2021年12月8日水曜日

【回転窓】地震の予知技術

  仕事柄、セミナーなどに参加する機会は多いが、いつまでも記憶に残る話は少ない。2008年7月に宮城県栗原市で開催された日本地震学会の岩手・宮城内陸地震に関する住民向けセミナーは今も印象に残っている▼「数日前からニワトリが異常に鳴いていた」「変形雲を見た」「川魚が群れていた」など、被災住民らが地震の前兆として気が付いたことを次々と報告していた▼「まさか」と思うような話もあったが、いろいろな話を聞いているうちに、人間よりも臭覚や聴覚などに優れている動植物は地震の予知能力があるかもしないと思い始めた▼気象庁のホームページにも地震は地中の広い範囲で固い岩盤同士が破壊し合い、ずれ合う大きなエネルギーの集中や解放を伴うため、地震発生前から微弱で特異な音や電気、電磁波、匂いなどが周辺の地面や大気などに現れ動植物が感じ取る可能性はあるかもしれないと、否定はしていない▼鹿児島県のトカラ列島近海や山梨県、和歌山県など、このところ地震が頻発している。技術の革新が進む人工知能(AI)やセンサー技術などを活用した地震予知技術の開発が待ち遠しい。

【国内最大規模の流水型ダムに】球磨川流域の新たな流水型ダム、従来計画の位置に建設へ

熊本県相良村にある流水ダムの建設予定地

  国土交通省九州地方整備局は、2020年7月の豪雨災害で大きな被害を受けた球磨川流域の治水対策に関連し、「新たな流水型ダム」の建設地を固めた。球磨川水系川辺川で計画していた貯留型ダムと同じ場所(熊本県相良村)で、流水型ダムとして国内最大規模になる見通し。

 7日に九州整備局の藤巻浩之局長が蒲島郁夫熊本県知事、ダム上流の五木村と建設地の相良村を訪れ、検討段階にあるダムの諸元を説明した。

 ダムは洪水調節専用として建設する。建設地は四浦。従来はアーチ式コンクリートダムだったが、重力式コンクリートダムに変更する。高さは従来と同じ107・5メートル。湛水面積も従来と同様の約3・9平方キロを計画する。堤頂長は約300メートル。総貯水容量は約1億3000万トンで、洪水吐きに可動式ゲートの設置を検討している。

 藤巻局長は従来計画と同じ場所を建設地にした理由について、住民の生活再建状況や仮排水路トンネルの完成などを挙げた。流水型ダムは今後策定する球磨川水系河川整備計画で、治水対策の一つに位置付ける。九州整備局は河川整備計画の策定に向け、球磨川水系学識者懇談会を13日に開きダム諸元を説明する。

【働き方改革や作業環境改善に効果】JR東日本、終電繰り上げで工事時間を確保

常磐線北松戸駅でのホームドア工事(報道発表資料から)

  JR東日本が終電時刻を繰り上げて夜間工事の実施時間を確保し、施工効率を高めている。3月のダイヤ改正で東京100キロ圏の主要路線で終電から初電までの間隔を拡大。軌道敷設工事で作業効率が約1割向上し、一晩当たりの施工延長が伸びた。ホームドア工事では当初計画と比べ工期を約1割短縮できた。機械化の推進による労力軽減や工期短縮などを通じ、工事従事者の働き方改革の実現につなげていく考えだ。

 同社は東京から100キロ圏の主要路線で終電を30分程度繰り上げ、一部は初電を繰り下げた。中央線立川駅~八王子駅間のTC型省力化軌道(テクニカルセンター独自開発の省力化軌道)の敷設工事では、終電と初電の間合いが最大25分拡大し226分となり、準備、片付け、点検などを除く実作業時間を146分(ダイヤ改正前111分)確保した。1割程度、施工効率が向上した。

 機械化による労力軽減も推進した。中央快速線グリーン車の導入に向けた三鷹駅分岐器の撤去・敷設工事(終電と初電の間合い29分拡大)では、人力作業から大型機械での施工に変更し、約320人(作業8日分)の労力が軽減できた。

 作業間合いの拡大に加え、全体工程の最適化によってバリアフリー設備などを早期に供用開始できた。常磐緩行線北松戸駅ホームドア工事(間合いは最大42分拡大)では工期が約1割短縮。これに伴いホーム上などの作業スペース(仮囲い)の設置期間を1割程度短縮できた。

 一晩当たりの検査数量が増加し夜間作業の回数を削減。終電が多少遅延した場合でも夜間作業を中止せず、計画通りに工事を進めることができた。同社は今後も工期短縮や労力軽減などにより、工事従事者の休日増加などを支援していく。

