2026年6月11日木曜日

防衛省のECI~部隊と進める工事~・下/土木・建築両部門のモーダルシフト

 ◇PCa工法で工期短縮
 陸上自衛隊武山駐屯地は、三浦半島の西側、相模湾に面している。防衛省南関東防衛局の加藤琢朗調達部長は、整備の課題に部隊活動、期間、交通の三つを挙げる。学校教育や部隊訓練への影響を最小限にとどめ、2028年度の男女共学化に向けた工事を地域交通に配慮しながら工程通りに進める必要があるためだ。学校生活や訓練があり、工事に使える敷地が限られ、「どう進めるか、困難がいろいろあった」という。
 防衛省はECIの設計業務、技術協力業務の中で、学校、部隊、設計者、施工予定者と課題を整理し、技術提案を踏まえながら対策と施工に伴う計画を練り上げた。「コストを含めた総合的な判断」(加藤部長)から、新築する一部の学生隊舎、隊庁舎の新築にPCa工法を適用した。「工期を1年は短縮できた」(同)とみている。最大18トンの部材を揚重する必要があり、五洋建設JVは対応可能なクレーンの能力を見極め、最適な配置にこだわった。
 建物の基礎構築やインフラ工事などから約4・4万立方メートルの建設発生土が出る。車両搬出なら安全確保を徹底しても駐屯地前の国道134号の渋滞が懸念される。そこで設計業務の際に発注者、設計者、施工者が海上搬出について協議した。護岸などを訓練に使う海自と横須賀教育隊の運用を調整し、仮設桟橋を設けた。浚渫も行い、土砂を作業船からガット船に積み替えて搬出する「土木、建築両部門が連携したモーダルシフト」(五洋建設JVの岩崎利彦所長)の体制を整えた。津波対策のために杭径が高層マンション級に大きくなるような建物もあるが、土の搬出と移動を減らす工程と計画を立案した。
 現場は週休2日で作業する。平日、作業員は横須賀市の体験型公園「ソレイユの丘」の駐車場に車両を止め、マイクロバスで現場に移動する。市内業者にはビジネスマッチングの場を通じて、食事の配達やクリーニングなどを担ってもらっている。武山駐屯地の学校整備は、自衛隊の将来を担う人材の確保に直結する。重要な事業ながらも防衛省は「安全保障と経済の好循環」(加藤部長)として地元経済への貢献に努めている。
 「部隊の活動や、建物の仕様、周辺の道路を利用する住民の生活環境も理解してもらえている」。陸自武山駐屯地業務隊の龍崎直樹管理科営繕班電気係長は、現場作業をそう話す。津波対策をはじめ発注段階では仕様を確定できない工事や、インフラの収まりが課題になる建物があり、設計者、施工者と知恵を出し合ってきた。訓練の場所を変えるなど陸海空の各部隊と施工側の要望を擦り合わせながらの作業が続くが、龍崎係長は「勤務環境、生活環境を改善する工事に隊員の期待は大きい」と話す。
 防衛省は防衛3文書の防衛力整備計画に基づき、全国の駐屯地・基地など283地区で最適化事業を推進し、自衛隊施設の強靱化に取り組んでいる。26年度予算にはECI方式を適用する25地区の経費を計上。「ECIでないとできなかった工事」(加藤部長)の経験を次の事業に生かす。 (編集部・溝口和幸)


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全国建設産業教育訓練協会会長・大木勇雄氏に聞く/センターが旗振り役に

