2021年5月28日金曜日

【役者自ら劇場を手作り】劇団水族館劇場、東京都羽村市に特設野外舞台設営

  東京都羽村市の住宅街に突如現れた巨大な建造物。覆われた分厚いシートをめくると鉄パイプの骨組みが見える。劇団「水族館劇場」の特設野外舞台「虹の乾坤(けんこん)」。夜な夜な壮絶な芝居が繰り広げられる仮設劇場は、演じる役者たちがすべて自らの手で造り上げた。見せ場をつくる数々の仕掛けを張り巡らせ、気迫のこもった演技で観客を待ち受ける。

 仮設劇場は高さ約11メートル。内部はステージや100人以上が座れる客席を備えた大空間が広がる。4月初めに着工し、主要な役どころを務める劇団員らが連日3~5人ほどで建てた。建設現場などで働く仲間たちが時折サポートに入りながら、今月14日に公演初日を迎えた。

 強風が吹く土地柄で、屋根のシートが引きちぎられるアクシデントもあったが、致命的な工程の遅延は免れた。棟梁(とうりょう)として現場をまとめた秋浜立さんは胸をなで下ろす。主要部材として使用する仮設の足場材を、以前の枠組み足場から最新型のくさび緊結式足場に変更し、作業スピードが格段に向上したという。

劇場の内部

 現場に入る1カ月前から描いた設計図を見せてくれた。着工後も舞台装置の増設など設計変更が相次ぎ、手書きの図面は何十枚もの束になる。「CADがあれば修正も簡単なんでしょうけどね」と話す秋浜さんだが、普段は消防設備のメンテナンスに従事し、建設現場とは無縁の生活。5年前の入団当時は1段の足場に立つだけで身がすくんだ。先輩劇団員の教えを請いながら経験を積み、棟梁の貫禄がついてきた。 

 水族館劇場は1960年代以降に隆盛したアングラ演劇のテント芝居を源流に持つ。鉄筋工として約40年のキャリアを持つ座長の桃山邑さんが87年に旗揚げした。現在のような巨大な仮設劇場のひな型ができたのは20年前だ。

 劇団の代名詞は「水落とし」と呼ばれる大仕掛け。ステージ上空の天井裏には水槽が四方に配置され、計3・2トンの水が仕込んである。役者の掛け声とともに滝のような激流がステージに降り注ぐ。

 水の荷重をトラス構造の梁で支え、大スパンの内部空間を確保している。スライド式のステージの下部には、水落としが流れ込む容量20トンのプールを設置。水圧に負けないよう水平方向に補強材を入れるなど製作にはこつがいる。建設現場で雑工として働く七ツ森左門さんは劇中、自身が設計・製作したプールに落ちたり水落としを頭から浴びたりしてずぶぬれ。プールから出られず、設計に脱出口を盛り込まなかった自らのミスを悔やんで観客の笑いを誘った。

劇場建設は役者が中心的な役割を果たす
(右から秋浜さん、松林さん、七ツ森さん、臼井星絢さん)

 女優の松林彩さんは、秋浜さんと同じくパイプやクランプの扱い方を劇団で学んだ。高層ビルの窓清掃を現在の仕事に選んだのは「日常的に高所作業をしておけば(安全の取り方などに)役に立つ」と考えたから。今ではヘルメットと安全帯を身に付けて足場を駆け上がり重労働もこなす。

 役者たちが自ら造った舞台で演じると、独特の迫力が生まれる。時空を行き来する荒唐無稽な芝居に血が通い始める。

劇場の観客席

 昨春の公演は新型コロナウイルスの緊急事態宣言と重なった。仮設劇場を造り上げたものの初日直前に中止を決断せざるを得なかった。「やり切ったわけではないが、やり続けた」と秋浜さんが言うように、劇団員らは最後まで実現を目指し、劇場と芝居をつくり続けた。

 再起を図る公演はいよいよ終盤。水族館劇場の芝居は、公演期間中も台本が書き換えられ、夜ごと進化する。役者たちが芝居をつくり続けた先にどんな光景が広がるのか、目撃した者にしか分からない。

 【水族館劇場野外公演】

 「Naked アントロポセンの空舟(うつほぶね)」

 ■日程 5月31日(月)まで 連日午後7時開演

 ■料金 当日4500円 全席自由

 ■場所 臨済宗建長寺派宗禅寺第二駐車場(東京都羽村市川崎2の8の20)

 ※
新型コロナウイルス感染症対策の注意事項などの詳細はホームページ

【人気クリエイターのゆなさんとせりしゅんさん起用】ダイキン工業、湿度テーマのダンス動画公開

  ダイキン工業は27日、湿度をテーマにしたダンス動画「ぜんぶ、湿度のせい。」を、ショートムービープラットフォーム・ティックトックのダイキン公式アカウントで公開した。

 動画はモデルや俳優などでも活躍する人気クリエイターのゆなさんとせりしゅんさんを起用。エアコンを購入する機会が少なくブランド認知の向上が課題となっている若年層に対して認知向上を図る狙いだ。

 ダンス動画は、「何でもかんでも湿度のせいにして可愛く元気に踊ろう!」がテーマ。「髪がうねる」「肌がべたつく」「汗くさい」など、梅雨ならではの湿度による困りごとを歌ったポップな音楽に合わせてダンスを披露する。振り付けはティックトックで「バズる」振り付けを生み出しているダンサーのえりなっちさんが担当。水滴が弾ける音やミストをイメージした動きなど湿度を連想した振り付けになっている=写真。

 6月3日までダンスをまねして踊った動画を一般ユーザーから募集し、投稿してもらう企画を実施する。選ばれたユーザーの動画は、同11日に公開予定のミュージックビデオの中で映像の一部として採用する予定だ。

【等々力陸上競技場、球技専用スタジアムに改修へ】川崎市、等々力緑地再編整備実施計画改定骨子案公表

球技専用改修した等々力競技場の完成イメージ
(川崎市報道発表資料から)
  川崎市は27日、中原区の等々力緑地再編整備実施計画改定骨子案を公表した。施設の老朽化や2019年10月の台風19号で大規模な浸水被害を受けたことなどから、公園全体のゾーニングや防災・減災対策などを見直す。民間負担による既存施設の増築・改修の可能性も検討する。6月に意見募集を実施し、年度内の計画改定を目指す。

 現在都市公園として告示している面積は36・3ヘクタール。新たに公園として6・9ヘクタール、事業化検討エリアとして12・9ヘクタールを加え、計画対象区域面積は56・4ヘクタールになる。

