2022年4月28日木曜日

22年春の褒章/黄綬褒章に佐野吉彦氏ら

 政府は2022年春の褒章受章者を決定し、29日付で発令する。新型コロナウイルスの影響で受章者が天皇陛下に会う拝謁(はいえつ)は見送り、宮殿内見学と写真撮影を検討している。国土交通省は伝達式を中止する。建設業関係11団体が主催する褒章祝賀会も取りやめる。章記と褒章は推薦団体を通じて受章者に授与する。=2面に建設・不動産関係の受章者一覧
 産業振興など公衆の利益に貢献した人に贈る藍綬褒章は元関西ペイント社長の石野博氏(71)、東京ビルメンテナンス協会会長の佐々木浩二氏(74)らが受章する。
 長年業務に精勤した人が対象の黄綬褒章は元石川県地質調査業協会会長の伊藤清春氏(元中部地質代表取締役、74)、全国鉄筋工事業協会会長の岩田正吾氏(正栄工業代表取締役、57)、京都電業協会会長の木下博之氏(大興電気代表取締役、66)、滋賀県建設業協会会長の桑原勝良氏(桑原組社長、62)、全国クレーン建設業協会常任理事の高村伸彦氏(東邦重機開発社長、60)、元大阪府建築士事務所協会会長の佐野吉彦氏(安井建築設計事務所社長、67)、香川県電気工事業工業組合理事長の新名淳一氏(67)、宮城県建設業協会会長の千葉嘉春氏(熱海建設代表取締役、68)、全国土木コンクリートブロック協会会長の本間丈士氏(共和コンクリート工業社長、65)らに贈られる。



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資材高騰/日建連が民間向け資料作成、現状理解と価格転嫁促す

 建設資材の価格高騰や品不足を受け、日本建設業連合会(日建連、宮本洋一会長)は民間発注者に現状理解と適切な価格転嫁を求めるための説明資料を作った。最新の資材価格や納期遅延が発生している資材を列挙。会員共通の資料として工事契約の締結や設計変更の協議などで活用を促す。国が決定した物価高騰対応の総合緊急対策に基づく官民の発注者団体や建設関係団体への通知に対応。元下契約も含めコスト上昇分を適正に反映した工事費の設定や工期の確保に役立てる。
 説明資料は建設物価調査会(北橋建治理事長)が毎月公表している資材価格を紹介。毎月の公表結果を速やかに反映し更新していく。会員が受注した工事で納期遅延が発生している設備や資材もまとめている。
 民間発注者に対する要望事項として、国土交通省が26日付で官民の発注者団体などに通知した▽直近の資材価格や調達状況を反映した価格・工期での契約締結▽民間建設工事標準請負契約約款などを活用した契約締結▽既に締結された契約で資材高騰に伴う個別協議-の3項目も列挙。現状理解と協力を訴えている。
 日建連会員以外の建設関連企業が説明資料の活用を希望する場合、個別に相談に応じていく方針だ。
 説明資料に掲載した同調査会の調査結果によると、3月上旬時点で東京地区の建設資材全体の平均価格は昨年1月に比べ16%上昇。工事費全体に占める材料費を50~60%と仮定した場合、建設コストが平均8~10%上がった状況を説明している。主要資材16種類のアップ率も▽異形棒鋼63%▽H形鋼54%▽鋼板中厚板65%▽コンクリート型枠用合板55%▽ストレートアスファルト48%-などとした。
 日建連の宮本会長ら幹部は27日に経団連(十倉雅和会長)の久保田政一副会長・事務総長を訪ね、国交省通知3項目の理解と全面協力を求める十倉会長宛の文書を手渡した。



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国交省/技術者制度見直し方針固まる、建設業法改正など具体化検討

 国土交通省は有識者会議を通じ検討していた建設業法に基づく技術者制度の見直し方針を固めた。ICTを活用した遠隔施工管理で監理技術者など現場配置技術者を兼任可能とする制度新設などが柱。見直し方針は近く公表し、国交省が法令に落とし込む作業に入る。業法改正が必要になる変更点も含まれ、先行的に対応可能な事項から随時具体化していく方針だ。
 25日に開いた有識者会議「適正な施工確保のための技術者制度検討会(第2期)」の第4回会合で見直し方針案をほぼ了承した。
 新設する兼任制度は現場状況や人員配置などで許容範囲を整理。建設業団体や地方自治体へのヒアリングやアンケートを考慮し、工事請負金額がいずれも1億円未満(建築一式2億円未満)の2現場を兼務可能とする。監理技術者をサポートする連絡要員(実務経験1年以上)の現場配置も条件。兼任が過重労働につながらないよう、施工管理の手段や人員配置を記載した計画書の作成・保存も求める。
 物価変動と消費税増額を踏まえ、専任配置が必要な請負金額を現行の3500万円(建築一式7000万円)以上から4000万円(8000万円)以上、監理技術者の配置が必要な下請金額を現行の4000万円(6000万円)以上から4500万円(7000万円)以上にそれぞれ引き上げる。
 技術検定の受験資格は学歴差を無くし一定年齢以上で認めるよう見直す。第2次検定は第1次検定合格後の実務経験を評価し、1級は1級技士補として一定規模以上の工事で実務経験3年、2級は2級技士補として実務経験3年を基本要件とする。技術者資格の要件は指定学科以外の卒業者の実務経験を短縮できる規定を追加。業種ごとの指定学科と対応する技術検定種目の合格者を対象とする。



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フジタら/既存杭撤去孔の均質埋め戻し工法、再施工防ぎ効率向上

 フジタと日本コンクリート工業は、既存杭の撤去孔を均質な改良土で埋め戻すことができる新工法を開発した。既存杭の引き抜き後に砂を投入し、新たに開発した攪拌(かくはん)装置で固化材を添加しながら孔内全体を適切な強さで改良する。新設杭の打設時に本来の掘削場所からずれてしまって再施工するようなトラブルを防止でき、施工効率が向上する。
 「FUNC-RES工法」は、既存杭を縁切り・引き抜き工法で撤去した孔内の泥土を、固化剤スラリーと土砂で攪拌混合する。攪拌装置には3段の攪拌翼と2段の固定翼を交互に配置している。外側を固定しながら攪拌翼などを回転することで塊状の粘性土も細断でき、十分に混合できる。既存杭の引き抜き時に使用するケーシング先端に、アダプターを介して接続できる。重機を入れ替える必要が無く、効率よく施工できる。
 地上から流動化処理土を投入する従来方法に比べて施工時間が長くなるが、何度も再掘削して工期が延長するようなリスクを軽減できる。施工期間や施工機械の稼働時間を短縮でき、二酸化炭素(CO2)排出削減も期待できる。
 日本建築総合試験所の建築技術性能証明を取得済み。直径1000ミリの装置を千葉県内の現場に適用し実効性を確認した。30メートル程度の杭まで適用できるという。今後、バリエーションを増やしていく。



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中日本ハイウェイ・エンジ/日常点検車両開発、伸縮装置変状を検知

 中日本高速道路グループの中日本ハイウェイ・エンジニアリング東京(東京都新宿区、森山陽一社長)は、走行するだけで橋梁の伸縮装置の変状を検知する日常点検車両「ROAD CAT」を開発した。安全な点検の実施と定量的な点検結果の取得、路上規制の削減が目的。愛知、岐阜、三重県内の路線で試行導入する。今後、点検結果を蓄積し精度を検証する。
 日常点検車両は、車両が伸縮装置を通過する時に発生する音から健全性を計測するシステムと、変状部位を特定するためのシステムで構成する「JI(Joint Inspection)システム」を搭載している。後輪のタイヤ付近に配置した小型マイクロホンで収集した音と計器で車両の振動加速度を計測。健全時のデータと比較し健全度を評価する仕組みだ。
 疲労亀裂や劣化の進行で破損した伸縮装置は、交通事故の原因につながる可能性がある。従来は車上からの目視点検や、高速道路の路肩に降りて異常音などを確認する降車点検を行っているが、作業員の安全性確保や聴覚・体感などに頼る定性的な点検となっていることが課題だった。



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2022年4月27日水曜日

物価高騰緊急対策/適正取引へ転嫁対応、国交省が官民発注者らに要請

 政府が26日に決定した原油価格・物価高騰に対応する「総合緊急対策」の建設業関係施策として、原材料費などの取引価格を反映した適正な請負代金や適切な工期を確保する必要性を、公共と民間双方の発注者や建設業団体に周知徹底する方針が盛り込まれた。これを受け国土交通省は受発注者間と元下間でスライド条項などを適切に設定・運用するよう関係機関に要請。民間発注者にも受注者から申し出があれば協議に応じるよう求めた。
 総合緊急対策では中小企業対策の一環で各産業界の「賃上げ・価格転嫁対策」を推進する方策が明記された。岸田政権が主要な政策目標に掲げる「賃上げ」の実現には、中小企業を含めた円滑な価格転嫁が不可欠となるからだ。
 国交省は不動産・建設経済局長名の要請文書を同日付で発出。建設工事標準請負契約約款に記載がある契約変更条項に基づく対応などを各省庁や地方自治体、民間発注者団体、建設業団体に要請した。建設業法の「不当に低い請負代金の禁止」や「著しく短い工期の禁止」の規定に違反する恐れがあるケースも挙げて関係者に注意喚起した。
 都道府県など公共発注者にはスライド条項の活用や工期延長など公共約款に基づく対応に加え、積算に用いる資材単価の適時改定を促す。資材単価を独自設定している場合などは調査時期の前倒しや調査頻度の増加、販売者へのヒアリングなどで最新の市場取引価格を把握するよう求めた。
 民間発注者団体には民間約款にある請負代金額や工事・工期の変更に関する規定を周知。受発注者間の「パートナー」関係を強調し、元下間や資材業者への転嫁円滑化のためにも適切な対応を呼び掛けた。建設業団体にも下請取引の適正化による価格転嫁を促し、同じように取引関係にある資材業者や建設機械・仮設機材の賃貸業者、警備業者、運送業者などへの配慮も働き掛けた。
 総合緊急対策ではアスファルト合材の原料となるストレートアスファルト(ストアス)の価格高騰対策を別途明記。国交省と経済産業省の連名で同日発出した要請文書で、アスファルト合材の取引関係者に価格上昇分の適切な転嫁を働き掛け、公共発注者などに適正な請負代金の設定などを求めた。



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九州大学/洋上風力研究教育センター開設、22年夏に産学官共同体発足へ

 九州大学は国内を対象に洋上風力発電の普及拡大を目指し、技術研究や人材育成を行う「洋上風力研究教育センター」を設立した。洋上風力発電が再生可能エネルギーの主力電源となるよう、四つの活動に注力する。今夏以降に発電事業者やメーカーら産学官で構成するコンソーシアムを発足させる。日本の海象にマッチした浮体式洋上風車の開発などを推進し、2~3年後に実用化を目指す。
 同センターは九州大の応用力学研究所を中心に組織する。センター長は福田晋副学長が務める。活動内容は洋上風力発電産業との緊密な産学官連携、洋上風力発電産業をけん引する人材育成などを想定。主に▽浮体式洋上風車開発▽社会・経済性評価・政策提言▽風況予測-の3体制を敷く。風車開発は発電設備の支持構造物や次世代洋上風力発電の研究を推し進める。
 夏以降に同センターと浮体式洋上風車の開発を担うメーカー、国・自治体を含む発電事業者の3者で「洋上風力産学官連携コンソーシアム」を設立する。人材育成は民間企業の人材を対象に受講してもらい、風車の設計や解析などの分野をマネジメントできるリーダーを育てる。1社当たり2~3人を募集し、2023年度の開講を目指す。
 活動開始から2~3年後をめどにコンソーシアムが出力200キロワット級の「中型レンズ風車」を実用化する考え。並行して同センターが主導し、風況計測技術(TLP型洋上風況観測塔)の開発も目指す。
 26日に東京都内で会見した福田センター長は「過酷な風況などを理由に国内の主要メーカーは風力産業から撤退している」と指摘。「再エネの中で洋上風力を主力電源化できるよう技術革新を図る」と語った。



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鉄筋工種特定技能合格者/ベトナムから第1陣入国、1年待機も今後順次入国

 コロナ禍で1年近く入国ができなかった鉄筋施工職種の特定技能評価試験合格者の第1陣が入国し、25日に受け入れ先企業の幹部らが関西国際空港で盛大に出迎えた。入国したのはベトナム人のダンヴァンヌック氏とグェンヴァンズー氏の2人。22日に入国し、検疫所が指定する宿泊施設で3日間待機し、PCR検査で陰性が確認されたことから、正式に受け入れ先の企業に向かうことになった。
 建設技能人材機構(JAC、三野輪賢二理事長)と同機構会員の全国鉄筋工事業協会(全鉄筋、岩田正吾会長)は協同で、2021年3月にベトナム・ハノイ市の第一建設短期大学で特定技能評価試験を実施。24人が受験し、19人が合格した。ただコロナ禍で入国ができず自国で1年近く待機していたが、今回初めて、香川県の武田建設に就業が決定した2人が入国した。
 空港で出迎えた武田建設の武田美治会長は「どんなにこの日を待っていたか」と来日を熱烈に歓迎。来日した両氏も「ようやく日本へ入国できて夢のようです。これから会社の期待に応えられるように頑張りたい」と満面の笑みを見せた。
 登録支援機関でもある全鉄筋の遠藤眞一事務局次長も出迎え、「やっと第1陣を迎えることができた。武田会長は入国できない間も2人とウェブで定期的に連絡を取り合い、互いに理解を深めていた」という。
 残る合格者も今後、順次入国する。全鉄筋によると、傘下企業8社が16人を受け入れる。内訳は▽正栄工業2人(大阪府)▽田浦2人(同)▽タソト工業1人(同)▽岩谷鉄筋2人(同)▽大田工業3人(岡山県)▽スチール・ワン2人(神奈川県)▽高橋工業2人(同)▽藤鋼業2人(東京都)-となる。



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鹿島/残コン・戻りコンゼロ技術確立、液化炭酸ガス利用しCO2削減

