2026年10月1日木曜日

回転窓/きつねの嫁入り祭りの地の防災訓練

 各地に伝わる「きつねの嫁入り」。新潟県東部の阿賀町では、嫁入りの行列に伴うきつね火が多く見える年ほど豊作になると言われてきた。婚礼を再現する祭りが毎年開かれ、中心部には観光交流施設「狐の嫁入り屋敷」がある▼町を阿賀野川が流れ、周囲を険しい山が囲む。気温や湿気の条件によって雲海に包まれやすく、祭りをより幻想的に演出する。一方で、水害や土砂災害と向き合ってきた地域でもある▼先週、この地域の建設会社による合同防災訓練が行われた。土砂の撤去や土のう作りの初動を確認。国土交通省の補助金を活用して導入したマシンガイダンス対応のICT建設機械を稼働させ、特殊アタッチメントのチルトローテーターや3D測量の効果を確かめ、情報を共有した▼参加した建設会社の関係者は「災害はないに越したことはないが、訓練の成果を有事の際に役立ててほしい」と話した。「仲間が減っている。地域の防災力はみんなで高めないと」とも▼きつねの嫁入りの言い伝えが残る地域には、防災・減災に力を注ぐ建設会社がある。地域の守り手であり、担い手でもある彼らに、手厚い支援が届いてほしい。


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from 論説・コラム – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=188054
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内閣府地方創生推進事務局長・宿本尚吾氏/地方から稼げる産業創出

 発足から10年になる内閣府地方創生推進事務局。8月7日付で11代目の事務局長に就いた国土交通省出身の宿本尚吾氏は「政府の地域未来戦略の実現に向けて、整えられてきた仕組みをうまく使い、地方創生を成り立たせていきたい」と抱負を語る=写真。人口減少や官民の担い手の確保といった課題と向き合いながら「稼げる産業の地方からの創出」を目指す。
 地方創生に関する総合戦略(2025年12月閣議決定)に取りまとめることが盛り込まれた地域未来戦略が7月に閣議決定された。戦略産業クラスター計画などの3計画や政策パッケージの取り組みが進んでいく。「国内総生産(GDP)の半分程度を占める地方経済の成長は重要。伸びしろを生かしたい」。稼げる産業を地方からもさらに創出するという地域未来戦略の「新しい発想」を踏まえ、施策の実行に力を入れる。
 地域再生の施策、交付金、税制などを生かしたまちづくり、新しい公共サービスの提供、移住支援といった地方創生を巡る10年の取り組みから「さまざまないい事例が出てきている」と効果を認識している。「地域によって面的な整備も機能の集約も求められる。地域が望むことを大事に取り組みを進める」考え。人口減少と東京一極集中が進み、地方からの産業創出にも課題は多い。地域未来戦略には産業団地の造成などに伴う必要なインフラ整備の実施がうたわれており、地域が必要とするインフラを束ねた事業に期待を寄せる。
 27年度予算概算要求が締め切られ、府省庁の地方創生の施策は金額を示さない事項要求が多く並んだ。府省庁それぞれの政策、施策があり、「国をよりよくしていくために知恵を絞りながら、予算と施策が年末にかけて検討されていく」状況にある。事務局の職員の約半数は地方自治体からの出向者。国と地方の人脈の積み重ねとネットワークを生かしながら地方創生を後押しする。国力の向上に貢献するために「地域からも世界に目を向ける意識」も高めていく。
 設計や施工を担当し、地域のまちづくりやにぎわいの創出に貢献している建設業を地方創生や政府の17の戦略分野を支える「大事な担い手」と見ている。「活躍の場がまだまだある。ノウハウ、知恵、役割はこれからも必要」。地域のために活躍する建設業にエールを送る。


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from 人事・動静 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=188050
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26年度下半期スタート/建設関連企業の社名変更相次ぐ/組織再編、トップ交代も

