2022年10月31日月曜日

西武HD、住友商事/所沢駅西口大型商業施設の起工式開く、施工は清水建設JV

 西武ホールディングス(HD)と住友商事は28日、西武鉄道車両工場跡地(埼玉県所沢市)に大型商業施設を整備する「所沢駅西口開発計画」の起工式を現地で開いた。施設は5棟構成で総延べ約12万9000平方メートルの規模。飲食や物販、娯楽などの機能を集積し、近接する所沢駅とデッキでつなぐ。西武鉄道と住友商事が施主となり、清水建設・西武建設JVの実施設計・施工で2024年6月の完成を目指す。
 起工式は西武HDの後藤高志社長や住友商事の為田耕太郎常務執行役員生活・不動産事業部門長、清水建設の井上和幸社長ら関係者が出席。後藤氏と為田氏が盛り土に鍬、井上氏が鋤を入れ、工事の安全を祈った。後藤氏は「都会と郊外の良さを併せ持つ所沢市の玄関口にふさわしい施設をつくりたい」、為田氏は「地域の発展に資する憩いの場にしたい」とあいさつした。井上氏は「安全管理を徹底して高品質の建物を提供するため、社を挙げて取り組む」と話した。
 建設地は所沢駅西側の東住吉10ほか(敷地面積約3万4000平方メートル)。建物はRCST構法(CFT柱+S梁)一部S造で▽3街区(3棟)▽9街区(1棟)▽Dデッキ(1棟)-で構成する。3街区は7階建てで物販や飲食店、映画館、駐車場(約1700台)などが入る。9街区は2階建て。駐輪場(約2000台)と車路スペースなどを配置する。Dデッキは平屋で車路スペースなどを設け、所沢駅と直結する。事業費は約295億円。基本設計は日建設計が担当した。
 □加藤計輔工事所長(清水建設JV)の話□
 「近隣住宅地への配慮を最重要課題と捉えて技術提案段階から取り組んできた。住民の方々とのコミュニケーションを大切にして工事を進める」。
完成イメージ(西武HD提供)
鍬を入れる後藤高志氏
鍬を入れる為田耕太郎氏
鋤を入れる井上和幸氏
加藤計輔工事所長

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建設技術研究所/内・外水氾濫を一体解析できるモデル開発、浸水リスクを高精度把握

 建設技術研究所は28日、排水が追いつかずに市街地が浸水する「内水氾濫」と、河川の氾濫による「外水氾濫」を一体解析できるモデルを開発したと発表した。これまでは別に計算されていた二つのタイプの氾濫を一体的に解析することで、浸水リスクを高精度に予測。より効果的な浸水対策や避難につながる。地方自治体や民間企業を対象にモデルを活用したサービスの提供を開始した。
 開発したモデルは▽山地、市街地に降った降雨が河川や下水道に流入する過程を計算する「河川、下水道流出モデル」▽河川や下水道内の流れを計算する「河川、下水道追跡モデル」▽河川や下水道から市街地にあふれた水が地表面で拡散する現象を計算する「氾濫モデル」-の三つを組み合わせて一体的に解析。これにより河川氾濫だけを扱う従来の氾濫モデルに比べて、豪雨時に発生する連続的・複合的氾濫の浸水範囲や浸水深などを詳細に把握できる。
 自治体や民間企業へのサービスでは地域の浸水リスク特性を正確に分析し、安全度を高める効果的・効率的なハード対策、避難計画などのソフト対策を提案する。
 今後は解析のスピードを上げ、リアルタイムでの浸水予測を行うシステム構築を進める。ウェブなどを活用した解析結果の外部公開に向けて関係機関との調整も図る。
 大雨時、氾濫は大河川、中小河川、下水道から連続的・複合的に発生するが、従来の解析モデルではこれらを別々に計算していた。このため中小河川の氾濫発生後に本川から大規模な氾濫が生じる場合や、河川が氾濫する前でも下水道からの浸水により避難路が確保できなくなるケースに対して、効果的な浸水対策や避難計画が難しいという課題があった。

開発したモデルのイメージ。複数のモデルを組み合わせて解析できる(報道発表資料から)

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関東整備局荒川下流河川/全国初の河川上空利用ルール策定へ、ドローン想定し実証実験

 関東地方整備局荒川下流河川事務所は、河川上空の利用ルールを策定する。急速に普及するドローンを想定し、河道の上空の利用促進が目的。課題や需要を洗い出すため、年内に実証実験を行い、2023年1月にも民間事業者や関係自治体らと意見交換する。同3月下旬に「荒川下流河川上空利用ルール(案)」をまとめる予定だ。河川の上空を利用するルールの策定は全国で初めてという。
 同事務所が所管する荒川下流部の直轄管理区間は約30キロあり、東京都東部の人口密集地を流れる。河川敷の多くを占用する自治体は条例でドローン飛行を原則禁止している。一方、河川上空は国がドローンによる物流の可能を探る実証実験を行うなど、利活用が期待される空間。同事務所もドローンを使った河川巡視の実施を目指している。
 ルール作りに当たって同事務所は特区などの規制緩和も視野に、民間事業者の持つ河川上空の利用ニーズと、実際の制約や課題などを洗い出す。所管エリア内に約40カ所ある橋梁の扱い方や、利用用途別の高度やエリアのすみ分けなどで民間や自治体の意見を聞く。
 28日に実証実験に参加する民間事業者などの募集を開始。11月18日まで受け付ける。企業だけでなく研究機関や大学も参加でき、共同での応募も可能。応募資格はドローン物流の実績を持つ者または特定河川上空でドローン物流を検討している者。費用面の支援はないが、必要な情報やデータは同事務所が提供する。11月中旬には参加者を決める予定。同事務所ホームページで公表する。
荒川下流部にある旧岩淵水門。河川上空はドローン物流などの利活用が期待される

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民間標準約款の利用「努力義務」に、価格偏重環境改善も/国交省有識者会議で意見交換

 資材価格変動に対応した民間工事契約の在り方などを検討している国土交通省の有識者会議で、中央建設業審議会(中建審)が作成・勧告する民間工事の標準請負契約約款の利用を「努力義務」などに一段引き上げるべきと訴える声が上がった。民民間の「契約自由の原則」にとらわれず、実際の契約に見られる片務性を是正する対策が必要との問題意識がある。現状の「価格」偏重の競争環境を改善する有効なツールとして建設キャリアアップシステム(CCUS)の活用を提案する委員もいた。
 26日に開かれた「持続可能な建設業に向けた環境整備検討会」の第4回会合で行われた意見交換の内容を国交省が明らかにした。民間工事契約で標準約款の一部規定が発注者の意向で削除・修正されている実態を踏まえ、ある委員は「契約自由の原則」を過度に順守する必要はないとの意見を表明。ほかの委員も受発注者関係は対等であるべきとの前提に立ち、法制度上の対応策を講じる必要性に言及した。
 建設業法で規定する「不当に低い請負代金の禁止」に違反した発注者への勧告対象から、民間事業者が除外されていることを疑問視する委員が複数いた。この規定は行政権限のすみ分けを背景に、独占禁止法を所管する公正取引委員会への「措置請求」で対応している。委員からは業法に基づく勧告や報告・資料の提出請求も可能とするよう見直しを求める声があった。
 契約の透明性を高める観点でコストプラスフィー契約・オープンブック方式やCM(コンストラクションマネジメント)方式も話題になった。総価契約の請負金額の中にリスク対応分として含まれる予備費を「リスクプレミアム」として明示し、受発注者間で共有するアイデアも示された。
 ある委員は契約交渉の材料として技術力やノウハウが大きなウエートを占めるIT業界を例に取り、建設業界では価格以外の評価軸が乏しいと指摘。CCUSを活用すれば建設会社の施工体制や施工能力を可視化でき、新たな評価軸として「技術的差異」を見える化できるのではと提案した。
 会合には国交省の長橋和久不動産・建設経済局長も出席し、委員らに「タブーなく議論してほしい」と呼び掛けた。新3K(給与・休暇・希望)を掛け声だけでなく制度的に担保する必要性を訴え、「そこにCCUSがどう機能し新3Kの一つの希望につながっていくか」と今後を展望した。


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首都高速会社/大学生招き都内で点検・補修デモ、インフラドクターなど紹介

 首都高速道路会社は28日、道路補修の安全確保につながる技術を体験してもらう「首都高点検・補修デモ2022」を東京都江東区の辰巳補修基地で開いた。土木工学などを専攻する首都圏の大学生27人が参加した。GIS(地理情報システム)と3Dの点群データを駆使した維持管理支援システム「インフラドクター」や点検用ドローンといった最新技術を活用したメンテナンスの取り組みを紹介した。
 点検・補修デモは、安全意識の向上や災害防止活動を進める「秋の首都高安全月間」(実施期間10月11~28日)の活動の一環。道路維持に関する取り組み周知や次世代技術者の育成などを目的に行っている。2008年以降、定期的に開催していたが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響から今回が3年ぶりの開催となった(通算13回目)。
 冒頭、保全・交通部点検・補修推進室の七田裕管理用建物保全担当課長は「実際に維持管理で使われている技術を見ていただく。首都高の安全・安心がどのように守られているのか、理解を深めてほしい」と呼び掛けた。
 会場では無線通信で自走しながら橋梁部材の点検箇所を撮影する「点検ロボット」や、重量超過車両を監視する設備の点検を効率的に行える「軸重試験車」、桁下の点検で使うドローンなどを展示。各担当者が点検作業での役割を説明した。鋼構造物に発生したき裂損傷の進展を抑える補修作業のデモンストレーションも行った。
 屋内エリアでは、インフラドクターや動画データから損傷箇所を自動検知する「インフラパトロール」のシステムを映像で紹介。学生からは「大容量の点群データをどう管理するのか」といった質問が出るなど、最新技術に対する興味や理解を深めた。

き裂補修のデモンストレーション
インフラドクターの説明を聞く大学生


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2022年10月28日金曜日

関東整備局ら/圏央道・久喜白岡~大栄4車線化工事が最盛期、施工各者が技術力発揮

 関東地方整備局と東日本高速道路会社が共同で進める首都圏中央連絡自動車道(圏央道)久喜白岡~大栄区間の4車線化工事が最盛期を迎えている。各工区を担当する建設会社はそれぞれが持つ技術力を駆使し、施工の効率化や高度化を図っている。4車線化工事の一部が本年度中にも完了。その後、完成工区から順次供用し2026年度内の全線4車線化を目指す。
 圏央道は埼玉県久喜市の久喜白岡JCTから茨城県を経て千葉県成田市の大栄JCTまでの約92・2キロが暫定2車線で開通しており、現在4車線化工事が進んでいる。首都圏三環状道路の最外殻を構成し、関東地域の道路ネットワークの要として成田国際空港や北関東3県の工業地域、千葉県と神奈川県といった東京湾を挟んだ地域同士を結ぶ基幹道路となる。沿線では4車線化をにらみIC周辺の開発や物流施設の立地が相次ぐ。
 4車線化の工事区間のなかでも難所と言えるのが利根川渡河部の「利根川橋」(茨城県五霞町大福田~同境町塚崎)。施工は三井住友建設鉄構エンジニアリング・日橋JVが施工を担当している。形式は鋼5径間連続細幅箱橋+鋼6径間連続細幅箱橋。橋長は合計で835メートルある。橋脚数は12基。水深が浅いため架設に送り出し工法を採用したがヤードが狭いため、送り出しの出発点にある左岸側の高架上に作業床を設置し、桁を組み立てている。近く送り出し工事を始める計画だ。
 五霞ICに近い「新切戸西高架橋」(埼玉県幸手市木立地先)はJFEエンジニアリングが施工している。形式は鋼12径間連続合成少数鈑橋+鋼6径間連続合成少数鈑橋。橋長は合わせて696メートル。橋脚数は19基。長大桁のため、寒暖差による伸縮が大きいのを考慮し、架設時の位置調整に細心の注意を払う。
 巨大物流施設が姿を現しつつある常総ICの近隣では「鬼怒川高架橋」(茨城県常総市花島町地先)の工事が佳境を迎えている。施工を担当する川田工業は合成床版に新製品「SCデッキスタッドレス」を投入。リブの形状を改良し施工性、耐久性を高めた。従来の底鋼板よりも軽量のため大ロットで揚重可能。リブ上に直接鉄筋を置き、配筋の手間を減らすことができるという。
 圏央道4車線化は、主に盛り土構造を採用している境古河IC(茨城県境町)~坂東IC(同坂東市)が本年度内の工事完了を目指して現在、中央分離帯部分の工事と車線の切り回しを実施中。利根川渡河部や常総IC周辺は25~26年度の4車線化を目指している。

