2018年9月28日金曜日

【回転窓】日本の職人育成をスタンダードに

15年に安倍晋三首相が発表した「質の高いインフラパートナーシップ」。一見値段が高くみえても、使いやすくて長持ちし、環境に優しく災害の備えにもなる。さまざまな特徴を持った日本のインフラ関連技術・サービスを海外に売り込む成長戦略だ▼20年にインフラシステムの海外受注で約30兆円を達成するのが政府の目標。単なる受注拡大にとどまらず、質の高いインフラを国際基準とし、海外での活動を息の長いものにする狙いもある▼日本企業の持つ技術やノウハウを生かし、輸出相手国に提案するやり方は、価格一辺倒で海外受注の獲得を目指す他国とは一線を画する取り組み。売り込む技術は最新のものに限らない▼厳しい自然環境を長年耐え抜き、実績を残してきたメンテナンス技術は維持管理のウエートが増す国に有用なはず。技術やノウハウを使いこなす人材をいかに育てるかも重要な視点だろう▼国内での職人育成の取り組みを海外にも広めようとする取り組みが徐々に出始めている。日本の安全施工や現場での心得をスタンダードにすることも、質が高いインフラを海外展開する上では不可欠な要素といえる。

【Jリーグ入り目指しスタジアム整備へ】宮崎県新富町、スタジアム整備へテゲバ宮崎と連携協定

宮崎県新富町は26日、日本フットボールリーグ(JFL)に所属しJリーグ入りを目指すテゲバジャーロ宮崎とサッカースタジアムの整備に向けた連携協定を締結した。

 町が確保する用地にテゲバが全額負担でスタジアムを整備。完成したスタジアムは町に寄付または無償譲渡し、テゲバが指定管理者として運営する。スタジアムは18年度末ごろに着工し、20年3月のシーズン開幕までの完成を目指す。

 計画地は三納代の国道10号沿いの約18・3ヘクタール。このうち約12・4ヘクタールは民有地を取得し、これ以外は国有地を借り受けるなどして確保する。用地費は9月補正予算に計上しており年内にも売買契約を結ぶ。

 計画地のおよそ半分に当たるスポーツ公園ゾーン内にJリーグ入りの条件となる収容人員5000人以上のスタジアムを整備。これに併設する形で町は天然芝と人工芝のサッカー場2面を備えたフットボールセンターを整備する。フットボールセンターは防衛省の補助金を財源に22年度の完成を予定している。

【施工は前田建設、総店舗数213店に】酒々井アウトレット(千葉県酒々井町)に第3期増設エリア

 三菱地所・サイモン(東京都千代田区、山中拓郎社長)が千葉県酒々井町の「酒々井プレミアム・アウトレット」に整備していた第3期増設エリアが28日、オープンした。設計は三菱地所設計、施工は前田建設が担当した。

 3期増設では、同アウトレット(酒々井町飯積2の4の1、敷地面積約42万1000平方メートル)の北東部にあった駐車場を店舗区画に整備した。

 増設店舗面積は約6300平方メートルで、29店舗が入る。アウトレット内の総店舗数は213店舗となり、同社が展開するアウトレットで最大規模の店舗数となる。約800台分の駐車場も増設した。

 オープンに先立ち、27日に開かれたメディア向け見学会で山中社長は「周辺のお客さまに愛されてきた施設だが、これを期に海外や東京などからも人を集めたい」と語った。

【長野県軽井沢町で初弾開業へ】星野リゾート、若者向け宿泊施設で新ブランド

 星野リゾートは、若者向け宿泊施設の新ブランド「BEB(ベブ)」を創設し、来年2月、長野県軽井沢町に初弾の「BEB軽井沢」を開業する。

 宿泊者が自由に過ごせる共用スペースを設けるなど、若者が気軽に滞在できる空間・サービスの提供をコンセプトに掲げる。星野佳路代表は「日本の観光産業の発展にとってインバウンド(訪日外国人旅行者)だけでなく、国内の若い世代の需要を落とさないことが重要だ」と話している。

 星野リゾートの本拠地・軽井沢エリアでの新施設整備は14年ぶり。同社グループの敷地内で新ブランドホテルを試行的に整備・運営する。

 BEB軽井沢(客室数73室)は、自由で気ままな滞在スタイルとして、気の合う仲間の家のように過ごせる「ルーズ」なホテルを提唱。ウッドデッキをラウンジが取り囲む共用スペース「TAMARIBA」では、飲食や趣味などで滞在者が自由に利用できる。35歳以下の特別料金プランを用意するなど、若い世代が旅を気軽に楽しむ環境づくりに力を入れる。

2018年9月27日木曜日

【回転窓】より良い「道の駅」目指して

旅行に出掛けると現地の農産物がついほしくなる。先日、北関東地方で立派なシイタケを買って帰った。日本酒と一緒に堪能し、旅の思い出に浸りながらぜいたくな気分を楽しんだ▼便利な世の中になったこともあり、出掛けた先で入った店舗の品ぞろえが、近所と変わらないこともある。そんな時に心強いのが、各地にある「道の駅」だ▼1993年の制度創設から四半世紀。駅の数は1145カ所に増えた。常駐コンシェルジュが観光情報を発信したり、鉄道駅などと近接させて観光客を呼び込んだりと、にぎわい創出に知恵を絞る▼難しいのは成功が約束されていないという点。「導入機能や運営をしっかり考えないと陳腐化する懸念がある」(道路行政関係者)との指摘も。道の駅だけに人が集まることも好ましくなく、さじ加減が難しい▼より良い姿を探る動きも活発化している。全国「道の駅」連絡会は27日、新潟県三条市でシンポジウムなどを開催。10月1日には、関東近郊で人気の高い「道の駅」から関係者らが集まり、栃木県日光市で道の駅サミットを行う。次の一手をどう打つのか。今後の進化に期待したい。

【「新虎通りCORE」が完成】新虎通り(東京都港区)ににぎわい創出と情報発信の拠点

森ビルと大林新星和不動産(東京都千代田区、齋藤正博社長)が東京・新橋に建設していた複合施設「新虎通りCORE」が26日に竣工した。

 1階に設けたイベントスペースなどを中心ににぎわいと情報発信の拠点として、虎ノ門・新橋エリアのエリアマネジメントを推進する。設計・施工は大林組が担当した。地上1、2階の商業施設は10月18日に開業する。

 所在地は港区新橋4の1の1(敷地面積1524平方メートル)。区道で分断された二つの区画を、区道の廃止によって一体的に開発した。建物規模はS一部SRC造地下1階地上15階塔屋1階建て延べ1万7433平方メートル。

 26日に現地で開かれた祝賀会で森ビルの辻慎吾社長は「虎ノ門・新橋エリアの発展に寄与すればうれしい」と話した。

【分速100m、69人まで搭乗可能】三成研機、国内最大・最速の工事用昇降機開発

 建設機械・安全機器メーカーの三成研機(埼玉県日高市、椎野尊広社長)は大成建設の協力を得て、国産機最大の工事用4・5トンエレベーター「SEC-4500H」を開発した。

 最大積載量は4・5トンで、定員が69人。昇降速度は国内最速の分速100メートルを実現している。大成建設が東京都江東区で施工中の「(仮称)豊洲二丁目駅前地区第一種市街地再開発事業2-1街区新築工事」(発注・三井不動産)に初導入した=写真。

 工事用4・5トンエレベーターは、大成建設の指導と支援を受け開発した。現場での使い勝手や設計図に収めやすい寸法を選定したという。本体は輸送から現場での組み立て、使用、解体まで一連のサイクルで安全性と作業性を考慮。特殊な部材や工具を使わずに組み立て・解体ができるようにし、市場性の高い主要部材で構成している。

 これまで三成研機が提供する工事用エレベーターの最上位モデルは最大積載量3トン、定員46人だった。新開発のエレベーターは最大積載量4・5トンで69人まで搭乗可能。昇降速度は国内最速の毎分100メートルを達成し、振動も抑制したという。

 かごの大きさは幅6メートル、奥行き2メートル。これまでタワークレーンなどを使って運び上げていた大型の内装材やカーテンウオールもエレベーターで運搬できる。現場の生産性向上に寄与することが見込まれる。

 1号機に続いて2号機も大成建設が都内で施工する建築現場に導入する予定。三成研機は追加仕様などで昇降速度の向上を図るとともに、高さ300メートルを超える超高層ビル現場への導入も視野に入れる。効率的な作業を支える要素技術として、現場の生産性向上に寄与していく方針だ。

【客室数32室の高級旅館】山梨県富士河口湖町に「ふふ河口湖」完成

 ヒューリックとカトープレジャーグループ(KPG)が山梨県富士河口湖町に建設していたスモールラグジュアリーリゾート(高級旅館)「ふふ河口湖」が完成し、25日にオープンセレモニーが開かれた。

 式典にはヒューリックの西浦三郎代表取締役会長と高橋則孝常務執行役員、KPGの加藤友康代表取締役兼最高経営責任者(CEO)、来賓の渡辺喜久男町長らが出席しオープンを祝った。10月1日に開業する。

 オープンにあたり西浦会長は「ヒューリックはオフィスを中心にビルを所有してきたが、現在では商業、健康、高齢化、観光にも力を入れている。カトープレジャーグループとともに日本で一番いい旅館としてふふシリーズを開発してきた。富士山、河口湖の素晴らしい景色が見えるふふ河口湖に何度も足を運んでもらいたい」とあいさつ。加藤CEOは「構想から10年でふふ河口湖がオープンできた。竹中工務店には建設でお世話になった。地域と共存共栄してこそリゾートの役割を果たすことができる。皆さまと共に発展していきたい」と述べた。

