2026年8月20日木曜日

回転窓/盆踊り会場の地下のインフラ

 千葉豪雨から今日で1週間。千葉市中央区のJR蘇我駅は、外房線の一部区間が不通のままで東口を代行バスが行き来する。近くの小学校は前の歩道が陥没し、営業を再開できない店舗もある▼大雨の翌朝、駅周辺で目にした惨状が忘れられない。動けなくなった車がそこかしこで道をふさいでいた。自宅に帰るために、トラクターのバケットに子どもを乗せ、車をけん引してもらった家族がいた。それでも駅から徒歩6分の公園では週末の盆踊り大会の会場設営が始まり、少しずつ日常が戻りつつある▼市は蘇我駅東口を雨水対策の重点地区に位置付け、浸水を軽減するための雨水貯留槽の整備を20年に開始。昨夏に2期工事を完了させていた▼大雨の当夜、駅東口は大人の腰ほどまで水没した。市の担当者は「想定を上回る雨量だった」と悔やむが、貯留層があったから守られた命と財産があることは事実だろう▼貯留槽は盆踊り会場の公園の地下にある。見えないが、工事現場を見学した小学生と近隣の住民が存在と価値を知っている。街中にある防水、排水、治水に貢献したインフラの必要性が知れ渡ってくれたらいい。


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from 論説・コラム – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=186945
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東京都ら/女子中高生向けオフィスツアー開く/大林組の女性社員がやりがい伝える

 東京都と山田進太郎D&I財団は、女子中高生向けオフィスツアー「Girls Meet STEM」を18日に大林組の研修施設「ポートプラス」(横浜市中区)で開いた。女子中高生にSTEM(科学・技術・工学・数学)分野をより知ってもらい、進路選択に役立ててもらう取り組み。大林組の女性社員がクイズツアーや座談会などで学生と交流しながら、建設業の働き方ややりがいなどを伝えた。
 ツアーには中学生12人、高校生16人が参加、自己紹介や簡単なゲームで交流した後、クイズツアーとしてポートプラス内部を見学した。ポートプラスは大林組が設計・施工した国内初の高層純木造耐火建築物。内部を見て回り、最先端の木造・耐火、環境技術を学んだ。クイズでは、ポートプラスの木材使用量や二酸化炭素(CO2)削減量のほか、大林組が提唱する持続可能型都市「LOOP50」に関するクイズもあった。座談会では「学生時代はどんな勉強をしたか」「1日のスケジュールは」などの質問に大林組の女性社員が答えた。
 母親に勧められてツアーに参加したという石原佳奈さん(中学2年)は、「ゲームがきっかけで建築に興味を持った。(ポートプラスを見学して)建築は人を支えるだけでなく、環境にも貢献していることが分かった。大林組の人たちの情熱も感じた」と話していた。
 女子中高生向けオフィスツアー「Girls Meet STEM」は、毎年春に第1弾、第2弾を夏に開催している。夏休みに合わせて月内に開催する第2弾では、建設や製造、情報通信などの企業が合わせて80社以上参加。研究所やオフィスなどの職場・現場に女子中高生が訪れ、理系の仕事やロールモデルに触れ、理数系のキャリアへの関心を高めてもらう。


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from 行事 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=186934
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秋田県知事らとUAE大使が面会/AIDC計画具体化に向けて関係強化

 秋田市でのAIデータセンター(DC)の建設計画を巡り、アラブ首長国連邦(UAE)のシハブ・アルファヒーム駐日大使が19日に秋田市を訪れ、鈴木健太秋田県知事らと面会した。知事公舎で協議した大使と知事は、建設計画の具体化に向け、連携を強めることで一致した。UAEの政府系ファンドが投資する方向で調整が進んでいる。
 鈴木知事は「秋田県は木材資源と鉱物資源で発展したが、時代に合わせて産業構造を変えていきたい。より絆を強くしていければ」と歓迎した。懇談では、DC関連をはじめ、エネルギーなど幅広い分野での連携を見据え、交流を深めることで一致。UAE側は、重視するAI分野での協力にも前向きな姿勢を示した。今後、具体的な連携の内容や方法を協議する。
 DCは、エスツー(秋田市、須藤晃平社長)と米AIスタートアップのビットグリット(デラウェア州)が中心となり、秋田市内に建設する。県が市北西部に造成している、洋上風力発電などの再生可能エネルギーを100%供給する下新城工業団地と、隣接地に市が計画する飯島地区工業団地への立地を想定している。総受電容量は最大500MWで、国内最大級となる。2030年代までの稼働を目指し、事業費は2兆円規模に上る見込み。下新城工業団地の分譲面積は約30ha。現在は1期分の約10haで造成工事が進み、加藤建設と板橋組が施工している。
 アルファヒーム大使は同日、沼谷純秋田市長とも面会し、秋田大学や建設予定地の下新城工業団地を視察した。


