【記者手帖】再整備で生まれ変わる

 　２０１１年３月に大学を卒業した。前年の秋ごろから卒業式で履くはかまや編み上げのブーツを準備していたが、式典を約１０日後に控えた３月１１日に東日本大震災が発生し、あえなく中止になった◆先月、母校からはがきが届いた。卒業式ができなかった学年のために「卒業生を祝う会」を開くという案内だった。１０年を経てもなお、気に掛けてくれる母校の気持ちがとてもうれしかった。祝う会は今週末にキャンパスの講堂で開かれる予定だ◆母校のキャンパスは新教室棟の建設を含め再整備事業が今春に完了したばかり。新教室棟は、在学時に図書館だった場所に建てられた。当時の図書館は古くて冬場は底冷えするような快適さとは無縁の場所だったが、趣のある雰囲気が好きでよく入り浸っていた◆再整備で思い出の建物がなくなった代わりに、後輩たちが快適に学び、新たな思い出を作っていく場所ができた。祝う会では、学長によるキャンパス内の建物に関する講義や新教室棟の見学ツアーが行われる。生まれ変わった姿をしっかり目に焼き付けたい。（ま）