 ふふ河口湖の建設地は河口水口2211の1。建物はメイン棟S造2階建て、宿泊棟RC造4階建てで、総延べ4669平方メートルの規模。竹中工務店の設計・施工で17年4月に着工した。客室数は32室。

 ふふシリーズは現在、箱根1施設、熱海2施設が営業している。河口湖に続いて19年に熱海ふふ新棟がオープンする予定。20年に日光、京都、奈良の3カ所、21年には強羅で新施設を開業する計画だ。

【高力ボルトの締め付け体験も】駒井ハルテック、高校生招き鋼橋工事見学会開く

 駒井ハルテックは25日、兵庫県豊岡市日高町久斗で同社が施工中の北近畿豊岡自動車道「日高豊岡南道路日高神鍋高原IC橋鋼上部工事」の現場見学会を開いた。

 地元の県立豊岡総合高等学校環境建設工学科の生徒16人(2・3年生)と引率教諭ら約20人が参加した。普段目にすることのない鋼橋の製作過程や架設方法などの説明を受けた後、橋桁の上から施工状況を見学した。

 見学会では冒頭、発注者である近畿地方整備局豊岡河川国道事務所の山中一紀建設監督官があいさつし、北近畿豊岡自動車道の整備効果や整備状況などを説明した。

 同社の橋本真一郎神鍋高原IC橋作業所長らが、鋼橋の製作過程や生産性・品質向上のための3次元モデルを活用するCIM(コンストラクション・インフォメーション・モデリング)などをパンフレットを使い紹介した。

 現場見学のほか鋼橋に欠かせない高力ボルトの締め付け体験も行われ、生徒らは1本当たりの締め付け力が22トンもあるボルト締め付け強度に感嘆の声を上げていた。

 北近畿豊岡自動車道は兵庫県豊岡市を起点に丹波市に至る延長約70キロの高規格道路。このうち日高豊岡南道路の延長は6・1キロ。

 日高神鍋高原IC橋の構造形式は、鋼2径間連続非合成少数鈑桁橋。橋長71・5メートル。支間長34メートル。幅員19~23メートル。鋼材重量約266トン。高力ボルト本数1万5422本。工期は18年1月18日~19年1月31日。

2018年9月26日水曜日

【回転窓】超高齢化社会とパズルの効用

住んでいる自治体から毎月送られてくる広報誌に、クロスワードパズルのクイズ欄がある。毎回、身近な生活や季節、地域に関わるワードがちりばめられていて面白い▼クロスワードを含めたパズルの人気は高く、多くの専門雑誌も出版されている。ジャンルや難易度に合わせて楽しめるのも人気の理由であろう▼そんなパズルには脳を活性化させ、認知症予防の効用があると言われる。実際に専門家が介護予防事業の一環で導入すると、多くの対象者に認知機能の維持や改善が確認できたという▼2025年に65歳以上の認知症高齢者は、12年の462万人(推計)から約700万人に増えると予測される。総合的な対策が急がれる中、予防や治療、街づくりなど多岐にわたる施策推進のための基本法案を自民、公明両党が国会に共同提出する動きも報じられている(7月2日時事通信)▼冒頭の広報誌クイズに最近出された〈カギ〉(ヒント)の一つは「◯◯◯の高跳び、歩の餌食」だった。マス目に入るのはケイマ(桂馬)。安易に進み過ぎるのをいさめる格言でもあるが、超高齢化社会にはスピード感のある対応を願いたい。

【渋谷駅東口歩道橋、最大幅7mに】246号渋谷駅東口歩道橋架替(東京都渋谷区)、深夜に最後の大規模橋桁架設

 関東地方整備局は、23日深夜から24日早朝にかけて、東京都渋谷区で進めている「国道246号渋谷駅東口歩道橋架替工事」で最後となる大規模な桁架設を行った。

 施工は東急建設・JFEエンジニアリングJVが担当。渋谷駅前の明治通りを通行止めにして、大型クレーンで約41tの箱桁ブロックを慎重につり上げ接合した。11月には歩行者の通行が可能となる予定。本年度内の完成を目指している。

 国道246号渋谷駅周辺整備事業の一環として進めている工事。施工場所は東京都渋谷区渋谷2。既存の歩道橋を撤去して、鋼5径間連続鋼床版箱桁ラーメン橋を整備する。幅員は既存歩道橋よりも広くなり、最大7mとなる。関東整備局は「完成まで気を抜かずに進めていきたい」(東京国道事務所)としている。

 渋谷駅周辺では、国道246号の東口と西口の両方で、歩道橋が再整備される。通行止めを伴う大規模な架設は今回が最後。ダイナミックな工事を一目見ようと一般市民も多く詰めかけた。同事務所はSNS(インターネット交流サイト)などを活用し、作業状況を同時中継した。

【木の良さ残し鉄骨並み強度】前田建設と帝人、高機能繊維補強集成材の実用化プロ始動

 前田建設は25日、高機能繊維を活用した木造建築用集成材「AFRW」を、建築物の構造材として実用化する世界初のプロジェクトを帝人と共同実施すると発表した。

 AFRWは帝人が15年に開発した炭素繊維などの高機能繊維で補強した集成材。鉄骨並みの強度を持ち、既に日本建築センターによる材料評定、国土交通大臣認定を取得している。実用初弾として帝人東京研究センター(東京都日野市)にオフィスを新設する。10月に着工し、本年度末の竣工を目指す。

 前田建設は、木のぬくもりが作り出す快適性、木材利用の促進による林業や地域社会の活性化、地球温暖化防止への効果などの観点から建築材料としての木材に着目。帝人が開発した木の良さを残しながら鉄骨並みの強さを持ち、軽くて加工もしやすいAFRWの実用化に乗りだすことを決めた。

 AFRWは、従来の集成材の両端部にアラミド繊維・炭素繊維強化複合材を張り合わせて製造する。木材の3倍以上の曲げ剛性(鉄骨並み)を持つ。梁を構築する場合には木材の使用量がこれまでの3分の1程度で済む。従来の集成材に比べ軽く、梁せい(断面積)を小さくできる。ロングスパンでの使用も可能になり、建物の意匠性も向上する。

 初弾プロジェクトは、国土交通省の「17年度サステナブル建築物等先導事業(木造先導型)」として実施。両社は来館者に「今までの枠を超えた強い木」を体験してもらうため、これまでの木造では難しかった居室空間を本体から宙に浮かせて5メートルもせり出すオーバーハングの事務所棟(RC一部木造平屋180平方メートル)を建設する。木のぬくもりや心地よさはそのままに、強度を生かして開放性に富んだ自由度の高い空間を創り出す。折半屋根の鉄骨造で建物を構築する場合に比べ建物過重は2~3割減るという。

 両社は今後、実際の使用状況下での居住性やAFRWの接着安定性、振動時の耐久性の検証を7年にわたって行い、実践的な知見を蓄積するとともに、20年ごろに一般建築物への実用化を目指す。

 政令指定都市を中心に木材使用の建物への容積率のかさ上げを検討する自治体が増えつつある。両社は市場の拡大が見込まれる都市型木造建築物に活用範囲を広げられるよう、研究開発を加速する。

【女優の杏さんら、テープカットで門出祝う】日本橋高島屋SC新館(東京都中央区)が開業

 高島屋は25日、東京都中央区にある日本橋高島屋本館の隣接街区で「日本橋高島屋S.C.新館」を開業した。同日、オープニングセレモニーを開き、木本茂社長ら関係者と女優の杏さんがテープカットで施設の門出を祝った。

 セレモニーの冒頭、杏さんは「新館はさまざまな世代が多様なライフスタイルの中で楽しめ、生活に生かしていけるような、よりよい未来を歩んでいくための施設だと感じた。日本橋は伝統的な街というイメージが強いが、新しい風が吹くことで新たな日本橋の姿を見たり、感じたりできると思うと楽しみだ」と述べた。

 新館は、組合施行の「日本橋二丁目地区第一種市街地再開発事業」の一環で開発した大規模複合施設「日本橋高島屋三井ビルディング」の低層部に位置。東京メトロ銀座線・東西線の日本橋駅に地下で直結している。

 日本橋高島屋は新館の開業によって、既存の本館、ウオッチメゾン(百貨店)、東館を合わせた4館体制の新たな都市型ショッピングセンターとして生まれ変わった。

【虎ノ門一・二丁目地区再開発】環境アセス書の縦覧開始、総延べ25万㎡

東京都港区の虎ノ門一・二丁目地区市街地再開発準備組合(早津功理事長)は、同区で計画している第1種市街地再開発事業の環境影響評価(環境アセス)書をまとめた。

 総延べ床面積25万3700平方メートルの施設群を開発する計画で、解体・新築工事期間は18~22年度を見込む。4街区のうち、最高高さ265メートルの再開発ビルが建つA-1街区の解体・準備工事から着手する。

 計画地は港区虎ノ門1、2(敷地面積1万4750平方メートル)。敷地の北側500メートルに東京メトロ銀座線虎ノ門駅があり、20年には隣接する国道1号(桜田通り)直下に東京メトロ日比谷線虎ノ門新駅も開設される。既存の中高層ビル群を解体し、新駅整備と一体で跡地を再開発する。

