2019年8月29日木曜日

【記者手帖】「人を大事に」と「我慢」

9月1日付で東北支社への転勤が決まった。初めての地方勤務。夏季休暇は帰省した実家で引っ越しの準備に追われつつ、支社がある仙台での新たな住まい探しに没頭。まもなく迎える新天地での生活は期待と不安が入り交じっている◆25歳で入社してから12年。日々の取材で多くの方にお世話になった。ある時は掲載した記事を喜んでもらい、ある時には多大な迷惑を掛けたことも…。今回の転勤を報告すると、ねぎらいの言葉を掛けていただいたり送別会を企画していただいたりと多くの好意を頂いた。本当に感謝の気持ちしかない◆昨年から今年にかけ、編集部は多くの新人記者が配属され、以前にも増して活気づいている。今は分からないことも多く、思うように物事を進められないことも多いはず。不安も大きいだろう◆自分なりの経験から、新人たちには「人を大事に」と「我慢」という言葉を贈りたい。もちろん新天地で働く自分自身にも当てはまる。数年後、互いに成長して再会したい。(か)

【回転窓】直行直帰は当たり前

少子化の影響もあって、企業経営にとって人材の確保はプライオリティーの高い課題だ。働きやすい環境の整備に力を注ぐ各社。会社の事務所以外でも仕事ができるサテライトオフィスは数を増やしつつある▼こうした取り組みは東京など多くの企業が集まる大都市に目が向きがち。だが地方都市でも自治体が先導して遠隔勤務が可能な環境づくりに動いている▼総務省がまとめた「サテライトオフィスの開設状況調査」によると、地方自治体が誘致・関与して開設されたサテライトオフィスの総数は昨年度末時点で512社。撤退が68社あったため差し引きすると444社で、北海道と徳島県が最多の64社となっている▼地元出身者やU・Iターンの受け皿になり、遊休施設や空き家などの活用に効果があった一方で、地元同業者の理解や定着への取り組みには課題も。企業からは地元との交流促進や居住・教育環境の整備などを求める声があったそうだ▼取材先に出向いて人間関係を深め話題も探す記者という仕事のスタイル。直行直帰が当たり前だった以前の働き方はある意味、時代を先取りしていたように思え懐かしい。

【復興現場を親子で見学】日建連九州、熊本城で“おやじの日”現場見学会開く

 日本建設業連合会(日建連)九州支部(小森浩之支部長)は、大林組が天守閣復旧整備事業を担当している熊本市中央区の熊本城復興工事現場で26日、親子現場見学会を開いた。

 同支部などが取り組んでいるお父さんの仕事場見学会「おやじの日」として開催。同支部会員企業と協力会社の社員や家族が参加し復旧工事が進む天守閣などを見て回り、充実した夏休みの1日を過ごした。

 見学会には幼稚園から小学校5年生までの子ども11人を含む11家族22人が参加。見学会に先立ち発注者である熊本市の網田龍生熊本城総合事務所長は「3年前の地震で熊本城は大きな被害を受けた。修理に約20年かかる計算で工事を進めていて、まだ工事は始まったばかりだが、どのように修理が進んでいるか見ていただきたい」とあいさつした。

 その後、3グループに分かれボランティアガイドの案内で、4~6階の外観工事がおおむね完了し地下1階から地上3階の内装工事や耐震用の柱の補強工事を行っている大天守閣、屋根の瓦葺(ぶ)きや1階の床鉄骨工事を行っている小天守閣、櫓(やぐら)や石垣などを見学ルートに沿って約1時間かけて見て回った。

 参加した小学校4年生の男子児童は「櫓の柱のことを教えてもらって楽しかった。たくさん写真を撮った」と話し、小学校3年生の男子児童の父親は「子どもに自分が関わる現場を見せたのは初めて。なかなかないことなので良い機会だった」と親子そろっての現場見学を満喫したようすだった。

 熊本城見学後は熊本城ミュージアムわくわく座で被災・復旧プロジェクションマッピングなどを見て、被災状況や熊本城の歴史などを学んだ。

【回転窓】10月からの憂うつ

10月からどうなるのか心配-。地元の商店会長がこう話し頭を抱えていた。悩みの種は消費増税。従来は消費の冷え込みが懸念材料だったが、今回は軽減税率制度への対応が最大の焦点という▼外食を除く飲食料品などの税率は8%に据え置かれるが、そのほかは10%に引き上げられ扱いが難しい。キャッシュレス決済でポイント還元する制度も始まる。キャッシュレス決済は小銭の準備が不要になるなどメリットはあるが、サービス手数料が店側の負担になる▼大手コンビニチェーンらはポイント還元分の金額を差し引く方向だ。価格勝負では大手に勝てないのが現実で、商店会は崩壊するかもと不安は尽きない▼何とも心が痛いが「昔はにぎわっていたのに…」と聞くと、ちょっと首をかしげてしまう。工夫を凝らして顧客を増やしている小規模店も多い。「好景気の時は忙しくて日常業務で手いっぱいだった」。それも本当だろうが先を見て備えていれば、今とは違う状況になっていた可能性もあるのでは▼景気も社会もあっという間に風向きが変わる。いま何に苦悩すべきか。活況が続く業界こそ真剣に考える必要がある。

【土砂災害や冠水相次ぐ】九州北部で大雨被害、官民が応急復旧に奔走

大雨で冠水した長崎道・武雄北方IC周辺
(佐賀県武雄市、西日本高速道路会社提供)
 記録的な大雨が降った九州北部地方では28日、各地で河川の氾濫や土砂災害、市街地の冠水といった被害が相次いだ。行政機関や建設業界は壊れたインフラの応急復旧に奔走。国土交通省は同日午前に東京・霞が関の省内で災害対策本部を開き、石井啓一国交相が緊急災害対策派遣隊(テックフォース)による被災自治体への迅速、全面的な支援などを指示した。

 国交省によると、大雨特別警報が出された佐賀と福岡、長崎の3県を中心に被害が拡大した。同日午前時点での被害状況を見ると、国管理の牛津川(佐賀県小城市)や松浦川(同伊万里市)などで堤防越水が確認された。高速道路や一般道での冠水や土砂流入も相次ぎ発生。鉄道の道床が流出する被害も出た。

 建設業界は応急復旧に奔走。建設コンサルタンツ協会九州支部の会員企業がドローン(小型無人機)で堤防越水した国管理河川の被害状況を確認した。長崎県からの要請を受け、長崎県建設業協会の会員企業が河川などの復旧に当たった。大手ゼネコンなど建設各社は現地で施工中の現場や完成済み物件の被害状況を確認。28日正午ごろまでに大きな被害は見つかっていない。

【情報ネットワーク施工、日本勢が8連覇達成!】技能五輪国際大会、志水優太選手(きんでん)が金メダル

 22~27日にロシアのカザンで開かれた第45回「技能五輪国際大会」に日本代表として出場したきんでんの志水優太選手が、情報ネットワーク施工職種で金メダルを獲得した。

 志水選手は日本代表選手の最高得点者に贈られる「ベスト・オブ・ネイション(国別最高得点賞)」も受賞した。

 情報ネットワーク施工職種には16の国・地域から選手が出場した。光ケーブルの配線施工など5課題で23~26日の4日間、競技を行った。どの課題も繊細な作業が必要なため集中力の持続が要求された。慣れない海外製材料への対応力もポイントになった。情報ネットワーク職種は公式競技に認定されて以来、日本代表が7連覇を果たしている。志水選手には8連覇という重圧も掛かっていた。

 同社所属選手が技能五輪国際大会で獲得したメダル数は金10個、銅2個。1962年のスペイン大会を皮切りに3種目で18人が国際大会に出場している。今後も大会出場経験者ら優れた人材の技能伝承を進めながら、世界の舞台に挑戦し続けていく考えだ。