 既存施設では等々力陸上競技場と等々力補助競技場を現在地で改修し最適化。等々力陸上競技場は球技専用スタジアムに生まれ変わる。とどろきアリーナは民間提案の実現手法なども含め再整備案を検討する。整備位置は未定。浸水被害を受けた市民ミュージアムは、被災リスクの少ない場所に移転・新設する方向で検討する。

 新規施設として民間収益施設やプール、スケートボード、ドッグラン、バスケットコートなどの整備も検討する。市は等々力緑地再編整備事業を、連立2事業とともに大規模投資的事業に位置付けている。

2021年5月26日水曜日

【回転窓】相次ぐ経済対策

  新型コロナウイルスのワクチン接種が進む国々では大型の経済対策が打ち出されている。感染拡大に歯止めが掛かれば次は経済再生というのは自然な流れだろう▼欧州連合(EU)は加盟国支援のために約116兆円規模の「復興基金」を設置。ドイツのメルケル首相は「ウイルスと共存していくためにはもっと多額の拠出を行う用意がある」と上乗せの意向を示す▼米バイデン政権は「アメリカ雇用プラン」を発表。今後200兆円を超える投資を行い、1900万人の雇用を生み出す。その中核がインフラ整備。道路整備や老朽化対策に加え、防災・減災対策や200万戸以上の住宅供給など内容は多岐にわたる▼経済対策ではないが、中国が3月にまとめた「第14次五カ年計画」は桁違いのインフラ整備が並ぶ。2035年までに鉄道20万キロ、高速道路16万キロ、一般国道30万キロを延伸する(日本みち研究所ホームページから)▼インフラ整備を柱にした経済対策が各国で進む一方、わが国はどうか。ワクチン接種で後れを取り今のままではインフラ整備でも周回遅れに。これで世界と戦えるのか。ポストコロナも不安が募る。

【回転窓】工夫して運動会を

  小学生だった頃、毎年楽しみにしていた行事の一つが運動会だった。開催日の朝、午前6時に鳴った花火の音は運動会が開かれる合図。いつもはグズグズしている朝の用意もその日ばかりはさっさと済ませた▼運動会の開催時期は学校や地域によって違うだろうが春と秋のどちらか。修学旅行や遠足などの予定と重ならないよう調整しているそう。熱中症や天候の安定も考えて梅雨入り前の時期を選択するところが多いという▼子どもたちも楽しみにしている運動会。昨年はコロナ禍の影響もあって開催を見送る学校が多かった。今年も新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言が発令されている地域などで見送りが検討されているようだ▼「直ちに中止するのではなく工夫してやる可能性を模索してほしい」。萩生田光一文部科学相は先週の閣議後会見で要請した。状況が厳しいとはいえ2年連続で運動会が見送られるのはあまりにもふびんといえよう▼開催を平日にずらす、時間を短縮する、保護者が密集するリスクを回避する--。策はいろいろあるだろうが、主役である子どもたちの目線をどうか忘れないでほしい。

【次世代の資質を伸ばすのが使命】旭日重光章を受章した建築家・伊東豊雄氏

 ◇「しなやかな建築」を追求◇

  地方を中心に数々の公共建築に携わってきた。2011年3月に発生した東日本大震災では被災地復興に尽力したのが高く評価されたと認識している。

 東京大学の建築学科に進学し、3年次にオープンデスク(実務体験)で菊竹清訓さん(1928~2011年)の事務所を訪れた。30代という若さで既に頭角を現していた菊竹さんは、生物が新陳代謝する様子を設計に落とし込んだ「メタボリズム理論」の第一人者。その人柄と建築に対する向き合い方に感銘を受けた。65年から約4年間事務所に身を置き、設計のイロハを学んだ。

 独立後は義兄や友人の住宅設計がライフワークだった。自邸「シルバーハット」(東京都中野区、1984年竣工)が日本建築学会賞に選ばれたのもこの時期だ。高い評価を得た「八代市立博物館 未来の森ミュージアム」(熊本県八代市、91年)をきっかけに公共の仕事にも携わるようになった。「せんだいメディアテーク」(仙台市青葉区、00年)は若い世代を中心に大変喜ばれた作品であり、社会に対して建築が与える影響の大きさを再認識するきっかけになった。

 未曽有の被害をもたらした東日本大震災から10年がたった。被災者が集える場を提供しようと「みんなの家」の建設プロジェクトをスタートさせた。ネックだったのは資金や材料の調達。そこで建築文化事業で知己を得た蒲島郁夫熊本県知事に相談したところ、支援をいただくことができた。

 国内の大規模な設計コンペは実績を重視する傾向が強く、狭き門となっている。若手が挑戦しやすい環境を求めていく。建築の在り方にも疑問が残る。経済を優先した結果、利用者が置き去りにされている近代の建築思想を見直す時期に来ている。自然にうまく溶け込み、フレキシブルと優雅さを備える「しなやかな建築」を実現したい。

 設計活動の傍ら「子ども建築塾」を開講している。素晴らしい資質を持った参加者もいる。幼少時の感受性を維持していくかが、新たな発想につながる。次を担う世代の資質を伸ばすのがわれわれの使命だ。

【TBMとNATMの両方に対応】鹿島、ハイブリッド型トンネル掘削機の掘進完了


 鹿島は25日、トンネルボーリングマシン(TBM)とNATMの両方に対応できるハイブリッド型トンネル掘削機による導水路トンネル工事の掘進が完了したと発表した。コマツとの共同開発。高速掘進が可能なTBMモードと不良地山に柔軟に対応できるNATMモードを選択できる。1機のトンネル掘削機で二つのモードを使用した施工事例は世界初という。

 トンネル掘削機「NATBM(ナトビーエム)」は、鹿島・佐藤工業JVが新潟県糸魚川市で施工中の「新姫川第六発電所新設工事のうち土木工事(II工区)」(発注・黒部川電力)に導入した。トンネルの全長は3・8キロ。工期は2017年7月~22年10月。

 蛇紋岩層の境までをTBMモードで掘削し、地質が複雑になった蛇紋岩混在区間はNATMモードに切り替えた。NATMモードでは、カッターヘッドから内蔵のバケット掘削機を出して掘削。ずりは開口部から取り入れて後方に搬出し、掘削後に先端を取り換えてコンクリート吹き付けやロックボルト削孔を行った。

