2026年7月2日木曜日

回転窓/局に紡がれる取り組み

 放鳥されたトキの位置情報を市町村単位で公開する取り組みが始まった。定着が妨げられないよう詳細は非公開だが、環境省の野生復帰の活動に生かされる▼トキの保護を巡っては、2010年に保護施設の個体が動物に襲撃された痛ましい事故があった。当時、責任を痛感し、悲嘆する地方環境事務所の担当者らを幹部が「ここからだよ」と励ましたと聞いた▼八つある同省の地方環境事務所の名称が1日からそれぞれ地方環境局に改まった。これまで災害の現地対策本部の会合などでは、事務所というだけで他省庁の地方支局の後ろに配置されることもあったのだそう▼各環境局の所在地や管轄区域は事務所と同じで、引き続き環境政策を地域の現場組織として担う。トキも熊も脱炭素も、大気や水、災害廃棄物処理まで。所管が多くて広い環境行政は、それだけ国民に近い存在でもある▼5月末、石川県内で初めて本州にトキが放鳥された。職員や関係機関の熱心な活動とひたむきな思いが結実した。位置情報が分かるのはこの8羽。局になっても続いていく各事務所の取り組みがある。各地の身近な局の活動が知られたらいい。


https://www.decn.co.jp/inc/hp_image/altimage.jpg

from 論説・コラム – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=185715
via 日刊建設工業新聞

時流/日本機械土工協会会長・玉石修介氏/共通課題に「協調」して対応

 ◇付加価値踏まえ適正賃金を
 日本機械土工協会(日機協)の新会長に玉石修介氏(玉石重機社長)が5月19日付で就任した。玉石新会長は協会活動について「協調という視点が重要となる。少子高齢化問題など会員企業が共通する課題は内部でしっかり議論し、協調して取り組んでいきたい」と、意気込みを語った。
 --就任の抱負は。
 「山梨敏幸前会長が進めてきた協会活動の近代化と、時代の変化への適合性を高めることを継承していきたい。過去には同業者が乱立し、いがみ合う状況もあった。今は相互理解の場としての協会活動が充実し、時代への対応力を培う場としての機能も出てきた。50年を超える協会の歴史で蓄積された経験やノウハウを生かしたい。特に会員相互の受注競争は当然行うが、少子高齢化への対応や物価高問題など共通の課題については、『協調』という視点からしっかりと議論したい。賛助会員も含めて会員同士のコミュニケーションを強化することで、協会活動の厚みも増すだろう」
 --中東問題や物価高への対応は。
 「専門工事業は現地単品生産でモノづくりに専念するため、物価高に備えることが難しく、影響をもろに受ける。機械や燃料のコスト上昇を社内だけで吸収するのは難しい。このため、発注者には適正価格での発注をお願いしたい」
 --国土交通省が4月に機械等損料を改定した。
 「大変ありがたい。生産性を向上させるためにも最新鋭機の導入は欠かせない。建設機械の老朽化は作業とともに進むため、引き上げてもらった損料は機材更新の原資となる。電動建機や新たな革新的な建設機械の導入の動きもあり、適切な対応を今後も引き続き実施してほしい」
 --担い手確保策は。
 「機械土木工事はプロジェクトがあれば、全国どこでも施工しなければならない。この特殊性を解消するのは難しいが、さまざまな処遇改善はできる。社員の月給化は協会として早くから取り組んできたが、賃金の伸びが他産業に比べ少ない。生涯賃金という観点から賃金制度を考えたい」
 「若い人に入職してもらうには、仕事内容をきちんと社会的評価をする仕組みが重要になる。われわれが造るインフラは何十年も国民の生活や経済を支える。そういう付加価値を含めて評価してほしい。土木作業員という言葉の響きも気になる。この仕事に携わる者はいくつもの資格が必要で、いわゆる高い技能を備えた職人集団だ。職人の技能に見合った対価を支払う仕組みが求められる」
 --自動化や機械化の動きはどうか。
 「人力作業就労者の高齢化を考えると、機械土工作業の高度化などは避けて通れない。ただ、人的作業がすべてなくなることは考えにくい。国交省のICT導入協議会は4月、建設分野のフィジカルAI活動推進ワーキンググループを設置した。苦渋作業を解消するため、新たな施工手段の活用などを検討する。こうした人的作業環境の改善にも積極的に取り組んでいきたい」。
 (たまいし・しゅうすけ)1975年日本大学生産工学部土木工学科卒、玉石重機入社。取締役、常務、専務を経て2006年に社長(現職)。日機協の活動では理事、常務理事、副会長を経て26年5月19日付で会長。兵庫県出身、74歳。


https://www.decn.co.jp/inc/uploads/2026/07/202607020201003-1.jpg

from 人事・動静 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=185710
via 日刊建設工業新聞

