大分の2県は従来通り都道府県を経由して大臣許可が申請できる。

 許可や登録の申請書類が簡素化される。業法施行規則で定める建設業許可(大臣許可・知事許可)に関する書類を削減。提出書類の作成業務が従来と比べ3~4割軽減されるという。測量法に基づき法人が登録申請する場合、作成する書類が従来の21枚から3枚と大幅に削減される。

 ゼネコンは、長谷工コーポレーションやピーエス三菱らが、社長交代で4月から新体制となる。竹中工務店や長谷工コーポレーションらは新たな中期経営計画をスタート。新事業領域への挑戦や積極的な海外展開などを掲げている。

 民間の活力を生かした公共サービスも始動。1日に熊本空港(熊本県菊陽町)のコンセッション(公共施設等運営権)事業が開始される。16年4月の熊本地震からの創造的復興のシンボルとして、コンセッション事業者が被災した国内線ターミナルビルを国際線と一体の新ターミナルビルに建て替えて23年から供用開始するという、これまでにない取り組みが行われる。