【変わる渋谷駅、基盤整備進む】東口地下広場、11月1日から一部開放へ

渋谷駅東口地下広場の完成イメージ
東京・渋谷駅の東側で基盤整備の動きが活発化している。東京急行電鉄らによる土地区画整理事業で整備される「東口地下広場」の一部が、11月1日から供用開始になる。駅東側に近接する「渋谷二丁目17地区」では、28日付で都が再開発組合の設立を認可。事業が本格始動する。

 地下広場は東急電鉄(代表者)、都市再生機構が施行する「渋谷駅街区土地区画整理事業」の一環で整備している。JRと東京メトロ銀座線乗り場がある高層部と、東急電鉄などの乗り場がある地下部を結ぶ。

 広場内には渋谷駅前エリアマネジメントが、区の都市再生整備計画による道路占用の特例を活用し「UPLIGHT CAFE」を設置。渋谷の観光案内機能を備えたカフェとして営業する。

 渋谷二丁目17地区の所在地は渋谷区渋谷2の17ほか(施行区域面積0・5ヘクタール)。老朽化している建物、高低差、区域内の動線の未整備などが課題となっている。

 計画によると、再開発ビルの規模は地下2階地上23階建て延べ4万5000平方メートル。地上1階に路面店舗を配置。地上2階にデッキを設け、周辺施設と行き来できるようにする。3、4階はワーカー向けの支援施設となる。5~23階にオフィスが入る。

 開発事業のコンセプトは「TSUNAGI-BA」。渋谷と青山との結節点として「渋谷駅東側にさらににぎわいをもたらす」(東京急行電鉄・田邊秀治渋谷開発事業部開発計画グループ課長)施設を目指す。

 設計は東急設計コンサルタントと三菱地所設計、パシフィックコンサルタンツのJVが担当。2020年7月の権利変換計画認可を経て同10月の着工、24年5月の竣工を予定する。

【五輪開幕前の開業めざし工事急ピッチ】日比谷線・虎ノ門ヒルズ駅建設、土木作業は8割進捗

 都市再生機構と東京メトロは28日、東京・虎ノ門で進めている東京メトロ日比谷線・虎ノ門ヒルズ駅の建設工事の現場を報道陣に公開した。

 営業路線に近接した掘削工事や駅舎の躯体工事などを急ピッチで実施中。土木作業は約8割が完了し、駅は設備、内装工事が本格化する。新駅の供用は2020年東京五輪前を予定。1964年に全線開業した日比谷線は56年ぶりに新駅が誕生することになる。

 建設地は東京都港区虎ノ門一丁目。駅整備の事業主体は都市機構で、設計・工事を東京メトロに委託した。施工を鹿島・大林組JVが担当し16年2月に着工した。新駅は開業時、地下1階に改札とホームを設置し、連絡通路で銀座線・虎ノ門駅と徒歩7分で行き来できるようにする。現在の日比谷線の直下となる地下2階がコンコースとなる。中目黒方面、北千住方面それぞれのホームを設け、ホームドアとエレベーターを設置する。

 現場は作業効率を高めようと、地下1階はホーム(写真㊤)の構築に伴って日比谷線の側壁を撤去し、地下2階ではコンコース(写真㊦)を設けるに当たって同線直下で掘削・杭工事を実施するといった重層作業を行っている。日比谷線の既存の側壁は約40センチ。営業時間中に壁を切り、搬出は日比谷線の終電後とするなど安全対策を徹底している。構造上の耐力が減るため、同線の北千住方面、中目黒方面それぞれの線路の間の支柱を補強する。コンコースの構築では、日比谷線の直下に14カ所のトンネルを設ける計画で、荷重を受け替えながら慎重な掘削、杭打ちなどが進む。

 新駅は、特定都市再生緊急整備地域に位置する。新駅とともに、東京・晴海や首都圏の空港などを行き来するバスのターミナルが整備される。

 地下で新駅から周辺の再開発ビルに至る歩行者ネットワークが形成される。周辺は大型再開発事業が進行中。新駅の整備を巡っては、街づくりとの調整を担うため、都市機構が事業主体となった。

 取材に応じた都市機構の星野光一東日本都市再生本部事業推進第2課担当課長は「国際競争力の強化に大きなインパクトがある。街づくりのスピードも増す」と新駅に期待を寄せた。東京メトロの藤野覚改良建設部第四建築工事所技術課長は「日比谷線の全線開業は前回の東京五輪の年。新しい街づくりと協力して安全に進めたい」と施工に意欲を見せた。

2019年8月26日月曜日

【延べ2.9万㎡、新アリーナ建設へ】SAGAサンライズパークアリーナ(佐賀市)、関連工事2件を発注

アリーナアプローチ部分、現時点での完成イメージ(提供:佐賀県)
 佐賀県は「SAGAサンライズパークアリーナ新築工事」など2件の一般競争入札(WTO対象)を23日に公告した。いずれも申請書などの提出期限は9月11日。10月28、29日に入札書を受け付け、同31日午前10時から順次開札する。

 参加資格は新築工事が県で建築一式工事に認定された4者JV。総合評定値がJVの代表者は1200点以上、他の構成員は850点以上など。機械設備工事が県で管工事に認定された3者JV。総合評定値がJVの代表者は1100点以上、他の構成員は850点以上など。
ペデストリアンデッキ部、現時点での完成イメージ(提供:佐賀県)
 規模はアリーナS造4階建て延べ約2万9800平方メートル。工期930日。場所は佐賀市日の出。設計担当は梓設計・石橋建築事務所・三原建築設計事務所JV。
メインアリーナ、現時点での完成イメージ(提供:佐賀県)

【回転窓】夏の終わりと身近な秋

近所の少年サッカーチームが昼の練習を切り上げて、水遊びを楽しんでいた。仲間や保護者、コーチと水をかけあうなど、普段とは違う時間を過ごしているのが日焼け顔の笑みからうかがえた▼低気圧が大陸の冷たい空気を運んでくるようになった。秋雨前線が刺激されるのは怖いけれど、天気予報は日ごとに変わるようになり、今年も暑かった夏が過ぎようとしている▼2000メートル後半の森林限界を超える山は、秋の気配が一段と強まってきた。北アルプスの一部では厳しい環境で育つコマクサが盛りを過ぎ、急斜面に種を落として生育地を広げようとする姿が目に付く▼この時期の山は天気が特に変わりやすいと感じる人が多いと聞いた。かなたまで続く青空と雲海が突然ガスで見えなくなり冷たい雨が降ることも。一方で視界が開けないからこそ、特別天然記念物のライチョウがひなを連れて顔を出す機会が増えるという▼サッカー少年たちの水遊びは急な強い雨で中止になった。それでもはしゃぐ子どもを見て天気の良くない日も悪いことばかりではないと改めて思った。夏の終わりを楽しみつつ近づく秋を探してみよう。

【清水、鉄両会長が「南部もぐり」を体験】埋浚協と潜水協、岩手県立種市高校を表明訪問

 日本埋立浚渫協会(埋浚協)の清水琢三会長(写真㊧)と日本潜水協会(潜水協)の鉄芳松会長が、岩手県洋野町にある県立種市高校を22日に表敬訪問した。

 同校は潜水と土木の基礎的知識や技術が学べる「海洋開発科」を置く。清水、鉄両会長は佐々木信明副校長らと潜水士の資格取得や卒業生の進路状況などで意見を交換。実習プールで伝統のヘルメット式潜水「南部もぐり」を体験した。

 埋浚協は昨年、日本海上起重技術協会(寄神茂之会長)と全国浚渫業協会(金澤寛会長)、潜水協と意見交換を開始した。「元請会社の技術者だけでなく、港湾工事に関わる技能労働者全体の働き方改革を実現しなければ、将来の担い手を確保できない」(清水会長)との危機感から、連携して取り組むべき課題を整理。国土交通省地方整備局などとの意見交換会で問題提議することにしている。

 種市高校への訪問は埋浚協と専門団体の連携の一環。両会長は総重量65kgに上る装具やおもりを付け、水深3mまで潜水。陸上から送られる空気を頼りに、水中での動作を体験した。

