2024年5月20日月曜日

回転窓/伊東忠太没後70年に思う

 本堂が古代インド風の造形美で知られる築地本願寺(東京都中央区)には多くの外国人観光客らも訪れる。近くでは築地場外市場が連日大変なにぎわいを見せ、人気の観光スポットとなっている▼築地本願寺の現本堂は1934年に完成した。設計は伊東忠太、施工を松井組(現松井建設)が担当。〈建築家・伊東忠太が最新の技術を用いて東洋的な建築を追求した典型例〉〈秀逸な建築デザインを保持する震災復興期の貴重な建造物〉と中央区教育委員会の資料にある▼伊東には伝統建造物を巡りこんなエピソードが伝えられている。文化財の調査活動を担っていた臨時全国宝物取調局の幹部が講演で、日本古美術の仏像や絵画などを称賛したが、建築の芸術性には触れなかった。聴講していた伊東はこれに抗議する手紙を出したという▼こうしたことが背景にあったのか、内務省に1896年設置された古社寺保存会に当時20代の伊東も委員として加わる。翌年、現在の文化財保護法につながる古社寺保存法が公布された▼今年は建築設計と建築史研究で大きな功績を残した伊東の没後70年。改めてその足跡をたどってみたい。

source https://www.decn.co.jp/?p=163664

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