 鹿島は今回の工事で導入効果を確認。今後さらなる施工合理化に取り組む。TBM工事への適用拡大も目指す。

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2021年5月24日月曜日

【回転窓】建築界の「先生」

  東京都世田谷区の京王線桜上水駅が最寄りの武蔵野の面影が残る住宅街に建築家・内田祥哉氏(東京大学名誉教授)の自邸がある。築50年を過ぎた木造平屋を取材で訪ねると、北側に位置する応接室に通される▼もともとは玄関で改築時に土間のように一段低く囲まれた応接室になった。北面の窓から優しい光が入る心地よい空間だ。内田氏は「深謀遠慮じゃなくて、行き当たりばったりが多い」と話していたが、建築家の造る自宅のすごさを肌で感じた▼内田氏が96歳で亡くなった。設計活動だけでなく戦後の住宅供給や建築生産のシステム化など多様な分野で活躍してきた。常に広範囲にわたる研究を続け、その知識の深さは建築家随一と言われた。教育者としても東大で教壇に立って、建築家やゼネコン経営者らを育てた▼東日本大震災から1年後。復興事業に建築界の存在が薄い中、建築の力が復興に必要かどうか尋ねると「土木や都市計画がまとめる復興の姿が完成した後、建築は一斉に爆発的に支援することができる」と▼造ったり考えたりを実践し続けた建築界の「先生」。建築の力を信じる大切さを教えてくれた。

【体育館で初、前川建築の木村産業研究所も】文化審、国立代々木競技場など7件の重文指定答申

  文化審議会(文化審、文部科学相の諮問機関、佐藤信会長)は、建築家の丹下健三氏(1913~2005年)が設計した「国立代々木競技場」(東京都渋谷区)、前川國男氏(1905~1986年)が手掛けた「木村産業研究所」(弘前市)など7件の建造物を重要文化財(重文)に指定するよう、萩生田光一文科相に答申した。

 代々木競技場(第1、第2体育館)は丹下氏の代表作。1964年の東京五輪に向け建設された。ケーブルで屋根と観客席を支える「つり構造」など前例のない構法を採用。空間のダイナミックな建築を実現したと評価した。答申通り告示されれば重文の中で最も新しい建造物になる。体育館の重文指定は初めて。第1体育館は今夏に予定する東京五輪・パラリンピックでハンドボールなどの競技会場になる。

 木村産業研究所(1932年)はル・コルビュジエ(1887~1965年)に学んだ前川氏が手掛けた初めての作品。白亜の外装、水平を強調した外観など当時のモダニズム建築の特徴を随所に残している。

【2025年2月までのオープン目指す】阪神タイガースら、2軍本拠地を兵庫県尼崎市に移転

 阪神急行電鉄とプロ野球阪神タイガースは21日、兵庫県尼崎市への2軍本拠地移転に向け、同市と基本協定を締結した。

 兵庫県西宮市の鳴尾浜球場から阪神本線大物駅近くの小田南公園(尼崎市)に移り、阪神タイガース専用の球場や練習場、選手寮などを整備する。2022年末にも着工し、球団創立90年となる25年2月までのオープンを目指す。

 市が13日、阪神タイガースのファーム施設を小田南公園に誘致することを申し入れ、3者連携による公園の整備・管理運営の実現に向け、「小田南公園整備事業」に関する基本協定を結んだ。

 基本協定では、阪神電鉄が公園北側の第1工区に阪神タイガースの野球場と練習場、公園の野球場と一般の園地を整備し、市に寄付。市は阪神電鉄に営業権を与える。球場には3000~4000席のスタンドも設ける。阪神なんば線を挟んだ公園南側の第2工区には室内練習場や選手寮、クラブハウス、駐車場などを整備し、阪神タイガースが使用する。既存の公園ゾーンは縮小するものの、芝生広場や園路、遊歩道を設ける予定だ。

 3者は今後、公園施設を活用して地域活性化のための連携イベントを実施するなど相互に協力する。供用日は25年2月1日までをめどに別途協議の上、決定する。

【凜】日本建設業連合会環境部長・天川紀子さん

 ◇迷ったら原点に返る◇

 4月から環境部の部長を務める。日本建設業連合会(日建連)で女性部長は経理部、総務部に続いて3人目。事業部門では初の女性部長誕生となる。「部長になっても仕事に対する気持ちは変わらない」が、部内の息の合ったコミュニケーションをこれまで以上に心掛ける。

 日建連では総務部を経験後、環境部に異動。「気が付いたら建設廃棄物のとりこになっていた」と振り返る。建設副産物対策や温室効果ガスの排出抑制など、向き合う課題は少なくない。関連する法規制も多岐にわたる。

 法律は社会情勢とともに改正され、何十回と会員企業のパブリックコメントの取りまとめを経験した。意見が一致しないことや厳しい内容を受け入れなければならないこともある。「どの意見が正しいか、望ましいのか迷ったら原点に返るようにしている」という。

 日建連は今月、本年度から5年間で取り組む「建設業の環境自主行動計画」の第7版を公表した。その中で2050年カーボンニュートラルへの姿勢を明確化した。「環境委員会にワーキンググループが設置される。とても注目されている。会議がスムーズに進行できるよう準備中」と忙しい日々を送る。

 座右の銘は「練習はうそをつかない」。7年前にマラソンを始めた。今ではウルトラマラソンも完走できるように。「仕事とマラソンは似ているかも」と話す。

 (あまかわ・のりこ)

【きみに期待】清水建設東京支店工事長・加藤博明さん

加藤さん㊨と高橋建設所長

 ◇背中を押せるリーダーに◇

  名古屋支店に13年間勤務し高層ビルから木造茶室まで、さまざまな建築工事を経験してきた。2018年に東京支店配属となり、現在は北品川5丁目計画建設所で高層ビル建設現場の現業長として工事に携わる。現場の工事全般の陣頭指揮を執り、工程通りに現場を進めるため各種工事の計画から実施までを管理している。

 現在の役職での抱負は「チームの力を最大限に引き出せる存在となること」。トップダウンで引率するのではなく、個々のメンバーが120%の力を発揮できるよう背中を押せるリーダー像が理想だ。コロナ禍や働き方改革で社会全体が大きく変化している。将来の建設業のあるべき姿を追求し続け、ICT(情報通信技術)の活用などに積極的に取り組みながら、ニューノーマルの時代に合わせた建設現場づくりに貢献する考えだ。

 上司の高橋剛建設所長は「非常に気さくな人柄で、社内外の関係者や上司にも部下にもバランス良く気配りができる」と加藤さんを評価。「リーダーとして現場全体の『意見の言える、聞ける』風通しの良い雰囲気づくりができている」と頼もしさも感じている。

