2026年9月14日月曜日

回転窓/激甚災害の64年

 関東以西の各地に大雨をもたらし、佐賀県で大規模な土砂崩落が起きた昭和37(1962)年7月の豪雨災害。多くの死者・行方不明者を出し、同年制定の激甚法に基づく災害に初めて指定された▼法律名は「激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律」。激甚災害に指定されると、地方公共団体が行う災害復旧事業への国庫補助のかさ上げなど特別の助成措置が講じられる▼激甚法の制定から64年、日本は地震や大雨などどれほど多くの災害に見舞われてきたろう。今年も1月の鳥取県東部を震源とする地震、4月の岩手県大槌町での林野火災、7月の熊本地震が指定され、続いて8月に千葉と北陸で起きた豪雨災害も対象となる見込みだ▼地震後の豪雨など災害が重なった場合は、単発の災害と比べて被害が拡大する。11月にも発足する防災庁は、こうした複合災害も含めた災害対応を一元的に担い、その司令塔としての役割が大きく期待される▼この1カ月間だけでも豪雨被害が相次いでいる。国と地域で災害対策の強化を急ぐとともに、災害常襲列島に暮らす一人一人が防災知識を高めて備えていきたい。


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凜/国土交通省関東地方整備局河川部河川計画課・山下千尋さん

 ◇水害から生命と暮らし守る
 「水害から生命と人々の暮らしを守りたい」。ふるさとの兵庫県で起きた豪雨災害を経験したことが河川分野の道を志したきっかけに。異常気象の影響は各地で大規模な水害をもたらす。流域を深く理解し、適切に対策を打てる技術者になると、高い志を胸に秘める。
 大学では津波や高潮などがテーマの海岸工学を学び、建設コンサルタントに就職した。発注者を支援するよりも、「水害に強いまちづくりができる」行政の仕事に興味を持ち国土交通省に入省。利根川上流を管理する河川事務所で流量観測や環境調査業務に携わった。
 事務所勤務を経て、現在は河川計画課で予算関連の業務を担当する。上司のサポート役として予算要求の場にも同席。出先事務所の意向を適切に伝える仕事は想像以上に難しい。限りある予算を適材適所へ配分するには、「個々の河川でどのような事業が行われているかを深く理解」する必要がある。説明する力を養うため“自分磨き”に手を抜かない。
 予算業務という気の抜けない仕事だが、「希望通りの予算配分ができた」瞬間に達成感を得られる。河川整備や管理は、地域の人々の暮らしに直結する。その一員として仕事ができることに誇りを感じている。将来は「河川計画の立案に深く携われる」技術者になるのが夢と語り、一日も早く一人前になって「育ててくれた上司や仲間に報いたい」と発奮する。
 (やました・ちひろ)


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建設関連企業/ゲームと融合し顧客開拓/国内最大祭典に相次ぎ初出展