 ◇教育はコストでなく人への投資
 富士教育訓練センター(静岡県富士宮市)を運営する全国建設産業教育訓練協会の会長に、大木勇雄氏(日本建設躯体工事業団体連合会〈日本躯体〉会長)が先月就任した。入職者不足が深刻化する今だからこそ、教育訓練機関の中心を担う「センター・オブ・センター」としての役割を認識。「プレイングマネジャーとして自ら運営しながら、建設産業の教育訓練の新しい在り方を示す」と意気込む。
 --就任の抱負は。
 「2027年に開校30周年を迎える。この30年を振り返りつつ、将来も永続的にセンターを発展させるため、次代を見据えた飛躍の年にしたい。これまで3代の会長が難局を乗り越えてきて今がある。尽力に感謝したい。重い責任に身の引き締まる思いだ」
 「建設産業は多くの課題を抱えるが、特に、現場を支える入職者の不足には危機感を持っている。教育訓練の重要な役割をもっと強調したい。センターで技能を身に付け、働くことの楽しさや喜び、達成感を味わってほしい」
 --教育訓練の必要性をどう訴える。
 「受講生を送り出す企業にメリットを発信し、意識を変えていきたい。人手不足の中、現場を離れて教育させるのは大変だと思う。受講の前後でスキルが目に見えて違うと実感してもらえる教育を提供していかなければならない。教育訓練をコストではなく、人への投資と考えてほしい。送り出す企業には、受講させた成果の生の声を聞いていく。わたし自身も講師と意見交換し、受講生とも身近に接したい」
 --今後の教育訓練の方向性は。
 「これまでは個々の企業や現場、職長ごとに、いわば自己流でやってきた。足場を例に取っても、地域や企業で組み方も専門用語も異なる。どこでも安全や品質が担保されるよう、センターで標準的な組み方を教えることが重要だ。統一的なマニュアルに基づいた教育訓練も今後必要になってくるだろう。業界全体で同じような教え方をするには、相当なエネルギーがいる。センターが旗振り役となり、他の教育訓練機関とも一緒に目指したい」
 「建設キャリアアップシステム(CCUS)の就業履歴は、その人が転職してもたまり続ける。統一的な教育訓練は、労働移動の活発化を前提とした環境でこそ必要だ。AIの発達で産業構造が変わり、異業種からの転職が盛んになる可能性もある。現場経験のない人が学ぶ場としてセンターの重要性は増していくのではないか。育成就労制度が始まり、外国人材を熟練労働者に育てる機運も出てくる。CCUSと連動したスキル向上とキャリア形成に向けた教育訓練を官民で構築していく」
 --新たな教え方に対応した講師の育成も求められる。
 「自己流であってはいけないが、『俺の背中を見て覚えろ』という従来のやり方は、決して悪いわけではない。立派な職人であれば自分のスタイルに自信を持つべきだし、その良さを後進は見習うべきだ。従来の良さを生かしつつ、普遍的で最新の知見に基づいた教え方を追求する。その両方が備わっていれば受講生への説得力も高まるだろう」。
 (おおき・いさお)1972年日本大学理工学部建築学科卒、竹中工務店入社。80年大木組入社、90年社長、現在は名誉会長。団体活動では2018年5月から日本躯体会長。趣味は近代建築巡り。東京都出身、76歳。


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from 人事・動静 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=185092
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日建連意見交換会・九州地区/工事書類の簡素化を推進/「工事の勘所」運用徹底

 日本建設業連合会(日建連、押味至一会長)と国土交通省九州地方整備局など公共発注機関による九州・沖縄地区の意見交換会が10日、福岡市内で開かれた。日建連は「国の道路・河川工事のうち48%が時間外労働の原則ルールに抵触している。2025年度よりも悪化している」(風間優公共工事委員長)と指摘。さらなる時間外労働の削減に取り組む必要があると訴え、さらなるDX推進による現場生産性の向上、施工管理業務の効率化を求めた。=2面に出席者一覧
 九州整備局は、時間外労働の上限規制を順守するため、24年度から現場での留意・配慮事項を整理・運用する「工事の勘所」や、建設現場の時間外労働削減や働き方改革を目的とした「五つの運用基準(5ルール)」を独自に実践している。25年度には工事書類の簡素化、効率化に向け、日建連九州支部と九州整備局職員による会議を複数回開催。対応案を議論し、26年3月に土木工事書類省力化ガイドを作成した。
 九州整備局の青野正志企画部長は「5ルールや勘所は、受発注者ともに認知度が不足している状況がみられた」と課題を認識。「施工計画の打ち合わせや工事監理連絡会で、受発注者が内容を相互に確認することをルール化した」と報告した。働き方改革の取り組みとして「受発注者の現状を含めた工事の勘所による5ルールで適正運用を徹底する」と表明した。
 意見交換会は九州地区で全日程を終えた。


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from 行政・団体 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=185098
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YKKAP/住宅・ビル商品、26年秋に15%値上げ/アルミなどの高騰受け

 YKKAPの魚津彰社長は10日、日刊建設工業新聞の取材に応じ、10月にビル用商品、11月には住宅用商品で価格をそれぞれ15%程度引き上げる方針を明らかにした。アルミなどの原材料価格や物流コストの高騰を受けた対応。同社は5月1日受注分から、住宅用やビル用の商品、金属外装材などで価格を5~10%引き上げた。今秋の値上げは2026年で2度目となる。
 魚津社長は、アルミを中心とする原材料価格に加え、光熱費や物流コストの高騰が利益を圧迫していると現状を説明。「非常にインパクトが大きい。自助努力による販管費の削減だけで(コスト上昇分を)吸収できる状態ではない」とし、価格改定は避けられないとの認識を示した。