2021年12月7日火曜日

【回転窓】インフラをもっと身近に

  冬の足音が大きくなり、東京でも朝晩の冷え込みが身に染みるようになった。雪の便りも聞こえてくる。気象庁の3カ月予想によると、北海道や北日本の日本海側は平年に比べ曇りや雪の日が多いそうだ▼秋田県のリゾート地でスキー場でも有名な田沢湖周辺。秋田駒ケ岳の火山防災を目的に整備している砂防堰堤で面白い取り組みが進んでいると聞いた。国土交通省東北地方整備局と秋田県仙北市が建設している「水沢第2砂防堰堤」のコンクリート壁にボルダリングウオールを整備するという話だ▼壁は全長30メートル。高さは2~3メートルで上方向のクライミングコースと、壁伝いに横移動するトラバースコースの2種類で初級者から上級者までが楽しめるそう▼地域を災害から守るためのインフラを地域振興にも活用する。インフラツーリズムを発展させた取り組みは非常に面白いと思う。高知県にある横瀬ダムにもクライミングウオールがあり、群馬県の八ツ場ダムや福井県の足羽ダムでもプランが練られているという▼積雪地なこともあり、水沢の施設は来春がオープン予定。ぜひ多くの人に親しまれる施設になってほしい。

【記者手帖】人材育成の難しさ

  「発注者にプロジェクトの青写真を描ける人間が少なくなった」。取材で十数年ぶりに応対してくれた東京都の営繕担当部長の言葉が心に突き刺さった。公共建築の発注は景気や財政状況によって、もろに影響を受ける。大規模で複雑な事業ほど多くの知見が得られる一方、緊縮財政下で同等のノウハウを得るのは難しい。担当部長の表情は終始曇りがちだった◆人材の確保・育成は受発注者共通の課題だ。ある建設コンサルタントの経営トップは「インフラ整備が急ピッチで進む中国は、技術者のレベルも格段に上がっている。いずれ日本は経済だけでなく、技術力でも差をつけられる」と先を読む。「日本の技術は世界最高レベル」と言われていた時代は終わったのだろうか◆多くの経験で身に付けた知識は唯一無二の財産。記者という仕事であれば、多くの人と会話をし、さまざまな記事を執筆する作業こそが成長する鍵を握る。「困難な時こそステップアップするチャンス」。新人時代に先輩から言われた一言で自分自身を鼓舞している◆記者生活16年。自分を成長させつつも、後輩記者をどう育成するか。常に模索している。(司)

【完成は1932年、6車線化に対応へ】関東整備局、隅田川に架かる「両国橋」の改良を検討

現在の両国橋(国交省関東整備局東京国道事務所提供)

  国土交通省関東地方整備局は「R3両国橋改良計画検討業務」の委託先をエイト日本技術開発に決めた。公募型プロポーザルには同社だけが参加した。決定日は11月26日。近く契約する。履行期限は2022年6月30日。

 隅田川に架かる両国橋は、国道14号の一部で東京都中央区東日本橋2~墨田区両国1を結ぶ。橋長165m、幅員24mで1932(昭和7)年5月に完成した。形式は3径間ゲルバー式鋼板桁橋。設計は東京市。石川島造船所(現IHI)と間組(現安藤ハザマ)が施工した。

 橋幅制限で5車線となっているが橋の前後区間で6車線化が進んでいるため、拡幅か架け替えを検討する。橋梁予備設計も任せる。

 両国橋の歴史は古く、江戸時代初期に最初の橋が架けられた。明治期に架けられた橋は関東大震災でも大きな損傷がなかったものの、隅田川に架かる橋の架け替えに合わせ現在の位置に移った。土俵をデザインした円形バルコニーなど相撲を意識した意匠が特徴で、東京都選定歴史的建造物になっている。

2021年12月6日月曜日

【回転窓】動線計画も重要文化財

  東京都渋谷区にある「国立代々木競技場」が8月に国の重要文化財(重文)に指定されたことは記憶に新しい。重文指定を追い風に建築界では世界遺産登録を目指す機運も高まっている▼言わずと知れた建築家・丹下健三氏(1913~2005年)の代表作。つり構造の屋根によりダイナミックな外観と中央に伸び上がる壮大な内部空間を創り出し、「デザイン的にも技術的にも秀でた戦後建築を代表する作品」と評価された▼先日のメディア見学会で「石敷きやプロムナードも建物の一部として指定範囲に含まれている」と文化庁の担当官。丹下氏が描いた動線計画も文化財として保護されたのだという▼建物だけでなく動線も含めて高く評価されたことはどんな意味があるのか。広い視野で動線を計画し、建築と都市をつないで人の流れを生み出す。そんな構想力が求められているのかもしれない▼64年の東京五輪のために建設された競技場は今夏の大会でもハンドボールなどの会場になった。リビングヘリテージ(生きている遺産)の重文指定を受け、一般の人たちが近現代建築に関心を寄せるきっかけにぜひなってほしい。