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from 行政・団体 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=186941
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ゼネコン各社/熱中症対策にあの手この手/変形労働時間制や装備拡充

 厳しい暑さが続く夏季の建設現場で、ゼネコン各社が熱中症対策に工夫を凝らしている。体調の変化を速やかに発見し、熱中症の重篤化を防止するツールや設備・装備を一段と充実。特に変形労働時間制を導入し、作業時間全体の短縮や比較的涼しい早朝への始業時間変更などで対応する社は多い。引き続き万全の対策と細心の注意を払い、安全最優先の現場運営で厳しい残暑を乗り越えていく。=3面に関連記事
 熱中症対策の新たな試みで今夏に相次いだのが、夏季限定で導入した変形労働時間制やサマータイムだ。大林組は、全社方針として午前8時~午後5時だった作業時間帯の標準を、午前7時~午後1時に変更・短縮した。鹿島は推奨事項として、工事事務所ごとの判断で1カ月単位の変形労働時間制を展開している。
 前田建設も午前7時~午後3時に作業している。別の準大手ゼネコンは現場条件に応じ、早出や時短、休憩、これらの複合というパターンに分けて柔軟に対応。青木あすなろ建設も条件が合ったモデル現場にサマータイムを導入した。鴻池組は、変形労働時間制を期間限定ではなく1年単位で展開している。夏季連続休暇や週休3日制の導入、サマータイムの設定などで対策に万全を期す。
 現場従事者一人一人の健康状態を管理し、適切に対処する現場運営にも気を配る。大成建設は「熱中症予防推進者」を配置。清水建設は重篤化防止に置いていた対策の重点を、熱中症自体の発生予防に転換した。竹中工務店は2026年度から熱中症対策を全社重点施策に位置付け、全作業所の作業環境を改善。五洋建設は「熱中症予防自己チェックシート」をデジタル点検簿で管理する。
 戸田建設や西松建設、鉄建建設、飛島建設らは、作業服の冷却・空調や熱中症の予兆を検知するウエアラブル端末などの機能をさらに充実。長谷工コーポレーションは、東京の現場に導入していたウエアラブル端末の適用範囲を関西にも広げた。安藤ハザマはAIカメラ、三井住友建設はDXの技術も取り入れた。
 小まめな水分・塩分補給も展開している。熊谷組は初めての試みとして、全現場に塩分やクエン酸などが配合された「飲む氷」を配布した。東亜建設工業も水分と電解質が速く吸収・キープできるORSタブレットを支給している。
 気象庁の予報では、西日本を中心に今後も暑い日が続く見通し。災害に見舞われた熊本や千葉は厳しい環境での対応になる。安全衛生対策を担う複数のゼネコン関係者は異口同音に「対策強化の成果と課題をきちんとフィードバックすることが大切だ」と指摘する。


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from 企業・経営 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=186943
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西日本高速関西支社/滋賀管内舗装補修入札公告/8月31日まで参加受付