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from 企業・経営 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=185096
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兵庫県/新庁舎整備基本計画検討会議が初会合/完成時期はDB方式が最短、33年上期

 兵庫県は10日、「新庁舎等整備プロジェクト基本計画検討専門者会議」の第1回会合を開いた。県本庁舎(神戸市中央区下山手通5)の現在地建て替えに向けたゾーニング案や民間施設の導入機能案などを報告したほか、整備手法の比較検討を行った。実施設計・施工一括(DB)方式の場合、最短で2033年上期の完成となる見通しを示した。基本計画策定支援業務は昭和設計・NTTファシリティーズJVが担当。
 敷地内西側の1号館と中央の2号館、議場棟などを解体し、1号館跡地に新庁舎を建設する。東側の3号館は改修を行い継続使用する。2号館跡地内の南側敷地や、周辺の旧県民会館跡地、旧県警東側駐車場、県公館東側敷地の4カ所は民間提案エリアとする。
 1号館跡地に高層の新庁舎棟、現3号館の西隣に新議会棟を整備。両棟は2号館跡地内の北側敷地に設ける駐車場棟を介して連絡通路で接続する。基本構想(25年度策定)によると、庁舎の必要面積は約9万2000平方メートル(うち現3号館が約2万8000平方メートル)。
 新庁舎棟の南側に広場を設け、敷地を南北に通り抜ける歩行者動線を確保。県庁前交差点を軸としたウオーカブル空間を形成する。フロア構成案では、新庁舎の低層階に旧県民会館の県民交流機能を導入。県庁舎の北側に立地する現災害対策センターの機能を新庁舎内に移転、同センターは改修を経て行政機能を配置する。
 民間提案エリアの活用に向けて実施したサウンディング(対話)調査の結果も報告。不動産や建設など9者が参加し、「定期借地の場合、採算を確保するために40~50年の期間が必要」「三宮と比較してホテルやオフィスの需要は低い」「リスク回避のため既存建物は県で撤去してほしい」などの意見を得た。引き続き追加でヒアリングを行い、ニーズを把握した上で公募条件の精査を進める。
 整備手法は従来方式とDB方式、PFIを比較検討し、完成時期はそれぞれ33年下期、同上期、34年上期とした。DBの場合、先行の解体工事で地下駆体を残置し、新庁舎工事で解体を行うことで事業期間を最も短縮できることを報告した。
 会議は計4回開き、秋ごろに中間取りまとめを報告、事業費を精査した上で26年度末に基本計画を策定する。27年度に基本計画策定支援業務の受託者が引き続き基本設計をまとめる予定。


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from 工事・計画 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=185088
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世紀東急工業/植物由来原料使った再生中温化合材開発/材料と製造両面で低炭素化

 世紀東急工業は、植物由来原料を使った再生中温化アスファルト合材を開発した。一般的に使われる石油系再生用添加剤を植物由来に変更。製造時の温度を通常よりも30度下げた。材料と製造の両面で二酸化炭素(CO2)の排出削減にアプローチ。通常温度で石油系添加剤を使用した場合と比較し、合材1トン当たりのCO2排出量を5・5キロ削減した。
 自社の再生合材「マイブル-eco」に、花王の植物由来再生用添加剤「ダノックス」を使用した。ダノックスは繰り返し再生したアスファルトの性状回復効果がある。
 製造過程では、再生用添加剤とアスファルトをあらかじめ混合した後に水を高圧噴射して微細な気泡を発生させる。気泡によって合材の流動性が高まる。アスファルトは粘度が高く、高温にしないと流動しにくいが、気泡によって低温でも流動しやすくする。
 発泡させた混合物を、微細化な泡にする「スタティックミキサー」に通し、さらに流動性を高める。二つの工程を経ることで混合物の締め固め特性などを向上させる。
 多治見合材工場(岐阜県)で再生率50%の合材を試験製造・施工した。製造温度は従来よりも30度低下。通常の温度で製造・施工した場合と比較し、混合物としての性状と品質に差がないことも確認した。
 技術研究所の関伸明所長と同第一研究グループの村井宏美グループリーダーは「今後は実道での実績を重ね、供用性などの評価をしつつ展開を図る」としている。
 アスファルトの減産や原料価格の高騰などを背景に再生骨材の需要が高まっている。同時に合材の製造と施工でCO2を排出する舗装業界にとって、対応は大きな課題だった。


