2024年4月26日金曜日

回転窓/旅と学び

 新型コロウイルスの5類移行後初となるゴールデンウイーク(GW)が、明日から始まる。心待ちにしている人も多かろう▼個人旅行を手掛ける近畿日本ツーリストブループラネットでは、GWの旅行販売高が前年比11%増と伸びている。伸び率を見ると、福井県が前年比3倍超となって全国1位に。北陸新幹線の延伸効果もあり多くの人でにぎわいそうだ▼観光やリラックスなど旅の目的はさまざま。文化人類学者の松村圭一郎岡山大学大学院准教授は「旅する大学」という試みを展開中だ。学びを求める地域から要望を受けて、講師と共に旅に出る▼ウェブメディア「note」での連載によれば、学びを旅行の中心に置いた新しい旅のスタイルとして考えている。地域の人に教わる場面も設けており、新しい学びの場ができれば、何度も行きたくなるはずだと▼手段としての学びばかりが重視される傾向への危機感もあるという。学ぶこと自体の喜びを見つめ直す建設的な提案と連載には記している。鳥取県智頭町で実施する次回企画は予約でいっぱいになったそう。せっかくの連休。自分なりの旅を探しに行くのも悪くない。

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2024年4月24日水曜日

回転窓/スポーツ×まちづくりの可能性

 プロ野球・北海道日本ハムファイターズの新球場「エスコンフィールド北海道」が3月末で開業1年を迎えた。運営会社によると1年目の売上高は251億円となり、札幌ドームを本拠地にしていたコロナ禍前の19年に比べ93億円増収した▼「毎日オープンしているボールパーク」として試合のない日も営業する。ホテルやサウナ、レストランだけでなく、球場ツアーやサマーキャンプ、冬の雪上体験など多種多様なイベントも楽しみに来場する人は多い▼新球場周辺には広大な開発用地も残り、当面は大学や病院などの建設が予定される。札幌や新千歳空港とアクセスする鉄道の最寄り駅が開業する28年には、来場者数で23年(346・4万人)の2倍となる700万人を目指す。今後も運営会社の挑戦から目を離せない▼東京都が19日、築地中央卸売市場跡地の再開発事業者に11者で組成する企業グループを選定した。提案では約5万人収容の全天候・超多機能型スタジアムやMICE施設などを建設する▼エスコンフィールドと共通するのはスタジアムを核としたまちづくり。食のまちがどう進化するのか楽しみが尽きない。

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2024年4月23日火曜日

回転窓/春の月見のお供に

 昔から丸い形は縁起が良いとされている。贈答品やお土産などの菓子類にも丸い商品は数多い。その形から名が付けられ、「月」の文字を含んだものが目立つ▼思い付くままに挙げると、宮城県を代表する銘菓「萩の月」。名の由来は、満月を連想させる見た目と県花の「ミヤギノハギ」から来ているようだ。製造・販売元の菓匠三全(仙台市)のサイトでは、「萩の咲き乱れる宮城野の空にぽっかり浮かぶ名月」をかたどったと紹介している▼まろやかでやさしい風味のカスタードクリーム、ふんわりとした丸いカステラ生地。老若男女に広く好まれる組み合わせは、全国各地で類似品も少なくない▼栃木・那須塩原の出張帰りに先日購入した「御用邸の月」もその一つ。見た目や名前が似ていても味わいや食感などはそれぞれ異なり、旅先で食べ比べてみるのも面白そう▼周期的に満ち欠けする月は古来、不思議な力を持つとされて信仰の対象となり、日本の文化や美意識にも深く関わってきた。あす24日の満月は「ピンクムーン」と呼ばれ、恋愛運をもたらすとも。お気に入りの丸いお菓子をお供に、春の月見を楽しんでみては。

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2024年4月22日月曜日

回転窓/地球環境時代の早生桐

 もうすぐ桐の木が淡い紫色の花を咲かせる時季である。桐は昔から縁起がよく幸福をもたらす花木とされ、身近なもので500円硬貨の表にも描かれている▼桐の材質は軽くてやわらかいが丈夫で、調湿性や耐火性に優れる。日本の気候風土に合い、家屋の内装や家具、下駄、箱などの材料に広く使われてきた▼ここ数年来、地球環境保全の観点から大きく注目されている桐がある。「早生桐」と呼ばれる早生樹の一種で、一般的な桐と比べても成長が早く、わずか5、6年で成木になるという▼特徴は成長の早さだけでない。スギやヒノキと比べて1年間の二酸化炭素(CO2)吸収量は数倍とも言われる。空港会社や電力会社、建設関連会社などがその特性に着目し、各地で実証事業や試験栽培も含めた植栽が行われている。自治体の関心も高く、群馬県安中市は昨年度から植栽に対する補助事業をスタートさせた▼政府が掲げる2050年カーボンニュートラル実現に寄与し、一方で植樹から伐採、供給までのサイクルが短く持続的な林業経営にもつながる。地球環境時代に幸福をもたらす木として早生桐への期待は膨らむ。

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2024年4月19日金曜日

回転窓/災害への備えを

 17日深夜に豊後水道を震源とするマグニチュード6・6の地震が発生した。津波は発生しなかったものの、愛媛県愛南町と高知県宿毛市で震度6弱の揺れを観測。両県で震度6弱以上の地震は初めてで、不安な夜を過ごされた方が多かろう▼政府や地方自治体らは発災直後から対応に追われた。岸田文雄首相は、政府一体となって災害応急対策に全力で取り組むよう指示した▼18日午前時点では、土砂崩れや落石、倒木により一部道路が通行止めとなっている。宿毛市内では水道管が破損して漏水も発生。応急復旧作業が進められている▼今回の地震は南海トラフ巨大地震の想定震源域内だった。不安がよぎるが、気象庁は17日未明の会見で、巨大地震の可能性が急激に高まっている状況にはないとの見解を説明。地震の規模が基準を下回っていることや、地震の発生メカニズムが違うことを理由に挙げた▼どちらにせよ、備えが大事であることに変わりはない。これから梅雨の時期が近づいてくる。自然災害の予測は難しいが、被害を軽減する技術は整ってきている。国土強靱化に向けて事前防災対策をしっかりと推し進めたい。

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2024年4月18日木曜日

回転窓/エアコンも体も夏の備えを

 今週初めはたっぷりの日差しと季節先取りの暖気の影響で気温が上がり、各地で最高気温25度以上の夏日を観測した。慌てて夏服を引っ張り出した方も多かったのではないだろうか▼1週間前の4月10日は、「4運10(しうんてん)」の語呂合わせから「エアコン試運転の日」。日本冷凍空調工業会が制定し、経済産業省や関係団体と共に、エアコンの不具合の有無を早めに点検するよう呼び掛けている▼ダイキン工業によると、まずは冷房の設定温度を最低(16~18度)にして10分ほど運転し、異常を示すランプが点滅していないか確認。さらに約30分運転し、室内機からの水漏れや異音、異臭がないかを調べる。そして異常があれば店舗やメーカーに問い合わせるという試運転の流れを紹介している▼夏場にもし故障が見つかった場合、工事が遅れて冷房を使えない期間が長引く恐れもある。今やエアコンは熱中症予防に欠かせない家電の一つ。試運転は実施率が2~3割にとどまるそうだが、今後重要な夏の備えとなろう▼暑さに慣れていないのはエアコンだけではない。猛暑の夏に耐えられる健康な体づくりも急ぎたい。

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2024年4月17日水曜日

回転窓/幸せと戦争の追憶

 夏のような汗ばむ陽気となった14日の日曜日。この春に入学した近所の中学生らが所属するサッカーチームの試合を観戦するため、南関東の海辺の街を訪れた▼小学生時代の8人制に慣れた選手たちは、大人と同じ広さのピッチと11人制に戸惑った様子。いつもと違う環境に苦労しつつも、はつらつとプレーする姿がほほ笑ましかった▼海からの心地よい潮風に乗って桜の花びらがピッチに舞い込む。子どもと大人たちの楽しげな声が響き渡る観客席にいると、平和の大切さを改めて感じた▼中東では同日、大使館攻撃への報復としてイランがイスラエルへの武力行為に踏み切った。遠く離れた日本でも日常生活への影響が懸念される。対応を協議した岸田文雄首相ら先進7カ国(G7)の首脳は、これ以上の攻撃を行わず、反撃も思いとどまるよう求める内容の声明を出すことに。戦禍の拡大を防ぐ国際社会の行動力が問われよう▼いつの時代も大人が起こした戦争で傷つくのは子どもたち。祖母が幼い頃に聞かせてくれた太平洋戦争での悲惨な出来事を繰り返してはなるまい。身近な幸せのありがたみと合わせ伝えていきたい。

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2024年4月16日火曜日

回転窓/宇宙滞在のレジェンド

 人類が宇宙へ飛び出し、暮らし続けることは可能なのか--。かつてマンガやアニメなど空想世界で思い描いた夢物語は、グローバル規模で官民が協働し実現に取り組んでいる▼宇宙空間での長期滞在は、約400キロ上空で実証されている。現在、国際宇宙ステーション(ISS)に滞在するロシアの宇宙飛行士オレク・コノネンコさんが宇宙滞在の史上最長記録を更新中。これまでの最長記録(通算878日11時間29分48秒)を2月に抜き、6月には通算1000日を超える見通し。最終的に1110日滞在して9月に地球へ帰還する計画だ▼日本人の最長記録保持者は若田光一さん。計5回の飛行で宇宙滞在は通算504日余りに上る。日本人初のISS船長を務めるなど、宇宙開発分野では日本を代表するレジェンドの一人と言えよう▼先月末で宇宙航空研究開発機構(JAXA)を退職した若田さんは、米国の宇宙関連企業に所属し生涯現役を貫く。宇宙滞在記録が今後さらに伸びそうだ▼先週の日米首脳会談によると、日本人の宇宙飛行士が月面に2回着陸する機会が提供されるという。月での街づくりに期待が膨らむ。

