2021年3月1日月曜日

【東日本大震災から10年】3・11を伝えるー元国土交通大臣・大畠章宏氏

  ◇現場で即断即決し迅速対応◇

 東日本大震災の発災当日、国土交通省で4回の緊急災害対策本部会議を開き、何はともあれ情報収集とその共有を図った。各所で情報を抱え込まず、さまざまな立場の人たちがそれぞれの見方で意見を出し合うことの大切さは、原発関連のエンジニアだった若い頃に学んだ。

 今できることを各自がより深く考えるため、現地の状況をみんなで共有する。全職員が視聴できるテレビ会議は有効だった。頻繁に会議を開き、情報共有のための資料づくりなどで負荷を掛けてしまったが、刻々と変わる現地の生情報で被災状況をはっきりと認識できたからこそ、6万人を超える全職員が力を合わせて集中し、ものごとを真剣に考え行動できた。

 被害は広域にわたり、東京から現地にはすぐさま入れない。頭に浮かんだのは人命救助のタイムリミットとされる72時間。予算や許認可の手続きなどは関係なく、現地で全て即決即行してもらうため、東北地方整備局を中心に全権を現地に委ねた。一人でも多くの人命を救うためなら、後からどのような責任を問われてもよしとする腹を固めた。

 救援の道を開くための「くしの歯作戦」など、現場主導でさまざまな対応が展開された。個人的に親しい韓国の国会議員や在日中国大使館の幹部に要請し、ガソリンや灯油の緊急輸入も実現した。鉄路での燃料の緊急輸送にも多くの関係者が尽力した。

 災害対策の最中に知人からさまざまな提言があり、医療関係者の乗った車や燃料を運ぶタンクローリーを緊急車両として通行可能にした。観光客が来ない温泉旅館やホテルを避難所に活用するなど、一般の方々の気付きや意見も積極的に取り入れた。被災地には余分な手間を取らせてはいけないと考え、1カ月余りたってから現地視察に入った。

 インフラ関係では、迅速な避難に向け津波で多くの人命を失ったことから、海面変動の監視システムの強化が進んだ。災害対策時に必要な電力確保のための送電網の連携強化や道の駅の救援拠点化なども震災の教訓によるものだ。

 非常時にどのように国民の命や財産を守るのか。10年の節目で復興計画の総点検とともに、改めて国のかたちや組織の在り方も考えるべきだろう。日本の危機対応力は、まだまだ十分とはいえない。米連邦緊急事態管理局(FEMA)のような常設の専門組織が必要ではないか。非常時には現地に権限・機能を集約させ、迅速に対応可能な仕組みも求められる。

 先月13日の福島沖地震による常磐道の土砂災害でも、地元の建設業者が素早く対応された。震災だけでなく、水害や雪害などでも真っ先に重機を持ち込み、啓開や復旧に当たる地域の建設業者の即応力を保持することが重要だ。市場原理のみにとらわれず、災害対応の基盤確保のために各地で必要な公共事業を安定的に発注することも必要だろう。地域の建設業の方々にはふるさとを守る誇りを持ち、今後とも頑張っていただきたい。

 (おおはた・あきひろ)1974年武蔵工業大学(現東京都市大学)大学院工学研究科修士課程修了、日立製作所入社。衆院議員(9期)、経済産業大臣、国土交通大臣などを歴任。茨城県出身、73歳。

【東北の夜空に希望の光】森トラスト、仙台トラストシティでライトアップイベント

  空に伸びる、希望の光--。森トラストは仙台市青葉区で運営する複合エリア「仙台トラストシティ」で、東日本大震災から10年を契機にしたイベントを開く。復興に向けた祈りを込め大型照明を上空に向かって照らす。「3.11希望の光」と題したライトアップの期間は11日午後6時~翌朝6時30分。

 各地で撮影したライトアップの写真やメッセージを募集し、仙台トラストシティのホームページで公開する企画「希望のアルバム」も実施する。仙台トラストシティ内のレストランでは被災地の食材を使った期間限定のメニューを提供。売り上げの一部を県の「東日本大震災みやぎこども育英基金」に寄付する。

 仙台トラストシティは2010年8月に開業。東日本大震災の発生時、非常用発電機を稼働させるなどしていち早く電気を供給し、延べ約3600人の帰宅困難者を受け入れた。震災の記憶を風化させないため、定期的にイベントを開催している。

【Park-PFIに長大が参画】大分県別府市にグランピング施設、4月27日オープン

  大分県別府市の鉄輪地獄地帯公園(鶴見)内に整備したグランピング施設「グランシア別府鉄輪」が4月27日にグランドオープンする。市のPark-PFI(公募設置管理制度)事業に長大が参画。事業全体をマネジメントしながら施設を約19年間運営する。

 事業費約5億円。年間の宿泊集客を約1万3000人、売り上げを約1億8000万円とする目標を設定した。

 事業主体は同社らが出資するSPC(特別目的会社)の別府鉄輪パークマネジメント(大分県別府市、石田沙織社長)。建築面積878平方メートルに、グランピング施設(ドームテント6メートル11棟、10メートル3棟)と木造平屋のセンターハウスの総延べ795平方メートルを建設した。バーベキュー施設、一般も利用できるトイレ棟、エントランススペース、有料駐車場も運営する。