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from 技術・商品 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=185099
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2026年6月10日水曜日

防衛省のECI~部隊と進める工事~・上/陸自武山駐屯地大規模施設整備設計

 ◇設計・施工に技術提案の最適解
 陸上自衛隊武山駐屯地(神奈川県横須賀市)にある男子校の高等工科学校。2028年度から男女共学になり、陸上だけでなく海上、航空の各自衛隊で活躍する人材の育成拠点になる。共学移行と陸海空の共同化に向けて、駐屯地では政府の防衛力整備計画に基づいた総延べ約11万平方メートルの大規模な施設整備が進行中。ECI方式を適用し、施工者の五洋建設JVと「技術提案の最適解を反映した工事」(加藤琢朗防衛省南関東防衛局調達部長)に取り組んでいる。
 (編集部・溝口和幸)
 「武山(6補)教育施設等整備工事」は建設地を1~3地区に分け、ともにプレキャスト(PCa)工法で新築する学生隊舎3棟(各RC造8階建て延べ約9700平方メートル)、隊庁舎3棟(RC造5~9階建て延べ約8400~2万7000平方メートル)や、教場(RC造4階建て延べ約8900平方メートル)、仮設隊舎(S造3階建て延べ約6800平方メートル)の建設、受変電施設、非常用発電設備、受水槽、水インフラなどの工事が進む。改修する建屋もある。
 一帯のインフラを再構築する必要もあって、加藤部長は「まちを一つ造り替えるような事業」と話す。設計は綜企画設計・オリエンタルコンサルタンツ・復建技術コンサルタント・コーセツコンサルタントJVが担当。技術協力業務を担う五洋建設・京急建設・土志田建設・川本工業・向洋電機土木JVが設計に関与し、施工している。
 武山駐屯地は陸自東部方面混成団が活動する。海自横須賀教育隊の地区、空自武山分屯基地もある全国でも珍しい自衛隊拠点の一つ。工事は、学校教育や部隊活動を妨げずに、定められた期間に集中して実施しなければならない。自衛隊活動に支障がない施工や仮設などの計画が求められ、仕様の確定が難しい施設やインフラがあった。そこで防衛省は施工者の知見、ノウハウを前倒して反映するため、ECI方式(技術協力・施工タイプ)の採用を決めた。
 自衛隊施設の工事は、地元企業の受注にも配慮した分離・分割発注が基本だが、複数の工事を同時進行させる場合は、工事ごとに部隊との調整や安全管理が必要になる。加藤部長は「発注者も部隊も五洋建設JVを見ればいい。統制がうまくいっている」とECI方式の効果を捉えている。
 工事は、列を乱さずに走る学生や、訓練中の各部隊のそばで進む。工事関係者と車両の出入りは、技術提案を踏まえ、敷地東側のゲートに限定した。顔認証システムを導入して入退場の手続きを効率化し、未退出者のチェックなどに万全を期している。五洋建設JVの岩崎利彦所長が心掛けるのは「慎重かつ安全な作業」。同社は「たくさんの技術提案」(岩崎所長)とマリコンの施工力をフル活用している。