利根川高架橋では銀色の作業床を設け送り出し工法の準備が進む
新切戸西高架橋は長大桁を近接施工する工事
鬼怒川高架橋の作業性を高めた合成床版

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山下PMC/心身の健康で快適な住環境、新たな住宅向け認証制度スタート

 山下PMCは、心身の健康に寄与する快適な住環境に注目した新たな認証制度「健康住宅Lively7(ライブリーセブン)認証」の提供を始めた。医学研究の視点から心身の望ましい状態に影響を及ぼす感覚、運動など七つの領域を定義。計30の評価項目で点数化し得点に応じてプラチナ、ゴールド、シルバーの認証を付与する。住環境の基準を示す新たな物差しとして普及を目指す。
 プログラムの開発に当たっては渡辺恭良理化学研究所生命機能科学研究センターチームリーダーを委員長に、地域社会医学などの研究者や専門家で構成する有識者委員会を設置。「住宅にウェルビーイングという価値を」をコンセプトに▽感覚▽運動▽認知▽生体恒常性・代謝▽活力▽心の健康▽衛生-の7領域で30の評価項目を作成。エビデンス(根拠)に基づく専門家の知見を踏まえたプログラムを開発した。
 人の心身の状態に着目し評価する点がポイントだ。渡辺氏は「健康に良い影響を与える要素を複合的に評価でき、健康住宅を実現する提案に高い得点が入る」と説明。イノベーティブな提案に対し別途追加点を与える仕組みも設けた。
 認証を取得すれば物件販売価格の上昇や不動産価値の向上、健康で安全な施設運営、SDGs(持続可能な開発目標)やESG(環境・社会・企業統治)活動の促進などが期待できる。
 山下PMC事業創造推進本部第七部グローバルプロジェクト部の合内祥之部長は「当社が受け皿となりコンサルティングを含めワンストップで提供する。認証手続きとコストが軽減できる」とメリットを強調する。
 登録・認証費用は100戸未満の集合住宅で100万~150万円、100戸以上で150万~200万円程度を見込む。現在パイロット認証としてデベロッパー数社と協議中で、11月にも第1号案件が誕生する予定。今後はデベロッパーなどへの提案に合わせて「一般を含めセミナーなどで認知度向上に力を入れていく」(合内部長)考えだ。


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日建連会員4~9月受注/過去20年の最高更新、堅調な民間けん引・公共持ち直し

 日本建設業連合会(日建連、宮本洋一会長)が27日発表した会員94社の2022年度上半期(4~9月)の建設受注額は、前年同期比21・5%増の7兆5585億円だった。コロナ禍前を上回るペースで堅調に推移する民間工事がけん引し過去20年で最高額を更新。単月ベースで8月までに4カ月連続減となっていた官公庁工事も持ち直しており、9月に九州で相次ぎ受注した国の大型港湾・空港工事などが全体を押し上げた。
 建設受注額の内訳は国内が15・8%増の7兆0549億円、海外が284・8%増の5037億円。国内は民間が21・3%増の5兆3077億円、官公庁が0・7%増の1兆7119億円、その他が147・2%増の353億円。年度上半期ベースで過去20年の推移を見ると、国内総額は16年度(約7・2兆円)に次いで2番目に高く、民間が最高額を更新した。
 民間は製造業が75・7%増の1兆4830億円、非製造業が8・3%増の3兆8247億円。製造業の業種別では輸送用機械を除く7工種、非製造業は全体に占めるウエートの大きい不動産業やサービス業を含む6工種が増えた。
 官公庁は国機関が5・3%増の1兆1673億円、地方機関が8・1%減の5446億円。国機関は国が42・6%増の6253億円、独立行政法人が4・6%減の958億円、政府関連企業が21・6%減の4462億円。地方機関は都道府県が30・3%減の1086億円、市区町村が22・5%減の2585億円、地方公営が77・6%増の1167億円、その他が61・4%増の607億円。
 日建連によると、9月に九州で受注した国の港湾工事や関東で受注した不動産業のマンション工事が600億円規模と全体を押し上げた。本年度は会員各社の受注目標を達成できる見通しという。


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地盤品質判定士会、名大減災研究センター/防災教育・啓発活動で協定締結

 地盤品質判定士会(北詰昌樹理事長)と名古屋大学減災連携研究センター(飛田潤センター長)は26日、「防災教育・啓発活動に関する協定」の締結式を名古屋市千種区の減災館で開いた。締結式では北詰理事長と飛田センター長が協定書に調印し、地域防災力の向上へ人材育成や防災教育、啓発活動などさまざまな場面で協力・連携することを確認した。地盤品質判定士会が大学機関と協定を交わすのは全国初。
 この協定は、発生の可能性が高まる南海トラフ巨大地震や巨大台風などによる風水害などの大規模災害に備え、地域の防災力を高めるため、両者が相互に連携・協力して防災教育や啓発活動に取り組むことを目的に結んだ。
 地盤品質判定士会は、一戸建ての住宅や宅地を中心に一般市民向けの相談会やセミナーなどの開催、地盤災害などに関する住民支援などの活動を積極的に展開。昨年4月に中部支部(千野克浩支部長)を立ち上げた。減災連携研究センターは、南海トラフ地震や風水害などに対し産官学民が連携し、被害軽減のための戦略について研究や人材育成などを幅広く実施している。
 北詰理事長は「見えない地盤と災害を“見える化”し、災害を正しく理解してもらうことに苦心している。減災館の展示資料や分かりやすい展示方法、啓発活動の取り組みは参考になる」と協力・連携の効果に期待を寄せた。飛田センター長も「現場の最前線で市民の声を聞いている判定士会の知見やノウハウは貴重。われわれは各県の大学との連携組織もある。お互いの強みを生かしたい」と話し、学生への講義や一般市民向けの講演会など、双方の人材を活用し交流することで従来とは異なった視点での取り組みも期待できるとした。
 具体的な活動は今後、調整して決める。活動の第1弾として11月13日に愛知県らがあいち健康の森公園(大府市)で開催する「あいち防災フェスタ」に出展する。減災連携研究センターは地震を実感・体験・予感できる展示、地盤品質判定士会中部支部は宅地地盤相談コーナーを出展する。


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国交省/電子成果品ネット経由で取得可能に、受注者検索システム11月稼働

 国土交通省は直轄工事・業務の電子成果品のデータを、受注者がインターネット経由で検索・ダウンロードできるシステムを11月1日に運用開始する。これまでは詳細設計や地質調査の過年度成果をCD-ROMなどで貸与していた。インターネット上のシステムに移行することで受発注者双方の手間や移動時間を減らせる。さらに受注者のニーズに応じデータを検索できる幅が広がるため、これまで以上にデータの利活用につながる期待もある。
 電子成果品を一元的に保管する「電子納品・保管管理システム」の新機能として工事・業務受注者へのデータ貸与を追加した。同システムに付随する形で「貸与資料ダウンロードシステム」を構築。受注者はダウンロードシステムの利用を発注者に申請し承認を得られれば、地図検索の機能を利用し必要なデータにアクセスできる。実際に個別のデータをダウンロードするには発注者の承認が再度必要になる=図参照。
 CD-ROMなどによるデータ貸与は日常的に行われているが、発注者には検索の手間がかかり受注者も借用に移動・費用が必要。ダウンロードシステムの運用で一連の手続きを効率化できる。受注者が主体となり必要なデータを検索できるため、隣接工区や周辺地域の図面・調査結果など以前まで有効に活用されてこなかったデータの活用にもつながる可能性がある。
 直轄工事では昨年12月にオンライン電子納品を原則化。受注者は情報共有システム(ASP)を利用し電子納品・保管管理システムに成果品を送信する。直轄業務でも来年度当初からの原則適用を見込む。国交省は電子納品・保管管理システムの機能強化を順次進める方針。入札参加者がインターネット経由で関係資料を閲覧できる機能も年度末までに整備する予定だ。


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関東整備局ら/圏央道・久喜白岡~大栄4車線化工事が最盛期、施工各者が技術力発揮

 関東地方整備局と東日本高速道路会社が共同で進める首都圏中央連絡自動車道(圏央道)久喜白岡~大栄区間の4車線化工事が最盛期を迎えている。各工区を担当する建設会社はそれぞれが持つ技術力を駆使し、施工の効率化や高度化を図っている。4車線化工事の一部が本年度中にも完了。その後、完成工区から順次供用し2026年度内の全線4車線化を目指す。
 圏央道は埼玉県久喜市の久喜白岡JCTから茨城県を経て千葉県成田市の大栄JCTまでの約92・2キロが暫定2車線で開通しており、現在4車線化工事が進んでいる。首都圏三環状道路の最外殻を構成し、関東地域の道路ネットワークの要として成田国際空港や北関東3県の工業地域、千葉県と神奈川県といった東京湾を挟んだ地域同士を結ぶ基幹道路となる。沿線では4車線化をにらみIC周辺の開発や物流施設の立地が相次ぐ。
 4車線化の工事区間のなかでも難所と言えるのが利根川渡河部の「利根川橋」(茨城県五霞町大福田~同境町塚崎)。施工は三井住友建設鉄構エンジニアリング・日橋JVが施工を担当している。形式は鋼5径間連続細幅箱橋+鋼6径間連続細幅箱橋。橋長は合計で835メートルある。橋脚数は12基。水深が浅いため架設に送り出し工法を採用したがヤードが狭いため、送り出しの出発点にある左岸側の高架上に作業床を設置し、桁を組み立てている。近く送り出し工事を始める計画だ。
 五霞ICに近い「新切戸西高架橋」(埼玉県幸手市木立地先)はJFEエンジニアリングが施工している。形式は鋼12径間連続合成少数鈑橋+鋼6径間連続合成少数鈑橋。橋長は合わせて696メートル。橋脚数は19基。長大桁のため、寒暖差による伸縮が大きいのを考慮し、架設時の位置調整に細心の注意を払う。
 巨大物流施設が姿を現しつつある常総ICの近隣では「鬼怒川高架橋」(茨城県常総市花島町地先)の工事が佳境を迎えている。施工を担当する川田工業は合成床版に新製品「SCデッキスタッドレス」を投入。リブの形状を改良し施工性、耐久性を高めた。従来の底鋼板よりも軽量のため大ロットで揚重可能。リブ上に直接鉄筋を置き、配筋の手間を減らすことができるという。
 圏央道4車線化は、主に盛り土構造を採用している境古河IC(茨城県境町)~坂東IC(同坂東市)が本年度内の工事完了を目指して現在、中央分離帯部分の工事と車線の切り回しを実施中。利根川渡河部や常総IC周辺は25~26年度の4車線化を目指している。



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2022年10月27日木曜日

日本港湾協会/都内で創立100周年記念式典開く、今後の活動へ思い新たに

 日本港湾協会(進藤孝生会長)は26日に「創立100周年記念式典」を東京都千代田区の帝国ホテルで開いた=写真。国土交通省や全国の港湾管理者、団体・個人会員などから約1000人が参加。同協会が1922年10月に設立されてから100年になるのを機にこれまでの歩みを振り返った。今後も調査・研究活動や政策提言など多角的な施策を展開し、港湾の発展に貢献していく。
 記念式典には斉藤鉄夫国交相や森山裕衆院議員(港湾海岸防災協議会会長)、湯崎英彦広島県知事(全国港湾知事協議会会長)らが出席した。
 冒頭にあいさつした進藤会長は「港湾では近年、国際競争力の強化やカーボン・ニュートラル・ポート(CNP)の形成、地域の活性化、国土強靱化など、新たな取り組みが求められている」と指摘。「長年蓄積した知見や組織的なネットワークとともに、公益法人としての機動力を生かし、多様かつ高度化する港湾への要請に的確に対応していきたい」と語った。
 斉藤国交相は「これまでの協会の協力によって港湾は、島国・日本の経済と暮らしを支える、極めて重要なインフラになった」と感謝の言葉を贈った。
 記念式典では港湾の発展に貢献した功労者を10年ごとに表彰する「港湾特別功労者表彰」の表彰式も開催。地方自治体の首長や有識者など148人の功績をたたえた。式典終了後に祝賀会も開いた。
 同協会は1922年に「港湾協会」として設立。当初から現在の港湾計画に当たる「修築計画」の策定などで管理者への技術支援を展開した。50年の港湾法制定にも貢献。2013年に現在の公益社団法人に移行した。