 鹿島は建設現場で発生する残コンクリートと戻りコンクリートを、建設現場内でゼロにするシステムを確立した。既存の濁水処理設備を活用し、分離・処理過程で液化炭酸ガスを使用する。残コン・戻りコンを再利用可能な「粗骨材」と、二酸化炭素(CO2)を吸収・固定して中和された「処理土」、pHと濁度を下げた放流可能な「水」に分離する。残コン・戻りコンと、CO2の削減を同時に実現する。
 同システムは大規模現場で一般的に設置する濁水処理装置に、振動式ふるいを追加して構成する。一連の流れは、アジテータ車から散水装置付きの振動式ふるいに生コンを投入後、ふるい上を通過する過程でモルタルと粗骨材に完全分離し、粗骨材は排出する。
 ふるいの下に設置した水槽にたまったモルタルは攪拌(かくはん)して懸濁水状にする。その後、既存の濁水処理装置へ送出。液化炭酸ガスで処理することでCO2を吸収・固定して中和された処理土(炭酸カルシウムと細骨材の混合物)と、pHが放流基準値以下となった処理水に分離し、放流する。
 千葉県市川市の建設現場で同システムを構築し、実証実験も行った。残コン・戻りコンから再利用可能な粗骨材とCO2を吸収・固定して中和された処理土(炭酸カルシウムと細骨材の混合物)に分離できることを確認した。処理水の排水では、pHと濁度を下げて放流可能な水になるまで処理できたという。
 今後は分離能力向上や現場への適用を進め、年内の実用化を目指す。処理土の有効活用や液化炭酸ガスの代わりに重機などの排ガスを使用することも検討していく。
 坂田昇執行役員土木管理本部土木技術部長は「弊社だけで抱え込むのではなく広く使ってもらいたい。業界全体でさらに環境負荷低減に貢献していきたい」と期待している。



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竹中工務店ら/愛媛県内子町にバイオマス発電所建設、10月発電開始へ

 竹中工務店は26日、内藤鋼業(愛媛県内子町)、サイプレス・スナダヤ(愛媛県西条市)、三洋貿易、大日本コンサルタントと内子町の木材を使うバイオマス発電所を建設すると発表した。5月に着工する「内子龍王バイオマス発電所」は内子1365に設ける。内子町森林組合の未利材を内藤鋼業の木質ペレット工場で発電用原料に加工・生産する。電気出力は330キロワット。発電時の熱も供給する。これで町内の同発電施設は2カ所となる。竹中工務店はプロジェクトマネジメント(PM)を担う。10月の発電開始を目指す。
 新発電所は2007年策定のバイオマスタウン構想を進める同町が支援。事業は21年9月に竹中工務店ら5社が共同出資した「内子龍王バイオマスエネルギー」が行う。地元企業20社や5社らが出資する。
 敷地面積は797平方メートル。平屋181平方メートルの発電所にはサイプレス・スナダヤ(西条市)の直交集成板(CLT)を使う。設計は大日本コンサルタントで、山本建設(内子町)と田丸電気水道設備(同)が施工を担当する。
 年間発電量は約245万キロワット時。一般家庭560世帯分に相当。発電した電力は四国電力へ全量売電する。売電収入は約1億円。
 ドイツ・ブルクハルトの小型高効率木質バイオマス熱電併給装置を2台設置。発電時に発生する熱500キロワットは隣接する内子町龍王公園のホテルとフィットネスクラブに送り、温浴施設やプールの加熱に使う。
 小野植正久町長は「自分で使う電気は自分たちでつくる。エネルギーの地産地消を目指す」、竹中工務店の松崎裕之参与木造・木質建築統括は「中高層建築物の木質化に取り組んできた。バイオマス発電所は初めて。森林再生や林業活性化にも貢献する」と語った。



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2022年4月26日火曜日

市況変動/官民協働で価格転嫁の好循環構築、民間工事・元下間の普及が鍵

 高騰する建設資材の価格転嫁対策が動き出す。国は26日にも緊急対策を決定し、官民の発注者に取引価格を反映した適正な請負代金の設定などを呼び掛けていく。日本建設業連合会(日建連、宮本洋一会長)は資材高騰の最新状況に関する発注者向け説明資料を作り契約交渉などで役立てる。賃上げによる処遇改善の流れを止めないためにも、地方自治体や民間発注者も含め受発注者協働による価格転嫁の好循環構築が待ったなしといえそうだ。=4面に関連記事
 国が26日にも決定する原油価格や物価高騰などに対応した「総合緊急対策」では価格転嫁の円滑化対策が盛り込まれる見通し。官民双方の発注者などに対し原材料費の取引価格を反映した適正な請負代金の設定や、適正な工期の確保を働き掛ける。
 ポイントは国が公共工事で対応しているスライド条項のような物価高騰分の適切な価格転嫁を、自治体や民間の発注工事にどれだけ広げられるかだ。特に契約約款にスライド条項規定のない民間工事への普及は難しい。最終的には個別の事業者判断に委ねられるため、受注者側も丁寧に現状を説明しながら理解を求める必要がありそうだ。
 日建連は民間発注者に価格高騰や資機材不足の現状を理解してもらうため、見積書作成など契約前に使う業界共通の説明資料を近く作る。資材価格などは定期的に更新する方針だ。
 資材高騰分の価格転嫁は発注者だけでなく元下関係でも不可欠。公正取引委員会は本年度、総合工事業の受発注者関係と元下関係に着目し、労務費や資材・燃料費の転嫁拒否事例などを調べる。国土交通省も1~3月分の下請取引調査でスライド条項の設定状況や価格転嫁の協議状況を聞いた。
 全国元請団体の関係者は、「企業単体の自助努力は限界がある。官民協働で価格転嫁の好循環をつくることが不可欠」と訴える。



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北陸整備局/253号十日町道路整備、中心杭打ち式開き測量本格着手

 北陸地方整備局は、「国道253号十日町道路」(新潟県十日町市、延長約10・8キロ)の道路整備の基準になる測量作業の本格着手に向け中心杭打ち式を24日、計画路線の近くにあるあてま高原リゾートベルナティオで開いた。多くの関係者が見守る中、村山一弥国土交通省道路局長、岡村次郎北陸整備局長、佐久間豊新潟県副知事、関口芳史十日町市長らが中心杭を打ち込んだ。2022年度は用地取得に向けた調査や測量などを行う予定。
 19年度に新規事業化した国道253号十日町道路は、十日町市鐙坂を起点に同八箇に至る延長約10・8キロの道路。新潟県からの要望により直轄権限代行で北陸整備局が建設する。
 19年3月の社会資本整備審議会(社整審)道路分科会北陸地方合同小委員会時点の総事業費は約620億円。うち工事費は501億0100万円。内訳は改良費(土工の切り土、盛り土、捨て土、のり面工、擁壁工、函渠工など)36億6200万円、橋梁費170億8200万円(1260メートル1橋、190メートル1橋、120メートル1橋、110メートル1橋、80メートル2橋、40メートル1橋の合計7本)、トンネル費282億1300万円(2380メートル、1440メートル、1310メートル、1260メートル、1170メートルの5本ですべてNATM)、舗装費4億5500万円など。
 用地幅杭位置を決定するための道路予備設計Bや平面交差点、立体交差点予備設計などを含む「令和3年度国道253号十日町道路道路予備設計外業務」は開発技建が、信濃川渡河部に設ける橋梁設計に必要な地質調査「令和3年度国道253号十日町道路地質調査業務」はサンコーコンサルタントが、信濃川渡河部と市道跨道部の橋梁予備設計「令和3年度国道253号十日町道路橋梁予備設計業務」は長大が担当している。
 十日町道路は、新潟県上越市の上越ICを起点に十日町市を経て同南魚沼市余川に至る約60キロの地域高規格道路「上越魚沼地域振興快速道路(上沼道)」の一部。国道253号八箇峠道路に接続する。
 八箇峠道路は9・7キロで、うち八箇IC~野田IC間6・6キロは17年11月に開通した。残る3・1キロ区間の開通時期は未定。
 式典で関口市長は「当市の未来に通じる十日町道路建設に向けて大きな一歩を踏み出した。早期整備に向けてさらなる起爆剤となることを期待している」と語った。



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日建連/5月16日から整備局らと意見交換会、働き方改革などテーマに

 日本建設業連合会(日建連、宮本洋一会長)は、国土交通省地方整備局など公共発注機関との2022年度意見交換会を、5月16日の関東地区を皮切りに全国9地区で開く。新型コロナウイルスの感染予防に細心の注意を払い、3年ぶりに対面形式で開催する。将来にわたる担い手確保に向け、働き方改革や技能者の処遇改善、工事現場の生産性向上などをテーマに議論を深める。=2面に意見交換の新規テーマ一覧
 日建連は最重要課題と位置付ける将来の担い手確保に向け、働き方改革や生産性向上に全力で取り組んでいる。本年度の意見交換会では建設産業の魅力を高める「新4K(給与・休暇・希望・かっこいい)」実現の取り組みや社会資本整備を推進する重要性の発信、24年4月に迫る時間外労働の罰則付き上限規制への対応を重点方針に掲げる。
 公共工事を適切に推進するため、国交省に発注予定公表の運用改善を提案。予定公表日から公告日までの期間を最低3カ月程度は確保し、公告予定月を開示している中部整備局の先行事例を他の整備局などにも広げるよう求める。同省を含む全公共発注機関に対し、適正な工期設定の徹底も訴える。
 担い手確保は週休2日を柱とする働き方改革を重点的に話し合う。国交省には中部、四国両整備局が試行する土日閉所の完全週休2日制モデル工事の拡大を呼び掛ける。技能者の処遇改善を後押しするツールとして建設キャリアアップシステム(CCUS)の普及拡大も問題提起。直轄工事の大部分をCCUS義務化モデル工事の対象にするよう求める。
 生産性向上は現場の時間外労働を削減する観点から、新技術やインフラDXの実装を促進。施工の自動化を例示し、国交省には請負契約後、新技術を外部有識者委員会などの評価・承認を経てモデル実装していくような仕組みを提案する。
 公共工事で生産性向上やカーボンニュートラルなどの新技術にインセンティブを付与する場合、過度なコスト負担を助長する恐れがあると指摘。総合評価方式の入札加点に限らず工事成績評定での加点も妥当との考え方を示し、新技術の評価で運用の改善を求める方針だ。
 意見交換会の日程と会場は次の通り。
 △関東=5月16日、さいたま新都心合同庁舎2号館(さいたま市中央区)△関西=19日、シティプラザ大阪(大阪市中央区)△中部=23日、名古屋ATビル(名古屋市中区)△東北=25日、ホテルメトロポリタン仙台(仙台市青葉区)△中国=6月1日、メルパルク広島(広島市中区)△四国=3日、JRホテルクレメント高松(高松市)△北陸=6日、朱鷺メッセ新潟コンベンションセンター(新潟市中央区)△北海道=9日、ホテルポールスター札幌(札幌市中央区)△九州=13日、福岡国際会議場(福岡市博多区)。



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竹中工務店ら/透光性と断熱性両立のガラスパネル、来年販売へ

 竹中工務店とガラス加工を手掛ける新光硝子工業(富山県砺波市、新海伸治社長)は、透光性と断熱性を兼ね備えたガラスパネルを開発した。透光性と断熱性に優れた半透明の粒状素材「エアロゲル」をガラス板の間に詰めて、断熱性を保ちながら必要に応じた透光性を確保できる。ブラインド付き高性能ガラスを採用したオフィスと比較して10~20%のエネルギー削減を確認した。来年早々にも製品化し、販売を目指す。
 「エアロゲルガラスパネル」はエアロゲル層を透光板で固定し、両側をガラス板で覆っている。透光板から空気を通すことで、温度上昇により内部の空気が膨張しても、詰まった状態のエアロゲル層を維持できる。ペアガラスよりも断熱性能が高く、エアロゲル層を厚くすればトリプルガラスよりも高い断熱性が得られるという。透光性はエアロゲル表面に白色粒子を付着させることで調整が可能。可視光透過率9~35%、日射熱取得率15~40%に制御できる。
 全体厚み約45ミリのパネルを竹中工務店の北海道地区FMセンターに初適用し、有効性を確認した。価格はアルゴンガスを用いた高性能ペアガラスと自動開閉ブラインドとを合計した程度という。今後、従来品サッシに設置可能な同35ミリ~45ミリの製品を開発する。多様な建築に導入し、省エネルギー化や脱炭素の推進に貢献する。



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東北整備局/直轄河川の震災復旧・復興全事業完了、旧北上川河口部の堤防完成

 東日本大震災で甚大な被害を受けた宮城県石巻市の旧北上川河口部の堤防整備が完了した。地域の安全・安心を担う防災機能の向上とともに、水辺空間の利活用でにぎわいと憩いの場を創出。旧北上川河口部の工事が完成したことで、鳴瀬川と北上川の内陸部堤防整備を含め震災後に東北地方整備局が取り組んできた直轄河川工事は全事業を終えた。
 「旧北上川河口部復旧復興事業」は、両岸合わせて15キロ(左岸9キロ、右岸6キロ)を対象に実施した。堤防高は7・2~4・5メートル。海岸堤防と整合を図るとともに、津波や高潮の遡上(そじょう)を考慮し堤防高を決定した。川湊で栄えてきた歴史を踏まえ、右岸中央地区に堤防と一体で「かわまち交流拠点」を整備。地域の活性化につなげていく。着工は2013年1月、22年3月に工事が完了した。
 総事業費は1100億円。無堤防地区の築堤では地域の合意形成に向け、12年1~11月に町内会を対象に説明会を140回以上開催した。1800人余りから堤防高や利活用で意見を聞き整備計画に反映した。
 東北整備局と市の主催で23日に石巻市のマルホンまきあーとテラス(市複合文化施設)で開いた完成式には、冨樫博之復興副大臣、佐藤信秋、足立敏之両参院議員をはじめ国や県市、地元関係者ら100人が出席した。国土交通省の高村裕平官房審議官は「堤防の完成が復興の実感につながり、水辺が多くの皆さんに利用され親しまれる空間になることを強く期待する」とあいさつ。齋藤正美石巻市長は「地域の活性化に向けこれからが正念場だ。市民が安心して暮らせるよう引き続き努力していく」と語った。
 事業経過を報告した石田和也北上川下流河川工事事務所長は「地域の皆さん、学識者、測量・調査設計、工事関係者が一緒に悩み完成させた。堤防が地域の安全とにぎわいの礎になることを願う」と期待した。
 地域を代表し石巻市の街づくり事業を担う街づくりまんぼう代表の苅谷智大氏は「市民自らの手で誇りある場所として育て未来に引き継いでいく」と誓った。震災をきっかけに大学、大学院で災害を研究し、現在は建設コンサルタントで河川計画に携わる鈴木皓達氏は「この堤防は復興した証として世界に発信できる誇りだ」と述べた。
 堤防の完成を記念しかわまち交流拠点エリアでは、カヌーの乗船体験や子どもたちの遊び場、ものづくり体験ができる雑貨・ワークショップも出店。航空自衛隊松島基地所属のブルーインパルスによる展示飛行があり、多くの家族連れでにぎわった。