 初めての潜水に清水会長は「潜水士はわれわれの工事になくてはならない。処遇改善につながるよう、一生懸命取り組みたい」と強調。34年ぶりに潜水したという鉄会長は「元請会社の団体トップに潜水を体験してもらうのは大きなインパクト。潜水士の働き方改革の第一歩となる」と力を込めた。

【全国18カ所、374人が参加】けんせつ小町現場見学会、全日程を終了

 日本建設業連合会(日建連、山内隆司会長)は22日、三重県企業庁が四日市市内で進めている「径1200ミリ配水管シールド工事(四期・羽津)」(施工=安藤ハザマ・高砂建設・矢野組JV)の現場で、けんせつ小町活躍現場見学会を開いた。

 小中学生と保護者ら24人が参加。現場で活躍する女性技術者の説明を受けながら工業用水道のトンネル内などを見学した。

 冒頭、日建連の永山貴一広報部長が「建設業は男の仕事というイメージだったが、最近では現場で働く女性も増えてきた。今年からは建設キャリアアップシステムがスタートし、建設技能者の処遇改善を図るなど業界として新たな取り組みも始まっている。建設業がどんな仕事なのか興味を持ってもらい、夏休みの楽しい思い出にしてほしい」とあいさつ。

 参加者は班ごとに分かれてトンネル内を電動トロッコに乗り見学。セグメント組み立てや測量体験では、けんせつ小町の説明を受けながら実際に工具や機器を操作した。

 見学会終了後、田中秀幸作業所長は「今日の見学で興味を持った人はぜひ建設業の道を歩んでほしい」と呼び掛けた。同現場で働くけんせつ小町の小谷藍さん(安藤ハザマ)は「いまの工事現場は設備やお手洗いも整っており、とてもきれい。女性でも安心して働けると思う」と話していた。

 □最後の見学会、夏休みの楽しい思い出を□


 日本建設業連合会(日建連、山内隆司会長)が、7月23日から全国で開催した「けんせつ小町活躍現場見学会」が23日に全日程を終了した。

 女子小中学生らを対象に全国18カ所で実施し、小中学生209人、保護者165人の計374人が参加。普段は立ち入ることができない仮囲いの中に入って建設現場を見てもらいながら、けんせつ小町の活躍を紹介した。

 最終回は23日、飛島建設が東京都練馬区で施工する「(仮称)練馬区北町三丁目賃貸マンション計画」の現場で開いた。小学2~6年の7人と保護者5人が参加した。冒頭、日建連の山本亘常務執行役は見学会が5年目を迎え、これまでに2000人が参加したと紹介。その上で「今年最後の見学会となる。夏休みの楽しい思い出をつくってほしい」と呼び掛けた。

 施工管理を担当する飛島建設の森田初美さんが工事内容を説明した後、森田さんや同社の女性社員らの案内で、壁を塗る左官作業や測量を体験してもらった。

 子どもたちは工事用エレベーターに乗り、コンクリート打設前の最上階を見学。しっくいを使った写真立て作りにも挑戦した。

 質疑応答で建設業の仕事を選んだ理由を聞かれた森田さんは「父親がものづくりにかかわる仕事をしていた。ものづくりを間近で見たいからこの道を選んだ」と答えた。

 「完成するまでに何人この現場で働くのか」という質問に、練馬区北町三丁目作業所の武田真吾所長は「この現場では最終的に延べ1万5000人が作業に当たる」と回答した。

 森田さんは「一緒に仕事ができたらうれしい。現場で待っている」と子どもたちに笑顔を見せた。見学会には同社の乘京正弘社長も参加。乘京社長は将来のけんせつ小町を前に「男女分け隔てなく自分たちの力を発揮してもらうのが一番だ。みんなが活躍できる現場を目指したい」と語った。

 工事の発注者は東武鉄道。規模はRC造6階建て延べ5368平方メートル。クリニックと調剤薬局を併設するほか、共用部にキッズ・シッタールームを設置する計画で、都の「子育て支援住宅認定制度」の設計認定を取得している。工期は2019年1月7日から20年1月31日まで。

【凛】三井住友建設深山トンネル作業所・川名梨香子さん


 ◇広い視野を持った技術者に◇

 入社2年目。昨年11月に配属された福井県敦賀市の北陸新幹線深山トンネル他工事(施工=三井住友建設・極東興和・道端組JV)の作業所で、橋梁下部工の施工管理を担当している。

 早期の全線開業が期待される北陸新幹線。「注目度も地域への貢献度も高く、本当にやりがいのある仕事」に携われ、充実した日々を過ごしている。

 インターンシップ(就業体験)に参加したことが入社のきっかけだった。橋梁の建設現場を見学し、同じ目標に向かいチームでものづくりに取り組む姿、熱い思いに心を動かされた。

 「ものづくりを実感できる現場で働きたい」という夢はかなったが、最初は分からないことばかり。失敗の連続で落ち込み、くじけそうになったのは一度や二度ではない。上司や先輩の熱心な指導、共に苦労する作業員たちが掛けてくれる温かい言葉。多くの人に支えられ「同じ失敗は絶対にしない。毎日何か一つは発見や教訓が得られるように頑張ろう」と常に前を向くよう心掛けた。

 最近は少しずつ余裕も生まれ、自分の仕事が形になっていく喜びも感じられるようになった。「まだまだ技術者としては未熟だが成長が実感できている。本当に現場は楽しい」と笑顔を見せる。

 「将来は多くの工種に携わり、幅広い視野を持った技術者になりたい」という思いを心に秘め、まずは担当の工種を持つことを目標に置く。

 (かわな・りかこ)

【サークル】長大野球部「未経験者も楽しくプレー」

 1968年2月の会社設立とほぼ同時期に野球部は発足した。グループ会社である長大テックの社員を含め約30人のメンバーで日々練習に励んでいる。

 「経験を問わず無理なく楽しくプレーする」ことが活動のモットー。20代の若手から部長級のベテラン社員まで幅広い年齢層がプレーする。

 活動の歴史は半世紀以上。1981年に出場した建設コンサルタント各社が加盟する全国設計事務所保険組合主催の軟式野球大会で初の栄冠を手にするなど6度の優勝を誇る。建設コンサルタンツ協会関東支部主催の野球大会にも出場。過去3度の優勝を経験した。戦績が振るわない時期もあったが、昨夏の大会でついに1部リーグへの昇格を果たした。

 野球部を率いるのは、長大構造事業本部第1構造事業部東京構造技術部の成澤祐紀氏。入社2年目に加入し、先輩社員からバトンを引き継いだ。未経験の社員も数多くいるが「野球はチームプレーが求められるスポーツ。部活動で得た経験を本業でも生かしたい」と力を込める。練習を積み重ね「次は優勝を目指す」と闘志を燃やす。

【駆け出しのころ】大林組執行役員東京本店建築事業部担任副事業部長、松田勝彦氏

 ◇聞く力・伝える力で信頼構築◇

 就職活動をしていた当時を振り返ると、自分も含めて金融機関や商社などを志望する人たちが多かったです。そうした中でゼミの先生から「建設業界がこれから面白い」といった話を聞きました。国土や人々の暮らしが豊かになっていく過程での建設業の役割の大きさに、全く目が向いていなかったので、とても新鮮に感じました。

 建設業に関心を持ち、大林組の会社説明会を受けました。そこでお会いしたリクルーターの方の人柄に引かれ、「地球上で一番大きなものを造る業界だよ」との言葉が心に響きました。

 入社後はジョブローテーションで総務・人事系の管理部門、財務・経理系の会計部門、工事現場の3部署を回ります。最初の配属先は人事部人事課。当時はまだOA化のはしりだったので、膨大な事務作業を先輩たちが職人芸的にこなしている姿に圧倒されました。ようやくコンピューターなどが入りつつある中、事務作業のOA化を推進。省力化などの効果を定量的に把握でき、達成感がありました。