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大分県別府市/新図書館概要公表、傾斜生かした3階建て延べ5000平米

 大分県別府市は、設計を進めている新図書館の概要を公表した。建物規模は3階建て延べ約5000平方メートルで、市役所西側の松林の別府公園文化ゾーン(別府野口原)に建設予定。東から西に上がる緩やかな傾斜地を生かした建物配置で、既存樹木を最大限残し建物の高さを低く抑え木陰の中にたたずむ図書館をイメージしている。設計は2022年度末に完了し、23年度後半の工事着手、25年度の開館を予定している。
 施設全体を性格が異なる三つのコモンズ(みんなの居場所)に分割。市役所に近い東側1階部分に気軽に立ち寄れる出会いと交流の場「アクティブコモンズ」、2階建物中央に図書館の中心部となる学びの場「ラーニングコモンズ」、西側に別棟で学びを実践する場「クリエイティブコモンズ」を配置する。
 ラーニングコモンズには、一般図書エリアのほか、靴を脱いで本を読めるスペースやおはなし室、授乳室、親子トイレがある児童図書エリアを設置。3階部分には、閲覧席や公開書庫を設ける。
 建物の南側はガラス張りとし、図書館の活動が見られるようにする。本が傷まないよう直射日光を制御する大きな庇(ひさし)を設ける。
 最大収容冊数は約32万冊、最大収容時に利用者が実際に手に取れる本の数は現図書館のおよそ2倍の約22万冊となる。
 建設費は32億5000万円以内(税込み)。
 基本・実施設計と管理運営計画策定委託業務は佐藤総合計画が担当。


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フジモリ産業/ロックボルト工向けモルタル充てん量計測システム開発、施工品質向上

 フジモリ産業(東京都新宿区、藤森行彦会長兼社長)は、ロックボルト工向けモルタル充てん量計測システム「モルタルディレクタ」を開発した。ロックボルトの定着材であるモルタルを計測、表示し、充てん量を見える化した。大成建設が施工中の「R2-5朝日温海道路2号トンネル工事」(国土交通省北陸地方整備局発注)に導入し、施工品質の向上に貢献している。
 モルタルディレクタは温度計や水温計、流量計、圧力計などで構成。モルタルポンプに各種センサーを設置することでポンプの運転状況を把握する。ポンプの動作状況を計測でき、穴ごとの充てん量に計測値を割り振ることができる。システム設置後、従来のモルタルポンプでいつも通りの充てん作業を行えば自動で孔ごとのモルタル充てん量が計測される。事前に基準値を設定すると、基準値を上回ったタイミングで回転灯とブザーで周知する。基準値を超えるまで充てんでき、量管理による確実な充てん作業が可能となる。
 使用水の流量とモルタル充てん量を同時計測でき、モルタル中に含まれる水量も計測できる。取得したデータを自動で帳票作成するため、施工データの確認も簡単に行える。
 今後山岳トンネル工事だけでなく、同様なロックボルト工事を行うのり面工事への適用を目指し、積極的に提案していく。
 山岳トンネルのロックボルト工事で使う定着材のモルタルは、充てん状況を目視で確認していた。目視確認は客観性に欠けるほか、帳票も作成しないため施工管理方法の品質面に課題があった。


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東日本高速会社/スマートメンテ第2ステップへ、災害時対応や交通管理に範囲拡大

 東日本高速道路会社が、先進技術を活用した維持管理プロジェクト「スマート・メンテナンス・ハイウェイ(SMH)」の取り組みを加速する。道路保全業務の効率化が目的だった第1ステップの成果を踏まえ、第2ステップに移行する。GIS(地理情報システム)やドローンを使って災害時対応や交通管理分野にも範囲を拡大し業務効率のアップにつなげる。2023年度の本格運用を目指す。
 SMHはICTを積極的に導入して効率的な維持管理を行う重点事業となる。第1ステップでは、保全計画の立案や補修業務の意思決定を支援する「BIツール」や「舗装工事発注支援システム(PSS)」などを活用。健全性を把握したり、舗装の補修箇所を選定したりして道路保全業務の効率化を進めてきた。
 第2ステップは、多種多様な情報をGISで一元管理できるシステムを構築する。道路の敷設状況や構造物の位置を示した平面図を重ね合わせ、災害時にのり面の崩壊箇所や損傷を受けた橋梁などを可視化する。迅速な応急復旧と通行止めなどに役立てる。12月以降に試験運用を開始する予定だ。
 ロボティクス技術を活用した点検業務の高度化も図る。七つの赤外線レーザーセンサーで安定飛行を可能にする球体型のドローンを使い、近接目視でしか困難だった箱桁内部の点検をしやすくする。ドローン以外には、主桁間に位置する床版面下を高性能カメラで点検する「スパイダーeye」や高さのある橋脚で使用する「壁昇降ロボット」も併用する。

球体ドローン(右)で点検業務を効率化(26日撮影)
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民間工事契約、協議拒否は法令違反の恐れ/国交省・公取委見解

 資材価格高騰に対応した請負金額の変更が難しい民間工事の現状に対し、国土交通省が関連法令を踏まえた見解をまとめた。実際の契約書に価格変動を理由とする請負金額変更や受発注者協議を認めないと記載していても、「明示的に協議しない場合」などには「優越的地位の乱用として問題になる恐れがある」と公正取引委員会の判断を引用して説明。民間工事の標準請負契約約款の一部規定が発注者の意向で削除・修正されている実態にくぎを刺した格好だ。
 26日に開いた有識者会議「持続可能な建設業に向けた環境整備検討会」の第4回会合で説明した。先月の第2、3回会合で行った受発注者ヒアリングを踏まえ、価格変動に対応した民間工事契約の方向性や課題を改めて整理し委員らに意見を求めた。
 国交省は大手建設会社への調査で、標準約款を修正した契約書が多用されている実態を確認。例えば「物価高騰による請負代金の変更は認めない」と明記したり、契約変更を認める場合も「不可抗力により特段の事情がある場合」と限定したりしていた。しかし公取委の判断によると、いかなる場合も「独占禁止法における禁止規定に違反することは許容されない」。優越的地位の乱用に該当し得るケースとして受注者との協議に応じない場合や、価格転嫁しない理由を書面やメールで回答しない場合を挙げている。
 建設業法の規定に関連し、国交省は「不当に低い請負代金の禁止」の課題も指摘。違反した発注者への「勧告」対象から民間事業者が除外されており、勧告を行うための報告・資料の提出請求権を許可行政庁が持たない現状に触れた。
 公平・平等な立場での契約締結を制度的に担保する目的から、特別な理由がなければ標準約款を利用するのが「妥当」との認識も改めて表明。想定外のリスクをすべて請負側の負担とすることは公平性に反するだけでなく「いたずらに契約の投機性を惹起(じゃっき)する」との考えから、契約時に価格変動や請負金額変更に関する事項を書面交付しなければならないとの規定の重要性も指摘した。
 工期や請負金額に影響を及ぼす事象に関する情報提供義務が、発注者と異なり受注者に課されていないことにも言及。2016年7月策定の「民間工事指針」などを踏まえ、あらかじめ責任分担や協議ルールを明確化するなど想定外のリスク対応を受発注者間で確認する必要があるとの認識を示した。


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日本港湾協会/都内で創立100周年記念式典開く、今後の活動へ思い新たに

 日本港湾協会(進藤孝生会長)は26日に「創立100周年記念式典」を東京都千代田区の帝国ホテルで開いた=写真。国土交通省や全国の港湾管理者、団体・個人会員などから約1000人が参加。同協会が1922年10月に設立されてから100年になるのを機にこれまでの歩みを振り返った。今後も調査・研究活動や政策提言など多角的な施策を展開し、港湾の発展に貢献していく。
 記念式典には斉藤鉄夫国交相や森山裕衆院議員(港湾海岸防災協議会会長)、湯崎英彦広島県知事(全国港湾知事協議会会長)らが出席した。
 冒頭にあいさつした進藤会長は「港湾では近年、国際競争力の強化やカーボン・ニュートラル・ポート(CNP)の形成、地域の活性化、国土強靱化など、新たな取り組みが求められている」と指摘。「長年蓄積した知見や組織的なネットワークとともに、公益法人としての機動力を生かし、多様かつ高度化する港湾への要請に的確に対応していきたい」と語った。
 斉藤国交相は「これまでの協会の協力によって港湾は、島国・日本の経済と暮らしを支える、極めて重要なインフラになった」と感謝の言葉を贈った。
 記念式典では港湾の発展に貢献した功労者を10年ごとに表彰する「港湾特別功労者表彰」の表彰式も開催。地方自治体の首長や有識者など148人の功績をたたえた。式典終了後に祝賀会も開いた。
 同協会は1922年に「港湾協会」として設立。当初から現在の港湾計画に当たる「修築計画」の策定などで管理者への技術支援を展開した。50年の港湾法制定にも貢献。2013年に現在の公益社団法人に移行した。



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2022年10月26日水曜日

復興庁/東日本大震災から10年間の政策総括、23年度の取りまとめ公表めざす

 復興庁は、東日本大震災からの復興を目指して発災から「第1期復興・創生期間」が終了した2020年度末までの10年間に講じた政策を総括する。政府の組織や法制度、支援メニューといった取り組みについて、変遷や進行状況を整理。復旧・復興事業での建設技術者や技能者の確保、資材調達、予定価格の適切な設定に向けて整備した制度メニューも盛り込まれる見通しだ。
 有識者会合の初会合を24日に東京都内で開き、議論を開始した。年度内に取りまとめ案を固め、来年度の公表を目指す。
 検討組織として「東日本大震災からの復興政策10年間の振り返りに関する有識者会議」を設置。座長にはボストンコンサルティンググループ日本共同代表の秋池玲子氏が就任した。議論を深め、南海トラフ巨大地震など今後発生が予想される大規模災害に備え、東日本大震災から得た教訓とノウハウを提示する。
 有識者会議の冒頭、秋葉賢也復興相は「大規模災害への対応時に教訓として活用できるよう、このタイミングでしっかりと10年間を振り返り、一元的な記録として残すとともに、今後の課題を残すことはわれわれの責務だ」と語った。
 復興政策の振り返りでは、復興庁だけでなく各府省の取り組みを含め復旧と復興に関する施策を網羅的にまとめる。復旧・復興事業で講じられた過去に例を見ない施策の評価や課題を整理。記録として後世に残す。
 取りまとめの構成案によると、住宅再建・復興街づくりの加速に向けて、東日本大震災に対応するため新たに設けられた制度や取り組みも検証。▽計画策定▽用地取得の迅速化▽埋蔵文化財発掘調査▽地方自治体や都市再生機構などによる発注者支援▽施工体制の確保▽住宅再建の加速化-などを振り返る。
 会議では有識者から、復興街づくりについて「以前よりも良くしたいと考え、世論もそれを支えるため、事業規模が過大になってしまうケースがあった」との指摘があった。事前復興の観点で発災前に復興街づくりの方針を決めておく必要があるとした。
 復興庁によると、発災から20年度末までの10年間で住宅再建や復興街づくり事業が完了し、津波被害を受けた沿岸部では製造品出荷額が発災前の水準に回復した。避難者数もピークの47万人から4万人まで減少した。
秋葉賢也復興相