 同社がグランピング施設を手掛けるのは初。地元企業とも連携し地域の活性化に貢献していく。

凜/内閣府政策統括官(経済社会システム担当)付参事官(社会基盤担当)付政策企画専門職・福島直子さん

  ◇誠実さを心掛けて◇

 社会資本整備に携わる関係省庁の総合調整役を担っている。インフラ長寿命化などに関する重要業績指標(KPI)の進捗(しんちょく)管理が主な仕事。実際に施策を進める各省庁や地方自治体など現場の様子が「見えにくいことに難しさがある」と話す。非対面のやりとりも増える今だからこそ、コミュニケーションの大切さを強く感じる。

 出身は広島県。小さい頃は農家の祖父母と暮らしていた。農業が身近だったこともあり「将来は農業に携わる仕事がしたい」との思いが募った。希望をかなえるため大学進学で農学部を選択。農村基盤整備の大切さを学んだことをきっかけに農林水産省へ入った。

 東北農政局の仙台東土地改良建設事業所に2年間勤務し、東日本大震災で津波に襲われた沿岸部の農地改良に携わった。営農再開に向け、農地の大区画化に取り組んでいた時期で「農家の皆さんの要望をすべて実現できるわけではない。丁寧にしっかり伝え誠実な対応を心掛けた」。難題は多かったが農家からの感謝の言葉が原動力になった。

 動物園や水族館に行くのが休日の楽しみ。最近は外出自粛もあり足が遠のいているが、SNS(インターネット交流サイト)で赤ちゃんパンダの成長を日々チェックしている。「(赤ちゃんパンダは)癒やし。早く普通に出掛けるようになりたい」とほほ笑む。

 (ふくしま・なおこ)

【中堅世代】それぞれの建設業・279

魅力のある業界にしなければ担い手は確保できない

 ◇「やってみなはれ」精神で◇ 

 東北地方の中堅ゼネコンに勤務する則内崇さん(仮名)。入社8年目の昨年、公共発注機関の土木工事に現場代理人として初めて従事した。工事はダム貯水池ののり面対策の一環として発注された。大規模なのり面崩落の発生に伴い通行止めとなっている林道を、工事用道路として活用するために崩落箇所を整備する工事だ。現地は急峻(きゅうしゅん)で起伏に富む地形。のり肩部は風化岩がオーバーハング状態で残存するなど、非常に危険な環境だった。

 工期は3~11月の9カ月。例年11月に降雪がある豪雪地域で、後に続く工事を考えると工程の遅延は絶対に許されない。資機材の搬入路がない厳しい環境下で、安全でよりスピーディーな施工方法が求められた。過去の文献を当たり、同社はこれまで使ったことのない高所のり面掘削機によるのり面の掘削方法を提案することにした。

 ICT(情報通信技術)も積極的に取り入れた。道路線形を含む構造物全体について発注者に変更を提案するため、ドローン(小型無人機)による3D測量を実施し詳細な点群地形データを取得。発注者との協議で提示しながら設計変更の必要性を訴えた。

 熱意が伝わり、自分が描いた施工方法での実施が決まった。工程の大幅な短縮に加え、工事費削減を達成した。危険の伴う現場で無事故・無災害で竣工を迎えられたことが何よりうれしく、大きな自信につながった。

 背中を押してくれたのが同じ現場で監理技術者を務める先輩だった。先輩の口癖は「やってみなはれ」。サントリー創業者の鳥井信治郎がことあるごとに口にした言葉だ。関西出身でもないのに、絶妙なイントネーションでそう言われると気が楽になった。多くの口出しはしないが、陰ながらいつも支えてくれた。「無言の中にもいろいろと教わった」と振り返る。

 現場で忙しい日々を送る傍ら、リクルーターも務める。ここ数年、同社の採用活動は苦戦が続いていたが、コロナ禍で迎えた昨年の採用活動では例年を上回る応募があった。就職を機に県外へ出る学生が多い中、今まで以上に地元志向が強いという印象を受けた。

 新型コロナの影響が各産業に及ぶ中、建設業は事業の継続が求められ、感染防止対策を徹底しながら現場を稼働させてきた。地方では公共事業への依存度が高く、建設業が経済を下支えする役割を担う。「コロナの影響が少ない安定した業種だと受け入れられたのではないか」と分析する。

 コロナ下で業務の効率化やデジタル化が一段と重要となる。「新しい試みに挑戦した今回のような経験を伝承し、ICT導入による生産性向上をアピールしていきたい。それが若い人の魅力に映るはずだ」と力を込める。

 会社は若くしていろいろなことを任せてくれ、そこが気に入っている。就職を考えている学生たちには自身の経験からこの部分を強調している。監理技術者の先輩を思い浮かべながら、「信頼できる仲間がいる」とも伝えている。

 大学の同期には大手ゼネコンに入った友人も少なくない。年収には差があっても建設現場に大小はない。あるのはものづくりだ。「やってみなはれ」のチャレンジ精神で今日も現場と向き合う。