 敷地中央のA-1街区にS一部SRC造地下4階地上49階建て延べ23万7000平方メートル(高さ265メートル)の複合ビルを新築する。新たなビジネス拠点となるオフィスフロアや国際水準のホテル、集会場、店舗などを入れる。駐車場の収容台数は447台。

 敷地東側のA-2にS一部SRC造地下3階地上4階建て延べ8800平方メートル(同30メートル)、西側のA-3にはS一部SRC造地下1階地上12階建て延べ7900平方メートル(同70メートル)の施設をそれぞれ設ける。両施設はA-1のビルと歩行者デッキでつながる。敷地北側のA-4には敷地面積750平方メートルの公園・広場に活用する。

 環境アセス書の概略工事工程表によると、18年度末までにA-1の解体・準備工事を開始する。他の街区の解体・準備工事は19年度から。A-1の新築工事では、掘削と並行し地下躯体を地上から地下部に向かって構築する逆打ち工法を用いる。地下躯体の工事中に地上の鉄骨工事などを行えるため、工期短縮につながる。他の街区は地下躯体構築後に地上部工事へ移行するアセス書は10月9日まで都庁などで閲覧できる。作成のための調査は日本工営が担当した。

【JR東が6街区で開発推進】品川駅北地区大規模開発、特区認定の手続き開始

芝浦中央公園から見た再開発の完成イメージ
内閣府の東京圏国家戦略特別区域会議の下部組織「東京都都市再生分科会」は、東京都港区の品川駅北周辺地区で計画する大規模開発事業について、国家戦略特区の区域計画の認定に向けた手続きを開始した。同地区は今後、都や区の都市計画審議会による審議や区域会議での合意を経て、首相による認定を受ける見通しだ。

 21日に開かれた都市再生分科会で同地区の都市計画素案が公表された。JR東日本がJR品川駅北側に位置する品川車両基地跡地などを含む同地区を6街区に分け、開発を進める。

続きはHP

【総事業費140億円、21年9月供用めざす】豊橋新アリーナ整備・運営、契約候補者にXSM

 愛知県豊橋市が豊橋公園内で計画する「新アリーナの建設・運営」事業で、契約候補者に決まったクロススポーツマーケティング(XSM、東京都千代田区、中村考昭代表取締役)の提案内容が明らかになった。

 プロバスケットボールBリーグの三遠フェニックスが本拠地として利用するほか、アイススケートリンクも設け市民スポーツの振興に役立てる。供用開始は21年9月を予定する。

 建設地は、今橋町4にある豊橋公園内の芝生広場。XSMの提案によると、施設規模は延べ約9500平方メートルで、アリーナ面積は2240平方メートル。バスケットボール、アイススケートのほか、スポーツ、コンサート、展示会など多様なイベントに対応できる。観客席は約5000席。スタンドの傾斜を大きく取り、エンターテインメント性を高める最新設備も備え、プロバスケットボール観戦の臨場感を醸し出す。

 総事業費は約140億円。市が用地を30年間無償で貸与する。設計、建設などの初期費用は約50億円。30年分のアリーナ運営費となる約60億円はXSMが負担する。運営については、市も185日分程度の年間利用枠を持ち、割り振り分に応じた使用料(年間約2億円程度)を支払う。三遠フェニックスは年間50日程度の利用枠を確保する予定だ。

 建設に当たっては、プロジェクトの進行をコントロールするCM(コンストラクションマネジメント)方式を採用する。協力会社として参加する山下PMCがCMr(コンストラクションマネジャー)を務める。発注手続きには設計・施工一括方式を採用する予定。市は提案募集は5月に開始し、21日にXSMを契約候補者に決めた。

2018年9月25日火曜日

【回転窓】思い出の絵日記

「娘の夢は建築士です。現場でいきいきと働く女性の皆さんの姿に、将来の自分を重ね合わせることができたのかなと思うと、このような機会は本当にありがたく思います。お忙しい中、準備や当日のご対応に感謝致します」▼日本建設業連合会(日建連)が行った「けんせつ小町活躍現場見学会」に参加した保護者から、お礼のメッセージが届いたそうだ。今夏で4年目。女子小中学生と保護者を対象に全国17カ所の現場で開いた。台風などで中止になった現場が2カ所あったものの、どこも盛況だったと聞く▼けんせつ小町の愛称で呼んでいる女性職員が準備や対応に励んだ。手作りのイラスト入りスケジュール表を配布したり、工事内容の説明係を所長が買って出たりと楽しんでもらえる工夫を凝らした▼見学会は「夢を持って働ける職場だと子供たちに感じてもらう」(新井英雄日建連けんせつ小町委員長)のが狙いの一つ。現場の熱意と善意は子供たちだけでなく、保護者にも届いたであろう▼日建連の広報誌『ACe建設業界』の10月号には、子供たちが描いた絵日記が掲載される。思い出のお披露目を楽しみに待ちたい。

【日本橋に新しい拠点】日本橋高島屋SC新館、きょう開業

 高島屋は東京都中央区にある日本橋高島屋本館の隣接街区で「日本橋高島屋S.C.新館」を25日に開業した。

 新館には日本橋を生活拠点とする多様な人々のニーズに応えるため、食料品やファッション、雑貨、レストランなど115店舗が入る。

 日本橋高島屋は既存の本館、ウオッチメゾン(百貨店)、東館に新館を合わせた4館体制の新たな都市型ショッピングセンターに生まれ変わる。同社は21日、開業に先駆け報道陣向けの説明会と内覧会を開いた。

 冒頭、木本茂社長は「日本橋高島屋S.C.の誕生を契機に、私たちは街のアンカーとして地域と共生していく所存だ」とあいさつした。

 新館は、組合施行の「日本橋二丁目地区第一種市街地再開発事業」の一環で開発した大規模複合施設「日本橋高島屋三井ビルディング」の低層部に位置。東京メトロ銀座線・東西線の日本橋駅に地下で直結している。

 百貨店の多くが全館で一律の営業時間を設定しているのに対し、高島屋新館は近隣のオフィスワーカーが出勤前に立ち寄れる早朝開店の食料品店やヨガスタジオ、仕事後に立ち寄れるよう閉店時刻が遅いスーパーなどを用意する。店舗の種類だけでなく営業時間に変化を付けることで、多様なニーズに対応していく。

【街並みの景観保護へ】京都市、新築京町家の基準検討

京都市は、「新築等京町家の基準検討業務」の受託候補者を公募型プロポーザルで選定する。提案書は10月3日午後5時まで持参または郵送で都市計画局まち再生・創造推進室で受け付ける。

 京都らしい街並み景観の保全と生活文化の継承・発展に向け、京町家の知恵を継承し、既存京町家と共存できる住まいの建築を促進するため、景観・生活文化を継承する視点から京町家と認められる新築等住宅の在り方や誘導策を検討する。

 具体的には、▽有識者等による会議の運営補助▽検討に必要な調査、分析および整理(住宅市場の動向、事業の実現性、事例収集など)▽京町家と認められる新築等住宅の基準素案作成を行う。履行期限は19年3月29日。上限委託費用は187万円(税込み)。

 参加資格は、市の指名競争入札有資格者名簿に登録されている者で、1級建築士、2級建築士、木造建築士のいずれかを技術者に配置することが主な要件。プロポーザルでは、業務についての視点や考え方、業務の進め方、各種検討方法などの提案を求める。

 管理技術者・主任技術者の類似業務実績や実施体制(本店等所在地、担当技術者数、技術者の手持ち業務)、提案内容の的確性(業務理解度、資料作成能力、情報収集・調査・分析能力)、受託希望金額を100点満点で評価する。

2018年9月21日金曜日

【回転窓】人を丁寧に育てる社会

落語の世界は師匠に入門した後、前座、二つ目を経て、一人前と認められる真打(しんうち)となる。真打までの期間は15年前後だろうか▼晴れの舞台となる真打への昇進時期は毎年春と秋。今秋も新たな真打が顔見せ披露として都内の寄席を10日ずつの興行で回っていく。昇進披露の舞台に並ぶ師匠連も観客を前に短い言葉を述べる。少し前のことになるが、印象に残った古今亭志ん橋師匠の口上を紹介する▼「われわれの世界は真打までに十数年の年月がかかります。何でも促成の世の中に1人の人間を丁寧に育て、育っていくという社会はそんなにはないと思います。あたしどもはそういう世界に誇りを持っております」▼戦後の落語界は噺(はなし)家の出征によって、人材が不足したそう。わずか数十人から師匠連が根気よく育て上げた落語家は今、東京だけで500人を超え、落語人気も高まっている▼バブルで市場が縮小し、職人が去った建設界の現状はどうなのか。志ん橋師匠の言葉を借りれば「そんなにはない人間を丁寧に育てる社会」の一つが建設業であってほしいと思う。人の育成を怠れば将来に禍根を残す。

【首都高、日本橋地下化へ関連業務発注】都心環状線・神田橋~呉服橋間の施工法検討


 首都高速道路会社は20日、「都心環状線(竹橋・江戸橋JCT付近)の更新における神田橋から呉服橋間の構造及び施工法検討」業務の委託先を決めるため、公募型プロポーザルの手続きを開始した。都心環状線の日本橋区間の地下化に向けた関連業務で、業務規模は6110万円。

 参加表明書を10月5日まで、技術提案書と見積書を同24日まで受け付ける。契約手続きは本社財務部契約課が担当する。参加資格は橋梁設計の認定を受け、所定の業務実績を持つことなど。