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2022年4月25日月曜日

大林組/大規模土工無人化へ実証開始、建機の遠隔操作や自動・自律運転

 大林組は大規模土工事の無人化に向けた現場実証を、福島県飯舘村での盛り土工事で始めた。これまで培った建設機械の遠隔操作や自動・自律運転の技術を集約。現場で試験運用し、安全性と生産性の向上を確認するとともに、大規模土工事で無人施工が可能かどうかを検証する。建設工事現場で使用する建機全体の自律運転化と、統合管理するプラットフォームシステムの構築・運用も視野に入れる。
 現場実証は福島県飯舘村で進む「令和2・3・4・5年度飯舘村長泥地区環境再生事業盛土等工事」(発注=環境省福島地方環境事務所)で行う。盛り土工31万3000立方メートルのうち自律・自動化施工数量は2万立方メートルを予定している。試験施工は6月まで行う。建機は遠隔操作バックホウ、自律運転キャリアダンプ、自動運転ブルドーザーを使う。建機の運用管理や工事データの活用でも議論を進める。
 土砂の積み込みは、トンネル工事現場で運用してきた「バックホウ遠隔運転システム」の適用範囲を拡張する。場内運搬はキャリアダンプの自律運転を適用し、土砂の敷きならしと転圧はブルドーザーの自動運転を生かす。
 1人で複数の建機を運用管理するためのプラットフォームも開発した。システム管理者がプラットフォームに作業内容を入力することで、複数の建設機械が連動して運転できるようになる。施工状況は監視モニター以外にパソコン画面上でも確認できる。当日の作業条件に合わせて作業場所や立入禁止区域を設定すれば、建機同士の事故や作業員との接触を防ぐ。
 工事データとして各施工段階の運行履歴データや出来形データを自動取得する。データは継続的に取得し、施工の進捗(しんちょく)や建機の稼働状態を管理し、施工計画を最適化する。GNSS(全球測位衛星システム)で建機の位置情報を把握。3Dレーザースキャナーで取得した周辺地形データと、建機を制御するマシンコントロール機能を活用して高精度な施工を行う。



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関西エアポート/関西空港新国内線エリア、秋開業へ工事着々

 関西エアポート(山谷佳之社長兼最高経営責任者〈CEO〉)は21日、大規模改修を進めている関西国際空港(大阪府泉佐野市など)の第1ターミナルのうち、今秋の開業に向けて急ピッチで工事が進む国内線エリアを公開した。国内線出発口を1カ所に集約するほか、保安検査場に最新機器を導入。店舗面積は従来の5倍に拡大する。施工は大林組が担当。
 同社では2025年大阪・関西万博をにらみ、昨年5月から「T1リノベーション工事」に本格着工。第2ターミナル(T2)を合わせ、国際線の旅客受け入れ能力を年間3000万人から4000万人に引き上げることを目標に改修を始めた。総事業費は約700億円。
 改修工事では国内線をターミナル中央部から南側に移転し、国際線を一体的に利用することで国際線の面積を25%拡大。スポットは現行の34カ所から39カ所に増やす。4階の保安検査場を増床し、3階出入国検査を集約。旧国内線エリア付近に商業施設を設けるなど国際線出発エリアの面積を60%増やす。
 国内線移転は改修工事の第1弾。既存のチェックインカウンター付近に保安検査場を設置し、南ウイング西側にコンコース(約140メートル)や商業エリア、ラウンジを増築した。商業スペースには飲食4店、物販2店が出店する。一般エリアには5店舗が入るフードコートを新設する。
 23年冬に国際線出発の中央エリア、25年春に国際線の保安検査場やラウンジなど主要部分が完成。残りの商業施設は26年秋の工事完了を予定する。工事全体の進捗(しんちょく)率は約36%。今秋開業部分は7割に達する。
 大林組工事事務所の清水俊彦所長は「航空機を止めず、旅客との接触事故がないよう作業員に徹底させている。フェーズ4までスパンは長く、これまでの工事の進め方をおさらいしながら工事を進めたい」とした。



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公共工事保証証書・保険証券電子化/国交省直轄で5月9日運用開始

 公共工事の履行保証や前払金保証の契約時に用いる保証証書や保険証券を電子化する新たな運用が、国土交通省直轄業務・工事で5月9日に始まる。受注者が保証証書などを発注者に提出する場合、インターネット上のシステムや電子メールの利用が可能になり、紙の原本を郵送や持参する必要がなくなる。当面は国交省直轄だけの運用になるが、ほかの公共発注者にも導入が広がる可能性がある。
 電子化対象は公共工事の保証・保証保険のうち「前払金保証(中間前払金含む)」と「履行保証(契約保証)」の二つ。保証事業会社と損保会社が発行する保証証書・保険証券に適用し、銀行が扱うものには適用しない。対象工事が比較的限定される「入札保証」は従来通りの運用となるが、将来的に電子化する方向で検討が進む見通しだ。
 北海道、東日本、西日本の保証事業会社3社は、電子データのプラットフォームとなるシステムをインターネット上に共同で構築している。受注者から契約申し込みを受けると電子証書をプラットフォームにアップロードし、受注者に保証契約番号・認証キーの情報を提供。その情報を受注者は電子契約システムなどを通じ発注者に提供し、発注者はプラットフォームにアクセスし電子証書を閲覧する。
 こうした一連の手続きの適用について、国交省は各地方整備局などに19日付で通知。前払金保証の保証証書は1日以降の契約案件を対象に原則適用するよう明記した。3月31日以前の契約案件でも契約書の規定を変更すれば適用できる。
 損保会社が扱う保険証券データのプラットフォームは現時点で存在せず、今後のシステム構築を検討中。当面はPDF形式で発行した保険証券データを電子メールで送付する暫定的な運用になる。



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中日本高速名古屋支社/東名阪リニューアル工事始動、初弾工事は大林組JV

 中日本高速道路名古屋支社は21日、東名阪自動車道リニューアル工事の第1弾となる蟹江IC~長島IC間の弥富高架橋(下り線)床版取り換え工事(愛知県弥富市)の現場を公開した。工事に伴う交通渋滞を回避するため高速道路の外側から3台の専用機材(揚重機)を使って資機材の搬入・搬出を実施。高速道路上に敷設したレール上に門型クレーンを前後に配置し、床版の撤去と新設を同時に行うなど新工法を導入し工期短縮に努めている。施工は大林組・本間組・加藤建設JVが担当。
 東名阪道蟹江IC~長嶋IC間は開通から46年が経過。老朽化や大型車の増加などで損傷が進んでいる。これまで応急的な対応を行っていたが、部分的な改修の繰り返しでは対処できないため抜本的に改修する。昨年5月に名古屋第二環状自動車道(名二環)名古屋西JCT~飛島JCTが開通し、工事中の迂回(うかい)ルートが確保できたためリニューアル工事に着手した。
 弥富高架橋(下り線)は橋長1950メートル、2車線。上部工形式は鋼3・4径間連続非合成桁×21連。工事では、延長約1・6キロ区間の老朽化したRC床版をPCa床版に取り換える。
 まず、2車線のうち外側の1車線(走行側)を約1・5メートル拡幅して取り換えた後、内側の車線(追い越し側)に着手する。拡幅するのは、将来の上り線改修時に、下り線を対面通行とすることで2車線分を一気に改修するため。
 弥富IC側(名古屋方面)と長島IC側(四日市方面)の2カ所に資材搬入用の揚重機、中間部に撤去した床版の搬出用揚重機を設置。工事区間の両方から中間部に向かって順次、施工する。撤去する床版(2メートル×5・5メートル)の重量は約7トン。安全に配慮したセンサー付きの無人台車に載せ搬出用揚重機まで運搬し、トレーラーに積み込む。1日当たり12枚の床版を撤去し順次、PCa床版に置き換える。新工法を導入したことで、当初は約30カ月だった工期が約20カ月までに短縮できるという。
 大林組JVが担当する工事名称は「東名阪自動車道(特定更新等)弥富高架橋(下り線)床版取替工事」。工期は2022年1月11日から23年12月まで。
 東名阪弥富JV工事事務所の北口雅也所長(大林組JV)は「初めての工法であり、施工手順を守るため作業員への周知に努めている。機械の維持管理も重要で、しっかり取り組んでいきたい」とコメント。
 中日本高速会社の福島邦夫桑名保全・サービスセンター所長は「東名阪道リニューアルのパイロット工事。この現場で渋滞の最小化、急速施工、安全性をさらに高めることに取り組み、今後に生かしたい」と話した。



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東京芸大/S・W造の国際交流拠点、前田建設で工事進む

 東京芸術大学上野キャンパス(東京都台東区)で国際交流スペースとなる施設の建設が進んでいる。基本設計を隈研吾建築都市設計事務所(東京都港区)が手掛け、前田建設が実施設計・施工を担当。鉄骨造と木造を組み合わせることで、建物の軽量化や工期短縮、施工時の騒音・振動抑制を図っている。枠組み壁工法(ツーバイシックス工法)の材料同士をビスなどで固定した構造部材「NLT」も床板の一部に採用した。22日に報道向け現場見学会を開いた=写真。
 施設は東京芸大が発注した。建物は地上5階建て延べ約1500平方メートルの規模。1、2階が鉄骨造、3、4階を鉄骨と木造の混構造にし5階を木造でつくる。2021年11月に着工し、22年11月に竣工予定。留学生や学生らが学びながら交流する場となる。
 現場は大学会館の跡地で、周辺では音楽学部を中心に授業を行っている。大学側の騒音などの懸念を踏まえ、前田建設が木造を取り入れることを提案。コンクリート打設などの作業を減らし、工事中の騒音や振動を抑えた。床板を設置してすぐに次の作業に移れるため、工期短縮にもつながっている。
 見学会は長く日本でツーバイ材の普及活動を行っているカナダ林産業審議会(ショーン・ローラー日本代表)が主催した。



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2022年4月22日金曜日

財務省/公共事業コスト縮減策要求、ECI活用やロット拡大を

 財務省は公共事業の効率化によるコスト縮減の観点で、発注方式の工夫や発注ロットの拡大、国庫債務負担行為(国債)の活用などの対応を促す。計画・設計段階の見直しがコスト縮減に大きく寄与することを背景に、施工者のノウハウを設計に生かす発注方式の工夫を通じ「限られた財源で多くの事業量が確保できる方策を国土交通省で検討すべき」と主張した。=2面に関連記事
 20日に東京都内で開いた財政制度等審議会(財政審、財務相の諮問機関)財政制度分科会歳出改革部会の会合で、社会資本のストック効果を最大化する事業執行の在り方の一例として提示した。
 施工予定者が設計を支援するECI方式など技術提案・交渉方式は、諸外国に遅れて2014年に導入されている。財務省はECI方式の活用による技術革新でコスト縮減を実現した米国のプロジェクトを例示する一方、日本では20年度に発注した直轄工事で技術提案・交渉方式の活用割合が0・1%にとどまるなど「実績はわずか」と指摘。同方式の工夫を含めた対応の検討を求めた。
 工事入札が不調・不落となった場合の対応方策でも、公共事業の効率化を念頭に置くよう注文した。例えば発注ロットの見直しは事業の効率化につながると評価。複数年工事の一括発注方式を採用している都市再生機構の事例を挙げ、発注ロットの規模拡大が施工性の向上や仮設備の合理化などの観点でコスト縮減効果があるとした。
 一方、見積もり活用方式の採用は「予定価格の増額を招く可能性が高い」と否定的な見解を示した。安易な予定価格の増額を防ぐため、見積もり活用方式の採用基準を設定するよう対応を要求した。
 国債活用は単年度ごとの入札手続きを省け事業期間の短縮に寄与する。直轄事業に比べ補助事業で活用が少なく、運用改善の検討を求めた。



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インフラ維持管理・更新費、予防保全で32%減/各省見通し本社集計

 政府の所管インフラに関し、維持管理・更新費の将来見通しが出そろった。事後保全の場合、1年間で必要になるメンテナンス費用は計29兆9011億円に上る。これを予防保全型のメンテナンスに転換すれば、31・9%減の20兆3579億円に抑えられる。政府は老朽インフラの増加が見込まれる中、コストの見通しを示すことで予防保全型のメンテナンスへの転換を加速したい考えだ。=2面に一覧表
 効率性や経済性を重視しながら適切にインフラを手当てしていく。見通しに対する実績調査などフォローアップの在り方も検討している。
 政府全体の見通しは、内閣府が公表した国土交通省など5省の推計データを基に日刊建設工業新聞社が集計。新型コロナウイルスの感染拡大で作業に影響が出ていた厚生労働省の「福祉施設」の推計が公表されたため、政府全体の見通しがすべてそろった格好だ。
 将来見通しの対象期間は、国交省が2019~48年度の「30年間平均」、厚労省の福祉施設(児童福祉施設など)は21~90年度の「70年間平均」など、省ごとにばらつきがある。複数のシナリオで推計している省もあるが、そのうち一つのデータを内閣府が抽出して整理した。前提条件が異なるデータを単純に足し合わせても、政府全体で特定の時期にかかるコストを正確に表すことはできない。ただ人口減少や老朽インフラの増加が将来的に避けられない中で「(メンテナンス費用の)規模感を読み解くきっかけにはなる」(内閣府政策統括官〈経済社会システム担当〉担当者)。
 省ごとの推計では、所管インフラの多い国交省のコストが最も高かった。30年間(19~48年度)の平均値で1年間のコストを試算すると、事後保全の場合約9・5兆円。予防保全の手法に転換すれば32%減の6・5兆円まで圧縮できるとした。30年後(48年度)の時点では年間で事後保全が12・3兆円、予防保全は6・5兆円。削減効果は47%を見込む。国交省は対象となる構造物の立地条件や施工条件によって施工単価が変動することを踏まえ、一定程度幅のある推計を公表していた。その中から内閣府が上限値を抜粋し提示した。
 農林水産省の漁港施設などは予防保全への転換で5割近くのコスト削減が可能な施設があった。各省は引き続き、点検を支援する新技術の開発や活用の促進、既存ストックの集約・再編・廃止などを組み合わせ、予防保全型のインフラメンテナンスを推進する方針だ。