【やっぱり!マイ・ユニホーム!!】金堀重機「地域への感謝の気持ちを込めた左胸のワッペン」

  クレーンなどの重機を扱う金堀重機(福島県会津若松市、春田一真社長)は昨年11月、昭和から着続けていた作業着をリニューアルした。リニューアルに当たっては「作業着からの脱却」をコンセプトに、「ぱっと見のかっこよさと、当社の魅力を社内外にアピールできること」(担当者)を目指した。ワッペンや背面のプリントには65年にわたって継承してきた企業理念や、オペレーターとしての誇りが詰まっている。

 ブルゾン左胸のワッペンは65周年記念に製作したもので、地域への感謝の気持ちを込めて「Thank you 65th of Business in Aizu」のメッセージを刻んだ。旧作業着は左胸に漢字で社名ロゴが書かれていた。新ユニホームでは背面にローマ字でプリント。社名の下には「最高の技術集団を目指す」という意味を込めて「ナンバーワン・オペレーター・チーム」の文字が入る。

 現場の社員は「ナンバーワンである自分以外の社員が『ナンバーワン』と入ったユニホームを着るのはどうかと思う」と冗談を言いつつ、「ユニホームに表れた思いに恥じないように頑張りたい」と話している。

【駆け出しのころ】西松建設執行役員新規事業統括部長・細川雅一氏

  ◇チャレンジで失敗からも学び◇

 子供のころからみんなで何かやりたいという思いが強かったです。大勢の人たちが集まってものを造る建設業に関心を持ち、スケールの大きな土木の世界を志しました。

 西松建設に入社後、まず名古屋の街中のシールド工事の現場で半年ほど勤務。短い期間だったので仕事を覚えるというより、建設会社がどういうものかを体感しました。

 次の現場は東海農政局の大原調整池建設工事。山間部にロックフィルダムを建設する事業で、新人ながら本体構造物の一つである洪水吐(水路)の築造を任されました。大勢の人たちが工事に携わり、フィールドも広くて楽しくもありましたが、仕事も生活もすべてが現場に入り込み、プライベートもなく大変でした。

 まだ知識も経験もないですから、分からないことは聞くしかありません。会社の先輩だけでなく、下請業者の宿舎に酒を持って夜な夜な通い、各工種の親方らにいろいろと教わりました。効率よく仕事を進めるため、特に工程の考え方などを勉強させてもらいました。

 30代半ばで副所長として現場に立った長島ダム貯砂ダム建設工事は、技術者として大きな転機になった現場です。ダム本体に現地発生土材とセメント、水を混合した材料「CSG」を初めて使った試行プロジェクト。CSGの製造設備を試行錯誤で製作するなど、こちらが提案したものを発注者に認めてもらい、いろんなことにチャレンジする喜びを感じられました。

 貯砂ダムを造った後、川を切り回しているバイパストンネルの閉塞(へいそく)作業中に、肝を冷やす出来事もありました。大雨で上流のダムから水が放流された際、連絡を受けた放流量は、これまでの経験上大した量ではないと思い込んでしまいます。

 しかしダムができたことで水がたまり、それが越流してダム直下へ一気に流れ込み流速が急増。車は流され、作業員らと連絡が取れなくなりましたが、何とかみんな無事に避難でき、幸いにも人命に関わる事態にはなりませんでした。頭の中だけで判断せず、実際に見て、聞くことの大切さを改めて痛感しました。

 30代後半に担当した高速道路のIC改良工事も思い出深い現場の一つ。軟弱地盤にボックスカルバートを構築する際、コンクリート打設後に沈下し作り直すことになりました。

 2回目は載荷試験などをより綿密に行いましたが再度沈下する事態に。事後対応で社内の議論も紛糾しましたが、壊さずにジャッキアップで直接基礎を杭構造に変える方法を選択しました。損失を出すなら辞表を出そうとも考えていましたが、安易に壊さず技術で乗り越えたことが発注者からの信用につながり、設計変更も認められました。失敗からもいろいろ生まれます。若手にはチャレンジ精神で頑張ってほしいです。

入社2年目、大原調整池の安全祈願祭で。
(左から2人目が本人)

 (ほそかわ・まさかず)1987年横浜国立大学工学部卒、西松建設入社。西日本支社土木部長や経営企画部長、中国支店長を経て2019年4月から現職。神奈川県出身、57歳。

2021年2月25日木曜日

【回転窓】賃上げへの覚悟

  多くの企業で新しい事業年度が始まる4月に向け、労働組合が賃金引き上げなどの労働条件で経営者側と団体交渉を行う春闘。例年2月までに労組が要求内容を示し、企業からの回答が3月に出そろう▼全国中央組織の労働団体や産業別組織の指導・調整の下、労使交渉が進む現在の春闘方式は、1950年代に始まったとされる。戦後の復興から高度成長、バブルといった景気動向、社会環境の変化が、団体交渉にも影響を及ぼす▼コロナ下で迎えた2021年の春闘交渉は、従業員の基本給を底上げするベースアップ(ベア)で要求段階から見送りや前年割れの労組が目立つ。業績悪化や先行きの不透明感が強まり、賃上げムードは低調のようだ▼国土交通省が先週公表した公共事業の積算に使う新たな公共工事設計労務単価で、前年度を下回った単価を据え置く特別措置を講じた。コロナ禍の影響などを単価下落の要因とし、特別措置を通じて技能者の賃上げを後押しする▼価格競争の激化が懸念される建設市場。担い手確保に欠かせない技能者の処遇改善の流れを反転させぬよう、業界全体の覚悟が一段と問われている。