 西日本高速道路関西支社は7月29日、「令和8年度滋賀高速道路事務所管内(特定更新等)舗装補修工事」の条件付き一般競争入札を公告した。申請書などの提出は31日まで受け付ける。入札書の提出期間は11月10日~12月3日。同8日に開札を行う。
 参加資格は舗装工事等級Aの認定を受けている単体または等級AとBの2者による特定JV。単体とJVの代表者・構成員は表層の設計舗装面積が1万平方メートル以上のアスファルト舗装工を実施した工事、高速自動車国道、自動車専用道路、歩行者、自転車と原動機付き自転車の通行が禁止された道路の交通規制(本線の車線減少)を実施した工事(通行止め、片側交互通行、路肩規制、IC規制と料金所規制は含まない)の施工実績があることなど。
 滋賀高速道路事務所管内で、切削オーバーレイ工による舗装補修を行う。概算数量は切削オーバーレイ工約4万4000平方メートル。
 工事場所は滋賀県東近江市尻無町~大津市追分町、滋賀県甲賀市甲賀町~草津市野路町、大津市瀬田神領町~京都府宇治市二尾勢ノ谷。
 工期は480日。発注者が定めた一定の期間内で落札者が工事の開始日を任意に選択できる余裕期間設定工事。2027年5月までに着工することが条件。
 総合評価方式(技術評価最高16点)を適用する。落札決定は12月22日を予定。契約後VE、単価表の提出、総価単価契約を適用。週休2日促進工事(発注者指定方式)で工事工程表を開示する。


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from 工事・計画 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=186937
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大林組、AGC/廃棄窓ガラスをフロート板ガラスにリサイクル/資源の循環利用促進

 大林組とAGCは19日、建物の解体工事で発生した廃棄窓ガラスを建築用フロート板ガラス製造原料の一部に使い、建設現場で活用する「水平リサイクル」の仕組みを構築したと発表した。三菱UFJ銀行本館(東京都千代田区)解体工事に初適用。回収した窓ガラスで製造した板ガラスを、大林組施工の建設現場で利用する予定。解体現場由来の窓ガラスを原料の一部にし、フロート法で板ガラスを製造するのは国内初という。
 水平リサイクルはまず、大林組が請け負った解体工事で発生する廃棄窓ガラスを回収し、中間処理工程でカレット(再生原料)に加工する。茨城県神栖市にあるAGC鹿島工場に搬入し、原料の一部に使用。高い原料品質が求められるフロート法で製造した透明なフロート板ガラスを、大林組が施工する建設現場で再利用する流れだ。
 三菱UFJ銀行は、2025年2月に三菱UFJ銀行本館の解体工事に着手。大林組らが解体施工を手がけた。26年4月には「MUFG本館」建設が着工。大林組・戸田建設・錢高組・大末建設・鉄建建設JVの施工で、30年10月の完成を予定している。
 本館解体工事では149トンの廃棄窓ガラス(グラスウール再生分含む)をリサイクルし、81トンの板ガラスに再生した。水平リサイクルによって二酸化炭素(CO2)排出量が49トン削減と試算している。
 従来のガラスリサイクルは、廃棄ガラスを型板ガラスや網入りガラスにリサイクルしている。今回の取り組みにより、汎用(はんよう)性の高い透明フロートガラスの原料の一部として活用するリサイクルを実現し、建築用板ガラス全体への展開が可能となった。これにより、ガラスリサイクルのさらなる拡大や高度化を後押しするとともに、資源の循環利用促進と、製造・輸送に伴う環境負荷低減につながるサプライチェーン(供給網)構築が期待できる。


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from 技術・商品 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=186946
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2026年8月19日水曜日

回転窓/観光資源としてのインフラ

 観光地として名高い栃木県の日光は、数多くのダムを抱える地域でもある。鬼怒川の温泉街から車で40分も走ると、上流エリアに点在するダムの一つ、湯西川ダムが姿を現す▼完成は2012年と、国が管理する五十里、川治、川俣の3ダムに比べて新しい。国内で標準とされる重力式コンクリートダムは、大雨の際に洪水を調整したり、工業や都市用水として下流域に水を供給したりと、多くの機能がある▼水陸両用車で湖からダムを見るツアーがあると聞き、参加してみた。取材で何度も訪れてはいるが、堤体から見下ろす以外にダムを見たことがなかった小欄にとって、風景の一つ一つが新鮮に映った▼車体が湖に入る瞬間は多くの参加者が緊張の面持ちだった。車内では、ダムの歴史や役割などを添乗員が分かりやすく解説してくれる。約90分の短い冒険だが、充実した時間を過ごすことができた▼普段の生活でインフラのありがたみを実感できる場は少ない。そういう意味で、インフラツーリズムは貴重な機会だろう。ツアーには多くの子どもも参加する。建設業の担い手になってくれればと願うのは、少々欲張りなのだろうか。