都市部でドローン活用へ、東京都中野区の神田川上空で飛行実験/産学官の研究会

 都市河川でドローン飛行の社会実装に向けた検討、調査が加速している。産学官でつくる「TOKYOドローンウェイ研究会」は、物流や河川インフラの監視などでの実装を目指し、知見の収集や課題整理に取り組んでいる。24日には東京都中野区の神田川上空で飛行実験を実施。ドローンが河川域を空撮する様子を近隣の中高生や報道陣に公開した。
 研究会は▽中央大学手計研究室▽国際航業▽中野区▽東京都-の4者で組織する。同日の実験は都市河川での物流、インフラメンテナンスの活用を想定した基礎調査として実施。神田川中野富士見橋から和田見橋までの区間でドローンをテスト飛行し、空撮データの3Dデータ化を試した。
 実験には近隣の都立富士高校、同校付属中学校の生徒、教職員約40人も招き、ドローン飛行の様子などを見学してもらった。両校の勝嶋憲子統括校長は「ドローンが安定感を保って飛ぶ姿はなかなか見ることができないので感動した」と語り、生徒にとって有意義な体験になったと謝意を示した。
 研究会は物流での将来的な活用を念頭に、ドローンの自動運転に必要となる情報基盤の構築を目指している。実験後、中央大学理工学研究所の加藤拓磨客員研究員(中野区議会議員)は、「落下リスクや電波障害への懸念、ビル風による障害があり安定飛行は難しい」と都市部でのドローン飛行の課題を指摘。「迷惑がかかりにくい極めて安全な飛行ルートを考え、河川上空で飛ばすことになった」と実験の背景を説明した。
 河川でのドローン飛行は橋梁などインフラの維持管理でも活用メリットが高い。行政機関のニーズにも対応できるよう、画像解析技術の向上、空撮に関するマニュアル作成にも取り組んでいく。同日の実験は国土交通省の「河川上空を活用したドローン物流の更なる活性化に向けた実証実験」の採択を受けており、今後国がまとめるドローン飛行に関する支援策などにも実験成果が反映される見込みだ。
 国際航業先端技術・事業開発部調査企画グループの塚越悠太氏は「ある程度の高さからテスト撮影し、河道内だけでなく樹木や電線データも含めて3Dデータ化することができた」と実験内容に手応えを示した。同グループの近藤建斗氏は「良いデータを取ることができた。解析した上で区や都にも共有し、今後どういった計画を立てられるかを考えていきたい」と展望した。

テスト飛行するドローン。使った期待は米国製
テスト飛行を見学する都立富士高校、付属中学校の生徒たち

大阪・関西万博/参加国企画会議が大阪市内で開幕、公式参加契約の調印式行う

 2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)に参加する国・地域と国際機関の関係者が出席する国際企画会議「インターナショナル・プランニング・ミーティング」(IPM)が25日、大阪市内で開幕し、参加国らと2025年日本国際博覧会協会は公式参加契約調印式を行った。142カ国・地域と8国際機関が参加を表明している。博覧会国際事務局(BIE)のディミトリ・ケルケンツェス事務局長は「IPMは、参加国の期待や不安に関する情報交換を行う重要な会議。共通の目的や、パビリオン建設、物流などを実現するため、連帯して前に進めよう」と呼び掛けた=写真。
 ケルケンツェス事務局長はIPMの開催で、万博開催に向け着実に準備が進められるとした上で、「日本は積極的に万博に向けて準備を進めてきた。開幕まで残すところ900日。準備には迅速で効率的な意思決定が必要だ」と強調。
 まだ参加を公式表明していない国には「ぜひ前に進めてほしい」と要請。参加表明国には「6カ月後にパビリオン建設用地が引き渡される。万博会場は参加する多様な国・人々が一つになる場。これから参加国は世界で何を共有し、考えたいかを設計し、準備する。素晴らしい経験を来場者に提供しよう」と訴えた。
 さらに「将来の生活には健康と、自然との調和が求められる。さまざまな課題の解決策は世界中にある。アイデアを集め、万博で未来社会を提示しよう」と語りかけた。
 同博覧会日本政府代表の羽田浩二氏は「私たちはコロナ下後の世界を見据え、回復力を備え持続可能な未来社会を構想しなければならない。万博は未来の望ましい生活様式を国際社会が実験し、実証する絶好の機会。IPMで博覧会協会が万博の概要、特にパビリオン建設に関する説明を行う」と話した。
 羽田氏はIPMの機会を生かし「大阪・日本の食や文化を楽しんでもらい、魅力的な展示をデザインするためのインスピレーションを得てほしい。パビリオンと展示は万博の中核だ。具体的で円滑な準備に役立ててほしい」と述べた。
 万博は大阪市此花区夢洲で開く。テーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」。会期は25年4月13日~10月13日を予定している。想定来場者数は約2820万人。約2兆円の経済波及効果を見込む。

国交省/法改正視野に空き家対策再検討、発生抑制や利活用促進へ対策

 国土交通省は空き家対策特別措置法の改正を視野に、現行の空き家対策を再検討する外部有識者会議を25日立ち上げた。現在の法律は老朽化が進み周辺に悪影響を及ぼす可能性の高い「特定空家」への対策を重視し、市町村に除却などの権限を与えている。同省は空き家ストックがこうした状況に至る前の対策に着目。新たに発生抑制や利活用促進といった対策を総合的に展開できるようにする。2023年1月に法改正の方向性をまとめる。
社会資本整備審議会(社整審、国交相の諮問機関)住宅宅地分科会に「空き家対策小委員会」(委員長・中川雅之日本大学経済学部教授)を新設。同日に東京都内で初会合を開いた。
 冒頭、国交省の塩見英之住宅局長は「現在の法律は周辺に悪影響を及ぼすような空き家に対する措置を対応の中心に位置付けている。だが空き家は増え続けており、状態が悪くなってからの対応では手が回りにくくなってきている」と指摘。その上で「できるだけ早いうちに手を打つことも重要な施策の柱にしていかなければいけない」との考えを示した。
 小委員会は空き家の▽発生抑制▽活用促進▽管理適正化▽除却の促進-の四つの目標を掲げ、対策内容を詰める。
 現時点で国交省は空き家の発生抑制と活用促進に向け、空き家の所有者と活用希望者を仲介するようなスキームを構築する方向。平時からの管理体制も強化しNPOなど民間主体の活用策を探る。除却促進策として自治体が空き家所有者を探索する事務の効率化も図る。
 現行法では倒壊の恐れがあるなど、周辺に著しい悪影響を与える空き家を特定空家と規定。市町村には持ち主に修繕を促したり、行政代執行で除却したりする権限を与えている。国交省は16年に「空き家対策総合支援事業」も設け、空き家の除却などに取り組む自治体を財政面でも支援している。
 国交省によると、空き家は人口減少の影響で今後さらに増加する見通し。長期にわたって住人が不在の空き家は18年時点で約349万戸ある。30年には約470万戸に増えると推計している。主に対応に当たっている市町村の人手不足は深刻で、現在のスキームでは十分な対応が困難になる見通しだ。

飛島建設、岐阜工業/山岳トンネル切羽をLiDARで面的計測、高速で高密度監視

 飛島建設と岐阜工業(岐阜県瑞穂市、宗像国義社長)は25日、山岳トンネル工事の切羽状況を高速で高密度に計測監視するシステムを開発したと発表した。即座に3D点群が取得可能なLiDAR(ライダー)を活用し切羽全体を面的に計測。切羽の押し出し量や領域、鏡吹き付けコンクリート厚さなどがリアルタイムかつ定量的に評価できる。安全性や施工効率の向上につなげる。
 共同開発した「TFS-Mapper」は計測部(LiDAR、カメラ)と制御部(パソコン)、遠隔表示部(タブレット端末)で構成。ドリルジャンボや吹き付け機などの施工機械に設置する。
 LiDARは円形視野角内を1秒間に10万点の計測が可能。計測開始からの移動量(押し出し量、鏡吹き付けコンクリート厚さ)をカメラ映像上にカラーコンター表示する。あらかじめ設定した鏡吹き付け厚さのしきい値を満たすか満たさないかが色分けでリアルタイムに把握。確実に無駄なく吹き付け作業が行え、安全性が向上する。
 計測開始時をゼロとした切羽の押し出し量も高密度に計測。押し出し量や領域(面積)に応じた警告が可能になる。切羽監視員や吹き付けリモコン操作者はシステム表示画面をタブレット端末で確認できる。
 先行して鏡吹き付け厚さの管理システムとして商品化を進め、2023年度に岐阜工業が外販する予定だ。両社は施工機械の周辺監視や覆工コンクリートの打設量管理といった他工種、山岳トンネル工事以外の工事にも活用を検討していく。



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2022年10月25日火曜日

日建設計/パルコ主催のイベントに協力、大学生が木質可変ユニット組み立て体験

 日建設計は22日、パルコが主催する今後の再整備に向けた「公園の新しい可能性」を検証するイベントに、木質可変ユニット「つな木」を提供した。名古屋市中区の久屋大通公園南エリア「光の広場」で行われたワークショップには建築を学ぶ4大学・17人の学生が参加。木材と専用クランプ(接合金具)で組み立てた空間の自由な使い方を体験した。
 再整備が計画されている久屋大通公園南エリアは、週末を中心に各種イベントが開かれにぎわっているが、ベンチなどの休息スペースが少なくイベント以外は十分に活用されていない。パルコは、今後の公園の使われ方や過ごし方のアイデアを試行し、新たな可能性を調査・検証するイベントを22日から11月6日まで実施している。
 初日に行われたワークショップには名古屋大学、名古屋工業大学、名城大学、椙山女学園大学の学生が参加した。「つな木」は45ミリ角の木材と専用クランプ、移動用の車輪で構成。これらを組み立てて1畳程度の小さな空間を創出する。机や棚、ベンチなど仕事や遊び、屋内外でさまざまな活用が可能。日建設計の木質・木造の開発研究を行うチーム「Nikken Wood Lab」が木材活用促進を目的に開発し、三進金属工業が製造・販売する。
 参加した学生らは、日建設計の担当者の説明を受け、学生同士で相談しながらキットを組み立てた。組み立て後は専用のシートを掛け、会話や食事などを楽しんだ。参加した学生は「公園内で自由な空間を作ることができ気持ちがいい」「また参加したい」などと感想を話した。Nikken Wood Labの石澤英之氏は「医療用から個人まで幅広く利用できる。将来的には各地域の木材で利用が進んでほしい」と述べた。



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大林組/建機複数台の自動・自律運転と超遠隔操作実証、実証フィールドも構築

 大林組は複数台の建設機械を自動・自律運転で連携させ、550キロ離れた超遠隔での操作に成功した。福島県飯舘村の盛り土工事で、3台の建機を1人のオペレーターが現場から450メートル離れた統合管理室で操作した。東日本ロボティクスセンター(埼玉県川越市)でも遠隔操作を実施。さらに約550キロ離れた西日本ロボティクスセンター(大阪府枚方市)からも遠隔指令と監視、操作できることを確認した。
 実証は、作業内容を入力・指示することで複数台の建機が連動し協調運転するよう制御する「建機フリートマネジメントシステム(建機FMS)」を活用。3台の建機を自動・自律運転で連携させ、福島県と大阪府をつないだ超遠隔操作を実施した。
 土砂のダンプへの積み込み、場内運搬と荷降ろし、敷きならし転圧といった一連の作業を▽自律運転バックホウ▽自律運転キャリアダンプ▽自動運転ブルドーザー-が連携し施工した。現場設備を最小限とし、オペレーターが居る管理拠点から施工支援することで省人化やコスト縮減に貢献する。施工現場で作業員総数が減るため、建機との接触事故などの発生率低減にもつながる。
 各建機の運行履歴データや盛り土出来形データを、クラウドへ自動保存しモニタリングをすることで、歩掛データとして定量的に施工の進捗(しんちょく)を確認しながら施工計画の最適化が図れる。自動運転ブルドーザーによる転圧回数が色で分けられる「ヒートマップ形式転圧回数確認図」や「走行軌跡図」を自動取得するシステムで、施工結果を品質管理書類の出来形データとして自動出力する。施工管理業務の効率化も実現した。
 さらなる技術開発と現場への早期展開を目的に、西日本ロボティクスセンターに実証フィールド「インキュベーションスタジアム」を構築した。実証を経て現場に適用するサイクルを繰り返すことで、精錬された技術として磨き上げる。



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山形県とJR東日本/山形新幹線米沢トンネル整備で覚書交換、事業スキームなど検討

