2023年12月28日木曜日

回転窓/強くしなやかな国に

 暮れも押し迫る23日夜、奈良県下北山村の国道169号で大規模な土砂崩れが発生した。道路沿いの斜面が高さ約5メートル、幅約30メートルにわたって崩落し道路をふさいだ。二次災害の危険性も伴い復旧のめどは立っていない▼雨も降らずに土砂崩れが起きた要因として指摘されるのは「凍結融解」。水が凍ったり溶けたりを繰り返す現象で、斜面の地中で起きると土砂の隙間が広がり、土砂崩れが起きやすくなるという▼気候変動などで災害発生のリスクが複雑化・多様化しているのか、被害は多発傾向にある。堤防決壊や越水での浸水被害、地滑りやがけ崩れなどの土砂災害が各地で発生。国土交通省の調査によると、2022年の水害被害額(暫定値)は全国で約6000億円に達した▼13~22年の10年間で4番目の被害額で、静岡県と石川県は1961年の統計開始以来最大となった。全壊や半壊といった被災建物数が約2万2000棟、水害区域面積は約3万1000ヘクタールに上るなど被害の甚大さに改めて驚く▼23年も風水害や地震など多くの災害に見舞われた。今後もこの傾向は続くだろう。強くしなやかな国づくりに終わりはない。

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2023年12月27日水曜日

回転窓/工事再開への期待

 JR飯田線の豊橋駅(愛知県豊橋市)と飯田駅(長野県飯田市)を行き来する特別急行列車「伊那路」に乗車した。飯田行きの車内で気になったのは、右側に座る人が目立つこと。車窓から見える景色が素晴らしいのだろうか▼この路線は秘境駅を訪れたり、渓谷美を楽しんだりするファンが多いと聞いた。飯田駅近くの飲食店に入り、「豊橋からなら右がお薦め」と店主。やはり乗客の位置は偶然でなかったようだ▼リニア中央新幹線の東京・品川~名古屋の開業が、2027年以降に遅れることになった。(仮称)長野県駅が整備され、東京都心までの移動が3時間ほど縮まる長野・伊那地域からは「とても残念」(佐藤健飯田市長)との声が挙がる▼それでも水資源などの問題でトンネルの本体掘削を行えていない工区のある静岡県が先日、JR東海が示した対策に理解を示したのは大きい。掘削開始の時期は見えないものの、ここにきて転機を迎えたとの見方もある▼店主はリニア開業を「楽しみ」とも話してくれた。ゆっくり行きたい人も、早く着きたい人も迎えられるのが理由だという。工事再開への期待は膨らむ。

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2023年12月26日火曜日

回転窓/物流のチームワーク

 クリスマスが過ぎ、今週末までに正月休みに入る方は多かろう。一般的な年末年始の休暇は29日から2024年1月3日までのようだが、前後を休みにして10日以上の連休にするところもある▼建設関連各社トップへの新春インタビューの中で正月の予定を聞くと、「自宅でのんびり過ごす」との回答がほとんど。自社の休業期間にかかわらず4日には銀行や顧客先などへのあいさつ回りがあり、三が日は遠出せずに英気を養うようだ▼自宅での過ごし方について話を振ると、「箱根駅伝のテレビ観戦」が目立つ。近所を通るコースまで応援に行く方には、チームのたすきをつなぐ中継所付近など観戦場所へのこだわりも。100回記念大会の今回は例年以上に注目が集まっている▼24年4月から時間外労働の規制が強化される物流業では、長距離輸送の道中で貨物を引き継ぐ中継拠点を整備する対策費が24年度予算案に盛り込まれた。高速道路を走る大型トラックなどの法定最高速度を時速80キロから90キロに引き上げる法改正も進む▼いかに目的地まで安全かつ早く到達するか。駅伝同様、物流業界にもチームワークが求められる。

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2023年12月25日月曜日

回転窓/腹が立っている時に

 通信社が選んだ今年の十大ニュースを見ると、この1年もいかに暗いことが多かったのかを実感させられる▼国内外それぞれの十選で明るいニュースと言えば、藤井聡太棋士の八冠制覇や米大リーグでの大谷翔平選手の活躍などわずか。年末年始くらいは腹立たしい事件もなく楽しい話題に包まれたい▼童話『100万回生きたねこ』などの名作を残した絵本作家・佐野洋子さんに、腹が立っている時について書いたエッセーがある。〈気分転換など自分でするものだと思っていない。あちらからやって来る〉(『ヨーコさんの“言葉”』講談社)▼例えば買った本が期待外れの場合、腹が立った箇所に印を付けながら読み終えるとたたきつけて、また同じ著者の別の本を買ってくる。こうしてその人の本を全部読んでしまう。そんな腹が立っている時は自分が〈実にまっとうな人間であるような気がして元気が出る〉と▼佐野さんの作品『わたしクリスマスツリー』はもみの木が主人公であり、ちょっと切なくも心温まるストーリーがいい。きょうはクリスマス。すてきな本を読み返そう。ささいなことで生まれた腹の虫ならきっとおさまる。

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2023年12月21日木曜日

回転窓/街路樹再生への思い

 自宅近くにある350メートルほどの通りは桜並木の名所で、植樹から60年以上の老木が立ち並ぶ。毎春に美しい花を咲かせるが、立ち枯れなどによる倒木を防ぐため伐採が進んでいる▼2018~22年度の5年間の平均で全国の街路樹約5200本が台風などによって倒れたことが、国土交通省の初調査で判明した。調査対象は国や自治体が管理する道路沿いにある街路樹約720万本。災害の有無で年によって濃淡があるため、5年間の平均を算出した▼約5200本のうち、約3700本が強風などの災害による倒木で、残り約1500本は立ち枯れや腐食など災害以外の要因で倒れたという▼道路管理者による点検の結果、倒木が発生する前に伐採された街路樹は年平均で約2万6700本に上った。倒れた木が原因で事故も起きている。倒木を減らすには、日常的な点検と必要に応じた伐採を着実に進めていかなければならない▼近所の通りでは伐採した木の株が残り、若木に植え替えられていない。それではどこか寂しく、通りの活気も色あせて見える。伐採と植樹がセットで街路樹を再生していくことも大切だと思うのだが。

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2023年12月19日火曜日

回転窓/だるまのような1年に

 地元の神奈川県小田原市にある飯泉山勝福寺(飯泉観音)で17、18の両日、だるま市が開かれた。関東地方で一番早いだるま市の御利益にあやかろうと、商売繁盛や家内安全を願う多くの人たちでにぎわった▼鎌倉時代初期に源頼朝の発願で開設された坂東三十三観音の五番札所である飯泉観音。周辺は生活用品などを販売する門前町として栄えた。正月準備の時期になると、数々の物品を求めて人々が訪れ、江戸時代に縁起物のだるまが市に並ぶようになったものが今に続く▼起き上がり小法師のだるまが作られるようになったのも江戸時代だそう。禅をインドから中国に伝えた達磨(だるま)大師をモチーフにしただるまは、赤い服が疫病よけのまじないになると爆発的に売れたという▼達磨大師にまつわる言葉の「七転八起」は、何度失敗しても諦めずに挑戦を続けるといった意味を持つ。倒れても起き上がるだるまの姿は、まさに言葉の通りだ▼コロナ禍でつらいことが続いた世の中も落ち着き、恒例の行事やイベントが通常通り行われるようになった。先行きが見通せず、浮き沈みの激しい社会情勢だが、新年もくじけず進んでいこう。

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2023年12月15日金曜日

回転窓/税と国家

 日本漢字能力検定協会の「今年の漢字」に「税」が選ばれた▼増税議論に加え、適格請求書等保存方式(インボイス制度)が始まったことなどが影響したのだろう。今年の漢字を揮毫(きごう)した京都・清水寺の森清範貫主は「国民がシビアに税の行方を見ている」とコメントした▼政治資金パーティー収入に関する疑惑で政界が揺らいでいる。総務省の政治資金収支報告書によると2022年の政党交付金は約315億円。政党活動は税金でも支えており、誠実な対応が求められるのは言うまでもない。13日に会見した岸田文雄首相は「信頼回復に向け先頭に立って闘う」と強調した▼不信感の払拭(ふっしょく)が求められるのはもちろんだが、取り組むべき課題は、そのほかにも山積み。デフレからの完全脱却や「成長と分配の好循環」の実現は多くの国民が望む方向性であろう。強固な布陣でしっかりと前進させてもらいたい▼「来年は『和』を書きたい」とは森貫主の言葉。われわれは世界の平和が揺らぐ事態を目の当たりにしている。不幸な歴史を繰り返してはならず、国民も政治の側も緊張感を持ち、正しい選択を導いていく必要がある。

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2023年12月14日木曜日

回転窓/“ONIGIRI”へ進化

 近所におにぎり専門店がオープンし、開店記念の半額サービスもあり長蛇の列を作っている。少し落ち着いてきたら、ぜひ味わいたいと楽しみにしている▼「食」に関する調査研究や情報提供を行う、ぐるなび総研(東京都千代田区)が2023年を象徴する「今年の一皿」に、ふんだんに具材を使った「ご馳走おにぎり」を選んだ。専門店の開業が相次ぎ、22年1~12月と比べ23年1~10月の開業数は約1・5倍に増えたという▼同総研では豊富な種類の具材から選べる楽しみと、飲食店で握りたてを味わうスタイルが消費者に受けたと分析。海外でも“ONIGIRI”の名で販売され、日本の伝統的な食文化が浸透しつつあるそうだ▼和食が国連教育科学文化機関(ユネスコ)無形文化遺産に登録されて10年がたった。国立科学博物館(東京都台東区)でも特別展「和食~日本の自然、人々の知恵~」が開催中とあって、和食を再考する機運も高まりを見せる▼おにぎりがご馳走へと進化したように、伝統は常に革新、刷新することで受け継がれていくのだろう。建設業でも多くの“ONIGIRI”が誕生してほしいものだ。

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2023年12月12日火曜日

回転窓/情報の稼ぎ方

 新聞記者として働き出した四半世紀前、会社では原稿作成などの編集業務にパソコンを本格導入した頃だ。原稿用紙にペンを走らせていた先輩たちと同じ経験はないものの、書き直しが簡単にできず当時の苦労はよく分かる▼1990年代半ば以降、パソコンは一般家庭にも普及。インターネットが身近になり、あらゆる情報を検索できる。記者にとっても欠かせないツールになった▼昨今注目を集める生成AIは、18世紀後半の産業革命後で最大級の変革をもたらすと目される。AI利用の垣根が一気に下がり、誰でも気軽に文章や画像を自動で作成可能。情報収集や記事の文案作成など、記者の仕事にも大きな影響を与えそうだ▼生成AI関連の製品開発や安全性向上に向けた産官学協働の取り組みも活発化している。期待が膨らむ一方で秘密情報の流出や偽情報の拡散などのリスクも指摘され、国際的なルールづくりが急ピッチで進む▼デジタル社会の進展で生産性が高まるのは歓迎すべきこと。原稿作成も手書きの時代から大きく変わったが、「情報は足で稼ぐもの」と指導してくれた先輩たちの言葉は、今も強く響いている。

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2023年12月11日月曜日

回転窓/大掃除と業務の棚卸し

 師走になるとどうにも気になって仕方がない。いつやるか、どこからやるか、それともやめてしまおうか。毎年のように家でも職場でも大掃除を行うのは気が重い▼積水ハウスから興味深い調査結果が先日発表された。同社住生活研究所が全国の20~60代既婚男女を対象に実施した「年始に向けた大掃除調査(2023年)」によると、師走に「年末年始の準備をする」とした人は約9割に上り、その内容では大掃除が7割以上と最も多かった▼師走を忙しいと感じている人ほど、さまざまな年末年始の準備をしているよう。準備で大変なことも調べ、大掃除が約6割とトップだった▼大掃除のついでにいつのまにか増えた余計なモノも思い切って整理したいところ。実践マニュアル本を読んでいるうちに、仕事にも通じるのでないかと気づかされる▼無駄と思えても実は役立つ「無駄の効用」という言葉もある。効率さえ良ければいいわけではないが、例えば本当にこのルールや作業、会議、議事録、資料、社内メールなどは必要なのか。そんなことが気になり始めたら、それぞれの組織で業務を一度棚卸しする時期かもしれない。

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2023年12月8日金曜日

回転窓/一人ニーズの力

 過半数が一人の方が好き--。博報堂生活総合研究所が首都圏に住む25~39歳の男女を対象に「ひとり意識・行動調査」を実施したところ、皆でいるよりも一人を好む回答が56%を占めた▼1993年に実施した調査では皆でいる方が好きとの回答が56%と多かったが、30年で逆転した。一人で行きたい場所を見ると、「喫茶店・カフェ」や「映画館」は回答数が倍増。同研究所は、一人を志向する生活者が大幅に増加し意識と行動が変化していると分析している▼こうしたニーズを反映してか、一人でも気兼ねなく楽しめる場は確実に増えている。旅行会社のクラブツーリズムは、一人参加向けツアーを97年から展開中。コロナ禍を経て顧客が戻り、11月時点で過去最高を更新中という▼訪れた場所や食事を心ゆくまま楽しんだり、たまたま居合わせた人と仲良くなったり、一人でいるからこそ広がる可能性もある。単独行動だから寂しいということではない▼帝国データバンクの景気動向調査によれば、景気は改善傾向が見られるが、個人消費は低調に推移したまま。ニーズを上手に盛り上げて消費の好循環を生み出していきたい。

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2023年12月6日水曜日

回転窓/駐屯地とまちづくり

 ふるさとの自衛隊駐屯地で開かれた航空祭で、航空機に乗せてもらったことがある。機内では右と左の列に搭乗者が向き合わせで座り、子供ながらに離陸して窓から見えた遠ざかる滑走路や港町の景色を鮮明に覚えている▼先日この駐屯地がコロナ禍で中止していた一般開放を4年ぶりに再開。大勢の人が訪れ、駐屯地の公式SNS(インターネット交流サイト)が「皆さまとお会いし、同じ時間をともに過ごせました」とお礼のメッセージを発信した▼駐屯地の歴史は、旧海軍省の航空隊設置から続いてきた。来年は開設から90年を迎える。地元の自治体担当者は「生まれたときから駐屯地の存在が当たり前の人が多い。共存のまちです」と話す▼駐屯地周辺には、高さ制限の関係で市街化や開発が遅れてきた地域がある。その自治体は防衛省の補助金を活用した文化施設の整備を計画中。建設費の75%に充当される「補助金前提の事業」という▼本年度から5年で43兆円規模の予算を投じる防衛力整備の行方は、自治体も注視している。必要な施設と共に周辺のまちづくりや補助事業も地域の望む形で進んでいくよう期待したい。

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2023年12月5日火曜日

回転窓/琵琶湖の水

 琵琶湖の水止めたろか--。出張先の滋賀県内で立ち寄った土産物店の一角に、このようなフレーズを使ったグッズが数多く並んでいた▼聞き慣れない言葉の由来を店員に尋ねたところ、琵琶湖の水を利用している大阪や京都など近隣の人たちから滋賀のことをばかにされた際、相手に言い返す定番文句だそう。治水・水利を巡る地域間の歴史的背景がユーモアたっぷりに表現されていて人気の商品という▼日本最大の淡水湖である琵琶湖は、およそ400万年もの歴史を有する日本最古の湖。管理者である滋賀県のホームページによると、一般的な湖は土砂の堆積の影響を受けて1万年ほどで消失するが、10万年以上の歴史をもち、固有種がいる湖(古代湖)は琵琶湖を含めて世界に約20しかない▼近畿圏1450万人の生活や産業に欠かせず、貴重な自然環境を育む国民的資産は現在、渇水が危惧されている。降雨量の減少で琵琶湖の水位が下がり、このままでは取水制限を検討する水位に達する恐れも▼恵みの雨に期待しつつ、日頃の節水対策が重要だ。定番文句が現実にならぬよう、みんなで協調した対応が求められる。

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2023年12月1日金曜日

回転窓/COP28が開幕

 今年も国内外でさまざまな動きがあった。世相を反映した言葉を選ぶ「ユーキャン 新語・流行語大賞」がきょう発表される予定。新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けである「5類」や、すっかり知れ渡った「生成AI」「ChatGPT」などがノミネートされている▼「地球沸騰化」も候補の一つ。今年は観測史上最も暑い夏となった。国連のグテレス事務総長は「地球温暖化の時代は終わり、地球沸騰化の時代が来た」と世界に警告している▼11月30日に国連の気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)がアラブ首長国連邦(UAE)で開幕した。特に注目されるのが、気候変動対策の進捗(しんちょく)を評価する「グローバル・ストックテイク」の議論だ。今回初めて実施される▼産業革命前からの気温上昇を1・5度にとどめるという国際枠組み「パリ協定」で掲げた目標に対し、実施状況をレビューする試み。機運を醸成し対策進展につなげることが期待される▼流行語は時を経て変わっていく。「地球沸騰化なんて言葉が昔あったね」と懐かしむようにできるのか--。世界の本気度が問われている。

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2023年11月30日木曜日

回転窓/拝観料の値上げ

 約2年にわたる値上げの波は身近な食品や光熱費だけでなく、さまざまなモノやコトに広がっている。その一つが社寺の拝観料。先日、奈良市にある東大寺が資材高騰で文化財の修理費用がかさんでいるなどを理由に、来年4月から大仏殿などの拝観料を値上げすると発表した▼大仏殿、法華堂(三月堂)、戒壇堂、東大寺ミュージアムの各拝観料を大人(中学生以上)600円から800円に、小学生300円から400円に引き上げる。30人以上の一般団体は550円から700円とし、高校生以下は据え置く▼寺によると、新型コロナウイルスの感染拡大により参拝客が減り財政状況が悪化。2019年に300万人を超えた参拝者数がコロナ禍で2~3割に激減し、積立金を切り崩すなどしてしのいできたそうだ▼数年以内に南大門の屋根の修理を予定するが、資材価格の高騰で調整が難航。老朽化した防災・防犯設備の更新や防犯カメラの設置も必要という▼こうした悩みは多くの社寺が抱えていよう。拝観料の値上げは訪れる人にとってあまりいい話ではないが、値上げ分を文化財の保護に生かし未来につないでほしい。

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2023年11月29日水曜日

回転窓/正しい後出しじゃんけん

 近所の幼児教室が知能教育の一つに後出しじゃんけんゲームを取り入れている。「勝ち」「負け」「あいこ」を先生が決めてからグー・チョキ・パーのどれかを出し、幼児は先生が指示した結果になる手を選ぶ▼掛け声は「後出しじゃんけんぽん・ぽん」。初めの「ぽん」で先生、一拍おいた「ぽん」で幼児が手を出す。楽しみながら瞬発力や思考力を養えるゲームとして始めたのだそう。「なかなか終わらせてくれません」と先生が笑顔で話しているのを聞いた▼複合施設や庁舎の整備を計画する際、サウンディング調査を行う公的機関が増えている。民間事業者にとっては、調査や資料作成などの費用と労力を伴うが、上流の貴重な情報を早い段階で得られるなど参加のメリットは少なくない▼ある公的機関は、調査に参加した民間事業者からの提案と比較した上で、手持ちの計画案の採用を決めた。事業費が最も安くなるのが最大の理由だと説明していた▼ルールに基づいた調査と政策判断の結果を問題にしたいわけではない。ただ、誰かにとってはちっとも面白くない後出しじゃんけんになったのではないか、と少し気になった。

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2023年11月28日火曜日

回転窓/冬将軍の到来

 11月は寒暖差の激しい日が続いている。先週後半からは強い寒気が南下し、冬将軍が本格的にやってきた▼冬型の気圧配置が強まった24~25日、雪の範囲が北海道から東北、北陸へと広がり、北日本の秋田、山形、福島、仙台などで初雪を観測した。北海道では今季初の暴風雪警報を発表。冬季は雪だけでなく、路面凍結にも十分注意する必要がある▼東日本高速道路会社が国内初のロータリー除雪車の自動運転を実現し、今冬から北海道の道央自動車道で適用するという。高精度な地図情報と準天頂衛星システムで得た測位情報により、車両の走行と除雪作業の操作を自動化。熟練の技術や経験に頼らず、作業員も従来の2人から1人で済む▼これから本格化する道路などの除雪作業では、地域建設業が大きな役割を担う。出動要請に素早く対応するため、作業員の待機や除雪機械の保持といった負担も小さくない中、地域の守り手としての責務を果たす▼積雪寒冷地域の山間部などでは過疎化が進み、除雪に要する人手の確保も難しいのが実情。建設・インフラDXの深化と合わせ、持続可能な建設業の取り組みは待ったなしだ。

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2023年11月27日月曜日

回転窓/からくり技術と文化

 江戸時代に書かれた『機巧図彙(からくりずい)』は、和時計やからくり人形の仕掛けを解説した名著として知られる。当時は江戸での刊行に続き、大阪、京都で再版される人気の本であった▼著者の細川半蔵頼直は柱時計や茶運び人形などの仕組みを図解。現代語訳が付いた『完訳からくり図彙〔注解付き〕改訂版』(編訳・村上和夫、並木書房)を読むと、機巧図彙は国際的に貴重な文献であると高く評価されているという▼現代にも名著と評されるのはからくり技術の指南だけでなく、〈人と共存する独自のロボット文化〉を育んだ原点があるから。「ロボットが人間の愛すべきパートナーとなることさえ示している」と博物学者・荒俣宏氏は推薦文を寄せている▼建設産業ではこれまでも作業を自動化するロボットなど、生産性向上へさまざまな技術開発が進められてきた。ここ数年で建設用3Dプリンターが実用段階に入り、DXなども進展し建設生産の可能性は広がりを見せる▼もの造りの現場はどう変わるのか。その近未来像を発信することも必要だろう。後世になって評価される新たな建設技術文化は、今この時に育まれている。