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東京・大田区/樹木の安全対策強化/補正予算に関連費、診断対象拡大

 東京・大田区は、都内で倒木事故が相次いで発生していることを受け、公園や道路の樹木の安全対策を強化する。関連経費として約4300万円を2026年度第3次補正予算に盛り込んだ。従来実施してきた点検から診断、伐採までの維持管理体制を継続しながら、診断対象の樹木の数を増やす。気候変動や老朽化、病害虫被害などが原因で起こる倒木事故を未然に防ぎ、区民が安心して過ごせる公園や道路を実現する。
 区は公園樹木約5万本、街路樹約1万本を管理している。補正予算を使って診断対象の樹木数を増やし、27年度以降に診断予定だった樹木も前倒しで診断することで、危険な樹木への対応を早める。災害時の避難経路となる重要路線にある街路樹を重点的に診断する。
 診断対象の樹木選定は、まず区の職員が巡回・点検で幹の空洞やキノコの発生、病害虫被害などを確認する。異常が見つかった場合、樹木医などに依頼し詳細に診断する。専門事業者はレジストグラフや音波診断などの非破壊検査を使って診断し、幹断面の空洞率が50%以上の場合、倒木の危険があると判断。区が造園事業者に依頼して伐採する。
 診断の結果延命可能と判断した樹木は、造園事業者が枝葉を刈り込み風圧を減らす。病害枝を除去して倒木リスクも低減する。
 区が新たに補正予算を編成して樹木の安全対策を強化する背景には、都内各地で倒木事故が頻発していることがある。3、4月にかけて、世田谷区の砧公園で倒木事故が相次ぎ発生した。目黒区、町田市でも同様の事故が起きた。大田区で倒木は発生していないが、事故を未然に防ぐことで区民の安全を守る。
 倒木の増加には複合的な要因があるが、気候変動による生育環境の変化に加え、台風などによる強風被害の激甚化の影響が大きい。気温の上昇で樹種に適した生育環境が保てなくなっている。台風などの強風で枝が折れ、そこから腐朽が進むケースもある。
 区内では20年ごろから幹に穴を開け生息するカシノナガキクイムシの被害が発生している。都内では幼虫が幹の内部を食い荒らす外来種のクビアカツヤカミキリも確認されている。
 さまざまな要因で樹木を取り巻く環境は変化している。倒木事故は今後も増える可能性がある。区は補正予算を活用して樹木の健全性を確保し、区民が安心して過ごせる公園・道路づくりを進める。


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東北整備局/25年度の地下占有物調査/国道は181カ所で空洞確認

 東北地方整備局は2025年度に実施した国管理道路の路面下空洞調査状況をまとめた=表参照。25年度は管理延長全体の約2割に当たる568キロで調査し、181カ所の空洞を確認した。このうち補修済みは35カ所。未補修の箇所は空洞の拡大状況と社会的影響の度合いなどを考慮し、補修や経過観察といった対応を取る。
 8月上旬に各県で開いた県地下占有物等連絡会議で報告した。同会議は県道路メンテナンス会議の下部組織。25年1月に埼玉県八潮市で発生した下水道管の破損に起因する大規模道路陥没事故後、初年度の調査となった。
 国道を対象とした路面下空洞調査は、5年に一度の頻度で電磁波を用いて実施している。今回、スコープなどによる詳細調査を行った結果、岩手(125カ所)と宮城(45カ所)で空洞を多く確認した。
 このほか25年度に各管理者が実施した地下占有物の点検状況を見ると、電力施設の洞道は6県9カ所で点検し、不具合はゼロ。同じくマンホールは2169カ所を調査し、青森県内の6カ所で不具合があり、全て対応済み。通信施設は洞道、マンホールとも不具合箇所はなかった。
 ガス施設は6県3587キロで点検を行い、75カ所の不具合を確認。ほぼ措置済みで、秋田の7カ所のみこれから対応する。
 水道施設(上水道と簡易水道)は、6県4万9024キロを点検(宮城・山形・福島は巡視延長と漏水調査延長の合算)。不具合3921カ所のうち、措置済みは2792カ所。
 下水道は6県1697キロで点検し、約25キロで不具合を確認。このうち措置済みは約2・8キロにとどまる。
 電信柱は6県58本で不具合があり、25年度に11本を措置。残る47本は25年度以降に対応するとした。電力柱については25年度に不具合処置箇所はなかった。