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奥村組ら/安全帯フック不使用者、画像認識AIで自動検知

 奥村組と日立ソリューションズは、画像認識AI技術で墜落制止用器具(安全帯)のフック不使用者が自動検知できるモデルを埼玉県内の建築現場に導入し、有効性を確認した。AIモデルは事前に複数現場で収集した延べ6000件以上の画像を学習。現場のカメラ映像で親綱支柱や親綱、フックを検出し、フックが親綱にかかっていない不使用状態を自動判定する。現場では90%以上の精度で認識できることが分かった。
 奥村組では死亡災害の大半を占める墜落・転落災害の撲滅に向け、より効果的な安全対策としてシステムの共同開発を始めた。AIモデルの検証は昨年7月1日~1月31日に埼玉県内で施工している鉄骨建方中の建設現場で実施した。
 奥村組が映像データを提供し、日立ソリューションズがAIモデル構築と精度検証を実施。フック不使用者の判定フローやAI判定手法の検討、課題抽出と対応策の検討は両社で行った。カメラと対象作業員の距離が15メートル以内で人・物が重なっていない条件で検証した結果、高い精度でフック不使用者が認識できることを確認した。
 今後、フックの不使用状態が一定時間続いた場合にメールや警報機器で管理者、作業員に通知する機能を付加したシステムを構築。2023年から販売を開始する予定だ。パソコンで画像を共有できるため、管理者は遠隔地でも作業員の不安全行動を検知し、適切に管理できる。両社は墜落・転落災害の防止に大きな効果があると期待している。



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前田建設/昭和初期の洋館「甚吉邸」、茨城県取手市に移築・復元

 前田建設が茨城県取手市の自社施設で進めてきた、昭和初期の洋館・旧渡辺甚吉(じんきち)邸の移築、復元工事が完了した。当時最高水準の知見が詰まった歴史的な洋風住宅。東京都内にあった邸宅と車庫棟の取り壊しが検討されていたが、2018年から同社が引き取り保存プロジェクトに取り組んできた。21日にオープニングセレモニーを開き、関係者らが竣工を祝った。
 移築場所は取手市寺田5270、前田建設ICI総合センター里山ガーデン内。移築した建物は建築面積が256平方メートル(うち車庫棟23平方メートル)。木造2階建て延べ426平方メートル(同)の規模。高さ10メートル。
 名誉館長を務める藤森照信東京大名誉教授は「約50年前に雑誌で紹介した時に設計者の方から突然電話が来て話を聞きに行ったのを覚えている」とあいさつ。前田建設の前田操治社長は「完成した甚吉邸を見て感慨無量だ。建物を保存するだけでなく、そこから生まれる無形の価値にもこだわっていきたい」と述べた。
 邸宅は1934年、東京・白金に岐阜県出身の実業家・第14代渡辺甚吉が建てた。15~17世紀にイギリスで流行したチューダー様式を取り入れ、白い壁に木骨が露出したハーフティンバーと呼ばれる外観が特徴だ。日本の住宅文化に影響を与えた建築家である山本拙郎、遠藤健三、今和次郎の3人が設計や内装装飾を担当した。歴史的、社会的に価値が高いとして、解体計画が出た当時、研究者らの要望を受けた前田建設が移築を申し出た。プロジェクトには文化財復元に強みを持つ風基建設らが協力した。



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青森市/新アリーナプロジェクト起工、施工は大成建設JV

 青森市が計画する「(仮称)青森市アリーナ及び青い森セントラルパーク等整備運営事業」が起工した。大成建設が代表の青森ひと創りサポート(須藤茂代表取締役)が延べ1・2万m2のアリーナを整備。公園とともに運営・維持管理する。2024年3月末の完成を予定する。
 設計は隈研吾建築都市設計事務所・大成建設・川島隆太郎建築事務所JV。大成建設・藤本建設JVが施工する。敷地は浦町橋本ほかの旧国鉄青森操車場跡地(約5・2ha)。アリーナはRC一部S造3階建て延べ1万2068m2の規模。公園と一体的に整備・運営するため二つの官民連携手法を併用。アリーナにDBO(設計・建設・運営)方式、公園はPark-PFIを導入する。
 24年7月の開業を目指す。維持管理・運営期間は24年4月~39年3月の15年。契約額は107億7406万3520円(税込み)。



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2022年4月21日木曜日

内閣府/地域のスマートシティー施策実効後押し、KPI設定指針策定

 内閣府は地方自治体やコンソーシアムなど地域主体が取り組むスマートシティー施策の実効性向上を後押しする。施策の適切な評価を可能にするため、重要業績指標(KPI)の設定指針を策定した。スマートシティーのインフラとなるデータ連携基盤整備に対する国の交付金ではKPIの設定を要件としている。指針を提示することで適切なKPIの設定を促し、財政支援を受けやすくする狙いだ。デジタル技術で地方の豊かさを維持したまま利便性と魅力を高める「デジタル田園都市国家構想」の実現にもつなげる。
 内閣府は有識者会議を設置し、EBPM(証拠に基づく政策立案)の考え方に沿ったスマートシティー施策を評価する枠組みを検討してきた。その成果の一つとして地域向けのKPI設定指針をまとめた。
 指針では施策の評価に必要な「ロジックモデル」を策定する意義や手順を解説する。ロジックモデルは施策によって目指す変化や効果の実現に向けた道筋を示す体系図のこと。作成することで論理的に施策を立案することが可能になり、設計上の欠陥や問題点も発見しやすくなる。指針でモデルを構成する要素や完成イメージなどを提示した。
 ロジックモデルの各段階で適切な成果が出ているか確認するためにKPIを設定する。現行は地域によって評価指標が異なるため、都市間比較や国レベルで施策の進行状況を把握するのが難しいという。指針では、すべての地域が採用しなければいけない「必須指標」のほか、候補の中から適切な指標を選ぶ「選択指標」を明示。地域が独自に考案し設定する「任意指標」も設けられるとした。地域が抱える課題に応じて柔軟性を確保しながら、都市間の比較ができるよう一定の共通性を持たせる。
 KPIの設定は、政府の「デジタル田園都市国家構想推進交付金(デジタル実装タイプ2、3)」を受ける要件となっている。同交付金の財源として2021年度補正予算で200億円を確保。タイプ2、3はデータ連携基盤を活用し複数のサービスで実用化を目指す取り組みを対象とする。
 当面は指針をスマートシティー事業の推進や交付金事業の参考資料として活用してもらう。23年度以降は、指針の課題整理や活用事例を収集し、内容をブラッシュアップしていく方針だ。



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清水建設/建築確認申請効率化へ、BIM活用し中間検査を遠隔化

 清水建設はBIMデータを活用した建築確認申請業務の効率化で、新たに中間検査が遠隔化できるシステムを開発した。構造部材の検査が対象。建築確認で利用したBIMデータに、AR(拡張現実)技術やリアルタイム映像伝送技術を融合。タブレット端末に表示される検査に必要な画像・書類データを元に、部材の形状や性能情報の整合確認などが行える。画面情報は遠隔地と共有できる。
 同社は日本建築センター(BCJ)とBIMデータを使った建築確認申請業務の効率化に取り組んでおり、これまで確認申請の事前審査に利用できる建築確認システムを開発済み。
 第2ステップとなるリモート中間検査システムは、BIMデータをリアルタイムに3D可視化するソフト(Unity Reflect)、AR技術を活用した確認検査システム、AR画像を遠隔地に送るクラウド映像転送システムで構成。書類検査はクラウド型のプラットフォーム「BIM360」に保存されている報告書類を活用する。部材の形状・性能情報の整合確認や施工状況確認、書類検査を支援する機能を持つ。
 形状情報は部材のリアルタイム画像にBIMの3D画像を重ね合わせたAR画像で確認。性能情報はAR画像の特定部材をタップするだけで性能に関するBIM属性データと検査報告書データが表示され、容易に整合を確認できる。施工状況は異なるアングルで複数撮影したデジタル画像を解析・統合し生成する3Dモデルをリアルタイム映像に重ねて確認する。
 中間検査に必要なデータがすべて表示され、設計者の検査対応業務の効率化と検査員の検査の確実性が向上する。遠隔地でも画面共有できるためリモート検査が可能になる。
 同社は埼玉県三郷市で施工中の三愛会総合病院建設工事で従来の中間検査後にシステムを使った任意の中間検査を実施。有効性を検証した。今後は完了検査の遠隔化向け、建築仕上げや設備に対応したシステムの構築を急ぐ。



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京セラ/鹿児島川内工場に国内最大建屋、設計は東畑・施工を錢高組

 京セラは20日、鹿児島川内工場に国内最大の建屋となる「第23工場」を建設すると発表した。有機パッケージや水晶デバイス用パッケージなど、半導体部品の増産に伴う生産スペースの確保が狙い。5月に着工し、2023年10月に操業を始める。建物の設計を東畑建築事務所、施工を錢高組が担当する。投資総額は約625億円。
 同日、鹿児島県薩摩川内市と立地協定を締結した。建設地は薩摩川内市高城町2310の10の工場内。建築面積に1万2380平方メートルを充て、構造規模がS造6階建て延べ6万5530平方メートルの建物を建設する。新工場での24年度の生産は約330億円と計画。鹿児島川内工場での有機パッケージの生産能力は現在の約4・5倍となる見込みだ。
 有機パッケージは、5Gの本格化で基地局やデータセンター向けの需要が拡大。ADAS(先進運転支援システム)や自動運転技術の高度化で、センサーカメラや高機能プロセッサ向けの需要の伸びも見込まれている。水晶デバイス用パッケージも情報端末、家電、自動車、産業機械など多様な機器に搭載され、今後も市場拡大が期待されており、市場動向を踏まえて生産増強を図る。



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首都高速会社/日本橋地下化事業、本体工事初弾の入札手続き開始

 首都高速道路会社は20日、都心環状線の日本橋区間地下化事業(神田橋JCT~江戸橋JCT間、約1・8キロ)で、本体工事の初弾となる「常盤橋地区トンネル工事」の入札手続きを開始した。周辺エリアで計画される再開発事業と一体で地下化する同工事では、新たな総合評価方式として「技術選抜設計承認方式」を導入。2024年4月に工事契約を締結する予定だ。=4面に詳しく
 工事案件は「(改負)高速都心環状線(日本橋区間)常盤橋地区トンネル工事」。延長約340メートルの開削トンネル工事や一石橋の架け替えなどを発注する。
 難易度の高い工事を円滑に進めるため、新たな総合評価方式を導入。入札参加者に技術資料や工事内訳書などの提出を求め、技術審査・評価(1次)を行う。技術評価点が高い2者を段階選抜者として選び、実施設計を契約する。設計成果などを踏まえ技術審査・評価(2次)した上で入札し、施工者を決める。地下化工事は35年までに完了し、既設高架橋を撤去。40年の事業完了を目指す。



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東京海上日動ら14者/防災コンソーシアム始動、5テーマで分科会

 東京海上日動が発起人となり、建設コンサルタントなど民間企業ら14者で組織する「防災コンソーシアム(CORE)」が本格始動した。防災・減災を四つの領域に分けた上で、災害に強い社会の実現に向けて5テーマを分科会で検討する。20日に東京都内で開いた事業概要発表会で、あいさつした東京海上日動の広瀬伸一社長は「参加法人の英知、技術、データを連携し、価値あるソリューションを提供していきたい」と意気込みを語った。
 COREは防災・減災の取り組みを民間主導で加速、推進することを目的に2021年11月に発足した。多様な業界の企業や団体がパートナーシップを組むことで、各法人が持つ技術やデータを活用した防災・減災事業の共創を図り、強靱な社会構築を目指す。
 分科会は▽リモートセンシング活用によるインフラ維持管理ソリューションの創出▽避難につながる災害の事前予測▽リアルタイムハザードマップの開発▽デジタル技術を活用した被害調査、復旧・復興の迅速化▽オールハザードのリスク評価とまちづくり・防災対策への活用-の5テーマ。
 発足メンバーは▽I-レジリエンス▽AlgoNaut▽NTT▽応用地質▽河川情報センター▽JR東日本▽セコム▽東京海上ディーアール▽東京海上日動▽日本工営▽パスコ▽ボストンコンサルティンググループ▽三菱電機▽ウェザーニューズ-の14者。発足メンバーに加え、3月時点で30者が参画している。