【駆け出しのころ】若築建設代表取締役専務執行役員建設事業部門長・石井一己氏

  ◇気持ちの強さが不可欠◇

 実家が工務店を営んでいたこともあり、自然と建設関係に進もうと考えました。大学では土木を専攻し、研究室の教授に就職先を相談した際、若築建設の当時の土木部長を紹介されたのが縁となりました。

 最初の配属先は、秋田県能代市の石炭火力発電所関連の護岸工事。何もない浜辺から500~600メートル沖合に堤体を構築していく現場でした。海軍好きで有名な現場所長は新人教育に「海軍初級士官心得」を取り入れ、規律を重んじました。一番言われたのは「率先垂範の実を示せ」。最初の1週間は抜粋された心得を読み込んでいました。

 連絡・報告にはとても厳しく、現場では無線機を持たされました。刻々と状況が変化する海上作業ではずるずると時間をかけず、決めた通りにものごとを進めることが何より重要だと学びました。苦労も多かったですが、日本海側の現場で見る夕日はとてもきれいで1日の疲れが癒やされます。自然は時に猛威を振るいますが、自然を相手にする仕事の面白みも新人ながら感じました。

 自然の怖さは1年目から感じていましたが、翌年に日本海中部地震が発生し、現場には津波も来ました。当社担当工区は完成断面に近いところまで工事が進んでいたので大きな被害はなかったのですが、隣の工区は犠牲者も出ました。

 男鹿半島の付け根の船川港付近に整備される石油備蓄基地を守るため、2年目に担当した防波堤の建設工事は思い出深い現場の一つ。当社のフラッグシップのポンプ浚渫船「若築丸」とその船員の方々と一緒に仕事ができたのは誇らしかったです。若造だった私の意見はなかなか聞いてもらえませんでしたが、船長の考えより効率のいい作業計画を提案してから対応が変わったのを覚えています。

 秋田での勤務が7年目に入った時に新天地への異動を希望し、富山の新湊の現場に移りました。航路を拡幅・延長する工事。富山湾特有の「寄り周り波」による被害を恐れ、警報が出たら無理せず作業船を引き上げさせました。それほど海がしけず、空振りが続くと所長に叱られましたが、無理して船を傷めることを考えたら用心に越したことはないと意見を通しました。

 厳しい工程の中、衛星利用測位システム(GPS)などがない時代に計画通り、精度よく浚渫できたと自信がありました。完工後に発注者と海上保安庁が共同で実施した水路測量の際、海上保安庁の方に「プロの仕事ですね」と言われたのは本当にうれしかったです。

 何事にも一生懸命向かっていけば光が差します。自然が相手のものづくりでは、気持ちの強さが欠かせません。若い世代には熱い思いを持って、みんなと一緒に造り上げる喜びを大切にしてもらいたいです。

入社1年目、秋田県能代市の護岸工事の現場で
(前列中央が本人)

 (いしい・かずみ)1982年宮崎大学工学部土木学科卒、若築建設入社。名古屋支店長、東京支店長などを経て2021年4月から現職。新潟県出身、61歳

2021年5月21日金曜日

【開発や設計などで相互補完】川崎重工業と日立造船、10月にシールド機業の新会社設立

 川崎重工業と日立造船は20日、共同新設分割でシールドマシン事業の新会社を10月1日付で設立すると発表した。

 設立するのは「川重日立造船シールド準備」。大阪市内に本社を置き、社長には川崎重工業の平山真治氏(エネルギーソリューション&マリンカンパニープラントディビジョン産業機械総括部土木機械部部長)が就任する。資本金は4億80百万円。両社が保有するシールドマシン事業のリソースを持ち寄り、相互に補完・強化することで営業やエンジニアリング業務を展開。国内外で事業拡大につなげる。

 分割に当たっては普通株式1万9200株を発行する。分割対価として両社に9600株を割り当て交付する。新会社に分割するのは両社のシールド掘進機、トンネルボーリングマシンなどの機械・部品設計、開発、販売事業など。製造事業は含まない。両社の営業力、技術力、多様な製品ラインアップ、サプライチェーン(供給網)といった強みを生かすことで、新しい価値を創造し幅広い顧客のニーズに応えていく。

 2021年3月期の両社のシールド関連事業連結業績は川崎重工64億98百万円、日立造船70億1百万円。資産は川崎重工から4億90百万円、日立造船から4億87百万円を分割する。

 両社は今後の市場環境を見据え、1月からシールド関連事業の新会社設立を検討していた。

 川崎重工は超大口径や高水圧、岩盤や長距離掘削に適した機種に強みがある。日立造船は小口径から超大口径、異形、矩形まで豊富な機種に対応可能なノウハウを持つ。

【ローカル5G導入でワーケーション需要に対応】日本国土開発、仙台市にキャンプ場などレジャー施設開発

  日本国土開発は仙台市に保有する7・5ヘクタールの土地にワーケーション機能を備えたレジャー施設を整備する。キャンプ場や温浴施設などで構成。コテージにワーケーション機能を導入する。

 NTT東日本宮城事業部と連携してローカル5G(第5世代通信規格)も採用。コテージでのパソコンを使った仕事、迷子の探索やクマの検知などに活用する。21年秋のプレオープン、22年春のグランドオープンを予定している。

 建設地は泉区福岡岳山7。キャンプ場25区画、コテージ4棟、フリーサイト92カ所を整備する。最大収容は500人。電力供給に当たっては地元間伐材を使った木質バイオマス発電事業者との連携を検討。二酸化炭素(CO2)の排出削減に貢献する。災害時にはオフグリッド化することで地域の防災拠点としての機能を持たせる。

 同社は当初、通常のキャンプ場として整備を計画していた。コロナ禍でリモートワークやワーケーションなどが増加しているため、レジャー施設へのワーケーション機能追加を決めた。宮城県内だけでなく全国からの誘客を目指す。

【シールド断面、直径12mの円形に】JR東日本、羽田空港アクセス線の整備計画変更

シールド断面の形状を変更する(JR東日本提供)

 JR東日本は東京都内で整備を計画する「羽田空港アクセス線(仮称)」の事業計画を変更した。東京貨物ターミナル(品川区)~羽田空港(大田区)区間に当たる「アクセス新線」のシールドトンネルの断面形状を複円断面から単円断面に変更。東京貨物ターミナル内改良区間も高架橋構造を地平構造に変える。計画変更に伴い環境影響評価(環境アセス)の調査方法なども見直す。工期や事業費の大幅な変更はない見込み。

