2026年6月8日月曜日

回転窓/梅酒と琥珀の月日

 江戸時代に医師で本草学者の人見必大(ひとみ・ひつだい)が著した『本朝食鑑』には、食と医の観点からさまざまな食材の特徴や効能などが書かれている。当時の食文化も分かり、現代語訳が出版されていて興味深く読める▼同書の「穀部之二・造醸類十五種」に取り上げられた酒の一つが梅酒。その効能を「痰(水毒の一種)を消し渇を止め、食を進め、毒を解し、咽痛を止める」と説き、梅酒に適した梅の大きさや作り方なども記している(東洋文庫296『本朝食鑑1』訳注・島田勇雄、平凡社)▼チョーヤ梅酒のウェブサイトによると、江戸時代には梅干しや梅酒など梅を加工する文化が定着していた。そうした梅の栽培や加工が農家の副業としても推奨されていたという▼今年も梅酒の仕込み時期を迎えた。近所のスーパーには自家製梅酒コーナーが設けられ、古城と南高の青梅2種を販売している。氷砂糖や果実酒ビンなども並び、初めてでも迷うことはなさそうだ▼漬け込んでから月日を経た梅酒は琥珀(こはく)色に変わる。時を重ねてまろやかで深みのある味わいに…。梅酒づくりは人づくりに似ているかもしれない。


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from 論説・コラム – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=184968
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凜/関東地方整備局道路部道路計画第一課・横内麻里子さん/広い視野大切に道路整備

 多くの道路は自動車が優先され、「歩行者や自転車は遠回りを強いられる」という思いが幼い頃から心のどこかにあった。自分にできることはないか--。そんな思いが「土木を志すきっかけになった」。公共性の高い道路は誰もが使いやすくなければいけない。そのために必要な「物事を俯瞰(ふかん)して見る広い視野」と「苦労をいとわない姿勢」を大切にする。
 国土交通省に入ったのは、コロナ禍で閉塞(へいそく)感が漂っていた時期だった。オンライン研修を経て北首都国道事務所に配属。初めて携わった国道4号東埼玉道路の整備事業は、2025年6月に一部が開通した。「プライベートでも現地を見に行った」というほど思い入れが強く開通の喜びもひとしおだった。
 その後、横浜国道事務所へ異動し、横浜環状南線の建設工事を担当。道路整備に必要な地下空間が狭く、「制約の多い現場」に苦労した。事業に関わる多くの人と組織や立場の垣根を越えて何でも話せる関係を築き、信頼関係の大切さを学んだ。
 現在は道路部に所属し、発注工事の事業評価や報道発表の資料作成などを担当する。仕事ぶりが評価され、若手職員を対象とした研修では講師も務めた。「業務が目まぐるしく変わるので、ついていくのに必死」とはにかみながら話す。それでも「多くの経験を積める」と前向きに捉える姿勢に、より良い道路づくりへの思いがにじむ。
 (よこうち・まりこ)


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橋本店/退職金制度を24年ぶり改定/AI分析で安定したモデル構築

 橋本店(仙台市青葉区、武田文孝社長)は、AIを経営戦略の検討に活用し、安定した退職金制度モデルを構築した。宮城県内に保有する不動産や太陽光発電事業の収益の一部を長期国債など安全性の高い資産に投資し、40年間で約110億円を積み立てる資産形成モデルを策定。景気変動や建設市場の動向による収益変動に左右されない安定的な収益基盤を築き、将来的な還元財源を確保する。
 2025年6月時点の退職金積立金は3億円。継続的な積み立てで20年後には、国債や社債から得られる利息収入だけで、全従業員約200人の退職金に充てる体制を整える。複数のAIによる分析を取り入れながら、国債や高格付け(AAAクラス)の社債を中心に資産運用を進める。
 退職金一時金制度の縮小や廃止で、原資を月例給与に振り向ける企業が広がる。武田社長は「地域に根差す建設業は地元経済を支える重要な役割を担う。地元で働き、地域を支え、ともに成長してきた社員を大事にしたい」と語る。
 同社は24年ぶりに退職金制度を改定した。大卒で入社し60歳まで勤めた場合、退職金は2000万円となる。一方で、27年度採用から大卒初任給を30万円に引き上げる予定で、処遇改善によって将来への安心感の醸成と採用力の向上を図る。武田社長は「地域で長く活躍できる人材を育てることが地域企業としての使命だ」としている。