四国整備局/BCP優秀認定会社41社に功労賞/地域防災力向上に貢献

 四国地方整備局は、地域建設業のBCP(事業継続計画)の取り組みをたたえる新制度を創設した。四国に本社を置く一般土木C等級を対象とする四国建設業BCP等審査会の「災害時の基礎的な事業継続力」の認定審査で優秀な取り組みと認められた会社(優秀認定会社)に功労賞を授与する。
 南海トラフ地震が切迫する四国独自の制度で、インフラの守り手として地域全体の防災力向上に寄与する地域建設業に感謝の意を込める。功労賞の授与対象は7月末時点で有効な認定を受けている優秀認定会社(2023年度第1回認定審査~26年度第2回認定審査)41社。内訳は徳島県8社、香川県8社、愛媛県17社、高知県8社。
 四国建設業BCP等審査会から認定を受けた企業は四国整備局の総合評価方式で加点評価される。このため功労賞受賞による新たな加点はしない。「国土交通Day」(7月16日)行事の一環として行われる国土交通行政関係功労者事務所長表彰式に合わせ、優秀認定会社所在地最寄りの事務所長から授与する。


https://www.decn.co.jp/inc/hp_image/altimage.jpg

from 行政・団体 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=185718
via 日刊建設工業新聞

大阪メトロ・角元敬治社長が就任会見/外部との戦略的連携を強化

 6月30日付で大阪メトロの社長に就任した角元敬治氏が本社で記者会見を開き=写真、交通事業と都市開発を一体で進める成長戦略を打ち出した。民営化から8年が経過し、2025年度に過去最高益を更新したことを踏まえ、「企業として第2章に踏み出した」と強調。外部との戦略的連携を強化しつつ、森之宮や夢洲などの開発を着実に推し進める考えを示した。
 金融機関出身の角元社長は25年から社外取締役を務め、「私に期待されているのは『つなぐこと』と認識していた」と説明。「成長路線を描くためには社内の力だけでは限界がある」と述べ、同業他社をはじめ、不動産や生活サービスなど幅広い分野との戦略的連携で、自社にない経営資源や新たな成長機会を取り込む方針を打ち出した。
 一方で「変えてはいけない本質」に安全・安心の徹底を挙げた。「ここが揺らげば交通事業者としての信頼や存在基盤が失われる」と強調。「長年培ってきた技術や現場力が当社の財産」とし、安全運行を支える技術と信頼を将来に引き継ぐ姿勢を示した。
 その上で、変革の柱に▽外部との戦略的連携▽デジタル・AIの活用▽人材戦略-の3本柱を提示。外部連携では、多様なジャンルの事業者と協業し、新たな街づくりやサービス創出につなげる考えを示した。デジタル・AIでは、運行管理やダイヤ作成などで業務の効率化を進め、人材戦略では社員一人一人が能力を発揮できる環境を整備する。
 中長期的には、企業理念に掲げる「大阪から元気をつくり続ける」の実現に向け、交通事業を軸に生活サービスや都市開発を融合した事業展開を加速させる。交通と一体となった都市開発では、森之宮や夢洲など東西軸の強化を推進。「新規開発にとどまらず、御堂筋をはじめ南北軸も含めた既存エリアの価値向上にも取り組む」と力を込めた。
 大阪公立大学新キャンパスが完成し拠点形成が始動した森之宮地区は、新駅や駅ビル、空飛ぶクルマ発着場、アリーナの整備を見据え、「当社が注力すべき重要エリア」と位置付けた。一方で、建設コストの上昇や人手不足を踏まえ、「事業のタイミングを見極めつつ、関係者と共に計画の具体化を進めたい」と話した。


https://www.decn.co.jp/inc/uploads/2026/07/202607021202003-1.jpg

from 企業・経営 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=185704
via 日刊建設工業新聞