 6年目に埼玉県内の複数の建築現場を回り、月々の出来高管理などを担当。常駐していませんでしたが、建物の躯体が刻々と立ち上がっていく様を見ていると、現場に関わっているのだと実感できました。

 1年半ほどの現場勤務の後、大阪本店の経理部門に異動。決算や会計などの仕事に携わりました。入社後の10年ぐらいは目の前の仕事を早く、正確に仕上げることに専念してきました。建設会社の事務屋の立場から、特定の仕事をやりたいというよりは、何でもやれるゼネラリストを目指そうと考えていました。

 情報系子会社への出向後、営業に回りました。それまでのキャリアがほとんど役に立たず、特に仕事がない時代だったこともあり、最初はしんどかった思い出が多いです。一時期疎遠になっていたお客さまに営業攻勢をかけた時、工事案件の提案書や見積書の作成など、お盆休み返上で多くの人たちに仕事をしてもらいました。提案内容を見て受注を確信していましたが、実績が一定期間なかったことから別の会社が受注し、悔しい思いをしたことを今でも覚えています。

 その時の失注をバネにして頑張り、営業の面白みも分かってきました。仕事が受注できた時の達成感と喜びは、何度でも味わいたいと思います。

 価値観が多様化する中で、お客さまから仕事をいただき、それを空間に実現していくには、対話と議論で互いの決着点を見いだし、信頼関係を構築することが不可欠。「人の話をきちんと聞き、相手の考えを聞き出す力」と「自分の考え方を正確に伝える力」が何より重要です。この二つの力があれば、仕事もあらゆる人間関係もうまくいきます。
入社5年目ころ。社内で開かれたソフトボール大会での一枚
(肩車をされているのが本人)
(まつだ・かつひこ)1981年山口大学経済学部経営学科卒、大林組入社。東京本店建築事業部の営業部部長、統括部長などを経て2019年4月から現職。広島県出身、62歳。

2019年8月22日木曜日

【回転窓】ラグビーの聖地は神社?!

ラグビーワールドカップ日本大会の開幕まで1カ月を切った。出場20カ国が4グループに分かれて予選を戦い、決勝トーナメント進出を争う。開幕戦に向けて日本代表も強化合宿に入り、大会の登録メンバーを絞り込む▼熱戦が繰り広げられる12会場には世界各国から多くの人たちが訪れる。全48試合のチケット販売も好調のようだ。運営側も大会の成功に向け、さまざまなイベントを開いて盛り上げている▼オフィシャルスポンサーの三菱地所は20日、東京駅前の丸ビル外構部に「丸の内ラグビー神社」を建立。ラグビーポール型の鳥居や楕円(だえん)形の鈴を設け、ラグビーボール型の絵馬に願掛けもできる▼まつられた神様は球技上達の御利益があるとされる神魂命(かんたまのみこと)。世界遺産・下鴨神社(京都市左京区)にある雑太社(さわたしゃ)の神様で、1910年には境内で関西初のラグビーが行われた▼下鴨神社では決勝戦のパブリックビューイングを計画。経費の一部をクラウドファンディングで募るという。ラグビーを通じて多く人たちがつながり、聖地で世界最高峰のプレーに感動することを願う。

【パラアスリートの練習環境充実】ナショナルトレセン拡充棟(東京都北区)が完成

 日本スポーツ振興センター(JSC)は21日、文部科学省が東京都北区に整備した「ナショナルトレーニングセンター(NTC)拡充棟」を報道陣に公開した。

 五輪競技とパラリンピック競技のアスリートが共同利用する練習施設。2020年東京五輪の競技備品を備えた卓球など5競技の専用練習場や、複数の競技で利用できる共用コート、リカバリー施設などで構成。宿泊機能もある。6月に竣工し、7月から利用が始まっている。

 施設はS造地下1階地上6階建て延べ約3万平方メートル。設計は松田平田設計・教育施設研究所JV、施工はフジタらが担当した。工事費は約194億円。アーチェリーと卓球、フェンシング、水泳、射撃の専用練習場がある。共用コートは計4面で、高さは4フロア分となっている。

 アスリートの疲労回復やトレーニングに役立つよう、温冷水の浴槽に交互に入ることで代謝力が高まる交代浴などができる。車いすなどを利用したまま体重を測定し、食事を含むさまざまなデータを自動管理する設備もある。

 ユニバーサルデザインとなっており、手すりや戸を右・左それぞれ使いやすい側から利用できるよう工夫。宿泊室はシャワーだけだったり介助者の利用に配慮したりと、複数のタイプがある。

 専用練習場のうち卓球は台を28面ほど設置可能。競技に影響しないよう、空調は足元から作用する。男子のラリーに配慮し、天井高が7メートルある。

 アーチェリーは屋内・屋外射場の両方から70メートルの射長がある。フェンシングは30ピストを3種目で利用できる。射撃場は25メートルと50メートルが15射座、10メートルが25射座で電子標的を使う。

 共用コートは42×23メートルと44×48メートルが2面ずつ。車いすバスケットボール、ボッチャ、パワーリフティングといったパラリンピック競技だけでなく、一部の五輪競技の練習にも対応できる。

 施設はJSCが運用する。勝田隆理事は「五輪とパラリンピックの強化を一体で進めようと考えてきた。ナショナルトレーニングセンター、国立スポーツ科学センターの機能も入れた。バリアフリーとなっており、しっかり使ってもらえる機能を整えた」と語った。施設は9月10日に開所式を迎え、「ナショナルトレーニングセンター屋内トレーニングセンター・イースト(東館)」となる。

【QRコードで目的地まで誘導】東京メトロら、視覚障がい者向けナビ導入へ検証開始

 東京メトロとプログレス・テクノロジーズ(東京都江東区、小西祐一社長)は、視覚障がい者向けの駅構内ナビゲーションシステムを導入するため、最終的な検証作業を29日から東京都江東区内の2駅で行う。

 「shikAI」というシステムで、駅の点字ブロックにあるQRコードをスマートフォンのカメラで読み取ると、現在地から目的地までの正確なルートを示し音声案内する。既に早期の導入を求める意見が届いているという。

 shikAIは、2018年8~12月に有楽町線辰巳駅で実証実験を行っていた。視覚障がい者117人が実際に利用し、「ナビゲーションに従って迷わず移動できた」「早く実用化してほしい」と好評だった。

 最終的な検証は辰巳駅と同線新木場駅で行う。複雑なルートを選定し、視覚障がい者にシステムを体験してもらう。混雑時や騒音が大きい場合の性能などもチェックする。結果を踏まえ、システム用のアプリケーションを一般公開し、対応可能な駅を順次増やしていく。

2019年8月21日水曜日

【回転窓】元号と建設業

元号が「平成」から「令和」に変わり4カ月近く経つが、どうも慣れない。西暦表記が増え、令和を使う場面が減ってきたからもしれない▼ある友人は自分の過去を振り返る時、西暦年では平面的な捉え方になるが、元号年だと立体的になるという。自分の過去とその時の世相を一緒に思い出すというのだ。いかにも元号表記が主流だった昭和生まれらしい▼確かに元号表記の方が、時代背景が分かりやすいこともある。建設会社の創業年もそう。大手建設会社50社の創業年を元号で見ると、半数が明治時代。日本の近代化とともに多くの建設会社が誕生した背景がうかがえる▼ただ、元号が古すぎて分からない会社も。松井建設は天正14(1586)年創業。430年以上前の安土桃山時代というから驚く。慶長15(1610)年の竹中工務店、文化元年(1804)年の清水建設、天保11(1840)年の鹿島も歴史があることは想像できるが元号だけでは創業年が分からない▼建設業は最古の産業の一つといわれる。人の生活に欠かせない構造物を造るからだ。いつの時代でも社会から必要とされるのが建設業なのだと思う。