【仮囲いをキャンバスに】「108ART PROJECT」始動、全国108現場で実現へ

初弾プロジェクトでは悠然と泳ぐ巨大なクジラを仮囲いに描いた(撮影・花坊)

  仮囲いが都市のキャンバスに--。108ART PROJECT(事務局・山下PMC)は、建設現場とアーティストをマッチングし、仮囲いに壁画を描くプロジェクトを開始した。初弾は大阪市内の淀屋橋プロジェクトの現場で1月にスタート。2021年度に大阪、福岡、東京の3都市で第2~5弾を展開する予定だ。将来的には全国108現場での実現を目指す。描かれた壁画を映像やオンラインで公開。取り組みを国内外の現場に広げる考えだ。

 プロジェクトでは「都市の余白に、アートの力を」をテーマに、仮囲いの新たな活用方法を模索する。壁画の一部を再利用可能な素材で制作するなど、SDGs(持続可能な開発目標)にも配慮する。

 初弾の淀屋橋プロジェクトの壁画は、国内外で精力的に作品を発表する大小島真木氏が巨大なクジラを描いた。

 第2弾以降の実施予定箇所は次の通り。▽プロジェクト名(実施都市)=開始予定時期。

 ▽梅田プロジェクト(大阪)=21年5月▽福岡プロジェクト(福岡)=21年度▽赤坂プロジェクト(東京)=同▽八重洲プロジェクト(同)=同。

【優先整備区間は60km】関東整備局、東京23区内に自転車通行空間整備


  関東地方整備局は24日に「東京23区内における直轄国道の自転車通行空間の整備計画」を公表した。都心部の一般道路を中心に、2023年度までに約60キロの自転車通行空間を整備する。効率的な事業実施に向けICT(情報通信技術)を活用した3D測量を展開。発注や関係機関との調整に役立てる。将来的には取得データを道路の基礎情報として活用し、維持管理の高度化につなげる。

 同局は東京都内の直轄国道で自転車通行帯を整備してきた。関係機関との調整に時間が必要で、事業進捗(しんちょく)に課題があった。新型コロナウイルスの流行などを契機に、新しい生活様式の普及で自転車の交通量が増えているため、早期整備を決めた。

 整備対象は都内直轄国道のうち、縦軸となる国道1・4・6・14・15・17・20・246・254号の9路線と357号バイパス。総延長は約104キロ。利用者の利便性に配慮し、自転車通行空間の連続配置が可能な約60キロを優先整備する。自転車専用通行帯や自転車通行が可能なことを示す青い「矢羽根マーク」を路面表示する。

 従来の自転車通行空間の整備は現地測量や図面作成に多くの時間が掛かっていた。作業短縮に向け「モービル・マッピング・システム(MMS)」を搭載した車両を活用して3D測量を実施。道路空間を高精度に計測し、発注図書の作成などに生かす。他機関との調整にも活用する。

 事業のフォローアップは有識者らで構成する「自転車通行空間整備計画検討会」(会長・屋井鉄雄東京工業大学副学長、環境・社会理工学院教授)で行う。残りの約44キロは車線の再配分などが必要で関係機関と調整する。

【ウーブン・シティが起工】トヨタ、静岡県裾野市に実証都市を創造

関係者による鍬入れ(トヨタ自動車提供)
  新たな都市創造へ--。トヨタ自動車と、トヨタグループでモビリティー開発を担うウーブン・プラネット・ホールディングスは、静岡県裾野市で計画する実証都市「ウーブン・シティ」の地鎮祭を23日開いた。トヨタ自動車の豊田章男社長ら関係者が出席し工事の安全を祈願した。

 予定通りの着工を迎え、豊田社長は「コロナ禍で決めたことを決めた通りに進めるということは決して簡単なことではない」と述べ関係者に謝意を表明。「『人中心の街』『実証実験の街』『未完成の街』というウーブン・シティのぶれない軸を持って、この地で日本のモータリゼーションをけん引し続けていたトヨタ自動車東日本東富士工場のDNAを受け継いでいく」と語った。

 ウーブン・シティでは、自動運転、パーソナルモビリティー、ロボット、人工知能(AI)技術などさまざまな新技術を実証する場となる。地上にモビリティーと歩行者が共存する道を整備。モノを移動させる道を地下に造る。

 初期段階で高齢者や子育て世代、発明家を中心に360人程度、将来的にトヨタ自動車の従業員を含む2000人以上の住民が暮らす構想。社会課題を解決する発明がいち早く生み出せる環境の構築を目指す。都市設計などは、デンマーク出身の建築家のビャルケ・インゲルス氏が手掛ける。

20年1月に公表したウーブン・シティの完成イメージ
(トヨタ自動車提供)

 市が22日に許可した開発行為の内容によると、5万5804平方メートルの開発区域で三井住友建設が工事を施工。共同住宅や事務所、店舗、研究所などを整備する。造成工事の設計や施設の基本設計を日建設計が手掛ける。工事予定期間は2024年3月22日まで。「TMEJ東富士工場更地化工事」は、大林組が施工する。