 羽田空港アクセス線は東京都心部と羽田空港を結ぶ新線。JR田町駅付近(港区)から東京貨物ターミナルまでの既存路線を改良区間とし、東京貨物ターミナルから羽田空港新駅(仮称)までを新線として整備する。延長は改良区間約7・4キロ、新線区間約5・0キロの計約12・4キロ。大汐線改修、開削・シールド工事などを行う。工期は約7年、車両を除く事業費は3000億円を予定している。

 変更する事業計画によると、新線区間のトンネル区間を約4・9キロから約4・8キロに変え、約0・1キロの地平区間を設ける。シールド断面の形状は直径約7メートルの円を二つつなげる複円断面から、直径約12メートルの単円断面に変更。トンネル下部に避難空間を設けることが可能になり、京浜島つばさ公園付近(大田区)に計画していた中間立坑の建設をやめる。

 東京貨物ターミナル内改良区間(約2・5キロ)は、地平、擁壁、高架橋の3区間で計画していたが、すべて地平区間に変更する。JR東日本は整備事業計画の変更届を東京都に提出した。

2021年5月20日木曜日

【回転窓】バーチャル観光のいま

  国内外で移動や行動が制限される中、デジタル技術などを活用しながら経済活動を継続しようとする動きが広がる。オンラインで旅行や観光を楽しむ「バーチャルツアー」もその一つ。観光名所などを巡る動画を見て実際に出掛けた気分を味わう▼ツアー企画の開発にも知恵を絞る。地元の観光地や名物を紹介するだけでなく、現地の料理を配達するサービスも。離れた場所に居ながら、より深く疑似体験ができるよう趣向を凝らす▼観光産業が大きく落ち込む中、バーチャル体験による潜在的需要の掘り起こしは、新たな観光モデルとして注目される。日中の観光担当相の会談がオンラインで今週行われ、インターネットを利用した「バーチャル観光体験」の配信などで協力すると確認した▼観光客の減少は、地域経済にも深刻な影響を及ぼす。世界旅行ツーリズム協議会の統計によると、パンデミック(世界的大流行)の影響を受け、6200万人近くの旅行・観光関連の雇用が失われたという▼バーチャル観光は、アフターコロナで観光客を呼び戻すつなぎの施策でもある。気兼ねなくリアルな観光を楽しめる日が待ち遠しい。

【1960年代の昭和をイメージ】西武園ゆうえんち(埼玉県所沢市)がリニューアルオープン

  埼玉県所沢市にある「西武園ゆうえんち」の大規模改修が完了し、19日にリニューアルオープンした。西武鉄道と西武園ゆうえんち(埼玉県所沢市、藤井拓巳社長)が約100億円を投資。1960年代の昭和の街並みを意識した店舗、ゴジラがテーマの新アトラクションなどをそろえた。改修工事の設計・施工は西武建設が担当した。

 リニューアルのコンセプトは「心あたたまる幸福感」。遊園地のエントランスに直結し、昭和をイメージした「夕日の丘商店街」を新たに整備した。商店街を北に進んだエリアには「レッツゴー!レオランド」を新設。漫画家・手塚治虫の作品「鉄腕アトム」「ジャングル大帝」に登場するキャラクターが来場者を迎える。

 園西側には「ゴジラ・ザ・ライド 大怪獣頂上決戦」が開業した。映画「ゴジラ」をテーマとした世界初のライドアトラクションとなる。映画監督の山崎貴氏が映像を手掛けた。

 西武園ゆうえんちの所在地は山口2964。西武鉄道山口線西武園ゆうえんち駅に隣接する。敷地面積は約20万平方メートル。リニューアル後のアトラクションは12施設、飲食施設は12店舗となった。オープニングセレモニーは、メインエントランスから商店街付近で行われ、カウントダウンによるゲートオープン、花火の打ち上げなどで再オープンを祝った。

【万博公園に大規模アリーナ】大阪府、施設の整備・運営事業者に三菱商事都市開発ら3者JV選定

施設の完成イメージ(大阪府提供)
 

 大阪府は「万博記念公園駅前周辺地区活性化事業者」の公募型プロポーザルで最優秀提案者を三菱商事都市開発と米アンシュッツ・エンターテインメント・グループ(AEG)、関電不動産開発でつくるJVに決めた。日本万国博覧会記念公園(吹田市)の最寄りの同駅周辺に西日本最大級のアリーナ(延べ床面積6万9550平方メートル)や商業・カジュアルホテル棟、ホテル棟、オフィス棟、共同住宅の整備を提案。2023年に着工し、アリーナなどの第1期事業を27年に開業、第2期以降の事業は32~37年に順次オープンする予定。

 同JVの提案によると、アリーナ棟は最大収容人数が1万8000人で、このうち固定観客席は1万3400席。年間イベント数は165回で、来館者数は約180万人を想定している。

 このアリーナが完成すると、世界フィギュアスケート選手権やプロテニスWTA(女子テニス協会)ツアー、NBA(北米プロバスケットボールリーグ)公式戦などの国際スポーツ大会の誘致が可能になる。

 同JV第1期事業でアリーナのほか商業・カジュアルホテル棟と共同住宅(267戸)、エネルギーセンターを整備。第2期事業ではオフィス棟とフルサービスホテル棟、第3期事業でオフィス棟と商業棟、共同住宅、第4期事業でオフィス棟と共同住宅を建設すると提案した。

 大阪モノレールの同駅南側の事業対象用地(千里万博公園23の17)の全体面積は約16・9ヘクタール。

2021年5月19日水曜日

【回転窓】5月の豪雨

  シロツメグサ。クローバーと言った方がおなじみかもしれない。子どもの頃、シロツメグサの花を摘むと雨が降ると言われたことがある▼大人になってその話を周囲にすると、そんな話は聞いたことがないと一蹴された。それ以降、すっかり忘れていたが、先日「雨降り花」と呼ばれる花があることを知った▼『日本植物方言集』(日本植物友の会著)によると、シロツメグサやイチリンソウ、コケリンドウ、ギボウシ、ヒルガオなどは花が咲いたり、花を摘んだりすると雨が降ると言われ、「雨降り花」あるいは「雨花」と呼ばれている▼5月は雨降り花の開花時期で言うと終盤に当たる。その雨はしとしとと大地を潤すイメージで、田植えを終えた新緑の苗をつややかにぬらし、その成長を優しく見守る。「青葉時雨」という言葉があるが、大きな葉に少しずつ雨が貯まり何かの拍子にザッと落ちるような優しい雨だ▼九州に続き、近畿や東海も梅雨入りしたそう。5月中旬というのに熊本では1時間に90ミリもの猛烈な雨が降った。とても優しい雨とは言えない。局地的な豪雨はいつどこを襲うか分からない。備えに万全を期したい。