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2023年11月20日月曜日

回転窓/短い秋を味わう

 きょう11月20日は「ピザの日」。食品メーカーで構成するピザ協議会のホームページにその意味が書かれている▼1889年、イタリア王妃・マルゲリータがナポリを訪れた際、有名なピザ職人からトマトとモッツァレラチーズ、バジルで国旗の色を模したピザが献上された。これを王妃が大変気に入り、「ピッツァ・マルゲリータ」の誕生となった。ピザの日は王妃の誕生日に由来する▼子供から大人まで人気のピザは、2022年度の国内市場規模が年間約3279億円に上るという。同協議会の推計(末端売上高)によるもので、1994年の調査開始以来、2021年度に続いて過去最高を更新した▼ピザ好きが高じて、以前に自宅の庭でれんが製の石窯作りに挑んだことがある。材料を買いそろえて始めたものの、なかなかうまくいかず途中で断念。行き場をなくした耐火れんがのいくつかが今、小さな花壇の仕切りになっている▼近所のイタリア料理店で先日、秋のイチジクと4種のチーズを乗せて焼く季節限定の一品がメニューに加わった。今年の短い秋の味を楽しみたい。プロの料理人が作るおいしいピッツァで。

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2023年11月17日金曜日

回転窓/国際男性デー

 今年になって取材先の知人である男性2人が育児休暇を取得した。しばらくして復帰の連絡が入り、大変ながらも子育てを楽しまれているようだった▼積水ハウスが小学生以下の子どもを持つ男女を対象にした調査を6月に実施。男性の育児休業取得率は24・4%の約4分の1にとどまっているものの、2019年実績(9・6%)から大きく伸びている▼11月19日の「国際男性デー」は、1999年にトリニダード・トバゴで始まった取り組みが由来とされる。男性や男児の心身の健康に目を向け、ジェンダー平等を促すことが狙い。各地で展示やシンポジウムが開かれる▼「男性も生きづらい部分がたくさんある。男性自身がこの問題に目を向けて、自分を変えていくといい」。男性学研究者の伊藤公雄京都産業大学教授が、国立女性教育会館(萩原なつ子理事長)のインタビュー企画で指摘していた▼男性だけを意図したものではない。「男性が変わらないとなかなかジェンダー平等が進まない」(伊藤氏)ことが背景にある。互いに認め合いながら、支え合う姿勢が大事。男性の育児休暇取得の促進も重要な一歩となる。

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2023年11月16日木曜日

回転窓/2023年11月の渋谷

 1日当たり乗降客数200万人超の巨大ターミナル渋谷駅(東京都渋谷区)。駅前広場に立つ「忠犬ハチ公像」といえば待ち合わせ場所としてあまりにも有名で、国内だけでなく海外にも知られているそう▼飼い主亡き後も駅前で主人を待ち続けたハチの逸話は今も人々の胸を打つ。「忠犬」と呼ばれることになるハチは10日に生誕100年を迎えた。銅像のある渋谷区では各所で記念イベントが開かれ、街を挙げて記念日を盛り上げている▼その一環で、ハチが部屋の中に入ってベッドの上に座っているかのように飾り付けたアート作品が12日限定で出現した。普段外にいるハチが部屋の中にいる逆転現象は、通り掛かる人たちの目を楽しませ、想像力を大いに刺激しただろう▼ハチが見つめ続ける渋谷は今、100年に1度と言われる大規模再開発の真っ最中。JR渋谷駅では機能更新と再編、駅ビルの再開発が一体的に進行している▼JR東日本は渋谷駅の線路切り替え工事に伴い、17日終電~20日始発に山手線一部区間の運休を予定。限られた時間内での施工となるが、練り上げた計画の下、作業を安全で無事に終えてほしい。

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2023年11月15日水曜日

回転窓/人と技術が出会う場に

 お世話になった道路舗装会社の技術者に展示会で偶然再会した。定年退職を迎え、再雇用制度によって技術営業部門のスタッフとなり、展示ブースの説明役を担っているのだと言う▼新型コロナウイルスの5類移行もあり「どこの展示会も盛況で、他社の同世代の仲間に会えるのも楽しい」とその人が話してくれた。技術や製品の紹介だけでなく、そうした交流の場になるのも展示会には期待される▼市場調査会社が行った調査によると、展示会に「行きたい」と回答した人の割合が、今年は感染症のまん延防止等重点措置が解除された時に比べて20ポイント上昇した。感染が心配なため「行きたくない」は5%にとどまった▼調査会社は会場で注目される「繁盛ブース」も話題に上げている。デザインや説明員の立ち位置などこつはいくつもあるようだ。出展者は来場者にそれぞれのPRポイントができるだけ分かりやすく伝わるよう工夫を凝らす▼「建設技術展2023関東」(日刊建設工業新聞社主催)がきょう15日と16日に東京・東池袋のサンシャインシティで開かれる。今年も多くの方々と技術が出会う場所としていただきたい。

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2023年11月14日火曜日

回転窓/トイレを交流拠点に

 先週11月10日の「いい(11)トイレ(10)の日」に、日本トイレ研究所が「日本トイレ大賞2023」の授賞式を開いた。グランプリには埼玉県所沢市の水道工事会社、石和設備工業による公衆トイレを核とした地域活性化事業が輝いた▼自社敷地内にコミュニティースポットの概念を取り入れた公衆トイレ「インフラスタンド」を整備。シェアサイクルステーションやフリーワイファイ、自動販売機も設け、地域の交流拠点としての役割を担う▼マルシェ「KAWAYA市」を定期的に開き、公衆トイレのネガティブなイメージを拭い去り、人が集うにぎわいづくりを進める。清潔で多機能なインフラスタンドの整備・運営を通して、水道工事の新たな魅力発信につなげる狙いも▼日本トイレ大賞は生活に不可欠なトイレ環境の改善を促し、インバウンドのおもてなしのほか、女性が働きやすい社会を形成するなどの理念から国が2015年に創設。女性活躍推進の一環で、工事現場に設置する快適トイレも受賞している▼人材確保には、男女問わず働きやすい職場環境が不可欠。現場で働きたくなる快適トイレの普及に期待したい。

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2023年11月13日月曜日

回転窓/塩せんべいとこだわり

 小説家・子母澤寛(1892~1968年)の随筆集『味覚極楽』に「日本一塩煎餅〈鉄道省事務官 石川毅氏の話〉」と題した章がある。塩せんべいを好んだ石川のこだわりがよく分かり面白い▼〈舌の上でぴりっと醤油(しょうゆ)の味がして、焼いたこうばしさがそれに加わって…〉。こう話す石川は全国の塩せんべいを食べて回った。お茶を飲むのは残り味が舌の上で消えるか消えないかの時で、そのお茶もあっさりした味の番茶に限ると。酒のつまみにもしていた▼ところでしょうゆ味のせんべいが塩せんべいと称されるのはなぜか。もともと塩せんべいは雑穀に塩を加えて焼いたものだったが、米を原料にしょうゆ味で作られるようになり、これが好評で関東の塩せんべいを代表する味になったようだ(『お菓子の日本語文化史』和泉書院)▼かつてせんべいは球状の地球びんに入り1枚単位で売られていた。今もこのスタイルを守る老舗があり、そんな店を訪れて買うのは楽しい▼ちなみに地球びんは形状からせんべいをまとめてざっと入れても割れにくいのだとか。作る側も食べる側もこだわりを持ってこその食文化である。

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2023年11月8日水曜日

回転窓/横断歩道の思いやり

 車で聴いていたFMラジオの番組で、リスナーから寄せられた運転中の出来事の話を紹介していた▼ある日、信号のない横断歩道を渡った小学生が、一時停止した車の運転手に向かって深くお辞儀してお礼するのを見かけた。運転手に目を向けると、小学生に笑顔で小さく手を振っていたそう。増えたらいいなと思える場面が目に浮かび、温かい気持ちになった▼日本自動車連盟(JAF)がまとめた「信号機のない横断歩道」に着目した2023年の調査によると、道路を渡ろうとする歩行者がいる場合に一時停止した車の割合(一時停止率)は全国平均で45・1%。前年より5・3ポイント高かったが、依然として半数以上の運転手は止まらず走り続けているのが実態だ▼調査はJAF職員が歩行者となって8~9月に全国で実施。都道府県別の一時停止率は長野県で80%を超えた一方、低いところでは20%台が複数あった▼ちなみに番組放送局のある県の一時停止率は昨年までの20%台から31%へ上昇。番組で紹介された小学生と運転手のような振る舞いが広がれば、一時停止率はさらに高まるだろう。思いやりの連鎖を期待したい。

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2023年11月7日火曜日

日本テレビ放送網/二番町計画(東京都千代田区)/延べ8・7万平米の複合機能棟建設

 日本テレビ放送網は東京都千代田区の旧本社跡地で計画している「日本テレビ二番町計画」の概要をまとめた。新たに延べ約8万7500平方メートル、高さ約80メートルの「複合機能棟」を建設。周辺に60メートルの高さ制限が設定されているため、同棟は60メートル以上の上層部をセットバックして隣接道路からは見えなくする。地上には約2500平方メートルの公園も整備。区は内容を了承済みで、今後都市計画法で定める素案・案の縦覧手続きに着手する。  区が6日開いた都市計画審議会に報告した。計画地は二番町14(面積約1・5ヘクタール)。東京メトロ有楽町線麹町駅に直結する。同社は敷地東側(約0・5ヘクタール)に「日本テレビ番町スタジオ」を建設し、大成建設の設計・施工で2018年に完成した。現在は敷地西側(約1ヘクタール)の利用計画を検討している。現況は駐車場や、暫定利用の緑地となっている。  今後は南側に複合機能棟を建設し、商業や業務、エリアマネジメント拠点といった機能を入れる。高さ60メートルでセットバックして階段状になる部分は緑化する。地下鉄駅とを結ぶバリアフリー動線の整備も計画している。  建物北側の低層部はピロティ構造とし、北側に整備する公園の面積を広げる。芝生広場を設け、四季を感じられる樹木も植える。完成後は地域住民の憩いの場として開放する。  同社が今回示した計画は、住民の理解を得るために区が要請した内容を踏まえた修正案となる。同社は22年、区に都市計画提案を提出。容積率の最高限度を700%、高さの最高限度は90メートルに設定する内容で、同社は高さ約90メートルのビル建設を計画していた。住民の意見や区の要請を踏まえて計画を修正した。

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回転窓/冬支度も油断大敵

 11月の異名として一般的な「霜月」は、現在の新暦で12月ころに当たる。このほか「霜降月」「霜見月」「雪待月」「雪見月」など霜や雪に関する呼称が多く、本格的な冬の到来を連想させる時節とされる▼現代の季節感と比べると、新・旧暦の違いだけでは説明できないズレが生じているようだ。先週後半から季節外れの暑さとなり、各地の最高気温も25度以上の夏日が続出。沖縄や九州の一部では30度以上の真夏日になるところも▼普段なら冬用に衣替えを済ませている時期だが、夏物をしまえずにいる方も多かろう。気候変動の影響が日々の暮らしにも広がりつつある▼気象庁が先月発表した11月から来年1月までの3カ月予報によると、日本上空の偏西風が平年より北側を流れ、寒気の南下が弱くなる見通し。平均気温は北日本(北海道と東北)で平年並みか平年より高く、東・西日本と沖縄・奄美地方で高いとしている▼全国的には暖冬傾向のようだが、降水量は平年並みか多く、降雪量は地域によって一時的に強い寒気が入ることで大雪になる可能性もあると警鐘を鳴らす。除雪対応などを含め油断せずに冬支度を進めたい。

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2023年11月6日月曜日

回転窓/ウクライナの復興を願って

 ロシアによるウクライナ侵攻が、依然として解決を見いだせずにいる▼ウクライナ側が提唱する和平案「平和の公式」を協議する国際会議が先月28日、マルタで開かれた。ロシア軍の撤退や領土の回復などを求める内容。日本政府は、ウクライナ支援とロシアへの制裁を続ける方針を表明した。ロシア側は和平案に拒否する姿勢を示している▼ウクライナでは厳しい冬が近づきつつある。本来は今すぐに復旧・復興に取りかかるべきだが、悲しいことにその状況にない。一刻も早い停戦が求められる▼国際協力機構(JICA)が1日、ウクライナの復旧・復興促進への体制整備で首都キーウの事務所を再開した。「今後の復旧・復興フェーズで支援を本格化させていく中で、多岐の分野にわたる支援を迅速かつ着実に実現していく」。上川陽子外務相は定例会見で語った▼来年初めには「日・ウクライナ経済復興推進会議」が開催される予定だ。日本には戦禍や度重なる自然災害から復興してきた経験がある。必要になった段階で即応できるよう準備し、同国の人たちが安全・安心に暮らせる環境を一日も早く取り戻してもらいたい。

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2023年11月2日木曜日

回転窓/観光需要増の光と影

 昔懐かしいレトロなコッペパンが名物のお店に立ち寄ると、大きなキャリーバッグを持った外国人の家族が楽しそうにパンを選んでいた。インバウンドであろうか、駅から遠く分かりにくい場所にある小さな店舗をよく見つけたものだと感心した▼思わぬところで旅行者に遭遇したが、観光庁の統計によると9月の訪日客数は約218万人で、コロナ禍前の2019年9月と比べて96%の水準まで回復。中国からの訪日を除くと128%になるそうだ▼国内外の観光需要が回復し多くの観光地でにぎわいを取り戻している。一方で観光客の急増により地元住民の生活や自然環境に悪影響が及ぶオーバーツーリズム(観光公害)が顕在化。バスや鉄道の混雑、ごみの放置、騒音などの問題が観光地の魅力低下につながると懸念される▼政府は先月、オーバーツーリズム防止に向けた対策パッケージをまとめた。混雑状況に応じて交通機関の運賃設定を変える取り組みなどが柱で、全国20地域を選んで年度内にもモデル事業が始まるという▼今後さらなる混雑も想定される中、観光客の受け入れと住民の生活の両立を図る対策が急がれる。

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2023年11月1日水曜日

回転窓/気持ちは伝わる

 携帯ショップで初めてスマートフォンを買ってもらった小学生の男の子が、契約手続きを担当した若い男性店員に「ありがとうございました」とお礼を言っていた▼店員は新人なのだそう。契約書に記入する保護者に「あっ、こっちこっち」「誕生日、僕と1日違い」などの言葉で話しかけるのは気になったが、マニュアルを見たり先輩に聞いたりしながら、丁寧に分かりやすく説明しようと努める対応に好感を持てた▼企業や団体がリカレント教育に力を入れている。技術者に「学び直し」の場を提供する建設業団体のトップは「常に新しいことを学び、自分を振り返ってほしい」と強調する▼リカレント教育は仕事に生かす知識やスキルを高めることで、活躍の場を広げられるなどのメリットが期待できる。この建設業団体は「技術者が相手の気持ちを考えるのは大切なこと」と捉え、リカレント研修で知識の習得だけでなく他社の技術者との交流を深めるよう求めている▼他人をおもんぱかる気持ちはキャリアにかかわらず相手に伝わる。店を出る時に「優しい人だったね」と笑顔で話す男の子がそう教えてくれた気がする。

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2023年10月31日火曜日

回転窓/三方よしの国づくり

 琵琶湖の東岸に位置し、水郷のまちで知られる滋賀県近江八幡市。江戸~明治期に活躍した近江商人の発祥の地でもあり、商人らが暮らした昔ながらの街並みが今も残る▼地域の経済を支えてきた八幡堀は1585年、豊臣秀吉のおいの秀次が八幡山城の築城を機に、琵琶湖につながる運河(全長約4・7キロ)として建設された。特に江戸時代は水運の流通拠点となり、八幡商人たちが全国に商いを展開していく基盤となった▼そのような地域に欠かせないインフラにも存続の危機が訪れる。昭和の経済成長期に運河としての利用価値を失い、埋め立て計画が浮上。しかし「堀は埋めた瞬間から後悔が始まる」を合言葉に市民らが保存再生運動を展開し、今では重要な観光資源となっている▼本日発行の本紙創刊95周年特集号(第2集)では「持続可能性」をキーワードに、地域の観光・交通にもスポットを当てている。社会インフラが持つ機能や役割も時代とともに多様化が進む▼売り手・買い手が満足し、社会にも貢献する「三方よし」を経営理念に掲げた近江商人。持続可能な国づくりの上で、先人たちから学ぶべきことは多い。

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2023年10月30日月曜日

回転窓/考・落語と土木

 何年かぶりに落語を聞きに出掛けると、演芸場の客席はほとんど埋まっていた。コロナ禍で寄席などを開けない時期もあったが、人気は変わらず高いようだ▼落語家が出囃子(でばやし)とともに高座に上がり、本題前の「まくら」と呼ばれる余談が始まる。この時から観客は巧みな話芸に引き込まれていく。やはり落語はライブで楽しむのがいい▼建設業界では安全大会に落語家が登壇することも少なくない。安全意識の向上へコミュニケーションの大切さなどが笑いを交えて分かり、聞く人に得るものは多い▼16日発行の本紙創刊95周年記念特集号(第1集)に登場いただいたのは柳家小きん師匠。建設コンサルタンツ協会とタイアップし、これまでに土木落語2作を発表している。続いて防災がテーマの3作目を創作中という▼小きん師匠はインタビューで「(土木落語に)当たり前にあるインフラと携わる人たちへの感謝の気持ちも込めました」と話してくれた。土木の魅力を効果的に伝えるために「著名な人を土木建設大使に任命するのも良いと思います」とも…。大使第1号はインフラと土木の役割を知る小きん師匠にぜひお願いしたい。

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2023年10月26日木曜日

回転窓/感染対策を改めて徹底

 「今季一番の冷え込み」という言葉を聞くことが多くなってきた。朝と日中の寒暖差も大きく、服装で上手に調節しながら体調管理に気を付けていきたい▼厚生労働省が20日公表したデータをみると、インフルエンザの大流行が4週間以内に起きる可能性を示す「注意報レベル」に達した。全国約5000の定点医療機関から9~15日に報告された新規感染者数が1機関当たり11・07人となり、前週から1・08人増加。注意報レベルの10人を超えた▼インフルエンザは通常、冬に流行するが、昨年末に3年ぶりとなる全国的な流行期に入り、収束することなく秋に急拡大する異例の事態が続いている。休校や学級閉鎖となった幼稚園や小中高校などは全国で1700施設を超えるという▼コロナ禍にインフルエンザの流行がなく、社会全体として免疫が低下していることなどが要因と考えられる。せき止めや痰(たん)を切る薬など処方薬も全国的に少なく、入手しづらい状況になっている▼今年も残り2カ月余りとなり、年末に向けて忙しさも増してくる。新型コロナが5類に移行し緩んでいたかもしれない感染症対策を改めて徹底したい。

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2023年10月24日火曜日

回転窓/働き方改革の先にあるもの

 健全なる精神は健全なる肉体に宿る--。古代ローマの詩人であるユウェナリスの詩の一部が訳されて広まった言葉とされる▼「体が健康であれば精神も健全になる」などの解釈が一般的だろうが、本来は別の意味を持つ。著作の『風刺詩集』の一節では、「健やかな身体に健やかな魂が願われるべきである」という願望が表されたもので、現実は難しく、そうではないとの嘆きの言葉のようだ▼健康を自負していても、さまざまな要因で心と体のバランスを崩してしまうことも。ストレス過多の現代にあって、特に心の病にかかる人が増えている。心身共に健康であることは、今も昔も簡単ではない▼世界精神保健連盟が10月10日を「世界メンタルヘルスデー」とし、今月は関連イベントが各地で行われている。心の健康に関する世間の意識を高め、偏見をなくし、正しい知識を普及させることは、誰もが生きやすい社会の創出には欠かせない取り組みだ▼心と体を良好な状態に保っていくにはどうすればいいのか。働き方改革の目指すべきところが、労働時間や休日数など数字の先にある心身の健康だということを忘れてはならない。

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2023年10月23日月曜日

回転窓/秋の読書週間に思う

 秋の恒例「読書週間」が27日に始まる。一般募集で選ばれた標語は〈私のペースで しおりは進む〉。同じく募集したイラストに添えられてポスターとなっている▼「しおりがなかなか進まない本もあれば、一気に読んでしまう本もあり。読み終えればどちらも、充実感や感動を得ることができます。これからも心に残る物語との出会いを求めて、私のペースで読書を楽しみたいと思います」。標語の作者・藤村伸子さんの言葉である(読書推進運動協議会ホームページより)▼よく利用する図書館で読書週間に合わせた「本の福袋」が準備されている。テーマに沿って選んだ数冊を袋に入れて貸し出す。普段の読書と同じジャンルに偏らず、新しい世界に触れる機会になればと始められた▼増え過ぎた本をいつか処分しなければならないが、どうしても手放せない一冊もあると、好きなエッセイストが書いている。大切な本とその理由は人それぞれであろう▼気持ちにゆとりがなくなると本との距離はどうも遠くなってしまう。それでも読みたい時、読める時にページを開き、自分のペースでしおりを進めたい。すてきな標語に倣って。

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2023年10月20日金曜日

回転窓/採用と現場の安全

 「採用が非常に難しくなっている」。専門工事業の経営者が危機感をあらわにしていた。来春の新卒採用の内定者が、親から大反対されたという。建設現場の事故の報道に触れて心配になったことが原因だった▼内定者に相談され、両親に会社に来てもらい説明する機会を設定。安全の取り組みなどを伝えたところ、子どもの入社に納得してもらえたそうだ。「そういう時代なのだ」と労働災害防止の重要性を強調していた▼厚生労働省がまとめた労働災害発生状況(10月速報値)によれば、建設業の死亡災害は前年よりも減少したものの、全産業で最も多い。休業4日以上の死傷災害は微増となった▼4月から厚労省の第14次労働災害防止計画が始まっている。建設業では、死亡者数を2027年までに22年比で15%以上減らす目標を掲げた。「費用としての人件費から資産としての人的投資」への変革を打ち出しており、安全に積極的な企業が評価される環境を醸成する▼将来を担う若者らを呼び込むためには災害撲滅へ継続的な取り組みが大事。年度後半で繁忙期に入るが、未来に向けても安全最優先でいかなければならない。