甲府市/湯村温泉再生へ/山梨の名産品と出会う場所に

 開湯1200年の歴史があり、武田信玄も湯治に訪れた甲府市の湯村温泉。この温泉街を復活させようと、甲府観光開発(甲府市、笹本健次社長)が再整備に乗り出した。同社と市の予算も合わせ、総事業費20億円超を投入。マルシェやジュエリープラザ、バスターミナル、足湯などの建設を計画する。最盛期には40以上の温泉宿が軒を連ねたにぎわいを取り戻す取り組みが始まった。
 2021年に湯村温泉旅館協同組合、昇仙峡観光協会、JTBの3者の出資で設立した新会社・甲府観光開発が再整備を主導する。同社の社長に就任した笹本氏は、温泉街屈指の名旅館「常磐ホテル」の社長も兼務する。
 客足が遠のいた湯村温泉街では過去にも複数回、再整備計画が持ち上がったものの、資金や人材面が折り合わず計画に進展はなかった。東京で出版社を経営していた笹本氏は一念発起し帰郷。温泉街の現状を打破するため、地元の銀行や企業、市に根気強くかけあい、協力を取り付けた。
 再整備の対象範囲を「温泉街の入り口から800メートルの区間」に絞った。25年8月に創業100年を超える老舗「旅館明治」を大規模リニューアルしたことを皮切りに、26年度は集客の核となる施設を複数建設する。
 テーマは「やまなしの“ほんもの”と出会う場所」。革製品の「甲州印伝」、果物、ワインなどの特産品を販売するマルシェや、ジュエリーの販売と見本市を開催できるプラザを新たに設ける。「山梨には良いものがたくさんあるが、PRがうまくいっていない」と笹本氏。再整備では単に宿泊にとどまらない来訪の目的づくりを行う。各施設は27年春の全面開業を目指す。
 車がないと移動が難しいという地方観光の弱点にもメスを入れる。常磐ホテルと甲府記念日ホテルの敷地の一部を使い、バスターミナルと駐車場を整備。昇仙峡やリニューアルが進む遊亀公園付属動物園などを周遊する「山梨版はとバス」(笹本氏)の発着場となる。キャパシティーに限りがあるJR甲府駅のロータリーを補完する。
 甲府観光開発の積極果敢な姿勢に市も共感。税収増を理由に、市は26年度予算に道路舗装費1・1億円、マルシェ建設費3・5億円の総額4・6億円を計上した。
 建設費や物価の高騰など課題も多いが、笹本氏は「手をこまねいていても何も始まらない」と話す。「温泉街の再生は一世代で終わるようなものではない。次世代がしっかりと引き継げる土壌をつくる」ため、笹本氏や地元の挑戦は続く。


https://www.decn.co.jp/inc/uploads/2026/07/202607020501003-1.jpg

from 工事・計画 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=185719
via 日刊建設工業新聞

NTTファシリティーズら/大規模DC、モジュール型建築手法開発着手

 NTTファシリティーズは1日、データセンター(DC)の申請や設計、建設にかかる期間を大幅に短縮する新たな建築手法の開発に着手したと発表した。日鉄エンジニアリングとシステム建築を用いたモジュール型DCの標準化などの検討で基本合意した。工場で生産した部材を現場で組み立てて構築するDCモデルを開発。大規模DCの申請・設計・施工期間を従来比で最大約50%短縮する。
 NTTファシリティーズの次世代型DCプロジェクトの第3弾。DCモデル「Hyper Ready Module」は、建物を構成する五つの主要部材(基礎、擁壁、鉄骨、外壁、屋根)をモジュール化し、あらかじめ工場で生産することで工期を短縮。主要な空調・電気設備機器を屋外に配置し、建物を低層化(1、2階建て程度)して軽量にする。
 建物部分は高耐震構造としながら、主要設備を制振化し、ITサーバーを置くデータホールの床部分を免震化(床免震)する免制振ハイブリッド構造を採用。BCP(事業継続計画)で免震建物相当の性能を維持した上で、建物全体は免震構造としない構成にする。これにより構造評定や大臣認定などの各種申請期間、免震・基礎工事にかかる期間を短縮、省略する。
 設備もモジュール化する。メインフレームの主要構造部に加え、設備耐震用のサブフレーム(配管・配線を支持するフレーム)をあらかじめ構築。空調用配管や電気配線を工場でユニット化し、現場で組み立てる。昇降機を使う上部作業を極力減らし、効率化を図る。
 地震リスクに対する高い信頼性の確保を目的に、レジリエンス設計に取り組む。日本データセンター協会(JDCC)が定めるファシリティスタンダードの最高基準「ティア4」相当のPML評価基準(地震リスク評価基準)を踏まえ、地震発生時の設備への影響を抑制。DC機能を維持するため、設備耐震用サブフレームの制振化や、構造と設備のモニタリングシステム導入といった対策も講じる。
 設計から建設までのすべてのプロセスを標準化。ハイパースケール(数十~数百メガワット級)の大規模DCで申請・設計期間を1年、建設工期を1年とし、プロジェクト全体の期間を約2年と想定している。
 今後、DC事業者や関係機関と連携しながら具体化を進め、2028年度の実現を目指す。


https://www.decn.co.jp/inc/uploads/2026/07/202607020301003-1.jpg

from 技術・商品 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=185708
via 日刊建設工業新聞