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2024年4月15日月曜日

回転窓/浜名湖の旬と酒造り

 静岡県の浜名湖で鮎子の水揚げが始まった。そのおいしい揚げたてを味わえる季節到来である▼今月初めに浜松市を訪れた。料理店でシーズン終盤のカキと旬の鮎子をどちらも天ぷらにしてもらい、2年前に発売された地酒とともに堪能した▼浜松産のコシヒカリと水で造られた地酒「Enshu」は香りも味もよく、小欄が知る日本酒とはまた違ったうまさ。二つの酒造会社から同じ銘柄で浜松パワーフード学会員の店に提供されている▼コロナ禍で消費が低迷していた中、浜松の食用米で新しい酒をつくり、食品ロスを防ぐなど地産地消の取り組みに貢献しよう--。そうした目的で地元の料理人と農家、杜氏(とうじ)が協力し合った▼浜名湖では16年前から建設業や漁業、観光業などの関係者で構成される浜名湖地域舟運都市構想研究会が活動する。業種を超えた連携で貴重な観光資源を生かし、地域の活性化を図るのが狙いだ。浜松での新たな酒造りとも通じるものがある▼「Enshu」の命名者は、徳川宗家19代当主の徳川家広氏(同学会特別顧問)。地域の人たちの思いが結実し生まれた銘酒は、浜松の魅力の一つに加わった。

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2024年4月12日金曜日

回転窓/大阪・関西万博まで1年

 大阪市此花区夢洲で予定されている2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)が13日で開幕まで1年となる。万博協会は同日、魅力を発信するイベントを開催する。会場スタッフの公式ユニフォームも披露する予定だ▼参加する国・地域らが行う公式イベントの第1弾となる116件の発表内容は音楽や舞台、展示、講演などさまざま。多彩な催しで世界の国々らと盛り上げていく▼会場整備を担う建設業界としては工事の進捗が気に掛かるところ。シンボルとなる「大屋根リング」は、木組み構造の約8割が組み上がった。1周約2キロで、9月末に全周がつながる見通し。完成すれば世界最大級の木造建築となる▼パビリオンも続々と着工し、工事が本格化している。自見英子万博担当相は9日の会見で、海外パビリオン建設に対して「開幕までに工事を完了させられるように準備を進めることが重要」と強調した▼博覧会国際事務局の幹部は「準備万端」と太鼓判を押すが、建設業に時間外労働の上限規制が適用されたタイミングで佳境に入る万博工事。厳しい工期の中でも優れた技術を駆使し安全施工に徹してほしい。

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2024年4月11日木曜日

回転窓/銭湯ブームの再燃へ

 自宅近くの銭湯に行くのが最近のルーティンとなっている。隅々まで清掃が行き届いた店内と雰囲気が気に入り、1年ほど前から通い始めた▼全国公衆浴場業生活衛生同業組合連合会(全浴連)の調べによると、2023年の銭湯数(組合加入)は1755軒。この半世紀にわたり減少を続け、1968年のピーク時と比べて1・6万軒以上も減っている▼銭湯を取り巻く環境が厳しい中でも、近頃は「銭湯トレカ」なるものがひそかなブームになっているという。集客アップに向けて京都市内に住む男性が制作。お湯の種類や魅力などを記した手のひらサイズのカードで、これ目当てに銭湯を利用する若者も少なくないようだ▼東京・原宿では17日開業する商業施設「東急プラザ原宿 ハラカド」に銭湯が設置される。東京・高円寺の老舗「小杉湯」が運営し、新たなコンセプトで誕生する都心の銭湯として大きな話題となっている▼銭湯に行くと番台に座る人や他の利用客と交わすたわいもない会話が楽しい。コロナ禍を契機にリモートでのコミュニケーションが広まったとはいえ、そんな日常の社交場を盛り上げていきたい。

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2024年4月10日水曜日

回転窓/国内外の安全・安心に貢献

 イスラエルによるパレスチナ自治区ガザ地区への攻撃で、世界銀行と国連はインフラ被害額が1月末時点で約185億ドル(約2兆8000億円)に上ったとする報告書を2日公表した▼最も物的被害が大きい住宅は被害額の72%に達し、100万人以上が家を失った。教育システムは崩壊し、子どもたちの全員が学校に通えていない。かろうじて残った公共サービスの施設は電気や水などが不足し、医療システムも崩壊寸前にある▼ロシアによるウクライナ侵攻も長期化している。こうした世界の戦禍は日本にとっても対岸の火事ではない。「戦後最も厳しく複雑な安全保障環境」に直面しており、いつ紛争に巻き込まれないとも限らない▼政府は1日、防衛力を強化するため「特定利用空港・港湾(特定重要拠点)」に7道県の16施設を決定した。滑走路の延伸や大型艦が接岸できる岸壁の整備などが進められる予定だ▼つい2カ月前には国土交通省がウクライナ地方・国土・インフラ発展省と官民によるインフラ復旧協力に向けた覚書を交わした。国内外での整備を通じ、安全・安心な社会の実現に貢献する建設業の役割は大きい。

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2024年4月9日火曜日

回転窓/旬を味わう食文化

 春に旬を迎える食材を楽しむ方も多かろう。居酒屋などのおすすめメニューにも、この時期に採れる山海の幸を使った一品が並ぶ▼冬の寒さに耐えてきた春野菜は栄養をしっかりと蓄え、特有の苦みを持つものも少なくない。暖かくなって他の生き物の動きが活発になり、外敵から身を守るために苦みの成分を多く含む。その苦みは体の新陳代謝を促すそう▼先日訪れた飲食店で季節の天ぷらを注文し、タケノコとアスパラガス、サクラエビが入ったかき揚げをいただいた。それぞれの旬の食材が持つおいしさを一度に味わえ、春の味覚を堪能させてもらった▼サクラエビの国内水揚げは静岡の駿河湾のみ。資源保護のため、漁期は3月中旬~6月初旬の春漁、10月下旬~12月下旬の秋漁の年2回となる。2018年以降は不漁続きだったが近年は回復傾向にあり、今年の春漁もまずまずのようだ▼〈おらが世やそこらの草も餅になる〉(小林一茶)。最新の生産施設で季節に関係なく食材が手に入る現代だが、育つ場所や時期が変われば香りや味、栄養価も異なる。自然や季節を感じながら旬を味わう食文化は残さねばならない。

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2024年4月8日月曜日

回転窓/「20××年問題」への対応

 建築評論家の馬場璋造氏(1935~2021年)は、00年2月4日付本紙に「建築界のパラダイムシフトの行方」と題した文章を寄せている。冒頭に書いたのはコンピューターの誤作動が懸念された「2000年問題」のこと▼「1900」の上2桁を省略した結果がこの問題であり、当時起きた東海村のウラン加工施設臨界事故なども関係者に省略の意識が働いているからだと指摘。知恵を省略の方に向けてはいけないと警鐘を鳴らした▼建設・不動産業は幾たびか「20××年問題」に直面してきた。オフィスの供給過剰でテナント獲得競争が激化する「2003年問題」。世界的な金融危機などを背景にオフィス需要が減退する「2010年問題」も取り沙汰された▼団塊世代の大量退職が始まる「2007年問題」も記憶に新しい。これを契機に技術・技能の継承が喫緊の課題として広く認識されたと言えよう▼4月から建設業に時間外労働の罰則付き上限規制が適用された。いわゆる「2024年問題」では、さまざまな知恵を集約しながら継続的な取り組みが必要だ。建設業のパラダイムシフトが本格化していく。

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2024年4月5日金曜日

回転窓/チェーンと個人店

 玩具などを扱う地元の個人商店が3月末で閉店した。60年以上続いていたが、街づくりが進む中で移転を余儀なくされ、賃料が上昇している状況での事業継続は難しいと判断したようだ▼最終日に立ち寄ると常連客や親子連れで行列になっていた。インターネット上に商品一覧などは出しておらず、掘り出し物を探しにマニアも来ていたよう。前に並んでいた中年客は数万円の商品を買っていった▼地元では大型商業施設が今月オープンするが、全国展開のチェーン店ばかりが並ぶ。物価や賃金の上昇が向かい風となり、個人経営がより一層厳しくなっているというのが一般的な見方か▼とはいえ大手以外にも行列になる店はある。ある再開発ビルでは当初想定していなかった高級食材店が入居。不安の声もあったようだが、ニーズが合致し連日にぎわっているそう▼社会や環境に配慮する「エシカル消費」や、共感などを重視する「エモ消費」が広がっている。地域に根差した多彩な個人店と、均質なサービスを得られる大手チェーンでは役割が異なる側面もあろう。特長を生かしてどちらも発展していく街づくりを期待したい。

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2024年4月4日木曜日

回転窓/若手成長への環境づくり

 プロ野球のセ・パ両リーグが先月29日開幕した。今年は日本のプロ野球誕生から90年の節目の年。特別展示などの企画も楽しみだが、記念ロゴ入りのキャップを着用した選手たちのはつらつとしたプレーに期待している▼日本のプロ野球は65年にわたって12球団で行われてきたが、今季からファーム・リーグ(2軍戦)が14球団に拡大。ウエスタン・リーグに静岡市が本拠地の「くふうハヤテベンチャーズ静岡」、イースタン・リーグに独立リーグで戦ってきた「オイシックス新潟アルビレックス・ベースボール・クラブ」の2球団が加わった▼2軍戦には将来有望な選手が多数出場する。これまで球団がなかった地域の子どもたちにも高い技術やスピード感あふれるプレーを披露し、スポーツの醍醐味(だいごみ)を伝えてもらいたい▼ここ数年、2軍本拠地を移転・再整備するなど、育成拠点を充実させる球団が多い。若手選手の成長を後押しし、チーム力の強化を図るのが狙いだろう▼新年度に入り建設産業も有望な若者たちを迎えた。企業力や施工力を担う人材に成長してもらうため、これからもさまざまな環境づくりが欠かせない。

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2024年4月3日水曜日

回転窓/眼鏡から見る桜

 〈見えないモノを見ようとして 望遠鏡を覗(のぞ)き込んだ〉。メンバー全員が千葉県佐倉市出身のバンド、BUMP OF CHICKENのヒット曲「天体観測」の歌詞にその一節がある▼曲は2001年のリリース。聴いた人によって連想する場面や印象が異なるという歌詞と、爽快なメロディーは今も人気だ。有名音楽チャートではストリーミングの累計再生が22年に1億回を超えた▼趣味で手元が見えにくく難儀するようになり、先日、眼鏡を初めて購入した。ピントが合わず見えづらかった距離の文字もはっきりと認識でき、感想は驚きより感動に近い▼これまで幸いにも眼鏡とは無縁の生活だった。掛けた姿を人に見られるのを気恥ずかしくも思ってきたが、もっと早く手にすべきだったと後悔しきり。趣味だけでなく原稿の作成や記事の校正にもう手放すことはできない▼佐倉市の佐倉城址公園は桜の名所として知られる。千本以上の桜が咲き誇る花景色は、幼い頃に訪れた記憶のままきっと美しいだろう。今週末にも新しい眼鏡を持って見に出掛けたい。年月を経て自分がどれだけ変わったのか観測できるかも。