【屋内外スペースは原風景の杉林をイメージ】大分空港海上アクセス旅客ターミナル設計、藤本壮介建築設計事務所JVに

最優秀提案のイメージパース(大分県提供)

  大分県は「大分空港海上アクセス旅客ターミナル建設工事基本・実施設計委託」の公募型プロポーザルで6者を対象に2次審査を行い、最優秀者に藤本壮介建築設計事務所・松井設計JVを選定した。

 審査講評によると最優秀者の提案は宇宙港となる大分空港を象徴し、なだらかに空へと上昇する外観の下、県の原風景である杉林をイメージした屋内・屋外スペースが計画されており、二次交通への乗り換えがスムーズにできるなど利用者に優しいターミナルとして総合的に最も優れた提案と評価された。

 県は空港アクセスとしてホーバークラフトの導入を進めており、同業務ではターミナル上屋などの基本・実施設計を行う。

 最優秀提案によると大分市側(駄原)の施設はターミナル上屋が3階建て延べ1495平方メートル、艇庫が平屋2070平方メートル、立体駐車場が平屋一部2階建て526台。国東市側(安岐町下原)のターミナル上屋が平屋450平方メートル。大分市側ターミナルの大屋根と立体駐車場は津波発生時に避難できるようにする。

 業務履行期限は2022年3月15日。予定工事費は約14億円。工事期間は約12カ月。プロポーザルの次点者には坂茂建築設計・東九州設計工務JVを選定した。

2021年2月24日水曜日

【回転窓】寄り添い合う心

  東日本大震災が発生した半月前、ニュージーランド(NZ)の南島でも大地震が起きた。東海岸にあるクライストチャーチ市を中心に大きな被害が出て日本人28人を含む185人が命を落とした▼同市は英国風の歴史的建造物が数多くあり、「イングランド以外で最もイングランドらしい街」と言われた。700カ所を超える公園がありガーデンシティーとも称される▼地震が発生したのは2011年2月22日午後0時51分。語学学校が入っていたビルが倒壊し日本人ら115人が犠牲に。追悼式では犠牲者全員の名前が読み上げられ多くの市民が当時の出来事に思いをはせ、追悼の気持ちを新たにした▼街のシンボルだった大聖堂の修復が始まったのは昨年5月。市内には崩れたままの建物も残っているそうだ。翻って日本はどうなのか。被災地の復興は10年で進んだと思うがそれでもなお、癒やしきれない傷があるだろう▼被害の大きさは違うかもしれないが、地域にそして多くの人たちの心に深い爪痕を残した二つの大地震。日本とNZが寄り添い、震災の教訓を世界中に発信し続けることができればと改めて思っている。

【延長1344mの斜張橋、開通は3月6日】気仙沼湾横断橋、市民らが徒歩で渡り初め

  復興のシンボルを体感ーー。国が東日本大震災の復興道路として建設してきた三陸沿岸道路の「気仙沼湾横断橋」(宮城県気仙沼市)で21日、3月6日の開通を記念して市民が橋を歩く「開通記念ハイウエーウオーキング」が市主催で開かれた。

 公募で選ばれた市民や土地の提供者ら約800人が参加。間もなく震災から10年の節目を迎える中、橋の上から見渡せる気仙沼市街の美しい景色や復興が着実に進んでいる様子を目の当たりにした。

 イベントに先立ち、菅原茂市長は「この橋を使って復興のまちづくりを進めていく」とあいさつした。気仙沼湾横断橋は20日に工事がほぼ完了。延長1344メートルで東北最大の斜張橋になる。国や市は復興のシンボルや地元のランドマークとなり、アフターコロナの観光振興を後押しする効果に期待している。

【ドリカム・中村正人さんが発案】大和ハウス、猫専用ユニットバス発売

  大和ハウス工業は22日、水洗トイレとシャンプーシンクを一体化した猫専用のユニットバスを発売した。猫の退出を感知して流れる自動洗浄トイレや、水を嫌がる猫であっても洗いやすいシャンプーシンクを組み合わせた。人気バンドのDREAMS COME TRUEのメンバーで愛猫家として知られる中村正人さんが発案者として参画。猫と飼い主の目線で設計したという。新築住宅やリフォームなどで提案していく。年間500台の販売を目指す。

 開発した「ネコレット」は、上部に深くて広いシンクを配置。マイクロバブル水栓を搭載したシャワーヘッドやハンズフリーのドライヤーなどを備えた。下部には普段使っている猫トイレパンを置いてもらう。自動洗浄のほか定期洗浄モードや手動モードを切り替えられる。販売価格は36.3万円。

 コロナ禍もあり自宅で過ごす時間が増える中、新規ペット飼育数が増加する傾向にある一方で、トイレ処理やにおいなど共存する上での課題が指摘されていた。22日に開かれた会見で大友浩嗣取締役兼常務執行役員は「猫も飼育される方もよりストレス無くいられるような空間が必要だ」と述べるとともに、非住宅分野や猫以外のペットも検討材料になるとの見方を示した。中村氏は「猫バトラー(執事)としてのドリームズ・カム・トゥルーだ。夢がかなった。欠かせないアイテムになる」と笑顔で話した。