【完成施設が早くも効果発揮】広島土砂災害から5年、国交省の砂防堰堤整備が大詰め

年度内の完成を目指す上山川(303渓流)の砂防堰堤工事現場
(国交省提供、8月19日撮影)
 広島市北部を襲った大規模な土砂災害の発生から、20日で5年の節目を迎えた。国土交通省は復興事業として、被害の大きかった安佐南、安佐北両区の30カ所で40基の砂防堰堤を整備している。32基が完成し、残る8基は年度内の完成を目指し、工事が大詰めに入っている。2018年7月豪雨の際には、安佐南区内に整備した砂防堰堤が土砂の流下を食い止めるなど、整備効果を着実に発揮している。

 30カ所での砂防堰堤整備事業は、国交省の広島西部山系砂防事務所が推進している。国、広島県、広島市が安佐南、安佐北両区の99カ所で展開している砂防や治山事業の一環。年度内の事業完了を予定している。湯崎英彦広島県知事は20日に記者会見し「県民が笑顔で暮らせるよう引き続きハード、ソフト両面から対策を推進していく」と復興に向けた決意を改めて述べた。

 広島市北部では14年8月20日の未明、集中豪雨により土石流や崖崩れが多発し、大量の土砂や流木が下流の住宅などを破壊した。災害関連死を含め77人が犠牲となり、住宅396棟が全半壊するなど、大きな被害を引き起こした。

【トイレの空室、一目で分かります】LIXIL、カシマスタジアムの女性トイレをリニューアル

 LIXILは、Jリーグ・鹿島アントラーズのホームスタジアムである茨城県立カシマサッカースタジアムで、女性トイレの一つをリニューアルした。

 女性来場者の満足度を高める取り組みの一環。利用者がスムーズに移動できる動線を確保し、個室ドアと壁面の色を変えることで空室かどうか見分けやすくした。

 リニューアルしたのはメインゲートに近いトイレ。23日の試合から利用できる。20日カシマスタジアムで会見した鹿島アントラーズFCの鈴木秀樹取締役事業部長によると、スタジアムに来る観客の45%が女性という。2年前にプロジェクトを立ち上げ、トイレを含めた女性の満足度向上に向けた取り組みを続けてきた。

 これまでトイレ内部は個室に向かう人と、洗面スペースに行く人が交差し、利用者のストレスになっていた。動線を整理し、洗面スペースの背後にパウダーコーナーを新設。試合の合間のリフレッシュ空間として活用できる。

 個室スペースの配色はアントラーズカラーを意識した。壁面はネイビー、ドアはレッドにすることで、ドアの開閉によって空室状況を分かるようにした。トイレ内にあったおむつ替えスペースはトイレ外に「ベビールーム」として新設。男女を問わず利用できる。

 LIXILの二瓶伸夫技術設計チームリーダーは「ここで培ったノウハウを今後はほかのスポーツ施設にも生かしていきたい」と語った。

スタジアムは鹿島アントラーズFCが指定管理者として運営管理している
(写真提供:茨城県)
カシマサッカースタジアムは鹿島アントラーズFCが指定管理者として運営管理している。LIXILとアントラーズは、トステム(現LIXIL)が1994年からチームに協賛するなど、四半世紀にわたってスポンサー契約などで関係を継続している。

【官民協議会設置、きょう初会合】SC相模原ら、相模総合補給敞返還地でスタジアム整備の可能性検討へ

 サッカーJリーグのSC相模原らスポーツクラブ4者と相模原市は、JR相模原駅前に位置する米軍基地(相模総合補給敞)の一部返還地を活用し、スタジアムを核とする複合施設建設の可能性を検討する官民連携協議会を設立した。

 来年3月を目標にビジョンや中長期事業計画、今後の進め方などを決め、相模原市長に提案する。協議会の事務局は日本総合研究所が担当する。

 協議会は▽ノジマ相模原ライズ(アメリカンフットボール)▽三菱重工相模原ダイナボアーズ(ラグビー)▽ノジマステラ神奈川相模原(女子サッカー)▽SC相模原-の4クラブと相模原市で構成。早稲田大学スポーツ科学学術院の間野義之教授が座長を務め、21日に初会合を開く。来年度以降は、検討主体を市に移し資金調達や施設内容について検討を深める考えだ。

 米軍返還地に複合施設を建設するプロジェクトは、スポーツ庁の2019年度「スタジアム・アリーナ改革推進事業」の一つに選定されている。4クラブと市は昨年度に研究会を立ち上げ、球技専用スタジアムの必要性、施設の規模や機能、事業の進め方などを検討してきた。

相模総合補給敞の返還対象となる敷地面積は約15ヘクタール。協議会はサッカーやラグビー、アメリカンフットボールなどのプレーが可能な1万5000席以上の大型スタジアム(敷地面積約3ヘクタール)のほか、商業やホテル、コンベンション、福祉などの機能を備えた複合施設の整備について可能性を検討する。

 相模原市内では相模原駅の隣駅である橋本駅にリニア中央新幹線の停車駅が設けられる。小田急多摩線は唐木田駅(東京都多摩市)~相模原駅(相模原市中央区)間の先行延伸が検討されている。市は返還地での複合施設建設を核に、新たな街づくりを進めたい考えだ。

【爆破作業にびっくり!!】デミー&マツ、採石場で子ども向け見学会開く

 鹿児島県薩摩川内市の砕石場で10日、子どもたちが爆破作業を見学し土木の役割と魅力を体験するイベントが開かれた。参加者は、コンクリートの材料となる砕石がどのように作り出され、人々の生活を支えているかを学んだ。

 イベントは、全国で土木の魅力を伝える活動に取り組んでいる“噂の土木応援チームデミーとマツ”が、道路やコンクリート、埋め立て、漁礁などの土木や建築の材料としてものづくりを支える砕石業への理解を深めてもらうために企画した。

 ガイアテック高城工場を会場に、園児から高校生までのおよそ100人が参加した。砕石場ではガイアテックの職員による爆破作業を見学したほか、砕石を運搬するダンプカーや大型ショベルカーの乗車体験もあり、子どもたちは歓声を上げていた。

【こちら人事部】協和エクシオ「海外展開見据え人材確保」

 1954年の設立から一貫して情報通信インフラの構築を中核に事業を展開してきた。現在は環境・土木技術や電気設備技術などを活用した環境・社会インフラの構築分野などにも進出している。

 ソフトウエア開発分野ではICT(情報通信技術)機器とソフトウエアを融合したソリューション、各種アプリケーション開発にも力を入れるなど業容拡大を続けている。シンガポールに子会社を設立するなど海外進出にも力を注ぐ。

 幅広い事業を手掛ける上で欠かせないのが優秀な人材の確保だ。人事部の大野友明人材開発室長は求める人材像として「やる気と向上心、そしてコミュニケーションマインドを持っていろいろなものに挑戦していける人物」を挙げる。

 大野室長は「協力・和合を意味する『協和』と、自らの殻を破って変革しチャレンジするラテン語の『エクシオ』から成り立つ」と社名の由来を説明。「常にチーム全員が一丸となって仕事に取り組んで突破口を開き、何事も成し遂げていく。私たちが求める人材はその考え方がベースとなっている」と話す。

 建設業界が人材不足にあえぐ中、応募人数の確保にも工夫を凝らす。大野室長は「経団連の『採用に関する指針』が見直されたことで、今後ますます採用手法は多様化していく」と予測する。そのため従来の新卒採用に加え、第二新卒の採用にも積極的に目を向ける。

 東南アジアを中心とした海外市場で通信、ICT分野の業容拡大を目指す同社。多様な人材の確保という観点から、東南アジア諸国連合(ASEAN)を中心に留学生やグローバル志向の学生採用にも積極的だ。本年度はASEANの人材を対象にした就職支援活動サイト主催の合同説明会にも参加した。

 離職率が低いのも特徴の一つだ。要因について大野室長は「説明会や面接時に、仕事内容をより具体的に伝え、学生のイメージと乖離(かいり)しないように注意していることがポイントではないか」と分析する。