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2024年4月2日火曜日

回転窓/沸騰化時代の衣替え

 3月最後の土日は半袖のTシャツ、短パンにサンダルなど夏服姿の方をよく見掛けた。春を通り越し、一気に夏が来たかのような暑さに衣替えも追い付かないほど。各地で25度以上の夏日となり、3月として観測史上最高気温を記録したところも▼暖冬でサクラの開花時期は例年より早まるかと思いきや、天候不順で当初予想より遅れた地域が少なくない。この季節外れの暑さでサクラのつぼみも成長し、開花宣言が相次いだ▼気象庁が奈良や水戸、前橋などの開花を3月31日に発表し、高知は全国で今年初めて満開に。いずれの発表時期も去年と比べて1~2週間ほど遅いという▼「四月一日」の名字を「わたぬき」と呼ぶ由来は、冬に防寒として着物に詰めた綿を旧暦の同日に抜いていたから。現在の5月上旬に行われていた昔の慣習だが、温暖化の進展で衣替えの時期が早まっているのは確かだろう▼「地球沸騰化」のキーワードが話題に上った昨年は、世界的に観測史上で年間平均気温が最も高かった。温暖化による気候変動は地域の暮らしや風習にも大きな影響を与える。あらゆる策を講じて沸騰を抑え込まねばならない。

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2024年4月1日月曜日

回転窓/どんな時も一人ではない

 競泳の池江璃花子選手(23)がパリ五輪代表に選ばれ、3大会連続の出場を決めた。先月の代表選考会で女子100メートルバタフライ決勝後に話した「水泳も、きついことも楽しいと思える日をどんどん増やしたい」(時事)のコメントが頼もしく、五輪での活躍が期待される▼白血病を克服し、実戦復帰したのは4年前。翌年の東京五輪に出場するが、五輪の個人種目で戦うのは2大会ぶりとなる。心からエールを送りたい▼10代で長期療養を余儀なくされた。日本のトップスイマーに返り咲くまでにどれほどの努力を重ねたのか。強い意志を持ちつつも不安な日々であったかもしれない▼きょう1日は各地で入社式や入庁式が行われる。新社会人の皆さんは期待と不安が入り交じった心境だろうか。一人で悩みを抱え込まず、周りの人に相談し支えてもらう。そう思えることもこれからの社会人生活ではきっと大きい▼池江選手は以前、〈応援してくださる皆様へ〉とこんなメッセージをつづっている。「どんな時でも1人ではない事を忘れません」(オフィシャルサイトより)。支えてくれる多くの人の思いと一緒に臨む五輪であろう。

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2024年3月29日金曜日

回転窓/上昇の新年度へ

 親子連れや杖をついた高齢者、車いすの人たちがすいすいと乗り込んでいく。宇都宮市などで昨年8月に開業した次世代型路面電車(LRT)の光景だ。予測を上回るペースで利用され、2月に200万人を突破した▼国土交通省が26日発表した2024年の公示地価では、LRT沿線の居住環境が良好な住宅地を中心に高い上昇となった。ウオーカブルな街のシンボルとして全国の注目を集める▼全用途で上昇率1位は熊本県大津町の商業地の地点。台湾積体電路製造(TSMC)が同県菊陽町に半導体工場を建設した影響で、隣接地域を含め多岐にわたる需要が盛り上がっている▼ただ、すべてが右肩上がりではない。石川県珠洲市の地点は、商業地で最も下落率が高かった。能登半島地震の影響は反映されておらず、人口減少などもともとの厳しい状況が背景にある▼地域の魅力向上は容易ではないが、戦略的な取り組みが花開いていることも事実。値段が上がることに翻弄(ほんろう)されるのではなく、価値と共に価格を上げていくのがあるべき姿。成長が当たり前の時代を目指し、前向きな気持ちで新年度を迎えたい。

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2024年3月28日木曜日

回転窓/イカキングの価値

 動画を2倍速で視聴する人が増えているという。短い時間でより多くの情報を得たい気持ちは分かるが、話し方や会話の間を「無駄」として省くようでどうも馴染めない▼石川県能登町の海沿いにあるスルメイカの巨大なモニュメント「イカキング」は、1月の能登半島地震で津波にさらされながらもほぼ無傷で残った。かつて「無駄遣い」と批判を浴びたが、復興に向け住民の心を支えている▼同町の能登小木港は「日本三大イカ釣り漁港」で知られる。盛んなイカ漁をPRしようと、特産のスルメイカを全長13メートル×幅9メートル×高さ4メートルの大きさでリアルに再現した▼観光施設「イカの駅つくモール」に設置されたのは2021年3月。製作費に新型コロナウイルス対策の臨時交付金約2500万円が充てられたため、コロナ対策とは無関係な支出として国内外で報じられた。だが多くのメディアに取り上げられたことで観光客が増え、予想以上の経済効果が生まれたそうだ▼限られた財源を有効に活用するのは大前提だが、一見無駄のように見えるものにも代えがたい価値があったりする。無駄を楽しむ豊かさにも目を向けたい。

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2024年3月27日水曜日

回転窓/北アの山小屋のインフラ投資

 北アルプス(北ア)の南部にそそり立つ槍ケ岳の山域にある民営の山小屋が、公衆無線LANの導入を検討している。有料サービスを想定し、登山者などへの意向調査を開始した▼3000メートル級の山がそびえ立つ北ア。大手キャリアが基地局を設けているものの、大勢が行き交う盛夏は電波が飛びながらも通信が難しくなることが少なくない。非常時の連絡手段が補完されることにもなり、既にサービスの導入を期待する声が挙がっていると聞いた▼国土交通省が地方整備局舎や出先事務所などに設置された通信鉄塔の耐震強化に取り組んでいる。耐震性が不足する施設が確認され、ある整備局は鉄塔の廃止・統合を含めて対策を検討していくという▼鉄塔は、大規模災害の被害状況などをデータの送受信で確認・収集する多重無線回線を保つ役割を担っている。電話回線や光ファイバーが遮断されるような深刻な事態への備えになるだけに、対応を急ぐそう▼雪に閉ざされてきた北アも4月に入れば山小屋が次々に運営を再開する。地上も山も通信機能が増強されるに越したことはない。必要なインフラ整備の進展を期待したい。

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2024年3月26日火曜日

回転窓/新たな聖地誕生

 世界的にも高く評価される日本のマンガやアニメ。無数の人気作品を世に出してきたマンガ雑誌『週刊少年ジャンプ』(集英社)の中でも、「Dr.スランプ」「ドラゴンボール」を描いた鳥山明さんの知名度は群を抜く▼多くの国で作品が翻訳され、ファンは世界中に広がる。今月1日に急逝した鳥山さんの訃報を、国内外のメディアが大きく取り上げた。国を越えて老若男女を魅了し、社会・文化にも大きな影響を与えた希代のクリエーターの死を悼んだ▼数十年前に中国で知り合った大学生の中に、鳥山作品の熱烈なファンがいた。ストーリーを深く理解するために日本語を学んでいるのだと熱く語っていたのが懐かしい▼「ドラゴンボール」のテーマパークがサウジアラビアのエンターテインメント都市に建設される。先週22日に東映アニメーションが発表。作品に登場する建物やキャラクター「神龍(シェンロン)」をモチーフにしたアトラクションが造られるという▼日本発のサブカルが他国でも観光資源として注目され、絶大な人気を誇る作品の集客効果への期待は大きい。ファンが集う新たな聖地が中東に誕生する。

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2024年3月25日月曜日

回転窓/ゴルフを通じた学び

 プロゴルファーの青木功氏には「自分の先生」と信頼し親交を深めたアマチュアゴルファーがいる。「プロより強いアマチュア」と呼ばれた中部銀次郎氏(1942~2001年)である▼中部氏は日本アマチュアゴルフ選手権で優勝6度など輝かしい戦績を残し、ゴルフに向き合う姿勢や考え方が今も多くの人に支持されている。亡くなって20年以上たつが、自著を含めた関連書籍などでその人物像を知ることができる▼プロとして駆け出しのころ、試合の大詰めでボールが曲がり勝てないでいた青木氏は、同い年生まれの中部氏からアドバイスを受ける。これがきっかけとなって初優勝を飾り、日本を代表する名プレーヤーとなっていく▼コロナ禍を契機にゴルフ人気が高まっている。なかでも若い世代にゴルフを楽しむ人が増えたと言われ、関連業界には明るい話題だ。これからも人気継続のためにさまざまな取り組みが求められよう▼中部氏の語録や文章を読むと、普段の仕事などにも通じるものが多い。〈もっと深く、もっと楽しく〉は自著のタイトル。ゴルフに限らず、そうした心持ちが大切であると教えてくれる。

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2024年3月22日金曜日

回転窓/マイナス金利解除

 日銀が19日、マイナス金利政策の解除を決めた。2007年以来17年ぶりの利上げであり、日本経済の再生を後押しすることになるのか。大きな正念場を迎えている▼24年春闘では、大企業を中心に賃上げが進む方向となった。日銀は、賃金と物価がともに上昇する好循環を確認し、2%の物価上昇目標の持続的・安定的な実現が見通せると判断。大規模な金融緩和は役割を果たしたと評価した▼三菱UFJ銀行らは同日、普通預金金利を引き上げると発表した。預金者からすればメリットになる一方、借り手側には負担増になる。帝国データバンクの分析によれば、借入金利が1%まで引き上げられたとすると企業の7%が赤字転落する見通しという▼方針転換による影響は当然生じるが、異例の金融緩和をずっと続けるわけにはいかない。「今後到来する金利のある世界に備えた意識の変革が企業にも強く求められる」と同社は訴える▼岸田文雄首相は、「デフレからの完全脱却と新たな成長型経済への移行に向けてあらゆる手段を総動員したい」と強調した。前向きの変化と捉え、好循環の歩みを強めていかなかればならない。