 建設関連企業の顧客開拓や技術開発で、ゲームと融合する新たな動きが出てきた。鹿島、日特建設、アジア航測の3社が、17日に千葉市美浜区の幕張メッセで開幕する国内最大級のゲームイベント「東京ゲームショウ2026」に初出展する。鹿島やアジア航測は巨大なゲーム市場の取り込みに期待し、ユーザー・クリエーター向けの製品販売やサービスに注力。日特建設は建設現場で使う技術にゲーミングの要素を取り入れ、シナジー(相乗効果)の発揮を目指す。 =3面に関連記事
 今年で30周年を迎える東京ゲームショウは、コンピュータエンターテインメント協会(辻本春弘会長)が主催する。過去最長期間となる21日までの5日間にわたり開催される。過去最多の53の国と地域から1138社(国内540社)が出展。来場者数も推計で約30万人と過去最多を更新する見通しだ。PR事務局によると、過去に建設関連企業の出展はほとんどない。
 鹿島は、3月に一般販売を開始した小型の立体音響スピーカーをゲームユーザーらにPRする。建築音響の研究成果を踏まえ開発した立体音響技術の「OPSODIS」(オプソーディス)を搭載。1台で360度の自然な立体音場を実現する。
 同社の村松繁紀立体音響プロジェクトチーム事業推進統括部長は、映画や音楽鑑賞などに加え、臨場感が醍醐味(だいごみ)となるロールプレーイングやシューティングなどでのゲームに推奨する。現在は販売をいったん停止しているものの、近く出展に合わせ再開する予定という。
 日特建設は、のり面吹き付け作業を大容量化・省力化するロボット施工技術「スロープセイバー」の遠隔操作システムを構築。家庭用ゲーム機のコントローラーで操作できるようにした。モニター画面にはのり面の角度を示す補助線や吹き付けノズルの位置を示すマークも表示でき、シューティングゲームのような遊びの要素と実用性に優れた機能も備える。
 同社の石垣幸整事業本部技術開発部次長は、現場の作業空間を疑似体験できるVR(仮想現実)を例に「ゲームとi-Constructionの親和性は非常に高い」と指摘する。
 アジア航測は、都市や海底などの地形データを加工し、3Dゲームクリエーター向けの部品として提供する新サービスを展開。出展で新事業の認知度を拡大し、ターゲット層であるゲームクリエーターから直接ヒアリングすることで、適切なデータサイズや販売形式などに反映させる。
 3社は、ゲームファンを建設分野に振り向かせる効果にも期待する。ゲームとの融合は大きな可能性を秘めている。


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from 企業・経営 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=187650
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先端センター/建設技術共創・実装フォーラム設立/フィジカルAI部会を設置

 先端建設技術センター(五道仁実理事長)は、建設技術の公開・共有を通じ、建設産業の健全な発展を目指す「建設技術共創・実装フォーラム」の設立総会を11日に開いた=写真。総会では、代表に小林潔司京都大学名誉教授、副代表に五道理事長を選任した。大成建設や鹿島、清水建設、大林組など58法人と個人3人の計61者が賛同している。14日以降、同センターのホームページで入会申込書を掲載し、入会を受け付ける。=2面に賛同法人一覧
 フォーラムは産官学を結ぶハブとして、土木分野の技術開発を巡る課題解決や協調領域の創出を進める。建設技術の公開・共有を促進し、土木技術力の底上げと建設産業の健全な発展につなげる。
 フォーラムでは、AIで機械やロボットを動かす「フィジカルAI」と建設技術の融合や発展に向け、「フィジカルAI部会」を設置する。10月に部会のキックオフ会議を開く。会議の結果を踏まえ、11月には共同開発・共同利用に関する法的課題なども取り上げ、企業や行政などとの共創に向けた検討を始める。
 設立総会の冒頭、五道理事長は「立場や組織の垣根を越えて、知見と課題を持ち寄り、技術の共創と実装を前に進める実効的なプラットフォームとなるよう努めていく」とあいさつした。
 小林代表は「研究成果を社会のウェルビーイングにつなげるには、積極的な連携が重要。さまざまな立場の関係者が議論し、社会実装につなげられる場にしたい」と述べた。
 来賓として出席した見坂茂範参院議員は「技術者不足や技術的に難しい課題に対応するためには、コンサルタントや法律の専門家などとも連携し、共に知恵を出し合う時代への転換が必要。政治の面からもフォーラムを強力に後押しする」と力を込めた。
 同じく来賓として出席した国土交通省の廣瀬昌由技監は、防災・インフラ老朽化対策など日本の技術を磨き、海外展開につなげる必要性を指摘。その上で「関係者が共創しながら実装を進め、成果につなげてほしい」と期待を示した。


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from 行政・団体 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=187645
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足利銀行/本店を栃木会館跡へ移転/設計は三菱地所設計

