ヤナギ科の樹木であるケショウヤナギは、冬から春にかけて若枝が白粉を飾り、紅色に染まる。雪景色に美しく映える姿が名前の由来と聞いた▼群生するのは北海道と長野県の一部だけ。同県では北アルプスの山々に囲まれた上高地など梓川周辺が群生地として有名だが、その景観が一部で変わりつつある▼ケショウヤナギは雨で流量が一気に増す梓川の激しいかく乱を耐えた個体が群生してきた。自然の保護と利用のために最低限必要だった過去のインフラ整備に伴い、かく乱が減った一部の地帯でケショウヤナギ以外の樹木が目立つようになっているという▼長野県松本市は現在、物資輸送や傷病者の搬送に欠かせない梓川上流の管理用道路の再整備など「上高地『再生と安全』プロジェクト」に取り組んでいる。川の人工物を撤去し、本来は網状の自然な流路に再生したり、つり形式の人道橋「新村橋」を車両も通行できるように架け替えたりする▼市は着手前の調査や議論、関係機関協議に約6年を費やした。希少な自然の保護・保全と利活用の在り方を追求し、上高地の価値を未来へつなぐプロジェクトに注目したい。
source https://www.decn.co.jp/?p=157648
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