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2022年4月20日水曜日

小林史明デジタル臨調事務局長/試掘工事の自治体間ルール統一に意欲

 政府のデジタル臨時行政調査会(デジタル臨調)の小林史明事務局長(デジタル副大臣兼内閣府副大臣)は18日、地下工事の前段に行う試掘工事に関し、地方自治体ごとに設定しているルールを統一化する考えを示した。東京都では事故防止のため、地下埋設物から50センチ以内の近接作業は、人力で作業しなければならない。試掘時も作業員が手掘りで行うため、時間やコストがかかっている。
 小林事務局長は「ほかの自治体では違うルールがあるかもしれない。自治体ごとに異なることで非効率なことが起きるのは問題だ」と指摘。規制改革の議題の一つに取り上げる方針だ。
 小林事務局長は同日、東京都大田区内にあるジオ・サーチ(東京都大田区、雑賀正嗣社長)の技術開発センターを視察し、地下インフラの点検技術を体験した。同社の冨田洋代表取締役会長が、AR(拡張現実)ゴーグルによる地下埋設物や数値化された橋梁床版内部の劣化状況の確認技術を紹介。時速80キロで走行し地下埋設物や橋梁床版内部のデータを取得する「スケルカー」、手押しの「スケルカート」の性能もプレゼンテーションした。
 体験を終えた小林事務局長は「橋梁の点検は目視と打音で行うが、スケルカーのような技術を使えば一気に点検を完了できる」と利点を確認。目視や打音点検の規制改革につなげる考えを示した。同社の技術に対し「応用すれば河川堤防の点検などにも使える」と評価した。
 同社からは試掘時の課題として都の「50センチルール」が挙げられた。デジタル臨調では、デジタル社会の実現に向けた構造改革の原則を設定。試掘に関する課題は、アナログの手法から転換する「デジタル完結の原則」、国や自治体間のルールやシステムのばらつきを解消する「相互運用性確保原則」に適合する。地中データを取得できる技術を活用すれば、地下埋設物の状況がすぐ分かり試掘時の安全性が向上する。人力作業の規定を撤廃し、最初から重機を使用できる可能性もある。



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竹中工務店、リバスタ/位置プラスとビルディ連携、現場のDX加速

 竹中工務店と施工管理サービスを手掛けるリバスタ(旧イーリバースドットコム)が建設現場のDX推進サービスで販売提携も視野に共同開発に乗り出した。初弾として竹中工務店の位置プラスシリーズの業務効率化アプリ「高車管理」と、リバスタが提供する「Buildee(ビルディ)」の作業間連絡調整サービス「調整会議」を機能連携する。相互の利点を生かした利便性の高いサービスを来春にも提供を始める。
 位置プラスは発信機(ビーコン)などのIoTデバイスで現場の人・モノの位置情報を把握する「位置認識プラットフォーム」と、収集した情報で作業所管理を効率化する業務アプリで構成する。「高車管理」「進捗(しんちょく)管理」「位置プラス探(たん)」「レンタル品管理」のアプリを開発済み。竹中工務店グループの朝日興産が販売を手掛け、比較的大規模な現場で利用されている。
 高車管理は位置情報と工事情報を連携し、高車の位置や予約状況がモバイル端末などで把握できる。ワンクリックで予約が取れる利便性と、現場全体の予約率を確認し稼働率を向上できる点が好評を得ている。
 一方、リバスタのビルディは施工管理の基本サービスで「調整会議」「労務安全」「入退場管理」などのサービスを提供している。作業打ち合わせや安全管理、予定調整、巡視、実績報告などを効率化する「調整会議」は汎用(はんよう)性が高く、建築・土木や工事規模を問わず幅広い現場で利用が進む。
 共同開発では両機能の利点を生かしたシステム間連携を行う。大規模現場の高車に特化した「高車管理」では、細かい時間単位で各種機材が予約できる機能や高所作業車作業計画書の作成・出力機能がない。システム連携でこうした機能を持つ「調整会議」が補完する。高車管理に使う場合、位置が分からず予約調整や予約登録に手間がかかる「調整会議」の課題は「高車管理」でカバーする。
 ゼネコン180社で大小幅広く利用されるビルディを窓口とし、大規模現場に利点がある高車管理をオプションアプリとして提供する予定だ。ユーザーが必要なシーンで選べる機能を充実することで利便性の向上につなげる。両社は他の機能連携や新たなサービス提供、販売提携も視野に協業関係を強化していく。



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KDDI、千葉県銚子市ら/洋上風力発電設備、ドローンで高精度点検確認

 KDDIと関連会社KDDIスマートドローン(東京都港区、博野雅文社長)、千葉県銚子市の3者は18日、ドローンを使った洋上風力発電設備の高精度点検の実証実験に成功したと発表した。銚子市の沖合にある洋上風力発電設備を対象にドローンで高精度画像を撮影。損傷状態をAIで分析し、リポートを自動作成した。KDDIでは既に陸上風力発電設備向けのサービスを始めており、今後は洋上風力向けの展開を目指す。
 銚子市の沖合約3キロには、東京電力が設置した「銚子沖洋上風力発電所」(出力2400キロワット、施工・鹿島)がある。この設備を借用し、高精度点検の実証実験を実施した。特に自動飛行で船舶に離着陸することに成功。洋上でも地上と同様の点検が可能になる。
 画像解析ではKDDIの持つ画像解析技術を活用し、4方向から撮影した風車のブレード画像をAIが自動で解析。損傷箇所を抽出した。写真を含めた報告書を自動作成するなど、大幅に省力化が図れた。実用化できれば専門技術が必要で危険性も高い洋上での作業を最小限にできる。
 銚子市の沖合は国の再エネ海域利用法に基づく洋上風力発電の「促進区域」に指定され、三菱商事グループが最大出力約39万キロワットの洋上風力発電事業を計画中。施工は鹿島とバンオード(オランダ)の日本法人によるJVが担当する予定だ。KDDIではこれから始まる洋上風力の建設もにらみながら、引き続き銚子市や銚子市漁業協同組合、銚子商工会議所が共同で設立したオフショアウインドサービス(C-COWS)とも連携し実用化を図っていく方針だ。



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四国整備局/直轄砂防堰堤が完成、砂防ソイルセメント堰堤で高さ日本一

 四国地方整備局四国山地砂防事務所が、2011年7月の台風6号に伴う豪雨で被害を受けた高知県北川村の奈半利川中流域の支川・大谷川に整備してきた砂防堰堤が完成した。平鍋ダム上流に3基のソイルセメント堰堤を設置。渓流内に堆積し流出の恐れのある土砂約12万立方メートルの全量が捕捉可能となる。3基のうち大谷川第3号堰堤は堤高29・0メートル。中部地方整備局越美山系砂防事務所の高地谷第1砂防堰堤(岐阜県揖斐川町、堤高27・0メートル)を抜き、国内で最も高い砂防ソイルセメント堰堤となる。
 台風6号では、北川村の平鍋観測所で最大24時間雨量798ミリ、連続雨量1067ミリを記録した。平鍋地区では深層崩壊が発生し、約30万立方メートルの土石流が標高710メートルの崩壊源頭部から標高146メートル(被災時の貯水位)の平鍋ダム貯水池へ一気に流下した。中山間地域の生命線である国道493号が寸断。土石流で生じた津波のような波が平鍋ダムを越流し、洪水吐きゲートが機能喪失した。
 高知県からの要望を踏まえ、11年度に緊急的な対策に着手。12年度から奈半利川水系直轄特定緊急砂防事業として、土砂災害が発生した地域の災害防止対策を進めてきた。
 大谷川第3号堰堤は深層崩壊跡の崩壊しやすい地質の地盤を約18・6メートル掘削し施工した。堤長は91・0メートル。岩田地崎建設が施工を手掛けた。第1号堰堤、第2号堰堤、工事用道路などの施工は同社のほか、武内建設と高陽開発、ミタニ建設工業、高大建設、関西土木が担当した。
 21年度に計画した事業が終了し、整備した砂防堰堤を高知県に移管する。24日に完成式典を開く。



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TSMC熊本工場、4月21日着工/菊陽町と立地協定締結/1兆円プロジェクト始動

 熊本県で投資額約1兆円の民間プロジェクトが動き出した。半導体受託生産最大手の台湾積体電路製造(TSMC)の子会社JASMの堀田祐一社長は19日、同県菊陽町の後藤三雄町長と熊本市内で企業立地協定を締結した。同町原水の第二原水工業団地(用地面積23・1ヘクタール)に建築面積7万2208平方メートルの半導体素子製造工場を建設する。21日に着工し、2024年12月の操業開始を目指す。
 ホテル熊本テルサで行われた調印式には、蒲島郁夫知事も同席。両者の調印に立ち会った。
 TSMCによる事業には、ソニーセミコンダクタソリューションズ(神奈川県厚木市、清水照士社長)とデンソーが出資。投資金額は約86億米ドル。レート換算で1兆円を超える。工場での新規雇用従業員数は1700人を予定している。
 建設地では昨年8月から7月末までの工期で鹿島が施工する造成工事が進行中。並行して建設する建物は工場本棟、オフィス棟など複数棟で構成する。
 調印式で堀田社長は「九州、熊本が将来、世界の一大半導体生産地域になる可能性がある」とし、その一翼を担うことに意欲を示した。蒲島知事、後藤町長は引き続き工場建設を全面的に支援するとした。
 政府はTSMCの工場建設に対し、改正5G促進法に基づく最大2分の1の補助を行う予定。県、町も道路や鉄道のインフラ整備、最寄りのJR原水駅前の区画整理など新工場の受け入れ体制整備を進めていく。



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2022年4月19日火曜日

万博協/「いのちの輝き」テーマに8パビリオン、基本計画具体化へ

 2025年日本国際博覧会協会は、「いのちの輝き」をテーマに8人のプロデューサーが八つの分野に関して大阪市此花区の博覧会(大阪・関西万博)会場で表現するパビリオンの基本計画を策定した。立方体を山のように積み上げたパビリオンや、転用可能な素材を活用した循環型の建築、森に溶け込むような大屋根を持つ建築などを展開。プロデューサーがそれぞれ建築家などとチームを組み、パビリオンを具体化する。
 18日に東京都内で開かれたイベントで8人のプロデューサーが基本計画を発表した。
 8テーマのうち「いのちを知る」分野は生物学者の福岡伸一青山学院大学教授が担当。パビリオンは「よどみの建築」と題し、細胞膜に覆われたようなデザインとする。福岡教授は「建築材料が集まり、一時的に形を作り、分解されていく『動的平衡』を表現する」と説明した。チームには建築家として橋本尚樹氏(橋本尚樹建築設計事務所主宰)が参画している。「いのちを育む」はアニメーション監督の河森正治氏が担う。2・4立方メートルのユニットを積み上げ、山や遺跡のようなパビリオンを作る。海水や海産バイオマスを原料とする環境配慮型コンクリートパネルを活用。河森氏は「建築を通して環境を回復する」と説明した。建築デザイン・展示計画の担当として小野寺匠吾氏(小野寺匠吾建築設計事務所)がチームに携わる。
 映画作家の河瀬直美氏の「いのちを守る」のテーマでは「記憶の建築」を建築コンセプトとし、森の中の映画館を表現する。河瀬氏は「昔からあったかのような映画館をつくり、その中で新しい映画館の有り様を模索したい」と語った。
 「いのちをつむぐ」は放送作家の小山薫堂氏が食の未来を見つめるため、次代のスーパーマーケットをテーマとする。転用可能な素材を活用しパビリオンを整備する。「パビリオンの中は一方通行で本のページをめくるように10の空間を進んでいく」と説明した。建築デザインとして隈研吾建築都市設計事務所が参画。
 「いのちを拡げる(ひろげる)」は石黒浩大阪大学教授が担当。ロボットに宿るいのちなどを考える。石黒教授は「ロボットと人間の境界がつかなくなる空間を見せていきたい」と述べた。アーキテクチャルディレクターとして、建築家の遠藤治郎氏(SOIHOUSE代表)が参画している。音楽家の中島さち子氏は「いのちを高める」を担う。創る喜びを集合・循環させた遊び場「クラゲ館」を構想する。「未来を自分たちで作っていけることを感じてもらえるといい」と語った。建築デザインとして小堀哲夫氏(法政大学教授、小堀哲夫建築設計事務所)が参加する。
 メディアアーティストの落合陽一氏は「いのちを磨く」をテーマに、膜のように湾曲する鏡面の外観を持つ変形建築を目指す。落合氏は「実際に行くに足る異質な空間とする」と語った。クリエイターチームには建築設計事務所のnoiz、乃村工芸社が参加している。宮田裕章慶応大学教授は「いのちを響き合わせる」を担う。森に溶け込むような不定形の大屋根を構築する。宮田教授は「屋根も壁もなく開きながら世界とつながる建築。その中でデジタルにつながる場をつくる」と説明した。建築デザインはSANAAが担当している。



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国交省有識者会議/インフラメンテ提言議論、地域インフラ「群」で再生へ

 2012年12月に中央自動車道で発生した笹子トンネル天井板落下事故を教訓としたインフラ老朽化対策の取り組みを次のステージに進めるため、国土交通省の有識者会議でインフラメンテナンスの今後の在り方を巡る議論が始まった。人員や予算が不足する市町村などでインフラの安全性や信頼性が十分に確保されていないという危機感を背景に、広域的なインフラを総合的で多角的な視点で捉える「地域インフラ群再生マネジメント(仮称)」への転換を打ち出す方向だ。
 今後の在り方に関する提言を社会資本整備審議会(社整審、国交相の諮問機関)・交通政策審議会(交政審、同)技術分科会技術部会で秋ごろに取りまとめる予定。同部会傘下の「社会資本メンテナンス戦略小委員会」(委員長・家田仁政策研究大学院大学教授)の会合が18日に開かれ、国交省が提言の骨子案を説明した。
 骨子案では個別施設の維持や補修・修繕、更新、集約・再編、新設を適切に行う一方、複数・広域・他分野のインフラを「群」と捉え、地域全体として必要な機能を確保するような方策が必要とした。多様な主体による「総力戦」の実施体制の整備も訴える。
 市町村などでメンテナンスの生産性向上が不可欠と指摘。民間活力や新技術の活用も念頭に必要な組織体制を構築し、今後求められる技術力を明確化し伝承する必要もある。こうした課題を踏まえた具体的施策を提言で例示する予定だ。
 同日の会合で吉岡幹夫技監は13年を「社会資本メンテナンス元年」と設定してからの10年を振り返り「施設点検は一巡し施設の現況はおおむね把握できた」などと成果を語った一方で「自治体は人員・体制面で厳しい」と現状を評価した。
 家田委員長は14年に社整審の道路分科会基本政策部会が公表した提言「最後の警告~今すぐ本格的なメンテナンスに舵を切れ~」に触れ、「当時の緊迫感、緊張感が薄れてマンネリになっていないか。もう一度、緊張感を作り直さなければ」と強調。昨年7月の静岡県熱海市の土石流災害を念頭に、盛り土のような構造物もメンテナンス対象になり得るとして「われわれが気が付いていないところにも注意すべきものがあるかもしれない」と指摘した。