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from 企業・経営 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=184970
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国交省/2024年度の環境施策を点検/30年度目標へ着実に前進

 国土交通省の環境政策が着実に進展している。環境行動計画で掲げた国土交通分野の施策による二酸化炭素(CO2)排出削減目標は、2030年度までに約8074万トン。24年度実績は約4577万トンとなり、30年度目標の達成に向けて順調に推移している。
 5日に開いた社会資本整備審議会環境部会・交通政策審議会交通体系分科会環境部会の合同会議で、環境関連施策の2024年点検結果を報告した。
 定量的な指標を設定した施策のうち、鉄道分野と都市緑化分野は目標年度の水準を既に上回り、A評価となった。鉄道分野は、省エネルギー型車両や施設への省エネ設備の導入支援などで、原油換算の省エネ効果が14年度の4・9万キロリットルから24年度に107・8万キロリットルまで増加した。
 ヒートアイランド現象の緩和や温暖化対策などにもつながる都市公園整備や都市緑化の推進では、都市緑化整備面積が7万7000ヘクタール(13年度)から10万1000ヘクタール(24年度)に拡大した。
 建築物の省エネ化も進んでいる。省エネ基準に適合する建築物ストックの割合は13年度の24%が24年度に42%まで上昇。中大規模の新築建築物のうちZEB基準水準の省エネ性能に適合する建築物の割合は13年度にゼロだった割合が10年で42%に上昇した。
 国交省はさらなる普及拡大に向けた取り組みを進める。環境行動計画では住宅・建築物の省エネ対策の強化や、インフラなどの再生可能エネルギーの導入・利用拡大、脱炭素化につながるまちづくりなどを重点施策に位置付けている。今後も関係施策を着実に推進し、30年度目標の達成を目指す。


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from 行政・団体 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=184971
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大阪府茨木市/次期ごみ処理施設整備方針検討業務/建設技術研究所に

 大阪府茨木市は、「茨木市次期ごみ処理施設整備方針検討業務委託」の公募型プロポーザルで、建設技術研究所を受託候補者に選定した。2040年度に稼働終了予定のごみ処理施設などで構成する環境衛生センター(東野々宮町14の1)について、施設全体の整備に向けた検討を行う。
 同センターは全国初の高温溶融処理方式ごみ処理施設として1980年に建設。第1工場棟(延べ約1万2000平方メートル)や第2工場棟(約1万7000平方メートル)、し尿処理施設、再資源化物集積場など30棟で構成し、施設規模は総延べ4万1461平方メートル。23年からは広域処理として大阪府摂津市の廃棄物も処理している。
 第1工場は日量150トンの全連続高温溶融炉を1炉、第2工場は同150トンの同型炉2炉を設け、合計最大日量450トンを処理できる。両施設は07~12年度、20~23年度に延命化工事を実施しており、40年度までの稼働を予定。26年度はエネルギーの利活用や収集運搬体制の最適化、ごみ量推計などを含めた施設整備の方向性を検討する。
 業務内容は、▽ごみ処理現況・将来推計▽ごみ処理技術の動向調査▽施設整備手法の検討▽建設候補地の概況整理▽事業スケジュールの検討▽施設整備方針の取りまとめ-など。
 業務期間は27年3月31日まで。予算額は1160万1000円(税込み)。


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from 工事・計画 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=184975
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鹿島/建築設備機器運転を最適化/エッジコンピューティングで自動制御