 教育研修は「人財」第一主義を基本に、入社後1年間を研修期間に設定。基礎研修や職種別研修、IT資格取得研修などのカリキュラムを設け、社会人としての常識、企業人としての幅広い知識、基礎技術力の習得に注力する。新入社員一人一人にチューターを配置し、育成とフォロー、メンタル、生活両面でのアドバイスを通じて成長を促し業務への意欲向上を図る。

 2年目のステップアップ研修や階層別研修、技術研修、営業研修など、さまざまなメニューを用意。資格取得奨励制度や通信教育制度などで自己啓発を支援するなど、社員に成長の機会を提供している。

 これから就職活動を行う学生に向けて大野室長は「ウェブサイトに掲載されている情報だけでなく、社員の生の声や会社の雰囲気を肌で感じることで入社後のギャップを少しでも埋められる」とアドバイス。「学校主催の合同説明会などに参加し、さまざまな業界について話を聞いてほしい。もっと言えば、会社訪問やOB・OG訪問をしてもらいたい」と話す。

 《新卒採用概要》

 【採用者数】   男性122人(うち技術系115人)、女性30人(うち技術系23人)(2019年度実績)

 【3年以内離職率】5・9%(16年度新卒)

 【平均勤続年数】 男性17・4年、女性14・0年(19年3月末時点)

 【平均年齢】   42・3歳(19年3月末時点)

2019年8月20日火曜日

【回転窓】守ってこそのマナー

長い人は9連休だった今年のお盆休み。記録的な猛暑、西日本を襲った台風などもあり出掛けるのは難しかったかもしれないが、思い思いの休みを過ごされたことだろう▼ここ数年、休日のレジャーでブームになっているのがアウトドア。本格的な登山からキャンプなどのライトアウトドア、トレイルランニングといったアウトドアスポーツ、アウトドアブランドのウエアまで裾野は広く、市場規模は4000億円を大きく超える▼自家用車でオートキャンプ場に出掛けテントを張ってバーベキューなどを楽しむ。小学生くらいの子どもがいるファミリー世帯にとって定番のレジャーになっているようだ▼そんな状況に関係があるかどうか定かではないが、北海道弟子屈町にある道の駅「摩周温泉」では駐車場で車中泊する観光客が増え、一般の利用者が車を止められなくなる事態が起こっているそうだ。問題に対処するため、北海道開発局は地元と連携し駐車場の一部を有料化し収益を清掃費などに充てる取り組みを試行した▼駐車場には近隣のキャンプ場や無料の臨時駐車場を案内する看板も。マナーを守ってぜひ楽しい休日を。

【ガイドライン作成へ】文化財-火災の潜在的危険性高く消火設備の老朽化も

国内にある世界遺産や国宝の多くが火災に対する潜在的危険性が高いことが文化庁の調査で分かった。

 消火設備を設置していても老朽化が進み、機能低下しているおそれがあることも判明した。調査結果を踏まえ文化庁は、消防庁や国土交通省などと連携して防火設備整備の検討に関するガイドラインを作成するとともに、文化財防火対策について総合的、計画的な対応策を取りまとめる考えだ。

 文化庁は仏パリのノートルダム大聖堂の火災を受け、国宝や重要文化財(重文)を対象に防火設備などに関する緊急調査を実施。文化財4543棟の回答を得て、8日に調査結果を公表した。

 それによると、世界遺産や国宝の9割以上が「全部」または「一部」で木造となっており、これら建造物の6割以上が木造密集地にある。重文もおおむね同様の傾向で、改めて火災の危険性が高いことを確認した。

 世界遺産と国宝のうち約2割で消火設備が整備または改修から30年以上経過しており、老朽化による機能低下のおそれがあることが判明。美術工芸品の国宝を管理する博物館などでも消火設備が老朽化していることも分かった。

【施工は菊池建設ら】五輪競技会場・大井ホッケー競技場(東京都大田・品川区)が完成

 東京都は、2020年東京五輪のホッケー会場となる「大井ふ頭中央海浜公園ホッケー競技場(大井ホッケー競技場)」(大田区、品川区)の完成式典を17日に現地で開いた。

 ショートパイル人工芝のメインピッチや約2600席のスタンド、散水設備、電光掲示板などを備える。観客席は屋根で覆われている。五輪期間中は仮設スタンドを設け約1万席にする。

 大田、品川両区にまたがる大井ふ頭中央海浜公園に位置し、ピッチとスタンドを新築した。施設はRC一部S・SRC造3階建て延べ5900平方メートルの規模。基本・実施設計は梓設計、施設の施工は菊池建設、設備工事は関電工が担当した。野球場を挟んで向かいのサブピッチも改修した。

 完成式典には小池百合子知事や日本ホッケー協会名誉総裁の高円宮妃久子さま、鈴木俊一東京五輪担当相、タヤブ・イクラム国際ホッケー連盟オリンピック担当責任者、松原忠義大田区長、濱野健品川区長らが出席した。

 冒頭、小池知事は「(17日で)五輪まで344日。交通の混雑緩和などに取り組んでいる。競技場は都民がさまざまなスポーツを楽しむ場になる。大会後も末永く愛され、多くの人に利用される施設になってほしい」とあいさつ。久子さまは「日本のホッケー競技に大いに活用されるよう期待する」と述べられた。

 ショートパイル人工芝の長さは約1センチで、衝撃吸収層の上に敷設した。周囲6カ所にポップアップスプリンクラーを備え、8分間で約20トンの散水が可能。公共のホッケー競技場は少なく、日本ホッケー協会は競技力の強化やホッケーの普及・振興拠点として活用する考え。

 サッカーやラクロス、アメリカンフットボールなどにも利用できる。都は公園内の施設と連携し、総合的なスポーツ・レクリエーション拠点の形成に役立てる。

 当日はこけら落としを兼ねホッケー女子日本代表がインド代表と対戦した。会場では、ミスト散布などいくつかの暑さ対策が試行され、小池知事は「大会組織委員会と連携し、一番いい暑さ対策を使いたい」と述べた。

【空の玄関口を機能強化】北海道エアポートG、7空港で4300億円の設備投資計画


2950億円の投資を計画する新千歳空港
(写真は国土交通省東京航空局HPより)
 北海道内7空港の一括運営委託の優先交渉権者に選ばれた北海道エアポートグループは、30年間に約4300億円の設備投資を計画している。このうち新千歳空港には約2950億円を投じ、国内線・国際線共用旅客ビルや同ビル直結のホテル、ビジネスジェット専用ターミナルなどを新設。函館では国際線旅客ビル施設の建て替え、旭川ではターミナルの大規模増築を行い、広域周遊観光の玄関口として機能強化を図る。

 同グループの事業計画では、新千歳は「グローバルケートウェイ」、函館と旭川は「広域ゲートウェイ」、稚内、釧路、帯広、女満別を「地域ゲートウェイ」と位置付けて役割を明確化し、東アジアからの観光需要をメインターゲットとして、段階的に観光流動を拡大。道全域での周遊観光流動の創出を目指す。

 各空港の設備投資戦略は、新千歳で運営開始当初が国内線旅客ビル施設の到着階拡張や搭乗待合室の混雑緩和、JR新千歳空港駅からの縦導線改善など既存施設の利便性向上に投資。運営開始後5~10年で国際線ビル内部改修や国内・国際線共用旅客ビルやホテルの新設、交通・観光センターなどの増築を行う。

 函館は総額412億円を投資。運営開始5年以内に国際線旅客ビル施設を建て替え、国内線旅客ビル施設との一体化を図る。建て替えに合わせて混雑解消や商業エリアの大幅拡充を行うなど道南・東北一の国際線受け入れ環境を整備する。

 旭川の投資総額は218億円。将来的な国際線就航需要増に対応するため、ターミナル前面に3000平方メートルのエプロン・国際線ビル施設を増築するとともに、駐車場増設、国内線保安検査場の拡大、エプロン増築などを段階的に行う。