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2024年3月21日木曜日

回転窓/2011年生まれの卒業式

 近所の小学生と保護者らが登校前に、公園で写真を撮影していた。卒業式を間近に控えた6年生の思い出の写真を残そうとのこと。卒業する児童を兄弟姉妹らが囲み、「おめでとう」と声を掛ける姿がほほ笑ましかった▼成長して6年間背負い続けたランドセル姿もこれで見納めかと感傷に浸る保護者のそばで、子供たちは卒業式の髪形や進学先の中学校の制服の話で盛り上がっていた▼卒業式が近づく中で、小学校の校長や担任の先生が児童らに災害の話をよくしてくれたという。能登半島地震が発生した年に卒業するだけでなく、6年生の多くが東日本大震災のあった2011年生まれのためだ▼先生たちは災害への備えに加え、「思いやり」や「感謝の気持ち」を持つことに言及。マスクを着用し、周りとの会話が制限されたコロナ禍も経験した卒業生らに、人とのつながりの大切さを伝えて送り出したかったようだ▼公園で写真を撮り終えた6年生が「今日までありがとう。みんな頑張れ!」と発した言葉から、恩師の教えがしっかり伝わっていることがうかがえる。これから出会う人たちとのつながりも大事にしてほしい。

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2024年3月19日火曜日

回転窓/能登の春遠からじ

 冬の寒さが和らぎ、外出時の服装は防寒の厚着から薄着に変わりつつある。気温が上がり、各地では春の訪れを告げるサクラの開花がこれから本格的に進む▼春の陽気で身も心も軽くなると、うちにこもらず、外に出かけたくなるのが人の行動心理だろう。花見の名所などの観光地には、待ちに待った行楽シーズンが到来する▼先週末の16日、北陸新幹線で富山・石川方面に出張で訪れた。始発の東京駅から乗車すると、連休でもないいつもの土日ながら自由席はすぐ満席に。途中駅の上野、大宮からの乗客も加わり、通路には人があふれ、車両内を行き来するのも大変な状態だった▼金沢~敦賀の延伸区間開業に加え、旅行代金が割り引かれる「北陸応援割」が始まった効果かと思いきや、半分以上の乗客は途中の長野辺りまでに降車。他の車両の状況は分からないが、服装や荷物などからスキー・スノボーや登山が目的の方が多かったようだ▼冬来たりなば春遠からじ--。厳しい冬が来ても、暖かな春は必ず訪れる。今はつらく、大変な状況が続く能登半島地震の被災地だが、この先には復興という明るい未来が待っている。

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2024年3月18日月曜日

回転窓/点字ブロックの歴史を知る

 きょう3月18日は「点字ブロックの日」。1967年のこの日、岡山市内に世界で初めて敷設されたことにちなんだ記念日である▼発明者は三宅精一氏(26~82年)。視覚障害者が交差点で道路を横断しようとしていた時、車が横を勢いよく走っていくのを見て「はっ」とし、点字ブロックの構想が浮かんだという▼開発経緯や普及への歩みは安全交通試験研究センター発行『白浪に向いて 三宅精一を語る』(83年、岩橋英行著)に詳しい。三宅氏は中途失明する著者との親交を通じて、視覚障害者が安全に歩けるための構想実現へ試行錯誤し開発に成功する▼それから半世紀以上がたち、歩道や駅ホームなどに設置された点字ブロックは、視覚障害者の歩行に欠かせない社会インフラとなっている。だがその上に荷物や自転車などが置かれていたらどうなるのか。誰もが容易に想像できよう▼著者は発行前年に亡くなった三宅氏にヘレン・ケラーの言葉を手向けている。「あなたのランプの灯を、今少し高く掲げて下さい。見えぬ方々の行く手を照らすために」。後世に伝えていかなければならない点字ブロック誕生の歴史がある。

source https://www.decn.co.jp/?p=161934

2024年3月14日木曜日

回転窓/食物繊維25グラムに挑む

 朝食は野菜から食べ始める「ベジファースト」を実践している。最初に野菜を食べるだけで、食事内容を変えず手軽にダイエットできるとの触れ込みで始めたが、現実はそう甘くないようだ▼厚生労働省の有識者検討会が2025年に改定する「日本人の食事摂取基準」案で、新たな栄養素などの摂取基準量を示した。この中で「少なくとも1日当たり25~29グラムの食物繊維の摂取が、さまざまな生活習慣病のリスク低下に寄与する」と指摘している▼より多くの摂取で病気になるリスクを減らせるとの研究もあり、成人には現行基準より1グラム多い1日当たり25グラム以上の摂取を推奨した。これは一般的なトマトで約17個分、食物繊維が多いゴボウでも約2・5本分に当たる▼毎日の食事だけで推奨値をクリアし続けるのは難しい。食物繊維が豊富な食材を摂るだけでなく、健康食品やサプリメントの適切な活用なども求められる▼国民の健康や栄養調査に基づき食事摂取基準は5年ごとに改正される。体を大切にしてこそ仕事や遊びも楽しめる。ベジファーストは続けつつ、新年度を前に健康維持への日々の取り組みについて考えよう。

source https://www.decn.co.jp/?p=161826

2024年3月13日水曜日

回転窓/温かいお別れ

 近所の少年サッカーチームでベテランコーチとのお別れ会が先日開かれた。言葉が厳しいせいか、低学年の選手や保護者には誤解されやすい一面があったのだという▼高学年になるにつれて慕う選手が増えていくコーチで、「小さいころ嫌いだったけど今は好き。褒められるとうれしい」と話す6年生の何人かが別れを惜しんで涙を流していた。厳しくも的を射た指摘に納得してきた保護者からは感謝の言葉が相次ぎ、温かい思い出になった▼今年も季節柄、別れの連絡をいただくのが増えた。「少しのんびりするつもりです」。交通運輸系のメディアを離れる公私でお世話になった記者からのメールに、そう書き添えてあった▼異動、転職、退職など、さまざまな事情で4月から環境が変わる人は多い。身近な人には出会いに感謝し、これからの活躍を願って「どうぞお元気で」と送り出したい▼サッカーチームのお別れ会で、ベテランコーチの職業は漁師であり、早朝の仕事を終えてから指導していたことが初めて明かされた。知らない一面ばかり。いずれ別れの時が来るなら、お互いを知る機会をもっと増やしていきたい。

source https://www.decn.co.jp/?p=161786

2024年3月12日火曜日

回転窓/不適切な「××」

 1月からTBS系で放送中の金曜ドラマ『不適切にもほどがある!』。取材先との雑談などでもよく話題に上り、特に昭和世代の視聴者の多くがはまっているという▼主人公の体育教師が1986(昭和61)年から現代へタイムスリップし、出会う人たちとの絆をコメディータッチで描く。不適切発言やハラスメント連発の「昭和のおじさん」の極論が、コンプライアンスで縛られた現代人の価値観を揺さぶるのも見どころだ▼昭和から令和へと時代が移る中で変わっていいこと、変えずに守るべきことは…。ドラマでは多様性が尊重される現代社会で、異質なものを認めようとしない矛盾も示唆する▼生まれ育った時代や社会環境の違いにより、世代間の文化や考え方などに隔たりが生じるジェネレーションギャップ。70代後半の団塊の世代から10~20代前半のZ世代まで、幅広い年齢層が交わる社会での正論は一つに収まらないだろう▼働き方改革や人材育成もしかり。働き手の考えが千差万別なのに、一律的なルール・価値観で多様な働き方や学び方に制限をかけては、人も経済も持続的成長が望めないのではないだろうか。

source https://www.decn.co.jp/?p=161752

2024年3月11日月曜日

回転窓/ラジオ放送の共感性

 ラジオの聴取者はリスナーと称される。テレビにはこうした聞き慣れた言葉が見当たらず、ラジオ好きな人たちを総じた呼称とも言えよう▼1925年に日本のラジオ放送が始まってから来年で100年を迎える。当時は関東大震災(23年)を契機に高まったラジオへの期待が放送開始への後押しとなった。現在も災害時のメディアとしてラジオが果たす役割は大きい▼毎日放送の大牟田智佐子さんが『大災害とラジオ』(ナカニシヤ出版)に書いている。ラジオの災害放送は被害や生活に関わる情報を伝えるだけでなく、被災者らがいつものパーソナリティーの声を聞いてほっとするなど、特性の一つに〈共感〉があるという▼AMとFMとでは違いが見られ、例えばAMはリスナーの声を拾い上げて交流し、FMが音楽や日常の話題で安心を届ける。リスナーの置かれた状況に寄り添い共感して励ましなどを提供するもので、大牟田さんはこれをラジオの〈共感放送〉と呼ぶ▼民間ラジオ放送事業者がAM放送を終了し、FM放送への転換などを検討している。災害時に限らずこれからも大切な共感性はどうか失われないでほしい。

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2024年3月6日水曜日

回転窓/隣家に来た職人

 隣の一戸建て住宅で修繕工事が始まった。前日にはベテランと若手の職人が社名入りのタオルを持ってあいさつに。作業内容とスケジュールに関する説明が丁寧で分かりやすく、隣人としてこれなら大丈夫だろうと安心できた▼現場からは板材の加工やビス打ちなどの作業の合間に、心地よいやりとりが聞こえてくる。「(板材の)7号持ってきて」「置いてあります」。「あの角は測った?」「そこに書いておきました」▼そんな二人の会話だけで生産効率は極めて高いのだろうなと思えてしまう。「木くずが飛んでしまったので拾わせてください」と話しに来た若手に聞くと、職人になって2年目なのだという▼週末に仕事をしているので「お休み取れてる?」とも尋ねると、施主宅の駐車場を部材の加工などに使うため、車のない時間が長い日を中心に作業しているのだそう。「今は平日に休みをもらってます」と教えてくれた▼新しい公共工事設計労務単価が公表された。引き上げは12年連続で民間工事への波及も期待されている。「お給料は上がりそう?」。余計なことと承知の上で、今度話せた時にこっそり取材してみよう。

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2024年3月5日火曜日

回転窓/多様な焼き鳥文化

 梅や寒桜が関東各地で見頃を迎えている。近くの公園では早咲きのオカメザクラが満開となり、肌寒い中でも花をめでながら酒宴を開く方々がおられた▼酒宴の一団はガスコンロを持ち込み、鍋や鉄板でいろいろ調理していた。おいしそうな匂いに誘われて料理の話を伺うと、ひときわ目を引いたのは鶏皮肉を甘辛のタレで焼き上げた「今治焼き鳥」。愛媛県今治市出身の方が地元料理を振る舞ったようだ▼今治焼き鳥は熱々の鉄板の上で、大きな鉄のコテを使って肉を押さえながら豪快に焼く調理スタイル。市のホームページによると、商売人が多く、せっかちで待つのが嫌いな気質と言われる今治の人を満足させることから、約50年前に考案されたという▼日本焼き鳥協会では〈1〉畜産物(野生含む)の肉・内臓等を使用〈2〉食べやすい大きさに加工し串に刺す〈3〉塩・タレ等で焼き上げる-の3条件を満たしたものを「焼き鳥」「やきとり」と定義する。串に刺さないスタイルでも、今治のように地域の文化とされる場合は認定の対象となる▼酒のお供で定番メニューの焼き鳥。今夜も1軒立ち寄り、日本文化の味を堪能しよう。