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2023年10月18日水曜日

回転窓/ケショウヤナギの期待

 ヤナギ科の樹木であるケショウヤナギは、冬から春にかけて若枝が白粉を飾り、紅色に染まる。雪景色に美しく映える姿が名前の由来と聞いた▼群生するのは北海道と長野県の一部だけ。同県では北アルプスの山々に囲まれた上高地など梓川周辺が群生地として有名だが、その景観が一部で変わりつつある▼ケショウヤナギは雨で流量が一気に増す梓川の激しいかく乱を耐えた個体が群生してきた。自然の保護と利用のために最低限必要だった過去のインフラ整備に伴い、かく乱が減った一部の地帯でケショウヤナギ以外の樹木が目立つようになっているという▼長野県松本市は現在、物資輸送や傷病者の搬送に欠かせない梓川上流の管理用道路の再整備など「上高地『再生と安全』プロジェクト」に取り組んでいる。川の人工物を撤去し、本来は網状の自然な流路に再生したり、つり形式の人道橋「新村橋」を車両も通行できるように架け替えたりする▼市は着手前の調査や議論、関係機関協議に約6年を費やした。希少な自然の保護・保全と利活用の在り方を追求し、上高地の価値を未来へつなぐプロジェクトに注目したい。

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2023年10月17日火曜日

回転窓/花粉症の特効薬

 国民病とも言われる花粉症(季節性アレルギー性鼻炎)は、完治が難しく、患者数も年々増えている。秋もブタクサなど草の花粉症がシーズンを迎えているが、春先のスギやヒノキと比べると有病率は低いようだ▼スギ・ヒノキは戦後の復興期に木材需要の急増を見込み、国の拡大造林政策によって全国各地で植林が進んだ。特にスギは北海道の南部から九州にかけて広い地域で植えられている▼その後、安い外材に押されて国産材の需要は低迷。伐採が進まずに成長した人工林からは大量の花粉が放出されることに。近年は花粉量の増加や体質の変化などにより、発症までの期間が短くなり、いまや3人に1人がスギ花粉症とも言われる▼政府はスギにターゲットを絞り、花粉症対策の強化に乗り出す。先週の関係閣僚会議で来年の飛散時期を見据えた「初期集中対応パッケージ」をまとめ、発生源の人工林の伐採や花粉の少ない品種への植え替えなどを重点的に進める区域を本年度中に設定する方針だ▼住宅などを中心にスギ材市場の拡大も後押しする。花粉症患者にとどまらず、経済対策としても特効薬の効果を期待したい。

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2023年10月12日木曜日

回転窓/まちづくりの土台

 九州を周遊する豪華寝台列車「ななつ星in九州」が15日に運行開始10周年を迎える。日本初のクルーズトレインで九州の魅力に出会う旅はJR九州のヒット商品であり、小欄もいつか乗車してみたい▼ななつ星など数々の車両デザインを手掛けた工業デザイナーの水戸岡鋭治氏は「環境問題を考えれば結果的に『大鉄道時代』が来る」と話す。多くの人や物を少ないエネルギーで運べて時間にも正確な鉄道は地球環境にやさしく、これからの脱炭素社会の実現に欠かせない公共交通と言えよう▼日本で最初に鉄道を走らせた線区は、景色が美しく安全な場所を切り開いてつくられたという。原風景を走るローカル鉄道は旅人を引き付ける魅力がある▼JR西日本が広島、岡山両県を走る芸備線の一部区間について、今後の在り方を国、自治体と議論する再構築協議会の設置を国土交通省に要請した。協議会は鉄道を維持するか、廃止してバスなどに転換するかを決め、3年以内に再構築方針を策定する▼公共交通はまちづくりの土台になる。どのような将来像を描くのか。協議会で沿線のまちと利用者らに最適な解を導き出してほしい。

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2023年10月10日火曜日

回転窓/うましサケの焼き漬け

 秋サケの時期が到来し、各地で産卵のため川に戻ってくるサケの遡上(そじょう)が本格化していく。北陸では「サケのまち」として知られる新潟県村上市で21日、三面川に残る伝統漁法「居繰網漁(いぐりあみりょう)」が始まる▼先日、村上名産の「サケの焼き漬け」をお土産で頂いた。これがとてもおいしく、すぐにオンラインでも注文しようと決めたほど。ごはんも酒も進む逸品であった▼白焼きしたサケを酒やミリンなどが入った特製しょうゆだれに漬け込み、そのままでも軽く温めて食べてもいい。江戸時代から保存食としてつくられていたようで、サケを四角く切る「餅切り」も特徴の一つ▼〈塩サケや煮付けとは全く違う風味を楽しめ、冷めても固くならなくて、ふんわりとしている〉〈村上のサケ文化の歴史は平安時代にも遡(さかのぼ)り、京の都の朝廷に租税として納められていたといわれている〉。農林水産省のデータベース「うちの郷土料理」から引いた▼次の満月は月末まで待たなければならないが、ようやく秋らしい気候となり、銘酒とサケの焼き漬けでお月見といこうか。和らぎ水の味にもこだわろう。

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2023年10月6日金曜日

回転窓/赤字ローカル鉄道の行方

 ローカル鉄道の再編を国と地方自治体、鉄道会社が話し合う「再構築協議会」制度が1日に施行された。JR西日本は3日、芸備線の一部区間を対象に協議会設置を国に要請。全国初となる▼地元の湯崎英彦広島県知事は「広域的な観点から沿線活性化を含めた幅広い議論がされるべき」と訴えた。公共交通への補助金が重い負担になっていく実情にも言及。赤字にあえぐ多くのローカル鉄道に共通する▼豪雨災害に伴う運休を経て昨年に全線再開したJR只見線。8月に福島県只見町で只見駅開業60周年イベントが開かれた。鉄道好きで知られる俳優の六角精児さんは「住民の強い気持ちで復活した只見線は存続が危ぶまれるローカル線の道しるべ」と呼び掛けた▼人口減少下では、1路線の収支だけで見ると存続は容易ではない。ただ、観光など地域に与える影響、ネットワークの意義もあり、何を重視するかで答えは変わる▼シェア型交通や自動運転車など新たな選択肢が生まれつつある。将来の変化も見据えつつ、幅広い議論が展開され、持続可能な在り方を切り開いていけるのか。芸備線と沿線地域の今後に注目が集まる。

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2023年10月5日木曜日

回転窓/新語の意味と使い方

 11月に映画『人生に詰んだ元アイドルは、赤の他人のおっさんと住む選択をした』が公開される。タイトルにある「詰んだ」がよく分からず調べると、SNS(インターネット交流サイト)などで発生した言葉だという▼「終わった」や「負けた」などネガティブな意味で使われることが多く、「人生詰んだ」とは「人生が終わった」「人生の望みが絶たれた」といったニュアンスに。映画はなかなか衝撃的なタイトルで、元アイドルの実録私小説が原作である▼日本語の新しい表現について文化庁が調べた結果、「どうしようもなくなった」の意味で「詰んだ」を使うと答えた人は30・5%。1~3月に全国16歳以上の6000人を調査し、3579人の回答を集計した▼実際に使う人は過半数に満たなかった一方、他人が使っても「気にならない」と66・5%の人が答えた。これらの結果から社会に定着し始めている言葉とみるべきかどうかの判断は難しい▼新しい意味や使い方が次々と生まれるが、言葉は相手に伝わるかどうかが最も大切だ。ちなみに本紙が少なくともこの数十年で「詰んだ」の文字を掲載するのはきょうが初めて。

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2023年10月4日水曜日

回転窓/棚田がくれる実り

 自然豊かな景観とふるさとの伝統文化を後世に伝えようと農林水産省が設けた「つなぐ棚田遺産」。全国から推薦のあった271の棚田を認定している▼建設会社がオーナーとなって田植えや稲刈りを行っている棚田もあり、関東地方で先月、この会社の社員と家族らも参加して稲刈りが行われた。アユの塩焼きなど旬の食材を使った料理も振る舞われ楽しい一日になったようだ▼「地方整備局長に褒めていただいた」と話すのは同社の経営者。インフルエンザと新型コロナウイルスの再流行が懸念され、相応の感染防止対策を講じる必要があったが、そうした親睦を促す取り組みについて好意的に評価してくれたという▼物価高騰など事業環境は厳しく、コロナ禍の影響もあり社員同士、社員と会社の距離感を心配する経営者も少なくない。棚田のオーナーである建設会社は「対面の機会を増やそう」と稲刈りをみんなで行うことにした。収穫した米を入れる袋には習字に熱心だった先代社長が好んだ「和」の文字をデザインする▼人の輪で成り立っているのが建設業。棚田で深めた絆が社業の発展につながるよう期待したい。

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2023年10月3日火曜日

回転窓/台風シーズンは続く

 今年は9月に発生した台風が2個にとどまった。統計のある1951年以降では同年と73年、83年と並んで最少タイ。少ないのに越したことはないのだが、月末に発生した2個目の台風14号の動きに注意が必要だ▼9月上旬に襲来した1個目の台風13号の影響で、関東や東北の太平洋側は大雨となった。伊豆諸島のほか、千葉、茨城、福島の各県で線状降水帯が発生。猛烈な雨に見舞われ、浸水や土砂崩れなど各地で被害が広がった▼気象庁によると、台風の発生件数は8月が最も多くなる一方、上陸数では9月が増える。太平洋高気圧の勢力が弱まり、南海上から放物線を描くように日本付近を通るため、上陸の確率が高まるという▼急がれるのは、線状降水帯の予測精度向上に向けた取り組み。先週26日、同庁が大学や研究機関と連携してスーパーコンピューター「富岳」を活用した共同研究を行うと発表した。豪雨や台風に関する防災気象情報の基盤となる数値予報技術の高度化を進める▼発生件数が減少傾向ながら台風シーズンは10月も続く。台風のエネルギーを増大させる海面水温は高い状態にあり、油断せずに備えたい。

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2023年10月2日月曜日

回転窓/パークゴルフとツバキの木

 幅広い世代が一緒に楽しめるパークゴルフは1983年に日本で誕生した。北海道幕別町が発祥の地。「公園で始めた遊び」だからと名付けられたコミュニティースポーツで、愛好者は全国100万人を超えるという▼使用クラブは1本だけ。芝生のコースで直径6センチのボールを打ち、カップインまでの打数を競い合う。誰もが気軽にプレーできるのが特徴だ▼日本パークゴルフ協会の公認コースは全国に354を数え、宮城県東松島市の矢本海浜緑地パークゴルフ場もその一つ。東日本大震災の被災地に整備され、4年前にオープンした。4月には累計利用者が20万人に達している▼ここを含む大崎市、石巻市の県内3コースで今月7、8日に「第13回全日本パークゴルフ大会」が開かれる。約680人が参加する予定で、地域を越えた交流が行われる2日間となる▼東松島市のJR仙石線旧野蒜駅(現東松島市震災復興伝承館)を今の季節に訪れると、津波にも耐えた1本のツバキの木がたくさんの赤い実を付けて出迎えてくれる。震災の記憶を伝えつつ、これからも市民スポーツなども通じた地域づくりを見守っていくのだろう。

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2023年9月29日金曜日

回転窓/『明日の神話』を未来へ

 東京・渋谷駅の連絡通路にある岡本太郎の巨大壁画「明日の神話」をご存じだろうか。メキシコで制作し、1969年に仮設置されたが行方不明に。2003年に同国で発見され、再生プロジェクトを経て08年から渋谷に落ち着いた▼「芸術は暮らしの中に生きるもの」という岡本の芸術観に沿った場所だが、15年たち傷みが進行。明日の神話保全継承機構(西村友伸理事長)が大規模な改修・修復を行うと21日発表した▼初弾の修復は10月から行われる。絵画修復家の吉村絵美留氏が参画。裏面からの補強や激しい汚れの除去、亀裂部分の再接着など繊細な作業が進められる▼絵画の修復では容易に除去できる材料を使用し、修復箇所が判別できるようにしておくという。将来より良い材料ができた時に、置き換えられるようにするための準備だ。以前に聞いた講演で吉村氏は「芸術家というより、むしろ技術者」と話していた▼豊かな都市にとって芸術は欠かせない要素。同機構は協力を募るクラウドファンディングを実施中だ。「明日の神話」が100年後も多くの人を魅了しているよう、支援の輪の広がりを期待したい。

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2023年9月28日木曜日

回転窓/近現代建築の貴重な資料

 建築家の伊東豊雄氏が最初期に取り組んだ建築のスケッチや図面、模型などをカナダ・モントリオールのカナダ建築センターに寄贈する。貴重な資料が海外に流出するのは残念だが、世界有数の建築ミュージアム・リサーチセンターに収蔵され、散逸や劣化は免れるだろう▼日本でそうした重要な役割を担う公共機関が文化庁「国立近現代建築資料館」(東京都文京区)。近現代建築の図面や模型などを収集・保管・展示する拠点であり、2013年5月に開館した▼一部の建築家のリトグラフなどに市場価値があるようだが、この資料館はお宝集めが目的ではない。建築の文化的側面に重きを置き、寄贈によって歴史資料を収集するという基本姿勢に共感を覚える▼開館10周年を記念した特別展「日本の近現代建築家たち」が2部構成で開催中(1部10月15日まで、2部11月1日~24年2月4日)。これまでの活動とともに、日本の近現代を創り上げてきた12人の建築家たちのコレクションを紹介している▼世界に誇れる日本の建築文化を多くの人に知ってもらい、次の世代へと受け継いでいく。そんなきっかけになってほしい。

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2023年9月27日水曜日

回転窓/三方良しの防災力強化

 アジア初となる危機管理学部を2004年に開設した千葉科学大学(千葉県銚子市、東祥三学長)。学生は専門のプログラムにより、日本防災士機構が認証する「防災士」の資格を取得できる▼防災士を取得した学生は、災害などの非常時には身に付けた知識やノウハウを生かし、自助はもちろん、周囲の人々への共助に大きく貢献すると期待される。発災時にとどまらず、平時でも活躍の場を創出するなど、資格取得のインセンティブを高める必要性を指摘する声もある▼関東地方整備局の利根川下流河川事務所は同大と連携し、防災士の学生らが地域の防災活動を支援する取り組みを始める。小中学校での防災教育の準備や授業などを手伝うという▼流域一帯の関係者の協力を促す流域治水の一環。学生はさまざまな経験を積め、事務所側は多くの学校で効率良く防災教育を実施できる。職員や先生たちの負担軽減にもつながる▼「防災は学生の素養」(東学長)とする同大では、防災士の女子学生が防災教育の授業で講師を務める練習を始めたそう。大学と行政、小中学校による三方良しの取り組みが地域の防災力をさらに高める。

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2023年9月26日火曜日

回転窓/秋を彩る彼岸の景色

 近所の河原を散歩していたら、土手の一面に真っ赤なヒガンバナが咲いていた。厳しい残暑が続いていた関東地方だが、秋の彼岸を迎えて気温が下がり、秋を告げる草花の開花も一気に進んだとみられる▼「秋分の日」だった先週末の23日は、太陽が真東から昇り、真西へと沈んだ。昼と夜の長さがほぼ同じとなり、これから冬至に向かって昼はだんだん短くなっていく。一方、「春分の日」は逆に夏至に近づくにつれて昼の時間が長くなる▼暑さ寒さも彼岸まで--。厳しい暑さは秋の彼岸、寒さも春の彼岸を過ぎれば、過ごしやすくなるとはよく言ったもの。四季の移り変わりに敏感な国民性ならではの言葉だろう▼お彼岸に墓参りを行うのは、太陽の日周運動とも関係する。仏教で西方にあるとされる極楽浄土には、太陽が真西に沈んだ日に最も近づけるという考えが広まり、先祖の供養と結び付いたようだ▼〈旅の日の いつまで暑き 彼岸花〉(臼田亞浪)。一昔前の俳人も長引く残暑にうんざりした様子がうかがえる。脱炭素化の取り組みで地球温暖化に歯止めをかけ、美しい四季の景色がなくならないよう願いたい。

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2023年9月25日月曜日

回転窓/現代の読み書きそろばん

 現代の〈読み書きそろばん〉とも言われる〈数理・データサイエンス・AI〉は、デジタル時代に欠かせない知識である。ここ数年で大学が関連学部・学科を新設するなどの動きも活発化しているようだ▼政府の「AI戦略2019」で掲げられた目標は、25年度までに全ての大学・高等専門学校生が初級レベルの〈数理・データサイエンス・AI〉を習得すること。21年度に文部科学省の教育プログラム認定も始まった▼今年8月時点で基礎的な「リテラシーレベル」に382件が認定されている。実践的な能力を育成するプログラムが対象の「応用基礎レベル」認定(22年度から)は147件を数える▼1990年代からインターネットが普及し、これまでにAIのディープラーニング(深層学習)や生成AIなども誕生した。こうしたデジタル革命がわずか数十年の間に起きたことに改めて驚かされる▼多種多様な情報を効果的に生かすための情報活用力は、これからの時代にますます重要となる。建設産業にもデータサイエンスなどの教育を受けた人材が増えていけば、大きなイノベーションにつながると期待は膨らむ。

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2023年9月22日金曜日

回転窓/日越国交樹立50周年

 日本とベトナムの外交関係樹立から21日で50周年を迎えた。「自由で開かれたインド太平洋」を目指す日本にとって重要なパートナー。さらに親善を深めるために記念式典など関連行事が展開中だ▼ベトナムでは社会見学ツアーも開催。国際協力機構(JICA)の円借款で整備が進むホーチミンメトロの駅や地下トンネルを子どもたちが見て回り、国内初の地下鉄に「開通が楽しみ!」などの声が上がった▼同国は東南アジア諸国連合(ASEAN)の中でも高い水準で経済成長が続いており、さらなる発展が見込まれる。両国関係は過去最高の状況にあるとされ、好循環を生み出す方向だ▼「投資や貿易に加え、インフラ、政府開発援助(ODA)、DXやGX、近代化・工業化、人材育成といったさまざまな分野で協力を強化したい」。記念事業の日本側実行委員長・山田滝雄駐ベトナム特命全権大使は、特設サイトでそうコメントしている▼勤勉な国民性から日本に来て建設技術を習得して活躍する人も多く、業界からは熱い視線が注がれる。人材面でも交流が加速し、豊かな社会づくりに貢献していくよう期待したい。

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2023年9月21日木曜日

回転窓/120年ぶりの大規模修理

 先日の3連休は9月と思えない暑さに見舞われ、外出を極力控えた。今年は10、11月にもそれぞれ3連休があり、秋の小旅行を楽しみにしている人も多いだろう▼旅先で社寺を訪れると、改修工事のために仮設の素屋根で覆われた建物を見ることがある。外観を見学できず残念だが、素屋根の下では文化や技術を継承する大切な作業が行われているのだと考えれば我慢もできる。時には見学可のチャンスに巡り合え、非常に貴重な体験となる▼奈良市にある興福寺の国宝・五重塔で約120年ぶりとなる大規模修理が7月に始まった。2031年3月までの予定。素屋根の設置後、塔は解体せずに瓦屋根のふき替えやしっくい壁の塗り直しなどを行う▼塔には約6万点の瓦が使用されている。1900~02年に修理したが、屋根全体にかけて瓦のずれが見られるなど劣化が進んでいた。瓦の状態を一つ一つ確かめ、使えるものは再度使用するなど丁寧な修理をしていくという▼素屋根の設置は来年7月ごろに終わる。古都奈良でシンボルの一つとなっている五重塔とはしばらくの間お別れとなるが、関心を持って見守っていきたい。

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2023年9月20日水曜日

回転窓/ブドウ栽培とロボット

 近所の観光農園で今年もブドウ狩りの受け入れが始まった。糖度が高く蜂蜜ブドウとも呼ばれる「ブラックオリンピア」、国内で最も多く栽培されている「巨峰」など種類も豊富にあり人気の農園だ▼おいしさの見極め方を聞くと、皮の色が濃く、ふっくらとした実のものがお薦めなのだそう。直売所では猛暑の影響で色付きが進まず、割引価格になったブラックオリンピアが思いのほか好評のようだ▼山梨県が農業用AIロボットを使ったブドウ運搬実験の支援を始めた。収穫後の運搬で人とロボットそれぞれの作業時間を計測し、人件費の削減効果などを比較検証する▼同県はブドウの生産量が日本一ながら、人口減少と高齢化で農業の担い手不足が深刻化。実験で作業者の消費カロリーや心拍数、身体への負荷も調べ、人とロボットの役割分担などの検討に役立てる▼農地を受け継いだ若手農家の頑張りにも期待したいところだが、昨今の物価高によるコスト増や労働力の確保に頭を悩ませているという。栽培から出荷までにロボットをどう生かすか。人とロボットの良さを組み合わせ、おいしいブドウを実らせてほしい。

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2023年9月19日火曜日

回転窓/メキシコの9月19日

 偶然とは思えない大地震の特異日があるとすれば、北アメリカ南部のメキシコは9月19日がそれだろう。過去約40年間でこの日に3度も見舞われた▼1985年にマグニチュード(M)8・0の地震が発生。首都メキシコ市で建物が崩壊し、1万人超の犠牲者を出した。続いて2017年、M7・1の地震で数百人が犠牲に。そして昨年にM7・7の地震が発生した▼メキシコは日本と同様に地震の多発国として知られる。なぜ同じ日に大地震が起きるのか。やはり自然の脅威は計り知れない。1985年の地震以降、メキシコでは9月19日に防災訓練が実施されている▼大地震に襲われたメキシコなど他国にも調査団を送ってきた日本建築学会は今月、100年後の理想的な建築・まち・地域の実現に向けた「新常識」を提言案にまとめた。免震構造を基本とし、新築時でなく30~40年後に評価される建築を目指すという▼日本時間9日朝に強い地震が起きたモロッコで、先週までに死者は3000人近くに上ると報じられている。地震国が知見を共有し、それぞれの国や地域に必要な防災技術を適用して、安全な生活が守られるよう願う。