【宿泊施設に球体テントなど用意】三菱地所ら、海の中道海浜公園(福岡市東区)に滞在型拠点

  福岡市東区の海の中道海浜公園で「パーク・ツーリズム」をテーマにした滞在型レクリエーション拠点が7月着工する。

 事業主体は、九州地方整備局が公募したPark-PFI(公募設置管理制度)で選ばれた三菱地所を代表企業とする4者グループ。球体テントなど複数タイプの宿泊施設や子供から大人まで楽しめるアスレチックタワーなどを新設し、来年3月に開業する。

 グループには、積水ハウス、公園財団(蓑茂壽太郎理事長)、オープン・エー(東京都中央区、馬場正尊代表取締役)が参加し、共同事業体を組織。更地返還まで20年間の事業を運営する。17日に整備局が事業計画を認定した。

 対象は博多湾に面した公園内のB地区が中心。整備局が設定した対象区域28・9ヘクタールのうち、収益施設に約2万5000平方メートル、公園施設に約7000平方メートルの計約3万2000平方メートルを充てる。宿泊施設は球体テント13棟、ヴィラ1棟(2室)、アウトドアリビング12棟、シーサイドキャビン3棟を整備。浴場、レストラン、屋外バーベキュースペース、休憩施設、屋内遊戯施設なども設ける。

 三菱地所が建築主体となる施設は、基本設計をオープン・エー、実施設計をシミズ・ビルライフケア(東京都中央区、富永秀行社長)が担当。積水ハウスなど複数社が施設内容に応じて施工を手掛ける。

【海外土木工事や災害応急復旧も視野】JAXAと鹿島、月面有人拠点建設見据え建機遠隔・自動施工実験

  宇宙航空研究開発機構(JAXA、山川宏理事長)と鹿島は18日、1000キロ以上離れた遠隔地からの建設機械操作と自動運転による施工実験に成功したと発表した。

 月面の有人拠点建設を見据えた共同研究の一環。月面施工時に生じる通信遅延を疑似的に発生させて、振動ローラー1台の遠隔操作と自動運転の実現可能性を確認した。今後は、複数台の重機への適用などを見据える。鹿島は、海外土木工事や災害応急復旧への導入を視野に入れる。

 3月に、相模原市中央区のJAXA相模原キャンパスと鹿児島県南種子町のJAXA種子島宇宙センターを結んで実験した。月面へ輸送した建設機械を施工箇所まで遠隔操作で走行させる状況を想定。公衆電話回線を用いて障害物をよけつつ施工箇所まで遠隔操縦し、自動運転に切り替えて転圧した。複数の汎用(はんよう)建機を自律自動運転で施工できる鹿島の次世代型建設生産システム「クワッドアクセル」を活用した。

 月面での作業時には地上から3~8秒程度遅延するため、通信遅延に対応した操作支援システムを導入。地形変化に対応した動作判断機能や建設機械の協調作業機能などを取り入れ、制約下でも安定した作業が実施できたという。

 JAXAらによると、衛星利用測位システム(GPS)が無い状況下での測位技術の確立や、月面のようなでこぼこがある場所での施工方法、地盤情報データの収集法法など実現には多くの課題があるという。JAXAは幅広い企業と連携しながら研究開発を進めるとしている。

 月面探査の具体的な実現時期は未定。JAXAは、今後の開発目標などを示す宇宙探査シナリオの見直し作業を進めている。月面の宇宙探査では水素ステーションの構築が最初の作業になるとみている。

【うんこ先生と楽しく学ぼう!】YKKAP、子ども向け窓とドアの教育ツール提供

 YKKAPは、子どもに人気のキャラクター「うんこ先生」を用いたドリルなどを手掛ける文響社(東京都港区、山本周嗣社長)と連携し、安全教育ツールの提供を始めた。『うんこ おうちの安全ドリル まどとドア編』として、冊子版とオンラインゲームを用意。窓やドアの安全な使い方を子どもに楽しく学んでもらう。

 子どもは体や手指が小さいため、大人では起こらないような事故が発生する懸念があるという。冊子版は主に小学生が対象。特に子どもで事故リスクが高い事例を2択問題で出題し、注意点をうんこ先生が解説する。YKKAPの国内製造拠点の近隣小学校への配布などを予定する。

 オンラインゲームは、主に小学校中高学年向けで、窓、ドアのほか、フェンスやシャッターなど15問を出題。うんこをモチーフにした問題やイラストを取り入れ、モチベーションを高めながら、確実な記憶の定着につなげる。詳細は特設サイトへ。

2021年5月18日火曜日

【回転窓】サイバー攻撃の恐怖

  米国で大規模石油パイプラインがサイバー攻撃を受け、操業停止に追い込まれた。運営会社は先週、システムが正常な運転に戻ったと発表し稼働を再開したが、ガソリンのパニック買いが起こるなど小さくない影響が出た▼重要インフラにサイバー攻撃を仕掛けたのはハッカー集団で、システムの修復と引き換えに金銭を要求する「ランサムウエア」攻撃を行ったという▼まるで映画のような出来事だが、米メディアによると同社は「ダークサイド」と名乗る集団に約500万ドル(約5億4700万円)を支払ったとの話も▼社会や経済を支えるインフラを人質にする行為は決して許されない。今回は米国の話だが、日本はどこまで防衛手段を講じているのか心配になった。サイバー攻撃に国境などあるはずもなく隙がある、あるいは隙を見つけ出して狙われる可能性は日本も十分ある。もし電力や通信、水道、交通などでシステムが人質に取られたら…。企業も決して油断はできない▼新聞製作もここ10年で様変わりした。原稿を手書きしFAXで送信していたのも今は昔。取材の相手やポイントもしっかり考えるべきだろう。

【施工は大成建設】としまえん跡地開発(東京都練馬区)、本体工事がスタート

新施設の完成イメージ(西武鉄道報道発表資料より)

  東京都練馬区にあった遊園地「としまえん」の跡地を開発する「スタジオツアー東京-メイキングオブハリーポッター」の本体工事がスタートした。▽ワーナーブラザースジャパン(施設運営者)▽西武鉄道(土地所有者)▽伊藤忠商事(施設建築者)▽芙蓉総合リース(施設所有予定者)-の4社が連携し、プロジェクトを推進する。施工は大成建設。2023年前半のオープンを目指す。

 昨年8月末に閉園したとしまえん(向山3の25の1)の跡地(敷地面積9万0544平方メートル)にS造2階建て延べ約3万平方メートル、高さ約15メートル規模の施設を整備。映画「ハリーポッター」シリーズなどの世界観を再現した体験型エンターテインメント施設となる。設計は久米設計。着工に先立ち、13日に起工式を開いていた。