2026年7月1日水曜日

回転窓/井の中の蛙大海を知らず

 洋服や靴などを購入するまで気持ちの踏ん切りがつかない時がある。先日、なじみの店にお邪魔した際、対応してくれた店員の宣伝文句に負けてしまい、前から欲しいと思っていた洋服を購入してしまった▼洋服店で声を掛けられることに苦手意識を持つ人は少なくない。だが自社の商品を売るプロの着こなしは参考になる面もあり、小欄はあえてアドバイスを求めるようにしている▼商品購入の決め手はデザインだけではない。よく利用する別の洋服店に愛想の良い店員がおり、聞いてみると社内の接客コンテストで優勝したことがあるという。商品購入に接客態度が大きく作用するのだと合点がいった。誠実で丁寧な対応をされると気分も良い▼接客業に限らず、プロを名乗るからには外の世界でも通用する技量を持っていなければならない。未熟さを痛感した時、〈井の中の蛙大海を知らず〉であった自分に気付く▼少しでも自分を高めたいと思うなら、知らない世界を経験することも、時には大事なのかもしれない。当然だが、それには踏み出す勇気も必要だ。現状維持に満足するか、変えたいと思うか。それは自分次第だ。


https://www.decn.co.jp/inc/hp_image/altimage.jpg

from 論説・コラム – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=185671
via 日刊建設工業新聞

政府/骨太方針原案/フィジカルAIで社会資本整備の生産性向上

 政府は6月30日、経済財政諮問会議(議長・高市早苗首相)を開き、経済財政運営と改革の基本方針2026(骨太の方針)の原案を示した。財政計画の方向として「戦略的な社会資本整備の推進」では、フィジカルAIによる生産性向上と、賃上げ・処遇改善・人材確保による「地域のインフラの整備力を強化」とうたった。労務費確保の必要性や資材価格の高騰を考慮し、「必要な事業量を確保する」とも明記した。
 27年度予算編成の基本方針は、概算要求で通常歳出とは別枠の「『強く豊かな日本』投資枠」を創設し、上限のない予算要求や予算額を示さない事項要求を行えるようにするとした。補正予算依存の財政運営から脱却し、恒常的な施策は当初予算で措置するとも記した。補正予算を編成する場合は「真に緊要性の高い施策」に限定する。基金のルールなども見直す。基本方針は年内に必要な改定を行う。
 原案は国土形成や交通空白の解消に関して、総合的なインフラマネジメントを推進し、メンテナンスを予防保全型に転換することや、老朽化対策とまちづくりの連携を進めるとした。成長投資を支える基盤として▽高規格道路▽整備新幹線▽リニア中央新幹線▽都市鉄道▽港湾▽空港-などの早期整備と担い手の確保・育成に取り組む。インフラや施設整備関係では、33年度再開場に向けた国の責任による国立劇場再整備、医療機関の連携・再編・集約化の促進、大学など機能強化と規模適正化、高等専門学校の新設・機能強化などを進める。
 防災・減災は、「令和の国土強靱化対策を断行」と記した。防災庁の設置で政府の司令塔機能を強化し、地域の防災力向上を支援する。政府の代替拠点、首都中枢の防災性能強化、法案成立を前提とした副首都の活用なども盛り込んだ。


https://www.decn.co.jp/inc/hp_image/altimage.jpg

from 行政・団体 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=185672
via 日刊建設工業新聞