 足利銀行(宇都宮市、清水和幸頭取)は、本店を栃木県庁前にある栃木会館跡地に移転して建て替える。建物はS造地下1階地上11階建て延べ3万7000平方メートルの規模。設計は三菱地所設計に委託している。施工者は未定。設計を進め、2028年度にも着工する見込み。開業は31年度を予定している。清水頭取と福田富一栃木県知事は10日、県庁で開かれた基本協定締結式で協定書に署名した。
 同行本店営業部と本部の機能を移転する。共創拠点や憩いの場を含む複合施設を整備する考え。
 建設予定地の栃木会館跡地の所在地は宇都宮市本町12の1(敷地面積6150平方メートル)。新本店は免震構造を採用し、高さは約60メートルを想定する。外観は県庁や本庁舎昭和館などと色味を合わせ、一体感を持たせる。
 1階にはカフェや図書館、マルシェなどを計画。大階段には100~200人規模のイベントスペースを設ける。2階に本店機能などを置く。3階には約500人収容できる大会議室を用意。地下は駐車場、4階以上は執務室にする。
 総工費は非公開。ZEB Ready以上の認証取得を予定している。従業員数は約1600人を見む。
 栃木会館跡地を巡っては、県が公募型プロポーザルで利活用事業者を募り、足利銀行を選定した。同社が提案した土地売買予定価格は28億5200万円だった。
 式典後、報道陣の取材に応じた福田知事は「跡地活用は大きな課題だった。一日でも早く建物が完成し、多くの人でにぎわう姿を見たい」と語った。
 清水頭取は建物に関し、「最新の免震構造を採用する。規模は現本店の約1・4倍のサイズ感となる」と説明。現本店跡地は「まったくの白紙だが、建物を残すかも含めて上手な使い方を検討したい。31年度に移転するまでに考えられれば」と語った。


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from 工事・計画 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=187647
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アジア航測/航空写真撮影とレーザー測量を一体実施するセンサーを国内企業初導入

 アジア航測は、航空写真の撮影とレーザー測量を一体的に実施できる高性能センサー「CountryMapper-S」を国内企業で初めて導入した。1度の航行で鮮明な航空写真と3D点群データなどを同時に取得。森林火災などの災害発生時に被災状況を迅速に把握できる。4月に1台目、8月には2台目を導入し、運用体制を強化した。
 同センサーはスイスの測量・計測機器メーカーであるライカジオシステムズが開発した。従来のカメラと同等以上の高解像度画像を取得でき、国土地理院が定める基本測量の精度にも対応する。用途に応じた機体配備のための航空機移動が抑えられ、運航に伴う二酸化炭素(CO2)の排出量を削減する。
 照射するレーザーのビーム径を小さくし、樹木の頂点の隙間を通過するレーザー数を増やしたことで、従来機に比べレーザー測量精度も高めた。樹木下や急傾斜地での地盤取得率の向上が期待できる。
 アジア航測は4月22日に岩手県大槌町で発生した林野火災現場で、同センサーを搭載した航空機を用いて自主計測・撮影を実施した。カラー画像と近赤外線画像、3D地形データを同時取得し、火災が植生へ及ぼした被害を可視化。今後の対策検討や植生回復状況の経過観察に活用できることを確認し、災害時の効率的な状況把握に役立てる。


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from 技術・商品 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=187639
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2026年9月11日金曜日

陣内孝雄氏(元自民党参院議員)が死去

 元自民党参院議員の陣内孝雄(じんのうち・たかお)氏が8日午後1時、肺炎のため東京都内の病院で死去した。93歳だった。葬儀は14日午前10時から東京都品川区西五反田5の32の20の桐ケ谷斎場で。喪主は長男の健雄(たけお)さん。
 佐賀県出身。旧建設省職員を経て、1988年の参院佐賀選挙区補欠選挙で初当選。当選4回。小渕内閣で法相を務めた。参院予算委員長や郵政民営化特別委員長などを歴任。2024年12月に死去した足立敏之参院議員の遺志を引き継ぐ政治団体「インフラ・建設みらい研究会」の会長を務めていた。


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from 人事・動静 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=187618
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建築へ/旧長濱検疫所一号停留所移築(横浜市金沢区)、検疫の歴史伝える文化財

