近所のとんかつ店に、毎年恒例の大粒カキフライが並ぶ季節となった。先日訪ねてみると、1粒400円という値段に思わず驚いた。店主によれば、瀬戸内海を中心に養殖カキが例のない不漁に見舞われているという▼国内最大産地の広島では、一部海域で最大9割が死滅し、対岸の四国地方でも被害が報告されている。海水温の上昇に加え、今年は梅雨明けが史上最速だったことで、降雨量が激減したことも要因だ。気候変動が地域産業に深刻な影を落としている▼広島県は対策を検討する庁内連絡会議を立ち上げた。横田美香知事は、養殖業だけでなく、観光業や飲食業にも影響が及びかねないとして、全庁を挙げた対応を指示した▼「東日本大震災の時、瀬戸内の支援で三陸のカキ養殖は復活した。今度は三陸が瀬戸内を支える番だ」。こうした投稿がネットで注目されている。復興の象徴となった三陸のカキは、瀬戸内にとって心強い支援だろう▼被害の拡大を抑えるには、被災地以外にいる人々が適切な時期に適切な形で支援できるかが鍵。災害時に遠隔地支援が円滑に機能するよう、平時の備えを改めて点検したい。
from 論説・コラム – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=179786
via 日刊建設工業新聞


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