【12月14日から、イメージは「夜明け」】JR東日本と三菱地所、東京駅周辺エリアをライトアップ


 東京・丸の内エリアが夜明けをイメージしたイルミネーションで包まれる--。JR東日本東京支社と三菱地所が14~25日の12日間、東京駅周辺エリアで「東京ミチテラス2021」を開催する。演出テーマは「夜明けの光景」。駅舎や広場の樹木などエリア全体を「夕闇から夜を越えての日の出」を表現したカラーリングで徐々に移ろいながら染め上げる。

 会場は東京駅の丸の内駅舎と丸の内駅前広場、行幸通り。「新たなフェーズ・新時代の幕開け」から着想を得た演出で、優しさあふれるイルミネーションイベントとして会場一帯を照らす。時間は午後3~9時。

 大丸有(大手町・丸の内・有楽町)エリアでは22年2月20日まで「丸の内イルミネーション2021」が行われている。メインストリートの丸の内仲通りを中心に、丸の内エリア内340本を超える街路樹がシャンパンゴールド色のLED約120万球で彩られている。

【土木デザインの在り方示す】土木学会デザイン賞、最優秀に「長門湯本温泉街」など

長門湯本温泉街(土木学会提供)

  土木学会(谷口博昭会長)景観・デザイン委員会主催の「土木学会デザイン賞2021」で、2021年度の最優秀賞と優秀賞、奨励賞の計11作品が決まった。最優秀賞に「高田松原津波復興祈念公園国営追悼・祈念施設」(岩手県陸前高田市)と、「長門湯本温泉街~長門湯本温泉観光まちづくりプロジェクト」(山口県長門市)を選んだ。

 土木学会(谷口博昭会長)は3日、「土木学会デザイン賞2021」の受賞作品を発表した。応募20作品を審査し、最優秀賞に「高田松原津波復興祈念公園国営追悼・祈念施設」(岩手県陸前高田市)と、「長門湯本温泉街~長門湯本温泉観光まちづくりプロジェクト」(山口県長門市)の2作品を選定。優秀賞5作品、奨励賞4作品も選んだ。授賞式は22年1月22日に東京都新宿区の土木学会講堂で行う。=1面参照

 同学会景観・デザイン委員会デザイン賞選考小委員会の中井祐委員長(東京大学大学院工学系研究科社会基盤学専攻教授)は最優秀賞2作品を講評。高田松原津波復興祈念公園国営追悼・祈念施設は、「公共土木のデザインで最も優れた例の一つと思う」と述べた。

 長門湯本温泉街は「民間企業(星野リゾート)が介在することで街づくりの機運を高め温泉街の再生につなげた。(高田松原津波復興祈念公園国営追悼・祈念施設とともに)これからの公共土木事業でデザインのモデルになるだろう」と話した。

高田松原津波復興祈念公園国営追悼・祈念施設
(撮影・吉田誠、土木学会提供)

 デザイン賞は、優れた公共的な空間や構造物の設計作品の表彰を通じて、土木デザインや設計者・デザイナーの重要性を社会に広める目的で毎年選定している。同学会景観・デザイン委員会が01年度に創設した。各賞の概要はホームページで公開している。

 優秀賞、奨励賞の受賞作品は次の通り。

 【優秀賞】

 ▽藤沢駅北口ペデストリアンデッキのリニューアル(神奈川県藤沢市)▽南町田グランベリーパーク(東京都町田市)▽天龍峡大橋(長野県飯田市)▽長崎市まちなか夜間景観整備(長崎市)▽九段坂公園(東京都千代田区)

 【奨励賞】

 ▽さくらみらい橋(横浜市)▽線路敷ボードウォーク広場(大分市)▽水木しげるロードリニューアル事業(鳥取県境港市)▽松原市民松原図書館(大阪府松原市)。

【跡地に暫定客船ターミナル建設へ】晴海客船ターミナル(中央区)、22年7月にも解体着手


  東京都は、晴海埠頭の南端にある「晴海客船ターミナル」の解体を2022年7月にも始める。工期は23年4月末までを予定。1991年に完成した延べ約1・8万平方メートルの建物を除却し、暫定的に使う客船ターミナルを跡地に建設する。着工や竣工の時期は未定。暫定利用終了後、最終的には緑地を整備する方針だ。

 晴海客船ターミナルの所在地は中央区晴海5の7の1ほか。既存施設の規模は延べ1万7639平方メートル、建築面積8470平方メートル。建築家・竹山実氏(1934~2020年)の代表作として知られる。温室のような外観が特徴で、テレビや映画のロケ地としても人気になった。