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2023年9月15日金曜日

回転窓/第2次岸田再改造内閣

 第2次岸田再改造内閣が発足した。斉藤鉄夫国土交通相は続投。岸田文雄首相は13日、「災害対応、物流問題、地域交通など地域社会の重要課題に引き続き取り組んでもらう」と狙いを語った▼岸田首相は「変化を力にする内閣」と位置付け、「思い切った経済対策をつくり、早急に実行していくことを最優先にしたい」と表明。必要な予算に裏打ちされた形で取り組む考えを示した。来月中の取りまとめを目指す方向だ▼緊迫する世界情勢や気候変動、加速化する少子高齢化など課題は山積み。こうした社会課題を乗り越えることこそが、大きなチャンスになるという考えだ。「明日は今日より良くなる、誰もがそう思える国づくりを一緒に行っていこう」と国民に訴えかけた▼「社会変革を起動する。それには災害対策を含めて国民の安全・安心を確保する」とも明言した。今年も日本各地で記録的な大雨が相次いでおり、モロッコを襲った大地震やリビアでの大規模洪水など世界中で自然災害が猛威を振るっている▼イノベーションには安定した社会基盤が不可欠。チャンスを得るためにも、そうした基本を忘れずにいたい。

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2023年9月13日水曜日

回転窓/それぞれのタイムラインを

 台風13号の大雨が降った先週8日の朝、近所の小学校では児童を送ってきた保護者の車を校長先生が誘導していた。手際の良さに関心しつつ、激しい雨に打たれながらの姿を見て頭の下がる思いだった▼教室で児童を待つ担任の先生や、外部との連絡係となる教頭先生は外に出られないのだとか。このため非常時の誘導は校長先生の担当であることがタイムライン(防災行動計画)に定められていると聞いた▼今回の大雨で避難指示が出た地域は少なくない。千葉県袖ケ浦市では市が作成した「保存版総合防災ハザードマップ」を、住民が避難の検討に役立てたという▼これは地震や洪水など災害ごとの防災マップが1冊に集約されたもので、洪水浸水想定区域や土砂災害警戒区域が一目で分かる。住民が状況に応じて取るべき自分の行動を整理しておくマイ・タイムラインの記入欄もあり、地域の全世帯に配布されている▼行政機関やインフラ管理者から策定が始まったタイムラインは、企業や学校などに広がりつつある。住民一人一人が〈自ら考え命を守る避難行動の一助〉となるマイ・タイムラインも作成して災害に備えたい。

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2023年9月12日火曜日

回転窓/愛称とブランド力

 今年は球技の世界大会が相次ぐ。日本代表が優勝したワールドベースボールクラシック(WBC)は大いに盛り上がった。女子サッカー、男子バスケットボールに続き、先週8日にはラグビーのワールドカップが開幕した▼代表チームの愛称に目を向けると、「サムライ」や「なでしこ」といった日本を象徴する言葉を冠したり、指揮官の名前を付けたりしている。親しみのある愛称とし、多くの人に応援してもらう狙いも▼バスケの日本代表は男女や3人・5人制に関係なく、昨年から愛称を「AKATSUKI JAPAN」に統一した。夜明けを意味する暁(あかつき)は、日の丸にも通じる。世界に挑む代表チームに「日の出の勢い」をもたらす意味が込められているという▼愛称によるブランディングは、人々の関心を集める上で重要な戦略の一つ。建設業界でも現場などで働く女性を「けんせつ小町」と親しみを込めて呼び、魅力向上に一役買っている▼業界への理解を深めて入職者を増やそうと、建設関連の団体・企業は広報戦略に力を入れる。その一端を担う専門紙として、さまざまな形で発信力を高めていきたい。

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2023年9月11日月曜日

回転窓/縁起物のたぬき

 店の前などに置かれた〈たぬき〉と言えば、頭に編み笠、手には徳利(とっくり)と通帳、そして大きなおなかが定番であろう。有名なのが信楽焼のたぬき。街で見掛ける多くが信楽産のようだ▼現スタイルの原型となる置物は、明治期に陶芸家・藤原銕造が制作した。ある日竹林でたぬきたちが踊るのを見たのが始まりという。こうして誕生した信楽焼たぬきは、昭和天皇が信楽町(滋賀県甲賀市)を訪問されたことがきっかけで全国に広まる▼昔から人々の暮らしに身近な存在だったせいか、たぬきには人を化かすなどのイメージも伴う。だがたぬきの置物は商売繁盛や開運の縁起物として重宝されてきた▼では街にどれくらいの置物があるのか。村田哲郎氏らの共著『たぬきの本 里山から街角まで』(共和国)にSNS(インターネット交流サイト)を利用した調査結果が紹介されている。県別の最多は滋賀。信楽焼の産地であり納得がいく▼会社近くの店先に立ち、毎朝の通勤時にも会うたぬきとは30年以上の付き合いとなる。もうすぐ秋の彼岸。まだ暑さに耐える日々だが、今朝はどこか季節の変わり目を感じている表情に見えた。

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2023年9月8日金曜日

回転窓/下水道がなかったら

 「昔の多摩川は本当に汚かった」。地域の昔の姿や街づくりを話すイベントで地元の方に聞いた。「大雨で町中に水があふれて汚れや臭いがひどかった。快適になったのはつい最近だ」とも▼地元では土地区画整理事業が進行中で、街並みが大きく変わりつつある。建物に目が行きがちだが、最も大きな変化は下水道。急行停車駅にもかかわらず、駅近くの一部のトイレはくみ取り式のままだった▼汚れた川の水があふれて、家も悪臭で包まれる--。東京都が下水道教育用に制作した漫画「もしもこの世界に下水道がなかったら」では、こうした世界が描かれている▼日本で大都市以外も含めて下水道が本格的に広がったのは、第2次世界大戦以降。下水道事業を行う市町村が全体の5割を超えたのは1993年のことだ▼これからは快適な当たり前の暮らしを、どう維持するかがより問われる時代と言えよう。9月10日の「下水道の日」に合わせて各地でイベントが開かれる。親子向け行事が多いが、しっかり理解しておくべきは大人の方かも。整備や維持管理を担う建設産業の一人一人が伝えていくことも大きな力になる。

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2023年9月7日木曜日

回転窓/科博のクラファン

 国立科学博物館(科博、東京都台東区)がコロナ禍や光熱費高騰などで運営資金が危機的な状況にあるとして、クラウドファンディングで支援を呼び掛け7日で1カ月となる。3カ月で1億円を目標にスタートしたが、わずか3日間で寄付額は5億円を突破した▼6日正午時点で支援者数は4・6万人を超え、額も7・4億円以上が集まっている。国立の博物館が資金難に陥っていることに衝撃を受けた人も多く、支援の殺到につながったのだろう▼500万点以上の標本や資料のほとんどを保管する科博の収蔵庫(茨城県つくば市)は温湿度管理で空調を動かし続ける必要がある。年間数万点ずつ増え、標本登録に携わる人件費もかさむ。その結果、廊下に山積みとなっている資料や新たな受け入れを断ることもあるという▼文化庁は2024年度予算概算要求で科博の収蔵庫新営(収蔵棚等)に約7・8億円を新規計上した。文化振興を支える拠点の整備や充実に向けた予算の確保に期待したい▼企画展はもちろん常設展示によく足を運ぶこともあり、少額だが寄付させていただいた。科博を守りたい人たちの思いが届いてほしい。

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2023年9月6日水曜日

回転窓/にぎわい広げるLRT

 9月最初の日曜となった3日、JR宇都宮駅(宇都宮市)が大勢の観光客らでにぎわった。ホンダの人気イベントや地元のJリーグチーム・栃木SCの試合などが重なり、名物のギョーザを食べ歩く人たちも多かった▼この日、隣の芳賀町の工業団地では「栃木Honda祭り」が4年ぶりに開かれ、往年のレーシングカーなどが来場者を魅了。宇都宮が拠点の栃木SCは今シーズン初となる栃木県グリーンスタジアム(グリスタ)での試合に勝利し、大きな盛り上がりを見せた▼宇都宮駅東口と芳賀町の工業団地を結ぶ次世代型路面電車(LRT)「宇都宮芳賀ライトレール」が8月26日に開業してから1週間。最初の休日は「とても便利になった」「乗れてよかった」と好意的な意見が目立ったと、地元紙や報道番組が伝えていた▼全国初となる全線新設の路面電車は延長14・6キロ。ホンダの四輪車開発拠点やグリスタが沿線に点在する。3日は同社のファンやサッカーのサポーターらも新線を利用したという▼にぎわいが沿線に広がれば、地域はさらに活気づく。国内の開業は75年ぶりとなった新たな路面電車の活躍が楽しみ。

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2023年9月5日火曜日

回転窓/場所・空間の価値

 まだまだ厳しい残暑が続き、仕事帰りに冷たいビールで喉を潤したくなる方も多かろう。屋外の開放的な雰囲気や景色を楽しめるビアガーデンは、アフターコロナの社交場としても人気のようだ▼都心部ではビルの屋上やテラスを利用し、飲食しながら夜景を堪能できる。はやりのバーベキュー(BBQ)スタイルで、ちょっとしたレジャー気分を味わえる店も目立つ▼自然に囲まれた山あいにも人気のビアガーデンがある。東京都心から近く、気軽に登山を楽しめる高尾山で夏から秋に営業する「高尾山ビアマウント」。体力に自信のない方はケーブルカーやリフトで一気に上がれる。ムササビがすむ森の中、普段とは違ったひとときを過ごすことができる▼今月1日、JR名古屋駅構内に地元で有名な居酒屋「世界の山ちゃん」が10月末までの期間限定で出店した。リニア新幹線の関連工事に伴い、現在利用していない1番線の線路上の空間やホームの既存店舗を活用。運行列車を間近で見られるなど、非日常的な場所での宴席は好評のようだ▼場所・空間が持つ価値はさまざま。商機は意外と身近なところにあるのかもしれない。

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2023年9月1日金曜日

回転窓/関東大震災100年

 100年前のきょう1日、建築家フランク・ロイド・ライトが設計した帝国ホテルの2代目本館が東京都内で開業した。豊かな装飾や幾何学模様の内装などが調和した名建築。あまりの美しさから「東洋の宝石」と称された▼同日昼、首都圏は関東大震災に襲われる。建物倒壊や火災、津波などで死者・行方不明者は10・5万人に上った。だがライト館の被害は軽微で、被災企業らの復興拠点として機能した▼関東大震災は社会構造を変えていった象徴的な出来事の一つとされる。デマが飛び交い不幸な虐殺事件も起きた。大正デモクラシーの雰囲気は一掃され、金融恐慌などを経て戦争へと突き進むことになる▼歴史に「もしも」はないが、仮に大部分の建物などが地震に耐えていたら、どうなっていただろう。市民が不安に駆られ経済が低迷する事態は避けられ、未来は変わっていたかもしれない▼インフラや建物は社会基盤と呼ばれる。構造物としての機能だけではなく、社会そのものを支えているということ。その担い手である建設産業は、平穏で豊かな社会を守る最前線にいる。この大切な役割はこれからも変わらない。

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2023年8月30日水曜日

回転窓/自由研究の苦労と成果

 夏休みを終えて近所の小学校が28日から登校を再開した。朝の登校中に顔見知りの子どもたちに声をかけると、手提げ袋に入っている自由研究の作品を見せてくれた▼女の子は海で見つけた貝殻を写真立てに飾ったそう。利き足とは逆の足でボールを蹴る練習を続け、写真を添えて成果をまとめた男の子もいた。どれも力作だが、どこか保護者の苦労もうかがえるようでほほ笑ましかった▼夏休み期間中、全国各地で建設関係の子ども向けイベントが行われた。土木技術者女性の会東日本支部は、橋梁の点検体験とトンネル工事現場の見学をセットで企画。保護者にも建設の仕事を知ってもらおうと試みた▼点検には日本大学工学部土木工学科構造・道路工学研究室が作成した「簡易橋梁点検チェックシート」を利用。住民目線の点検に配慮されたシートを使い、参加者が歩道の舗装のひび割れや、伸縮装置の損傷の有無などを確認した▼「自由研究に役立つように企画しましたが、お子さんも保護者も熱心に点検してくださいました」と同支部の担当者。夏休みの思い出や自由研究が建設技術者を志すきっかけになればうれしい。

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2023年8月28日月曜日

回転窓/リレー競技のルーツ

 陸上世界一を決める2年に1度の世界陸上競技選手権大会(世界陸上)が19~27日、ハンガリーのブダペストで開かれた。東京五輪がコロナ禍で1年延期されたため、昨年に続く2年連続の開催に。今大会も心に残るさまざまなシーンが見られた▼人気種目のリレーは、男女混合4×400メートル決勝でトップを走るオランダのアンカーがゴール手前で転倒し、猛追してきた米国が世界新記録で優勝した。世界が注目する大舞台で、惜しくも金メダルを逃した選手の心情を思うと胸が痛む▼国際大会の競技種目で使われている距離の単位は、国際標準の「メートル」。その中で4×400メートルの1600メートルリレーは「マイルリレー」とも呼ばれる▼現在のようなリレー競技は、19世紀末に米ペンシルベニア大のF・B・エリスとH・L・ゲイエリンが考案したものだという。1893年、同大とプリンストン大のそれぞれ選手4人が、1人4分の1マイル(約402メートル)ずつ合計1マイル(約1609メートル)を走り競い合った▼それから今年で130年。アスリートたちがバトンをつないでゴールへ向かうリレーは、いつも見る者を魅了してくれる。

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2023年8月25日金曜日

回転窓/レインボーブリッジ30周年

 東京の都心部と臨海副都心エリアを結ぶつり橋「レインボーブリッジ」が26日、開通から30周年を迎える。首都高速道路会社は記念展などイベントを展開中だ▼ライトアップも行われており、26、27の両日は明るい未来への願いを込めて虹色で彩られる。デザイン監修を手掛けた照明デザイナーの石井幹子氏は「レインボーブリッジは東京港の主役」とコメントを寄せた▼同橋の整備に当たっては、利便性とともに景観の美しさを追求。真っすぐに立ち上がっている主塔や橋脚と、つり橋特有の伸びやかな曲線などが組み合わさった優美な姿は、東京を象徴する風景の一つとして定着した▼多数の船が行き来し、羽田空港も近接する制約がある中で、全長798メートルの大規模橋梁を建設する難易度の高いプロジェクトだった。6年半をかけて完成し、その後もメンテナンスしながら休むことなく交通や物流を支えている▼首都高速会社の特設サイトには、お祝いメッセージを掲載。土木の勉強を始めるきっかけになった大好きな憧れの橋--。そうした声もあった。人々の思いもつなぎながら、これからも活躍し続けてもらいたい。

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2023年8月24日木曜日

回転窓/近づく未完の終わり

 工期を定める建設工事で「未完」と形容される建造物は少ない。中でも未完の聖堂として広く知られる世界遺産がスペイン・バルセロナのサグラダ・ファミリア。着工から約140年経過した現在も建設が続いている▼建築家アントニ・ガウディが40年以上にわたり聖堂の姿を練り上げ、建設に情熱を傾けた。だが完成には長い年月を要することに。一時は新型コロナウイルスの影響で工事が中断するも2020年10月に再開された▼建物の中心に位置する最も高いイエスの塔が、ガウディの死後100年に当たる26年の完成予定となり、一部はまだ残るが「未完の終わり」が視野に入ってきた。竣工を楽しみにしながらも、未完の聖堂の姿が見られなくなるとさみしさも覚える▼東京・北の丸公園の東京国立近代美術館で展覧会「ガウディとサグラダ・ファミリア展」が開催中。お盆休みに鑑賞し、多くの図面や模型、最新映像でガウディ建築の魅力に引き込まれた▼〈人間は創造しない。人間は発見し、その発見から出発する〉(展覧会ポスターより)。東京会場の会期は9月10日まで。続いて滋賀、愛知の会場を巡回する。

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2023年8月23日水曜日

回転窓/届け、少年野球選手の思い

 近所の公園で毎朝、小学4年生の男の子が野球のバットを握り、素振りに励んでいる姿を見掛ける。入団した少年野球チームの監督から宿題を出され、自主練習の内容と、その日に楽しかったことを一つ、「野球ノート」に書くのだそう▼バットは卒団した選手からのもらいもの。6年生が使っていたバットは少し長く、重いようだ。まだ試合の経験はないけれど、いつかやってくる初打席で夏休みの努力が報われると信じたい▼JR東海と野球用品大手のミズノが開発した子ども用の金属バットが話題を集めている。東海道新幹線の廃車車両から、独自の溶解・精製技術を駆使して抽出した強度のある高純度のアルミ合金を再利用した▼バットのデザインは、白と青の新幹線カラーのほか、点検車両のドクターイエローをイメージした黄色などを用意。両社は「夢を追いかける少年少女を応援していきたい」という思いを込め、1日に販売予約を始めた▼再生アルミバットの発売予定本数は1400本。10月14日の「鉄道の日」に発売する。コレクターが多く何かと人気の鉄道グッズだが、練習に励む子どもたちの手に届いてほしい。

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2023年8月21日月曜日

回転窓/『はちみつの教科書』から学ぶ

 コクのある甘さが特徴の蜂蜜は、コロナ禍に免疫力を高める効能が改めて注目された自然食品である。近年の健康志向も背景に需要は増加傾向にあるようだ▼人類と蜂蜜の関係は古く、スペインに残る石器時代の壁画に蜂の巣を採る女性が描かれている。古代ギリシャの医学者・ヒポクラテスは、さまざまな治療に蜂蜜を活用した▼自然療法家の有馬ようこさんは、そうした歴史や安心できる蜂蜜の選び方などを自著『〔入門〕世界一やさしい はちみつの教科書』で解説する。蜂蜜がより身近なものに感じられ、抗菌作用を正しく理解するのにも役立つ内容だ▼8月も下旬に入ったが猛暑はまだ続きそう。ミツバチにも真夏の暑さは大敵で、巣内の温度を保つために多くの働き蜂が羽を震わせて送風し、また外から運んできた水の蒸発に伴う気化熱も利用しているのだという。蜂蜜製品販売会社のホームページなどから引いた。蜂の知恵に驚かされる▼蜂蜜にはエネルギーを生み出す全ての要素がそろい、そして人は〈エネルギーが多ければ、他者も思いやれる〉と有馬さん。『はちみつの教科書』からそんな大切なことも学べる。

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2023年8月18日金曜日

京都市立病院機構/京北病院機能在り方検討、契約予定者にシステム環境研究所

 京都市立病院機構は、「京北病院が果たす機能の在り方の検討に係る調査等業務」の公募型プロポーザルで、システム環境研究所を契約予定者に選定した。プロポーザルには同者のみが参加した。  同病院(京都市右京区京北下中町鳥谷3、敷地約1・3ヘクタール)は、京都市の総面積で4分の1を占める京北地域唯一の病院として、1958年に開設。同機構が2011年から運営を手掛け、介護老人保健施設や通所リハビリ施設、居宅介護支援事業所を新設するなど、高齢者医療と介護サービスの拠点として機能を強化してきた。  業務では、同病院が果たすべき役割や必要機能・サービスについて、京北地域の人口減少や高齢化を踏まえつつ、持続可能な在り方を検討するための調査などを実施する。  業務内容は必要情報の調査・収集・分析(京北地域の将来人口推計、医療・介護環境、医療・介護需要推計、在り方提案と収支推計など)や、庁内ワーキングへの対応など。  履行期限は24年3月31日。  予定価格は500万円(税込み)。

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回転窓/台風7号の猛威

 日本列島で台風7号が猛威を振るった。15日に紀伊半島から上陸し、関西地方を縦断して北上。近畿や東海、中国など各地で大雨となった▼鳥取県では鳥取市佐治などで総降水量が500ミリを超えた。道路で土砂流出や護岸崩落などが発生し、復旧作業が進む。今後も不安定な天気が続くため、土砂災害などに引き続き警戒が必要だ▼東海道・山陽新幹線など交通機関も大きな影響を受けた。運行には車両の運転だけでなく、線路の保守などに多くの人が必要になる。乗客にとっての安全・安心な運行はもちろんのこと、見えないところで働く人たちの安全も忘れてはならない▼広島市北部を襲った大規模な土砂災害の発生から20日で9年となる。この災害を契機に土砂災害防止法が改正され、土砂災害の危険性がある区域の明示や、円滑な避難勧告発令などに向けた情報提供などが進んだ▼安全な場所への避難が大事であり、近年は台風前などに早期の避難を求める声が目立つ。そうした中でも行政や地域建設業らは支援や復旧に向かう。「地域の守り手」の存在感を高め、誇りを持って働ける環境の構築も欠かすことはできない。

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2023年8月17日木曜日

回転窓/AI上司

 人材派遣のパーソルホールディングスが就業者10万人を対象に実施した労働観などの調査で、AIに対する受け止めを聞いていた。7%の人が「上司がAIであることに抵抗はない」と回答。若い世代ほど多かった▼AI上司は責任の所在など懸念がありそう。だが、過去の膨大な蓄積を参照して、ニーズを踏まえて総合化することは、AIの方が得意であることも事実▼カーナビゲーションなど多くの分野でAIのアドバイスが溶け込んでいる。対話型AI「Chat(チャット)GPT」などが容易に活用できるようになり、より身近な存在になってきた▼「仲間を信頼すべきだが信用してはいけない」。ある経営者が野球を例に話していた。誰でもエラーをすることがあるから、いつでもカバーできるよう準備しておく。ただ、エラーした選手は次の打席で奮起するかもしれない。だから、仲間を信頼する気持ちが大事なのだと▼AIの導入はどんどん加速していくのだろうが、体調を崩すと判断力が鈍るように、人間が集めた蓄積を参照するAIも間違えることがあるはず。そのことを忘れずに共に歩む姿勢が求められる。