 稚内は総額137億円を投じ、運営開始5年以内に旅客ビル施設を建て替え、国内線と国際線同時2便受け入れの実現を目指す。釧路は224億円で、国際線出発・到着便の同時受け入れが可能な専用施設の整備や国内線施設の改修など。

 帯広は178億円を投資し、富裕層誘致へビジネスジェット専用施設などを整備。女満別は172億円を投じ、国際線専用施設の整備や温度管理設備を備えた貨物ビルを新設する。

【記者手帖】変わり身の早い建設業

夏休みを利用して全国の建設現場で開催されている「リコチャレ」や「けんせつ小町」などのイベント。取材中、主催者が女子児童や生徒に「建設業で活躍する女性はたくさんいる」と強調する場面を度々見かける◆「当社ではかつて、『女子学生は本社で面接する前に落とせ』と言われていた」。ゼネコンの採用担当者がこっそり明かしてくれた。女性は転勤を嫌がり、結婚や出産で辞めてしまうから、というのが言い分だ。医学部の入試で女子学生が不正に差別された問題が報じられたとき、その言葉を思い出した◆女子校に在学中、当時の担任は「理系に進む生徒は男子と戦うことを覚悟しろ」と警告した。何を言っているのだろうと当時は思ったが、理系の女性が進学や就職の段階で冷遇される現実を彼は知っていたのではないかと、今になって思う◆時代は令和になり、建設業の状況は一変した。合同就職説明会ではゼネコンのブースに「女子学生積極採用」の文字が並ぶ。女子学生の採用ノルマを課す会社も出てきた。建設業のこの「変わり身」について、あの担任は何と言うだろう。(ゆ)

2019年8月19日月曜日

【回転窓】自由研究に役立つ建設業の善意

近所の公民館でボランティアの学生や地域の有志が小学生の自由研究を手伝っている。ストローなどを使った工作でサッカーゴールを作ったり、「弟に壊された」というゴムの力で動く車の修理を頼んだりする子がいる▼「こうしてみたら?」「一緒にこうやろうよ」。子供のアイデアをなんとか実現しようと、大学生や大人が一緒になって奮闘する姿を見て温かい気持ちになった▼今夏も各地で建設業の皆さんが企画したさまざまなイベントが開かれている。クルーズ船に乗っての港湾工事やインフラの学習、工事中の高速道路トンネルの見学など、なかなかできない体験の場が用意されている▼「自由研究にしようと思って」。ある見学会に来た女児が参加した理由をそう教えてくれた。母親は「工事現場を見る機会はないので。女性がたくさんいて驚きました」と笑顔で感想を話していた▼自由研究のヒントなどをホームページで提供する建設会社もずいぶん増えた。地域主催の自由研究のイベントにブースを出す団体もある。今夏も建設業の善意がファンをさらに増やし、自由研究の質の向上に役立っているに違いない。

【凜】マサル第2営業部・須藤千鶴さん

 ◇苦労と努力をやりがいに変えて◇

 学生時代は建築デザインを専攻していた。就職活動でシーリング業界を初めて知り、「目立たないながらも必要不可欠な仕事」だと思った。現場の近くで働きたいと考え、思い切って専門工事業界に飛び込んだ。

 入社4年目の現在は営業部に所属。現場に出て作業の出来栄えを確認したりコスト管理をしたりといった仕事を担当する。計画よりも施工数量が増えてしまった際には、契約項目と実施項目を細かく確認してリスト化し、元請企業の担当者に説明して納得してもらえた。「努力が報われてうれしかった」と振り返る。大変だと思う時もあるが、やりがいのある仕事だと感じている。

 分からないことはすぐ聞き、失敗した場合は改善策を自分で考えて次に生かすよう心掛けている。上司の手を煩わせないよう、同じ質問はしないように気を付けている。昨年はシーリング管理士試験を全国1位の成績で合格した。「仕事が丁寧でベテラン職人にもしっかりと意見を言える」と苅谷純社長の信頼は厚い。

 今はまだ男性が多いシーリング工事現場だが、状況は変わりつつあるという。「職人さんは優しく、現場もどんどんきれいになっている。それを知ってもらえばこの業界で働く女性も増えていくはず」と話す。

 夢は世界一周旅行。「いろいろな建築物を見て回りたい。建物が大好きだから」とはにかむ。

 (すどう・ちづる)

【中堅世代】それぞれの建設業・234

機械設備が好きな一心で公務員になった
 ◇自覚は後からついてくる◇

 地方自治体の下水道局に勤務する原口文人さん(仮名)は働き始めて14年目。入庁から5年間は下水道施設の機械設備工事に奔走した。豊富な現場経験を持つ原口さんの仕事ぶりに周囲も厚い信頼を寄せるが、その評価とは裏腹に「最初から公務員になりたくてなったわけではない。公僕としての自覚を持ったのもだいぶ遅かった」と苦笑する。

 原口さんは大学、大学院で機械工学を専攻し、院生時代には指導教授と共同研究に打ち込んだ。就職活動では機械関係の職種を希望。研究職は頭になく、メーカーも性に合っていないと感じた。機械というだけでただでさえ就職先の幅が狭まってしまった上、えり好みもあって公務員という道しか選択肢がなかった。

 入庁してすぐ、下水道設備の保全を手掛ける部署に配属された。専門用語が飛び交う環境に身を置き、早く下水道の知識を身に付けなければと焦る日々。しかし、指導係の先輩は職人かたぎで手取り足取り教えてくれるタイプではなかった。最初の指導らしい指導といえば、ミーティング時に言われた「分からなくてもいいから、とにかく聞こえたままノートに書いておけ」という指示。その言葉に従い愚直にメモを取り続けた。

 数カ月後、ふと入庁当初に使っていたノートを開いてみると、空耳で書き留めた単語がずらっと並んでいた。思わず笑ってしまったが、「間違いを笑えるということはそれだけ知識が身に付いたということ。自らの成長を実感する貴重な経験ができた」。その後も習うより慣れろの精神で、現場に出て技術屋としての知識や経験に磨きを掛けていった。

 6年目に畑違いの環境局に異動した。下水道局は自ら事業を持っているが、環境局は規制部門として地域住民の生活に害が及ばないよう環境影響評価(環境アセス)の実施や、大気汚染・水質汚染対策などを指導する立場だ。環境局の営繕系の部署に着任したが大きな機械が好きなため、ビルの換気扇やエレベーターには興味が持てなかった。当初は仕事のモチベーションを維持するのが大変だったが、続けるうちに行政ならではの仕事のおもしろさも感じられるように。

 「規制される側からする側へと立場が逆転し、グループの別会社に転職したような新鮮な気分を味わえた」

 現在は下水道局に戻り設備設計を担当している。いつかは現場に戻りたい。その時には「次に現場を担当するときは若手職員を率いる立場になる。現場を円滑に回すためうまく立ち回らなければならない」と思っている。

 技術屋としての腕を試したいと息巻いていた若いころとは現場に対する考え方が変化した。「公務員は住民の生活を守るために誰かがやらなければいけない仕事だ。だったら俺がやってやる」。選んだ理由は消極的だったが、今は公務員を一生の仕事だと思っている。

【駆け出しのころ】大日本土木代表取締役専務執行役員経営企画本部長・佐溝時彦氏

 ◇チームの力で困難乗り越える◇

 父親が建設関係の仕事に携わっていた影響もあり、大きなものを造りたいという思いから土木の道を選びました。長男で地元志向が強いこともあり、自宅から通えればという考えから、岐阜に拠点を置く大日本土木に入社しました。

 当時の思いはそうでしたが、これまで岐阜での勤務はありません。最初に大阪支店に配属された土木系の新入社員5人のうち、他の4人は大阪や京都などの街中の現場でしたが、私一人が山深い福井県敦賀市内の高速道路の現場。大阪から電車で敦賀に向かい、駅を降りてさらに雪が残る山あいの奥地に入った時にはとても寂しく思ったことを覚えています。