 山形県とJR東日本は24日、山形新幹線「米沢トンネル(仮称)」整備計画の推進に向けて覚書を交換した。共同で調査を実施し、事業スキームの確定に向けた検討や財政的支援を政府に働き掛ける。併せて東北本部と県内の鉄道沿線の活性化に関する包括連携協定も締結。10年間にわたり観光資源の活用促進や防災・災害対策、まちづくりに連携して取り組む。
 山形県庁で開いた締結式には、山形県の吉村美栄子知事、JR東日本の渡利千春常務グループ経営戦略本部長と三林宏幸執行役員東北本部長が出席し、トンネル整備計画に関する覚書と沿線活性化の包括連携協定にそれぞれ署名した。吉村知事は「米沢トンネルの実現は県の発展に直結するもの。協定は県とJRが連携して取り組む強力なメッセージになる」と述べた。渡利常務は「予期できない自然災害の発生を踏まえリスクへの備えを万全なものにしていかなければならない。プロジェクトの実現へ事業化につながる調査を行っていく」、三林本部長は「山形県内の鉄道沿線の活性化で相互の持続的発展を目指していきたい」と語り、官民一体となった連携強化の意義を訴えた。
 山形新幹線は1992年の開業から30年が経過。山形と福島の県境の山岳区間を走り、大雪などにより運休や遅延が発生している。このため、庭坂駅(福島)~米沢駅(山形)間の約23キロのトンネルを計画。工期は着工から完成まで約15年、概算事業費を1500億円と試算している。時速200キロ以上の高速走行も可能な穏やかなカーブのトンネルで、山形駅から東京駅までの所要時間が10分強短縮される見通し。
 トンネルの具体的なルート検討を含め事業化に向けて県とJRでは共同調査を実施。3月から地権者調査と地表踏査を進め、来年度に地質のボーリング調査に入る。県では9月補正予算に3カ年で2億81百万円の債務負担行為を設定している。



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東大、三菱地所/産学協創協定結ぶ、ポストコロナ見据えた次世代街づくりを研究

 東京大学と三菱地所は24日、ポストコロナを見据えた街づくりの研究に向けた産学協創協定を結んだと発表した。東大のキャンパスがある本郷から大手町・丸の内・有楽町までを対象とする「本丸エリア」で、産学連携やスタートアップ支援の取り組みを展開。未来の街の在り方を検討する。
 「三菱地所東大ラボ」と題して、10年間の産学協創の取り組みを進める。ポストコロナを見据えた新たな街づくりの研究や、ITを活用したスマートシティー化などを推進。人材育成に向けた寄付講座の開設も視野に入れる。
 東大の学生や研究者などを対象としたインキュベーション施設を開設し、スタートアップ企業の支援体制も充実させる。12月には協業後初の取り組みとして、丸の内の各所で東大の教授の講演イベントを開催する。
 21日に本郷キャンパスで調印式を開催した。東大の藤井輝夫総長は「明治期以降、近代国家としてのわが国の基盤を支える中心的な場所であった本丸エリアの歴史・文化的な意義を踏まえ、イノベーションによる社会変革につながる研究・教育活動を共に展開していく」とコメント。三菱地所の吉田淳一社長は「東大や本丸エリアに集積する企業などとの協業を通じて、次世代の街づくりの在るべき姿の探求や新たな産業の創出を支援、社会課題解決の取り組みを推進することで、東京・日本の豊かな未来の創造を目指す」とした。



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2022年10月24日月曜日

中外製薬/新研究拠点(横浜市戸塚区)が竣工、23年4月に本格稼働予定

 中外製薬が横浜市戸塚区で建設していた新研究拠点が15日に竣工した。創薬や中分子化合物の製剤研究を担う。国内創薬研究の従来拠点だった富士御殿場研究所(静岡県御殿場市)と鎌倉研究所(神奈川県鎌倉市)を統合した。総投資額は1718億円。研究者やスタッフなど約1000人が勤務する。本格稼働は2023年4月を予定している。
 竣工した「中外ライフサイエンスパーク横浜」(LSP横浜)は、柏尾川を挟んで東西に分かれている。所在地は西側が戸塚町216、東側が上倉田町79の1(総敷地面積は15万8600平方メートル)。建物はS造地下1階地上6階建てを最大に計16棟、総延べ11万9500平方メートルの規模。設計は日本設計と鹿島が、施工は鹿島と大洋建設(横浜市戸塚区、黒田憲一社長)が担当した。
 LSP横浜は、メインの研究施設がある西側に7棟、地域住民向けのグラウンドなどを整備した東側には9棟ある。各建物には免震や耐震構造を取り入れた。災害時に、地域住民の避難場所として一部を開放し防災拠点にする。
 中外製薬は20日にメディア向けに西側敷地にある7棟の見学会を開いた。研究エリアと居室棟は、300メートルに及ぶ廊下「スパイン」で結ばれている。研究者やスタッフがスパインで出会って交流し、イノベーションが創出されることを狙う。実験棟には、実験を自動化できる「ラボオートメーション」を整備する。地域の児童・学生がバイオテクノロジーに親しめるように、講義スペースや実験室も用意。外装は施設周辺の建物と調和するよう、ブラウンやベージュなどのアースカラーを基調にした。
 日本設計の担当者は「各棟で統一感を損なわないよう、設計者間の打ち合わせを密にした。スパインは安心感を与える曲線や流線を多く取り入れた」と説明した。
 東側敷地には研究棟のほか、グラウンドやテニスコートなどを整備した。地域住民が利用できるように5243平方メートルの土地を横浜市に提供するという。
 見学会の終了後、中外製薬の飯倉仁執行役員研究本部長は「理想的な施設になった。最先端の研究所でありつつ、住民に愛される研究所にしていきたい」と話した。
 同社鎌倉研究所は、免疫関連疾患治療薬など創薬研究をしていた。北側部分(敷地面積3万5359平方メートル)を更地にし、25年後半に高砂香料工業に売却する予定。南側部分(敷地面積5万3945平方メートル)は、現況のまま23年9月に長谷工コーポレーションに売却するという。富士御殿場研究所はがん疾患治療薬の創薬研究などを手掛けていた。閉鎖後の売却先などは未定としている。



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2022年10月21日金曜日

清水建設/建築確認検査の遠隔化支援/点群データとARで高度化

 清水建設は、指定確認検査機関が行う建築確認の中間、完了検査のリモート化をサポートする「確認検査支援システム」を開発した。BIMデータとAR(拡張現実)を活用した従来システムに3Dレーザースキャナーなどを取り込み、AR画像の視認性を高度化。BIMと3D点群データを重ね、より現実的なAR表現を可能にした。従来の中間検査に加え、完了検査にも対応でき確認検査業務の効率化につなげる。
 同社は日本建築センター(BCJ)の指導に基づき、2020年から建築確認業務の効率化に着手した。BIMデータを活用した建築確認システムを皮切りに、ARを組み合わせた中間検査のリモート化システムも開発。いずれもBCJが有効性を検証済みだ。
 続く第3弾が確認検査支援システム。ARなどの開発を手掛ける積木製作(東京都黒田区、城戸太郎社長)の協力を得て、3Dレーザースキャナー(LiDAR)とゲームエンジンを組み込み精度を向上させた。検査対象部位の画像上にBIMデータと建物をレーザースキャンした3D点群データを取り込み、タブレット端末にAR表示する。
 BIMと点群データを重ねることで奥行方向の位置関係を反映した表示が可能。点群データとBIM形状の差異のうち、許容値から外れた部位の可視化に加え、現実には見えない道路斜線や隣地斜線、避雷保護範囲などの法規制空間を可視化した整合確認が行える。
 AR画像はテレビ会議システムや5G映像伝送システムでリアルタイムに情報共有が行え、タブレット端末などで遠隔地から中間、完了検査に参加できる。
 現在、設計・施工を手掛ける三愛会総合病院建設工事(埼玉県三郷市)で、BCJがシステムを使った任意完了検査を実施中。建築基準法に定める検査に代替可能で、リモート化にも対応できるとしている。清水建設は指定確認検査機関にシステムを提案し確認検査のDX化を推進していく。



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2022年10月20日木曜日

財務省/資材高騰、「効率化で対応が基本」/公共事業への影響で見解

 財務省は公共事業の執行で目下の課題となっている建設資材の価格高騰について「公共事業の効率化を進めることで対応していくことが基本」との見解を示した。資材価格はこれまでも継続的に上昇し続けていることを理由に挙げ、さらなるコスト縮減や生産性向上で対応していく必要性を強く訴える。資材高騰の影響で目減りする懸念がある公共事業のボリュームの確保を求める声が高まる中、財務省の主張が今後の予算確保にどう影響を及ぼすのか注視する必要がありそうだ。
 19日に開かれた財政制度等審議会(財制審、財務相の諮問機関)財政制度分科会歳出改革部会で、財務省が社会資本整備の現状認識を説明した。「建設工事費デフレーター」(建設工事にかかる費用の相場を示す指標)によると直近1年(2021年7月~22年7月)の上昇率は5・0%。過去5年(17~21年度)の平均上昇率も2・4%と右肩上がりとなっており、継続的な価格上昇の根拠とした。
 建設業の生産性向上に取り組む国土交通省の対応について「目標の達成状況や達成すべき指標が明確に示されていない」と指摘。i-Constructionやインフラ分野のDX、建設業の働き方改革の支援策など、過去の予算措置に対する具体的なコスト縮減や生産性向上の効果を明示することも求めた。
 今後の公共投資の規模を検討する前提として「社会インフラは概成しつつある」との見解を改めて表明。「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」による予算規模の増加も考慮に入れる必要があるとした。これ以外の検討材料として建設業者の手持ち工事量が増加傾向にあり、他業種と比べて担い手の不足感が強い一方、労働生産性が低くデジタル化も進んでいないことも挙げた。
 予算を重点的に充ててきた国土強靱化施策は、達成目標が施設整備率などの「アウトプット」にとどまっていると問題視。災害の被害低減効果など「アウトカム」を測定できるような評価手法や指標を検討するべきだと主張した。



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東京都水道局/水道管の優先耐震化エリア見直し/都内全域で断水率50%以下目指す

 東京都水道局は優先的に耐震化する水道管のエリアを見直す。従来は区市町の行政区域単位で、平均断水率が50%を超える場合に耐震継ぎ手化を進めてきた。2024年度をめどに断水率の算出エリアを細分化。行政区域にとらわれず、50%を超える地域を耐震化する。5月の首都直下地震の被害想定見直しを受け、より細やかな対応が必要だと判断した。28年度までに都内全域の断水率を50%以下にする。
 耐震継ぎ手は、柔軟性を備えたダクタイル管同士が継ぎ手部分で掛かり合う構造になっている。地震に伴う地盤の揺れに対応するとともに、つなぎ目からの漏水を防止する。
 都はこれまで自治体ごとに平均の断水率を算出。50%を超える区市町を「取替優先地域」に位置付け、13年度から耐震化を推進している。今年5月時点の都内の耐震継ぎ手化率は47%で、断水率が50%を超える自治体は5区まで減少した。
 各自治体エリア全体で断水率50%以下と判定された場合でも、区内や市内などエリア内を細かく見ると50%を超える箇所が存在する可能性がある。今後は、従来の行政区域単位での改修と並行して、断水率が50%を超えるエリアを「取替優先地域」に加え、優先的に耐震化する。首都直下地震の被害想定などに活用した総務局のデータや、水道局が持つマッピングデータを組み合わせ、断水率が高いエリアを特定する。
 都は「取替優先地域」のほか、救急医療機関や避難所、主要駅など重要施設への供給ルートの耐震化を推進。下水道や電線など複数の管路が集中している「取替困難管」、初期ダクタイル管も対象に更新を進めている。
 重要施設への供給ルートを年度内に、「取替困難管」の更新を26年度までに完了する。「取替優先地域」と初期ダクタイル管の解消は28年度までにそれぞれ完了する計画だ。28年度以降は、これまでに蓄積した管路データを基に設定した供用年数を踏まえ、計画的に更新する。



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日建連/施工データ連携プラットフォーム実装へ/協調領域3テーマで実用化目指す