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建ロボテック(香川県三木町)/鉄筋結束ロボが中小企業庁長官賞受賞

 建設現場向けロボット開発ベンチャーの建ロボテック(香川県三木町、眞部達也代表取締役兼最高経営責任者〈CEO〉)が開発した鉄筋結束ロボット「トモロボ」が第34回中小企業優秀新技術・新製品賞(りそな中小企業振興財団ら主催)の一般部門で中小企業庁長官賞を受賞した。市販の手持ち電動工具を搭載したロボットで、鉄筋工事の結束作業を自動化。職人が繰り返しの単純作業から解放され、高度な技能が必要とされる作業に集中できる。
 同社は、建設工事の単純作業を人の代わりに行うロボットが人と一緒に働くことから「協同型ロボットソリューション」と命名した。鉄筋結束トモロボはその一つ。建築工事が中心となる径10~16ミリの細径の鉄筋結束に対応したタイプに加え、土木工事やインフラ工事に使われる径19~29ミリに対応した太径鉄筋結束トモロボの二つのタイプを提供している。
 2020年1月の発売から2年で累計44台を販売し、稼働実績は国内で100件以上に上る。眞部CEOは今回の受賞を受け、「労働人口減少や毎日繰り返される過酷な環境下での作業など、建設産業が抱える大きな課題解決のための取り組みを知ってもらえると期待している」とコメントした。「ラインアップを拡充し、より多くの方の生き方をより良くしたい」との考えも表明。建設工事28業種全体の省力化に寄与できるロボット開発に力を注ぎ、魅力ある建設現場の実現を目指す。



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エイト日技/津波避難体験システム、VRで疑似体験・防災教育に活用

 エイト日本技術開発はVR(仮想現実)デバイスを活用した「津波避難体験システム」を開発した。実在する街をデジタルツインとして再現し、仮想空間上で津波が発生した状況を疑似体験できる。防災教育や合意形成のツールとしての活用を想定し、同社が展開する他の防災・減災サービスとのパッケージ化も検討する。
 今後の展開について同社は「日々リスクの形は変化していくものと考えており、柔軟に対応したい」とし、火災など津波以外の災害リスクに対応できる機能も付加していく考えだ。小谷裕司社長は「VRは多方面で利用可能な技術。スピード感を持って開発に取り組む」としている。
 同システムは、同社の技術顧問を務める中央大学の樫山和男教授と共同開発した。ドローンによって撮影した写真から地形や建物などの3D形状を復元し、シミュレーションで得た対象地区の津波浸水状況と住民の避難行動の時系列変化を重ね合わせることで、津波浸水時の避難状況をリアルに再現できる。
 同社では以前から津波浸水・避難シミュレーションシステムを開発していた。東日本大震災時で沿岸部を中心に甚大な津波被害を受けたことをきっかけに、今後予想される南海トラフなどの巨大地震の発生に向けてVRによるシステム開発に取り組んだ。地域住民の防災・減災意識の高揚につなげる狙いだ。
 自然災害へのソフト対策として、地方自治体を中心にハザードマップの活用が進んでいる。しかし通常の紙によるハザードマップでは災害時の状況をリアルにイメージしづらく、刻々と変化する周囲の進展状況も把握できないため、3Dモデリングなどを通じたリアルな避難シミュレーションのシステムが求められていた。



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東京都/既設道路橋バリアフリー化加速、エレベーター新設など

 東京都が河川や線路をまたぐ道路橋のバリアフリー化に向け、エレベーターなどを新設する。地元自治体や関係機関との検討、調整が完了次第、整備に入る。昇降機の設置場所は、都道やほかの公有地などを想定。道路橋の周辺開発と一体となった設置の方法も検討する。バリアフリーの取り組みを加速させ、高齢者や障害者を含め誰もが安心して移動できる道路空間を創出する。
 既設道路橋のバリアフリー化は費用と時間がかかるため、これまで十分に対応できていなかった。こうした状況を受け、都は「都道における既設道路橋のバリアフリー化に関する整備方針(案)」を策定した。都道にある約1200橋の中から、整備の優先度が高い▽両大師橋(台東区)▽新神谷橋(北区~足立区)▽隅田川大橋(中央区~江東区)▽青砥橋(葛飾区)▽丸八橋(江東区)▽佃大橋(中央区)-の6橋を選定した。
 6橋はいずれも河川か線路をまたぐ構造。河川敷などから道路の位置への移動は階段のほか、急勾配のスロープ、延長の長い緩い勾配のスロープとなっている。エレベーターを都道やほかの公有地などに設置。道路橋の周辺開発と一体となった設置も検討する。歩道の通行を妨げる場合は、スペース確保のため既設階段の付け替えや撤去も想定している。
 都は整備方針案に対する都民の意見を29日までメール(S0000407@section.metro.tokyo.jp)などで受け付けている。5月末に取りまとめを予定している。



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2022年4月18日月曜日

都道府県発注工事、CCUS評価35団体に/地方企業の動機付けへ

 都道府県発注工事で建設キャリアアップシステム(CCUS)の登録状況などを企業評価に活用する取り組みが広がっている。工事成績評定で加点するモデル工事や、総合評価方式での加点などインセンティブ措置を導入すると表明した都道府県は3月末時点で35団体に達した。CCUS登録率が低い傾向にある地方の建設会社にとって動機付けになるとして、国土交通省は残る団体への働き掛けを強化。2022年度内にも全都道府県で企業評価の導入を目指す。
 企業評価の導入表明は昨年3月末時点で21団体と全都道府県の半数に満たなかった。この1年で14団体が新たに導入を決定。残りの12団体も導入を検討している段階にある。
 評価方法別に見ると、22年度中に導入予定の団体も含め、モデル工事など工事成績評定での加点が19団体、総合評価方式での加点が18団体、入札参加資格での加点が9団体、カードリーダーなど費用補助が10団体となっている。
 建設業振興基金がまとめた2月末時点のデータからは、地方部でCCUS登録が伸び悩む現状が読み取れる。建設業許可業者のうち登録業者の割合は全国平均で19・8%。都道府県別では登録率が高い順に▽宮城県29・2%▽東京都25・2%▽千葉県24・6%▽神奈川県24・0%▽広島県23・5%▽愛知県23・3%-と続く。
 一方、登録率が低いのは▽和歌山県9・0%▽奈良県11・5%▽滋賀県11・7%▽大分県13・5%▽長崎県13・7%▽高知県13・9%-など。地域ブロック内で比較すると、中核となる都市を抱える都道府県での登録率が高い傾向にある。
 国交省は公共工事全体でCCUSの活用を促すため、全国8ブロックで都道府県・政令市や建設業団体が参加する「ブロック別CCUS連絡会議」を昨年9月以降に設置。初会合では各自治体の取り組み事例や検討事項で意見交換し、自治体関係者や地域の建設業者に参考にしてもらう目的で直轄モデル工事などの現場見学会も順次実施した。6月以降に開く第2回会合で現場見学会などを踏まえた意見や論点を整理し、各都道府県の今後の取り組み方針を議論する予定だ。



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建築学会・田辺新一会長に聞く/CN対応加速、産業革命匹敵する動きに

 日本建築学会がカーボンニュートラル(CN)への対応を加速している。昨年7月に脱炭素都市・建築タスクフォース(TF)を立ち上げ、多岐にわたる分野で議論を深めてきた。国連の「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」が最新の報告書を発表するなど国際的な動きも進展しており、日本の建築界による対応は必須の情勢だ。同学会としての今後の取り組みを田辺新一会長に聞いた。
 --CNへの認識は。
 「菅義偉前首相が2050年のCNを目指すと発言して以降、雰囲気がガラッと変わった。昨年4月には温室効果ガスを30年度に13年度比で46%削減する目標が出された。相当難しいが、先進国に残っていけるかどうかの目標値となる。材料も含めると排出量のうち4割くらいを住宅・建築部門が占めている。われわれがゼロにしないとCNは実現できない」
 「IPCC第3作業部会の第6次評価報告書(要約版)では、25年までにピークアウトさせないといけないと言っている。あと3年しかない。台風や豪雨など今まで考えられないような災害が起きており、もっと増える可能性がある。後の世代に大変な社会を引き継ぐ訳にはいかない」
 --この1年の活動は。
 「TFで問題点を洗い出して3月にシンポジウムを開いた。課題設定が明確になった。とにかく裾野が広い。コンクリートや鉄など材料の製造にエネルギーが使用されている。地震対策で堅固な建物にすると材料が増えるように、構造との両立も課題だ。施工での排出もゼロにしていかなければいけない。運用時の二酸化炭素(CO2)排出量は株式市場で評価される。構造も材料も金融にも関係する」
 「私自身は、ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)を提案してきた。CNにとって絶対に必要だが十分ではない。現在は運用の割合が大きいが、ZEB化していくと、運用の割合が減り材料や施工、解体後の廃棄が重要になってくる」
 --今後に向けては。
 「4月に特別調査委員会を立ち上げた。構造や環境の先生にも入ってもらった。ワーキンググループ(WG)で分野ごとに継続して議論していく。秋の大会で総合研究協議会を開く予定だ。耐震と防火に合わせて、省エネ・再エネは必須のものだ。ただ既存建築への対応は相当難しい。我慢を強いるのではなく、効率を高める良いイメージにしていく必要がある。正しいデータを提供して社会をCNに向けていくことが役割だ」
 「産業革命によって建築物は高層化し、冷房や照明、エレベーターなどさまざまな設備が取り入れられた。快適さを保ちながらCNを実現していくには、産業革命に匹敵する革命が求められる。再開発などは、エネルギー効率が悪い建築物を置き換えたり改修したりする発想に立って進めるべきだろう。建築はCNに貢献できる。若い人は自分の仕事が社会貢献につながると自信を持って取り組んでほしい」。



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清水建設/熊本地震で全倒壊、阿蘇神社楼門保存修理が順調

 熊本地震で全倒壊した国指定重要文化財「阿蘇神社楼門」(熊本県阿蘇市)の保存修理工事が清水建設の施工で順調に進んでいる。2階屋根部の骨組み(小屋組み)までほぼ仕上がり、出来高は7割を超えた。9月の再上棟、2023年12月の完成を見込む。
 阿蘇神社は江戸時代末期に造営され全国に約500の分社がある。16年4月16日に発生した熊本地震では、日本三大楼門の一つと言われる楼門をはじめ、国指定重要文化財6棟が甚大な被害を受けた。
 清水建設は文化財建造物保存技術協会の設計・監理の下、1期工事(16年10月~19年3月)で楼門の解体保管・調査と5棟の部分修理を行った。全倒壊した楼門から約1万1000点の部材を回収。極力再利用することを前提に分類し、部材の補修と代替部材の製作を進めた。再利用率は72%に達している。
 楼門を復元する2期工事は19年4月にスタート。施工ヤードを覆う素屋根を架設し再築に取りかかった。20年7月に基礎部、21年4月に1階の柱と梁、同年11月に1階小屋組みを順次仕上げ、3月末までに約8000点の部材を再築した。
 保存修理工事は既存部材の骨組みを復元しつつ、耐震鉄骨を骨組みの中に納める難工事となる。耐震鉄骨と骨組みの干渉部では、既存部材を必要最小限の移動にとどめ、新たな組み合わせで解消することが原則。荷重から解放され変形した保管部材は、加力して元の組み合わせを実現することを基本に対応している。
 地震で全倒壊した国指定重要文化財の保存修理工事は極めて珍しく、阿蘇神社の楼門を含めて数例しかないという。



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静岡県沼津市/沼津南一色線整備、道路建設と古墳保全活用を両立

 静岡県沼津市は、都市計画道路沼津南一色線と高尾山古墳の整備スケジュールを公表した。本年度は準備工事を進め2023年度に橋梁工事に着手し、前後区間も含めた約1・1キロを26年度以降に暫定2車線で供用する。その後、トンネル工事に着手し令和10年代前半(28~33年度)の完成、4車線供用を目指すとした。並行して高尾山古墳を史跡公園として整備するための計画も策定する。道路建設と古墳の保全・活用を両立し、周辺部も一体的な空間として整備する全国的にも珍しい事業がいよいよ動きだす。
 東日本で最古級、最大級の規模と判明した高尾山古墳は全長64メートル、幅34メートルの前方後円墳。整備を進めていた沼津南一色線のルート上で発見されたため、市は東側2車線を橋梁形式、西側2車線を古墳の地下を通過するトンネル形式とし古墳を保全することを決定。橋梁・トンネルを対象としたものでは全国初となる設計競技方式によるデザインコンペを実施し、エイト日本技術開発・イー・エー・ユーJVを選定。最優秀提案を基に実施した測量設計と関係機関協議がおおむね完了したため、整備スケジュールを公表した。
 計画では、東側2車線の橋梁はPCトラフラーメン橋(延長105メートル)、西側2車線はトンネル(高さ4・8メートル×幅7・6メートル、延長117メートル)。本年度は橋梁工事に向けた準備工事として古墳ののり面保護工事などを実施。23年度に橋梁工事に入る。高尾山古墳については、国史跡指定に向けた手続きとして、本年度内に意見具申書を文化庁に提出する。指定を受けた後、保存活用計画や整備基本計画の策定、基本・実施設計を行う。



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大阪商工会議所、南海電鉄/難波エリア街づくりビジョン公表