 2026年度の下半期を迎える1日、多くの建設関連企業が社名や体制を変更し、心機一転のスタートを切る。国内建設需要は堅調に推移しているものの、国際情勢や金利動向など先行きの不確実性も高まっている。持続的に成長できる事業基盤を築き、変革を強力に推し進める。
 三井住友建設は、インフロニア・ホールディングス(HD)との経営統合を機に、社名を「アルソシア建設」に変更する。グループシナジー(相乗効果)を発揮し、コンセッション(公共施設等運営権)など脱請負領域への参画拡大を目指す。グループ会社の三井住建道路は「アルソシア道路」、SMCテックは「アルソシアテック」、SMCプレコンクリートは「アルソシアプレコン」、三井住友建設鉄構エンジニアリングは「アルソシア鉄構」にそれぞれ社名を変更する。
 住友電設は、大和ハウスグループ入りを機に、社名を「セムリンクス」に変更する。電気工事や機械工事などを対象に、技術と人の力で「つなぐ」という価値を生み出し続ける思いを込めた。28年夏ごろまでに、東京都港区三田にある東京本社を中央区日本橋本町3(日本橋本町MK-SQUARE)に移転する予定だ。
 1月に純粋持ち株会社として発足したパシフィックコンサルタンツHDの新体制も本格始動する。国内は中核事業会社のパシフィックコンサルタンツ、海外は同日設立した全額出資子会社のパシフィックパデコインターナショナルが担い、人員などの経営リソースをより戦略的に振り分ける。パシコンの社長には岡野郊子氏、パシフィックパデコインターナショナルの社長には石河雅典氏が同日付で就任する。
 太平洋セメントは、トクヤマのセメント販売事業を継承するトクヤマセメント(東京都文京区、磯村哲郎社長)の全株式を同日付で取得する。全額出資子会社の「トクヤマ太平洋」として事業を展開。セメント内需が減少する中、両社の顧客ネットワークや販売網を最大限に生かす。


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from 企業・経営 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=188063
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中日ドラゴンズファーム移転/経済効果は10年間で420億円/MURCらが試算

 三菱UFJリサーチ&コンサルティング(MURC)と三菱UFJ銀行は、中日新聞社と中日ドラゴンズが計画している新ファーム施設の開発が実現した場合の経済的・社会的な価値を予測するリポートを作成した。開業後10年間の経済波及効果は420億円、交流人口は40万人増加すると試算した。
 経済的価値を予測する前提条件は、公募条件を踏まえ敷地面積を7万5000平方メートルと設定。
 球場などのほか野球観戦を目的としない来訪者を呼び込む公園・緑地、飲食店、イベントスペースなどの設置も想定した。立地自治体の規模は9・5万人と仮定した。
 経済波及効果は建設期間合計で220億円、開業後10年間では交流人口と定住人口の増加による消費額の増加で420億円の効果が生まれると予想。市町村税収は事業スキームにより変動するが、10年の合計で19億~31億円の増加を見込んだ。
 社会的価値では▽生活・文化水準の向上▽先進都市への進化▽地域への愛着向上▽地域企業・産業の振興▽野球界の振興-が創出されるとまとめた。
 7月18日に締め切った1次提案を通過したのは22自治体。2次提案は30日に締め切り、2027年5月ごろに優先交渉権者を決める。


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from 行政・団体 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=188064
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プロロジスら/京都府京田辺市でマルチテナント型自動倉庫建設/最大1000億円投資