 日本建設業連合会(日建連、宮本洋一会長)は建設DXの一環で、施工分野の多種多様なデータが相互活用できるオープンプラットフォームの社会実装に力を注ぐ。東京大学大学院がi-Constructionシステム学寄付講座(主宰・小澤一雅特任教授)で進める建設産業全体の協調領域や標準システムの構築に協力。当面は施工管理や出来高管理、安全管理の合理化を図る。最終的には施工全般で必要なデータの利活用やアプリケーションの開発に横断して連携できる「データ・システム連携基盤」の開発、実用化を目指す。
 日建連は同寄付講座で3月に発足した協調領域検討会と連携。「協調領域ワーキンググループ(WG)」を設け、施工分野に特化したオープンデータプラットフォームの在り方を議論している。
 複数の企業連携によるシステムの共同制作やデータの共有によって開発効率を高める「個別技術の協調開発」も推進。同寄付講座の設立当初から開発してきた▽データ・システム連携基盤を介した躯体の出来形・品質管理に関するデータ連携(幹事会社=大林組)▽受発注者間DXに向けたブロックチェーン技術及び連携基盤の導入検証(清水建設)▽災害事例データの連携基盤構築に向けた課題検討(鹿島)-の3テーマで実用化を目指す。いずれも複数の企業が参加。日建連は体制整備の一環で3テーマ別に協調領域WG傘下のサブWGを設けた。
 大林組らは躯体の施工管理で扱うさまざまなデータを集約し、アプリで活用できるシステムを開発。アプリのデータを相互利用するために、出来形計測を一例にデータ授受のルールとなるAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)素案の作成を目指す。業務フロー効率化や新しいアプリの開発促進につながることを期待している。
 清水建設らが開発したシステムは受注者が現場で収集する3Dモデルの出来形計測データを発注者の監督・検査に直接活用し、実地検査の省略などを図る。本年度に国の官民研究開発投資拡大プログラム(PRISM)を活用し、試行用にシステムを開発する。さらに同社以外が施工する複数の現場でも試行を目指す。この中で協調領域に組み込むべきシステムの可否を協議し判断する。
 鹿島らは労働災害事例をAIで解析し、類似作業の災害事例を原因や状況、時系列別にグラフ表示するシステムを開発。建設業全体のデータ・システム連携基盤を構成する安全管理分野のアプリの一つとして位置付ける。
 日建連は、同寄付講座の第2期が終了する2024年9月末ごろまでに協調技術や一部の施工分野を対象としたデータ・システム連携基盤などの現場試行を行い、実用化に向けた取り組みを加速させる。将来的には国土交通省などの発注者との連携も視野に入れている。



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万博協/ウォータープラザ水上ショー/ダイキン工業、サントリーが参画

 2025年日本国際博覧会協会は19日、博覧会(大阪・関西万博)の会場(大阪市此花区夢洲)で新技術を展開する未来ショーケース事業「ウォータープラザ水上ショー(仮称)」にダイキン工業とサントリーホールディングス(HD)が参画・協賛することが決まったと発表した。水上ショーは海と空に開かれたエリア「ウォータープラザ」を舞台に、水と空気をテーマに展開。大屋根リングと会場陸部の間、約3ヘクタールでショーを行う。必要な設備や照明などは両社で設ける。小橋賢児催事企画プロデューサーと両社で基本計画を策定中だ。
 ダイキン工業は「空気で答えを出す会社」として、空調データと人体から取得した生体情報を蓄積・分析し、心身の健康に役立つ「空気・空間の価値を創造」する方針。会場ではショーと連動した「空気体験を実証する観客席の屋外空調」構築を目指す。
 会見でダイキン工業の竹中直文専務執行役員は「当社ならではの技術で未来を表現したい。空調技術を屋外で体感してもらうのは難しいが、先進技術を具現化する場とする」「空気と水の素晴らしさを考えるショーを行う」と語った。
 サントリーHDの鳥井信宏代表取締役副社長は「『水と生きる』を掲げている当社と親和性の高い取り組みだと考えている。未来に命をつなぐきっかけをつくる」と力を込めた。
 ショーの内容は今後、詳細を検討し、来年にも発表する。ショーを行うスペースは約3ヘクタールから順次絞り込む。観客席は博覧会協会が整備。大屋根からも観覧できるようにする。
 舞台となる「ウォータープラザ」の水域には周辺海域からくみ上げた海水を使う。この海水の水質を浄化し、海域に戻す循環システムを活用する計画だ。



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大林組/都内で130周年記念総合展示会開く/100の技術と取り組みPR

 大林組は19日、東京都千代田区の東京国際フォーラムで創業130周年記念の総合展示会「OBAYASHI VISION SHOWCASE 2022」を開いた。事業の中核となる建設領域や周辺領域で同社グループが手掛ける100の技術と取り組みを厳選し、8テーマで披露。実物や模型展示、デモ体験、トークセッションなどのほか、建機の遠隔・自動・自律運転などの最新技術も紹介した。会期は21日まで。
 冒頭、蓮輪賢治社長は「実物の展示を通じて取り組みを見られる機会を設けられてうれしい。昨年大林組は創業130年という節目を迎えた。スローガン『つくるを拓く』に込めた思いとともに取り組みを進めるグループの現在地とこれから向かう先を見られる展示会だ。『つくるを拓く』を体現する姿を感じてほしい」とあいさつした。3日間の来場者数は約3000人を見込む。同社主催の展示会としては過去最大規模となる。
 大規模土工事の無人化に向けて取り組む遠隔操縦のほか、木造建築、3Dプリンターでの施工、月の模擬砂を使用した野菜栽培の事例など、多くの技術に注目が集まった。遠隔操縦のデモンストレーションでは、約380キロ離れた大阪府枚方市の西日本ロボティクスセンターと会場をつないだ。オペレーターがモニターを見ながらバックホウを操縦したほか、ダンプの自動運転やブルドーザーの自動敷きならし作業も披露した。
 初日の19日には、スペシャルキーノートとして慶応義塾大学医学部の宮田裕章教授が「『つくるを拓く』が実現する新しい社会」と題して講演した。
 11月30日~12月2日には大阪市北区のコングレコンベンションセンターでも総合展示会を開催する。



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2022年10月19日水曜日

オリコンサル/トンネル照明自動設計システムを開発、作業量が3分の1に

 オリエンタルコンサルタンツは17日、トンネル照明設計の省力化と品質確保を目的に、「トンネル照明自動設計システム」を開発したと発表した。照明計算、設計図作成、数量計算の一連の設計プロセスを自動化した設計支援システム。照明計算に必要な設計条件をプログラムに入力するだけで、自動的に一連の作業が行える。作業量は従来と比べ3分の1に削減できる。
 開発したシステムは幅広い条件の道路トンネルに対応可能。全国にある約1万1000本の道路トンネルの照明設備更新設計と、今後新たに整備されるトンネル照明設備設計に適用できる。
 トンネル照明の更新事業は対象トンネル固有の更新条件、顧客の個別ニーズなどにきめ細かく対応した計画が求められる。さらに灯具の技術開発の進展が著しく最新の技術調査が欠かせず、灯具の計画から仕様決定まで長期間化する傾向がある。このため決めた仕様に対する照明計算、設計図作成、数量計算を迅速に行うことが求められていた。
 照明の配置決定には複数の照明計算を実施する必要があり、その都度、設計条件を入力、照査する。計算結果を基に設計図や数量計算書を作成する過程で、設計条件の確実な引き渡しが成果品の品質に影響する。



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2022年10月18日火曜日

土木学会/国際人材育成へオンライン講座開設、12月9日から13回開催

 土木学会(上田多門会長)は世界に通用する土木技術者育成の一環で、「グローバルエンジニアへの道」と題したオンライン講座を開設する。12月9日から2023年3月17日までの毎週金曜日、午後4~5時にウェブ会議システムのZoomで開催。講師に海外で働いている技術者や成果を上げている企業などの関係者を招き、海外事業の面白さや大変さを語ってもらう。質疑応答も受け付ける。
 土木学会の土木グローバル化総合委員会に設置した「土木技術者の国際化実践小委員会」が主催する。募集対象は50人で、うち40人が社会人、10人が学生。先着順に専用申し込みフォーム(https://www.jsce.or.jp/events/form/602201)で受け付ける。参加費は社会人が2万円(税込み、土木学会個人会員)~3万円(同、非会員)。学生無料。
 あらかじめ各講師のプレゼンテーションを録画しておき各講義の2週間前に配信、視聴可能とする。講義当日は受講者による予習を前提に質疑応答を受け付けた後、少人数に分かれてグループ討議を行う。受講者各自が意見を発表し、他人の意見を聞くことによって学びを深めるという狙いがある。
 講義日別の講演者は次の通り。敬称略。
 ▽12月9日=上田多門(土木学会会長、深セン大学特聘教授)、スティワピラク・ピーラポン(GEOCONSULT Asia Singapore Principal Engineer)
 ▽12月16日=池田龍彦(横浜国立大学名誉教授、国際港湾交流協力会〈JOPCA〉顧問)、鈴木誠一(東京電力ホールディングス)
 ▽12月23日=井上学(IHIインフラシステム)
 ▽23年1月13日=渡辺泰充(土木学会国際センター)
 ▽1月20日=木村亮(京都大学教授、土木学会国際センター長)
 ▽1月27日=草柳俊二(高知工科大学名誉教授、東京都市大学大学院社会人コース客員教授) 
 ▽2月3日=片渕文隆(大林組)
 ▽2月10日=大下哲則(五洋建設)
 ▽2月17日=藤田宗久(大崎総合研究所)
 ▽2月24日=安田一成(ヤスダエンジニアリング)
 ▽3月3日=中井康博(グローバルエンジニアリングパートナーズ代表)
 ▽3月10日=三奈木輝良(元Yokogawa Electric International社長)
 ▽3月17日=田辺孝二(東京工業大学名誉教授)。



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国交省/建設向けにPAS事例集作成、23技術・8工種で適性評価

 国土交通省は建設現場の人力作業を補助する「パワー・アシスト・スーツ(PAS)」の早期導入に向け、PASの種類や特徴に応じ適用性が高い工種を明示した事例集をまとめた。複数のPASを直轄工事現場で昨年度検証し、作業員への事後アンケートや疲労度のセンサー計測などで有効性を評価。これを踏まえ事例集では建設現場に特化したPASの要求性能も提示し、メーカーなどのさらなる新規開発や既存機器の改良を促していく。
 国交省のホームページで「パワーアシストスーツ現場検証事例集」を18日公表する。公募に応じたメーカーや大学など16者、計23技術のPASを対象に基本性能や活用場面、早期適用候補工種を示した。
 実際に現場検証したのは▽かご工▽鉄筋工▽張り芝工▽ブロック(縁石)敷設▽コンクリートブロック敷設▽のり面石材工▽コンクリート打設▽地質調査・ボーリング-の8工種。いずれも作業中に中腰体勢を維持したり重量物を持ち上げたりする場面が多い。排水ポンプ設営や土のう作成など災害対応時の有効性を検証する模擬作業も別途行った。
 PASの評価ではアンケートによる主観評価と心拍などのバイタル計測、休憩頻度や単位時間作業量の外的観測を組み合わせた。全工種ともにアンケートで一定評価があり、うち4工種では施工数量の増加や定量的な疲労軽減の効果も確認。経験年数が少ない作業員ほど高評価の傾向があり、新規入職者で効果が増すことも分かった。アクティブ型では装着慣れで作業が徐々にスムーズになる傾向が顕著。災害対応では短時間反復作業となる土のう作成で疲労軽減の効果があった。
 事例集には将来的な開発促進を目的にPASの使用条件や要求性能を「共通項目」と「工種別」で整理した。PASは物流や介護の分野で導入が広がった経緯があり、現場検証では建設現場で求められる使い勝手や装着感などの課題も露見した。要求性能を明示することでメーカーらに建設現場に特化した機器開発の参考にしてもらう考えだ。



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大林組/トンネル出来形・監視UGV開発、出来形測定と作業監視を遠隔操作