 都心環状線の竹橋~江戸橋ジャンクション(JCT)付近の更新区間のうち、神田橋から呉服橋間を対象に、高架橋の仮受け橋脚などの構造検討や概算設計、施工法などの検討を行う。履行期間は300日間。

 既設橋脚(7柱)の仮受け構造の概算設計と耐震照査では、仮受け構造6柱のうち4柱を地下躯体構造と一体化する考え。地下躯体関連では矩形トンネル(本線内外回り一体構造約400メートル、八重洲分岐線内回り約90メートル、八重洲線外回り約180メートル)の概略設計(13断面の検討想定)を進める。

 同トンネルの躯体構築では既設八重洲線を活用した施工法を検討する。一般部は開削工法を、常盤橋門史跡範囲(延長約100メートル)では非開削工法(パイプルーフ工法)をそれぞれ想定している。

【完成予定は19年夏】愛知県国際展示場、愛称は「Aichi Sky Expo」

愛知県は、19年8月完成を目指し常滑市セントレアに建設中の愛知県国際展示場について、愛称を「Aichi Sky Expo」に決め、併せてロゴマークを発表した。5、6月に一般公募を行い、応募があった2581点の中から選定した。

 ロゴマークは、愛称を基に県内在住のデザイナー小川明生氏に依頼。愛称の頭文字A・S・Eと建物外観や空港島の海、空、風をイメージした。今後、パンフレットなどの広報活動で活用する。

 同展示場は、S造一部2階建て延べ約8万6000平方メートル。A~F展示ホール、会議室などを備える。設計・施工は竹中工務店が担当している。完成後の運営はコンセッション方式で実施、GLevents(仏)と前田建設工業で構成する特別目的会社「愛知国際会議展示場」が担当する。

【金子貫介氏らの「7つの塔がつむぐ都市の風景」】大井町駅前公共空間設計コンペ、実施設計候補者決まる

 東京・品川区は、「大井町駅前パブリックスペース設計コンペティション」の公開(2次)審査を15日に明治大学アカデミーホール(東京都千代田区)で行った。

 1次審査を通過した5作品の提案者がそれぞれプレゼンテーションし、審査員からのヒアリングを受けた。実施設計候補者は、七つの塔で構成する公衆トイレをデザインした金子貫介氏(あかるい建築計画)、斎藤信吾氏(同)、根本友樹氏(無所属)が選ばれた。

 コンペは日本建築家協会(JIA、六鹿正治会長)が協力し、「JIA建築家大会2018東京」(9月13~15日)のプログラムの一環で公開審査を実施した。審査員は建築家の千葉学(委員長)、武井誠、原田麻魚の3氏のほか、品川区の中村敏明都市環境部長、藤田修一防災まちづくり部長が務めた。

 コンペには377者が参加し、うち227者が提案書を提出。次点には膜屋根とれんが造りの建物が印象的な「都市の円弧」という作品をデザインした虎尾亮太氏(一級建築士事務所虎尾+謝建築設計)が選ばれた。

 実施設計候補者に輝いた金子氏らの作品「7つの塔がつむぐ都市の風景」について千葉委員長は「今まで汚いなどネガティブなイメージしかなかった公衆トイレが、金子氏らの作品のようなアーティスティックなデザインになれば、相当画期的だ」と評価。審査員のうち品川区職員の票が入らなかったことに触れ、「その事実を真摯(しんし)に受け止め、さまざまな課題を克服し、みんなに愛されるトイレの見本になってほしい」とエールを送った。

 今回のコンペでは、JIAが募集要項の作成から審査を支援。今後も設計、監理、レビューの各段階で協力していく。コンペ後、六鹿会長は「JIAとしても並走しながら、これからもしっかりやらせていただきたい」と締めくくった。

 JIAは現在の公共建築の設計に、既に実績がある人材・企業しか参加できない実情を指摘。今回のコンペへの協力は、次代の建築家に公共建築への入り口という希望、JIAは発注者支援を行える職能集団として存在感を示すことなどを目的としている。

2018年9月20日木曜日

【回転窓】災害常襲国のトップの責務

2026年冬季五輪・パラリンピックの招致活動を展開してきた札幌市が、照準を30年大会に変更した▼北海道胆振東部地震で被災した地域の復旧・復興に最優先で取り組むための判断。国際オリンピック委員会も理解を示し、関係者間で30年大会の招致について対話を続けるという▼今回の震災被害で新たな課題として浮上したのが電力問題。道内のほぼ全域が停電(ブラックアウト)し、想定外の事態が混乱に拍車を掛けた。今後の五輪招致も見据え、まずは地域経済や人々の暮らしを支える安心・安全な社会基盤づくりに向け、電力供給のバックアップ体制の見直しが急務となる▼昨今は地震や豪雨など自然災害の常襲国として、国内外の認識が深まった感がある。台風21号で甚大な被害を受けた関西国際空港はいまだ復旧の途上にあり、被災前の姿に戻るにはまだ時間を要する。関西圏を中心に影響は多方面に拡大し、特にインバウンド(訪日外国人旅行者)など観光産業への打撃は深刻なようだ▼20日は自民党総裁選の投開票日。わが国の首相となる新党首には、直面するさまざまなリスクに迅速に対応してもらいたい。

【大和シルフィードが2部昇格】サッカーなでしこリーグ、共同カイテックの選手が活躍

 電力幹線システムなどの設計・製造・販売を手掛ける共同カイテック(東京都渋谷区、吉田建社長)の菅百花さんと間明理沙子さんが所属する女子サッカーチーム「大和シルフィード」が、なでしこリーグ2部昇格を懸けて順位決定戦(プレーオフ)に挑んだ。

 15日に神奈川県大和市の大和なでしこスタジアムでアンジュヴィオレ広島と対戦。ディフェンダーとして出場した菅選手がアシストを決める活躍もあって2対1で接戦をものにし、プレーオフ1位に輝き2部昇格を決めた。

 試合後、菅選手は「2部に昇格しても順位を上げられるように努力していく」、間明選手は「大事な試合をけがで欠場したが、プレーで貢献できるように頑張りたい」と語った。試合を観戦した大木哲大和市長は「大和市民に素晴らしい試合を見せてもらった。もっと大きな舞台で戦う日を楽しみにしている」と話した。
菅選手㊨と間明選手
大和シルフィードは1988年に中学生チームとして発足した。これまで多くの日本代表選手やなでしこリーガーを輩出。スポーツを通して地域を元気にすることを目標に活動している。

【多機能スタジアムの導入など視野】埼玉県、大宮公園再整備へグランドデザイン案


 ◇Park-PFI事業も視野◇

 埼玉県は、大宮公園(さいたま市大宮区)の再整備に向けたグランドデザイン(案)をまとめた。

 多機能スタジアムの導入や、文化・アートの発信拠点となる教養施設の整備などを盛り込んだ。宿泊・飲食機能などの充実も課題に挙げており、Park-PFI事業による便益施設の整備も明記した。

 大宮公園の所在地は大宮区高鼻町。近接して大宮第二公園(大宮区寿能町)と大宮第三公園(大宮区堀の内町)がある。敷地面積は大宮公園約34・6ヘクタール、第二公園約23・4ヘクタール、第三公園約9・8ヘクタール。

 再整備は三つの公園と周辺地域が対象だがまちづくりの観点から、さいたま新都心や大宮駅なども含め、広い範囲で検討を進めている。周辺には地域のシンボルとなっている氷川神社や見沼田んぼがあり、これらを継承しつつ公園の魅力アップを図るとしている。

 具体的には、氷川神社の風格と調和したデザインによる公園施設整備や、同神社の森と一体となった景観づくりに取り組むことを施策に盛り込んだ。見沼田んぼまで含めた生態系ネットワークの充実や、親水空間の再生にも取り組む。広域避難場所としての機能強化を図るため、屋根付き広場や大型休憩舎の整備なども進める。

 アーティスト・デザイナーとの連携による質の高い空間づくりなどにより、トリエンナーレなど文化・アートのイベント誘致も図るとした。公園を核としたエリアマネジメントも推進していく。

 県は13日に開いた有識者検討委員会に案を提示した。一般からの意見募集を経て、来年1月の会合で最終取りまとめを行う予定だ。

2018年9月19日水曜日

【回転窓】災害時に怖いバイアス

気象キャスターの吉村真希さん(気象予報士・防災士)が、全国建設研修センター発行の『国づくりと研修』(2018年9月号)に〈正常性バイアス〉の怖さを書いている▼防災心理学の用語で「物事を正常の範囲内だと認識しストレスを回避する自然な脳の働き」の意味。つまり「自分だけは大丈夫」と認識してしまうことで、これが災害時に避難行動を遅らせる要因にもなるのだという▼過去に同じような経験があればバイアス(偏見)を持たず、これから起こり得る事態も想像できる。ところが各地で近年起きている豪雨災害は、これまでに経験したことのない雨の降り方が原因で発生した洪水や土砂崩壊も少なくなく、住民がバイアスにとらわれる可能性は高い▼先日の総務省の発表によると、65歳以上の高齢者が総人口に占める割合は28・1%と過去最高を更新した。従来の常識で計れない災害が頻発する中、高齢者も過去の経験に頼れない時代を迎えたと言えよう▼バイアスを取り除き、最善の行動を起こすのに重要なのは日ごろの準備と訓練、そしていち早く正確な情報を入手すること。吉村さんはそう指摘する。