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2023年8月10日木曜日

回転窓/10分間のクーリングタイム

 厳しい暑さの中、兵庫県西宮市の阪神甲子園球場では高校球児たちの熱戦が続いている。出身校や出身地の高校が活躍するのを楽しみにしている方も多いだろう▼今夏の全国高校野球では新たな暑さ対策として「クーリングタイム」が導入された。選手たちは5回終了後にベンチ裏へ移動し、クーラーや送風機が置かれた涼しいスペースで10分間の休息をとる▼このスペースには、保冷剤を入れた「アイスベスト」や首の周りを冷やす「ネッククーラー」が用意され、体を冷やしたり水分を補給したりする。理学療法士が対応に当たり、サーモグラフィーなどで熱中症の症状がある選手がいないかも確認しているそうだ▼熱中症予防にはこまめな水分補給や適度な塩分の摂取に加え、体を冷やすことが大切と言われる。スポーツだけでなく、普段の生活や仕事でもそうした対策を講じ、パフォーマンスが落ちないよう心掛けたい▼多くの会社や団体などが明日から来週にかけて夏季休暇となる。台風の被害を受けた地域では復旧に追われ、新たに発生した台風の影響も心配されるが、暑さに十分気を付けて体調管理に努めていただきたい。

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2023年8月9日水曜日

長崎県佐世保市/小中学校再編計画案11校に再編、2校は校舎を新たに整備

 長崎県佐世保市は、少子化などに伴い検討している市立小中学校の再編計画案をまとめた。2031年度までに小中学校21校を小学校の統合や義務教育学校とすることで11校に再編する。うち義務教育学校1校と統合小学校1校は対象学校の敷地内で校舎などを建て替え、義務教育学校4校は中学校敷地内に小学校の校舎を増築する。8月中に保護者らに計画案を示し、9月の計画策定を目指す。  施設整備に必要な想定期間が8年以上の長期は対象校が小学校5校と中学校3校で施設一体型義務教育学校1校と小学校3校の統合校1校に再編し、小学校1校と中学校2校の通学区域を変更する。3~5年の中期は対象校が小学校5校と中学校4校で、施設一体型義務教育学校4校に再編。約1年の短期は対象校が小学校3校と中学校1校で、施設分離型義務教育学校と小学校2校の統合校にする。  長期の施設一体型義務教育学校は福石小中学校を統合し、校舎などの老朽化対策のために福石中学校(干尽町)の敷地内で校舎などを建て替える。約20年後の児童生徒数は約350人と推計している。統合する小学校は木風、潮見、白南風の3小学校で、白南風(山祇町)の敷地内で建て替える。約20年後の児童数は約510人と推計している。  中期の施設一体型義務教育学校は宇久中学校(宇久町平)、宮中学校(城間町)、光海中学校(金比良町)、鹿町中学校(鹿町町下歌ケ浦)の敷地内に小学校の校舎などを増築する。  短期については大規模工事は想定していない。  再編を巡っては対象は51校あり、実施期間が22~31年度を第1期、32年度以降を第2期に分けており、今回の計画案は第1期となる。

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回転窓/水の日の教え

 5日に東京都内で開かれた「水のワークショップ・展示会」(主催・水の週間実行委員会)で、小学校低学年の女の子が「川の水をためるの。洪水しちゃうから」と、ダムの役割を父親に話していた▼会場では、気象予報士・敷波美保さんの天気と水循環に関する講演などが行われた。女の子は、敷波さんが出した山に降った雨の行き先などについての質問にすらすらと回答。驚くほどの豊富な知識と、「じゃあこれは?」と関係する質問を出していく父親の教育に感心した▼このワークショップ・展示会は、8月1日の「水の日」と、同日から1週間の「水の週間」に合わせて企画されたイベント。子どもたちが大きさの異なるコップで水をすくうなどして、昔と今の水の消費量の変化などを学んだ▼水資源の有限性や開発の重要性に理解を深めてもらおうと、1977年に水の日は制定された。会場で報道席の前に座った親子のやりとりを見聞きし、そのコンセプトがしっかりと浸透しているように感じた▼父親から答えが分かった理由を聞かれ、「本で読んだ」と女の子。読書の大切さも改めて教えられる今年の水の週間となった。

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2023年8月8日火曜日

回転窓/車窓からの打ち上げ花火

 先週末、帰宅途中の電車の車窓から打ち上げ花火が見えた。夜空を彩る幻想的な風景にしばし目を奪われ、夏の風物詩を楽しむ日常が戻ってきたことに喜びを感じた▼花火大会は屋外のイベントのため天候に左右され、雨や風の影響で中止になることも。大会関係者らは気象予報に細心の注意を払いながら、開催の可否を判断する。多くの人が楽しみにしているイベントも安全の確保が最優先される▼長年の研究や蓄積した知見・データなどにより、気象予報の精度も向上している。とはいえ自然が相手なので予報が外れることもしばしば。今月初め沖縄周辺に襲来し、大きな被害をもたらしている台風6号の迷走も予想が難しかったようだ▼各国の気象機関が計算した進路のシミュレーション結果はばらつきが非常に大きく、予想進路が大きく変わる可能性を示唆していた。今後の予報円や予想進路の動向など、台風情報には引き続き注意が必要だ▼花火大会には迎え火・送り火の一環で慰霊・鎮魂の目的と合わせ、悪疫退散など平和な日常への祈願の意味合いもある。これから本格化する台風シーズンを大過なく過ごせますように。

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2023年8月7日月曜日

回転窓/2024年問題と人材育成

 夏は就職活動中の学生には大切な季節である。2025年卒の就活生から、一定要件を満たすインターンシップ(就業体験)であれば企業は取得した学生の情報を採用活動に生かすことが可能になった▼マイナビが大学3年生と大学院1年生を対象に行った調査では、学生情報を採用選考に利用するインターンシップに「参加したい」の回答が8割に上った。早い段階から就職に少しでも有利に働く機会を求めている若者の心境がうかがえる▼いつの時代も企業にとって若手社員の育成は大きな課題に変わりない。だが「この4年ほどで難しい問題が顕在化してきた」と、既に罰則付き時間外労働の上限規制が適用されている建設関連業の人事担当役員は話す▼時間の管理が厳しく行われる中、若手の仕事を上司や先輩が先回りして進行させるのが目立つようになったのだという。これからの会社を担う人材が、それで実践的な対応力とスキルを高めていけるのか。働き方改革を後退させることなどありえず、担当役員は頭を悩ませる▼建設業に上限規制が適用される24年問題でクリアするのは、どうやら時間の壁だけではない。

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2023年8月3日木曜日

回転窓/大会後のレガシー

 2024年にフランス・パリで開催される五輪・パラリンピック競技大会に向け、代表内定や参加標準記録突破といった報道が増えてきた。さまざまな種目の選考会は熱を帯び、手に汗を握り観戦している方も多いだろう▼史上初めて3年間隔で開かれるパリ大会の開幕まで1年を切った。五輪は7月26日~8月11日に32競技329種目、パラリンピックは同23日~9月8日に22競技549種目が行われる▼パリ大会はスポーツ会場だけでなく、パリのランドマークが競技の舞台になる。セーヌ川北岸にあるコンコルド広場でBMXフリースタイル、エッフェル塔の前でビーチバレー、ベルサイユ宮殿で馬術などと、スポーツと文化遺産が融合する。テレビ中継では熱戦とともに映り込む名所も楽しめそうだ▼一昨年の東京五輪・パラリンピックでは、1964年大会に建設した国立代々木競技場でハンドボール、新国立競技場では開・閉会式や陸上競技などを実施。レガシー(遺産)を活用し、新たなレガシーも創出した▼大会後にそうしたレガシーが都市の魅力にどうつながっているのか。パリ大会を前に改めて注目したい。

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2023年8月1日火曜日

回転窓/地球沸騰化時代に突入

 さすがにこれだけ厳しい暑さの日が続くとバテ気味になる。ささやかな抵抗だが、外出時は太陽の日差しから逃れるために地下街を通ったり、建物の影に入ったりしながら移動している▼最近は男性でも日傘を差す人が目立つ。軽量で晴雨兼用など、高機能な商品が増えているようだ▼日傘も色と素材の違いで紫外線カット率や遮熱などの効果が変わる。黒は光を吸収して紫外線を抑え、カット率が白よりも高いとされる。日焼け対策を考えると白よりも優れるが、黒は赤外線を吸収するので傘自体が熱を持ち、暑さ対策には不向きという▼世界気象機関(WMO)と欧州連合(EU)の気象情報機関が先週、今年7月は観測史上最も暑い月となる可能性が「極めて高い」と発表。これを受け、グテレス国連事務総長は「地球温暖化の時代は終わり、地球沸騰化の時代が来た」と警告した(時事)。より厳しい表現でカーボンニュートラル(CN)関連の取り組み強化を訴える▼7月31日発行の本紙暑中特集「新CN市場展望」では、脱炭素と経済成長の両立に向けた最新動向などを紹介している。建設産業に求められる役割は大きい。

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2023年7月31日月曜日

回転窓/ホンネが聞けるために

 米国人ジャーナリストのジョン・ガンサー(1901~70年)は、インタビューの名手として知られた。どのように人を取材したのか興味は尽きないが、自著の中で質問リストが公開されているという▼その内容は趣味や仕事のやり方、あだ名、部下に対する態度、飲食物の好みなどさまざま。直接のテーマでなくてもこれらのいくつかの個人的なことを聞ければ、より内容の濃い取材となるのは想像に難くない▼この話は小欄が新人時代に読んだ1990年発行の書籍『取材術』(片山修著、PHP研究所)から引いた。久しぶりに本を開くと、当時の新米記者が気になった箇所なのだろう、いくつものページの角が折られている▼一つは〈雑談を通じて個人的側面を知る〉と見出しの付いたページ。ここにガンサーのことが書かれている。取材者に限らず、ビジネスシーンなどでも雑談がいかに大切かは多くの方が知っておられよう▼同書は〈ホンネが聞きたいのなら、それが聞ける雰囲気を作る努力をすべき〉とも説く。何年たってもインタビューするのに慣れなどなく、だから難しくもあり楽しくもあるのかもしれない。

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2023年7月28日金曜日

回転窓/MR.BIGの愛の歌

 米ロックバンドのMR.BIGが今月来日し、東京都千代田区の日本武道館などでコンサートを開いた。1990年代にバラード・ナンバー『トゥ・ビー・ウィズ・ユー』が大ヒットし、日本でも人気バンドとなった▼親日家のバンドとしても知られ、東日本大震災直後の2011年4月に全国ツアーを実施。岩手県での公演を敢行し被災者らに勇気を与えた▼今回は解散ツアーで、26日が日本での最後の公演に。ドラマーのパット・トーピー氏が、パーキンソン病の合併症で死去したことが解散のきっかけだ。ツアーに合わせて、パット氏のドラム・セットなどを出品するチャリティーオークションが実施されている▼同じ病気で苦しむ人への助けになりたいと企画された。売り上げは全国パーキンソン病友の会に寄付される。ツアーにはパット氏の妻らも同行し、日本のファンの前に立った▼前述の『トゥ・ビー・ウィズ・ユー』は恋の歌。「君と一緒にいたいのは、この俺なのさ」というサビに入ると、会場は観客の歌声に包まれた。“君”のためのラブソングが時を経て、多くの人に向けられた愛の歌になった気がする。

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2023年7月27日木曜日

回転窓/危険な暑さへの対策

 行動制限のない夏を迎え、全国各地で花火大会やお祭り、海水浴など夏の風物詩が戻ってきた。わが家ではベランダの朝顔のつるが日に日に伸び、花が咲くのを楽しみに待っている▼ベランダに風鈴をかけるのも夏の風物詩の一つ。風に揺られ「チリンチリン」と心地よい音を聞くと涼しく感じる。実際に気温は下がらないが、この感覚は脳の勘違いだとされる▼日本人の脳は「風鈴がなる、風が吹いている、涼しい」と条件反射を起こし、風鈴の音を聞くと体の表面温度が下がるそうだ。風鈴になじみのない外国人は風鈴の音を聞いても涼しさと結び付かないので、涼しさを感じることはないという▼各地で猛烈な暑さが続く。関東から近畿の内陸部を中心に最高気温が40度に迫る体温超えの暑さとなり、気象庁などが「災害級の危険な暑さ」と警鐘を鳴らしている▼屋外作業の多い建設現場では水分・塩分補給やファン付き作業着の着用といった熱中症対策が講じられ、ウエアラブル端末でバイタル(生体情報)を収集・分析し症状の予兆を検知する技術も実用段階にある。あの手この手を使い、危険な暑さを乗り切りたい。

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2023年7月26日水曜日

回転窓/富士登山を安全に

 山梨県富士吉田市が富士登山者に「弾丸登山や日帰り軽装登山は非常に危険」と呼び掛けている。安全な登山のためには山小屋への宿泊をはじめ、しっかりとした装備と入念な登山計画が必要だ▼感染症の制限が緩和された中、6月に世界文化遺産登録10周年を迎えた富士山は登山者が急増中。徹夜で山頂を目指す人や、驚くほど軽装の人も少なくないという。体調不良や事故につながりやすく、観光案内所は「富士山の環境は過酷!」と訴える▼「命に関わる事故が起きる恐れもある」。山梨県側が1日、静岡県側が10日だった開山を前に、同市の堀内茂市長は登山者が増えるのを見据えてこう指摘した▼富士登山は外国人旅行者にも人気が高い。登山関連の現地協議会は安全啓発のチラシをベトナム語も加えて6カ国語対応とし、AED(自動体外式除細動器)などの救命設備も拡充した▼きょう7月26日は、1860年に英国の初代駐日公使であるラザフォード・オールコックが外国人として初めて富士登頂者となった記念の日。これからも国内外の人たちが富士登山を楽しむため、個々の安全意識を高めることが欠かせない。

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2023年7月25日火曜日

回転窓/世界をつなぐポケモン

 横浜・みなとみらい周辺に所用で訪れると、人気アニメ「ポケットモンスター」関連の展示物をあちこちで見かけた。夏休みに入り、よくある子ども向けの集客イベントかと思いきや、ポケモン世界大会のPRを兼ねているという▼8月11~13日にパシフィコ横浜で開かれる「ポケモンワールドチャンピオンシップス2023」。競技はカードゲームなど4部門に分かれ、世界各国の予選を勝ち抜いた選手たちがお気に入りのポケモンと共にバトルを繰り広げる▼日本発のゲーム・アニメ作品ながら、1回目は2004年に米フロリダで実施。米国内を中心に毎年開かれ、他国では13年にカナダのバンクーバー、昨年はロンドンで行われた。アジア地域で初となる今年の大会は本家・日本での開催とあって、これまで以上の盛り上がりが期待される▼ゲーム発売とテレビ放映から四半世紀が過ぎ、ファンは老若男女を問わず世界に広がる。最近はポケモンカード(ポケカ)が爆発的な人気で品薄状態が続き、転売目的の買い占めも問題となっている▼年齢や人種を越えた交流の橋渡し役を担うポケモン。ルールを守り楽しんでほしい。

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2023年7月24日月曜日

回転窓/五人づれの幸福な旅

 明治40(1907)年7月末、5人の文学青年らが東京をたち九州への旅に出る。旅先からの紀行文は新聞に「五足の靴」のタイトルで全29回連載された▼旅人は新詩社主宰の与謝野鉄幹と、北原白秋、平野万里、木下杢太郎、吉井勇の学生ら4人。雑誌『明星』に集う詩人たちで、約1カ月の旅で長崎や平戸、島原、天草などを訪れた▼表題が「草鞋」でなく「靴」であることについて、日本文学研究者の宗像和重氏(早大教授)は「彼らが踏みしめようとしていたものが、決して日本的な風土や土俗的なもののみではなかった」と解説する(五人づれ著『五足の靴』岩波文庫)。この旅で南蛮文化などに触れ、後の創作に大きな影響を与えたとされる▼現在は当時と比べようもないほど交通の便が良いものの、コロナ禍で旅行もままならない日々が続いたここ数年。行動制限のない2年目の夏に遠出を楽しむ方もおられよう▼5人が旅した翌年、『明星』は100号で終刊となる。五足の靴が再びそろい大地を踏みならすことはなかったようだが、「彼らの旅は、稀有(けう)な幸福に満ち満ちていた」と宗像氏(同)。そんな旅に憧れる。

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2023年7月21日金曜日

回転窓/働いてもらうための意識改革

 政府が6月にまとめた「物流革新に向けた政策パッケージ」が動き始めた。21日に国土交通省は「トラックGメン」を創設する。荷主企業や元請事業者の監視を強化し、不当な運賃設定などの改善を促す▼トラック運転手は慢性的な人手不足状態にある。他産業に比べ長時間労働で賃金も低いことが理由だ。担い手を確保するには、魅力と誇りを感じて働ける環境を作りあげるほかない▼2024年4月には、建設業と同様にトラック運転手に時間外労働の上限規制が適用される。「せっかく注文をもらったのに運べないような事態が起きるのでは」。大型建設資材を扱う関係者は危機感を募らせる▼重量物運搬は、通行できるルートが限られ、積み方や運転にもノウハウがいるため、人員増強は容易ではない。先の関係者は「発注者もわれわれも運送会社も皆がウィンウィンでなければ成立しなくなる」と指摘する▼計画的に発注して適正な運賃を支払う顧客と、突発的な注文を繰り返して運送費も渋る相手のどちらが選ばれるかは自明のこと。働き方改革は、他者に働いてもらうための意識改革も求めていると考えるべきなのだろう。

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2023年7月20日木曜日

回転窓/設計意図を探ろう

 近代建築の巨匠ル・コルビュジエが考案した尺度「モデュロール」は、建物の寸法体系として世界的に知られる。男性が手を上げた姿に比率を当てはめたイラストで目にした方も多いだろう▼人間の身体に沿った建築を目指したコルビュジエは、人体の寸法と黄金比を基に2種類の尺度を作り出した。このモデュロールの寸法を足したり、隣り合わせたりして使うことで建築に統一感やリズムを生んでいる▼外観や展示室などにモデュロールが使われた「国立西洋美術館」(東京・上野公園)は日本で唯一のコルビュジエ作品であり、2016年に世界文化遺産に登録された。20年10月~22年4月の約1年半も休館して前庭をリニューアル。本来の設計意図が正しく伝わるよう開館時の姿に可能な限り戻した▼久しぶりに美術館を訪ねると、前庭にこれまで気付かなかったモデュロールを発見。あみだくじのような床の目地割りが実は建物と同じ寸法体系でデザインされていることに驚いた▼子どもたちの夏休み期間中、美術館や博物館では企画展がめじろ押しだ。展示内容だけでなく、建物に込めた建築家の意図を探るのも面白い。

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2023年7月19日水曜日

回転窓/ブラジルに学ぶ夏の備え

 ブラジル・サンパウロにあるアルモニア学園は1953年、日系二世が子弟教育のために設立した。現在は幼稚園から高校までの一貫校として運営されている▼学園に通う生徒の約3割が日系人という。ブラジルの普通学校とほぼ同じ教育カリキュラムの中で、習字など日本の文化や道徳を学ぶ時間がある。給食や部活動といったブラジルでは珍しい日本の学校様式も取り入れている▼先週、学園の高校生30人が来日し、近所のサッカーチームの子どもたちと交流した。コロナ禍で来日は4年ぶり。女子生徒がサンバの踊りを披露し、男子生徒はチームの小学生や中学生とフットサルを行った▼緊張気味だった日本の子どもたちは、人懐っこく陽気な生徒と次第に打ち解け、楽しい時間を過ごした。チームの指導者が「心に一生残る貴重な体験になった」と話していた▼厳しい暑さが続いている。南半球のブラジルも季節は冬ながら気温の高い地域が多い。学園の給食や家庭では疲れが出てくる週の後半、フェジョアーダをはじめタンパク質やミネラルが豊富な豆料理を出すそう。食生活も工夫し、本格的な夏の到来に備えたい。

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2023年7月18日火曜日

回転窓/北川千代と蓮沼の家

 千葉・九十九里の蓮沼海浜公園(山武市蓮沼)で29日、ステージパフォーマンスや花火などでにぎわう「山武市サマーカーニバル」が開かれる。台風やコロナ禍の影響で6年ぶりの開催となり、地元にとって待望のイベントであろう▼蓮沼にはかつて児童文学作家の北川千代(1894~1965年)が住んでいた。家の敷地内に大きな池があり、地域の人々から「いけすのおばさん」などと呼ばれ慕われたという▼埼玉県出身の千代が蓮沼に移り住んだのは1940年、当時46歳。与謝野鉄幹・晶子夫妻の別荘を購入した。家はもうないが、ここで33作品を書いている。童話『みつばちマーヤの冒険』などの翻訳も手掛けた(「蓮沼むらづくり協議会」発行の資料から)▼海浜公園で人気のアトラクションは、総走行距離が日本一の長さを誇るミニトレイン。東日本大震災で津波の被害を受けたが、翌年に復旧されて親子連れの乗客らを楽しませている▼海浜公園から近い道の駅「オライはすぬま」に千代の原稿や愛用した万年筆などを展示するコーナーがある。イベントに合わせて訪れ、蓮沼ゆかりの文学者に思いをはせるのもいい。

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2023年7月14日金曜日

回転窓/盆踊りの夏

 7月も中旬に入り夏本番を迎える。新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けが見直された今夏は、各地でイベントが盛り上がりそうだ▼中部国際空港セントレアでは16日、飛行機を眺められるスカイデッキを舞台に盆踊り大会を4年ぶりに開く。17日に東京・中野駅前で予定している盆踊りは、参加人数のギネス世界記録を目指すという。シンボルだった中野サンプラザが今月閉館し、イベントを機に新たな街づくりへの一歩を踏み出す狙いだ▼夏の風物詩の盆踊り。祖先の弔いや豊作祈願を目的に約1000年前から続くとされ、全国でさまざまな盆踊り文化が根付いている。三大盆踊りの一つ、岐阜県郡上市の「郡上おどり」は昨年、国連教育科学文化機関(ユネスコ)無形文化遺産に登録された▼7~9月に同市内の各地で盆踊り大会が開かれ、8月中旬の徹夜おどりで盛り上がりが最高潮に達する。江戸時代を起源とし、身分にかかわらず無礼講で踊り、地域内の融和を図ろうと当時の城主が始めたそう▼多様性が求められる現代にも通じる話。住民も観光客も分け隔てなく楽しく踊る。そうした文化を大事にしていきたい。