 解体跡地に設けるターミナルは、20年9月に開業した「東京国際クルーズターミナル」(江東区)で予定されている停泊施設の増設が完了するまで、船舶受け入れ機能を補助する役割を担う。暫定ターミナルの規模は延べ4000平方メートル程度を想定。梓設計が基本設計を手掛け、10月1日に業務を終えた。実施設計の発注予定などは決まっていない。

 今後、都はターミナルの近隣住民や区などに解体工事の進め方などを説明する。調整内容次第でスケジュールなど計画を変更する可能性がある。

【凜】国交省不動産・建設経済局・横田僚子さん

 ◇働き手と家族の幸せのために◇

  年初に4人目の子どもを無事に出産、産休明けの4月から現職に。建設業界に直接関わる部署は初めて。専門工事業団体のトップと接する機会も多い。若い世代の入職者が少ないという窮状を聞きながらも、「みんなで業界を良くしていこうという前向きな熱意を感じる」。現場の声に応えようと試行錯誤する日々だ。

 仕事と家庭の両立には周囲とのコミュニケーションが必要と実感している。保育園に預ける子どもの送り迎えや突然の体調不良など、子育てには制約がつきもの。周囲と話しができていれば仕事の段取りや調整はスムーズになる。仕事とプライベートの線引きはなかなか難しい。さまざまな悩みを受け入れる素地を職場で整える必要もあると考えている。

 家庭内でも夫婦間の“ほうれんそう(報・連・相)”は欠かせない。0~8歳の4人姉妹。面倒を見るのは苦労が多い。夕方以降に仕事が立て込む時期は、保育園帰りの子どもを連れて職場に戻ることもある。それができるのも周囲の理解があってこそだ。

 子どもと近所を散歩していて建設現場の前を通ることがある。「お母さんは大工さんたちのための仕事をしているんでしょ」と言われることがうれしい。建設業に携わる人たちが働きやすく、安全に仕事ができる環境を実現するにはどうしたらいいか--。働き手はもちろん、家族の幸せも思って仕事に励む。

(よこた・りょうこ、建設市場整備課専門工事業・建設関連業振興室長)

【中堅世代】それぞれの建設業・303

利用者の意向を踏まえた施設整備が求められている

 ◇議事運営通して視野広がる◇

  地方都市にある私立大学で働く熊崎篤志さん(仮名)はここ数年、キャンパスの再整備事業に携わってきた。「『学生のために』という気持ちを原動力に仕事してきたが、再整備事業に関わったことで初めて苦い経験をした」。キャンパスに対するさまざまな要望や思惑が交錯する中で、板挟みになるケースも少なくなかった。

 熊崎さんは大学で文学を専攻した。在学中に発生したリーマンショックの影響で、就職活動が「就職氷河期並みに厳しい」といわれた時期に当たってしまった。景気の先行きは不透明。不安を抱えながら就活で、「大学職員」は安定志向の学生に人気だった。熊崎さんも複数に応募し、幸運にも母校の大学に事務職として採用された。

 働き始めて12年、学生の就活支援、広報などの仕事を経験した。今年の3月まではキャンパス再整備事業を担当。建築系学部が主導するプロジェクトの基本構想や計画の検討委員会を運営事務局としてサポートした。

 再整備事業は、複数あるキャンパスを都市部のキャンパスに段階的に集約するのが柱。検討委で学生の増加に合わせた教室棟や図書館、体育館など施設機能の増強や配置計画などを話し合った。

 「建築設計に関する知識は皆無だが、会議運営なら自分にもできる」と高をくくっていたが、そんなに甘い仕事ではなかった。検討委でキャンパスの限られた敷地を有効に使うため、図書館と体育館を一体的に建て替える案が浮上した。合理的でいい案だという意見が大勢を占めたが、図書館の上に体育館を置くという計画に文学部の教授が猛反発した。

 静かに読書をする図書館の上に騒々しい体育館を置くのは許せない。それが反対の理由だった。「最も図書館を利用する文学部が反対しているのに、本をろくに読まない学部の意見を押し通すのか」という乱暴な意見も飛び出し、検討委は紛糾した。

 文学部出身の熊崎さんも教授たちの思いは理解できた。葛藤もあったが「『会議の円滑な進行』という仕事を全うする」との信念が勝った。会議後、教授たちの意見を尊重しつつ、円滑な議事運営のためにも発言の仕方に配慮してほしいとお願いして回った。それ以降は会議が荒れることはなく、建設的な議論が行われた。紆余(うよ)曲折はあったが文学部の意見が通り、体育館と図書館を分けるプランが決まった。