【架け直し工事、IHIインフラシステムが引き続き施工】関空連絡橋、来春の完全復旧めざす

損傷した橋桁の撤去作業
(9月14日付国交省報道発表資料より)
国土交通省と西日本高速道路会社は18日、台風21号で被災した関西国際空港連絡橋(大阪府泉佐野市)の完全復旧を、19年4月下旬の大型連休前までに目指す方針を発表した。西日本高速会社が損傷した橋桁の大部分を新しく製作して架け直す。同社によると、桁の製作・架設工事は撤去工事に続きIHIインフラシステムが担当。このうち製作工事は下請として高田機工も担当する予定だ。

 台風21号の影響でタンカーが衝突した連絡橋の空港島付近は、上部の左右に高速道路上下線、下部の中央を鉄道が通る2層構造となっている。タンカーが直接衝突した高速道路下り線の橋桁2本(対象延長計約190メートル)は、鉄道方向に最大4メートル程度ずれるなど大きく損傷した。
タンカーが衝突し損傷した橋桁
(9月18日付国交省報道発表資料より)
損傷した高速道路下り線の橋桁2本は、計14(各7)のブロックで構成。今後の復旧工事では、損傷がほとんどなかった空港側にある4ブロックを再利用し、残る損傷が大きかった対岸側の10ブロックは新しい桁を製作して架け直す。工事の詳細スケジュールは未定。

 当初21日に予定していた連絡橋鉄道部の運行再開は、復旧工事が順調に進んだ影響で18日に前倒しした。

【防災・減災対策の関連予算増】ヒューマンタッチ総研、建設市場の将来動向予測

人材紹介業を手掛けるヒューマンタッチ(東京都新宿区、高本和幸社長)が運営するヒューマンタッチ総研が、国土交通省の19年度予算概算要求から見た建設業の将来見通しをまとめた。

 それによると、公共事業関係費の要求額は6兆1736億円(前年度当初予算比119%)。直近4年間は前年度当初予算比116%程度で推移していたが、例年以上の増額要求となった。

 国交省が8月末に発表した19年度予算概算要求について主な予算項目を見ると、▽「水防災意識社会」の再構築に向けた水害対策の推進に5273億円(前年度当初予算比133%)▽地域における総合的な防災・減災対策、老朽化対策等に対する集中的支援に1兆3431億円(121%)▽将来を見据えたインフラ老朽化対策の推進に5440億円(121%)を要求。防・減災やインフラ老朽化対策などを中心に18年度当初予算を大きく上回る金額が計上されている。

 東日本大震災や熊本地震、西日本を中心に発生した豪雨など、自然災害が多発する中で、防・減災対策は重要な課題となるため、要求額は大幅に増加したと分析している。

 国交省の試算によると、2013年度のインフラなどの維持管理・更新費用は約3・6兆円、10年後の2023年度は4・3兆~5・1兆円、20年後の2033年度は4・6兆~5・5兆円程度になると推計。同総研はインフラの老朽化対策についても予算額は上昇傾向が続くと見ている。

 このほか、▽建設業の働き方改革の推進に1億2700万円(153%)▽誰もが安心して働き続けられる建設業の環境整備に1億円(175%)▽ICT(情報通信技術)の全面的活用により建設現場の生産性向上を図るi-Constructionの推進に23億円(139%)を計上した。

 建設業の人材確保・育成に向けては、厚生労働省も▽建設事業主等に対する助成金による支援に58億4000万円(110%)を要求した。両省が連携した政策的支援が今後も維持される見込みという。

 同総研の所長を務める高本社長は「近年の地震や集中豪雨などの発生を受け、防・減災に対する継続的な対策は必須であると考えられる。こうした自然災害や老朽化する社会インフラへの対策を中心に、今後も予算額は伸び続ける」と見ている。

【池袋が4位、人気上昇中!!】首都圏住みたい街・駅ランキング、吉祥寺が14回連続1位に

長谷工アーベスト(東京都港区、大岡修平社長)は18日、「住みたい街(駅)ランキング」の調査結果を公表した。

 首都圏居住のモニターを対象に、ウェブアンケート形式で調査を実施。首都圏総合ランキング1位には「吉祥寺」が選ばれ、2004年に調査を開始してから14回連続で首位を守っている。

 吉祥寺に続く2位は「横浜」、3位には「恵比寿」が選ばれた。トップ10のうち昨年に比べて大きくランクアップした「池袋」は昨年の10位から4位に、「二子玉川」は17位から7位に上昇した。

 トップ10以外で大幅にランクアップしたのは「赤羽」で、昨年19位から11位に上昇した。このほかランクアップした街の傾向を見ると、複数路線が利用可能なことや都心直通、快速急行停車駅、始発駅などの「交通アクセス」や、再開発の進行や商業施設の開業など「街(駅)の変化」が高く評価されている。

 上昇した理由について回答者からは「都心に出やすい」「駅前で何でもそろう」「開発が進んで新しい街になっている」という声が上がった。加えて、最近は「都心に近い割に物価が安い」といった声も聞かれ、「生活のしやすさ(コストバランスの良さ)」が街選びの要素として重要性が増しているという。

 都県別ランキングを見ると、東京23区は「恵比寿」(昨年2位)、東京市部は「吉祥寺」(1位)、神奈川は「横浜」(2位)、埼玉は「浦和」(2位)、千葉は「津田沼」(1位)が、それぞれ1位に選ばれた。

【みんなで一緒に学校をきれいに】大阪府建団連、東大阪市の小学校でリフォーム体験開く

 大阪府建団連(北浦年一会長)は16日、大阪府東大阪市の市立柏田小学校で、ボランティアリフォーム施工体験学習を行った。

 建設業振興基金から受託した「建設産業担い手確保・育成コンソーシアム地域連携ネットワーク構築支援事業」における取り組みの一環。今回は府立布施工科高校と大阪市立都島工科高校の計31人と柏田小の6年生27人が靴箱と傘立ての塗装作業を体験した。

 このボランティアリフォーム施工体験学習は、リフォームを希望する小学校・幼稚園で、事前に講習を受けた高校生が、児童・園児らに教える形で実際の作業を行うことで、より効果的な技能習得を図るとともに、施工体験を通じて、子どもたちに建設業に親しみを感じてもらうのが目的。参加する高校生は前日の15日に枚方市の府立北大阪高等職業技術専門校で学科・技能等の講習を行った。

 当日は、高校側から布施工科高校の1~2年生17人、都島工業高校の2~3年生14人とその指導教諭ら、小学校側から6年の児童27人と野々村礼二校長らが参加。建団連側からは邑智保則副理事長をはじめ、指導・作業を担当する大阪府塗装工業協同組合の川原貞儀理事長らが参加した。建設業振興基金の土井直樹経営基盤支援センター地域連携ネットワーク支援担当部長が視察に訪れた。

 開講式では、最初に邑智理事長が「今日は靴箱と傘立てにペンキを塗ってもらう。ゆっくりで良いので、きれいに塗ることを心掛けてほしい。ものづくりの楽しさと完成の喜びを感じてほしい」とあいさつした。土井部長の祝辞に続いてあいさつした野々村校長は「6年生は高校生の皆さんと一緒になって良いものを作ってほしい。来週、下級生に自慢できるよう頑張ってほしい」と激励した。

 この後、生徒・児童らはリフォーム内容などについて説明を受けた後、衣服が汚れないようにするための養生服を身に付け、靴箱と傘立ての塗り直し作業に挑戦。高校生や職人の指導を熱心に聞き入る姿が見られた。頭髪に塗料を付けながらも一心不乱に色を塗る姿や、不慣れな手つきながらも丁寧にはけ・ローラーを動かす姿が見られるなど、夢中になって作業に没頭していた。

【こちら人事部】青木あすなろ建設/教える人の指導に注力

 青木あすなろ建設は2004年4月に、あすなろ建設(旧小松建設工業)と青木建設が合併し誕生した。小松建設工業の前身の扶桑土木設立から25日で68周年を迎える。高松コンストラクショングループの中核会社として、幅広く事業活動を展開している。

 採用に当たっては、▽分からないことは何でも質問し、何度でも分かるまで聞き直す人材▽失敗を恐れず、積極果敢に変化革新に挑戦する人材▽旧来の慣習に縛られず新たな発想で新しい建設産業を作り上げていく原動力となるような人材-の三つの観点を重視する。

 荒木常利管理本部人事部長は「当社の社員は900人弱。一人一人の顔が見え、互いに知り合える。いろいろな部署を経験し、ゼネラリストを目指してほしい」と力を込める。

 会社の成長とともに、14年4月入社の新卒採用からそれまでの2・5倍超の45人に採用枠を拡大。建設現場を見てもらう「1Dayインターンシップ」の回数を増やすなど、学生とじかに接する機会を増やしている。

 会社説明会には土木、建築、事務と全方位の社員が同席し、学生からの質問に細やかに対応できるようにしている。「説明会の雰囲気が志望する決め手になった」と入社後明かす新入社員も少なくない。

 昨秋にはスマートフォンで見られる採用活動用の動画を作成した。若手社員が登場し、営業から建物が完成するまでを追ったストーリーで、入社後の姿をイメージしやすいと評判も上々だ。

 高松コンストラクショングループ各社で採用情報を共有。新入社員研修やその他の層の研修も共同で実施している。特に新入社員研修のグループワークが好評だ。1チーム5人に分かれ課題に挑戦する。「協力して課題に取り組むことで、連帯感が生まれる。その後も仲が続いている」と荒木部長は成果を説明する。

