2026年6月5日金曜日

回転窓/伝統の技を失う前に

 学名「ニッポニア・ニッポン」。「朱鷺(とき)色」と呼ばれる淡いピンク色の美しい羽を広げ、優雅に大空を飛ぶ国の特別天然記念物・トキは、まさに日本を象徴する鳥だ▼かつては日本各地に生息していたが、明治時代以降に乱獲や開発で、その数は激減した。1981年に野生のトキを保護して繁殖を試みるも失敗。日本のトキは絶滅した。その後中国から贈呈されたペアをもとに人工繁殖の技術を確立し、2008年に佐渡島で放鳥。自然繁殖にも成功して生息数は約500羽にまで回復している▼能登半島に位置する石川県羽咋市で5月31日、佐渡島のトキが本州で初めて放鳥された。人工ふ化や野生復帰に向け、懸命に努力を続ける関係者の喜びもひとしおであろう▼建設の世界には、現代の科学でも完全な再現が困難な「失われた技術」が数多く存在する。さらに職人の高齢化で伝統の技が失われる危機にも直面している▼使えなければ技術はいつか廃れる。伝統的な技を現代のエンジニアリングでアップデートし、社会の要請や現行の法規などに適合させる。使うことで技術は磨きがかかり、次世代へと伝わっていく。


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日建連意見交換会・北海道地区/適正な労務費確保と行き渡り要望

 日本建設業連合会(日建連、押味至一会長)と国土交通省北海道開発局など公共発注機関による北海道地区の意見交換会が4日、札幌市内で開かれた。日建連は公共工事標準請負契約約款の改正を踏まえ、適正な労務費などの確保と行き渡りと、契約変更における双務性の確保などの適正な契約環境の展開を要望。地方公共団体や民間発注者に対して約款の標準使用を求めた。=2面に出席者一覧
 遠藤達哉局長は「北海道では自然災害が激甚化、頻発化し、社会保障の整備、維持管理に加え災害対応の役割はますます重要だ」と述べた。公共工事標準請負契約約款について開発局は「民間発注者団体を個別に訪問して制度周知に努めている。2026年度も改正約款の積極的な利用を働き掛ける」と意欲を示した。
 日建連は、働き方改革のために資材価格の調査方法を改善した上で予定価格へ適切に反映するよう求めた。
 要請に対し、開発局は「現場の実態を歩掛かりに反映させるためには、待機や段取り替え、休憩時間など現場の実態把握が重要となる」と指摘。日建連に対して施工合理化調査への協力を求めた。
 開発局の工事積算で使用する資材価格は、物価資料に掲載された情報を採用している。毎月改定している資材に加えて、生コンなどの主要資材は各開発建設部で実勢価格を調査し、25年度は年2回、単価を改定した。26年度も同様の改定を予定しているという。


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広島市/広島城天守の木造復元へ/基礎地盤・石垣調査・検討支援プロポ公告

 広島市は広島城(中区基町)の天守群の木造復元に向け、現天守の解体や復元に伴う遺構への影響を調査する。4日に「広島城天守の木造復元に向けた基礎地盤及び石垣に関する調査・検討支援業務」の公募型プロポーザルを公告した。25日まで応募資格確認申請書を受け付ける。提案書の提出は7月21日まで。8月下旬に審査結果を通知する予定だ。
 参加資格は単体企業か3者以内で構成するJV。7月29日に審査委員会がヒアリングを行い、特定基準に基づき提案を評価。最高得点者を委託先候補として選定する。
 業務では遺構への影響を評価するために必要な検討事項を整理し、天守台天端や本丸上段などでボーリング調査を実施。本丸の上段と下段(腰曲輪)は平板載荷試験を行う。ボーリング調査などの結果を踏まえ、個別要素法や有限要素法などの解析手法を用いて影響を評価する。現天守の解体および天守群復元の設計を進めていく場合に調査・検討が必要と考えられる課題を整理する。有識者による検討会議の運営支援なども行う。
 契約期間は2029年3月23日まで。委託費は8200万円(税込み)以内。
 広島城天守の復元を巡っては、3月に「広島城天守の復元に関する技術的課題を調査する検討会議」(座長・三浦正幸広島大名誉教授)が、現天守の耐震改修や解体に比べると整備期間は長期になるものの、木造復元の効果が最も高いとする報告書をまとめている。