 大阪商工会議所と南海電気鉄道は15日、2025年大阪・関西万博や31年のなにわ筋線の開業などを見据え、大阪の玄関口となる難波エリアを対象にしたまちづくりのビジョンを発表した。「エンタメ」と「ステイ」の力で難波エリアの都市格を高めるのが目標。なにわ筋線の新駅周辺で新たな難波の顔づくりを提案したほか、万博時にフェスティバルの開催を目指す。大阪への観光客や訪問者を増やすことでまちづくりの機運を盛り上げる。
 大阪商工会議所の都市活性化委員会(委員長・錢高一善錢高組会長)と南海電鉄が21年7月に「難波エリアの都市格を公民協働で高めるまちづくり懇談会」(座長・橋爪紳也大阪公立大研究推進機構特別教授)を設置し、地元の商店街や町会、企業に加え、大阪市や都市再生機構など行政機関がオブザーバーとして参加し、ビジョンをまとめた。
 難波エリアが目指す目標として▽まち文化にぎわいの活力で国内外の注目を集め続ける難波▽拠点機能を高めながら、なにわ筋線開業を契機に成長し続ける難波▽「新たな関係性」「多様なサービス」「次世代の担い手」を育み続ける難波-の三つを掲げ、万博の開催やなにわ筋線開業に合わせた取り組みと共に、長期的なまちづくりに取り組んでいく。
 拠点機能については、都市再生制度を活用し、成長産業や企業、人材を誘致するエリアを形成する。例として都市再生緊急整備地域の拡大も視野に、高度街区利用を促す開発機運を醸成しながら地上と地下空間を立体的につなげるなど新駅周辺で新たな顔づくりに挑戦し、ビジネス機能や外国人の滞在、居住機能を強化する。
 フェスティバルについては「難波チャーフェス(仮称)」の開催を提案。南海難波駅前の広場や道頓堀などで「食い倒れ」や「文化芸術」をテーマにしたイベントを万博と同時に開催する。22年度から具体的な実行体制について検討を進める。
 錢高委員長は「難波以外のエリアとも連携しながら都心部でさまざまな祝祭事業を開催したい」と話し、橋爪教授は「大阪ミナミは絶えず新しいアイデアや文化を生み出してきた。エンタメとステイの力が世界中の人を集める」と期待した。



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2022年4月15日金曜日

業務ダンピング対策、市区町村で改善進まず/国交省調査

 国土交通省は市区町村発注業務を対象にダンピング対策の働き掛けを強化する。2021年7月1日時点の実態調査によると、低入札価格調査制度か最低制限価格制度が未導入の市区町村は全体の約半数を占める。両制度がほぼ浸透している工事と比べ改善が進んでいない状況を踏まえ、年度内にも両制度の導入実態を近隣自治体と比較できる形で「見える化」する方針。地方自治体の契約担当者などが参加する地域別の会合でも主要議題にする考えだ。
 公共工事品質確保促進法(公共工事品確法)の運用指針に基づく測量・調査・設計業務の21年度調査の結果を14日公表した。
 ダンピング対策は国と都道府県、政令市でほぼ浸透しているが、市区町村は約50%の853団体(前年度895団体)が両制度ともに導入していない。改善途上と言えるが、工事での制度導入が約95%の1640団体(21年10月1日時点)に達していることを考えると依然として低水準だ。特殊法人なども約31%の39団体(42団体)が未導入のままとなっている。
 20年度発注業務のうち第4四半期に履行期限を設定した件数の割合は▽国=83・4%(前年度83・5%)▽特殊法人など=55・6%(58・0%)▽都道府県=64・2%(66・3%)▽政令市=69・6%(67・9%)▽市区町村=58・7%(58・1%)。前年度からほぼ横ばいで推移している。
 履行期間の確保や設計変更に関する指標として、運用上参考にする基準・指針の策定有無を調査。他団体の基準・指針を準用しているケースも含めると、履行期間関係は都道府県で9割以上、市区町村で7割以上、設計変更関係は都道府県で8割以上、市区町村で5割以上が基準・指針を運用していた。価格競争以外の入札契約方式の導入状況も調査し、市区町村で総合評価方式の導入率が1割に満たないことも分かった。
 調査結果はブロック別の発注者協議会や監理課長等会議、都道府県公共工事契約業務連絡協議会を通じて周知。業務発注事務の適切さが工事の品質向上にも欠かせないことを訴える。



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石川県/全土木工事を週休2日に、発注者指定型で原則化

 石川県土木部は、4月以降公告の災害復旧を除く原則すべての土木系工事の受注者に現場の完全週休2日(土日に限らない4週8休も可)を義務付ける「発注者指定型」を適用し始めた。県土木部は「発注者指定型」の適用に当たり、国土交通省が2017年度から直轄工事に採用中の「工期設定支援システム」に準拠したものを活用して工期を設定する。
 「発注者指定型」を原則化するに当たり、2021年度まで現場の週休2日工事を表す名称に使っていた「いしかわ土日おやすみモデル工事」を「いしかわ週休2日工事」に改めた。
 「工期設定支援システム」は、直接工事費の積算に使う標準歩掛かりの1日当たりの施工量から、各工事の施工に必要な日数を自動的に算出できる。週休2日、盆暮れの休暇、地域別の降雨や降雪による休工日数なども考慮しているので、各地域の天候の実情に合った作業日数の算出も可能。システムを用いて作った工程表を基にすれば、週休2日に見合った工期が設定できるという。
 現場の完全週休2日の実現には、労務費、機械経費、共通仮設費、現場管理費の各経費の上乗せは不可欠なため、国と同様に最初から補正係数(土木工事の場合は労務費1・05、機械経費1・04、共通仮設費1・04、現場管理費1・06)を乗じて割り増しした金額を工事費に計上する。
 工事完了後に達成状況を確認して現場の完全週休2日(4週8休も可)が実現できなかった場合は補正分を減額する。完全週休2日が確認できた場合は、工事成績採点の2次考査で2・5点を加点する。
 受注者に現場の完全週休2日に取り組む姿勢が見られない場合や、虚偽報告を行った際は、ペナルティーとして工事成績評定点から7・5点を減点する。



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日本工営ら/農業水路航路にドローンデリバリー、福島で実証実験

 日本工営ら4者は14日、福島県桑折町でドローンを用いたフードデリバリーの実証実験を行った。農業用水路の上空を航路として活用し、水路の新たな価値を見いだす試み。実証実験ではドローンで安定的なデリバリーサービスを提供できることを確認した。今後は車両を使った既存のデリバリーサービスとの組み合わせを模索し、ドローン飛行が困難な悪天候への対応などを検討していく。
 実証実験には日本工営、桑折町、農業用水路などを管理する伊達西根堰土地改良区(佐藤秀雄理事長)、ドローン向け航路の構築などを手掛けるトルビズオン(福岡市中央区、増本衛社長)の4者が参加。桑折町内のピザ店の商品を、ドローンが町内の注文者宅まで農業用水路の上空100メートルを航路として自律飛行して届けた。
 日本工営は電子地図を使った空路デザインとコンサルティングを担当。トルビズオンが展開するドローン利用者と、ドローン航路の土地を提供する土地所有者とのマッチングサービス「ソラシェア」を利用した。ソラシェアに登録する土地所有者には協力金が支払われる。農家の減少などで水利施設の維持管理費負担が増大する中、施設管理者が登録すると新たな収入を得られるメリットがある。
 日本工営コンサルティング事業統括本部流域水管理事業本部農村地域事業部農村整備部の三門茜さんは「インフラの維持管理を支援する新たな方法として、他の地域にもこの取り組みを提案していきたい」と話した。
 トルビズオンの増本社長は「今後、水のインフラの上に空のインフラをつくるという新たな発想が広がるのでは」と期待した。同社はドローンの活用に関する規制緩和が見込まれる2023年以降、ソラシェアの登録エリアや水路などを積極的に拡大していく考えだ。



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フジタら/トンネル巡視・点検、自律ドローンで自動化

 フジタとセンシンロボティクス(東京都渋谷区、北村卓也社長)は、ドローンを活用したトンネル坑内の自動巡視システムを共同開発した。ドローンが自律飛行し、搭載する360度カメラで坑内を撮影。画像から自動生成したVR(仮想現実)空間でBIM/CIMと連動した巡視点検ができる。遠隔地への迅速な施工記録の共有を実現し、工事の省人化、省力化を図る。
 ドローンの飛行はレーザーで対象の形状を検知するLiDAR(ライダー)を活用。照射したレーザー光の反射時間から距離や方向を測り制御する。暗所やGNSS(全球測位衛星システム)を受信できない坑内でも自らの位置を把握する。
 撮影した膨大な画像データはモニタリングシステム「Open Space」で処理し、10分程度でVR空間を自動生成。設計時の3Dモデルや時系列別の画像と比較できる。クラウドで共有し、現地にいない人を含めた複数人での確認が可能。VR内は注釈コメントを添付でき、受発注者間でスムーズな意思疎通を図れる。
 1月下旬に徳島県小松島市で施工中の「横断道羽ノ浦トンネル工事」(国土交通省四国地方整備局発注)で試行した。掘削区間400メートルを約7分で飛行。作成したVR空間を活用し、従来より1人当たり1時間短い時間で巡視点検を行えたという。トンネルでのドローン利用は従来、経路の事前指定や暗所で大型機材を避けるといった高度な操縦技術が必要だった。既製品の活用で導入コストも低く抑えた。
 フジタは今後、トンネル工事以外への展開を検討している。LiDARで取得した点群データを出来高・出来形管理に生かす技術も開発する。



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京橋三丁目東地区再開発(東京都中央区)/35階建て延べ約16万平米に

 東京都中央区の京橋三丁目東地区再開発準備組合が計画するプロジェクトの概要が明らかになった。オフィスやホテルなどが入る延べ約16万平方メートルの超高層ビルを建設する。東京高速道路(KK線)の上部に整備される予定の歩行者空間とも接続し、にぎわいを呼び込む。都市再生特別地区の変更(東京都決定)といった都市計画の決定を12月にも受けたい考えだ。2025年度にも着工し、29年度の竣工を目指す。
 再開発の計画地は京橋3の5、6(敷地面積約0・9ヘクタール)。再開発ビルは地下4階地上35階建て延べ16万4000平方メートルの規模になる。高さは約180メートル。オフィスやホテル、商業施設などの機能を入れる。地下では東京メトロ銀座線京橋駅と直結し、アクセス性を高める。
 計画地の南側を走るKK線は都心環状線の新ルート(新京橋連結路、延長1・1キロ)整備に伴い廃止される予定になっている。都はKK線の既存施設上部を活用し、緑化した歩行者空間などを備えた空中回廊として再整備する方針を掲げている。再開発ビルには空中回廊とつながる屋内広場などを設ける。
 準備組合は17年1月に立ち上がった。事業協力者として東京建物が参画している。



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2022年4月14日木曜日

自民品確議連/資材高騰対応「政策の進化、深掘りを」

 自民党の公共工事品質確保に関する議員連盟(会長・根本匠衆院議員)が13日に東京都内で幹部会を開き、建設資材などの価格高騰対策を巡って国土交通、経済産業両省や建設業団体と意見交換した。根本会長は「価格転嫁をいかにスムーズに進めるか」と対応策の方向性を示唆。建設工事標準請負契約約款で規定するスライド条項の適用などを、国直轄だけでなく地方自治体発注工事や民間工事でも働き掛けるため「政策の進化、深掘りが必要だ」と訴えた。=2面に関連記事
 幹部会には根本会長と佐藤信秋幹事長、盛山正仁副会長、梶山弘志事務局長、足立敏之事務局長代理が出席。国交、経産両省が対応状況を説明し▽日本建設業連合会(日建連)▽全国建設業協会(全建)▽日本道路建設業協会(道建協)▽日本アスファルト合材協会(日合協)-の4団体が要望事項を伝えた。
 非公開で行われた会合後の会見で根本会長は、政府が昨年12月に決定した「パートナーシップによる価値創造のための転嫁円滑化施策パッケージ」に触れながら、「政策的手法は整ってきている。あとは運用をどうしていくか」と課題を指摘。公共、民間両約款に基づく契約変更などの対応を、自治体と民間に働き掛ける必要性を強調した。
 民間工事でも価格転嫁を働き掛ける上で「官民協働」という視点の重要性を語り、「市場に任せるのではなく、これからは政府も前に出るべき。適正なルール設定を」と訴えた。民間発注者を含む経済団体と協力した対応が必要との見解も示した。
 政府は原油価格・物価高騰の「総合緊急対策」を月内に決定する。建設業関係では価格転嫁の円滑化対策が盛り込まれる見通し。根本会長は会合の冒頭、建設業団体の幹部らを前に「現場で苦労している皆さんの声を聞かせてもらい、施策に反映させたい」と意欲を語った。



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東北整備局/22年度事故防止目標策定、現場見える化で対策強化

 東北地方整備局は2022年度の工事事故防止目標をまとめ、13日に公表した。全治1カ月以上3カ月未満の中傷事故が多く発生している状況を踏まえ、カメラの設置による監視体制の強化など「現場の見える化」に注力する。中傷以上の事故防止に加え「新規入場者と下請業者の安全教育徹底」など5項目を事故防止重点取り組み方針に設定。無事故・無災害を目指す。
 重点取り組み方針には▽中傷以上の事故の危険性がある現場の対策強化▽予定外作業と省略行動の排除に向けた取り組みの継続▽新規入場者と下請業者の安全教育徹底▽物損公衆災害防止対策の徹底▽ICTとIoTを活用した事故対策の取り組み推進▽新型コロナウイルス感染症拡大防止対策の徹底-の6項目を掲げた。
 中傷以上の事故につながりかねない事案が複数発生しているため、同局は事故発生の危険要因を現場ごとに洗い出し、対策を徹底する。仮設足場を含め高所作業での「墜落・転落」災害が後を絶たない状況を踏まえ、墜落防止用器具の確実な使用、手すりの設置といった対策を実施。着実な実施に向けカメラによる遠隔監視などで「現場の見える化」を目指す。重大事故につながる建設機械との接触やひかれ事故の防止でも見える化対策を展開する。
 21年度に発生した117件(速報値、港湾空港関係除く)のうち、新規入場から1カ月以内の作業員が事故に遭うケースが約3割を占める。入場2週間以内に事故が発生している事案も多い。事態を重く見た同局は、新規入場者と下請業者への安全教育やKY活動を徹底する。入場間もない作業員の一人作業を回避するよう、安全巡視の強化も求めていく。
 ICTとIoTを活用した事故対策にも本腰を入れる。建機との接触事故を防止するため近接警報や機能停止などの機器導入を推進。「ネットワーク定点ウェブカメラ」を設置し、現場内作業を常時撮影して工事受注者の本支店や現場事務所で不安全行動を監視し指導できるようにする。VR(仮想現実)技術を活用した安全教育、ウエアラブルカメラなどによる遠隔臨場、事故防止の効果が期待できる機器の導入も推し進める。
 同局の事務所や管理所は事故防止の目標や取り組みを独自に定め、対策を展開する。不安全行動の排除や安全意識の向上に向け、受発注者と業界団体が「現場安全点検」を実施。新型コロナの流行が続いているため、ガイドラインなどを活用しながら確実な感染拡大防止策を講じる。
 同局管内の事故発生状況は21年度の速報値で117件。前年度に比べ2件増加した。内訳は労働災害53件、物損公衆62件、死傷公衆2件で、死傷者数は55人だった。