 入社後の手厚いフォローにも定評がある。1~2年生には精神的なサポートをするメンターを付ける。新入社員全員を対象に、入社半年後に荒木部長が面談も行う。「一律に意見が聞ける。工事部長が同じようにマンツーマンの面談をするなど、波及効果も生まれている」。

 ◇新入社員は4カ月残業禁止◇

 同社が直面する課題は、30代が比較的少なく、40代半ば以降と20代が多いという人員構成だ。5年前に入った社員が去年入った社員を指導したり、25年生が5年生を教えたりする。より適切な指導ができるよう、指導の仕方を教える研修に力を入れている。

 新入社員には「4カ月残業禁止令」を出している。「新入社員を早く帰すため、上司も努力する。プライベートの時間を充実してほしい」(荒木部長)という。女性採用が年々増えているが、技術系の女性は一番上で入社5年生。ロールモデルとなる女性技術職の中途採用にも積極的だ。

 荒木部長は「面接で学生から『入社までに何か勉強した方がいいですか』と聞かれるが、勉強することは何もない。悔いのない学生生活を送ってほしい」とアドバイスを送る。

 《新卒採用概要》

 【新卒採用者数】男性44人、女性8人(18年度実績)
 
 【平均勤続年数】男性19・8年、女性12・7年(18年3月末時点)

 【平均年齢】  45・8歳(18年3月末時点)

2018年9月18日火曜日

【回転窓】シームレスなナビゲーションを

 公共交通機関や車、徒歩などで移動するルートを検索するアプリケーションが日常のツールとなって久しい。目的地までの最適なルートや移動にかかる予想時間をはじめ、道路の渋滞情報や施設の混雑状況などが分かる便利なサービスも充実している▼屋外では衛星利用測位システム(GPS)による位置情報を活用してサービスが提供されているが、GPSの信号が届かない屋内や地下では利用しにくい。サービスに不可欠な内部の地図もビルごとに作成・管理している場合が多く、統一したデータが不足している▼国土交通省は屋内外を問わずシームレスに目的地へ移動できる社会の実現を目指す「高精度測位社会プロジェクト」を展開。昨年11月に新宿駅周辺、今年8月から東京駅周辺の屋内電子地図を公開した▼東京駅周辺のデジタル地図は駅を中心に東西約1キロ、南北約2キロの範囲が対象。鉄道施設や民間ビル、通路、トイレなどが一つの地図に表示される▼世界の関心が集まる東京五輪開催まで2年余り。高精度な空間情報インフラを活用したさまざまなナビゲーションサービスが生まれ、活用されることを期待したい。

【建設、運輸がけん引役に】国内企業業績、売上高はリーマンショック前の水準に戻らず

企業の売上高はリーマンショック前の水準に戻らず-。

 東京商工リサーチが2008年のリーマンショック後10年間の国内企業業績について調査したところ、07年度を100・0とする全企業の売上高合計は、17年度は98・8にとどまり、リーマンショック前の水準に戻っていないことが分かった。

 利益合計は162・0に伸び、売上高と好対照となった。同社は震災復興や2020年東京五輪に向け好調な建設業や物流が盛り返した運輸業がけん引しているとみている。

 同社が保有する国内最大級の企業データベース(約480万社)を活用し、リーマンショック前の07年度(07年4月期~08年3月期)から直近の17年度(17年4月期~18年3月期)までの11期連続で単体業績の比較が可能な26万5763社を抽出、分析した。

 全企業の売上高合計は09年度に84・7まで下落し、その後は一度も100・0を回復していない。一方、利益合計は08年度に18・1と極端に落ち込んだが、13年度に100・0を回復し、17年度には162・0まで回復した。

 非上場企業の売上高を産業別にみると、17年度時点で100・0を回復したのは、建設業、卸売業、不動産業、運輸業、情報通信業、サービス業他の6産業。17年度に最もポイントが高かったのは運輸業で、14年度に100・0を回復し、17年度は110・2を確保した。建設業は17年度、108・7となり全産業で第2位となった。

 上場している不動産業の売上高は17年度に122・5まで上昇したが、非上場は103・1にとどまっている。上場企業は14年度、非上場企業は2年遅れの16年度以降、それぞれ100・0を上回り、不動産市況の過熱感がうかがえるとしている。

 非上場企業の利益合計で、17年度に最もポイントが高かったのは建設業で423・4。公共投資の増加に加え、震災復興や東京五輪の特需が寄与。民需もマンション、オフィスビルなどの活況を背景に大幅に改善したと分析している。

 上場建設企業の17年度の利益合計は678・4となり、この10年で大幅に伸びた。建設業の上場と非上場の格差は、14年度59・3、15年度176・9、17年度255・0と、年を追うごとに広がっている。製造業は17年度まで一度も、上場・非上場ともに100・0に届かなかった。製造拠点の海外シフトが進み、国内の空洞化が進んでいる可能性があるとみている。

 同社はリーマンショック後の日本経済は回復過程にあるが、建設業など一部の業種に支えられている側面が強いと指摘。ものづくりの根幹を担う中小製造業の付加価値力の向上が急がれるとしている。

【交通ネットワークの拠点形成】関東整備局、品川駅西口駅前広場再整備の事業計画中間案公表

関東地方整備局が品川駅(東京都港区)の西口駅前広場などの整備に向けた事業計画の中間取りまとめを公表した。国道15号の上部空間を活用して、最先端モビリティーなどの乗降ができる次世代型交通ターミナルを整備する。周辺の民間開発と連携を図り、バスターミナルなども設ける。今後、産学官による検討会を立ち上げて議論し、本年度内に事業計画を策定する。

 同局は昨年9月に事業協力者として、京浜急行電鉄と西武プロパティーズ、JR東日本の3者を選定し、事業計画の検討を進めてきた。中間取りまとめで示されたイメージによると、次世代交通ターミナルは、2階デッキレベルの上に複数階の施設として整備する。

 自動運転などの最先端の車両や技術、システムが体感できる交通拠点とする。JR東日本が品川~田町駅間に建設中の「(仮称)品川新駅」などを含めた周辺地域に、次世代モビリティーで行き来できるようなネットワークを形成していく。にぎわい広場や3~4層程度の商業施設、シンボリックなセンターコアなども配置する。

 品川駅と国道15号を挟んで隣接している高輪3丁目地区と4丁目地区では、民間による開発計画が予定されており、連携を図っていく。4丁目開発には、交通機能と防災機能が融合した複合ターミナルを盛り込むことをイメージとして示している。タクシーや高速バス、次世代モビリティーなどの交通結節機能や災害時の緊急輸送拠点機能・情報拠点機能を設ける方向だ。3丁目新規開発ビルには、利便性の高いバス乗降場を整備するとしている。

 北品川方面への玄関口となるようなたまり空間の整備や、新駅方面への人・モビリティーの往来を可能とするような十分な通行空間の確保も中間まとめに盛り込んでいる。

 品川駅はリニア中央新幹線の開業が計画され、羽田空港とのアクセス性にも優れている。一方で駅と街の連絡性が低く、駅前広場などの空間不足なども課題となっている。

【記者手帖】復旧へ尽力する姿きっかけに

9月というのに庭のアジサイが2輪咲いている。秋に咲く品種もあるというが、初めてのこと。いわゆる狂い咲き。一方で大きな柿の木には実が見当たらない。東日本大震災の年はひとつも実らず驚いたが、今年も同様か。草木も何かに感付いているのだろう◆先日、内閣府と文部科学省、経団連が共催する理工系の女子学生向けイベントを取材した。来年技術者として入職予定の女子大生は「地元の活性化に役立ちたい」と建設業を選んだそう。女性技術者の活躍や、建設業に将来像を描く学生に力をもらった◆東日本大震災で、がれきの撤去から復旧、復興へと「当たり前の日常の大切さ」を取り戻すために尽力し続けた建設業者の姿を見て、「自分も地域のために」という声もあった◆今夏は大阪府北部地震、2018年7月豪雨、台風21号、北海道胆振東部地震と大規模な災害に襲われた。この瞬間も地域の復旧に身を粉にして働く人がいる。その姿を子どもたちはきっと目にしているはずだ。いつか今夏をきっかけに建設業を選んだという若者に出会うことになるのだろうか。(ら)

2018年9月14日金曜日

【お悔やみ申し上げます】都内で故浅沼健一氏のお別れの会

 淺沼組の前社長で全国建設業協会(全建)や大阪建設業協会(大建協)の会長などを務め、6月23日に67歳で死去した浅沼健一氏のお別れの会が13日、東京都千代田区のパレスホテル東京で開かれた。建設業界の関係者ら約1300人が参列。祭壇に献花して故人との別れを惜しんだ。

 浅沼氏は奈良県出身。1973年に成蹊大経済学部を卒業し、淺沼組入社。85年取締役、89年常務、91年代表取締役常務社長室長、92年代表取締役専務社長室長を経て、95年6月から社長を務めていた。

 社業だけでなく建設業界の発展にも尽力した。2008年全建会長に就任し、地方建設業の実情を踏まえた活動を精力的に展開。11年には会員企業も被災した東日本大震災が発生、建設業界全体の協力体制を整え、被災地の応急活動やインフラ整備に力を注いだ。

 会場には「現場第一主義」を率先し、常に社員と共に歩んできた浅沼氏の生前の写真のほか、クラシック音楽好きで愛用していたギターなどが飾られ、参列者は浅沼氏との思い出を振り返っていた。