 鹿島は、建築設備機器の運転を最適に自動制御するシステムを開発した。クラウドではなく、利用者や現場の近くでデータが処理できる「エッジコンピューティング」の技術を活用。AIと組み合わせ、省エネルギーで快適な室内環境を実現する。新築だけでなく既設建物の設備機器にも対応可能。都内自社施設の空調機制御に試験適用したところ、導入前に比べ建物利用者の快適性を損なわず、空調機のエネルギー消費量を約3割削減した。
 開発したシステムの名称は「K-BOX」。小型エッジコンピューターを一般的な設備機器に外付けするだけで、簡易で低コストに設備機器の最適制御を実現する。クラウド型の気象情報サービスとも連携すれば、天候の変化に応じた制御も可能になる。
 オフィス・工場といった産業施設や住宅など幅広い用途の建物で活用可能。新築・既設建物問わず、フロアやテナント単位で制御内容をカスタマイズでき、柔軟に導入できる。小型エッジコンピューターの設置台数は建物の規模やテナントごとのニーズに合わせ任意に増減可能。小型エッジコンピューターが故障した場合、自動的に従来運転に切り替わるフェイルセーフ機能も搭載している。
 同社によると、ここ数年で普及拡大しているスマートビルでは、外部クラウドを介して外気や室内の温度・湿度、電力消費量などのデータを収集・分析し、設備機器を制御している。ただ瞬時のデータ分析に基づき機器を制御するのが難しく、ニーズに応じた制御内容の柔軟なカスタマイズも困難。特に既設建物では設備機器を外部クラウドと接続する際、情報通信の導入や情報セキュリティーへの対応などに伴う建物改修が必要になる。
 そこで外部クラウドを経由せず、データの生成元であるデバイス(エッジ)側で情報処理できるエッジコンピューティング技術に着目した。一般的なスマートビルで取り扱うデータに加え、設備機器の動作特性情報をAIが分析し設備機器を最適に自動制御する。
 クラウド型情報サービスとの連携にも対応。気象予報情報を活用した制御も可能になる。小型エッジコンピューターを空調機などの設備機器に外付けすることで、設備機器との情報通信が建物内で完結する。


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2026年6月5日金曜日

回転窓/伝統の技を失う前に

 学名「ニッポニア・ニッポン」。「朱鷺(とき)色」と呼ばれる淡いピンク色の美しい羽を広げ、優雅に大空を飛ぶ国の特別天然記念物・トキは、まさに日本を象徴する鳥だ▼かつては日本各地に生息していたが、明治時代以降に乱獲や開発で、その数は激減した。1981年に野生のトキを保護して繁殖を試みるも失敗。日本のトキは絶滅した。その後中国から贈呈されたペアをもとに人工繁殖の技術を確立し、2008年に佐渡島で放鳥。自然繁殖にも成功して生息数は約500羽にまで回復している▼能登半島に位置する石川県羽咋市で5月31日、佐渡島のトキが本州で初めて放鳥された。人工ふ化や野生復帰に向け、懸命に努力を続ける関係者の喜びもひとしおであろう▼建設の世界には、現代の科学でも完全な再現が困難な「失われた技術」が数多く存在する。さらに職人の高齢化で伝統の技が失われる危機にも直面している▼使えなければ技術はいつか廃れる。伝統的な技を現代のエンジニアリングでアップデートし、社会の要請や現行の法規などに適合させる。使うことで技術は磨きがかかり、次世代へと伝わっていく。


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from 論説・コラム – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=184916
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日建連意見交換会・北海道地区/適正な労務費確保と行き渡り要望

 日本建設業連合会(日建連、押味至一会長)と国土交通省北海道開発局など公共発注機関による北海道地区の意見交換会が4日、札幌市内で開かれた。日建連は公共工事標準請負契約約款の改正を踏まえ、適正な労務費などの確保と行き渡りと、契約変更における双務性の確保などの適正な契約環境の展開を要望。地方公共団体や民間発注者に対して約款の標準使用を求めた。=2面に出席者一覧
 遠藤達哉局長は「北海道では自然災害が激甚化、頻発化し、社会保障の整備、維持管理に加え災害対応の役割はますます重要だ」と述べた。公共工事標準請負契約約款について開発局は「民間発注者団体を個別に訪問して制度周知に努めている。2026年度も改正約款の積極的な利用を働き掛ける」と意欲を示した。
 日建連は、働き方改革のために資材価格の調査方法を改善した上で予定価格へ適切に反映するよう求めた。
 要請に対し、開発局は「現場の実態を歩掛かりに反映させるためには、待機や段取り替え、休憩時間など現場の実態把握が重要となる」と指摘。日建連に対して施工合理化調査への協力を求めた。
 開発局の工事積算で使用する資材価格は、物価資料に掲載された情報を採用している。毎月改定している資材に加えて、生コンなどの主要資材は各開発建設部で実勢価格を調査し、25年度は年2回、単価を改定した。26年度も同様の改定を予定しているという。