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大成建設/最適発破パターンを自動設計/岩盤データ・AIで余掘り抑制

 大成建設は、山岳トンネル工事の最適な発破パターンを自動設計するシステムを開発した。切羽内の岩盤強度分布を可視化する自社開発技術で算出した岩盤データを活用し、AIも使って最も外側に設ける装薬孔(外周孔)の削孔先端位置を最適化する。過剰な掘削(余掘り)を抑えながら施工の省人化・効率化を図り、掘削残土や覆工コンクリートの使用量削減にもつなげる。
 「T-iBlast Designer」を山形県真室川町で施工中の「国道13号新及位トンネル(仮称)」(発注者・国土交通省東北地方整備局)で検証し、効果を確認した。フルオートコンピュータージャンボから取得した削孔データを基に、切羽内の岩盤強度分布を算出・可視化する独自システム「T-iBlast TUNNEL」を改良した。
 切羽の部位ごとに、基準となる発破の孔数や削孔位置、装薬量などのパターンを自動で割り当てる。さらに、基準発破パターンの構成比から掘削体積当たりの装薬量を算出し、岩盤条件に応じた効率的な発破設計を可能にする。
 余掘りに大きな影響を及ぼす外周孔は、自社開発のAIで余掘り厚さを推定できる。目標値に近づくよう削孔先端位置を最適化し、技術者は推定された余掘り厚さをシステムで確認できる。発破計画の採否や調整方針が判断しやすくなる。
 主要メーカーのフルオートコンピュータージャンボに対応しており、既存の施工フローに組み込める。施工データを蓄積・学習することで、AIによる余掘り厚さの推定精度や最適化機能のさらなる向上を見込む。
 同社によると、現場データを用いた検証では、切羽当たり最大約17%の装薬量削減が可能になることを確認した。今後は実工事への適用を拡大する。既に実用化している山岳トンネル工事向けの自社開発技術と組み合わせ、発破サイクル全体でさらなる効率化と高度化を目指す。


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2026年6月4日木曜日

回転窓/地域の担い手の訴え

 出水期に入ってすぐにやって来てしまった台風6号の影響が続いている。記録的な大雨が降った地域があり、これ以上の被害が出ないよう願いたい▼政府は2日から警戒を呼び掛けた。休校や運休を早々に決めた学校、交通機関があって、3日は在宅勤務や休暇取得を促した企業が少なくなかった。それでもインフラ管理者や災害対応を担う建設会社などは事態対処に奔走した。いまも活動中の人たちの安全も重ねて願いたい▼全国建設業協会(全建)が先月29日、高市早苗首相に公共事業関係予算の拡充と資材価格高騰への対応を申し入れた。必要な社会資本整備がまだまだある中で、価格高騰によって実質的な事業量が減っている危機感が念頭にある▼首相に説明した「緊急要望」には、地域建設会社が社会資本の整備、維持管理とともに地域の経済と雇用を担い、「地域の守り手」として被災地の最前線で活動していることが盛り込んである▼守り手が不在になった地域は、災害時の緊急対応だけでなく警戒活動や除雪などに影響が出てしまう。不在になってからでは遅い。要望が地域の防災力の向上にもつながったらいい。


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堺市/中百舌鳥駅前事業スキーム検討支援業務(北区)入札公告/7月6日入・開札