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2024年3月4日月曜日

回転窓/街の表情と舗装

 会社に近い飲食店街を歩き、いつもとの違いにすぐ気が付いた。両サイドを店に囲まれた道路が明るいカラーアスファルト舗装に打ち換えられている▼朝に通るとごみが散乱して雰囲気も暗く、普段からお世辞にもきれいとは言えない一画であった。それが新しい舗装で周囲の印象も大きく変わったように感じるから驚きだ。舗装が街の表情を豊かにしてくれた好例だろう▼中央官庁による景観施策は1980年代から本格化していく。その中で当時の通商産業省(現経済産業省)は学識者や画家、旅行ジャーナリストらで構成する景観材料研究会を設置(88年)。検討成果が『街の素材-美しい景観をめざす“もの”づくり』(90年)にまとめられている▼この頃に景観材料への関心は高まりを見せる。〈いいものは、いい材料があり、いい職人がいないと造れない〉。同研究会で委員長を務めた学識者の言葉が思い出される▼2005年6月に景観緑三法が全面施行となるが、今から30年以上前にいい景観をつくるための素材にも官民の目が向けられていた。現在は景観舗装もバリエーションが豊富で一層の普及が期待される。

source https://www.decn.co.jp/?p=161521

2024年3月1日金曜日

回転窓/能登半島地震から2カ月

 能登半島地震で被災した能越自動車道のうち、のと三井IC~のと里山空港IC間で2月27日、対面通行が再開された。応急復旧だが被災地に大きな力となる▼国土交通省北陸地方整備局金沢河川国道事務所は「一歩ずつ確実に」とのハッシュタグを添えて復旧状況をSNS(インターネット交流サイト)に投稿。「土砂に雪に…本当に大変。心から感謝申し上げます」とコメントが寄せられていた▼きょうで発災から2カ月。住宅再建や主要インフラの全面再開には至っておらず、復興への道のりは遠い。被災地に明るさを取り戻すため地道に歩みを進める必要がある▼土木学会は災害時に根幹的な役割を担う幹線道路について、復旧の容易さなどを考慮した構造・工法を検討すべきだと指摘している。災害が起きても機能維持できる高規格インフラがあれば安心して人が集う▼北陸新幹線の金沢~敦賀間が16日に開業する。地域活性化への寄与と同時に、安定したネットワークとしても大きな意味を持つ。石川県は開業日に観光支援策「北陸応援割」を始める。被災地の再生を願いつつ、春の北陸を訪れてみてはどうだろうか。

source https://www.decn.co.jp/?p=161452

2024年2月29日木曜日

回転窓/100年先も見た使命

 東京都台東区内の柳が植えられた建物の前を通るのが散歩の定番コースとなっている。落語家・林家正蔵師匠の自宅で、父林家三平師匠の資料館「ねぎし三平堂」でもある。現在はリニューアルのため閉館中だが、再開を楽しみに待ちたい▼東京の落語家や講談師らでつくる「落語協会」が25日に創立100年を迎えた。1923年の関東大震災で多くの寄席が焼失し、ばらばらで活動していた落語家たちが団結し翌年に発足した▼落語家は活躍の場が寄席からラジオ、テレビへと広がり、近年ではインターネットを介した新たなメディアにも。各時代の名人たちが芸を守り革新してきた歴史だったのだろう▼「こんなにうれしいことはない。お客さまに喜んでもらうことでしか恩返しできない」と会長の柳亭市馬師匠。100年先のお客さまに応えられるよう良い芸を提供していくのが使命とも語る▼建設業は相次ぐ災害への対応や需給の変化など幾多の困難を乗り越え、創業から1世紀を超える企業も多い。市馬流に言えば、100年先のニーズにも応えられるよう高品質の建造物を提供していく建設業の使命はこれからも不変だ。

source https://www.decn.co.jp/?p=161414

2024年2月28日水曜日

回転窓/LRTで変わる地域づくり

 宇都宮市と栃木県芳賀町を結ぶLRT(次世代型路面電車)の宇都宮ライトレールの開業から半年が過ぎた。国内初の全線新設、75年ぶりの路面電車などと話題を集め、地域の期待を背負って2023年8月26日に運行が始まった▼利用者はほぼ想定通りに推移。土曜や休日は想定の2倍以上の人が乗降することもあり、「自分の力で乗りやすい、利用しやすい公共交通」(佐藤栄一宇都宮市長)として地元の人たちや観光客らに親しまれている▼宇都宮駅からは西口方面への延伸が計画され、25年度にも国に軌道事業の特許申請を行う動きがある。市は延伸関連の費用を24年度予算案に計上した▼予算案を発表した記者会見で佐藤市長は「人口減少に対応できる都市基盤を今のうちに造っておきたい」と話した。「人口が当初より減る予想」という強い危機感が念頭にあり、「財政事情に満足せず、打って出たい」とまちづくりに意欲を見せる▼宇都宮ライトレールの車両は「(未来への)光の道筋」との思いを込めて「ライトライン」の愛称で呼ばれる。地域の顔となった新しい公共交通が次代のまちづくりをけん引していく。

source https://www.decn.co.jp/?p=161380

2024年2月27日火曜日

回転窓/戦争と建設

 ロシアの文豪、トルストイの傑作とされる長編小説「戦争と平和」。フランスの皇帝ナポレオンによるロシア遠征など19世紀前半の史実を踏まえ、ロシアの貴族や庶民の人間模様を描きつつ、生きる喜びや豊かな人生の在り方を示す▼世界中で読み継がれる文学作品の一つだが、登場人物は559人に及び、ストーリーが複雑に入り組んで難解とされる。それでも題名にある戦争への批判的な姿勢はうかがえる▼2年前に開始されたロシアによるウクライナ侵攻が今も続いている。多くの人たちが犠牲となり、悲劇しか生まない戦争を繰り返す人類史にピリオドを打つのはなかなか難しいようだ▼先週、国土交通省はウクライナ地方・国土・インフラ発展省との間で、同国の復旧・復興支援などの協力覚書を交わした。対象分野は鉄道・道路・空港・海上輸送、道路管理、観光、住宅、ダム、上下水道、都市・国土計画、建設業の法規制と幅広い。ワークショップや会合を通じて情報交換を進めるという▼人々が安心・安全に暮らせる平和な社会を築く上でインフラは不可欠。戦禍で荒廃した国土の再生で建設産業が果たす役割は大きい。

source https://www.decn.co.jp/?p=161352

2024年2月26日月曜日

回転窓/教育界の変化

 東京大学が文系と理系を融合した5年制の新たな教育課程の創設を目指している。学士課程と修士課程の一貫カリキュラムで、2027年開設を予定。秋入学とすることで世界から学生を受け入れやすくする▼名称は「カレッジ・オブ・デザイン(仮称)」。社会システムの変革を含めた広義の意味でデザインを再定義し、人文学や社会科学、工学など分野をまたいだ学びを展開する。社会変革の担い手となる次世代リーダーの育成が目標だ▼SDGs(持続可能な開発目標)など、多様な社会課題の解決が求められる現代。新たな枠組みで輩出される人材は企業にとっても魅力的なはず▼新課程は1学年100人程度。学生全体からすると少数だが、大学教育の多様化といった観点から影響を与える可能性がある。秋入学が広がれば就職・採用はもちろん、社会全体に変化が及ぼう▼新人研修など組織が一斉に行ってきたことも従来通りいかなくなるかもしれない。多様な人材に活躍してもらうには、これまでと違うことを否定せず、許容する度量の広さも必要。次世代のリーダーを呼び込むため、建設業界も柔軟な姿勢が求められる。

source https://www.decn.co.jp/?p=161288

2024年2月22日木曜日

回転窓/学生時代の思い出

 母校の柔道場が解体されることになり、先日のお別れ会に出席した。50年にわたる歴史を持つ道場に多くのOBが集まり、在学中のつらく苦しかった稽古や合宿などを懐かしみながら会話が弾んだ▼老朽化を理由に京都大学が学生寮「吉田寮」の現棟(京都市左京区)の明け渡しを寮生に求めた訴訟の判決が16日、京都地裁であった。裁判長は現在入居中の寮生の一部に居住の継続を認めた▼現棟は1913年完成の木造2階建てで、利用されている日本最古の学生寮。相部屋でトイレや炊事場、風呂場も共同。月2500円程度で住むことができるという▼京大は2017年12月に「大地震で倒壊する恐れがある」などとし、寮生らに18年9月までの退去を求めた。寮生側は「現棟の補修工事を行うことで合意していたのに一方的に退去を迫られた」などと反論。京大に訴訟を取り下げ、話し合いで解決するよう要求していた▼1月1日に能登半島地震が起きたばかりだけに、老朽化し耐震性の低い現棟をこれからどうしていけばいいのか。何より学生時代に住んだ寮の思い出が大学との裁判で占められてしまってはさみしい。

source https://www.decn.co.jp/?p=161222

2024年2月21日水曜日

回転窓/必要な準備と覚悟

 茨城県の建設関係団体が開いた講演会で、女子バレーボール日本代表監督を務めた中田久美氏が「目標を明確にすれば、やるべきことは見えてくる」とリーダーの心構えを話していた▼最年少の代表入りや三度の五輪出場など、いくつもの史上初を成し遂げてきた中田氏。地元企業の経営者らを前に「新しい風を吹かす、ぶち壊す」ことの大変さを強調した▼講演会は時間外労働の罰則付き上限規制が4月から適用されるのを前に、施工と設計関係の団体会員間で親睦を深めようと企画した懇親会に先立ち行われた。「法律の枠内で適正な工期と利潤を得るのが必要だ」。ある参加者はこう指摘する▼建設工事は設計者と施工者、現場は元請会社と協力会社、職人らの関係で成り立っている。品質や納期、作業の安全はお互いの信頼があってこそ。厳しい規制が適用されてもそうした関係性を維持していかなくてはならない▼中田氏は「夢を現実にする準備と覚悟」の重要性も説く。規制を順守しながらの現場運営には、今までの普通を見直すことも求められる。できる限りの準備とそれぞれの覚悟で大きな課題をクリアしていきたい。

source https://www.decn.co.jp/?p=161185

2024年2月20日火曜日

キャリア採用社員(編集記者・企画提案営業職)の募集

日刊建設工業新聞社ではキャリア採用の社員を募集しています。募集要項は以下の通りです。


キャリア採用

募集職種

編集記者

業務内容

取材・編集・原稿作成

応募資格

大卒以上。PCの基本操作(Microsoft Word、Excel)