 プロロジス(東京都千代田区、山田御酒代表取締役会長兼最高経営責任者〈CEO〉)らが京都府京田辺市に次世代型物流施設を建設する。総投資額は800億~1000億円。複数の顧客が使うマルチテナント型の自動倉庫で、工期は2027~30年を見込んでいる。従来、自動倉庫は利用企業ごとに使い方が異なるため、1社だけの専用施設として整備していた。
 台湾を拠点に物流施設の開発・運営などを手掛けるアリー・ロジスティク・プロパティー(ALP、チャーリー・チャン共同創業者兼CEO)と組み、次世代型物流施設を建てる。プロロジスとALPは9月29日に共同事業会社の設立に向け基本合意書を交わした。
 ALPが展開する物流施設「OMEGA(オメガ)」として整備する。オメガは大規模な自動倉庫機能を共用インフラとして提供するサービスモデル。同モデルの物件は中央部に高密度のパレット型自動倉庫を配置する。無人搬送車を組み合わせることで荷物の保管・入出庫・搬送などを自動化する。
 京田辺市での工事現場は松井宮田(敷地面積約9万5000平方メートル)で、既設の物流倉庫「プロロジスパーク京田辺」の近くに位置する。高さは約40メートルで、多層階施設として開発する。建物中心部に置く自動倉庫には数万パレットの保管能力を持たせる。
 入居企業は大規模な自動倉庫設備を整備・保有することなく物流オペーレションを自動化できる。省人化や保管効率のアップも可能になる。利用するスペースやパレット数の増減が可能で、物量の変化や事業拡大に対応できる。
 1号案件が稼働後は「国内で適切な土地があれば2号案件、3号案件の開発に取り組む」(プロロジス広報室)考えだ。世界で事業展開するプロロジスの知見を生かし、将来的には欧米での展開も視野に入れている。


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from 工事・計画 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=188059
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MSC、佐藤渡辺/プラごみを道路舗装に活用/建設業界初、リサイクル地産地消へ

 プラスチックごみのリサイクルを手がけるMSC(仙台市太白区、麦谷貴司社長)と佐藤渡辺は、リサイクル過程で発生する残りかすを道路舗装材に使う技術を開発した。MSC独自の微粉化技術で残りかすを加工したアスファルト改質添加剤「Re-PAB(リーパブ)」を、佐藤渡辺がアスファルト混合物に添加し、「エコ・ループファルト」として製品化した。建設業界では初めての取り組みという。プラスチックごみが出た地域の道路舗装にリーパブを取り入れ、リサイクルの地産地消につなげる。
 エコ・ループファルトは、アスファルト混合物1トン当たり10キロのリーパブを添加する。プラスチックごみの約51%を占め、これまで焼却されていた残りかすをアスファルト混合物に活用することで、製造時の二酸化炭素(CO2)排出量を約50%削減できる。道路舗装材に加え、工業用マットやコーン標識、雨水貯留槽などへの展開も見込む。
 麦谷社長は「出したごみが生活に戻ってくる実感が、資源循環の最大の力になる」としている。佐藤渡辺は、コンクリートにリーパブを添加した「エコ・ループクリート」の開発にも取り組んでいる。同社の橋本秀浩代表取締役兼常務執行役員は「顧客が信頼して選べる製品になるよう、商品価値を高めたい」と話した。


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from 技術・商品 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=188061
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2026年9月30日水曜日

回転窓/アジア発の新常識

 名古屋市を中心に東海地方で連日、熱い戦いが繰り広げられている第20回アジア競技大会。日本での開催は1994年の広島大会以来32年ぶりで、会場やテレビで観戦している人も多かろう▼今大会では5競技が新たに加わった。サーフィン、総合格闘技(MMA)、テニスに似たラケットスポーツのパデル、VR(仮想現実)技術を活用したバーチャルテコンドー、サッカーと卓球の要素を融合したテックボールなど、一般にはまだなじみの薄い競技も多い▼近代五種では従来の馬術が廃止され、代わりに世界的に人気の視聴者参加型テレビ番組「SASUKE」に似た障害物レースのオブスタクルも導入された。スポーツの常識を超えたエンターテインメント性が盛り込まれている▼2022年の中国・杭州大会から正式競技として採用されたeスポーツも、過去最多となる11種目13タイトルが採用された。日本は大会を前に、五輪選手らが利用するナショナルトレーニングセンターに専用施設を設け、強化してきた▼今大会の新種目が盛り上がり、アジア発の新常識として、世界のスポーツイベントに定着することを期待したい。