 再整備事業で教授陣と向き合い、学生だけでなくキャンパスの全利用者を強く意識するようになった。苦労はあったものの視野が広がる得難い経験だった。計画道半ばで今後も施設整備は続く。「多くの人にとって使いやすいキャンパスになるように」。そう願いながら、利用者の一人として事業の行方を見守っていく。

【やっぱり!マイ・ユニホーム!!】西川電業(福井市)「視認性アップで現場の安全にも貢献」


  西川電業(福井市、西川政弘代表取締役)が10年以上着用していたユニホームを2020年に刷新した。コーポレートカラーのグリーンを踏襲しつつ、色調を淡いものから明るくはっきりした緑色に変更。同業者と並んでもひときわ鮮やかで「作業中も目立ちやすい」と現場の安全管理者にも好評だ。上着とパンツは軽くてストレッチの効いた生地を使い、動きやすさにこだわった。

 夏冬用と防寒服を展開。夏用は風通しが良くて乾きやすい素材。汗をかいてもサラリとした肌当たりを維持する。冬用は生地の伸縮性を重視し、体になじむ作りになっている。防寒服は軽さを追求している。

 「動きやすい作業服がいい」という社員の声に応え、生地にストレッチ素材を採用。財布やスマートフォンが入る大きめのポケットを付けた。「かっこいいデザインでモチベーションが高まる」と若手だけでなくベテラン社員もお気に入りだ。

 リニューアルを担当した総務部の小浜優菜さんは「就職説明会で積極的にアピールする」と話している。

【駆け出しのころ】東急建設執行役員建築事業本部法人営業統括部長・久田浩司氏

  ◇方程式を解く営業の喜び◇

 大学時代は就職先に金融関係を志望する人が周りに多かったのですが、自分にはもっと別の道があるのではと思い悩んでいました。たまたま自宅の近くに建設現場があり、だんだんと建物が形になり汗水流して働く人たちの姿を見て、建設業への関心が湧いてきました。

 入社当時の当社は建設業界の中でも設立から二十数年と若い企業で、生き生きとした印象を受けました。最初に配属された東京支社の会計課では10カ月ほどの研修を経て、渋谷周辺の建築工事の現場事務を担当。忙しい時は最大5、6現場を兼務し、現場を駆け回って経理関係の処理をしていました。

 3年目ごろまでは担当業務をこなすのが精いっぱいで、主体的に業務を改善しようとまで頭が回りません。担当現場の事故対応も経験し、安全の大切さを痛感するとともに、建設業は人の力を結集したものづくりだと再確認しました。一つの現場をじっくりと担当した期間はわずかでしたが、業務に関わった工事のビルが竣工した時の喜びは大きかったです。

 5年目に九州支店の経理課に異動しました。仕事の規模が大きく、量も多かった東京との違いを感じましたが、支店長をはじめさまざまな部署の人たちと距離が近く、何でも話が聞ける環境は良かったです。個々の動きと地域や事業全体の動きが見られたのは、自分の成長につながりました。

 2年ほど経理を担当した後、営業に回ります。自信はまったくありませんでしたが、先輩の「営業は方程式だ」という言葉に興味を持ちました。受注という答えに行き着くには顧客のニーズやキーマンなど、さまざまな要素を探りながら組み立てた方程式を解き、最後に喜びを味わう面白さを語ってくれました。

 最初は官庁営業を任され1日だけ先輩と一緒に回りました。次から地図を見ながら車を走らせ、営業先を一人で回る日々。携帯電話もない時代、先輩からの「どこでサボっていても誰も分からないが、半年、1年後に支店長や上司とのあいさつ回りの時にその間のあなたの仕事ぶりが全部分かる」との言葉が心に残っています。

 あちこち回って1週間で配った名刺は500枚以上。数カ月してこれでは仕事は取れないと思い、これまで支店の現場などで付き合いのあった地元建設会社の方々と相談しながら情報を集め、時には応援してもらいました。初めて自分なりに工夫し、学校関連の工事を受注できた時の喜びと自信が営業を続けるモチベーションになりました。

 100件の仕事があれば、100通りの営業スタイルがあります。組織的な営業戦略も重要ですが、足を運んで人と会うという基本は一緒です。チャンスを見逃さないためにも、歯を食いしばって人に会う回数を増やす。多くの人に会いながら刺激を受け、勉強させてもらえる営業は魅力のある仕事です。

入社5年目、九州支店で経理課に勤務していた(中央が本人)

 (ひさだ・こうじ)1987年鹿児島大学法文学部経済学科卒、東急建設入社。執行役員九州支店長などを経て2021年から現職。鹿児島県出身、58歳。

2021年12月3日金曜日

【職人ニーズに応えます】ワークマン、東京都板橋区にプロ仕様の店舗オープン


  ワークマンは2日、東京都板橋区にプロ職人向けの新業態店舗「WORKMAN Pro(ワークマンプロ)板橋前野本通り店」をオープンした。同社は近年、女性や一般客をターゲットに出店を拡大してきたが、ワークマンプロはプロ仕様の商品を中心とした品ぞろえ。建設現場の最前線で活躍している技能者らをターゲットにする。