 着工に当たり4社の幹部がコメントを発表した。米ワーナーブラザースのジェフ・ネイグラー氏(ワールドワイドスタジオオペレーションズプレジデント)は「23年オープニングに向け、大きな1歩を踏み出した。周辺環境に配慮して事業を進める」と表明。伊藤忠商事の吉田朋史副社長は「工事を安全かつ着実に進め、素晴らしい施設になるよう努める」と意欲を示した。

 西武鉄道の後藤高志会長は「多くの人々を元気にするアフターコロナの象徴的な場所になると確信している」と期待。芙蓉総合リースの辻田泰徳社長は「『地域社会の発展』と『住み続けられるまちづくり』の貢献を目指す」とした。

【収容1.5万人、J1スタジアム基準満たす】町田GIONスタジアム(東京都町田市)、バックスタンド増築完了

  東京都町田市が実施していた「町田GIONスタジアム」のバックスタンド増築工事が完了した。同スタジアムを本拠地にするサッカーJリーグ・FC町田ゼルビアが16日にホームゲームを開催。勝利で新スタジアムのこけら落としに花を添えた。

 増築後のバックスタンドはRC一部SRC造3階建て延べ1万0369m2の規模。7552席を設けた。家族用のブース席や車いすで利用できるカウンター席を設置するなどバリアフリーに配慮した。設計は梓設計。建築工事は西武建設、電気設備工事を栗原工業・協立電工JV、空気調和設備工事は渡辺工業所、給排水衛生設備工事を鶴川設備工業が施工した。

 所在地は野津田町2035。総席数は1万5489席となり、Jリーグが定めるJ1のスタジアム基準(入場可能人数1万5000人以上)を満たす。同日の落成式で町田市の石阪丈一市長は「市民とスポーツの喜びを分かち合えるスタジアムにしたい」と力を込めた。


2021年5月17日月曜日

【Bunkamuraも大規模改修】東急百貨店本店(東京都渋谷区)建替、2023年春以降に解体着手

 東急は、東京都渋谷区の「東急百貨店本店」を建て替える。2023年春以降に建物の解体工事に着手する。隣接する複合文化施設「Bunkamura」も大規模改修し、一体的に再開発する方針。解体施工者や新たな施設の規模、開業時期などは決まっていない。

 東急百貨店本店の所在地は道玄坂2の24の1。1967年に竣工した。建物はSRC造地下3階地上9階建て(屋上含む)。延べ床面積は公表していない。設計は東急不動産、施工は東急建設が担当した。

 建て替えは▽東急▽Lキャタルトンリアルエステート(LCRE)▽東急百貨店-の3社で進める。「『感動』『高揚』など真の豊かさを感じる、日本を代表するワールドクラスクオリティーの施設」を目指す。一体化するBunkamura(道玄坂2の24の1)は23年4月から休館する。

 東急の高橋和夫社長は「本計画が『エンタテイメントシティ SHIBUYA』の魅力を高め、次の100年を担うシンボルとなるよう、東急グループの総力を挙げて推進していく」とコメントした。

 東急は渋谷駅周辺で複数の開発を計画している。昨年は渋谷駅に直結する「東急百貨店東横店」を閉店し、解体工事に着手した。跡地にはJR東日本、東京メトロの2社と共同で大型複合施設「渋谷スクランブルスクエア」の第2期棟となる中央棟と西棟を建設する。

【凜】国土交通省官房広報課報道第三係長・佐藤七海さん

  ◇つなぐ思いを大切に◇

 高校2年生の時、修学旅行で新潟県へ出発する前日に中越地震が発生した。新幹線の脱線や土砂崩れなど災害の惨状にショックを受け、民泊体験をするはずだった家族を心配することしかできなかった。自助と公助で最も大きな力は公助と感じ防災を初めて意識。テックフォース(緊急災害対策派遣隊)活動やインフラの応急復旧などに携わる国土交通省に入った。

 3年目に配属された水管理・国土保全局防災課で災害査定など被災現場の復旧過程を目の当たりにし、災害対策基本法(災対法)改正など制度改善にも携わった。現場と制度設計の二つの点がつながり線になる得がたい経験だった。

 都市局などを経て2019年10月から現職に。大臣会見やプレスリリースづくりなどを通じて、国交省の最前線を知ることができる貴重なポジション。省内をつなぎ、メディアを介して国交省と社会をつなぐ、懸け橋の仕事にやりがいを感じている。これからもアンテナを高く張り、さまざまなことを吸収して蓄え「求められるところに適切につなげられる。そんな縁の下の力持ちのようなゼネラリストになりたい」。

 趣味の旅行は「城」と「ダム」がテーマ。現存天守閣の城が好き。ダムカード集めも旅の楽しみの一つ。モットーは高杉晋作の辞世の句「おもしろきこともなき世を面白く」。すべては心が決める、と新しいことに果敢に飛び込む。

 (さとう・ななみ)

【中堅世代】それぞれの建設業・287

マレーシアでの生活と仕事は驚きの連続だった

  ◇異国でもまれた経験が軸に◇

 自分の働き方の軸を固める--。仕事を続ける中でターニングポイントとなる出来事がある。東京都内のゼネコンに勤める山野秀明さん(仮名、45歳)の場合、ターニングポイントは30代の時に2度訪れた。1度目は1級建築士資格に合格した時で、2度目はマレーシアの建設現場に赴任した時。マレーシアの現場では人手不足と職人のスキル不足に悩まされたが、限られた資源の中でやりくりする力はそんな経験の中で磨かれたたまものだ。当時の経験は、後に山野さんが仕事をする上での軸となっている。

 「絵を描くことが好きだった」という山野さんは、図面を描く仕事として自動車業界と建設業界で迷い、建設業を選択。三重県の工業高校を卒業後、上京し現在の会社に建築系技術職として入社した。現場では施工管理の仕事を希望していた。

 マレーシアのプラント関連の建設現場に工事主任として赴任したのは35歳の時。公私ともに初めて訪れたマレーシアは、山野さんの目には印象的な国に映った。人種も、文化も、宗教もさまざまな多国籍国家。国民が当たり前のように複数の言語を話せることには強いカルチャーショックを受けたし、現場に従事する職人の休日が信仰する宗教によって異なることも驚きだった。

 ただ、現場を管理する立場としては驚いてばかりもいられなかった。人手を確保しようと協力会社に呼び掛けても、日本のように義理や人情では来てくれない。納得できないことがあるとさじを投げてしまう業者もいた。何より人手が全く足りていなかった。