 大林組は、山岳トンネルの出来形測定と作業監視を遠隔操作で行う「出来形・監視UGV(自動走行車)」を開発した。出来形を測定するスキャナーと、作業状況を監視する切羽用カメラを搭載。コンクリート吹き付け機をリモコンで遠隔操作しながら、カメラ映像による遠隔監視とスキャナーでの吹き付け不足箇所の確認を同時に行える。切羽直下を無人化し、安全性と品質の確保を両立した施工を実現する。
 UGVは切羽や重機に近づき、搭載したスキャナーで掘削や吹き付けコンクリートの出来形を測定する。設計断面と比較し、▽掘削形状▽吹き付けたコンクリートの仕上がり面▽吹き付け厚-の三つの管理ポイントを算出。切羽用カメラの映像を、遠隔臨場やAIによる切羽評価や崩落検知システムに活用し、さらなる安全性向上を図る。
 UGVの前後左右に取り付けた4台の移動用カメラの映像を通じて、無線で操作して移動する。最大で400メートル離れた場所でも遠隔操作ができる。湧水箇所や小さな岩の塊がある場所でも走行できるため、人が切羽や重機に近づくことなく、定量的な出来形測定や監視が可能となる。
 山岳トンネル工事では、掘削や吹き付けコンクリートの出来形を目視で確認している。経験に左右されやすく、定量的な判断ができないことが課題だった。出来形確認や作業の監視は、人が切羽や重機の近くで行うため、土砂や岩盤が崩れる「肌落ち」や重機に接触するなどの災害リスクがあった。



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鉄道運輸機構/北海道新幹線国縫トンネル(長万部町)が貫通、施工は不動テトラJV

 鉄道建設・運輸施設整備支援機構北海道新幹線建設局は14日、建設中の北海道新幹線国縫トンネル(延長1340メートル)が貫通したと発表した。2030年度末の開業を目指し工事が進む北海道新幹線新函館北斗~札幌間に建設される全17本のトンネルのうち5本目の貫通。施工は不動テトラ・淺沼組・松本組・豊浦建設工業JVが担当している。
 同トンネルを含む「北海道新幹線、国縫トンネル他」工事は、北海道長万部町内の北海道新幹線新青森起点224キロ295メートル~225キロ690メートル(延長1395メートル)間で延長1340メートルの国縫トンネルと55メートルの路盤を新設する工事。20年1月に着手し、工期は23年4月11日までとなっている。
 同区間内に建設中のトンネルでは21年3月の昆布トンネルと二股トンネル、同11月の宮田トンネル、ニセコトンネルに続いて5本目の貫通で、長万部町内のトンネルでは初めての貫通となった。



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トンネル専門協/江府道路久連トンネル工事現場(鳥取県江府町)で見学会

 ◇ベルトコンベヤー方式で二酸化炭素削減
 日本トンネル専門工事業協会(野崎正和会長)は、鳥取県江府町で施工中の国道181号(江府道路)久連トンネル工事現場で13日に会員向けの見学会を開いた。コロナ禍の自粛期間を経て3年ぶりの開催。施工上の工夫や環境・安全対策など、きれいで働きやすい現場づくりについて会員間で意見を交わしながら現地を見て回った。
 江府道路は地域高規格道(江府三次道路)の起点となり、延長は鳥取県江府町佐川~同町武庫を結ぶ4・1キロ。このうち中央区間の大部分を占める久連トンネルは延長2609メートル(幅員6・5メートル)。NATM発破工法を採用し、掘削断面積は約70平方メートル。工期は2021年10月~25年3月。県発注の同トンネルの施工を安藤ハザマ・大豊建設・八幡コーポレーションJVが担当している。
 現場見学に先立ち、安藤ハザマJVの河野友紀所長が工事概要を説明。12日夜時点で207メートルまで掘削しており、二酸化炭素(CO2)の排出削減対策として「年明けにも(ダンプ方式から)ベルトコンベヤー方式でのズリ出しに切り替える」と述べた。
 現場での苦労・課題として、長大トンネルながら仮設ヤードが狭く、冬季の除雪作業が難しいほか、一部に残る未探査区間の対応、既設導水路の安全対策などを挙げた。
 見学後に開いた意見交換会で、野崎会長は「大変きれいな現場だった。トンネル工事の先は長く、課題もまだまだあると思うが、(専門業者の)拓進建設の方々も関係者間でコミュニケーションを図りながら解決してもらいたい」と現場関係者らを激励した。
 現場で指揮を執る拓進建設の稲津利昭所長は「職員の長時間労働を改善したいと思っているが、シフト制を取り入れたくてもなかなか人が入ってこないので難しい」と現状を説明。個別の現場単位での働き方改革の取り組みには限界があると訴えた。
 見学会に同行した建設業振興基金の谷脇暁理事長は「来春採用の内定者を含め、職員らが実際に現場を見ることは少なく、こうした機会はありがたい。当基金でも人材確保・育成に力を入れており、皆さんの意見も聞きながら取り組んでいきたい」と述べた。
 建設経済研究所の佐々木基理事長も「施工のICT化により、トンネル業界が若い人たちと結びつく伸びしろは他業種よりも多いと感じる。次回は我々の研究員も是非参加させてもらい、トンネルの魅力を広げていきたい」と総括した。



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2022年10月17日月曜日

東洋建設/安全ルール見える化ツール、全技術職員のモバイル端末に実装

 東洋建設は全技術職員に配布したモバイル端末に「安全ルールの見える化ツール」を実装し、若手職員のレベル向上や重大事故の未然防止対策を一層強化する。チャットボット(自動会話プログラム)に労働安全衛生法や社内規程などの安全ルールをイラストと共に記憶させたツール。キーワード検索すると、工事内容に応じた安全のポイントや社内通達などが瞬時に表示される。
 同社は本年度に全技術職員へiPhone13Proを配布。現場業務の効率化に向け、これまで導入していたMetaMoJi(東京都港区、浮川和宣社長)のデジタル野帳「eYACHO」に加え、LisB(東京都千代田区、横井太輔社長兼最高経営責任者〈CEO〉)が提供する現場向けビジネスチャット「direct」を導入した。
 音声やキーボードでキーワード検索すると、関連する労働安全衛生法と社内規程が安全のポイントとして1枚のシートでイラストと共に表示。directのトーク機能を使い、必要に応じて注意ポイントのイラストに加筆し協力会社に転送することでリアルタイムな情報共有が可能になる。
 eYACHOの電子印・電子サイン機能を付けた作業計画書や連絡調整シート、安全パトロール指導票に「安全ルールの見える化シート」を組み込めば、重大事故を未然に回避するためのルールを反映させた適正なフォローや指示も行える。
 同社はデジタル技術を駆使した業務の効率化や若手職員のレベルアップを図り、若者が魅力を感じる建設産業の実現に貢献していく。



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2022年10月14日金曜日

竹中工務店ら/内子龍王バイオマス発電所(愛媛県内子町)が開所、80人で稼働祝う

 竹中工務店と内藤鋼業(愛媛県内子町)、サイプレス・スナダヤ(同西条市)、三洋貿易、大日本コンサルタントでつくる内子龍王バイオマスエネルギー(内子町)が内子町に建設した「内子龍王バイオマス発電所」(内子1365)が完成し13日、稼働した。同日、関係者約80人を集め開所式を開催。同発電所は、内子町森林組合の未利用材を内藤鋼業の木質ペレット工場で発電用原料に加工、使用する。電気出力は330キロワットで発電時の熱も供給。竹中工務店はプロジェクトマネジメント(PM)を担った。
 5月に着工した新発電所は2007年策定のバイオマスタウン構想を進める同町が支援。町内のバイオマス発電施設は2カ所目。5社共同出資の事業会社は21年9月に設立した。
 敷地面積は797平方メートル。平屋181平方メートルの発電所にはサイプレス・スナダヤの地元産材からつくるCLT(直交集成板)を使うことで、先導的な地域連携型木質バイオマス発電事業を表現した。設計は大日本コンサルタントで、山本建設(内子町)と田丸電気水道設備(同)、大阪テクノクラート(堺市堺区)が施工した。
 使用する木質ペレットは間伐未利用材(年間約3600トン)からつくる。発電した電力は四国電力へ全量売電する。小型高効率木質バイオマス熱電併給装置を2台設置。発電時に発生する熱520キロワットは隣の内子町龍王公園のホテルとフィットネスクラブに送る。
 小野植正久町長は「町ではさまざまな環境の課題に取り組んできた。さらに皆さまの知恵がほしい。この事業が大きく花開くことを期待する」、竹中工務店の関谷哲也常務執行役員は「当社では専門組織を立ち上げ、木材の需要拡大に取り組んできた。この発電所の事業はチャレンジとなった。森の産業振興と地域貢献につながる。皆さんと対話を続け事業を進める」と語った。



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2022年10月13日木曜日

基礎地盤コンサルタンツ/砂質土の粒度判定技術を開発、スマホで瞬時に

 基礎地盤コンサルタンツ(東京都江東区、柳浦良行代表取締役)は、砂質土をスマートフォンで写真撮影するだけで粒度組成が判定できる技術を開発した。撮影した画像をAIが高精度に判定。従来手法では1週間程度かかっていた試験が瞬時に完了する。現地で粒度が確認できるため時間や人員が削減可能。土砂を使う施工計画に、判定結果を機動的に反映するといった効果も期待できる。
 社内で試行運用を重ねた上で、2023年1月にもインターネットによる簡易粒度判定サービスとして提供開始を予定している。
 使い方はまず、分析対象となる土質材料をバットなどの上に広げ、コテなどで表面をならす。その上に円形のマーカーを乗せ、粒度を判定する上での大きさの基準とする。スマホの専用アプリでカメラ機能を起動し、画面上の赤い丸にマーカーを合わせて撮影すると、数秒程度で判定結果が表示される。マーカーは直径26・5ミリ、30ミリ、40ミリのいずれかの大きさで対応可能。500円硬貨(26・5ミリ)やピンポン球(40ミリ)でも代用できる。
 判定結果はグラフで表示される。例えば粒径0・075ミリが20%というように粒径別の構成比が分かる。粒径のほか、れき質土分、砂質度分、粘性土分なども確認できる。人の手による試験と比較しても同程度の精度を確保している。
 盛り土工事などで使用する土の質は発注者が指定している。場合によっては別の場所にあった土を混合させて使うこともあり、土の粒度が早期に分かれば現場の判断も素早くできるようになる。
 通常、粒度を調べるには現場から試料を試験室に搬送する必要があり、期間も1週間程度必要で手間や時間がかかっていた。



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2022年10月12日水曜日

中部整備局/東海環状岐阜山県第一トンネルが貫通、施工は福田組と西松建設

 中部地方整備局が岐阜県内で建設を進めている東海環状自動車道の岐阜山県第一トンネル(仮称)が貫通し8日、岐阜市彦坂のトンネル坑内で貫通式が開かれた。稲田雅裕局長をはじめ柴橋正直岐阜市長、林宏優山県市長、藤山秀章福田組執行役員副社長、一色眞人西松建設代表取締役副社長など多数の関係者が出席。貫通発破、貫通点通り初め、鏡開きなどが行われた。施工は「東海環状岐阜山県第一トンネル東地区工事」を福田組、「同西地区工事」を西松建設が担当。
 式典では、稲田局長らが貫通発破のスイッチを押した。無事貫通が確認されると、施工者が米村享紘岐阜国道事務所長に貫通を伝え、米村所長は「上下2ミリ、左右8ミリの精度で貫通した」と報告した。
 稲田局長は「無事、貫通を迎えることができたのは多くの関係者のおかげ」と感謝するとともに「難しい工事だったが施工者の技術力で乗り越えた。東海環状自動車道の全線開通に向け、着実に事業を進める」とあいさつ。野田聖子衆院議員は「道路ネットワークは地方創生の鍵になる。早期の全線開通がかなうよう取り組む」と話した。柴橋市長は「事業で三重県との接続も強化される。開通効果を高められるよう力を尽くす」、林市長は「地域経済や生活利便性への影響は大きい」と早期開通に期待を寄せた。
 施工者謝辞で藤山副社長は「意義深い事業に参画でき光栄だ。完成までの作業も安全第一で行う」と力強く語った。最後に、一色副社長の掛け声で万歳三唱を行った。
 東海環状自動車道西回り区間で最長となる岐阜山県第一トンネルは延長4931メートルの山岳トンネル。2018年6月に着手し、延長2330メートルの東工区(山県市西深瀬)と延長2601メートルの西工区(岐阜市城田寺)に分け両端から掘削した。同トンネルを含む山県IC~大野神戸ICは24年度の開通を予定している。