 1号店となる板橋前野本通り店(前野町4の14)は、本業回帰を目指したワークマンプロのモデル店。1日に報道機関向けの内覧会を開いた。元とび職人の山下幸一氏(NEXTWORKERZ代表)をアンバサダーに迎え、商品展開などでアドバイスを受けた。

 若年技能者の来店を狙い普段使いできるスタイリッシュな作業服をそろえる。「原点を忘れず、進化を止めない」がコンセプト。安価な工具の品ぞろえを拡充するとともに、見栄えの良い作業服の紹介など陳列方法も工夫する。

 山下氏は「服だけで満足せず工具や手袋、靴、手袋など、職人に関わるモノを濃厚にした。職人さんに楽しんでほしい」と話した。

 同社は職人向けニーズが高い地域にワークマンプロを出店していく。1号店以外は既存店の改装で10年後に200店を目指す。

【回転窓】子どもから需要喚起

  子どもは50円でどこまでも--。東京の新宿駅を起点に神奈川方面へ路線を延ばす小田急電鉄が、来春からICカード利用時の小児運賃を一律にする。大人運賃の半分以下に抑えるのは全国初▼親にはありがたい取り組み。若い子育て世帯が沿線で増えれば将来的な安定利用者の呼び込みにつながる。子ども連れの利用者が乗車できる車両の常設も検討中だ▼JR東海は新幹線の一部で子ども連れ専用車両を設定し土日に運行している。年末年始は土日以外にも広げる。周囲が同じ境遇であれば子ども連れでも気兼ねなく利用できる。子どもの声が気になる一般利用者にもメリットのある取り組みだろう▼あの手この手で需要喚起に躍起な鉄道各社。背景には長引く旅客の落ち込みがある。国土交通省の鉄道輸送統計月報によると、8月の旅客数はコロナ禍以前の2019年と比較し3割超のマイナスと依然低水準だ▼利用者減に対応するため運行本数を絞ると不便になり、さらに利用者が減る。地方の鉄道などで繰り返された構図だ。悪循環を断ち切り将来につながる魅力向上策をどう打ち出すか。鉄道各社の一手に期待したい。

【小田原市内にポケストップ25カ所】国交省、ポケモンGOと連携し歴史的建造物紹介

  国土交通省はスマートフォンの人気ゲーム「ポケモンGO」と連携し歴史的建造物をPRする。ゲームで使うアイテムが入手できる「ポケストップ」を、神奈川県小田原市内の25カ所に配置。ゲームと歴史的建造物巡りを楽しんでもらう。

 11月15日にポケストップを設置した。対象エリアは約425ha。旧東海道が通る板橋地区には、国の登録有形文化財に指定されている木造住宅「老欅荘」(板橋941の1)がある。かまぼこの本店が軒を連ねる「かまぼこ通り」(本町)の周辺地区なども含まれる。

 対象の建物に赴くとゲーム画面に説明が表示される。国土技術政策総合研究所(国総研)が運営するウェブサイト「歴まち情報サイト」にもアクセスできる。

2021年12月1日水曜日

【回転窓】コロナ禍の鍋料理

  なじみの料理屋から案内が届いた。「あったか~いお鍋でお待ちしています」。寒さとともに鍋料理が恋しい季節になった▼鍋料理にはふぐやカモ、あんこう、カキなどちょっとぜいたくなものから、湯豆腐やもつなど安価なものまで種々ある。最近ではキムチや豆乳など新味も人気という。テーブルに鍋を置き、食材を入れてゆでるだけ。こんなに簡単でおいしい庶民料理はない▼鍋料理が一般に普及し始めたのは江戸時代の頃から。調理器具である鍋を食卓で囲むスタイルは、いろりを囲む文化から発展したともいわれる。ぐつぐつ煮える鍋をみんなで囲み、箸でつつきながら食べるだんらんが楽しい時間であることは間違いない▼民間調査会社がまとめた忘年会と新年会に関するアンケート結果によると、忘・新年会を開催しないと回答した企業が約7割を占めた。コロナ禍で仕方がない面はあるものの、「飲みニケーション」で育った世代としては正直寂しい気もする▼きょうから師走。忘年会でみんなと鍋をつつくのは難しいかもしれないが、せめて仲間内で鍋を囲み、リモート飲み会では味わえないものを味わいたい。