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2023年7月13日木曜日

回転窓/最悪の事態も念頭に

 台風の影響で前線活動が活発化し大雨の恐れがある--。2018年7月豪雨は、この気象現象がいかに恐ろしいかを思い知らされる災害であった▼台風7号と梅雨前線に伴う記録的な大雨が7月5日から8日まで続き、西日本を中心に広い範囲で河川の氾濫や土砂災害などが発生した。死者・行方不明者は200人を超え、家屋の全半壊や浸水などが5万棟以上に及んだ▼岡山県倉敷市真備町では小田川の堤防が決壊し、町内約1200ヘクタールが浸水。同15日に町を取材した時、既に堤防の締め切り盛り土の施工が完了していたが、町中に災害廃棄物があふれ大規模水害の爪痕を残していた▼翌年9月に再訪するとがれきは姿を消し、国の緊急治水対策プロジェクトが動き出していた。対策のメインは堤防決壊を防ぐための小田川合流点付け替え事業。現在も継続中で、今月3日時点で工事の進捗(しんちょく)率は81%だという▼被災したインフラの復旧復興や強靱化対策には長い年月がかかる。完成までの間に大雨が降れば、災害に再び見舞われる危険性もある。最悪の事態も念頭に置き、災害への事前の備えを急がねばならない。

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2023年7月12日水曜日

回転窓/災害対策のためなら

 4年ぶりの開催が期待された茨城県大子町の花火大会が残念ながら中止になった。例年なら8月14日に水難供養の灯籠を流す久慈川の上を大輪の花火が彩り、周囲の山々に音がこだまする▼幻想的な空間と時間を楽しめるとあって、県内外から大勢の人が訪れる人気の花火大会である。打ち上げ会場に近い関東屈指の人気キャンプ場は、今年も開催の前後日を含めて予約が早くからいっぱいになっていた▼過去3年の中止はコロナ禍の影響だった。今年は会場周辺で台風被害を最小化する「久慈川緊急治水プロジェクト」の各種工事が行われているため、観客の安全確保と交通誘導などの都合から、やむなく中止が決まったという▼大子町は19年10月の台風で久慈川が氾濫し、甚大な浸水被害が出た。町が「91年目を迎える大会が開催できないことは誠に残念」と広報する中、「災害対策のためなら仕方ない」という声が町民やキャンプ客にもあると聞いた▼今年も大雨が相次ぎ、今も警戒と避難が続く地域がある。被災地では何より身の安全を確保してほしい。そして各地で対策工事が進み、安全に花火大会も開けるよう願うばかり。

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2023年7月11日火曜日

回転窓未知への好奇心

 見知らぬものに対する知的好奇心は、さまざまな分野の発展になくてはならない人が持つ根源的な欲求と言えよう▼宇宙開発もその一つ。先人たちが地球の外に向けてきた好奇心は、学術的な発見にとどまらず、人類が宇宙に進出するための技術を進歩させてきた▼SF映画の巨匠、スティーブン・スピルバーグ監督が1977年に製作した「未知との遭遇」。人類と異星人の接触を描き、世界的なヒット作品となった。映画の登場人物たちは、発光する謎の飛行物体への知的好奇心を抑えられず、その正体を明らかにしようと異常なほどの執着を見せる▼未知なるものを解き明かす取り組みは、他分野にも連鎖する。建設関連各社も地上で培った技術を、宇宙空間で生かそうと研究開発に注力。月面拠点建設に向け、国土交通省は有識者らで構成する「無人建設革新技術開発推進協議会」を2021年に設置し、関連技術の具体化を後押ししてきた▼23年度からは産学官の「宇宙を目指す建設革新会議」をスタートさせ、技術開発に本腰を入れる。こうした開拓の精神が社会に漂う閉塞(へいそく)感を振り払い、新時代を切り開く力となろう。

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2023年7月10日月曜日

回転窓靴の中の困り物

 好きな外国映画のワンシーンにこんなセリフが出てくる。「靴の中に邪魔な小石が」。邪魔なやつがいるという例えであり、日本ではあまりなじみのない表現かもしれない▼「靴の中の石」と「頭を悩ませること」が同じ意味で使われる国もあるよう。実際に靴の中にある石はどうにも悩ましく、困った存在に他ならない▼だいぶ前から、歩いていると靴の中によく小石が入ってしまい気になっていた。原因は靴なのか、それとも歩き方なのか。インターネットで検索し、その疑問に答えてくれるテレビ番組が以前に放送されていたのを知った▼答えは足に合った靴を履いていること。こうした靴では歩くたびに中の空気が外に出され、新たな空気が入ってくるのを繰り返す、いわゆる「ふいご現象」が起きる。これにより跳ね上げた小石がかかと部分から空気と一緒に入ってしまうのだという▼大きくも小さくもなく、自分の足にフィットする靴は履き心地が良く歩きやすい。迷惑な小石が入るのはごめん被りたいが、空気の出入りが蒸れを防ぎ、靴の中を清潔に保てるメリットもある。健康は足元から。暑い季節にこそ気を使いたい。

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2023年7月7日金曜日

建築へ級建築士に合格した俳優田中道子さん出演の対談番組がスタート

◇建築の魅力を広く伝えるきっかけに
1級建築士に合格した俳優の田中道子さんが、さまざまな分野のプロフェッショナルとの対談を通じて建築の魅力に迫るBSテレ東の番組『築き人』(提供・総合資格)が、6日に始まった。人生を築く人と建物を築く人という両者を「築き人」と称し、ゲストの人生や縁のある建物を紹介。建築の面白さや優れた技術に焦点を当てることで、多くの人に関心を持ってもらう。田中さんは「世の中に欠かせない仕事を手掛ける建設業界を盛り上げたい」と話す。
同番組は毎週木曜日の午後8時49分からの放送で、3分30秒のミニ枠となる。コンセプトは「二つの視点から見る建築」。スポーツ選手や芸術家など異業種のプロフェッショナルとの対談で互いが築いてきたものをひもときながら、人と建築が共に成長して文化をつくり上げてきたことや、建築が持つ本質的な魅力を伝えていく。
ゲスト1人が2週にわたり登場する。1週目はゲストが歩んできた道を、2週目は田中さんからの視点でゲストに縁のある建造物を紹介する。初回のゲストは、ブランド「エズミ(Ezumi)」を手掛けるデザイナーの江角泰俊氏。建築家の隈研吾氏が設計し、同ブランドのショー会場として用いられた「サニーヒルズ南青山」(東京都港区)を軸にトークを繰り広げる。
田中さんは、2013年に静岡文化芸術大学デザイン学部空間造形学科を卒業し、同年2級建築士に合格した。大手芸能事務所のオスカープロモーション(東京都港区)に所属して芸能活動をする中で、1級建築士も目指すことを決意。ドラマや舞台、バラエティー番組などで活躍する合間を縫って総合資格学院(岸和子学院長)に通って勉強し、22年度の試験に初挑戦で合格した。
今年1月に同学院が開いた祝賀会に田中さんが参加し、総合資格の小野寺優プロモーション戦略本部執行役員と建設業界を盛り上げたいと意気投合したことが、番組企画につながった。小野寺氏は「建設業界の社会貢献や建築の楽しさを、もっと知ってもらいたいという思いが強かった。ちょっと知識があるだけで、いつも見ていた何げない風景が違って見えるはず。そうした時間が提供できるとありがたい。できるだけ長く続けたい」と話している。
詳細は特設サイト(https://www.shikaku.co.jp/topics/kizukibito/)へ。

□田中道子さんに聞く/新番組に懸ける思いは□
--番組への意気込みを。
「私は試験に受かっただけだが、だからこそ建築を知らない方にもソフトに伝えることができると思い引き受けた。子どもにも大人にも建築のことを知ってもらい、建築業界との橋渡し役になりたい。私自身、1級建築士試験のために勉強したことで建築への見方がガラッと変わった。世界がもっとすてきに見えたり、格好良く見えたり、視野と世界が広がってアップデートされていくような番組にしたい。建築業界の方々が黙々と頑張っている姿も伝えていきたい」
--撮影の感想を。
「その道を究めているプロフェッショナルの方から、1冊の本を読むような内容の濃い話を聞かせていただける。とても楽しい。短い番組だが、視聴者がはっと気付くような瞬間があると思う。できるだけ深いところまで聞きたいので、撮影前は一生懸命勉強している。人生100年時代と言われていて、リスキリング(学び直し)も話題になっている。ゲストに感化されて、新しい勉強を始めるかもしれない。スポンジのように何でも吸収する気持ちで臨む」
--今後に向けては。
「1級建築士の試験に合格したことで人生が変わった。勉強について行けずに何回も泣いたが、総合資格学院にスパルタで鍛えてもらい頑張って良かった。建築だけではなく、新しい知識を得ることがとても楽しい。長寿番組になるよう頑張りたい」
「レギュラー出演している『解体キングダム』(NHK総合)で建設現場に足を運ぶと、現場の方に声を掛けてもらえるようになった。だが、建築業界の皆さんにはまだまだ足元にも及ばないと思っている。(1級建築士の登録に必要となる)実務経験の面からも挑戦していく。芸能活動をしっかりやりながら、(多彩な分野で仕事ができるような)三足、四足のわらじを目指して頑張りたい」。
番組での一コマ(総合資格提供)
田中道子さん
総合資格の小野寺執行役員
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2023年7月6日木曜日

回転窓植物と建築の変化

 リビングや寝室にしようか、それともベランダがいいか。土を必要としないユニークな特性を持つエアプランツは、インテリアの一つに取り入れやすいが、どこに置くかで頭を悩ます▼自宅で1年ほどあちこちを移動させていたが先日、初めて赤い色の花を咲かせた。手入れといっても霧吹きスプレーでときどき水を与えるくらい。土から栄養もとらず、どうして花が咲くのだろうか。そんな不思議な生態はこれから詳しく調べるとして、リビングが現在の定位置となり空間を彩っている▼植物を育てる楽しみの一つが「変化」を見られること。季節や年月の経過を感じる植栽は多く、室内やベランダにとどまらず建築自体にも豊かな表情を与えてくれる▼建築は竣工とともに完成するのではないと言われる。経年変化があり、設備や家具なども入れ替わる。植物もその変化に欠かすことのできない要素であろう▼年月を重ねて変化し、居心地がよく豊かな空間を生み出している建物に出会うと、住む人や使う人、それを設計した人や造った人たちのすごさを感じる。竣工時の写真では描写しきれない、建築の変化を楽しみたい。

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2023年7月5日水曜日

丹青社/初音ミクをテーマに巡回イベント、8月から東京など3カ所で

丹青社は、歌詞とメロディーを入力すると歌わせることができる歌声合成ソフトを用いたバーチャル・シンガー「初音ミク」をテーマにした巡回イベント「初音ミクPROMISE-16歳の約束-」を、8月から東京都内など3カ所で開く。2007年の開発から16周年を祝うイベントとして位置付けており、これまでの年表や等身大立像の展示、参加型企画を実施する。描き下ろしイラストを使用したオリジナルグッズなども用意している。
8月29日~9月3日にアクアシティお台場(東京都港区)、10月4~15日に横浜赤レンガ倉庫(横浜市中区)、11月21日~2024年1月14日に神戸海洋博物館(神戸市中央区)で、それぞれ開く。日時指定観覧券の販売を、東京と横浜の両会場は5日から、神戸会場は10月5日から開始する。
初音ミクを通じた文化と多くの人との橋渡しを行うことで、新たなコミュニケーションを創出することが狙い。神戸海洋博物館は同社が指定管理者として運営を担っており、イベントをきっかけに初音ミクと施設の双方の魅力を発信する。

日本郵政不/大崎広小路駅前複合施設「五反田JPビルディング」に/施工は大林組

日本郵政不動産(東京都千代田区、山代裕彦社長)は東京都品川区の東急電鉄池上線大崎広小路駅前で建設している複合施設の名称を「五反田JPビルディング」に決めた。施設は延べ約7万平方メートルの規模になる予定。基本設計を自社、実施設計と施工は大林組が担当している。12月の竣工を目指す。
4日に発表した。建設地は西五反田8の4の13(敷地面積約6700平方メートル)。旧日本郵政公社が設置・運営していた複合施設「ゆうぽうと」の跡地に当たる。同施設は2015年に閉館。日本郵政不動産が跡地を開発している。
五反田JPビルディングはS一部SRC造地下3階地上20階建て延べ6万9000平方メートルの規模で建設している。高さは約97メートル。オフィスやシェアオフィス、ホテル、ホール、商業機能などが入る。
シェアオフィスの名称は「co-lab五反田 with JPRE」になる予定。面積約10~100平方メートルの個室15個で構成し、テレワークや会議など多用途で活用できる。ホテルは星野リゾート、ホールは品川区が運営を担う。
五反田JPビルディングの完成イメージ(報道発表資料から)

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三郷駅前地区再開発愛知県尾張旭市愛知県が組合設立認可月日に設立総会

 愛知県は4日、「三郷駅前地区市街地再開発組合」の設立を認可した。名古屋鉄道瀬戸線三郷駅前(尾張旭市三郷町栄)に再開発ビル3棟を整備する事業。施行期間は2029年3月末まで。三郷駅前市街地再開発準備組合(秋田昌彦理事長)が4月3日に認可申請を提出していた。26日に準備組合の解散と本組合の設立総会を開く予定。
 第一種市街地再開発事業で、駅南側の約1・1ヘクタールにA~Cの3棟(延べ約3万~3万3000平方メートル)を建設する。A棟には共同住宅や商業施設、公共施設が入る。B棟には商業施設や駐車場、駐輪場、C棟は商業施設を備える。南口駅前広場も整備する。事業協力者は三菱地所レジデンス・フージャースコーポレーションJV、一般業務代行者はアール・アイ・エー・オオバJVが担当している。
 市は都市計画マスタープランで同駅周辺を「活力拠点」に位置付け、交通結節機能や商業機能の強化などを目指している。再開発ビルに入る市の公共施設の機能は今後、詳細を検討する。地域交流やにぎわいの促進に貢献する機能を導入する予定。
 再開発に合わせ、市の事業として駅舎改修や自由通路整備も行う。南北の歩行者動線を確保し、アクセス性の向上を図る。将来的には駅北側の広場などの整備も計画している。



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2023年7月4日火曜日

村本建設/奈良県十津川村で万博河瀬館安全祈願祭開く

2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)で、映画監督の河瀬直美氏が手掛けるテーマ事業のパビリオン「いのちのあかし」建設の安全を祈願する神事が2日、奈良県十津川村立旧折立中学校で行われた=写真上。施工者の村本建設が主催。河瀬館は廃校となった折立中学校と京都府福知山市立細見小学校中出分校旧校舎の木材などを使い、W造のエントランスや「対話シアター」「森の集会所」をつくる。40人が参列し、施設の無事完成と事業の成功を祈った。
神事では河瀬氏や小山手修造十津川村村長、村本建設の先山正登執行役員大阪支店長らが神前に玉串をささげた。
河瀬氏は「地元の女性から聞いた言葉『助け合うわだ』は、十津川村の精神性『助け合い』を表す。この精神性を戦争と分断が続く世界に発信したい。集落の人たちが木を切り、建てた、思いのこもった校舎を使うパビリオンで、人類と人類の対話を目撃してほしい」と語った。
建築家の周防貴之氏(SUO、京都市上京区)は「校舎を丁寧に解体し、万博会場で再構築して、その先も活用できればと思う。丁寧に組み立て直すことは難しいが、大切に扱うことが醍醐味(だいごみ)でもある」と述べた。
先山支店長は「この校舎に関わった皆さまと、パビリオン事業を進める関係者の思いを受け止めて守る。気を引き締めて社員一丸となって、当社の経験と技術を投入し、安全に完成させたい」と力を込めた。
河瀬館の構造はW造で、総延べ面積は約1500平方メートル。エントランスと森の集会所に旧折立中学校の部材を使用する。2日に旧折立中学校の解体工事を開始し、24年12月ごろ万博会場に河瀬館の姿が現れる見通し。実施設計・施工者は村本建設・SUO・平岩構造・総合設備グループが担当する。


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東京都/神宮前五丁目地区まちづくり検討会開く/再開発の方向性を整理

東京都は6月30日、「神宮前五丁目地区まちづくり検討会」を都庁で開き、まちづくりの方向性を整理した。音楽や映像、デザインなどクリエーティブ産業の集中を強みに位置付け、さらなる集積を検討する。歩行者ネットワークを構築し、隣接する青山通りのにぎわいを引き込む方法を考える。公園などを生かし、緑とのつながりを感じられる空間を目指す。
都は渋谷区神宮前5に▽旧こどもの城(9924平方メートル)▽青山病院跡地(1万7533平方メートル)▽コスモス青山(1万0646平方メートル)▽国連大学(7044平方メートル)-の4カ所、計約4・5ヘクタールの土地を所有している。ポストコロナを踏まえ、▽ウェルビーイング▽オープン&フレキシブル▽バーチャル&リアル-の三つの視点でまちづくりを進めていく方針だ。
ウェルビーイングは「量だけでなく質」など新たな思考に配慮し、ポストコロナにふさわしい公共空間を整備する。オープン&フレキシブルは将来の不確実性や多様性など、社会ニーズを受け止められる仕組みを作る。バーチャル&リアルは、バーチャルと地域の即地性・固有性を生かしたまちづくりを両立する。
まちづくりの方向性に関しては、旧こどもの城の理念を考慮した、遊びと学びの場をどう創出するか考える。青山病院跡地の東側に広がる閑静な部分と、青山通り近くのにぎわいのある地域をどう調和すべきかも話し合う。
検討会は全部で6回開く。次回開催時期は決まっていない。


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回転窓/アジサイと雨

アジサイの花が見頃を迎えている。天候不順が続く梅雨時期だが、晴れ間よりも雨粒をまとった方が花と葉の色彩が一段と鮮やかになり、風情を感じる▼全国各地のアジサイの名所では、さまざまなイベントを開催中だ。種類も多く、さまざまな色や形をしたアジサイの花の中から、自分好みの花を見つけるのも楽しい▼茨城県桜川市の雨引山楽法寺(雨引観音)を先週訪れ、自生している野生品種のほか、境内に植栽された100種5000株のアジサイを見て回った。「あじさい祭」の9日までライトアップ(日没~午後8時)され、日中とは違った幻想的な雰囲気を楽しめる▼寺史によると、587年に中国・梁の国人の法輪独守居士の開創と伝えられている。821年の大干ばつに見舞われた際、嵯峨天皇が「紺紙金泥の法華経」を書写して奉納すると、祈願の効果あって雨が降ったことから、山号を天彦山から雨引山に改称したとされる▼〈紫陽花(あじさい)や 壁のくづれを しぶく雨〉(正岡子規)。アジサイに雨はよく似合う。この季節は農作物の生育にとっても欠かせない恵みの雨だが、大雨による水害には十分注意したい。


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虎ノ門・麻布台地区再開発(東京都港区)/AとC両街区竣工、国内最高ビルを更新

虎ノ門・麻布台地区市街地再開発組合(東京都港区、曲谷健一理事長)が推進する再開発事業のうちA、C両街区が6月30日竣工した=写真(報道発表資料から)。A街区では高さ約330メートルの「麻布台ヒルズ森JPタワー」が完成。あべのハルカス(大阪市阿倍野区、高さ約300メートル)を超え、国内で最も高いビルとなった。C街区には有機的な形をした緑豊かな複合施設群「ガーデンプラザ」が生まれた。A街区を清水建設、C街区は大林組が施工した。いずれも今秋開業予定だ。
参加組合員として事業に参画している森ビルが3日発表した。建設地はA街区が東京都港区麻布台1、C街区は同虎ノ門5。東京メトロ日比谷線神谷町駅に近接する。
A街区の同タワーはS一部SRC・RC造地下5階地上64階建て延べ46万1770平方メートルの規模。基本設計を森ビルと日本設計が担当した。実施設計は基本設計の2者と清水建設の3者が担った。オフィスや住宅、店舗、インターナショナルスクールなどが入る。
C街区のガーデンプラザは総延べ4万5650平方メートルの規模。基本設計を森ビルと山下設計が担った。実施設計は基本設計の2者と、大林組の3者で手掛けた。店舗や美術館、住宅、寺院などで構成する。
(報道発表資料から)

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振興基金、コムテックスが連携/電話発信でCCUS履歴蓄積、10月から安価プラン

建設キャリアアップシステム(CCUS)運営主体の建設業振興基金(振興基金、谷脇暁理事長)とコムテックス(富山県高岡市、竹脇正貴社長)が連携し、電話発信で就業履歴の蓄積が可能な同社の入退場管理システム「キャリアリンク」を安価に利用できるキャンペーンを10月に開始する。CCUS対応の機能に特化した簡易版を提供。システム導入に最低必要となるコストが年額で通常版の10分の1程度となる。
キャンペーンはカードリーダーが設置しにくい現場でも就業履歴の蓄積環境を整備する取り組みの一環。CCUSとAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)連携するシステムの中で、技能者が所持する携帯電話で指定の番号に発信するだけで履歴蓄積が可能なシステムはキャリアリンクに限られる。住宅やリフォームなどの小規模建築工事に加え、軌道工事や舗装工事、維持管理工事といった土木工事でも有効なため、導入コストを抑えて普及を後押しする。
通常版で必要な初期費用10万円(税抜き)と現場の履歴登録数に応じた月額出面課金を振興基金が負担。電話番号の指定数ごとに1セット当たり年額1万5000円(同)を支払うだけで利用できる。通常版は3セット以上の契約が必須だが、キャンペーンでは1セットでも受け付ける。一つの電話番号で複数の現場をまとめて対応できる運用方法も認める。提供期間は26年3月末までを予定。申込数の限度は設けない。
キャンペーンのプランはCCUS対応に特化した簡易版との位置付け。施工体制登録などの事前準備は不要で、電話番号を設定すれば自動的に利用環境が整う。電話発信による現場入場時の履歴登録だけが行え、顔認証の機能などは付かない。振興基金とコムテックスはキャンペーンの利用者が通常版に移行する際の対応も協議していく方向だ。
今回の試み以外にも振興基金や国土交通省はカードリーダーの設置負担の軽減策を矢継ぎ早に打ち出す。安価なカードリーダーの利用環境を年内にも整備し、スマートフォンに対応したシステム改修も検討している。