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2022年10月11日火曜日

高松市/中央卸売市場青果棟が起工、設計監理は梓設計JV・建築は合田工務店JV

 高松市が発注した「中央卸売市場青果棟建設工事」の安全祈願祭が7日、朝日町の建設地で行われた。施工業者が主催した。施工は建築を合田工務店・小竹組・日栄建設JV、電気設備は三和電業・山崎電機JV、機械設備はフソウ・三喜工事JVが担当。設計・監理は梓設計・森勝一建築事務所JVが手掛ける。工期は2024年9月30日まで。
 老朽化に伴う市場再整備の初弾で、現在の瀬戸内町から朝日町3の敷地約5ヘクタールに移転新築する。規模はS造2階建て延べ2万0236平方メートル。
 国際的な食品衛生管理基準「HACCP」を取り入れる。荷さばき場の大部分を大屋根や庇(ひさし)で覆う。見学者スペースや調理室などを設ける。
 地鎮行事では、菅根義明梓設計常務執行役員関西支社長と森勝一森勝一建築事務所社長が鎌、大西秀人高松市長と佐藤好邦高松市議会議長、齊藤良紀高松青果社長が鍬、森田紘一合田工務店社長、山地一慶三和電業社長、角尚宣フソウ社長が鋤を盛り砂に入れ、工事の無事完成を祈願した。
 大西市長は「魅力と活力にあふれた市民の豊かな食生活を支える拠点になることを願う」と期待を込めた。施工者を代表し、合田工務店の森田社長が「各社総力を挙げ、必ず無事故・無災害で皆さまのご期待に沿う素晴らしい建物を完成させる」と決意を語った。
 □京兼光宏所長(合田工務店)の話
 「材料関係の高騰や品不足などにも対応しながら、工期と安全を確保し無事竣工を目指していく。出来上がった後、高松市の活性化につながればうれしい」。



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2022年10月7日金曜日

佐藤総合計画/中国・広州の国際コンペに当選/科学会議場など延べ14万平米

 佐藤総合計画が、中国広東省広州市の複合施設「大湾区科学フォーラム常設会場」を整備するための国際コンペで、同社と広東省建築設計研究院による設計JVで当選した。事業主は広州南沙開発区管理委員会。中国版シリコンバレー計画「南沙科学城」の関連施設で、科学会議の会場や科学者向けレジデンスなどを一体的に整備する。最大で延べ14万平方メートル程度の規模を見込む。2025年の供用開始を予定する。=12面に関連記事
 計画地は南沙新区の9・51ヘクタール。「広東・マカオ・香港グレーターベイエリア(粤港澳大湾区、GBA)」の中心に位置し、科学者向け国際イベントの拠点となる。第1期に科学技術館(延べ3万平方メートル程度〈地上〉)やアカデミックセンター(延べ1万平方メートル程度〈地上〉)、バスターミナルを建設。第2期は科学イノベーションセンター(延べ4万~6万平方メートル程度〈地上〉)、サイエンティストレジデンス(延べ2万~4万平方メートル程度〈地上〉)の民間施設を整備する。
 水辺に面した半島のような敷地や、世界に開かれたゲートシティーという位置付けを考慮し、「千の帆の競漕(きょうそう)と科学技術の航海」をコンセプトに提案。ヨットの帆を表現した立面ユニットと波のような屋根の外観で、敷地先端から既存都市側へとリズムを刻むようなスカイラインを形成する。積極的に風を取り入れ屋根面を冷やすことで空調負荷を軽減し、シンボリックなデザインと合理的な機能性を両立する。
 細田雅春社長は「大湾区を新しい発信地にするという中国の戦略的なビジョンが見える。そうした文脈にフィットさせた」と語った。



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2022年10月6日木曜日

不動テトラ、ソイルテクニカ/地盤改良機自動施工を小型機へ適用拡大

 不動テトラとソイルテクニカは、大型地盤改良機を使った自動打設システム「ジオパイロット・オートパイル」を一部改良し、小型施工機への適用を可能にした。従来は機械攪拌(かくはん)式のみだった深層混合処理工法に自動化では業界初の高圧噴射式を追加。幅広い施工条件への対応と、用途に応じて工法選択も可能な柔軟性を持たせた。今後も自動化施工を積極的に提案し、需要が増す地盤改良工事に対応していく。
 大型施工機対象の自動打設システムは2020年度に開発。多くの実績を重ねてきた。追加した小型施工機タイプも自動化機能に大きな変更はない。
 機械攪拌式工法(CI-CMC工法)ではリーダーの先端に設置した攪拌翼の挿入や引き上げ、セメントスラリーの注入など打設作業を自動でコントロールする。操縦席には機械の稼働状況など表示するモニターを設置。現場のスラリープラントと無線で通信し、プラントの監視やポンプへの流量調整も自動で行う。
 自動化を実現した高圧噴射攪拌工法(FTJ-NA工法)は攪拌翼の先端に取り付けたノズルから固化材スラリーを高圧噴射し、原位置で攪拌して硬質な改良体を造成する。二つの工法に対応する小型施工機には軸チャックのつかみ替え制御、高圧ポンプの流量調整と圧力監視の自動化を追加した。攪拌翼を交換するだけで簡単に仕様変更でき、同一現場で工法を使い分けることも可能になる。
 打設作業の自動化でレバー操作がほとんどなくなり、作業負担が大幅に減少。生産性向上に加え、工事現場で行き交う重機や既設構造物への配慮に目が行き届くため品質向上にも貢献する。3年程度必要だったオペレーターの習熟期間は約3分の1に短縮できるという。
 システムを搭載した小型施工機は現状は1台だが23年上期に4台体制にする予定。4日、不動テトラ総合技術研究所(茨城県土浦市)で実機が公開され、大林淳取締役兼常務執行役員地盤事業本部長は「ICTを駆使して生産性向上や担い手確保の課題を克服することが地盤事業の成長戦略の一つだ。技術の伝承を含め技術開発を継続し全自動化を目指す」と展望を語った。



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2022年10月5日水曜日

追手門学院/大阪府茨木市で総持寺キャンパス2期が起工、奥村組が実施設計・施工

 追手門学院(大阪府茨木市、川原俊明理事長)が大阪府茨木市で設計・施工一括(DB)方式で計画する「総持寺キャンパスII期計画」の起工式が4日、現地で開かれた。2019年に供用開始したI期の中・高校舎と大学棟「アカデミックアーク」に続き、25年の追手門学院大学の同キャンパス拠点化に合わせて新校舎棟を建設する。基本設計・工事監理を類設計室、実施設計・施工を奥村組、CM(コンストラクションマネジメント)業務を東京海上日動ファシリティーズがそれぞれ担当。工期は24年10月31日まで。
 建設地は同キャンパス(茨木市太田東芝町1の1、約6・4ヘクタール)のうち東側エリア(建築面積約1ヘクタール)。新校舎棟は南北長さ約250メートルの建物で、規模がS造6階建て延べ4万4856平方メートル。1階に学生と地域社会との協働の場となるフリースペースやホール(定員600人)、2~5階に教室や研究室のほか、教職員と自由に交流や議論ができるフリースペースを設ける。6階に事務機能を集約し、職員の働き方改革にも対応する。
 神事では類設計室の阿部紘社長が鎌、川原理事長が鋤、奥村組の奥村太加典社長が鍬をそれぞれ入れ、工事の安全を祈願した。
 川原理事長は「教育と研究を充実するための器として、当キャンパスの2期目に着手することができた。学生の未来を切り開くためのイノベーション拠点となることを願っている」と話した。阿部社長は「竣工すればオープンイノベーション教育拠点が他に先駆けて誕生することになる。当社から約1500人のスタッフを投入し、プロジェクトのお手伝いをさせていただく」、奥村社長は「施工者として参画でき大変光栄な思いだ。当社が培った経験と技術で安全と品質の確保を徹底していく」と語った。
 □小田慶史郎工事所長(奥村組)の話□
 「無事故でトラブルなく、建物を期日内に引き渡すことが最大の目標。安全を最優先に近隣対応に努めていく」。



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2022年10月4日火曜日

近畿整備局/中部縦貫道大野油坂道路の荒島第2トンネル貫通、施工は大成と西松

 近畿地方整備局が福井県大野市で建設を進めている中部縦貫自動車道大野油坂道路(延長35キロ)の「荒島第2トンネル」が3日、貫通した。2018年11月に西勝原側から掘り進め、軟弱地盤の影響で工程が遅れたが、4年の歳月をかけて掘削が完了。26年春の全線開通に向けて大きく前進した。施工は西勝原側を大成建設、下山側を西松建設が担当。完成すれば10本のトンネルで構成する大野油坂道路の中で最長のトンネルになる。
 この日は大成建設が担当する工区で貫通の儀が執り行われた。工事関係者に加え、近畿整備局福井河川国道事務所や県土木部、大野市の関係者ら約40人が見守る中、午前9時30分過ぎに作業員が貫通発破のスイッチを押すと、坑内に「ドドーン」という大きな音が響き渡り、両側の工区がつながった。
 この後、福井河川国道事務所の橋本亮所長、県土木部の高橋伸輔部長、大野市の石山志保市長ら全員で万歳三唱を行い、貫通を喜び合った。
 荒島第2トンネルは全長4988メートル。幅員は12メートル(2車線)。勝原IC~下山IC間に位置する。18年11月に西勝原側、19年2月に下山側からNATMで掘削を開始。今年6月に下山側は掘削を終えたが、西勝原側は地層が複雑で地盤も軟弱だった影響で工程を変更。ピーク時は月100メートル以上掘り進んだが、30メートル未満になるなど難工事を余儀なくされた。
 今後は覆工コンクリート工や排水工、舗装工、通信設備工、照明工などを進める。
 大野油坂道路の開通時期は、大野IC~勝原IC間(10キロ)が22年度中を予定。今回貫通した荒島第2トンネルを含む勝原IC~九頭竜IC間(9・5キロ)は23年秋、九頭竜IC~油坂出入口間(15・5キロ)は26年春を予定。全線開通後は北陸自動車道の福井北JCT・ICと東海北陸自動車道の白鳥ICが高速道路で直結し、北陸・中部地方両方面への利便性が大きく向上する。
 石山市長は「工事関係者の尽力によって無事貫通したことを心から感謝申し上げる。引き続き市民と共に地域活性化のために取り組みたい」と話し、橋本所長は「安全第一で一日も早い供用を目指したい」と述べた。



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2022年10月3日月曜日

清水建設/セメント系改良地盤の施工品質検査技術開発、30分で強度判定

 清水建設は化学的手法を使ってセメント系改良地盤の強度が短時間で判定できる品質検査技術「C-QUIC」を開発した。セメントのアルカリ成分と酸の中和反応を利用し、改良直後に採取した未固結状態のソイルセメントに含まれるセメント量を推定。改良地盤内に適正量の固化材が混入されているかを30分程度で判定する。改良地盤の固化を待たずに施工の良否を確認でき、地盤改良工事の合理化が図れる。
 地盤改良工事では軟弱地盤にセメント系固化材を注入し攪拌(かくはん)することで、建設物を直接支持する強度を与える。従来は施工場所で採取したソイルセメントの固化を待ち、材齢28日の試験体で圧縮試験を行い強度を確認していた。強度不足の場合、再施工に膨大な手間がかかり、工程遅延にも直結する。
 C-QUICは施工直後に採取したソイルセメント試料に酸性の試薬を混合。混合試料の水素イオン濃度指数(pH)を測定することでセメント量を判定し、材齢28日時点の強度を推定する。試薬の混合量は設計基準強度を満足するため試料内のセメント量に対し、アルカリ成分をすべて中和できる量とする。
 試薬を混合し30分後に試料のpHがアルカリ性(pH8・0以上)であれば強度の発現に十分なセメント量が改良地盤に含まれていると判断できる。
 同社は化学的手法を使ったソイルセメントの強度判定技術として、2018年にセメント系改良地盤よりも高い強度が必要な高支持力杭の根固め部ソイルセメントを対象に「CW-QUIC」を実用化。300件以上の適用実績がある。C-QUICを含め現場に適用していくとともに、外販に向けた準備も進める。



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