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from 論説・コラム – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=187996
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新社長/DNホールディングス・吉村実義氏/AIと暗黙知の融合で新価値創出

 土木構造物の設計や地質調査など公共事業で培った技術力を強みに、民間事業の参入、拡大を目指す。7月に始動した3カ年中期経営計画では2029年6月期の連結売上高を425億円(26年6月期380億円)に設定。コア事業を堅実に成長させながら成長事業の拡大、新規事業への参入を図る。事業拡大を通じ持続的に成長するホールディングス(HD)体制を描く。
 --経営の課題は。
 「前期に事業会社がコンプライアンス違反を起こし、すべてのステークホルダーに心配と迷惑をかけた。失われた信頼の回復が第一の使命だ。社外取締役を増員するなど、グループを挙げてガバナンスを強化する。設計照査の体制を整備してきたが、それでも橋梁設計でミスが起こった。抜け目のない照査体制を築き業務の精度を高めていく」
 --事業環境をどう見る。
 「公共事業の発注量は大幅な増加が見込めず、競争が激しくなるだろう。リスク分散の観点から民間事業を公共事業に次ぐ、もう一つの柱に育てる。調査から設計・維持管理まで対応できる総合建設コンサルタントの強みを生かし、売上高の民間比率を現状の3割弱から4割まで引き上げる。36年までの長期ビジョンに掲げた目標だが、より早く達成したい」
 「民間分野は原子力発電所や新エネルギー施設の調査・設計を成長事業に据える。中でも過去に文献調査を受注した高レベル放射性廃棄物の地層処分関連事業は、施工までを含めると1世紀以上かかる大規模事業となる。事業会社では半世紀前から原子力発電所の地質調査などに関わってきた。何としても参画し100年続く仕事を確保する」
 --コア事業の構造設計分野の戦略は。
 「鋼構造の橋梁設計では業界トップクラスの売り上げを誇り、今後もこの地位を維持したい。国内は大規模な新設橋梁の案件数が限られるため、点検や維持管理、補修に照準を合わせる。新設の橋梁関連業務は海外に目を向ける。事業会社の海外事業部などを通じた受注活動とHD内での技術継承に力を注ぐ。フィリピンではマニラ事務所を現地法人化する準備に入った。培った技術力を次世代につなぐためにも技術者が海外で経験を積む必要がある」
 --AI活用の考えを。
 「過去の業務提案書を学習させ、資料作成の補助に活用している。現状のAIが出す成果品は一定レベルには達するが、提案採用の決め手になる『もう一工夫』が足りない。熟練の技術者が持つ暗黙知や顧客との対話を通じた提案は人間ならではのもの。AIの効率性と人の知見を融合して、新たな価値を創造し提供したい」。
 (9月29日就任)
 (よしむら・みよし)1982年千葉大学理学部卒、ダイヤコンサルタント(現大日本ダイヤコンサルタント)入社。2013年執行役員、17年取締役を経て21年DNホールディングス取締役。千葉県出身、69歳。期日より前に仕事を終わらせ、相手を待たせないことを信条とする。趣味は農園での野菜作りとキャンピングカーでの旅行。


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三機工業R&Dセンター・植村センター長/「社会実装までやり切る」技術戦略拠点に

