人は一人でも生きていける。けれど、心豊かに生きるには、誰かの存在が欠かせないのだと思う。誕生日という節目は、祝われる側だけでなく、「おめでとう」と声を掛ける側にも、相手の人生の隣に自分がいることを、静かに感じさせてくれる▼年齢を重ねるほど、人と理解し合う難しさを知る。近しい間柄であるほど、言葉は省かれ、思い込みが増えていく。「分かってくれているはず」という期待はときに、小さな影を心に落とす。それでも長く続く関係があるのは、分からない部分を抱えてもなお、相手に寄り添おうとする気持ちを手放さないからだろう▼人間関係を形づくるのは、自分の願いと行動なのだと思う。忙しい日の短い返信。相手の話を最後まで聞こうとする沈黙。照れながらでも伝える「ありがとう」。小さな心配りの積み重ねが、少しずつ信頼を芽吹かせていく▼誕生日を祝う言葉もまた、「あなたがいてくれてうれしい」という、ささやかで気恥ずかしい意思表示かもしれない▼人は誰かに支えられ、誰かを支えながら生きている。そのぬくもりを忘れなければ、人生はきっと、もう少し温かく豊かになる。
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from 論説・コラム – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=184547
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