【施工は大林組、三井住友建設ら】トヨタ「ウーブン・シティ」、敷地造成などスタート

  トヨタ自動車が実証都市「ウーブン・シティ」の建設を計画する静岡県裾野市の工場跡地で、敷地の造成工事などが始まった。

 「TMEJ東富士工場更地化工事」の施工者は大林組。東富士工場は昨年末に閉鎖しており今後、段階的な整備でさまざまなモノやサービス、情報がつながる実験的な街が造られる。

 東富士工場の所在地は御宿1200。敷地面積は26万平方メートルで、子会社のトヨタ自動車東日本が運営していた。操業開始は1967年。東名高速道路の裾野ICに近接する。

 トヨタ自動車が2020年1月に公表した内容によると、自動運転やMaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)、パーソナルモビリティ、ロボット、スマートホーム技術、人工知能(AI)技術などの導入・検証を想定する。

 更地化工事に加え、現地では上物整備も進む。市の開発行為許可標識によると、御宿小鍋沢上1117の1ほかの敷地約5・5ヘクタールに、共同住宅や事務所、店舗、研究所などを建設する計画。施工を三井住友建設が担当。工期は23日から24年3月22日までを予定している。

 初期段階では、同社の従業員やプロジェクトの関係者など、約2000人が暮らすことを見込んでいる。将来的には70・8万平方メートルの範囲を対象に、街づくりを進める構想。暮らしを支える新技術やサービスを、実験的に導入・検証する「コネクティッド・シティ」の構築を目指す。都市設計などは、デンマーク出身の建築家ビャルケ・インゲルス氏が手掛ける。

2021年2月22日月曜日

【回転窓】20万人超えの防災士に期待

  防災・減災の知識や技能を習得し、非常時の避難誘導や平時の防災訓練などでも活躍する防災士。日本防災士機構の認証者が20万人を超えた▼阪神大震災を教訓に、自助、共助、協働を理念に社会の防災力を高めようと2003年に創設された。東日本大震災で防災意識が一段と高まったことや、取得を支援する自治体や教育課程に組み込む大学などもあって、認証者が着実に増えてきた▼同機構によると、都道府県別の認証者(1月末時点)は1・6万人の東京が最多ながら、6000人以上の府県は東日本大震災で未曽有の被害が出た東北以外に複数ある。震災を機に全国規模で防災意識が高まったことが防災士の数からうかがえる▼建設業界の認証者も少なくない。中には阪神大震災の被災地で生まれ、東日本大震災を目の当たりにしてから、大学で防災士を取得し、「防災に貢献したい」と昨春から公的機関で働いている人も▼ハードだけでは防ぎきれない自然災害が目立ち、平時の備えと非常時の初動の重要性が高まっている。防災士は自分が動き、周囲を動かすリーダーとなる。取得と継続教育を巡る支援が期待される。

【電子取引などへ移行促す】経産省、2026年めどに約束手形廃止へ

 経済産業省は、企業間取引で所定期日までの支払いを確約する紙の約束手形を2026年めどに廃止するよう、産業界に求める方針を固めた。

 手形の振り出しから支払いまでの期間は90~120日と長期にわたるケースが多く、中小企業の資金繰りを圧迫している。銀行振り込みや電子決済への移行を促すことで、中小企業の負担を軽減する。経産省の有識者会議で報告された。24年に改善状況を踏まえ施策の見直しを行う。

【東日本大震災から10年】平沢勝栄復興相、知見を後世に伝える

 平沢勝栄復興相は3月11日に東日本大震災の発生から10年を迎えるのを前に、日刊建設工業新聞など報道各社の取材に応じた。これまでの復興事業を総括し「得られたノウハウや教訓は(国内外に)共有し、後世にも伝える必要がある」と強調。原発事故の影響を受ける福島県内の再生に向け、取り組み課題として県外からの移住促進を挙げ、住環境の整備が重要になるとの見解を示した。

 --過去10年間で復興庁が果たしてきた役割は。

 「復興庁の特徴は職員の半数が(被災3県の)復興局に在籍していることだ。復興庁の設置期間を延長するかどうか議論された時も、被災自治体から継続を強くお願いされた。被災地に寄り添った対応を目指したため、地元からの信頼を得られてきたことが背景にある。復興の過程で積み上げてきた教訓やノウハウは、ほかの行政機関や海外にも広く共有していく必要がある」

 --自然災害が頻発化している。今後発生する災害からの復旧・復興で必要となる視点は。

 「従来の復興は、単に災害で壊れた部分を元の状態に戻すことを目指していた。今後は新たな価値を生み出す『創造的復興』の観点を踏まえ、30年先、50年先の未来も見据え、全く新しい街をつくるという考えに変わっていくだろう。地球環境への配慮も必要になる」

 --原発周辺の復興街づくりの方向性は。

 「一日も早く全域で避難指示を解除できるよう、政府全体で取り組む。福島県はとりわけ大きな人口減少に直面している。(震災前の)人口まで回復させることが課題だ。県外からの移住・定住を促進するには、生活環境の整備が大事になる。浜通り地域で計画中の国際研究拠点は、世界トップレベルの拠点にし、福島復興の目玉にしたい」。

【凜】常総開発工業(茨城県神栖市)土木本部・小沼友琴さん

 建設業への就職を考えたきっかけは10年前の東日本大震災。生まれ育った茨城県南東部の鹿行地域も大きな被害を受けた。自宅の近くにあり普段使っていた鹿行大橋が落橋し大きなショックを受けた。震災後、着々と造られていく新しい橋を間近に見て「自分も地元に貢献できる仕事に就きたい」と思った。