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政府/インフラ維持管理、コスト抑制へ新技術導入後押し

 政府は老朽インフラの増加に対応するため、維持管理業務で新技術の導入拡大を後押しする。業務を効率化、高度化し、インフラメンテナンスにかかるコストを抑制する。施設管理者が新技術を活用しやすい環境を整えるため、技術カタログやマニュアルの策定、予算措置や技術開発など政策を強化している。今後、各分野の新技術導入状況などを調査。点検や診断の質の向上、コスト縮減につながる効果的な事例を収集し、今秋までに整理する方針だ。
 政府は2021年度に▽国土交通▽農林水産▽厚生労働-の3省が所管する道路や農業水利施設、上下水道など22分野の施設管理者(回答数2212団体)を対象に新技術導入状況を調査した。インフラ点検や診断にロボットやセンサーを活用している施設管理者の割合は全体の48%。前回調査(19年度実施)の38%から10ポイント上昇した。
 国交省は道路分野で橋梁やトンネルの点検を支援する新技術の導入促進策として、「点検支援技術性能カタログ」を19年度に策定した。ドローンなど131技術(21年10月時点)を紹介している。補助金や交付金で新技術の導入を要件化したり、重点配分したりする仕組みも導入した。新技術情報提供システム(NETIS)に登録された維持管理部門の35技術を従来技術と比較すると、平均でコストが15%減、工程は32%減という高い効果が示された。
 農水省は所管するダムや頭首工など基幹的な農業水利施設の管理を省力化するため、ロボットやAIの活用を推進。今後、治山施設でも新技術の導入環境を整える。基礎部が水中にあるなど目視点検が難しい漁港施設も、センシング技術などを使用した点検を拡大していく。
 厚労省によると水道事業444件(大臣認可事業)のうち、施設の維持や修繕に新技術を活用している事業数は19年に162件(36%)だったが、21年には172件(39%)に増加した。厚労省は22年度から水道事業の「IoT活用推進モデル事業」の対象を拡大。事業の効率化につながる新技術であれば、IoTを未使用でも支援している。
 このほか文部科学省は文教施設、環境省が一般廃棄物施設の維持管理に新技術の活用を促進。インフラメンテナンスを予防保全型に転換しコストを抑制する上で、新技術の活用は不可欠といえる。省庁間の連携を強化しながら、政府を挙げて技術、資金両面から新技術の活用を後押しする。



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タダノ/電動ラフテレーンクレーン開発、23年内発売目指す

 タダノは13日、国内向けに電動ラフテレーンクレーンの商品化を目指すと発表した。クレーンの走行と作業を電気で行い、二酸化炭素(CO2)排出をゼロにする。実現すれば世界初という。試験を実施中で関連する業界やパートナー企業らの支援を得ながら、実用化を目指す。2023年内の発売を目指す。
 同社と太平電業が共同開発した電気で油圧ポンプを駆動するシステム「E-PACK」を活用する。外部電源から電動機駆動の油圧ポンプを作動させることが可能で、エンジンを始動せずにクレーン作業ができるため、クレーン作業中の燃料消費がなくなりCO2排出をゼロにできるという。
 電動化で操作のAI活用も、よりやりやすくなるとみている。安全や品質、効率などの面で大きく寄与する可能性があるとしている。今後はラフテレーンクレーン以外の製品や分野でも積極的に電動化の検討を進める。
 従来型のクレーンはディーゼルエンジンで油圧ポンプを稼働している。クレーンは車両重量が大きいため、稼働や走行に多くの軽油を消費しており、CO2の排出削減が課題となっている。タダノは2050年カーボンネットゼロを目指しており、30年には製品のCO2排出量を19年度比で35%削減する目標などを掲げている。その取り組みの一環となる。



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京王電鉄、JR東/新宿駅西南口、2街区総延べ29万平米

 京王電鉄とJR東日本は13日、新宿駅西南口エリアの都市再生プロジェクトの計画概要を発表した。京王百貨店新宿店の建て替えを含む複合開発で、甲州街道を境に南と北の2街区に分けて総延べ約29・1万平方メートルの再開発ビルを整備する。工事は南街区から先行し2023年度にスタート。28年度の竣工を目指す。北街区も含めたプロジェクト全体の完成は40年代となる見通しだ。
 計画区域は東京都新宿区西新宿1と同渋谷区代々木2に位置する約2ヘクタール。国家戦略特別区域の都市再生プロジェクトとして、内閣総理大臣による区域計画の認定を目指している。
 南街区(敷地面積約6300平方メートル)の建物規模は、地下6階地上37階建て延べ約15万平方メートルで、高さは230メートル。商業施設とオフィス、ホテル、駐車場などが入る。北街区(同約1万平方メートル)は地下3階地上19階建て延べ約14万1500平方メートルで、高さ110メートル。商業施設とホテル、駐車場を設ける。
 西南口プロジェクトは都施行の「新宿駅直近地区土地区画整理事業」や、隣接する区域で小田急電鉄と東京メトロ2社が取り組む「新宿駅西口地区開発」と連動しながら進める。西口地区からつながる南北約400メートルに及ぶ広場空間「スカイコリドー」を整備し、新たな回遊性を生み出す。外国人旅行者のニーズにも対応した観光産業拠点とし、国際競争力も強化する。



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2022年4月13日水曜日

全鉄筋/全都道府県の団体加入、より強固な組織で活動展開

 全国鉄筋工事業協会(全鉄筋、岩田正吾会長)は、全47都道府県で関連団体が会員として加入したことを受け、ダンピング対策など業界が抱える課題解決に向けた取り組みを強化する。12日に日刊建設工業新聞などの取材に応じた岩田会長は「全国を網羅した組織になることで声が大きくなり、意見を聞く側の受け止めも違ってくる」と説明。請負価格の適正化など諸課題への対応では、強固な全国組織として意思統一を図ることにより「さまざまな活動を進める上で効果が出てくるだろう」と期待感を示した。
 先月の理事会で山形県鉄筋工事業組合の加入が承認され、47都道府県すべての団体が全鉄筋の会員となった。同理事会では沖縄の2組合を統合した沖縄県鉄筋事業協同組合の加入も承認された。下請業者らで組織する連合会・協力会も含めた会員数は1300社超に上る。
 全国組織化について、岩田会長は「先人たちの悲願の取り組みは歴史的背景や地理的問題などでなかなか進まなかったが、業界環境が厳しさを増す中で(全鉄筋会員として)一緒になって声を上げていかなければという気持ちが高まってきた」と振り返った。取り組みの相乗効果として会員数も増加傾向にあり、今後の組織運営の在り方を詰めながら体制強化を進める考えを示した。
 民間工事でのダンピングのほか、市町村レベルの工事での契約状況などが問題視される中、さまざまな改善活動を展開する際に「県単位の組織は有効だ」と述べた。



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関東整備局、横浜市/大黒ふ頭4月15日供用、国内最大級の延長

 関東地方整備局と横浜市は、再整備を進めていた大黒ふ頭(横浜市鶴見区)P3岸壁を15日に供用開始する。隣接するT3~T8岸壁と合わせると、延長1400メートルの国内最大級の連続バース。大型自動車専用船5隻の同時着岸が可能になるという。これにより大黒ふ頭は全体で大型自動車専用船11隻を同時に着岸できる日本最大級の自動車取り扱い拠点となる。
 大黒ふ頭横浜航路側にある旧P3岸壁と旧P4岸壁を合わせてP3岸壁に再整備した。水深を7・5メートルから12メートルに掘り下げ、延長も260メートルから290メートルに延伸、荷さばき地の拡張なども行った。対象船舶は7万GT級の自動車船と22万GT級の旅客船。
 国土交通省と横浜市は2015年度から自動車専用船の大型化や着岸隻数の増加に対応するため、大黒ふ頭岸壁の再整備を進めてきた。T3~6バースは水深10~11メートル、延長740メートル。T7~8バースは水深10~11メートル、延長370メートル。1日には横浜港埠頭会社が大黒ふ頭C4コンテナターミナルの自動車ターミナルへの転換を完了している。



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国交省/ロシア輸出策見合わせ、都市開発や港湾整備など受注提案中断

 国土交通省はウクライナ情勢の悪化を受け、ロシア向けインフラ輸出促進策を全面的に見合わせる。2016年5月の日ロ首脳会談で日本側が提示した経済協力プランを踏まえ、ロシアに働き掛けてきた都市開発や港湾整備などに関する日系企業の受注提案を中断。同省は情報収集に努めつつ、「各国による対ロ制裁が日系建設企業の事業活動に影響しているか確認し、その都度必要な対応を取っていく」(総合政策局国際政策課)としている。
 国交省によると現時点で経済協力プランに関連し、日系企業が受注したインフラ整備案件は確認していない。一方、「ロシアでの民間企業の動きを全て把握できているわけではない」(同)のも現状。今後も日系企業の事業活動や安全に支障を来さないよう細心の注意を払っていく。
 経済協力プランは都市開発や港湾整備といった分野の協力を念頭に「快適・清潔で住みやすく、活動しやすい都市作り」や「極東地域の産業振興・輸出基地化」など8項目で構成する。
 都市開発分野では、17年にロシア南西部の都市ボロネジと極東のウラジオストクを経済協力の「モデル都市」にすると合意。ボロネジでは新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が民間企業と連携し、交通量に応じて自動的に信号を制御する「スマート信号システム」の実証事業を展開してきた。渋滞緩和の効果を確認し受注に向けた働き掛けを本格化する段階だったが、日本側からのアプローチは当面見合わせる。
 港湾分野では石炭輸出港の整備に焦点を当て、案件形成に向けた働き掛けを続けていた。だが8日に対ロ制裁の一環として岸田文雄首相が表明した石炭禁輸が暗い影を落としそうだ。毎年事務レベルの「日露港湾当局間会合」を開き課題を聴取してきたが、国交省は「今年は打診があっても断る」(港湾局産業港湾課)という。
 経済協力プラン関連以外では、極東地域の住宅市場に進出する可能性を模索していた。国交省は断熱性や耐震性に優れた国産木造住宅の需要が高いとみており、3月に現地の市場動向などに関する報告書をまとめている。本年度は報告書を分析し具体的な輸出促進策を検討する予定だった。
 松野博一官房長官は3月の記者会見で、経済協力プランの実施を当面見合わせると表明。民間企業が独自に展開している事業には「今後必要に応じ、事業ごとに対応が検討されていくことになる」との見解を示している。



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ゼネコン各社/3年以内離職率が減少傾向に、本社調べ

 主要ゼネコンが過去3カ年で採用した新卒社員の離職率が改善している。日刊建設工業新聞社のアンケートに回答した33社の2018年度新卒社員の3年以内離職率の平均値は14・4%。17年度新卒と比べ1・1ポイント低下した。若手の研修制度やフォロー体制の拡充などで19社が離職率の低下につなげた。10%以上20%未満が17社で最も多く、10%未満が10社、20%以上30%未満が5社だった。
 16~18年度入社の新卒社員を対象に3年以内の離職割合を聞いた。34社が対象で33社から回答を得た。調査時期は1月18日~2月7日。年度別離職率の平均値は16年度が13・8%で、17年度は15・5%に悪化していた。
 18年度新卒の3年以内離職率が5%未満は鹿島、清水建設、竹中工務店、前田建設の4社。竹中工務店は33社の中で最も低い2・8%だった。採用選考時点でのマッチング向上に加え、指導担当者による職場内・外教育や全寮制など効果的な教育制度を導入。過去3年を見ても低水準をキープしている。
 フレックスタイムの導入やテレワーク推進など柔軟な働き方を通じて定着率の改善を目指す企業も多い。大本組と鴻池組、日本国土開発の離職率は17年度新卒との比較で半減した。鴻池組は毎月初めに若手社員にアンケートを実施。業務負担やメンタル状況をチェックしフォローする体制を整えたことが改善につながったと見ている。研修機会の拡充に努めるフジタやナカノフドー建設は離職率が2年連続低下した。
 鹿島や戸田建設、三井住友建設などメンター制度を設けて若手をフォローするケースが目立つ。ある人事担当者は「年齢の近い先輩社員が良き相談相手になり、若手の不安解消につながっている」と話す。
 各社とも若手社員の定着率を高め、将来を担う優秀な人材に育てることが持続的発展の最重要課題と捉える。今後も研修制度や人事評価制度、福利厚生の充実、処遇の改善など総合的な取り組みが進みそうだ。



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宮城県の上工下水道コンセッション始動、水道事業の新しいモデルに

 宮城県の上下水道と工業用水道を民間が一括運営するコンセッション(公共施設等運営権)事業が1日に始動した。12日に白石市の仙南・仙塩広域水道事務所(南部山浄水場)で事業開始式を開催。村井嘉浩県知事や運営権者の特別目的会社(SPC)「みずむすびマネジメントみやぎ」(仙台市青葉区)の酒井雅史社長ら35人が出席し、テープカットやくす玉開披で事業開始を祝った。=6面に詳しく



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