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地域発/松嶋建設/失敗も発信しつながり築く

 ◇衛星画像活用した災害現場の被害状況解析の取り組み
 富山県立山町に本社を置く社員17人の松嶋建設(松嶋幸夫社長)が、先端技術を駆使して現場業務の効率化に挑んでいる。砂防施設の管理や除草、除雪を担う同社は、国の請負業務などで災害時に現場へ駆け付けることもしばしばだ。松嶋幸治代表取締役専務は「失敗も含め、ありのままの現実を発信することが成功につながる」と語る。衛星画像を現場に取り入れる取り組みをSNSで発信し続けたことで、専門家とのつながりを築いた。
 同社は、富山県建設業協会と県との協定に基づき、2023年6月に富山県を襲った線状降水帯による豪雨災害で、標高1000メートルを超える立山連峰の山中へ出動した。土砂災害は20キロ四方、232カ所に及んだ。松嶋氏は「広域の被害状況を効率的に把握するには衛星画像が最適」と判断し、富山県立大学との共同研究に乗り出した。
 当初は双方に専門人材がおらず、研究は難航した。それでも松嶋氏は、「衛星画像の解析に挑戦するも失敗続き」という自社のありのままの状況を発信し続けた。投稿は次第に第一線で活躍する衛星画像の専門家の目に留まり、やりとりを重ねる中で直接指導を受ける機会を得た。松嶋氏は「物おじせず飛び込む姿勢が実を結んだ」と振り返る。
 同社は24年1月、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が事務局を務める衛星地球観測コンソーシアム(CONSEO)に加入した。同社によると、建設会社の衛星画像解析分野での加入は初めてという。大手宇宙関連企業も多く参画する中、松嶋建設は「地方の現場や学生にも分かりやすい」衛星データの活用を目指す。
 CONSEOが主催する官民連携の災害対応訓練では、同社は衛星データ解析を担った。土砂崩れによる道路崩落や河道閉塞(へいそく)箇所などの被害推定地点を抽出し、衛星画像データの受領から約1時間半で解析できることを確認した。

 同社のDXは、日常の維持管理業務にも広がっている。立山連峰から富山湾に注ぐ常願寺川では、延長36キロにわたる堤防の除草作業管理にGISを導入した。
 グーグルマップをベースに自作した「河川管理デジタル地図」に、マンホールや地中ケーブルなどの位置情報を取り込んだ。これにより、背丈ほどある草に隠れた危険な埋設物もスマートフォンで視覚的に把握できるようになった。
 これまで砂防や維持管理の現場は、熟練技術者の経験に大きく依存してきた。「雨が降ると危険な場所」といった地域特有の暗黙知は、担当者が代わると引き継がれないこともある。紙の台帳を電子化し、写真やメモと連携させたこのシステムは、現場の安全確保だけでなく、発注者である自治体とのコミュニケーションツールとしても威力を発揮している。松嶋氏は「現場目線で本当に役立つデータをそろえている」と胸を張る。

 山奥の砂防現場など、建設業には常に危険と隣り合わせの環境がある。松嶋氏は「危険な作業を次の世代まで背負わせるのかという強い危機感がある。先進技術を取り入れ、より安全で負担の少ない現場を目指したい」と語る。次代を見据えた松嶋建設の挑戦は続く。

 松嶋建設
 □本社=富山県立山町道源寺574
 □電話=076・463・0885
 □ホームページ=https://www.e-matusima.co.jp/
 【会社概要】
 1953年に創業。立山地区を中心に土木工事や河川の維持管理などを手掛ける。


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