 ただ建設業で働くという思いをかなえる道筋は決して平たんでなかった。「母は大反対。逆に父は背中を押してくれた」。高校は普通科で、周囲に同じような進路を選ぶ友人はいなかった。不安で気持ちが揺れていた時、担任の教師が「土木女子」を特集したテレビ番組を見せてくれた。「大きい仕事ができる土木の仕事に就きたい」。希望は決意に変わった。専門学校に進み2年生から土木を専攻。施工コースで土木を選択した女子は学校で初めてだった。

 「生まれ育った鹿行地域に貢献したい」と地元の会社に入社を決めた。今は高速道路の建設現場で働きながら、1級土木施工管理技士を目指して勉強に励んでいる。

 現場で一緒に働くのは年上の男性ばかり。気を使うことも多いが、「あいさつを忘れないこと」を大切にしている。謙虚さと心配りを忘れずに、いつも前向きにと心掛けている。茨城県建設業協会の女性部会「建女ひばり会」の活動にも積極的に参加。「横のつながりができて心強い」と話す。

(おぬま・ゆうこ)

【サークル】JESCOグループ共済会「社員交流やクラブ活動を後押し」

 電気設備工事を手掛けるJESCOホールディングス(HD、東京都中野区、古手川太一社長)で、相互共済や福祉増進活動を展開する「JESCOグループ共済会」。時代の変化を踏まえたサービスを考え、社員交流の活性化などを後押ししてきた。

 同社では現在、ゴルフ部やモータースポーツ部、雪山滑走部、アウトドア部、音楽部、天文部、マラソンなどに参加するクラブといった9クラブが活動中。会社で金魚や熱帯魚の世話をして社員に癒やしを与えている熱帯魚部や、本社や研修センターでの植樹などを通じて二酸化炭素(CO2)削減への貢献を目指すエコグリーンクラブなどユニークな活動も目立つ。同会から各部に補助して、活動を後押ししている。

 親睦を図るため新入社員歓迎会やクリスマスパーティーなどを実施してきたが、新型コロナウイルスで開催が難しい。昨年の会社設立50周年を記念した海外旅行も延期を余儀なくされた。同会の観音茂喜理事長は「会員がより利用しやすいサービスや仕組みを第一に考えている。コロナ禍なので、何か違った形で活動を活発にしていきたい」と、次なる一手を模索中だ。

【駆け出しのころ】ダイダン常務執行役員営業本部長・北村広外志氏

  ◇さまざまな場所で経験を◇

 就職活動では第1志望のフライトエンジニアがかなわず、それならばメーカーよりも事業全体に関われる設備工事会社に入りたいと考えました。大阪電気暖房(現ダイダン)に入社後、2カ月ほど設計部門での勤務を経て、大阪駅前の複合ビルの建設現場に配属。1年目は現場の清掃などを行いながら、職人の方々に追い回されていました。技術的な学びよりも、協力会社の方も含めて人のつながりが広がったことが大きかったです。

 次の現場は大阪市内のホテル新築工事で、高層階のホテル室を担当。部屋数も多く、建築とのやりとりでだいぶ苦労しましたが、きちんと収まった時の喜びは格別でした。

 周りでは設備以外にも作業が進められており、1歩でも半歩でも先に仕事を進めることが大切。少しでも前に進んでいれば周りも見え、トラブル発生時の対応も違ってきます。うまくいかないことばかりで葛藤の日々でしたが、若いながらも仕事をやり切ることで充実感がありました。

 入社6年目に大阪国際空港の増築・改修工事を担当。工期中に日航機墜落事故が起き、空港内は騒然としましたが、現場への影響は特になかったです。いかなる時も施設を供用しながらの作業のため、第三者に細心の注意を払い、さまざまなトラブルを想定し、1歩ではなく10歩先を読んで取り組むことが大変でした。

 所長として最後に担当した神戸市内の複合商業施設の工事では、工期中に阪神・淡路大震災が発生。地下部分を施工中だった現場の被害は軽微でしたが、周りは大変な状況にあり、現場を止めて5カ月ほど被災地の支援に入りました。

 41歳で営業部門に移った当初、現場勤務を通して技術や顧客のことは分かっており、やっていけるだろうと考えていました。しかし、名刺交換した相手に電話してもこちらのことを覚えてなく、なかなか会ってもらえず、また面会を断られたらどうしようと不安にさいなまれる日々。そんな時、あるゼネコンの営業部長から「営業は断られて当たり前。そう思ったらどこでも電話できる」などと諭され、営業のイロハを教えてもらいました。

 無駄足かもしれないけど、何度も出向き、名刺に訪問した日時と目的を書き込んで置いてくる。そうした地道なことの繰り返しの中で、受け付けや秘書の方々と仲良くなり、役員との面会もセットしてもらえるようになりました。仕事がある時以上に、ない時に普段から付き合いを深めることが大切です。

 一つの場所にとどまらず、率先して動き、さまざまな経験を重ねる。若い人たちには現場でも営業でも、その場所で切磋琢磨(せっさたくま)し、スキルアップしてもらいたいです。