【ふるさと納税返礼品にも】四電工のトマトハウス栽培が好調

ハウス施設を利用したトマト栽培。今年の生産量は60tに(四電工提供)

  四電工が徳島県吉野川市でトマト栽培に取り組んでいる。ハウス施設を利用した養液栽培でカラフルな多色ミニトマトやミディトマトを栽培し、消費者ニーズに応えている。8年目を迎えた今年の年間生産量は委託栽培を含め約60トン。スーパーや百貨店に独自の販路を確保しつつ、コロナ禍で好調なネット販売で顧客拡大を目指す。

 トマトの栽培は、四国の重要産業である農業への貢献や新たな収益確保の可能性を探るため、2013年9月にスタートした。栽培しているのは四電工アグリファーム吉野川農園(川島町児島西須賀220の1)。施設規模は約2800平方メートル、社員と現場スタッフ総勢8人体制だ。

 トマトの周年栽培には冬季の加温が必須となる。総合設備会社として培ったノウハウを駆使。暖房機器にヒートポンプを使い、安定した温度管理を実現している。同社と同じ四国電力グループの四国総合研究所が開発した栽培環境モニタリングシステムや農業用緑色LED照明を導入し、遠隔監視や独自栽培法に取り組んでいる。

 吉野川市の小中学校の給食は年2回、四電工のトマトがメニューに加わる。同市のふるさと納税の返礼品としても人気という。スーパーや百貨店に並ぶトマトには同社の商品と分かるようパッケージに社名を入れPRしている。ホテルやレストランで食材に使うケースも増えつつある。

 「現在は生食が中心。今後は加工食品の開発を模索している。収穫のない夏季に売り上げを創出したい」と話すのは事業開発担当の植松俊介企画部課長。トマトに続く作物の試験栽培にも意欲を見せる。

【施工は大林組JV】茨城建協、上曽トンネル(茨城県石岡市)で高校生見学会開く

  茨城県建設業協会(石津健光会長)は、茨城県石岡市内のトンネル工事現場で11月29日に高校生などが対象の建設現場見学会を開いた。

 水戸工業高校土木科の1年生40人が参加。完成すると県内最長となる「上曽トンネル」(延長約3・5キロ)で、同市側を掘削する大林組・株木建設・市村土建JVの作業を見学した。工事を発注した県と施工者の株木建設で働く同校OBがトンネルの役割や施工方法を説明し、坑内を歩いた。

 見学したのは、市が事業主となっている「(仮称)上曽トンネル本体工事(石岡工区)」。トンネルの石岡市側1・9キロをNATMで掘削する。2020年3月に着工し約330メートルを掘削した。見学会では同校OBがNATMの手順や掘削機械などを説明。「日本のトンネル技術は世界一と言われている」と紹介した。発破や土砂搬出の1サイクルで1~2メートル掘削が進み、1日に3~7サイクルを実行する現場の工程を解説した。

 「造ったものを使っていただいた時に達成感がある」などと仕事のやりがいや魅力を伝えた。引率の教員は「掘削中の工事はなかなか見られないので、貴重な機会になった。土木の仕事に就いてくれると期待している」と感想を述べた。

 建設現場見学会は、建設関係の学科がある高校、専門学校の生徒に建設業の仕事や魅力を紹介し、入職を促進するのが狙い。21年度は12回計画し今回で全日程を終えた。8校から約400人の生徒と教員が参加した。

【労災防止、さらに推進を】東京労働局、建設業死亡者増加受け集中指導実施

 東京労働局(辻田博局長)は死亡災害が増加している建設業を対象に集中指導を実施する。「年末・年始Safe Work推進強調期間」(12月~2022年1月)に先立ち、事業者団体などに労働災害防止活動のさらなる推進を要請した。

 期間中に東京都内の労働基準監督署は400カ所程度の工事現場で指導を実施。8日に辻田局長、22年1月には労働基準部幹部が現場をパトロールする。

 21年の建設業の死亡者数は、11月24日時点で18人(前年同期11人)。事故の類型別(10月末時点は15人)でみると「墜落・転落」が8人と半数を占め、「有害物等との接触」が3人、「飛来・落下」「崩壊・倒壊」「激突され」「交通事故」が各1人となった。

 都内の建設現場で死亡災害が増えていることを受け、東京労働局と労基署は同期間に、管内の建設工事現場で指導を集中実施する。幹部の現場パトロールを2回(例年1回)実施する。労基署による現場指導も400カ所程度実施する予定だ。

 「令和3年度年末・年始Safe Work推進強調期間の実施について」と題する局長名の文書を11月16日付で、労働災害防止団体や事業者団体など計117団体に通知。都内の各現場で安全機運の向上に向けた取り組みを一層推進するよう要請した。