 堺市は中百舌鳥駅前北側広場(北区中百舌鳥町2)の再整備に向け、改めて民間活力導入を前提とした事業計画の精査に着手する。2日に「中百舌鳥駅前事業スキーム検討支援業務」の一般競争入札(総合評価方式)を公告した。参加申請の提出期限は16日。7月6日に技術提案書と入札書を受け付けると同時に開札する。同14日に落札者を決める。
 参加資格は市の入札参加資格で「業務委託・役務の提供」のうち「調査研究・計画策定」の登録を有することなど。
 業務では「中百舌鳥駅前北側広場再整備基本計画」の実現に向け、事業スキームの作成を支援する。近年の工事費高騰などを踏まえ、拠点施設の規模や配置、官民の役割分担、採算性、整備・運営・維持管理手法を改めて整理し、事業の実現性を高める。12月以降には公募型サウンディング(対話)市場調査を行い、民間事業者の参入意向も把握する。
 履行期限は2027年3月17日。
 対象区域は中百舌鳥駅前北側広場。面積は約7100平方メートル。用途地域は商業地域(建ぺい率80%、容積率400~600%)。南海高野線、泉北高速鉄道、大阪メトロ御堂筋線が接続する交通結節点となっている。
 市は24年12月に基本計画を策定。民間活力による拠点施設の導入に加え、市によるロータリー上空を活用した歩行者デッキ、公衆トイレや喫煙スペース、駐輪場再配置、公共交通と一般車の動線分離、バリアフリー対応の乗降スペース確保を検討している。
 これまで拠点施設の民間事業者公募に向けた検討を進めてきたが、建設市場を取り巻く環境変化を受け、公募条件の精査が必要になった。民間事業者の公募時期は未定としている。


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日建連/金子国交相らに要望/公共事業予算、抜本拡充を

 日本建設業連合会(日建連)の押味至一会長と蓮輪賢治副会長ら幹部は2日、金子恭之国土交通相らを訪ね公共事業予算の抜本的拡充を要望した。建設業の施工余力が十分であることを伝え、資材高騰や賃金上昇を的確に反映した2025年度補正予算と26年度当初予算の合計額を上回る十分な予算規模による実質事業量の確保を求めた。見坂茂範参院議員と佐藤信秋前参院議員も同行した。
 同日、牧野京夫国土強靱化担当相、自民党の小泉龍司国土強靱化推進本部長、梶山弘志公共工事品質確保に関する議員連盟会長とも面会した。「新たな投資枠」の創設による「危機管理投資」として、「第1次国土強靱化実施中期計画」に基づく事業、「成長投資」として幹線道路ネットワークなどの公共事業を当初予算で別枠確保することも要望した。
 要望を受けた金子国交相は「補正予算と当初予算を合わせた額を上回る額を確保することは最低ライン」との認識を示した。「予算規模による実質事業量の確保はこれからしっかり努力していく」とも述べた。資材の確保、目詰まりに関して、代理店・問屋への発注集中による中間業者の困窮という構造的問題に対して「どのようにこじれた糸をほどいていくのか、丁寧に話を聞きながらやっていかなければいけない」との考えを示した。
 牧野担当相は「各省庁から提出される内容を国土強靱化枠として取りまとめる立場である。国土強靱化実施中期計画に基づく事業について、これまで補正予算で措置していたものを『新たな投資枠』で当初予算に上乗せして組み込む方向性で考えている」とした。
 小泉本部長は、国土強靱化実施中期計画に基づいて実施する危機管理投資や成長投資につながるプロジェクトについて、「当初予算で別枠として中長期的な視点でもって確保する必要性、賃金を上げていかないと人員が確保できず建設業自体が存立しなくなる可能性がある」と理解を示した。
 梶山会長は「建設業は地方も含めてインフラ整備の担い手であると同時に、災害時の守り手でもあるという認識を広めていくことが重要」と指摘。「経済成長、国土強靱化も含めて、それを支えるために安定的で継続的な予算の確保をする認識で活動していく」と強調した。 


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安藤ハザマ/人通孔あるRC基礎梁高さを最小限に抑える工法開発/掘削土量など削減