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神戸市王子公園内灘区大学設置運営事業優先交渉権者に関西学院

 神戸市は、動物園やスポーツ施設などを備える「市立王子公園」(灘区王子町)の大学誘致に向けた公募で、学校法人関西学院(兵庫県西宮市)を優先交渉権者に選定した。同公園の再整備に伴い、現「王子スタジアム」がある園内東側敷地(約3・5ヘクタール)に大学を設置・運営する。六甲山など緑豊かな景観と調和、公園と一体化し、街に開かれたキャンパスをコンセプトとする。2029~31年ごろの開設を目指す。
 大学の設置・運営に当たって、土地は市が有償で譲渡する。公募段階の譲渡予定価格は100億円(1平方メートル当たり約28万5000円)としていた。
 提案概要によると、設置大学の名称は「関西学院大学王子キャンパス」。教育コンセプトとして、予測困難なVUCA(変動・不確実・複雑・曖昧)の時代を前向きに、他者や異分野と協働して地域や世界の課題解決に取り組み、イノベーションを起こす人材の育成・輩出を目指す。
 キャンパス規模は学生数が約4000人、教職員が約200人を想定。キャンパスをイノベーションエコシステムのハブに位置付け、国際性を豊かに持つ教職員と学生が産官学民で起業支援などの取り組みを展開する。多世代が気軽に訪問できる空間として、地域住民や公園利用者などにキャンパス内の諸施設を開放する。
 景観面では、緑豊かな六甲山系の山並みと調和したランドスケープや校舎配置を計画する。中庭などの外部空間を開放し、公園利用者や地域住民が気軽に訪問できる空間を提供。食堂やテラス、オープンラボなどの諸施設も一般開放する。
 市と優先交渉権者で覚書を交わした後、事業実施計画の策定し基本協定を結ぶ予定。都市計画の変更手続きを経て、土地譲渡契約を締結、市議会の土地処分議決後に土地を引き渡し、キャンパス整備工事に着手する。



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2023年7月3日月曜日

神戸市/王子公園内(灘区)大学設置・運営事業、優先交渉権者に関西学院

神戸市は、動物園やスポーツ施設などを備える「市立王子公園」(灘区王子町)の大学誘致に向けた公募で、学校法人関西学院(兵庫県西宮市)を優先交渉権者に選定した。同公園の再整備に伴い、現「王子スタジアム」がある園内東側敷地(約3・5ヘクタール)に大学を設置・運営する。六甲山など緑豊かな景観と調和、公園と一体化し、街に開かれたキャンパスをコンセプトとする。2029~31年ごろの開設を目指す。
大学の設置・運営に当たって、土地は市が有償で譲渡する。公募段階の譲渡予定価格は100億円(1平方メートル当たり約28万5000円)としていた。
提案概要によると、設置大学の名称は「関西学院大学王子キャンパス」。教育コンセプトとして、予測困難なVUCA(変動・不確実・複雑・曖昧)の時代を前向きに、他者や異分野と協働して地域や世界の課題解決に取り組み、イノベーションを起こす人材の育成・輩出を目指す。
キャンパス規模は学生数が約4000人、教職員が約200人を想定。キャンパスをイノベーションエコシステムのハブに位置付け、国際性を豊かに持つ教職員と学生が産官学民で起業支援などの取り組みを展開する。多世代が気軽に訪問できる空間として、地域住民や公園利用者などにキャンパス内の諸施設を開放する。
景観面では、緑豊かな六甲山系の山並みと調和したランドスケープや校舎配置を計画する。中庭などの外部空間を開放し、公園利用者や地域住民が気軽に訪問できる空間を提供。食堂やテラス、オープンラボなどの諸施設も一般開放する。
市と優先交渉権者で覚書を交わした後、事業実施計画の策定し基本協定を結ぶ予定。都市計画の変更手続きを経て、土地譲渡契約を締結、市議会の土地処分議決後に土地を引き渡し、キャンパス整備工事に着手する。
王子キャンパスイメージ(神戸市提供)

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関東整備局ら/品川駅西口基盤整備へ推進会議が初会合開く、デザインコンセプト公表

関東地方整備局東京国道事務所は、産官学でつくる「国道15号品川駅西口基盤整備に関する事業推進会議」の初会合を6月30日に開き、品川駅西口再整備のデザインコンセプトを公表した。周辺再開発と連動し国道15号上空に広さ約2ヘクタールに及ぶデッキと大屋根を設け、交通結節点機能や商業機能などを持たせる。「全国的にも類を見ない事業」(小野寺純一同事務所副所長)となる。コンセプトに「ミチウエ」「スクエア」「品川」の三つを掲げ、日本の玄関口となる象徴的な駅前空間の創造を目指す。
同事業推進会議は有識者のほか▽東京都▽東京・港区▽都市再生機構▽京浜急行電鉄▽東京メトロ▽JR東日本▽高輪三丁目品川駅地区市街地再開発準備組合-などで構成。事務局を同事務所が務める。
冒頭、関東整備局の松本健道路部長は「この会議を通じ事業が円滑に進むことを願っている」とあいさつした。
デッキは幅約55メートル、延長約400メートルで、全体完成後の広さは約2ヘクタールにも及ぶ。整備は段階的に進める計画。2020年代後半を目標として北側1ヘクタールを供用し、30年代後半には高輪ゲートウェイ駅や北品川駅方面の南北のデッキネットワークを築く。最終的には品川駅の東西から国道15号を挟んだ駅西口地区再開発エリアをデッキで結び「ミチウエ」のコンセプト通り、デッキ上の交通広場を通じて周辺との交通ネットワークを有機的に接続する一大拠点となる。
デザインコンセプトとしてデッキ上に大屋根を設ける計画であることが初めて明らかにされた。「スクエア」に基づき、シンボリックなにぎわい空間としての性格を持たせる。また「品川」らしさとして、かつて軒を連ねた東海道品川宿をイメージし「街の履歴」を継承した空間形成を図る。
交通結節点としてGX(グリーントランスフォーメーション)やMaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)なども盛り込んだ次世代の交通ターミナルを目指す。
先行して整備する北側1ヘクタールのデッキは23年度に詳細設計に着手。併せて同年度中に建屋建築の設計にも入る。同事業推進会議は年1回程度開催し、周辺再開発との調整結果などを共有。円滑な事業推進につなげる考えだ。
新たに公表されたデッキのイメージ(関東整備局東京国道事務所提供)
大屋根は軒を連ねた宿場のイメージ(関東整備局東京国道事務所提供)
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鹿島、順天堂大学/医療環境の課題解決へ共同研究講座開設、デジタル技術を活用

鹿島と順天堂大学は6月30日、「パーソナル・アダプティブ・スマートホスピタル共同研究講座」の開設で契約した。超高齢社会での医療環境の課題解決をテーマに、新たなデジタル技術を活用した高齢者に優しい病院づくりを検討する。患者に合わせた医療を行う「パーソナライゼーション」の考えを採用。患者に合わせた空間を「ホスピタルアダプテーション」と呼び、新たな考え方として提唱する。開設期間は1日から3年間とした。
講座は、順天堂東京江東高齢者医療センターで実施する。▽鹿島独自技術の「そと部屋」を利用した認知症対策・予防▽メタバース(3D仮想空間)を活用した情報発信と地域医療連携の推進▽デジタルツインによる転倒・転落予防-の3テーマで取り組む。各テーマで鹿島が保有するデジタル技術を適用し、効果を検証する。
具体的には、病棟のデールームにメタバースを体験できる「そと部屋」を設置。室内空間に外部空間の心地よさを取り入れることで、建築環境による認知症患者のQOL(生活の質)の向上とリハビリへの効果を期待する。
デジタルツインでの転倒・転落予防では、過去のデータから入院患者の転倒・転落リスクを分析し、分析結果をデジタルツインに重ね合わせて情報を発信。看護師が情報を事前に確認することで事故防止につなげる。
鹿島は、医学的見地で自社技術の効果を検証し、今後の病院設計に生かせるノウハウの獲得を狙う。高齢者医療センターは、患者満足度の向上やスタッフの業務負荷軽減、経営改善を期待する。得られた成果は、順天堂大学医学部付属順天堂医院をはじめとする関連施設に展開する予定。メタバースなどのデジタル技術で患者に合わせた優しい医療を実現する。
メタバース・そと部屋のイメージ(報道発表資料から)

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回転窓/椅子の中の椅子

1960年にジョン・F・ケネディが米大統領選のテレビ討論会で使用し、世界的に注目された椅子がある▼それはデンマークの家具デザイナー、ハンス・J・ウェグナーの代表作で、優れたデザインと座り心地から「椅子の中の椅子」と評されて「ザ・チェア」の愛称を持つ木製チェア。腰痛を抱えるケネディが長時間の討論会に耐えられるよう選んだと伝わる▼欧米家具の企画展に先日行き、初めてザ・チェア(PPモブラー社製)に座った。背もたれとアームの流れるような形状が美しく、無垢(むく)材の手触りも申し分のない良さ。そして何より座りやすい。ケネディは椅子に座る自身がどう見えるのかも考えていたという▼企画展ですてきなラウンジチェアとオットマンを前に「価格は円安で100万円を超えますが、20代の方に人気です」とスタッフ。生活空間を豊かにするため、若い世代に上質な逸品を買い求める人が増えているのだろう▼討論の前に撮影されたものなのか、ザ・チェアに座っているケネディ一人だけの姿が印象的なポスターを見た。今年は大統領在任中にテキサス州ダラスで凶弾に倒れてから60年になる。


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マイ・ユニホーム/振興電気/オリジナル性を前面に

電気設備工事などを手掛ける振興電気(東京都品川区、門間俊道社長)は、創業80周年を迎えた2018年にユニホームをリニューアルした。左肩に配置したコーポレートロゴマークの3色ラインが目を引くデザイン。一目で同社社員と分かるオリジナル性を前面に出した。
夏・冬用を展開。ストレッチ生地を採用し、突っ張りを軽減させるなど作業性を追求した。夏服は背中部分にメッシュを取り付け、通気性を良くすることで快適な作業を促す。左右の胸ポケットは小物の持ち運びに役立っている。襟の一部をベースのネイビーから明るい水色に切り替えることで顔の印象を明るく演出する。
19年には電動ファン付きブルゾンの下に着用することを想定したポロシャツも支給した。薄手の生地を使用しロゴワッペンを左肩に配置。「とても涼しく、現場では好評を得ている」と評判も上々だ。
オリジナルユニホームは企業認知度の向上に役立つほか、社員が誇りや一体感を持つことにつながっているという。佐藤浩二東京支店工事部長は「着心地が良くなった」「以前のユニホームより色合いやデザインが全体的に良くなった」と仕上がりに満足している。
作業性だけでなく通気性やデザインにもこだわった(振興電気提供)

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国交省年度防災減災プロジェクト決定大規模地震対策を充実

 国土交通省の防災・減災対策本部(本部長・斉藤鉄夫国交相)は28日に東京都内で会合を開き、2023年度の「総力戦で挑む防災・減災プロジェクト」を決定した。切迫する南海トラフ地震や首都直下地震といった大規模地震対策への支援を充実。ハード・ソフト両面から総合的に展開する。デジタル技術を最大限取り入れた防災・減災対策も一段と推進していく。
 会合で斉藤国交相は大規模地震対策の必要性に触れ、9月に関東大震災から100年を迎えることにも言及。夏にまとめる24年度の予算概算要求や税制改正要望を視野に入れ「できる限り支援施策を前倒しで実施する。防災・減災プロジェクトのさらなる充実、強化を図る」と指示した=写真。
 首都直下地震を念頭に大規模地震対策を進める。地方自治体に補助金を出し、密集市街地にある沿道建築物の不燃化や老朽建築物の除却を推進。民間事業者には帰宅困難者受け入れ施設の整備を促す。エレベーターの閉じ込め対策として、ダンパーの設置やリスタート運転機能の追加にかかる費用も補助する。
 ソフト面では自治体に「事前復興まちづくり計画」の策定を促進。23年度末までに同計画づくりの参考となるガイドラインを策定し公表する。
 防災・減災対策の全般でデジタル技術を最大限活用し、より効率的で高度な施策展開を目指す。遠隔操縦で管内を巡視できるドローンや、AIがカメラ画像を解析し浸水範囲を抽出する自動判読技術などの導入を想定。自治体には3D都市モデル「プラトー」の活用も推奨し、3D点群データで把握できる地形状況などを参考に災害リスクの高い地点から優先的に対策できるようにする。



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2023年6月30日金曜日

JR四国、鉄道総研/メンテナンス技術の共同研究開始、デジタルで省力化目指す

JR四国と鉄道総合技術研究所(鉄道総研)は、デジタル技術を活用した設備などのメンテナンスの省力化・省人化に向けた共同研究に乗り出す。鉄道総研が開発している統合分析プラットフォームを用いる。最新のセンサーや画像処理技術により営業車両で取得した土木や軌道、車両、電力、信号など各分野の設備状態のデータを集約。分野横断的な分析により新たな知見を引き出し、従来の個別分野のデータ分析では検知できなかった異常の早期検知や徒歩巡視、個別設備の検査の省力化を目指す。
JR四国の各路線で取得したデータを統合分析プラットフォームに蓄積し、運用時の課題を抽出する。新たな異常検知手法と劣化診断法の有効性を実路線データで検証。実務に適用した場合の業務改善効果を検討する。実施期間は2025年3月まで。
鉄道の安全・安定運行には設備の適切なメンテナンスが欠かせない。鉄道事業者は法令などに基づき定期検査や必要な補修・修繕を行っているが、少子高齢化による労働人口の減少などから要員の確保が難しく、メンテナンスの省力化・省人化が喫緊の課題となっている。


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リバスタ/建設業界の脱炭素支援へウェブメディア開設

建設業界向けのICTソリューションを提供するリバスタ(東京都江東区、高橋巧代表取締役)は、建設業界の二酸化炭素(CO2)削減や環境負荷低減などを後押しする目的で、ウェブメディア「CO2メディア(シーオーツーメディア)」(https://co2media.rvsta.co.jp/)を開設した。建設業界向けに脱炭素ソリューション情報を発信し、環境問題に取り組む企業や個人を応援する狙いだ。
「『つくる』の現場から未来を創造する」がテーマ。「顧客をはじめとした建設業界関係者のよき相談役となり、環境対策の向上に寄与していく」(同社)としている。
同社は、電子マニフェストサービス「e-reverse.com」や施工管理サービス「Buildee」を提供している。建設現場から発生する産業廃棄物の運搬や、建設現場で稼働する重機に関わるCO2排出量が算定可能なオプションサービスも展開している。


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回転窓/自然と建設技術の名勝

富山・黒部渓谷の玄関口である宇奈月温泉が11月に開湯100周年を迎える。つるつるしてすべすべになる「つべつべ美肌湯」で有名だ▼1世紀というと温泉の歴史としては浅い。きっかけは黒部川の豊富な水を利用して進められた電源開発だった。その前線基地となった台地に温泉地を開こうと土木技師の山田胖が主導。断崖絶壁もある中、約3500本の引湯管を上流の源泉からつないだ▼電源開発も困難を極めた。黒部川第3発電所などの建設では作家・吉村昭氏の小説にもなった高熱の隧道を掘り進めた。黒部川第4発電所(くろよん)では、資材輸送用トンネルの掘削中に土砂と地下水が大量に噴き出る破砕帯に直面。関係者が団結して工事を進めた姿は映画『黒部の太陽』でも描かれている▼今月はくろよん竣工から60周年に当たる。8月には管理用通路などを公開する特別見学会を予定。来年には新観光周遊路「黒部宇奈月キャニオンルート」の一般開放が始まる▼山中を貫くエレベーターや機関車で通過する高熱隧道、剣岳の雄大な景色など見どころが満載。建設技術と先人の熱意を感じる機会にもなると期待したい。


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京急電鉄/ライオン旧本社ビル(東京都墨田区)解体に7月着手、施工は長谷工コーポ

京浜急行電鉄は東京都墨田区にあるライオン旧本社ビル=写真=の解体に7月1日着手する。既存建物は3棟総延べ2・4万平方メートルの規模。解体工事は長谷工コーポレーションが担当し、2027年1月までに終える。京急電鉄は跡地の開発計画を明らかにしていないが、区は関係者との調整の上で、跡地に共同住宅や緑地などを誘致する街づくり方針を策定済み。解体完了後は方針に沿った施設整備が展開される見通しだ。
ライオン旧本社ビルの所在地は本所1の3の7(敷地面積約6400平方メートル)。隅田川に架かる厩橋の東詰に近接する。敷地内には▽旧本社ビル(SRC造地下2階地上12階建て延べ1万5724平方メートル)▽2代前の本社ビル(RC造地下1階地上6階建て延べ4060平方メートル)▽研究棟(地下1階地上4階建て延べ4074平方メートル)-の3棟がある。全て解体する。
区は3月に「隅田川沿川地区(蔵前橋~駒形橋周辺)まちづくり方針」を策定した。方針はライオン本社の跡地で、大規模な民間開発が計画されていることに言及。民間と連携し、多様な世代が暮らせる共同住宅や緑地、広場などの整備を誘導するとした。施設整備を地域のにぎわい向上や、防災力の強化につなげる将来像も示した。
ライオンは20年、長谷工コーポレーションに本社用地を売却。今年4月に蔵前JPテラス(東京都台東区蔵前1の3の28)へ移転した。
ライオン旧本社ビル

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三菱電機ビルソリューションズ/IoTプラットフォームで他社製エレベーター連携

三菱電機ビルソリューションズは、スマートシティーやスマートビルを支える自社のIoTプラットフォームを、他社製エレベーターに連携させロボットを効率的に運用するサービスの提供を始めた。三菱地所の大手町パークビルディング(東京都千代田区)に提供。ビル内に混在する各社エレベーターとロボットのインターフェースをクラウド上で一本化し、一元的にエレベーターを制御する。ロボットと各エレベーターの接続作業などの労力を削減し、ロボットの効率運用につなげる。
同社のスマートシティー・ビルIoTプラットフォーム「Ville-feuille」と他社製エレベーターが連携し、ロボット移動支援サービスの機能を拡充した。ロボットからのリクエストに応じて、同プラットフォームがエレベーター呼び出しや行き先階登録を実施する。ロボットに対しては、配車号機の通知やエレベーターの乗降タイミングなどを指示。エレベーターを利用したロボットの縦移動を実現する。
他社製エレベーター制御盤と接点接続できるインターフェース装置を新たに開発。エレベーターとの接点信号を同プラットフォーム上で通信信号に変換する仕組みを実装した。複数メーカーのエレベーターが混在する大規模な建物などで、ロボットと各エレベーターの接続作業や試験調整を削減できる。
経済産業省の「令和4年度革新的ロボット研究開発等基盤構築事業に係るロボットフレンドリーな環境構築支援事業(施設管理分野)」(採択先・三菱地所)の一環で提供した。


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熊本市市電延伸で一部単線化案が浮上年度にも先行開業

 熊本市は市電の熊本市民病院方面(東区東町)への延伸計画について、全線複線で想定していた延伸区間(約1・5キロ)の約3割を単線化する考えを示した。用地取得の範囲を縮小して事業費を抑え、早期の延伸実現につなげる。今後、2020年度にまとめた延伸の基本設計の見直しに着手。年度内に市議会で延伸方針が承認されれば、市は24年度にも実施設計を行い、早ければ29年度に一部区間で先行開業できるとの見通しを立てている。
 延伸ルートは現在の終点・健軍町電停(東区若葉)から県道28号熊本高森線上を約490メートル東進。東野一丁目交差点で北側に進路を変え、熊本市民病院付近まで直進する。熊本市民病院付近を含めて新たに4カ所の電停を設ける。
 単線化の方針を示したのは複線の用地確保が難しく、延伸の障壁となっていた県道28号上の区間。健軍町電停付近と東野一丁目交差点付近を除いた約430メートルを単線で整備する。
 全線複線案では道路幅が広く用地取得がしやすい熊本市民病院側から先に整備する考えもあったが、路線が分断されることが課題となった。市の木村仁洋移動円滑推進課長は「単線であっても既設路線をそのまま延伸させるだけなので、一部区間での先行開業が可能といったメリットがある」と話している。
 20年度の基本設計で示した延伸全体の概算事業費は約135億円。20年度時点の資材価格などを基準にすると、一部単線化により22億円程度は削減できる見通しだ。基本設計業務を担当したトーニチコンサルタントと近く随意契約を結び、基本設計の修正業務を委託。9月の市議会定例会に最新の資材価格動向を踏まえた基本設計の修正案を提出する。
 市は基本設計の修正案が承認されれば、市民の意向を聞き取るアンケートも実施する予定だ。
 市電延伸は新型コロナウイルスの感染症対策への集中を理由に議論や実施設計を中断していた。本年度6月補正予算案で市電延伸調査の関連経費として総額4700万円を計上。内訳は基本設計修正3370万円、軌道運送高度化実施計画1000万円、都市計画図書作成330万円。

市電の延伸ルート(熊本市議会の資料を基に作成)