入社8年目ころ、娘と出かけた近所の夏祭りで

 (きたむら・ひろとし)1980年日本大学工学部機械工学科卒、ダイダン入社。中国支店長や上席執行役員大阪本社副代表兼営業統括、常務執行役員西日本事業部営業統括などを経て2020年4月から現職。石川県出身、63歳。

2021年2月19日金曜日

【災害対応の最前線で奮闘】建コン協、災害時用ジャケットを会員会社に提供

 建設コンサルタンツ協会(建コン協、高野登会長)は、災害復旧や復興業務に従事する会員企業向けにユニホームなどを作った。

 長袖のジャケットと安全ベスト、腕章を用意。災害対応の最前線で奮闘する会員各社の活動をアピールし、担当者のモチベーションや業界認知度のアップにつなげる。

 ジャケットなどは、広報活動の一環で作った。災害時に国や自治体から建コン協に支援要請があった時や、特定の企業が活動に当たる場合などに着用してもらう。特定の企業が発注者から応援要請を受けた時も身に着けてもらう。

 ジャケットやベストの前背面には、英訳した協会名称の頭文字「JCCA」をプリント。ジャケットは白を基調にした春秋用と、青をベースにした冬用の2タイプを用意した。330着を製作。鮮やかなオレンジ色を使用した安全ベスト560着、腕章870枚も配布した。今後は支部の要望に応じベストと腕章を2512枚ずつ追加で製作する予定だ。

【BT+コンセッションを採用予定】秩父宮ラグビー場建替、JSCがPFI手法検討業務発注

  日本スポーツ振興センター(JSC)は、東京都港区にある「秩父宮ラグビー場」の建て替えに向けPFI手法の検討に入る。

 19日に検討業務の委託先を決める簡易公募型プロポーザルを公告する。建築や構造、電気設備、機械設備といったPFI事業に伴う建築計画の策定を任せる。

 件名は「新秩父宮ラグビー場整備事業PFI手法による整備(建築計画分野)検討業務」。プロポには単体か2~3者JVが参加できる。参加申請を3月1日まで、技術提案書は同22日まで電子入札システムで受け付ける。同業務の受託企業は新施設の建設・施設運営事業を受注できない。履行期限は2022年10月31日。

 新秩父宮ラグビー場の整備を巡っては「ラグビーの振興に関する関係者会議」が1月15日の会合で、BT(建設・移管)+コンセッション(公共施設等運営権)方式のPFIを採用する方針を決めた。ラグビーだけでなく他の競技やイベントでも使用できるよう、屋根などを備えた全天候型の施設とする。三井不動産、明治神宮、JSC、伊藤忠商事の4者が計画する秩父宮ラグビー場を含む「神宮外苑地区」の再開発事業と一体で新施設を設ける見通しだ。

 同15日にJSCは「新秩父宮ラグビー場整備事業基本計画策定等支援業務」の委託先を決める企画競争手続きも開始。施設整備や管理運営の条件、事業スケジュール、事業収支などの検討を委託する。3月上旬に審査結果を通知する。履行期間は5月31日まで。

【建築デザインは隈研吾氏】新愛知県体育館整備・運営等事業、前田建設ら8社グループに


  愛知県の「新体育館整備・運営等事業」の事業者が前田建設とNTTドコモを代表企業とする「Aichi Smart Arenaグループ」に決まった。同グループは、スポーツや音楽などの世界的イベントが開催できる最先端のアリーナを提案した。外観を木の柱で覆った建築デザインは隈研吾氏が手掛けた。

 代表企業を除く同グループの構成企業はAnschutz Sports Holdings、三井住友ファイナンス&リース、東急、中部日本放送、日本政策投資銀行、クッシュマン・アンド・ウェイクフィールド。協力企業は隈研吾建築都市設計事務所、マニカ・アーキテクチャー、大建設計。

 県は、事業者選定にPFI手法のBT(建設・移管)+コンセッション(公共施設等運営権)方式を採用。昨年8月7日に総合評価一般競争入札を公告、同12月18日に入・開札し、事業提案書を受け付けた。

 9日のプレゼンテーション審査を経て、同グループを落札者に決めた。応募は3グループだった。

 新体育館の建設地は、名古屋市北区名城1の名城公園北園内約4・6ヘクタール。中区二の丸にある現体育館を移転する。

 同グループの提案によると、メインアリーナ・サブアリーナ・多目的ホールを中心とする建物は、RC・S造5階建て延べ5万8400平方メートル。名古屋城に近い名城公園の自然と一体感を創出する「樹形アリーナ」になる。

 最大1万7000人(立ち見含む)を収容するメインアリーナには、楕円(だえん)形と馬てい型を組み合わせた「ハイブリッドオーバル型」の観客席を採用、天井高を30メートル以上確保する。

 音楽イベントから広い競技面積が必要なフィギュアスケートまで、質の高い観戦・鑑賞体験を提供する。

 維持管理・運営には最先端のICT(情報通信技術)を導入、スマートアリーナを目指す。各種スポーツや文化イベントは、国内外から多くの集客が期待できる催事を計画する。

 今後、県と同グループは3月に基本協定、6月議会後に特定事業契約を結び、2025年夏オープンを目指す。維持管理・運営期間は30年間。