募集人数

若干名

勤務地

東京都港区東新橋2-2-10 村松ビル

終業時間 休憩時間

9時30分~17時30分、休憩1時間(実働7時間)

賃金

月給231,500円~271,600円。昇給年1回。賞与年2回

福利厚生

各種社会保険完備

雇用形態

正社員

お問い合わせ

〒105-0021 東京都港区東新橋2-2-10 村松ビル Tel:03-3437-0841 受付時間:9時~17時 Email:sas@decn.co.jp 日刊建設工業新聞社採用担当

キャリア採用

募集職種

企画提案営業職

業務内容

営業、特集の企画・立案、展示会の企画・運営、販売管理業務

応募資格

大卒以上。PCの基本操作(Microsoft Word、Excel)

募集人数

若干名

勤務地

東京都港区東新橋2-2-10 村松ビル

就業時間 休憩時間

9時00分~17時00分、休憩1時間(実働7時間)

賃金

月給231,500円~271,600円。昇給年1回。賞与年2

福利厚生

各種社会保険完備

雇用形態

正社員

お問い合わせ

〒105-0021 東京都港区東新橋2-2-10 村松ビル Tel:03-3437-0841 受付時間:9時~17時 Email:sas@decn.co.jp 日刊建設工業新聞社採用担当

回転窓/皆が共生しやすい国へ

 歴史的に海に囲まれた島国で暮らす人々は外部との交流が少なかったためか、視野が狭く閉鎖的な考え方になりやすいと言われる。この「島国根性」はあまり良い意味に捉えられない言葉だが、日本の国民性や社会性に少なからず通じるものはあるだろう▼先進国の中でも日本の在留外国人比率は低い水準だ。少子化に伴う人口減少に歯止めが掛からず、持続的成長のためにも外国人材の積極的な受け入れは欠かせない。国家間では人材の獲得競争が激化しており、関連法制の見直しが喫緊の課題との指摘もある▼外国人技能実習制度を廃止し、新制度の「育成就労」を創設する政府方針が9日決定された。人材確保に重点を置き、3年間で一定の技能水準に育成し中長期的な在留につなげるのが狙い。事実上無期限の滞在や家族の帯同が可能な「特定技能2号」取得者の増加も促す▼2023年の名目GDP(国内総生産)が世界3位から4位に転落した日本。円安などの影響もあるが、人口減少により経済規模はさらに縮むとの見方が強い▼外国人材から選ばれ皆が共生する国へと転換していけるのか。国民の意識改革も求められる。

source https://www.decn.co.jp/?p=161141

2024年2月19日月曜日

回転窓/旧コンデジ人気に思う

 スマートフォンで手軽に写真を撮れるようになって久しい。そんな中でも20年ほど前に発売されたコンパクトデジタルカメラ(コンデジ)がここ数年来、若い世代に人気を博しているという▼理由の一つはクリア過ぎず風合いのある画質を楽しめること。片手で簡単に扱え、その形状も10~20代のZ世代を中心に受けているようだ▼若者の間でレトロブームが続いていると言われる。2000年前後の「Y2Kファッション」が流行し、オールドコンデジも00年~10年頃までのものが人気なのだとか。家に眠ったままの古い機種があれば、今の時代に新たな価値が出るかもしれない▼取材先で企業経営者や管理職の方に話を聞くと、多くが世代間の意識や行動のギャップを課題に挙げる。オールドコンデジが人気のように新しいものばかりが受け入れられるわけではなく、世代による違いよりも共感できることを見いだしていきたい▼25年卒学生の就職活動が3月から本格化する。ものづくりにDXも含めさまざまな先進技術を駆使し、良き伝統文化も継承する建設業界に一人でも多くの若者が仲間入りしてくれるのを期待しよう。

source https://www.decn.co.jp/?p=161126

2024年2月15日木曜日

回転窓/持続的発展への一手

 次世代半導体の生産拠点周辺で地元自治体を中心に新しいまちづくりの動きが活発化している。半導体受託生産最大手の台湾積体電路製造(TSMC)らの第一工場が年内にも稼働する熊本県菊陽町は、最寄りのJR原水駅周辺を対象とした土地区画整理の将来ビジョンの検討を始める▼次世代半導体の国産化を目指すラピダスが新工場を建設中の北海道千歳市は先週、新しい工業団地の整備に乗り出す方針を表明。関連産業の集積に期待を寄せる▼自治体の2024年度予算案の発表が相次ぐ時期になった。次世代半導体を巡っては関連予算の新規計上や拡充が目立ち、栃木県は企業誘致につなげようと、関連企業に対する補助限度額を全国トップクラスに引き上げるという▼同県の福田富一知事は記者会見で「経済を持続的に発展させるには成長が見込まれる産業への対応が重要」と説明し、「戦略的な誘致活動を進めたい」と意欲を見せた▼工場立地や産業集積は、人口や税収の増加に直結する。呼び水となる自治体の予算は企業の投資に似た側面も。先を見て次の一手を地域にどう打つのか、新年度予算の内容が注目される。

source https://www.decn.co.jp/?p=161014

2024年2月14日水曜日

回転窓/座り仕事のリフレッシュ方法

 オフィスでパソコンに向き合う座り仕事となり2年ほどたつ。普段運動する習慣がないので帰宅時に1駅前で降りて歩いているが、期待する効果を得られているか自信はない▼座り仕事も多種多様でドライバーもその一つだろう。労働環境の改善が求められるトラックドライバーの疲労回復や健康増進に寄与するとともに、一般ドライバーにリフレッシュしてもらおうと高速道路のPAやSAにジムがオープンする▼RIZAP(ライザップ)グループと中日本高速道路会社らが5月ごろ、東名高速の日本平PA(上り、静岡市)に24時間営業の小規模無人ジム「chocoZAP(チョコザップ)」1号店を開く。市中の店舗と同じくトレーニングマシンやマッサージチェア、ゴルフ練習ブースなどが設置される▼新店舗ではそうした体を動かしてリフレッシュすることが中心のサービスを提供。チョコザップ会員だけでなく、高速道路の店舗専用に料金プランを設けて非会員も利用可能だ▼運転中の眠気や疲労感は大事故につながりかねない。高速道路でそんな時の対策にジムという新たな選択肢が加わるのを歓迎したい。

source https://www.decn.co.jp/?p=160978

2024年2月9日金曜日

回転窓/中間管理職の不満は?

 若手社員が管理職になりたがらないのは必然--。みずほリサーチ&テクノロジーズの河田皓史主席エコノミストが調査リポートで指摘している▼賃金水準が低下する一方で負担は増えており、管理職という立場のコストパフォーマンスが悪いことを問題の本質と分析。管理職が不足する事態は近い将来の現実的なリスクと警鐘を鳴らす▼働き方改革と称して一般社員の労働時間を減らす裏側で、宙に浮いた業務を管理職が引き取る安直な対応が行われているとも。マネジメント負担への対価の適正化が重要と河田氏は説く▼日本建設業連合会(日建連)の会員企業労働時間調査報告書(2022年度)によると、非管理監督者の総実労働時間がおおむね減少しているのに対し、管理監督者は21年度まで上昇基調だった。22年度は管理監督者も改善したが、23年度はどうか▼若手に無理強いできず、幹部からは成果を求められる日本の中間管理職の実情。しわ寄せが目立つようでは、若手が上を目指す健全な組織にはならない。「周りの管理職は今の処遇に満足していますか?」。どきりとした経営者は早めに手を打つべきなのだろう。

source https://www.decn.co.jp/?p=160883

2024年2月8日木曜日

回転窓/誰もが審査できる建築賞

 優れた建築をたたえる表彰制度は数多くあるが、設計や施工技術、環境保全、文化の進展など審査基準の違いが各賞の個性となっている。審査員は建築の学識者や実務者のほか、建築以外のデザインや文化、芸術の専門家が担うこともある▼一般の人が参加して“ベストワン”を決める、ユニークな建築アワード「みんなの建築大賞」が創設された。前年に完成・発表した国内建築の中から10作品「この建築がすごいベスト10」を選び、X(旧ツイッター)で一般から「いいね」で投票してもらい大賞を決める▼ベスト10は建築の魅力をもっと広く、多くの人に伝えたいという有志約30人の委員会が推す作品。初開催の今回は住宅や介護施設、学校、文化財の改修、神社の仮殿、震災関連施設など多彩な作品がノミネートされた▼個人住宅や地方の郊外に立つ施設など訪ねるのが難しい作品も少なくない。SNS(インターネット交流サイト)を積極活用する賞の特徴を生かし、空間を再現したメタバース(3D仮想空間)で建築体験できると一般の方も投票が面白くなるだろう▼投票期間は11日まで。15日の結果発表を楽しみに待ちたい。

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2024年2月7日水曜日

回転窓/被災地のドローン

 インフラの点検や人が立ち入りにくい空間の調査などに用途が広がるドローン。能登半島地震の被災地でも有効性が多く確認されている▼危険を伴う土砂崩落現場の調査をはじめ、医薬品の搬送などさまざまなシーンでドローンが活躍。日本UAS産業振興協議会(JUIDA)のように陸上自衛隊と災害時の連携協定を締結し、物資輸送などで相互協力する体制を整えた団体もある▼被災地のために「何かできないか」と考え、現地に向かったドローン関係の企業を先日取材した。行政機関の要請を受け、倒壊リスクがある建物の内部調査などを実施。倒壊家屋で船舶の権利証を見つけた時は住民にとても感謝されたという▼ある行政機関は現地入りしたドローン関係団体・企業の情報を発信した。しかし行方不明者捜索の最前線では情報が届かない現場もあり、活動できなかった操縦者もいたようだ▼「ドローンの有効性を知ってもらえていないのは、われわれの責任」と話すのはJUIDA幹部の一人。技術情報やメリットなどを関係機関に改めて説明していく考えだ。災害時の対応と事前の備えに一層の活用が期待される。