 神奈川県大和市にある研究開発拠点「SANKI R&Dセンター」は、ロボット開発をはじめ、三機工業の建設DXをけん引する。4月に就任した植村聡執行役員センター長は、建築設計の現場経験を経て、26年余り研究・開発の第一線に立つベテランだ。2025年に創立100年を迎えた同社の歴史を念頭に、「次の100年をつくる技術戦略拠点だ。挑戦を楽しみ、社会実装までやり切る意識を定着させたい」と強調する。
 現在の三機テクノセンター内への移転を機に18年10月、技術研究所から改称した。同社は中期経営計画(25~27年度)で成長投資枠として500億円を設定し、R&Dを重点投資する五つの分野の一つに位置付ける。植村氏は「企業の研究・開発は、最終的に施工現場や顧客への価値につなげることが重要だ。特に人の能力に依存するため、しっかり学び、研究できる人材の成長を促していく」と運営方針を語る。
 2月に発表した「フレキシブルダクト施工支援ロボット」は、天井に軽量で柔軟性のある空調用の「フレキシブルダクト」を自動でつり下げる。従来工法と異なり、高所作業車や足場を使わず地上から施工できるため、作業員は1人で済む。高所での作業時間を50%以上減らし、負担軽減と安全性の向上を両立する。
 植村氏は「AI利用とロボティクスは他社より進んでいるのではないか」と自負する。三機工業は既に大半の社員が生成AIを業務に活用している。特許や論文、他社の動向などの調査では、これまでのように専門企業に依頼することがなくなったという。将来は「埋もれている暗黙知を生成AIで引っ張り出し、次の仕事につなげる仕組みをつくりたい」と語る。ヒューマノイドロボットについても「まだまだ現場への導入は難しいが、巡回など、できるところから始めたい」と見通す。
 センターでは、外部との連携によるオープンイノベーションも積極的に進める。KPI(重要業績評価指標)の一つに位置付ける「共創」の件数は順調に増えているという。パートナーについては「開発を深く、広く、早くできるような相手を探す。簡単には見つからないため、日頃から展示会や学会の懇親会に顔を出すよう職員に伝えている」と話す。


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東京都/神田川に新たな調節池整備を検討/上中流部で計4カ所想定

 東京都は、神田川で新たな調節池の設置を検討している。全国的に豪雨被害が相次ぎ、特に都市部の中小河川の洪水対策が急務になる中、都は2023年3月に改定された神田川河川整備計画で河川整備の目標を20年に1度の豪雨に引き上げた。今年5月には、将来の気候変動も考慮に入れた新たな流域河川整備計画原案も公表し、治水安全度向上のため調節池など新たな治水施設整備を盛り込んでいた。上中流に4カ所程度の調節池整備を視野に、今後具体化を図る。
 神田川は井の頭池(三鷹市)を水源とし杉並、中野、新宿、豊島、文京の各区などを経て、隅田川に合流する。流路延長24・6キロの1級河川で、下流部は日本橋川に分かれる。川沿いには治水施設として既に神田川・環状七号線地下調節池(貯留量57万立方メートル)など複数の調節池が稼働中。市街地化が進んだ下流部は高田馬場付近の分水路など、多重の洪水対策を講じている。
 都は将来の気候変動を考慮すると、さらなる施設整備が必要と見ている。上流端(三鷹市井の頭3)~鎌倉橋(杉並区浜田山2)の上流部で3カ所、駒塚橋(文京区目白台1)~江戸川橋(同関口1)の中流部で1カ所の計4カ所で調節池設置を検討している。
 上流部では▽上流端~第2吐水(三鷹市井の頭2)=貯留量約5・2万立方メートル▽第2吐水~月見橋(杉並区高井戸西1)=3・6万立方メートル▽正用下橋(杉並区高井戸東1)~鎌倉橋=10・1万立方メートル-の3カ所の整備を検討する。
 形式は地下トンネル式と地下箱式。今後、検討業務を委託し、具体的な形式や配置、貯留量などを固める。既存調節池も含めた調節池ネットワークの形成も視野に入れる。
 中流部では駒塚橋から江戸川橋の間で貯留量30・7万立方メートルの大規模な調節池整備を計画している。形式は地下トンネル式。立坑は5カ所を想定する。ルートや取水施設などの詳細は今後詰める。


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