学名「ニッポニア・ニッポン」。「朱鷺(とき)色」と呼ばれる淡いピンク色の美しい羽を広げ、優雅に大空を飛ぶ国の特別天然記念物・トキは、まさに日本を象徴する鳥だ▼かつては日本各地に生息していたが、明治時代以降に乱獲や開発で、その数は激減した。1981年に野生のトキを保護して繁殖を試みるも失敗。日本のトキは絶滅した。その後中国から贈呈されたペアをもとに人工繁殖の技術を確立し、2008年に佐渡島で放鳥。自然繁殖にも成功して生息数は約500羽にまで回復している▼能登半島に位置する石川県羽咋市で5月31日、佐渡島のトキが本州で初めて放鳥された。人工ふ化や野生復帰に向け、懸命に努力を続ける関係者の喜びもひとしおであろう▼建設の世界には、現代の科学でも完全な再現が困難な「失われた技術」が数多く存在する。さらに職人の高齢化で伝統の技が失われる危機にも直面している▼使えなければ技術はいつか廃れる。伝統的な技を現代のエンジニアリングでアップデートし、社会の要請や現行の法規などに適合させる。使うことで技術は磨きがかかり、次世代へと伝わっていく。
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