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2024年2月5日月曜日

回転窓/復旧現場の奮闘に光を

 毎年1月に召集される通常国会で首相が政策の基本方針などを説明する施政方針演説は、多くの国民が注目する。今年は先月30日に衆参両院の本会議で行われた▼岸田文雄首相はデフレからの完全脱却に向けて「チャンスをつかみ取り、絶対に後戻りさせない」と強調し、改めて経済再生に強い意志を持って取り組むと表明。賃上げを喫緊の課題に位置付け「あらゆる手を尽くし、物価高を上回る所得を実現していく」と宣言した▼大いに期待するも大企業と中小企業の賃金格差が縮まる気配は見えない。経営資源が限られる中小にとって持続可能な経営環境づくりが急がれる▼岸田首相は施政方針演説で能登半島地震について「異例の措置でもためらわずに実行する」「被災者の帰還と被災地の再生まで責任を持って取り組む決意だ」と訴えた。災害という非常時に国や自治体が果たす役割と寄せられる期待は大きい▼被災自治体の首長が先月行った記者会見の中で、道路啓開に当たる公共機関への謝意が示された。被災地できょうも懸命に応急復旧作業を続けている建設業。注目会見で光が当たれば現場の士気はきっと高まる。

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2024年2月2日金曜日

回転窓/バスも「地域の守り手」

 能登半島地震からの早期復旧・復興が求められる中、北陸鉄道グループが、石川県内の金沢駅と能登半島内を結ぶ特急バスの運行を再開した▼被災者らの利用を優先するとともに、約1カ月間は運賃を無料にするそうだ。のと鉄道も被災区間で代替バス運行を始めた。交通手段を取り戻していくことは大きな助けになるだろう▼都営バスが先月、100周年を迎えた。現在は約1500両のバスを保有し、1日当たり約60万人が利用する。だがスタート時は44両にすぎなかった▼発足のきっかけは関東大震災。路面電車が被災し復旧に時間がかかることが見込まれたため、市民の移動を支えようと米国から輸入したトラックを改造し、乗り合いバスに仕立てた▼日本バス協会は、2030年に電気自動車(EV)バス1万台を目指す方針を掲げている。EVへの切り替えが進めば、脱炭素への貢献と同時に、災害時に電力供給の拠点としても活躍できる。バス事業者は、建設業と同様に「地域の守り手」と言えよう。増加する赤字路線や運転手不足など苦境にあえぐが、非常時の役割も考慮しながら大事な産業を守っていく必要がある。

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2024年2月1日木曜日

回転窓/ご当地力士の活躍

 先月28日に千秋楽を迎えた大相撲初場所は横綱照ノ富士が4場所ぶり9回目の優勝を果たした。2敗で並んだ関脇琴ノ若との優勝決定戦。出足鋭く出て寄り切りで制する気迫の取り組みには大いに魅了された▼今場所はざんばら髪の新入幕力士が土俵を沸かせた。西前頭15枚目の大の里は192センチ、183キロの恵まれた体を生かした立ち合いの圧力を武器に、9日目を終えて8勝と快進撃を続けた▼10日目からは関脇、大関、横綱と新入幕力士では異例の役力士との3連戦。結果は3連敗と振るわなかったが、次の場所に生きる貴重な経験に。千秋楽を白星で飾り11勝4敗となり、初の三賞となる敢闘賞を受賞した▼大の里は能登半島地震で甚大な被害を受けた石川県出身。ご当地力士の活躍は被災地をどれだけ元気づけたことだろう。「地元にいい報告ができる。次もしっかり勝ち越しを目指したい」とのコメントも頼もしい▼きょう1日で地震発生から1カ月。被災地ではインフラの応急復旧が進められ、災害ボランティアも活動できるようになってきた。本復旧・復興には時間がかかるが、日々の一歩一歩を大切にしたい。

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2024年1月31日水曜日

回転窓/被災地の雪

 石川県能登半島には地形から雪が降りにくい地域もあり、金沢地方気象台が「冬は比較的積雪も少ない」と気象特性を紹介している▼普段は降雪量が多くないとはいえ、今冬一番とされる強い寒気が日本列島を覆った先週、能登半島地震の被災地でも断続的に雪が降った。現地の行政機関担当者や利用したタクシーの運転手に聞くと、「ここまで強く、積もるのは結構珍しい」という▼被災地では24日、損壊した道路の緊急復旧や土砂崩壊箇所の応急対策といった作業を一時中断した現場が少なくなかった。「視界が悪く、現場に行きたくても行かれない」ともどかしそうに話した工事関係者が印象に残っている▼それでも翌日の作業再開に備え、降雪の合間に現場とその周辺を除雪する建設会社も。災害対応の要請を受けている中でも、平常時の業務である除雪を続けて担った建設会社も多い▼復旧現場は厳しい真冬の作業が続く。「今は闇夜のど真ん中。でもいずれ夜は明ける。寒い中でも頑張りたい」(平櫻保石川県建設業協会会長)。あと4日で二十四節気の立春。冬を越え、作業環境が少しでも改善されていってほしい。

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2024年1月30日火曜日

回転窓/立ち呑み文化で復興支援

 2024年を迎え、業界団体の交流会が各地で行われている。元日の能登半島地震の発生で新年を祝う雰囲気はないものの、久々にマスクを気にせず対面での開催となり、参加した関係者らの会話も弾むようだ▼立食スタイルのパーティーは着座より出席者同士の交流が深まり、新たな出会いの場ともなる。料理や飲み物をゆっくり楽しむこと以上に、「人との交流」を楽しむ場と言える▼金沢駅周辺にある立食形式の飲食店のグループが、能登半島地震の被災者とその支援者らに向けて定食など一部メニューを300円たらずで提供している。証明書等は不要。創業店舗「串酒場 大笑」の店長は「災害で大変な時に少しでも元気になってもらえれば」と話す▼グループのホームページによると、代表者は修業時代の大阪で立ち呑み文化の豊かさに触れ、金沢で立食形式の店舗を展開することに。「のれんの先にある笑顔を絶やさない、誰もが平等に笑うことのできるまち」をコンセプトに掲げる▼被災地では発災直後から建設業界をはじめ、多くの人たちが支援活動を展開している。被災者が一日も早く笑って暮らせるよう願う。

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2024年1月29日月曜日

回転窓/それぞれの応援ソング

 受験や仕事で追い込まれた時など、これまで心に響き励まされるいくつもの音楽に出会ってきた。そんな自分の背中を押してくれた曲はこれからも大切にしたい▼アーティストが故郷のためにつくった応援ソングもある。千葉県野田市ではシンガー・ソングライター、ナオト・インティライミさんの曲「The Day」が、東武野田線野田市駅の発車案内で流れることになった▼野田市で2歳から15歳まで過ごしたナオトさん。市長からの「明るく幸せな家庭を築ける野田市」をイメージした曲づくりのリクエストに応え、一昨年にこの作品を完成させた▼何げない1日が本当は特別な1日のはずであり、そうした日々を大切にできる曲にしたかったという。住んでいた当時の「食卓を思い返しながら書いた曲」ともナオトさんがユーチューブでコンセプトを語っている▼能登半島地震の被災地で懸命に緊急復旧作業を続けている建設業。小欄には応援ソングをつくり届けることはできないが、日々奮闘する国土と地域の守り手を心からねぎらい、そして早期復旧・復興への願いを託したい。きょうの作業もどうかご安全に。

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2024年1月26日金曜日

回転窓/賃上げに向けた価格転嫁

 シンクタンクの日本経済研究センターが民間エコノミストによる賃上げ率予測を集計した。2024年春闘の賃上げ率予測は平均3・85%--。実現すれば31年ぶりの高水準となった昨年春闘を上回る▼「成長と分配の好循環」を掲げる政府も、賃上げに力を注いでいる。岸田文雄首相は23日、春闘スタートのタイミングで、政府と労働界、経済界のトップによる政労使会議を開催。物価上昇を上回る構造的な賃上げの必要性を強調した▼労務費の価格転嫁を通じて、中小企業が賃上げの原資を確保することが鍵になるとも。それは中小企業の現状が厳しいことの裏返しでもある▼同会議で全国中小企業団体中央会が提出した資料によれば、総合工事業と設備工事業の約2割が、価格転嫁について「実現しなかった」「対応未定」と回答。原材料費や人件費の上昇を転嫁できなければ従業員の処遇改善は難しい▼新4K(給与・休暇・希望・かっこいい)を目指す建設業。求められる第1の要素が給与だ。国民の安全・安心な暮らしを支え続けるためにも、発注者や社会の理解を得て、若者を引き付ける処遇を実現していきたい。

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2024年1月24日水曜日

回転窓/SLIMの偉業

 鹿児島・大隅半島で肝付町や南大隅町の名産に香酸かんきつ類「辺塚だいだい」がある。自生種があって集落ごとに栽培もされているが、出荷量が年間数十トンと少なく、希少な果実と呼ばれている▼独特の果汁と香りにファンが多く、しょうゆにひと搾りしたり、焼酎に輪切りを浮かべたりする人も。酒類を含めた缶飲料としても出回り、存在が広く知られるようになってきているという▼宇宙航空研究開発機構(JAXA)が小型月着陸実証機(SLIM)を2023年9月7日に鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げて約4カ月。20日午前0時20分に月面に軟着陸する偉業を達成し、関係者らが歓喜に沸いた▼JAXAが目指すのは「降りやすいところに降りる時代から、降りたいところへ降りる時代」。月への降下中にSLIMが送信したデータの解析が進行中で、詳細が25日に明らかにされる▼降下の準備開始が決まった10日以降、JAXAには辺塚だいだいのソーダ飲料の差し入れが届いたそう。宇宙関連の技術開発を急いでいる建設業などの産業界とともに地域の期待も背負ったSLIM。朗報を楽しみに待ちたい。

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2024年1月23日火曜日

回転窓/土裂けて水湧き出る

 平安時代末ごろの作家・鴨長明は、随筆「方丈記」に京都で起きた元暦の大地震(1185年)について書いている▼〈山は崩れて河を埋み、海は傾きて陸地をひたせり。土裂けて水湧き出で、巌割れて谷にまろび入る〉。この中で〈土裂けて水湧き出で〉は液状化現象を表現したものと言われ、現代にも貴重な地震被害の記録として伝えられる▼1日の能登半島地震では新潟市内で液状化被害が相次いだ。西区などを中心とした地域の被害は大きく、多くの建物や塀、電柱が傾き、道路の至るところに陥没や亀裂が生じた▼地震から11日後、被災した住宅街を訪れた。水浸しの道路の脇には土砂が盛られ、広い範囲に噴砂の跡が。その日はすれ違う人がほとんどいなく、工事関係者らが作業に当たっていた。地元の人の話によると、被害に見舞われたのは旧河道の地域だという▼地面が裂けて水と土砂が噴出し、建物も横倒しになるなど甚大な被害を及ぼす液状化。この研究は60年前の新潟地震(1964年)を契機に本格化した。地震国の日本で繰り返される液状化被害をどう防いでいくのか。依然難しい課題と言わざるを得ない。