原爆ドーム保存/試験施工で効果確認へ/広島市が委員会に報告

 ◇壁面再現し経過観察
 広島市は6月29日、世界遺産「原爆ドーム」(中区)の保存策を検討する「特別史跡原爆ドーム保存技術指導委員会」(委員長・三浦正幸広島大学名誉教授)を平和記念公園(中区)内のレストハウスで開き、今後の保存工事に備え、試験施工を行うと報告した。壁面がれんがとモルタル、しっくいの試験体を製作し、吸水防止剤や充填材を施工して効果を確認する。2039年ごろまでドーム敷地内で経過を観察し、実際の保存工事に適用できるかを調査する。
 原爆ドームは被爆から80年以上がたち、壁面のひび割れやれんが、コンクリートの劣化が進み、過去5回にわたって崩落や落下、雨水、地震対策などの保存工事を実施。約3年ごとの健全度調査を基に、劣化した部材の補修や補強を行いながら現状維持の保存に努めている。
 25年2月には「経年的な劣化によるひび割れなどが確認されたが、特筆すべき劣化はみられなかった」と報告し、市は今後の保存工事に備え、現地での試験施工を視野に補修工法を検討している。
 市によると、れんがとモルタル、しっくいで約30センチ四方の壁面を再現した試料(立方体・直方体)を製作し、補修材を施工して試験体にする。補修材には中性化や白華など建物の劣化を防ぎ、長寿命化や外観の維持に効果を発揮する浸透性の吸水防止剤を採用。外壁がれんが、モルタル、しっくいの試験体を2個ずつ作る。
 過去に原爆ドームの小さなひび割れの補修に使った無機系の充填材を塗った試験体も2個製作し、吸水防止剤と充填剤の効果を比較するため、補修材を使わない試験体もそれぞれ1個ずつ作る。
 設置場所は原爆ドームの柵内。26年度内に試験体を設置し、39年まで13年間の長期にわたって試験施工を行い、3年ごとのモニタリングで防水性や外観への影響、材料と試験体との不着性などを確認する。
 コンクリートのひび割れは、5回目の保存工事で無機系充填材で補修を行っているが、24年度の健全度調査で一部ひび割れが進んでいることが確認されたことから、ひび割れを再現した試験体の製作が可能か検証を行う。
 会合後、三浦委員長は「通常の文化財は傷んだ部分を取り換えることで半永久的に保存できるが、原爆ドームはそのもの自体に価値があるため、取り換えができない」と説明。「核兵器が世界からなくなるまで絶対に残さないといけない使命がある。少しでも長く保存できる方法の開発が急務だ」と強調した。


https://www.decn.co.jp/inc/uploads/2026/07/202607011901003-1.jpg

from 工事・計画 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=185676
via 日刊建設工業新聞

フジタ/山岳トンネル覆工コンクリ、圧力に応じ圧送速度制御/連続で自動打設可能に

 フジタは、山岳トンネル工事でセントル(移動式型枠)にかかる圧力を監視・制御しながら、覆工コンクリートを連続して自動打設するシステムを開発した。圧力を随時監視し可視化する独自技術と、岐阜工業(岐阜県瑞穂市、宗像国義代表取締役)が開発した自動打設対応のセントルを組み合わせた。広島県呉市で施工中のトンネル工事に導入し、最大50%の省人化を実現している。
 山岳トンネル工事は、覆工コンクリートの自動打設でセントルにかかる圧力が上昇すると、緊急停止などの措置を取る。自動打設が中断し、自動化のメリットを阻害してしまう。フジタは圧力に応じてコンクリートのポンプ圧送速度を制御し、円滑に自動打設する「ポンプ圧送速度制御システム」を実用化した。
 同社は圧力の状況をリアルタイムに監視し、コンクリートの充填性を高めて空隙発生を防ぐ独自技術「圧力ウォッチャー」を保有。これに岐阜工業の「トンネル二次覆工自動打設スライドセントル」(国土交通省の新技術情報提供システム〈NETIS〉登録技術)を組み合わせた。圧力値を3段階に設定し、それぞれに応じてポンプ圧送速度を制御する。
 フジタは施工中の「広島呉道路呉トンネル工事」(西日本高速道路中国支社発注)に新システムを導入。高速道路会社のトンネル工事でバイブレーションを用いながら中流動コンクリートを打設する。このため圧力ウォッチャーとトンネル二次覆工自動打設スライドセントルに、「トンネル二次覆工自動型枠バイブシステム」(岐阜工業、NETIS登録技術)を加えた。
 覆工作業はこれまで1班6人編成だが、自動打設の適用で4人編成になった。今回のシステム導入でさらに1人削減でき、3人編成が可能。従来と比べ作業員を半数に減らせる。自動打設を止めないことで打設時間が短縮できるため、翌日の脱型までの養生時間をより長く確保。圧力を適切に制御することで所定の出来形を着実に確保するなど品質向上につながっている。
 呉トンネル工事は延長3249メートルのうち、2376メートルがトンネル区間。工事の進捗状況は6月30日時点で、掘削約1645メートル、覆工約367メートル。工期は2021年6月~27年4月。


https://www.decn.co.jp/inc/uploads/2026/07/202607010301003-1.jpg

from 技術・商品 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=185673
via 日刊建設工業新聞