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広島市/広島城天守の木造復元へ/基礎地盤・石垣調査・検討支援プロポ公告

 広島市は広島城(中区基町)の天守群の木造復元に向け、現天守の解体や復元に伴う遺構への影響を調査する。4日に「広島城天守の木造復元に向けた基礎地盤及び石垣に関する調査・検討支援業務」の公募型プロポーザルを公告した。25日まで応募資格確認申請書を受け付ける。提案書の提出は7月21日まで。8月下旬に審査結果を通知する予定だ。
 参加資格は単体企業か3者以内で構成するJV。7月29日に審査委員会がヒアリングを行い、特定基準に基づき提案を評価。最高得点者を委託先候補として選定する。
 業務では遺構への影響を評価するために必要な検討事項を整理し、天守台天端や本丸上段などでボーリング調査を実施。本丸の上段と下段(腰曲輪)は平板載荷試験を行う。ボーリング調査などの結果を踏まえ、個別要素法や有限要素法などの解析手法を用いて影響を評価する。現天守の解体および天守群復元の設計を進めていく場合に調査・検討が必要と考えられる課題を整理する。有識者による検討会議の運営支援なども行う。
 契約期間は2029年3月23日まで。委託費は8200万円(税込み)以内。
 広島城天守の復元を巡っては、3月に「広島城天守の復元に関する技術的課題を調査する検討会議」(座長・三浦正幸広島大名誉教授)が、現天守の耐震改修や解体に比べると整備期間は長期になるものの、木造復元の効果が最も高いとする報告書をまとめている。


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大成建設/最適発破パターンを自動設計/岩盤データ・AIで余掘り抑制

 大成建設は、山岳トンネル工事の最適な発破パターンを自動設計するシステムを開発した。切羽内の岩盤強度分布を可視化する自社開発技術で算出した岩盤データを活用し、AIも使って最も外側に設ける装薬孔(外周孔)の削孔先端位置を最適化する。過剰な掘削(余掘り)を抑えながら施工の省人化・効率化を図り、掘削残土や覆工コンクリートの使用量削減にもつなげる。
 「T-iBlast Designer」を山形県真室川町で施工中の「国道13号新及位トンネル(仮称)」(発注者・国土交通省東北地方整備局)で検証し、効果を確認した。フルオートコンピュータージャンボから取得した削孔データを基に、切羽内の岩盤強度分布を算出・可視化する独自システム「T-iBlast TUNNEL」を改良した。
 切羽の部位ごとに、基準となる発破の孔数や削孔位置、装薬量などのパターンを自動で割り当てる。さらに、基準発破パターンの構成比から掘削体積当たりの装薬量を算出し、岩盤条件に応じた効率的な発破設計を可能にする。
 余掘りに大きな影響を及ぼす外周孔は、自社開発のAIで余掘り厚さを推定できる。目標値に近づくよう削孔先端位置を最適化し、技術者は推定された余掘り厚さをシステムで確認できる。発破計画の採否や調整方針が判断しやすくなる。
 主要メーカーのフルオートコンピュータージャンボに対応しており、既存の施工フローに組み込める。施工データを蓄積・学習することで、AIによる余掘り厚さの推定精度や最適化機能のさらなる向上を見込む。
 同社によると、現場データを用いた検証では、切羽当たり最大約17%の装薬量削減が可能になることを確認した。今後は実工事への適用を拡大する。既に実用化している山岳トンネル工事向けの自社開発技術と組み合わせ、発破サイクル全体でさらなる効率化と高度化を目指す。


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