 同社の浅沼誠社長は、参列者に向けたあいさつで「気さくな人柄で社内外から親しまれ、社業はもちろん建設業界全体の将来を考え尽力していたところだった。このたびの訃報は深い悲しみを禁じ得ないが、役職員一同故人の遺志を受け継ぎ社業発展にまい進していく所存だ」とつづった。お別れの会は8月29日に大阪市でも開かれた。

【回転窓】わたしたちと一緒に働きませんか

新しくなった社屋で私たちと一緒に働きませんか-。ある地方の建設会社が念願の新社屋完成を記念して製作した動画をYouTubeにアップし、最後にこんな言葉で結んでいる▼動画は古くなったプレハブの旧社屋を解体し、新しい社屋が完成するまでの過程を3分間に編集している。解体前の旧社屋で社員が手を振りながら見送り、新社屋を出迎える様子は小型無人機(ドローン)を用いて撮影されている▼社屋は会社の歴史とともにある。業績が良いときも悪いときも会社を常に見守っている。企業規模の大小に関係なく、オフィスを見れば会社や経営者の姿が見えてくるともいわれる▼「ようやく念願だった新社屋を建設することができました」。そう話す社長は、人としての豊かさを社員と共に享受したいと考えている。そうした願いが新しくなった建物のデザインにも現れているように感じた▼地方の建設会社は人材の確保に苦慮している。県内の高校全てに求人票を出しても、「この春の採用はゼロだった」と残念がる声も聞こえてくる。若者を迎える社屋の在り方も、採用活動では大きな要素になるのだろう。

【生活再建支援や復興に全力】石井国交相、北海道胆振東部地震の被災地視察

 石井啓一国土交通相は13日、6日未明に発生した北海道胆振東部地震の被災地を視察した。

 午前に新千歳空港で空港施設の状況を確認した後、液状化現象で道路の陥没被害などがあった札幌市清田区の住宅街を視察。続いて最大震度7を観測した厚真町へ向かった。

 厚真町では富里地区の土砂災害を視察したほか、厚真町役場で窪田毅北海道副知事、宮坂尚市朗厚真町長、及川秀一郎安平町長、渋谷昌彦むかわ町副町長と意見交換した。全国から集まった緊急災害対策派遣隊(テックフォース)の隊員も激励した。視察後、石井国交相は「国土交通省として一日も早い被災者の生活再建支援や被災地の復興に全力で取り組む」と述べた。

 □政府、激甚災害指定へ□

 政府は13日、6日未明に発生した北海道胆振東部地震を「激甚災害」に指定するとの見通しを明らかにした。被災自治体が行う農道や林道などの災害復旧事業費に対して、国庫補助率を従来の82%程度から95%程度へと引き上げる。

 特に最大震度7という強い揺れに見舞われ被害が拡大した北海道南部の厚真町をはじめ、安平、むかわの両町については、道路など公共土木施設の災害復旧事業費も手厚く支援する考え。

 早期の復旧・復興に向け、国庫補助率を従来の70%程度から84%程度に引き上げ、早期復旧を後押しする方針だ。

【駅構内にエレベーター5基新設】JR東、東京駅のバリアフリー化推進

 JR東日本は東京駅のバリアフリー対応を強化する一環として、新たにエレベーター5基を増設する。

 2020年東京五輪・パラリンピックの開催に向け、大型スーツケースなどを持つ旅客の増加が見込まれることから、エレベーターの設置箇所を増やすことで縦の動線機能を拡充し、駅構内の移動の円滑化を図る。20年夏まで順次運用を開始する。

 エレベーターの増設箇所は、丸の内中央部の地下1階と地上1階のコンコースを結ぶエレベーター(11人乗り)を設置。横須賀線・総武線(快速)などへの乗り換え利便性が高まる。

 中央通路と北通路の間には3基(各24人乗り)を増設する。地下1階とホーム階を結ぶエレベーターは現在、東海道線(9、10番線)ホームにだけに設置されている。今回の工事によって山手線、京浜東北線、上野東京ラインのホームにも設置する計画だ。

 新幹線北乗り換え口前にはエレベーター(15人乗り)1基を増設。乗り換え口と在来線コンコース付近には段差があり、スロープなどで対処してきたが、今回増設のエレベーターによって地下1階と地上1階から北乗り換え口に円滑に移動できるようになる。

【新たなランドマークが誕生】渋谷ストリーム(東京都渋谷区)が開業

 東京急行電鉄が東京・渋谷に開発した渋谷駅直結の複合施設「渋谷ストリーム」が13日に開業した。

 東横線渋谷~代官山駅間の地下化によって創出した用地を活用。30店舗入居する商業施設や170室のホテル、約700人収容のホールなどを備える。同日現地でオープニングセレモニーが開かれ、同社の高橋和夫社長や長谷部健渋谷区長らが出席。テープカットで施設の門出を祝った。

 冒頭あいさつした長谷部区長は「渋谷駅周辺のエリアが大きく生まれ変わる時期が来ている。ベンチャー企業が集まる『ビットバレー』としての新たな拠点として、渋谷を盛り上げてほしい」と述べた。高橋社長は「地域の人と訪れた人両方にとって実りあるものになるよう、ストリームをはじめ渋谷の街づくりに努めていく」と語った。

 渋谷ストリームは旧東横線渋谷駅のホームや線路跡地など(渋谷区渋谷3の21の3)に立地する。建物は地下4階地上35階建て延べ11・6万平方メートルの規模。店舗、ホテル、ホール、事務所を設けた。設計は東急設計コンサルタント、デザインアーキテクツは小嶋一浩+赤松佳珠子/シーラカンスアンドアソシエイツが担当。施工は東急建設・大林組JVが手掛けた。

 東急電鉄は区と連携し、清流復活水を活用した壁泉による渋谷川の再生にも取り組んだ。川沿いに整備された遊歩道(延長600メートル)も、同日に落成した。

 同じく東横線の線路跡地(渋谷区東1の29の1、3)に整備された複合施設「渋谷ブリッジ」も、同日から順次開業。建物は保育所が入るA棟、ホテルと事務所、店舗が入るB棟で構成する。建物規模はA棟が3階建て延べ1282平方メートル、B棟が7階建て延べ4370平方メートル。設計は東急設計コンサルタント、施工は東急建設・大林組JVが担当した。

【にぎわい創出へ、移転準備最終段階】豊洲新市場(東京都江東区)、開場まで1カ月

 10月11日の豊洲新中央卸売市場(東京都江東区)開場まで1カ月を切った。整備・運営者の都は追加の安全対策工事を終え、築地市場(中央区築地)の機能移転に向けた準備が最終段階に入っている。市場内には一般向けの飲食・物販店舗も複数開業し、地域に新たなにぎわいを創出する。

 新市場の建設地は、築地市場から約2キロ離れた江東区豊洲6(敷地面積40万7000平方メートル)。施設本体は既に完成し、一部が新交通ゆりかもめ市場前駅と歩行者デッキで直結している。

 当初計画では16年11月に開業する予定だった。同7月の知事選で当選した小池百合子氏が建設の経緯などに疑問を呈し、再検証のため開業が一時凍結。追加の安全対策などを経て、約2年遅れでの開業が決まった。13日の開場記念式直前、小池知事は各施設を視察し、市場の安全・安心を確認した。

 豊洲市場の設計は日建設計が担当した。主要施設のうち、水産仲卸売場棟は5階建て延べ17・7万平方メートル(施工=清水建設・大林組・戸田建設・鴻池組・東急建設・錢高組・東洋建設JV)、水産卸売場棟が5階建て延べ12・5万平方メートル(同=大成建設・竹中工務店・熊谷組・大日本土木・名工建設・株木建設・長田組土木JV)の規模。水産卸売場棟にはマグロの競りなどを見学できるデッキを整備している。水産仲卸売場棟の屋上には来訪者のための緑化広場も設けた。

 野菜や果実などを扱う青果棟は3階建て延べ9・7万平方メートル(同=鹿島・西松建設・東急建設・TSUCHIYA・岩田地崎建設・京急建設・新日本工業JV)、都の事務室や衛生検査所などを置く管理施設棟は6階建て延べ2・4万平方メートル・(同=関東建設工業・鍛治田工務店・川口土木建築工業・国際建設JV)の規模で建設した。

 水産仲卸売場棟の隣接地では、商業棟と温泉・ホテル棟で構成する千客万来施設を民間事業者が別途整備する計画もある。20年10月に着工し、23年度に開業する見込みだ。豊洲の開場記念式で、山崎孝明江東区長は「当面は6街区(水産仲卸売場棟)と7街区(水産卸売場棟)の飲食・物販店舗がにぎわいを担っていく」と述べた。

2018年9月13日木曜日

【回転窓】備えと向き合う

あれから3年、大変強靱(きょうじん)な堤防に生まれ変わりました-。茨城県常総市の神達岳志市長が「決壊の跡」と刻まれた碑の前で撮影した動画をYouTubeにアップし、市民にメッセージを送っている▼3年前の9月10日、同市周辺では台風などの影響で記録的な大雨となり、鬼怒川の堤防が約200メートルにわたって決壊。大規模に水があふれ出る被害も起きて、市域の約3分の1が浸水した。復興に向けて、鬼怒川流域では再度災害防止に向けた工事が展開されている▼災害時の行動計画である「マイ・タイムライン」の普及などソフト施策も一体的に進行中だ。今後も経験したことのない大雨が降るおそれがある。ハードとソフトの両方が組み合わさってこそ本当の意味での強靱な地域が出来上がる▼備えていたことしか役には立たなかった。備えていただけでは十分ではなかった。国土交通省東北地方整備局が東日本大震災後にまとめた心得に、こうしたメッセージが記されている▼西日本を襲った豪雨や北海道胆振東部地震など各地で災害が続発している。災害の備えに終わりはなくレベルを高める必要がある。