 11月30日に都内で記者会見した辻田局長は、5~6月に実施した現場指導(785カ所)により大規模現場で発生件数が減少したものの、「中小の改修工事などで死亡災害が引き続き起きている」と指摘。「現場指導などを通じて現場の問題を分析した。明らかになった問題に対策を講じ災害防止につなげる」と述べた。

【60MW超でスタート、最大供給電力300MW超に】豪エアトランク、千葉県印西市にハイパーDC開設

DCの最終完成イメージ(報道発表資料から)

  オーストラリアのデータセンター運営会社・エアトランクは11月30日、千葉県印西市に国内最大級のデータセンター(DC)キャンパス「AirTrunk TOK1(TOK1)」を開設したと発表した。初期段階は60メガワット超の供給電力でスタート。キャンパス(約13・2ヘクタール)内に7棟の施設を整備する予定で、供給電力が最大300メガワットを超えるハイパーデータセンターを目指す。

 TOK1の所在地は牧の台2の1の1ほか。開設に先立ち現地で開かれたオープニングセレモニーには、印西市の板倉正直市長や関係者が出席した。板倉市長は「地域社会に多くの好影響と機会をもたらすことになる」と強調。大規模な投資などに加え、「地元の雇用とデジタルスキルの向上に期待している」と述べた。

 同社は渋谷に日本本社を開設。大規模データセンターの専門家チームのメンバーを増員している。日本本社の松下典弘代表は「今後も日本の事業に力を入れていく。データセンターとプラットフォームをスケールアップしお客さま、地域社会への貢献を続ける」と話した。

【総延べ21万㎡、来春着工へ】浜松町二丁目4地区A街区開発、世界貿易センタービル跡の施工予定者は鹿島

ビル群の完成イメージ(報道発表資料から)

  世界貿易センタービルディング(東京都港区、宮崎親男社長)らは、東京都港区の「浜松町二丁目4地区A街区」開発事業で、世界貿易センタービル跡地に建設する2棟のビルの設計者と施工予定者を鹿島に決めた。オフィスやホテルなどが入る総延べ約21万平方メートルのビルを整備する。2022年5月にも着工し27年2月の竣工を目指す。

 同街区はJR浜松町駅の西側に位置する。世界貿易センタービルやモノレール浜松町駅などを建て替え、総延べ約31万平方メートルの施設群を整備する。街区の南側で工事が先行。3月に延べ9・5万平方メートル規模の「世界貿易センタービル南館」が竣工した。事業には鹿島と東京モノレール、JR東日本も参画している。

 世界貿易センタービル跡地には「A-1」と「A-2」の2棟総延べ約21万平方メートルのビルを建設する。A-1は地下3階地上46階建て。高さは235メートル。主用途はオフィスで、高層部にMICE(国際的なイベント)開催を想定した国際水準のホテルを配置する。

 A-2は地下3階地上8階建て。高さは約50メートルとなる。バスターミナルやカンファレンスセンターなどを設ける。

 2棟の建設地に隣接するモノレール浜松町駅ビルは10月から建て替え工事に着手した。モノレールの運行を継続しながら延べ約1・1万平方メートルの駅ビルに建て替える。設計はトーニチコンサルタントとJR東日本建築設計。鹿島が施工している。29年12月の竣工を目指す。

【新型コロナ、感染状況予断許さず】オミクロン株対応、特定技能や技能実習の入国再開は不透明に

  新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン株」の感染拡大を受け、政府が11月30日から全世界を対象に外国人の入国を原則停止した。

 同8日以降の入国制限緩和で、建設分野の特定技能外国人や技能実習生、外国人エンジニアなど建設就労者の入国再開に道が開けたばかりの出来事。政府は当面12月末までの停止措置としているが、世界的な感染状況は予断を許さず先は見通しにくい。

 11月8日から長期滞在の新規入国者などは、国内の受け入れ先となる企業などから各分野の所管省庁へ申請書を提出し、事前に審査を受ければ新規入国が可能となった。

 建設分野を所管する国土交通省不動産・建設経済局国際市場課によると、制限緩和後の約3週間で多くの申請があったものの、実際の入国事例はごくわずか。外国人の新規入国は審査などに約5週間が必要となる場合があり、この短期間での入国再開は事実上、難しかったと言える。

 同課は「水際緩和措置と事業所管省庁による事前審査の停止について」と題する事務連絡を関係団体に同29日付で送付。新たな水際対策の内容を各団体の所属企業へ周知するよう依頼した。同30日以降は審査を終えて審査済証や査証を取得していても新規入国自体ができなくなる。

 日本人の帰国者には厳格な隔離措置を取る。例外なく14日間の自宅待機が必要になり、オミクロン株が確認された国や地域から帰国した場合は指定のホテルなどでの待機が課される。