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2024年1月22日月曜日

回転窓/メディアと生成AIの未来

 18世紀後半の産業革命以降で最大級の変革をもたらすと目される生成AI。社会実装の取り組みは多分野に広がり、建設産業も例外ではない▼年頭の建設関連各社のトップインタビューでも、業務の効率化や省力化などで生成AIを積極的に導入しようと考える企業が目立つ。生産年齢人口の減少が続き、働き方改革と生産性向上を両立させることに苦心する中、革新的技術への期待は高まる一方だ▼国も生成AIの研究開発や人材育成支援などの関連施策に予算を重点配分する。国土交通省はインフラ管理の高度化に向け、2023年度補正予算措置で生成AIを活用する試みを推進。24年度内に一定の成果をまとめ、次年度以降の実運用につなげるという▼社会にとって良いことばかりではなく、権利侵害や誤情報拡散のリスクも指摘される。昨年末には米大手メディアが記事の無断利用で開発企業を訴えた。初の訴訟案件として動向が注目される▼デジタル技術の恩恵を享受する上で、情報やデータの安全性・信頼性の担保は欠かせない。悪用を防ぐためのルールやシステムが必要だ。メディアと生成AIの未来が気になる。

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2024年1月19日金曜日

回転窓/2025年問題も見据えて

 「業務の多様化で忙しくなっているが、なかなか増員が認められない」。建設関連企業の管理部門の部長が嘆いていた。建設業への時間外労働の上限規制適用が迫る中、現場の対応を最優先とする会社は多いが、管理部門も厳しい状況が続く▼人手不足の深刻度が年々高まっている。帝国データバンクの調査によれば、2023年における人手不足を要因とした倒産は過去最多の260件。建設業が91件と最も多く、前年比約2・7倍と大幅に増えている▼労働人口は流入減と流出増が顕著だ。総務省統計では、1日時点の18歳人口は、前年比6万人減の106万人と過去最低に。団塊の世代が後期高齢者となり大量離職が見込まれる「2025年問題」も近づく▼ある企業は、自ら学生にアプローチするスカウトサービスに注力し新卒採用を確保。別の企業は定年制を撤廃するとともに、年齢に限らず週の勤務日数を自由に決められるようにした▼人手不足の解決は難しいが、予見可能性の高い問題であることも忘れてはなるまい。危機回避へ先手を打てるかどうかが、将来の組織力の差につながる。そうした意識がより一層求められる。

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2024年1月17日水曜日

回転窓/被災地の同業者へ

 近所のガソリンスタンド(GS)で、車の色あせを遅らせ、汚れを落ちやすくする保護塗装を若い男性店員から熱心に勧められたことがある。塗装技能のお墨付きとなる民間資格を取得したばかりとも話していた▼その彼に保護塗装を任せてから7年ほどがたつ。先日、同じGSに車検のため預けた車を取りに行くと、店長に昇進したと教えてくれた。少し照れた感じがほほ笑ましくもあり、いつも仕事が丁寧な彼と職場のGSをこれからも応援したいと思った▼GSは一般的な建物と比べ、耐震や耐火の性能に優れる。地下の貯蔵タンクは引火しにくく、整備工場も備えていれば非常時に避難や救援の拠点として機能する▼能登半島地震の被災地では、営業可能なGSが地域の被災者や県外から来て立ち往生した車両を支援。燃料の確保が難しい中、給油量を制限しながら1台でも多くの車両に燃料を供給しようと奔走した▼そうした同業の仲間をおもんぱかり、「被災地のGSが大変な思いをしている」となじみのGS店長は心配そう。懸命な復旧作業を続ける建設会社だけでなく、支援に当たる多くの人にエールを送りたい。

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2024年1月15日月曜日

回転窓/無駄にしないDNA

 日本で一般的な1日3回の食事が広まり始めたのは、江戸中期と言われる。それ以前は体力を使う仕事の人たち以外、朝と夕の1日2食だったようだ▼江戸時代に多くの食に関する本も刊行され、その数は180冊を超えるという(『お江戸ごはんの献立帖』ホビージャパン発行)。当時どんな料理が好まれていたのか興味をそそられる▼そうした関心に応えてくれる料理家・福田浩氏監修の同書は、疲れが癒やされる元気レシピの一つに「鯛(たい)の青淵汁(とろろじる)」を紹介している。だし汁にみそを溶いて冷まし、これを素焼きした後にすり鉢ですった鯛の身と山芋のとろろに加える。酒も入れて最後にこしょうを少々。シンプルな一品だが江戸っ子のグルメっぷりが分かる▼現代の日本では食品ロスが大きな問題に。政府が昨年末まとめた削減対策には賞味期限の延長などが盛り込まれた。来年度中に賞味期限の計算方法などが定められた現行指針を見直す方針だ▼循環型社会を構築していた江戸時代に、いずれ食品ロス問題が生じることなど予想できただろうか。食べ物は無駄にしない、そんな日本のDNAを活性化させなければ…。

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2024年1月12日金曜日

回転窓/外交力問われる年

 フランスのマクロン大統領が、国民教育相を務めていたガブリエル・アタル氏を新首相に任命した。歴代最年少の34歳。国民の人気が高く、政権浮揚につなげる狙いもあるとみられる▼2024年は世界のリーダーが民意を問われる年。13日に台湾で総統選の投開票が行われる。3月にロシアで、11月には米国で大統領選が実施される見通し。このほかにも欧州連合(EU)欧州議会選挙など注目される選挙が目白押しだ▼これら選挙の結果は、当該地域のみならず、国際社会の行く末にも影響する。ロシアのウクライナ侵攻やイスラエル・パレスチナ情勢など混迷の度を増す世界。リーダー同士が連携しながら、協調路線を歩んでいく必要がある▼日本にとっては外交力がより一層問われていくことになろう。今年は政府開発援助(ODA)を始めてから70年の節目に当たる。開発途上国の貧困削減や経済成長などを後押ししてきたことが、国際社会からの信頼獲得につながってきた▼質の高いインフラは地域の安全・安心を支え、国際社会の安定に貢献する。地道な取り組みを通じて世界の平和を先導していく立場で歩み続けたい。

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2024年1月10日水曜日

滋賀県/医療福祉拠点人材養成機能整備(大津市)で対話調査、1月24日に見学会

 滋賀県は、大津市で計画している医療福祉拠点整備事業の人材養成機能に関するサウンディング(対話)型市場調査を実施する。24日に参加必須の事前説明会と現地見学会を開く。説明会の参加申し込みを18日まで受け付ける。参加申請を25日~4月19日、説明資料の提出を同4月26日まで受け付け、5月7~13日にヒアリングを行う。  事業場所は県庁西側の敷地7209平方メートル。多様化する医療ニーズや新たな感染症など健康危機管理に対応するため、医療福祉拠点を一体整備する。このうち県が在宅医療福祉を推進する医療福祉センター機能(〈仮称〉第二大津合同庁舎)を整備。民間事業者は人材養成機能を併せ持つ医療福祉拠点と、県庁舎周辺のにぎわい創出拠点を整備する。  人材養成機能には看護職・歯科衛生士・リハビリ専門職などの養成を行う養成機関を設置する。職種ごとの定員は看護職の4年制大学は80人程度、歯科衛生士の養成機関は40人、リハビリ専門職の大学院は5~20人程度を想定。  人材養成機能・にぎわい創出機能の対象区域は、県が整備する範囲を除いた約4700平方メートル(大津市梅林1の207の1)。用途地域は商業地域(建ぺい率80%、容積率400%)。事業方式は一般定期借地(50年以上70年未満)または事業用定期借地(30年以上50年未満)のいずれかを予定している。  対話に参加できるのは学校法人または学校法人と民間企業により構成されるJV。  対話では▽事業区域▽想定スケジュール▽事業方式▽民間整備の内容・条件▽応募者の資格要件▽事業実施の支援-などについて意向を把握する。  9月にプロポーザルによる公募手続きを開始し、12月ごろの事業者選定を想定。2027年4月の供用開始を目指している。

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回転窓/温かい支援の輪

 決勝戦が8日に行われた全国高校サッカー選手権は、今大会も多くの感動を与えてくれた。3回戦に進んだ石川県代表・星陵高校の試合は、前日の1日に起きた地震の影響で地元から応援団が来られない事態に。惜しくも敗れたが、千葉県内の試合会場は温かい雰囲気に包まれた▼同校への支援がSNS(インターネット交流サイト)で呼び掛けられ、関東在住のファンだけでなく、他校もスタンドから応援。ユニホームが同じ黄色のJリーグチームのサポーターも熱い声援を送った▼被災地を支援する輪が大きく広がっている。物資や重機を載せた九州などからの船舶が日本海を行き来し、近隣県には缶詰パンを通常の2倍規模でフル生産する工場などがある▼強い揺れが襲った珠洲市には、出雲国風土記に登場する国引き神話の縁で、姉妹都市の松江市が物資の提供や職員を派遣した。東日本大震災の被災地でも道の駅で義援金を募る活動などが進む▼建設業界は被災地の道路啓開や復旧で献身的な活動を展開している。全国からのさまざまな支援も本格化していくだろう。被災された方々の不安が少しでも和らぐよう願う。

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2024年1月9日火曜日

回転窓/波の花と朝市の地に

 海岸に舞う「波の花」は、石川県の奥能登の冬を彩る風物詩として知られる。強い季節風により岩場で砕けた波が泡状になって浮遊する。その光景はまるで花吹雪のようだという▼もう数十年前のことになる。高校時代に友人たちと寝台特急やバスを乗り継ぎ訪れたのが冬の能登。波の花を見るのが楽しみだったが、残念ながら風も弱く条件が合わない日で希望はかなわなかった▼能登半島地震の発生から9日目を迎えた。元日の穏やかなひと時が一変し、繰り返し強震に見舞われた恐怖はどれほどのものであったろう。津波の恐ろしさも改めて痛感させられた▼大規模火災が起きた輪島市の朝市通り一帯では約200棟が延焼した。10代の旅行で楽しい思い出をつくれた地であり、変わり果てたまちの姿に言葉を失う▼先週末時点でも被害の全容が分からず、発表される犠牲者数は日を追うごとに増える。道路の寸断で輪島市や珠洲市などの一部地域が孤立。県内の広い範囲で断水も続いている。災害に対する安全性を高めるためにどれだけの教訓を得ればいいのか。安全で安心できる国・地域づくりへの歩みはこれからも続く。

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