 神奈川県の観光地・八景島に近く、夏には多くの海水浴客でにぎわう海の公園(横浜市金沢区)に、明治期に完成した検疫施設「旧長濱検疫所一号停留所」が移築された。国内洋風建築の黎明(れいめい)期をたどる上で貴重な文化遺産の一つで、国の登録有形文化財にもなっている。移築後は、8月10日に建物の活用事業者に選ばれたスターバックスコーヒージャパンがカフェを開業。明治の面影を残す建物が、新たな場所で時を刻み始めた。
 明治時代初頭に流行した感染症「コレラ」への対策として、明治政府は神奈川県の長浦村(現横須賀市箱崎)に1878年、横浜検疫所の起源となる「長浦消毒所」を開設した。
 日清戦争に伴う横須賀軍港の拡張に伴い、消毒所は95年に長濱(現横浜市金沢区長浜)へ移転。翌年、「長濱検疫所」に改称された。一号停留所は移転に合わせ、感染症の疑いのある上等船客を一時的に収容する施設として建てられた。99年には、医師として駆け出しだった野口英世が海港検疫医官補として採用され、検疫所で勤務した。
 一号停留所は1923年の関東大震災で損傷した。当時の資料によると、多くの建物が倒壊などの被害を受ける中、一号停留所は傾きが軽微で修理可能と判断され、古材も使って復旧工事が進められた。再建は被災翌年の24年。第2次大戦後、横須賀市浦賀に検疫所が設けられるまで、感染症のまん延を防ぐ施設として重要な役割を果たした。47~55年には、海外引き揚げ者らの宿泊施設にも使われた。
 検疫所としての役割を終えた後も、一号停留所を含む2棟は解体されずに残った。その歴史的・意匠的価値が認められ、2018年に国の登録有形文化財となった。
 今回の移築は、23年の厚生労働省横浜検疫所の移転に伴って実施された。一号停留所は、建築の歴史を伝える文化財として移築・保存することが決まり、入札の結果、神社仏閣や文化財の保存修理を強みとするアイチケン(愛知県江南市、井上小百合社長)が工事を担った。25年3月に完了した。
 移築では、当時の面影を残すことを最優先した。柱や梁、窓、ドアノブ、金具も可能な限り再利用。解体時には各部材に番付を施し、元の位置が分かるようにした。何度も塗り重ねられた外壁や内装は、サンドペーパーで丁寧にこすり、再建時の色を特定した。壁紙も一部に当時のものを使っている。
 工事を終えた一号停留所は市に引き渡され、公園指定管理者の横浜市緑の協会が活用事業者を公募。スターバックスコーヒージャパンが店舗を開業し、停留所にあった食堂や談話室などがカフェスペースに生まれ変わった。
 当時はサンルームの役割も果たしたという日当たりの良い廊下も残る。和洋折衷が主流だった時代の建築として貴重な、純洋風の意匠が現代に受け継がれた。店舗設計に携わった1級建築士の岩元俊輔氏は、「真ちゅうのフレームなど、通常の店舗では見られない要素がある。空間体験として楽しんでほしい」と話す。
 保存に向けて働きかけてきた有志団体もある。野口英世よこはま顕彰会(染谷優児事務局長)は、「日本の検疫の黎明期を伝える貴重な建物を残す」ことを使命に、各方面と連携して署名活動を展開してきた。一号停留所だけでなく、施設に収蔵されていた幕末偉人の扁額(へんがく、名称や文字を記した額)など、貴重な資料の保存も訴えた。
 一号停留所は移築され、資料は国が収蔵することになった。染谷氏は、当時の面影を残した移築を喜ぶ。「海水浴や散歩を目的とする人々の目に触れる。スタバの人気も驚くほどだ」。今後は年に数回、一号停留所で検疫の歴史や野口の働きを伝えるイベントも計画する。
 「開国以降、各地の港町に建てられた検疫所で唯一現存する施設だ。コーヒーカップを傾けながら建物の雰囲気を感じつつ、検疫の重要性を改めて学ぶ場になってほしい」と思いを語る。
 横浜検疫所の小倉義之総務課長は「検疫所は、感染症が治まると世の中の関心が薄れてしまう。検疫の歴史と併せて、貴重な遺構を後世に残せるのであれば、越したことはない」と語る。市みどり環境局戦略企画部戦略企画課まちづくり連携担当課長の臼田吉徳氏も「優雅な時間を過ごしながら、歴史を感じてほしい」と話す。
 建物内には、野口の活躍や検疫所の歴史を伝えるパネルが多数設置されている。コーヒー片手に、人々を疫病から守ってきた施設の歴史を感じてみてはいかがだろうか。