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2023年6月29日木曜日

建コン協四国/高松市でシンポジウム開く、若手技術者が四国の未来テーマに討論

建設コンサルタンツ協会(建コン協)四国支部(天羽誠二支部長)は27日、高松市のかがわ国際会議場で若手技術者と四国の未来を考えるシンポジウムを開いた=写真。2022年12月に建コン協西日本4支部連携の合同提言が発表され、作成に関わった同支部の若手メンバーが提言で描いた50年の四国のありたい姿を披露。道路・交通、観光・まちづくり、防災の観点から提言に込めた思いや実現への道筋を語った。
テーマは「可能性の宝庫四国のみらいを考える~若手技術者が思い描く四国のみらい~」。インフラ整備構想を策定し提案する同支部のキックオフシンポジウムと位置付けた。四国地方整備局や四国4県の職員、四国内外の建コン協会員などリモート参加を含む約510人が聴講した。冒頭、天羽支部長は「提言の中には現実味のある話や夢や希望、大胆な発想もある。かなえたい夢を堂々と掲げるのは次の時代を担う若者の特権でもある。夢を現実のものとする大いなるチャレンジと活躍に期待したい」とあいさつした。
続く基調講演で、荒瀬美和四国整備局長は新たな四国圏広域地方計画の策定状況などを説明。「社会インフラは空気のようなものというのが持論。ないと非常に困るが、あると当たり前になってしまう。なくてはならないものの整備や管理などに携わっているという気概を持ってほしい」とエールを送った。
この後、合同提言作成ワーキンググループ(WG)の大村史朗四国支部WG長(四国建設コンサルタント)が提言内容を紹介。各WGの西山毅道路交通グループリーダー(芙蓉コンサルタント)、石川ひとみ観光・まちづくりグループリーダー(四電技術コンサルタント)、長山学史防災グループリーダー(第一コンサルタンツ)と共にパネルディスカッションを行った。
コーディネーターを務めたWG学識委員の大津宏康京都大学名誉教授が提言の検討に当たりアドバイスした「エンジニアリングファースト、あったらいいなの考え」を出発点に議論が進行した。西山リーダーは整備中の四国8の字ネットワークや構想のある四国新幹線を挙げながら「今よりも人や物が運びやすくなる」と分析。四国が単なる経由地や産地となることに危機感を募らせ、南海経済軸の交通結節点に国内だけでなくアジアや世界と結び付く新拠点の整備を提案した。
石川リーダーは少子高齢化や人口減少による深刻な働き手不足から、ロボットにさまざまな行動を許可する「ロボット特区」を創設し地域活性化を図るアイデアを披露。長山リーダーは道の駅を事例に日常生活と防災を融合した防災拠点づくりの必要性を訴えた。
大村WG長はアマチュアの囲碁プレーヤーが最強レベルの囲碁AIに15戦14勝と大勝した事例を引き合いに「AIは過去の事例から勝ちやすい手を選択するだけ。前例のない未来に立ち向かうのにAIに頼ることはできない。あるべき姿、ありたい姿を思い浮かべ創意工夫しながら私たちが作っていく必要がある」と力を込めた。大津名誉教授は「前例にないものを否定しない環境があることで初めてイノベーションになる」と総括し、4支部のさらなる連携に期待を込めた。


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回転窓/世界遺産登録10年に考える

富士山の麓で生まれ育ち、あまりに身近な存在であるためかこの山が特別な存在という認識がどうも薄いかもしれない。とはいえ厚い雲に覆われて見えなくとも、どの位置にどのくらいの大きさでそびえているか、ふるさとの景色はよく分かる▼富士山が国連教育科学文化機関(ユネスコ)世界文化遺産に登録されて10年を迎えた22日、都内や地元でイベントが開かれ、大勢の人でにぎわった。コロナが落ち着き、間もなく迎える夏の登山シーズンに期待も大きいようだ▼同日の記念式典で山梨、静岡両県の知事が信仰の対象などにもなった富士山の普遍的価値を守り、地域のさらなる発展を目指す共同宣言に署名した。この10年で文化財の整備などが進み、富士山を守ろうとする意識も高まっている▼一方で、観光客が増加し環境保全の面で問題が生じているのも事実。山梨県が麓と5合目を次世代型路面電車(LRT)で結ぶ「富士山登山鉄道構想」を打ち出すなど、解決に向けた検討も進んでいる▼国内外で存在感がひときわ大きくなっている富士山。恵まれた美しい自然を、次代にしっかり伝えていかなくてはいけない。

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大阪府箕面市/みのおサンプラザ新1号館、公共床基本計画作成費を補正予算に計上

阪急電鉄箕面駅前にある複合施設「みのおサンプラザ1号館」(大阪府箕面市箕面6の1)の建て替え事業で、箕面市議会は第2回定例会の会期最終日、23日に新1号館1~3階の公共床の基本計画作成業務委託費を盛り込んだ補正予算を承認した。同業務の委託先を決める手続きを夏に始める予定。公共床の指定管理者を選ぶのに先立ち、必要とされる機能や条件などを調査し、基本コンセプトやフロアの機能を検証、モデルプランを作成する。委託期間は8月から2024年3月まで。
敷地は市が取得した上で、70年間の定期借地権を設定して事業協力者の東京建物と阪急阪神不動産に貸し出す。同社らは11階建て延べ約1万7600平方メートルの建物を整備する。4~11階に109戸の分譲住戸を設ける。1~3階は市が再取得し、交流施設や地域の活性化に役立つ施設を配置する計画。
地元住民や観光客が立ち寄りやすい滞在型施設や、飲食店、特産品のアンテナショップなどを想定。全国の事例を参考にしながら一定の要件を整理する。民間企業からも提案を募り、基本計画の検討を進めていく。
24年4~6月に公共床の指定管理者を募り、同7~9月に決め、市は土地を再取得。25年1~3月に公共床内装実施設計を始め、事業協力者らと調整に入る。
新1号館全体の設計・監理はIAO竹田設計が担当。大末建設が施工する。同4~6月に建築本体工事に着手し、27年4月以降の完成を目指す。
現在の1号館はSRC造地下1階地上8階建て。市の公共施設や物販店舗が入居している。15年に耐震性の不足が判明し、市ら区分所有者が今後の方針を検討。事業期間や費用負担を減らすため、敷地を売却して分配金を取得できるマンション敷地売却制度を関西では初めて活用することになった。
みのおサンプラザ新1号館完成イメージ(報道発表資料から)

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LisB/現場写真共有アプリをリリース、タグ付けで整理や書類作成を効率化

ビジネスチャット「direct(ダイレクト)」を展開するLisB(エルイズビー、東京都千代田区、横井太輔社長兼最高経営責任者〈CEO〉)は28日、写真や動画の撮影時に分類上の情報(タグ)を付けることで、画像などの整理を容易にするアプリの提供を開始した。分類に必要な場所や品質などをあらかじめタグとして登録しておき、必要なタグを選択してシャッターを押すと、クラウド上に自動的に保存される。撮影後はタグや日時、撮影者などで容易に写真を絞り込むことができる。
提供を始めたのは、現場向けカメラアプリ「タグショット」と、撮影画像をクラウド上に保存するアプリ「タグアルバム」。撮影するだけで、自動的にクラウド上にアップロードされるため、特定の端末にデータが残ってしまうような事態を回避できる。電子小黒板と合わせて撮影する機能や、保存された写真を選択するだけで簡単に帳票を作成できる機能も搭載。改ざん検知機能への対応も進める。同社のビジネスチャットとも連携できる。
大規模な建設現場では、数千~数万枚以上の現場写真が撮影され、報告書作成や画像の整理・分類に膨大な時間が必要となっているという。画像の整理を容易にすることで関連書類作成などを効率化し、働き方改革の推進につなげてもらう。
詳細は特設サイト(https://tagshot-album.com/)へ。29日と7月12日には、新サービスを紹介する無料のオンラインセミナーを開く。
「タグショット」「タグアルバム」のイメージ(報道発表資料から)

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国交省/建機の自動化・遠隔化で10月から現場検証、23年度内に安全ルール策定

国土交通省は建設機械の自動運転や遠隔操縦の現場検証に乗り出す。関係業界団体や行政・研究機関で構成する「建設機械施工の自動化・自律化協議会」の第3回会合を27日に開き、実施方針と安全上の対策項目を列挙したガイドラインを承認した。今後、現場検証に参加する民間企業や研究機関を追加公募し、茨城県つくば市の「建設DX実験フィールド」を中心に10月ころから現場検証を実施。実現場への適用に向けた標準的な安全ルールを年度内に策定する方針だ。
現場検証は自動運転や遠隔操縦を前提とした安全ルールや建機の機能要件を固めることが目的。参加企業らは「自動施工編」と「遠隔施工編」のどちらかのガイドラインに基づき現場検証に当たり、各現場で共通して実施すべき事項や事例を安全ルールに落とし込む。
これまでは自動・遠隔建機を導入する現場ごとに、労働基準監督署など関係者に説明する必要がある安全対策項目が必ずしも明確になっていなかった。それを標準化することで技術開発の効率化や早期の現場導入を促進する。
既に同協議会の下部組織として設置した実務者レベルのワーキンググループ(WG)のサブメンバーのうち10者(複数企業のグループを含む)が参加を表明。これ以外の参加者を追加公募で選定する。検証場所は建設DX実験フィールドに限定せず、自社現場など参加者が自ら用意する場所でも実施可能。例えば直轄工事現場でも発注者側の同意を得ていれば検証場所に利用できる。
同日の会合では委員から、安全面の確保だけでなく施工の効率性も意識しながら両方を高いレベルで実現する重要性が指摘された。年度末に策定する安全ルールをまずは第1版と位置付け、さらなる最適化に向け現場検証などで積み上げた内容を順次拡充し見直していく方針を示す。
冒頭あいさつした吉岡幹夫技監は「今ある技術を生かしていく考えもあるが、従来の形にとらわれず考えることも大事」と指摘し、同協議会の成果を踏まえ建設現場の将来像が描かれることに期待した。

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大阪狭山市近畿大病院跡地で企業にヒアリング土地利用案に集約

 近畿大学医学部・付属病院(大阪府大阪狭山市大野東)を堺市南区三原台へ移転する計画で、大阪狭山市は2022年8~10月に現病院などの跡地約28ヘクタールの土地利用案について、民間企業への聞き取り結果を3案に集約し、取りまとめた。3案とも後継病院を置くとし、住宅系を中心に福祉・商業系を複合する案や、商業・産業・流通系を導入する非住居系案、商業・住居系に文化・交流系を加える案に収れんした。10月までに後継医療法人と土地取得者が決まり、手続きなどを経て25年度にも開発が始まる見通し。
 跡地は、現在の付属病院があるAブロック(約10ヘクタール)と、Aブロック南側隣接地で緑地が広がるBブロック(約5ヘクタール)、Bブロックの西隣のCブロック(約11ヘクタール)で構成する。
 民間企業への個別の聞き取りには、デベロッパー4社とゼネコン3社を含む9社が応じた。このうちデベロッパー3社とゼネコン2社を含む6社が土地利用に関する提案を提出した。
 3案のうち、住宅系を中心にする案は、Aブロックに後継病院とサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)、福祉系を、Bブロックには一戸建て住宅などと商業系を、Cブロックには公園、レクリエーション系、一戸建て住宅などを想定。
 非住居系案では、Aブロックに後継病院と商業・産業系を、Bブロックには商業・流通系、Cブロックに公園とレクリエーション系を配置した。文化・交流系導入案は、Aブロックに後継病院と住宅・福祉系を、Bブロックに文化・交流系と商業系、Cブロックには公園とレクリエーション系、一戸建て住宅を計画する。
 3案とも事業化した場合の効果として、▽後継病院での医療サービス継続▽居住人口や交流人口の増加▽商業施設や福祉施設の立地による利便性向上▽地域公共交通の活性化-などが見込めると指摘。
 今後の課題として、土地利用規制の秩序ある緩和や、PPPによる都市計画道路の整備など交通環境改善には「行政の取り組みが不可欠」としている。



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2023年6月28日水曜日

半導体関連産業集積へ/熊本県内で企業誘致の動き拡大、TSMC新工場が12月末完成

熊本県菊陽町で半導体メーカー・台湾積体電路製造(TSMC)の新工場建設が12月末の完成を目指して進む中、周辺地域で半導体関連企業の誘致に向けた動きが広がる。菊陽町はTSMC進出に伴い、町を巡る情勢が大きく変化したのを受け、2023年度内に「都市計画マスタープラン」の改定に着手する。県も菊池市など周辺自治体での工場立地を後押しするため、工業団地整備などの準備を着々と加速させる。
菊陽町は都市計画マスタープランを21年度に改定したが、その後にTSMCの工場建設が決まり、都市計画を巡る状況が一変。関連産業の工場立地や住宅用地の需要が高まっているのを背景に、マスタープランの見直しを決めた。
同町で開発が可能な市街化区域に指定されている区域は町域全体の約15%とわずかな範囲に限られる。農地保護の観点を踏まえ、土地利用の在り方について関係者との協議を重ねる。必要に応じて23年度補正予算を編成し、改定の関連経費を計上する。
県はTSMC新工場の北側に位置する既存の県営工業団地「菊池テクノパーク」(菊池市)の西側隣接地で、新たな工業団地の整備を目指している。対象区域は約25ヘクタール。実施設計の委託先を決める指名競争入札の手続きに向けた最終準備を進めている。24年度末までに造成工事に着手し、26年度末までの分譲開始を見込む。県は合志市内にも工業団地を計画中で、用地取得に向けた協議を進めている。
TSMC新工場の誘致による余波は菊陽町に隣接する合志市などを含めた周辺自治体に広範囲に及ぶ。県は企業の事業活動に必要な工業用水を供給できる新たなインフラの整備も構想している。
県企業局は、1級河川菊池川水系の迫間川にある竜門ダム(菊池市)を水源とする有明工業用水道の未利用水の一部活用に向けた検討を本格化。既設の農業用パイプラインを経由し、同ダムから取水した水を合志市や菊陽町方面に送り込むことを想定する。
同局は必要な新浄水場に向けた概略設計や、農業用施設からの取水に関する調査検討などを日水コンに委託。23年度内に事業化の判断を下す。同局の担当者は概略設計業務を通して「農業用パイプラインからどれだけの工業用水を引けるか、水理計算をしながら検証する。工場立地を推進できるような良い結果につなげたい」と力を込める。


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日建連、東京書籍/8月5日に小中学生向けオンライン見学会/多種多様な建機紹介

夏休みは建設機械の世界にようこそ--。日本建設業連合会(日建連、宮本洋一会長)と東京書籍(東京都北区、渡辺能理夫社長)は、8月5日午後2~3時に小中学生向けのオンライン現場見学会を開く=写真はポスター。
現場は埼玉県秩父市にある日本キャタピラー(東京都千代田区、本田博人代表職務執行者社長)の建機総合研修センター「D-Tech Center」。一般的によく知られたものから街であまり見かけない多種多様な建機を披露し、オペレーターのすご技も生中継する。
日建連と東京書籍が連携し小中学生の夏休み期間にオンライン現場見学会を開くのは、2021、22年に続き3回目。ウェブ会議システムのZoomを利用。パソコンやスマートフォン、タブレットを使いどこからでも参加できる。参加無料。定員は950人。
申し込みは特設サイト(https://ashitane.edutown.jp/ashitanelive03/)へ。


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回転窓/カワウとの知恵比べ

新技術の開発、実装が相次ぐドローン。その性能に着目し、群馬県はドローンサービスを提供する県内企業と組んで、増えすぎたカワウの食害から川魚を守る活動に取り組んでいる▼カワウの生息地を調査した上で、背の高い木などにある営巣にドローンからドライアイスをピンポイントで投入し、ふ化を防ぐ。個体数は着実に減り、ドローンのおかげで作業従事者の安全性が大きく向上したという▼千葉・幕張で行われている展示会「ジャパンドローン2023」(26~28日、主催・日本UAS産業振興協議会)を取材した。開催は8回目。ドローンの市場拡大に伴って、過去最大の出展239者、来場は最多の1・8万人を見込んでいる▼会場には国内外の最新鋭の機体とともにカメラ・センサーといった関連機器なども数多く並ぶ。狭小空間専用の新型機を発表したある企業の代表は「(人が入りにくい)空間のリスクを可視化し、人の代わりをしてもらいたい」とアピールしていた▼カワウの行動半径は60キロとされ、対策を講じても営巣が移る懸念があるそう。進化の著しい道具をどう生かすのか、使う側の知恵が試される。


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竹中工務店ら/IoTで建機の稼働・停止検知、CO2排出量自動モニタリング

竹中工務店と建設会社のアルモ(高松市檀紙町、河田宣人社長)は建設機械の稼働、停止を自動検知するIoTデバイスを共同開発した。建機の二酸化炭素(CO2)排出量を可視化する既存システムと連携し自動モニタリングと集計を行う。1現場で試行しており順次拡大する方針。効果を検証し、より効果的なCO2削減策などにつなげる。
IoTデバイス「どんだけ」は電流を検出するセンサーと防水ケースに内蔵した通信装置で構成。建機のバッテリーに取り付けるだけで機械の稼働、停止状態が検知できる。
すべてのエンジン式建機に設置が可能。汎用(はんよう)性が高く、施工中の現場ではクローラクレーンや杭打ち機、油圧ショベル、フォークリフト、高所作業車などに適用している。
デバイスと連携させる「CO2排出量モニタリングシステム」はユアサ商事と共同開発。脱炭素関連コンサルティングなどを手掛けるゼロボード(東京都港区、渡慶次道隆代表取締役)の温室効果ガス排出量算定・可視化ツールに自動データ収集機能を付加した。
「どんだけ」で検知した情報を通信装置からモニタリングシステムに送り、建機の稼働時間からCO2排出量を算出する。機械台数などの手入力が不要になり、より精度の高い排出量をタイムリーに把握できる。
竹中工務店では機械保有会社やレンタル会社と「どんだけ」の運用体制を構築し建設現場への導入を進める。導入効果を検証し効果的なCO2削減策の抽出と水平展開に努め、CO2排出量の目標管理をきめ細かく行っていく。
高所作業車への設置事例(写真中央、竹中工務店提供)

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国交省/直轄河川の情報基盤構築へデジタル地図に集約、施工・維持管理を効率化

国土交通省は「(仮称)流域治水データプラットフォーム(PF)」の一環として、直轄管理河川に関わる情報を官民で共有し防災・減災対策や維持管理などに役立てる仕組みを作る。新たに直轄河川を対象にした「河川情報基盤」を構築し=図参照、施設台帳や3Dデータなどの情報をデジタル地図に集約。工事や業務の受注者と共有し、現地の状況や工事の進行状況を一目で確認できるようにする。完成には数年かかる見通し。2023年度はデータ形式の統一基準を策定し、さまざまな個別データを集約するための体制を整える。
河川情報基盤は施設台帳や巡視・点検結果、工事、環境など、同省の直轄河川に関わるさまざまな情報をアプリケーション・プログラミング・インターフェース(API)で連携。1枚のデジタル地図上に集約し、工事や点検など進行状況を関係者間でリアルタイムに共有できるようにする。国交省の職員や工事・業務受注者を対象にしたシステムで、現時点で一般公開する予定はないという。
23年度は情報基盤の構築に向けデータの統一様式を決める。データ様式を定めた標準仕様書などを作成し、工事や業務の受注者から納品されるデータが自動的に蓄積されていくシステムの構築を目指す。
情報基盤に蓄積したデータは、さまざまな用途に活用できる見込み。例えば、直轄河川の地形や構造物の3Dモデルを建設業者と共有できれば、現地確認作業の効率化が期待できる。光ファイバーケーブルのような河川地下埋設物の情報も事前に把握できるようにしておければ、スムーズな施工に役立つとみる。
国交省はドローンの飛行禁止空域などに関するデータを活用し、ドローンが安全に自律飛行できるシステムの開発を想定。その成果として河川周辺の状況をドローンで把握できるようになれば調査効率も高められる。調査の実施頻度を増やし、不法投棄物の迅速な発見など細かな変化も見過ごさないようにする。
流域治水データPFでは河川情報基盤以外にも複数の情報を集約し、河川管理者や民間企業にとって使いやすい仕組みを作っていく。水位や予報・警報といった防災面のデータをリアルタイムで共有できる既存の「統一河川情報システム」との連携も視野に、さらなる充実を図る。


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JAC/特定技能の海外試験受付開始/「外国人共生講座」もスタート

建設技能人材機構(JAC、三野輪賢二理事長)は、海外での特定技能1号評価試験を本格的に開始する。先行的に試験実施を準備してきたインドネシアとフィリピンの2カ国で28日からエントリーを受け付ける。特定技能外国人を受け入れるための試験体制を国内外で整える一方、受け入れ企業向けのサービスも強化。外国人就労者の出身国ごとに文化・慣習や配慮事項などをレクチャーする「外国人共生講座」も7月に始める。

特定技能外国人を受け入れる際の業務区分が▽土木▽建築▽ライフライン・設備-の3区分に再編・統合されてから海外試験は初めて。現地での試験運営は世界180カ国以上で事業展開する米国のプロメトリック社に委託し、コンピューターを利用した「CBT方式」で実施する。同社のウェブサイトでエントリーを受け付ける。
先行するインドネシアでは7月4日からジャカルタなど6都市、フィリピンでは同11日からマニラなど3都市で順次開催。以降▽カンボジア▽モンゴル▽ミャンマー▽ネパール▽タイ▽スリランカ▽インド▽ウズベキスタン▽バングラデシュ-の各国でも検討する。
外国人共生講座はインドネシア、フィリピン、ベトナムの3カ国を当面の対象とする。出身国の習慣や文化、宗教への理解不足からトラブルに発展するケースがあることから、受け入れ企業の役員や管理職、従業員に参加してもらうことで外国人材の育成と活用、定着につなげる。
同講座はオンライン形式で年度末までに計6回予定。定員は各回1000人。JAC会員以外や技能実習生の受け入れ企業も参加できる。参加は無料。28日から専用ホームページ(http://tiny.cc/sj68vz)で申し込みを受け付ける。


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