 初任地の現場では明かり工事で土工や構造物を担当。半年ほどたって先輩とチームを組み、1年目でも自分の意見を尊重してもらいながら、責任を持って仕事をさせてもらいました。もちろん失敗もありました。測量作業で確認を怠った結果、側道部分の整備でミスを犯してしまいました。所長から注意され、技術屋として確認を徹底することの重要性を身にしみて感じました。

 特に思い出深い現場は奈良県生駒市の「東大阪生駒電鉄生駒トンネル東工区工事」。JVのサブでしたが、トンネル工事で初めて切羽を担当し、代表企業の鹿島の方々からも多くのことを学びました。

 切羽の貫通精度が一番の肝となることから頻繁に測量を行い、貫通前の数日は寝られなくなるほどの緊張に襲われます。現場所長は大学の大先輩に当たり、「卵1個までの誤差で収めろよ」とはっぱをかけられ、プレッシャーは大きかったです。貫通時に誤差は1センチ程度に収まり、所長からも大変褒めていただき、土木技術者としても大きな転機になりました。

 JVサブの現場でも若い人たちには自分を成長させる好機と捉え、前向きな気持ちで頑張れと伝えています。どこの現場でもいろんなものを吸収し、ステップアップできる。ただ、現場所長を一度も経験できなかったのは今でも心残りではあります。

 仕事をなす時に個人の力には限界があり、チームの力でどう困難を乗り越えていくかが重要。必ず人はミスを起こすという前提に立って行動する。周りのアドバイスや意見に耳を傾けながらリスクを減らす。チームの一人一人が責任を感じ、前向きに取り組む姿勢が何より大切です。

 いまの若手は少しおとなしい印象があり、昔よりも密度の濃いコミュニケーションが必要だと感じています。われわれも歩み寄りますが、若手からも積極的に発信してほしいです。
入社8年目ころ。生駒トンネル東工区と中工区
の貫通を祝って(写真㊧が本人)
(さみぞ・ときひこ)1978年京都大学工学部交通土木工学科卒、大日本土木入社。執行役員土木本部土木部長、常務執行役員経営企画本部長兼戦略事業部長などを経て6月から現職。岐阜県出身、63歳。

2019年8月9日金曜日

【町田ゼルビア本拠地、1・5万人収容へ】町田市立陸上競技場観客席増設4件、西武建設らに

東京都町田市は「町田市立陸上競技場観客席増設工事」の施工者を29億8279万8000円で西武建設に決めた。

 関連する電気設備工事は3億4353万円で栗原工業・協立電工JV、空気調和設備工事は4880万円で渡辺工業所、給排水衛生設備工事は1億2300万円で鶴川設備工業に決まった。

 いずれも7日に一般競争入札を開札した。予定価格は建築を担う客席増設工事が33億1422万円、電気設備工事は3億8170万円、空気調和設備工事は4909万7000円、給排水衛生設備工事は1億2432万円。市議会の議決後に契約を結ぶ。

 所在地は野津田町2035の野津田公園内。同競技場の北側バックスタンドの観客席を増設する。現在の施設規模はRC一部S造6階建て延べ1万6336平方メートルで、今回増築するのは同3階建て延べ6492平方メートル。既存観客席は1万0812席で、工事が完了すれば約1万5500席を備えることになる。外構工事なども行う。工期は2021年2月15日まで。

 同競技場は、サッカーJリーグ・FC町田ゼルビアの本拠地。Jリーグが運用するクラブライセンス制度では、J1の参戦に当たって入場可能人数が1万5000人以上と施設基準が設けられている。市は将来的なチームのJ1昇格を見据え、施設基準をクリアする環境を用意し、クラブを後押しする。競技場の将来構想策定と観客席増設の基本・実施設計は梓設計が担当した。

【瑞穂競技場、仮設含め3・5万人収容に】2026年アジア大会、組織委が開催基本計画案策定

2026年に開かれる愛知・名古屋アジア競技大会の組織委員会は、開催基本計画案をまとめた。競技は最大40種目。会場は県内を中心に35カ所を仮決定した。

 開・閉会式が開かれる瑞穂陸上競技場(名古屋市瑞穂区)は全面改築、レスリングや柔道の会場となる県体育館(名古屋市中区)は移転・新築される。名古屋競馬場跡地(名古屋市港区)に整備される選手村については、23年春の着工を目指すとしている。10月頃に大会組織委員会理事会で正式決定し、11月末までにアジアオリンピック評議会(OCA)へ提出する。

 第20回アジア競技大会開催基本計画案によると、参加人数は選手、チーム関係者ら1万500人、その他OCAやメディア関係者、ボランティアらを合わせ4万人程度を見込む。会場は現状で県内外の35会場を仮決定している。今後、数カ所を追加する予定。開催費用を抑えるため会場の大半は既存のものを活用するが、瑞穂陸上競技場などの新設施設もある。

 瑞穂陸上競技場は、現施設を取り壊し、2層構造(一部1層)収容人数3万席規模の新スタジアムとなる。大会開催時には仮設席を設け3万5000人を収容する予定。総事業費は約610億円が見込まれている。整備は名古屋市がPFI方式で行う。本年度中に実施方針案を公表、20年度内に事業者を選定、23年度着工、25年度完成を目指す。

 県体育館は、現在地から約800メートル北の名城公園北園野球場(名古屋市北区)に移転する。収容人数を現在の約7400人から1万5000人に大幅に拡大する。

 県は本年度中に民間活力を導入するための事業方式、整備スケジュール、公募方法などを決める予定。

 選手村については、県と市が共同で名古屋競馬場跡地約20・7ヘクタールに整備する。本年度中に後利用を含めた基本構想を作成する。収容人数は約1万5000人。住宅など後利用施設を民間活力を導入して整備、大会開催期間中は選手村として活用し、後利用施設以外で選手村に必要な機能は仮設で対応する。22年度第4四半期の着工を予定している。

【現場で働くお父さん「かっこいい!!」】鹿児島建協ら、芦北出水道路現場で「おやじの日」現場見学会

 鹿児島県建設業協会と出水・阿久根建設監督官詰所安全協議会、噂の土木応援チームデミーとマツが、発注者と施工者の家族を対象にした「おやじの日」の現場見学会を3日に鹿児島県出水市で開いた。

 会場は南九州西回り自動車道芦北出水道路の鹿児島3号前田川橋上部工工事の建設現場。子どもたちは仕事場で働く父親の姿を見て、建設業をより身近に感じていた。

 今回の現場見学会は、建設会社の社員、発注者、協力会社の家族に父親の働く姿を間近で見てもらうことにより、社会資本整備や建設業への理解を深めてもらうのが狙い。九州地方整備局鹿児島国道事務所が共催した。

 見学会には51人の子どもたちが参加。安全協議会の青柳徳宏氏が工事の概要を説明した後、参加者は現場へと移動。のり面ぶら下がり体験やバックホウ試乗体験、鉄筋結束体験などを行った子どもたちは「お父さんが橋を造っているなんてすごい。今日のお父さんはかっこいい」と目を輝かせていた。

【47自治体が初参加】マンホールカード第10弾、配布開始

総発行枚数が約414万枚に達する「マンホールカード」の第10弾の配布が始まった。初めて参加する47の地方自治体を含め、61自治体・61種類のカードが登場する。

 マンホールのふたを管理する自治体と、下水道の価値向上と情報共有に取り組む下水道プラットホーム(GKP、長岡裕会長)がカードを共同作成。ふたの写真や位置座標、デザインの由来などを知ることができる。

 国土交通省は自治体と連携し、下水道への関心を高めてもらうための情報を発信。マンホールカードをきっかけに下水道の役割を知ってもらたり、観光で足を運んでもらったりすることにつなげる。

 第1~10弾の累計で全国454自治体が539種類のカードを発行している。カードごとに指定された配布場所に行くと、「1人1枚」を原則に無料で受け取ることができる。配布場所など詳細はGKPのホームページへ。