【視線の先には宇宙、地産地消でブロック製造】大林組、JAXAと月・火星基地建設材料の製造方法開発

大林組は12日、宇宙航空研究開発機構(JAXA)と共同で、月や火星の探査に必要な基地の建設材料を現地調達して生産する技術を開発したと発表した。

 マイクロ波による加熱焼成やコールドプレスといった方法により、環境と構造物の用途に適したブロック型の建設材料が製造できる。地球上で適切な資材が得られない地域で製造するのにも役立つため、地上での応用も検討していく。

 JAXAから支給された月の模擬表土などを用いて試験体(ブロック)を製造。電子顕微鏡での表面観察や圧縮試験による強度確認を行い、基地建設に適用できることを確認した。

 月では水の調達が困難なため、マイクロ波加熱により建材を製造する。月の模擬表土にマイクロ波を照射した場合、およそ1000度以上で一定時間加熱すると固化体が得られる。1100度程度で普通れんが相当の強度を持ち内部に空隙(くうげき)のある焼結物ができ、1100度以上でコンクリート相当の強度を持ち内部に空隙のない溶融物になる。

 月面の重力は地球上の約6分の1のため、居住施設などの構造材料、放射線遮蔽(しゃへい)材には焼結物、より強度が必要なロケット発着場の基盤や道路などは溶融物の使用を想定している。

 コールドプレスは、砂などの原料に粘土鉱物と水を混ぜ、熱を加えずに圧力を加えて固形物を製造する方法。火星には二次鉱物である粘土鉱物が存在し、水は氷の形で得られると推測される。このためコールドプレスでブロック型の建設材料を製造する実験を行った。
1990年に大林組が発表した火星居住計画構想のイメージ
大気の密度が地球の約100分の1の火星表面では、ブロックの強度は地球上で製造するより1割程度増加するため、火星の環境に適した製造方法という。圧力を上げると最大で普通れんが相当の強度が得られる。火星表面の重力は月の重力よりは大きいものの、地球上の約3分の1。居住施設などの構造材料や放射線遮蔽(しゃへい)材などに使用する場合は、普通れんが相当の強度で十分とみている。
 今後、開発した地産地消型の建設材料の製造方法を応用し、ブロックの大型化や実用化に向けた改良を進めていく。

 月や火星への無人・有人探査の機運が高まる中、JAXAは15年に「宇宙探査イノベーションハブ」を設置。大林組は1990年頃、月や火星に建設する基地の材料について、現地資源を利用して製造する方法を研究していた。その成果を生かし、宇宙探査イノベーションハブの研究テーマとして提案。地球からロケットで資材の運搬にかかる膨大なコストを低減し、月や火星での活動を持続可能にすることを目指している。

【W+S造10階建て、施工は竹中工務店】三菱地所、高層CLTマンション(仙台市泉区)の建築現場公開

三菱地所は、国内初の高層CLT(直交集成板)建築物として仙台市泉区で建設を進めている賃貸マンション「(仮称)泉区高森プロジェクト」の施工現場を11日に公開した。設計・施工・監理は竹中工務店が担当している。

 計画地は高森2の1の泉パークタウン内。規模はW+S造10階建て延べ3604平方メートル(39戸)で、国内最大の木造ハイブリッド構造マンションとなる。床と壁に約230平方メートルのCLTを構造材として使用した。

 2~10階の柱に、竹中工務店が開発し2時間耐火の大臣認定を取得した耐火集成材「燃エンウッド」を採用。4~10階の床パネルに2時間耐火のCLTを配置しており、2時間耐火性能を有する燃エンウッドとCLTが国内で初めて実建物に使用される事例となる。1~5階の耐震壁にはCLTを取り付けた。

 同プロジェクトは林野庁の「CLT建築物等普及促進事業のうち協議会が取り組む実証的建築支援事業」、国土交通省の「サステナブル建築物等先導事業(木造先導型)」に採択されている。19年2月下旬の完成を目指し、完成後は賃貸住宅として運営しながら建物性能に関するデータを継続的に収集する。

 三菱地所住宅業務企画部CLTユニットの海老澤渉主事は「1フロア24枚のCLT床パネルを3時間足らずで敷くことができ、コスト縮小と工期短縮化実現に期待できる」と述べた。

 竹中工務店木造・木質建築推進本部の小林道和副本部長は「S造とCLTを併せて使えるよう、構造と耐火性能の技術開発を進めた」と説明。同社の岡本圭史郎作業所長が「着工前にモックアップを作り、課題や問題点などを洗い出してから施工に臨んだ」と話した。

【関空、全面復旧へ作業進む】損傷橋桁の撤去スタート、浸水被害の地下電源施設も

約1040tの橋桁をクレーン船で引き上げた
(12日、大阪府泉佐野市の関空連絡橋で)

 □総重量2160t、14日作業完了めざす□


 西日本高速道路会社は12日、台風21号の影響でタンカー船が衝突した関西国際空港連絡橋(大阪府泉佐野市)で、損傷した橋桁(A1~P2間188メートル)の撤去工事に着手した。国内最大級のクレーン船を用いて12日にA1~P1間90メートル、14日にP1~P2間98メートルの撤去を行う。施工をIHIインフラシステムが担当。撤去した橋桁は再利用も含めて検討する。

 連絡橋は泉佐野市のりんくうタウンと空港島を結ぶ橋長3750メートルで、唯一の陸上アクセスを担う。海上中央部付近は上部の左右に高速道路上下線、下部の中央を鉄道が通る2層構造。長さ89メートルのタンカー船が衝突した高速道路下り線の桁は中央方向に約4メートル移動し、P2橋脚上は鉄道側に張り出し部がせり出している状況にある。二つの橋脚への影響はなかった。

 西日本高速会社では5日から損傷状況調査を開始し、8~10日に橋桁の損傷拡大を避けるための仮受けベントを設置。門型標識柱など橋梁上の障害物を撤去した後、11日につり上げに必要な金具の設置を終えた。

 12日に撤去作業が行われたのは空港島側のA1~P1間の橋桁90メートル(約1040トン)。午後12時半ごろにクレーン船が所定の位置に到着し、橋桁に設置された16カ所の金具にワイヤをつなぎ、午後1時過ぎからつり上げ作業が始まった。橋桁はゆっくりと上昇し、高さ約15メートルまでつり上げた後、平行移動して台船に仮置きされた。14日にはP1~P2間98メートル(約1120トン)の撤去作業を行う。

 佐溝純一調査役橋梁担当部長は「具体的な復旧スケジュールは決まっていない。撤去した橋桁の調査を行い、再利用も含めて検討していく」としている。

 □関空、地下電源復旧急ピッチ□


 関西エアポートは11日、台風21号に伴う高潮で浸水被害を受けた関西国際空港の地下電源施設などを報道陣に公開した。懸命の排水活動によってA滑走路・誘導路など広範囲に及んだ浸水は解消されたが、早期の運航再開に向け、中枢機能を担う電源設備などの復旧作業が急ピッチで進む。

 第1旅客ターミナルビルの地下1階には六つの高圧電気室があり、これまで雨水対策として土のうや止水板、電気室・電気盤かさ上げ、排水ポンプなどの対策を講じてきた。

 今回の高潮では、土のうを乗り越えた大量の海水が地下に流れ込み、電気室に設置された止水板(高さ約40センチ)でも室内への流入を防げなかった。六つある高圧電気室のうち三つが被災。現在、機能回復に向けた作業を進めており、必要に応じて部品交換を行う。

 広範囲に及ぶ浸水によってハイドラント設備も被害を受けた。地下埋設ポンプでタンクから駐機場まで燃料を送る設備で、緊急停止装置が倒壊し、航空機に燃料を送る給油ピット(計137カ所)も一部浸水した。ピット内が浸水しても内部に浸入しない構造だが、排水・清掃作業とともに、全ピットを対象に品質確認を行っている。倒壊した緊急停止装置は復旧した。

 国際貨物地区でも60センチ程度の浸水があり、冷蔵施設などが甚大な被害を受けた。地区内道路や倉庫内の清掃作業はかなり進んでいたが、至る所に浸水の爪痕が残されていた。

【キャドセンターら3社、高精度3Dマップ発売】東京23区の夜景、3Dでリアルに再現

窓ガラスの反射光もリアルに再現した
日本創発グループの連結子会社・キャドセンター(東京都千代田区、清水宏一社長)ら3社は、3次元(3D)都市データ「REAL 3DMAP TOKYO 夜景」の販売を開始した。映画やテレビドラマ、不動産関連などさまざまな用途に活用できる。

デジタル地図データを販売するインクリメントP(東京都文京区、神宮司巧社長)、パスコと共同作製した。

 提供中の3D都市データ「REAL 3DMAP TOKYO」の夜景版。測量データや地図、航空写真を元に地形や建築構造を高精度に構築した3Dモデルデータ「MAPCUBE(R)」をベースに、東京23区すべての建物をフルテクスチャー化。窓ガラスの反射までリアルに再現した。

 夜景の実写空撮では光量の関係上、画像にノイズが出やすいなどの課題があった。今回提供を開始した夜景版では夜景ならではの光をリアルに再現。街や道路ごとに異なる光の色合いや照度を、実際の動画や写真と比較して細かく調整した。