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新社長/前田道路・富安敏明氏/家族まで大切にする会社に

 不安定な中東情勢は道路舗装業界にも大きな影響を与えている。難しい局面で経営のかじを取る。工事発注が減少する状況に対処しつつ、地域ネットワークの深耕・拡大によって持続的な成長を目指す。健康経営にもより力を入れ、社員がパフォーマンスをフルに発揮できる環境づくりを模索する。
 --就任の抱負を。
 「短期と長期の両面を大事にしたい。短期的には中期経営計画などで示した定量的な目標の達成と、そのための環境づくりを目指す。会社を成長させるには、数値だけで表せない要素も必要だ。長期的な視点として10年、20年先を見据えた社員教育や学生へのアプローチなどを考えていく。将来的に道路舗装業界にとってプラスとなる要因が見つけにくい状況にある。M&A(企業合併・買収)や事業領域の拡大も視野に入れる」
 --足元の経営環境は。
 「中東情勢の影響で原油価格が上昇している。緊急措置として4月からアスファルト合材を値上げして対応している。顧客には値上げに理解をいただけている状況だ。今回の危機が収束すれば直ちに値下げをすると約束している。原油価格に影響する中東情勢は常に注視しているが、中東の動向にかかわらず国内の人口は減り続ける。道路づくりの仕事は人口に比例するため、仕事量が減少することへの危機感が常にある」
 --人口減少に歯止めが掛からない状況で、成長の道筋をどう描く。
 「営業所と合材工場を合わせて約200カ所ある拠点は当社にとって強みだ。4月に鹿児島と金沢に営業所を開設した。道路舗装工事という市場規模の拡大が難しい事業で持続的な成長を実現するには、各地でシェアをさらに高める必要がある。地域の合材工場とのJVも検討する」
 「現状では当社が参入できそうな包括委託の発注は少ない。複数の自治体が連携するようになれば件数も増えるとみている。まずは、自治体の道路管理業務の支援を行いながら、インフロニア・ホールディングス(HD)が持つインフラ運営事業の知見と、当社のネットワークを融合することで、仕事の幅を広げていきたい」
 --社員が仕事に打ち込める環境も重要だ。
 「休日の確保では昨年、全現場で完全週休2日制を達成した。健康経営の一環として、社員の配偶者も含め、がん検査の一つであるPET検査の費用負担を始めている。親などの介護に対する手当も創設した。経営目標を達成するために、みんなが働きやすい環境とは何かを突き詰めて考えている。社員はもちろんその家族と、さらに協力会社まで大切にする会社でありたい」。
 (4月1日就任)
 1993年前田建設入社。2020年前田道路執行役員、21年取締役兼常務執行役員、23年同兼専務執行役員、24年代表取締役兼専務執行役員。休日は小学生の息子と遊ぶなど、家族の時間を大事にする。座右の銘は「慎独」。他人が見ていない時こそ、自分の行いを律する。山口県出身、58歳。


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全建が総会/今井雅則会長が続投/新4K実現へ課題乗り越え前進

 全国建設業協会(全建、今井雅則会長)は9日、東京・大手町の経団連会館で開いた2026年度定時総会・理事会で、今井会長が続投する人事を決めた。副会長は石井源一氏、西村裕氏が退任し、大橋聡司富山県建設業協会会長、中村高志山口県建設業協会会長が就任した。錢高久善副会長(大阪建設業協会理事)、千葉嘉春副会長(宮城県建設業協会会長)は続投する。
 定時総会の冒頭、今井会長は自然災害の激甚化・頻発化、防災・減災のための国土強靱化、老朽化が進んだインフラの維持管理・更新を課題に挙げた。中東情勢の影響に伴う建設資材の供給の不足、遅延に懸念を表明し、工事の中止や遅延が避けられない状況になっっていると指摘した。
 その上で地域の守り手の地域建設業が地域の基幹産業としての役割を担い続けるため、「魅力ある憧れの産業」となることの重要性を強調した。「新4K(給与・休暇・希望・かっこいい)の実現に向けて、さまざまな課題を乗り越えながら前進していかなければならない」とも述べた。


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東京都東久留米市/本庁舎改修を一時停止/スケジュールなど再検討

 東京都東久留米市が本庁舎改修事業を一時停止する。資機材や人件費の高騰、他自治体での入札不調などを勘案し、改修工事のスケジュールや事業費などを再検討する。市は3月に改修基本計画を策定し、事業費を約118億円と試算。7月に基本設計の委託先選定手続きに入る予定だった。
 8日の市議会本会議で富田竜馬市長が表明した。事業費は2025年12月に試算したため、33年6月を見込む工事完了までに大きく上昇する可能性がある。市内には更新の必要な公共施設が他にもあるため、優先順位や財政負担を検証する。
 久米設計に委託し策定した基本計画では、改修後の施設規模を現庁舎と同程度の延べ2万平方メートル前後とした。整備手法に基本設計先行型の設計・施工一括(DB)方式を採用。28年3月末までに基本設計を終え、28年度に実施設計と施工を任せる事業者を選定する予定だった。
 市が算出した概算工事費は本庁舎改修118億6350万円(税込み、以下同)、仮移転する旧下里小学校への入居1億8568万円。本庁舎の所在地は本町3の3の1。敷地面積は6794平方メートル。施設はSRC造地下1階地上7階建て塔屋1階延べ2万0129平方メートルの規模。1996年に竣工した。


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