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日建連/次期SIPテーマ設定で初要望、スマートインフラ・防災の項目継続を

 日本建設業連合会(日建連、押味至一会長)は、政府の次期(第4期)「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)」のテーマ設定で初めて要望活動を行った。9日に蓮輪賢治副会長(土木本部長)が総合科学技術・イノベーション会議(CSTI)有識者議員の宮園浩平氏(東京大学特別栄誉教授)を訪問。次期SIPのターゲット領域の検討が始まるのを踏まえ、日建連土木本部がまとめた要望書を手渡した。
 2027年度までの現行(第3期)SIPには、「スマート防災ネットワークの構築」「スマートインフラマネジメントの構築」の検討に日建連会員が参画している。日建連は次期SIPのターゲット領域の検討に当たり、「スマートインフラ」と「防災」に関する項目を継続できるよう要望。▽防災課題とインフラ課題に係る独立したターゲット領域の継続的な設定▽技術実証から公共調達・制度適用までを見据えた官民一体の一気通貫支援-の二つを盛り込んだ。
 蓮輪土木本部長は「第3期でSIPで設定されているインフラ課題や防災課題は社会実装の観点からまだ道半ばの状況だ」と指摘。豪雨災害や熊本地震、首都直下型地震のリスクなどを背景に、インフラマネジメントや生産性向上の技術開発の必要性は高い。防災とインフラの課題に対し、独立したターゲット領域の継続的な設定から技術実証、公共調達、制度適用までを見据えた官民の支援を求めた。
 CSTIは3月に策定した第7期科学技術・イノベーション基本計画で17の重要技術領域を決めた。高市内閣も成長戦略として科学技術の重要17領域が合致した形で設定されている。
 宮園氏は「今後これらの領域に対して研究資金をはじめ重点的な取り組みが進められる見通しだ」と展望。次期SIPに向けては「日建連を含む関係者からの要望を踏まえ検討していく。昨今の台風・災害などに対する国民の関心が高まっており、社会的ニーズも考慮して進める」と話した。


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2026年9月10日木曜日

回転窓/上高地のインフラへの心遣い

 北アルプスを代表する登山口の上高地(長野県松本市)が、今年の夏山シーズンもにぎわっている。飲食店が集まる河童橋周辺ならバスターミナルから近く、軽装で行き来できる▼8月は混雑のため、松本駅方面に向かうバスに3時間待ちの行列ができた日があったと聞いた。レアチーズケーキが人気のカフェは、梓川が濁るような雨の日も、片手に傘を持った軽装の観光客と、防水対策が万全の登山者が交互に順番待ちしていた▼上高地には歴史的なインフラが多くある。梓川の砂防のために整備されたアーチ式の釜ケ渕堰堤がその一つ。竣工は1942年。2002年9月3日にアーチ式砂防堰堤として全国初の登録有形文化財となった▼上高地に向かうには、マイカー規制のために新しい釜トンネルをバスなどで通る必要がある。その堰堤を車窓から見ることはできなくなったが、80年以上も地域を守り続けてくれている▼バスターミナルに隣接した上高地インフォメーションセンターに、釜ケ渕堰堤の紹介コーナーが設けられた。大勢の人が集う一画から、大切なインフラの存在を知ってもらおうとする心遣いがうれしい。


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