 安藤ハザマは、点検・メンテナンス用の人通孔を設けるRC基礎梁の高さを最小限に抑える工法を開発した。人通孔の周囲に補強筋を配置して強度を確保する。基礎梁に人通孔を設けると梁の強度が低下するため、梁の高さは人通孔直径の3倍以上を確保する必要があった。新工法では約2・4倍に抑えられる。梁高を低減した分、基礎梁の施工に伴う掘削土量やコンクリート打設量を削減できる。
 開発したのは「安藤ハザマSMART基礎梁工法」。従来の開孔補強方法を一部改良し、人通孔周辺を補強する。特殊な補強金物や鉄筋は不要で、従来工法と同じ材料、手順で施工できる。梁高を抑えることでコンクリート打設量と基礎の掘削土量を削減できる。現場打ちコンクリートの場合、地下躯体工事費を従来工法に比べて約4%削減できる。
 同社が開発した「PCaパラレル基礎梁工法」にも適用可能だ。プレキャスト(PCa)コンクリートに挟まれた中央部分だけ現場でコンクリートを打設し基礎梁を構築する。PCa部材が型枠として機能するため、現場作業を省力化できる。この工法に人通孔の補強工法を適用すると、作業員数を4割削減できる。
 建物の基礎梁には、人が通行できるよう中央付近に円形の人通孔を設けることがある。この場合、人通孔周辺の強度を確保するため、梁の高さは人通孔直径の3倍以上を確保することが慣例だった。


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大成建設/花博で展示の木製テラス施工に次世代バイオディーゼル燃料導入

 大成建設は、2027年国際園芸博覧会(花博)で建設する大型木製テラスの施工に、二酸化炭素(CO2)の排出量が少ないバイオ燃料を活用する。建設機械にCO2排出量を実質ゼロにできる次世代バイオディーゼル燃料などを使用。施工段階での脱炭素を推し進める。
 ユーグレナの次世代バイオディーゼル燃料「サステオ100」と「サステオ51」を建機燃料に使用する。軽油と比較してCO2排出量を「サステオ100」は約100%、「サステオ51」は約51%削減できる。既存のディーゼルエンジンや給油設備がそのまま利用できるドロップイン型燃料。建機の改造や大規模な設備投資をせずに、現場の脱炭素に貢献できる。
 建設現場で排出されるCO2の削減が課題となっている。長時間稼働や高出力が必要な建機は多く、電動化機械だけでの施工は難しいケースもある。大成建設は既存設備を使ってCO2排出量が削減できる方法として、次世代バイオディーゼル燃料に着目した。
 大成建設グループは花博で展望施設「TAISEI GREEN TERRACE(仮称)」の出展を予定する。展望施設は会場中央付近に配置し、来場者が会場全体の眺望を楽しめる。


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2026年6月3日水曜日

回転窓/運転席から見える物流業界

 ピカピカに磨かれたボディーにきれいな内装、最新の設備で安全、快適な運転をサポートする。自動車の中でも一般にはあまりなじみのない大型トラックの展示会があり足を運んだ▼トラックと聞いて思い浮かぶのは狭い車内。だが実際は想像以上にゆとりがあり、車高のある車種であれば立ちながら運転席から助手席へと移動ができる▼会場を物色していると、車体のカメラ映像を合成して車両周りを確認できるモニターシステムが展示されていた。画面を指でなぞるだけであらゆる角度から車体を確認できるという。トラックドライバーの前方不注意を起因とする事故が後を絶たない。担当者の説明にも自然と力が入る▼建設業と同様、長時間労働が問題となっている運輸・運送業界。残業時間が年960時間に制限されたとはいえ、ドライバーの高齢化に伴う人手不足や待遇面など課題は残る▼ネット通販が生活の一部になって久しい。指定した時間通りに配達してくれる便利なサービスの裏には、細心の注意を払い荷物を運搬するドライバーの姿がある。サービスを利用する者として感謝の気持ちを忘れてはならない。


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