 同国で職人が不足していることは事前に把握していた。当時の日本は建設業の人手不足が予想されるも、問題に直面する前の段階。図らずもマレーシアで10年早く壁に当たってしまった形だ。人手が足りないだけではなく、スキルが日本の職人の20%程度しか及ばないことも二重で山野さんを悩ませた。そんな環境でも、工事は遂行しなくてはならない。物事に優先順位を付け、順位の低いものは潔く切り捨てることにした。自然と、限りある資源の中で現場を回すすべを身に付けた。

 マレーシアでの工事を終え、帰国して次の大規模病院の建設現場で初めて所長を任されたのは38歳の時。入社当初からの到達目標としていた一つを果たせたことは、山野さんの中でも大きな区切りとなった。異国の地でもまれたことで度胸が付いたという自負もあり、初めての所長でも戸惑わずに現場を指揮できたと思っている。終わってみれば反省点もあるが、それは次の現場に生かすことができた。

 所長として2現場を手掛けた後、4年前に現場を離れ、本社で建築部門の人材育成に取り組んでいる。入社以来初めてとなる本社勤務だが、20年以上にわたる現場キャリアは、利益を生み出す現場の大切さを教えるいまの仕事に活かされていると感じている。

 現在の目標は若手社員のレベルを上げること。主任や所長となる人材が不足している。新型コロナウイルスの感染拡大で、集合教育が満足にできないことが悩みだ。感染を懸念する受講者の不安も伝わってくる。新しいフィールドでも、与えられた条件の中でどう仕事を進めるか、模索する日々だ。

【やっぱり!マイ・ユニホーム!!】大和ライフネクスト「女性が着たくなるデザインに」

 大和ハウス工業グループの大和ライフネクストは、女性社員の意見を生かした技術職向け新ユニホームを導入した。3月に着用を開始している。化粧が付着しないように襟の高さを調整したり、デザインをストレッチが利いた細身のシルエットに見直したりして、「女性が着用したくなる」デザインを目指した。

 同社では建築・設備の維持や修繕工事に携わる女性社員は在籍しているものの、従来の現場用作業服は男性の着用を想定してつくられており、女性が着用した場合の動きやすさ、シルエットなど細部の使用に課題があった。新ユニホームはトータルデザインをカジュアルになりすぎないよう調整。ジャケットを羽織ればビジネスシーンにも対応できるようにした。

 生地の色や素材は汚れや汗じみが目立たないよう配慮した。ポケットにはファスナーを付けることで作業中の筆記用具の落下を防止している。新ユニホームの導入に当たり、石崎順子社長は「マンション管理業界は幅広い人材が活躍できることが特徴の一つ。性別や年齢の制限にかかわらず、多様な人材が能力を生かせる魅力ある企業でありたい」とコメントしている。

【駆け出しのころ】不動テトラ執行役員地盤事業本部副本部長兼営業部長・根岸保明氏

  ◇逃げずに正面から一生懸命◇

 子供のころは舗装されていない道路が多く、近くに整備される高速道路の計画などを見聞きする中で土木に興味を抱くようになりました。就職に当たり、担当の先生からの勧めがあったほか、実家近くの先輩が不動建設(現不動テトラ)に入って海外で仕事をしていたことも志望動機の一つです。

 入社後、地盤改良の担当部門に配属され、最初の勤務地は宮城県気仙沼市の岸壁工事で海上地盤改良の現場。1カ月ほどの短い期間だったので、現場を見ながら施工管理という仕事がどういうものかを学びました。小さな船で測量した時は湾内とはいえかなり揺れ、船酔いがなかなか治まらず、先輩から「海上の仕事には向いていないな」と言われたのを覚えています。

 続いて福島県いわき市のニュータウンに整備する調整池の基礎工事の現場に移り、サンドコンパクションパイル工法による地盤改良に携わりました。機械の名称や仕組みなど、施工を円滑に進めるために必要なことを一から学びました。その年は雨が多く、工程も遅れがち。昼は泥にまみれて現場に立ち、夜は日中のデータ整理に追われ、休日出勤も多く、正直めげることもありました。

 大変な現場でしたが、当時の現場所長が非常に仕事熱心な方で、公私ともによく面倒を見てもらいました。「一生懸命やれ」「逃げるな」とハッパを掛けられ、頑張ることができました。

 入社から約3年間は東北6県と新潟を含めて十数カ所の地盤改良の現場を回りました。当時最先端のサンドコンパクションの機械を導入した新潟の火力発電所は思い出深い現場の一つ。機械や設計など、さまざまな分野の技術陣が現場に入り、3年目の若手ながら技術者として大変刺激を受けたのを覚えています。それまでは現場運営の中で仕事を覚えてきましたが、技術的なことをしっかり学ばなければ、この先やっていけないと実感させられました。

 入社4年目からは東京本店管轄の関東近辺の現場を担当。埼玉県内での大規模な調節池の整備事業では、約5年ほど複数の工区の仕事に携わりました。遮水壁のほか、構造物の整備や土工事、地元調整、関係者との打ち合わせなど、これまでと異なるさまざまな領域での仕事はいい刺激になりました。

 現場では思い通りにいかないことが多々あります。苦しくなれば逃げたくなり、消極的になることもありましたが、その時に逃げても後で大変になります。結局は、逃げずに正面から一生懸命やることが一番です。

 「終わらない現場はない」という先輩たちの言葉が心に残り、今の自分があります。何事にも興味を持ち、目標を持って取り組めば、同じ仕事でも見える景色が違ってきます。若い人たちにはものづくりへの思いを胸に秘め、より良い経験を重ねてほしいです。

入社11年目、調節池の遮水壁打設完了で会社関係者らと
(後列左から2人目が本人)

 (ねぎし・やすあき)1980年桐生工業高校土木科卒、不動建設(現不動テトラ)入社。東京本店北関東支店長、同副本店長を経て2020年4月から現職。群馬県出身、59歳。

2021年5月14日金曜日

【回転窓】京都の悩み

  京都市が空き家や別荘、セカンドハウスなどの住宅を対象に法定外税の導入を目指している。市が設置した有識者会議は先月、新税の創設を答申した▼日本有数の観光地である京都は、景観保全などを理由に建築物の高さ規制などがある。大規模開発が難しい中で不動産価格が上昇し、子育て層らが近郊に流出している。一方で、同市の空き家率は1割を超えている▼新税には、こうした眠っている不動産の有効活用を促す狙いがある。ただ、定住していない理由はさまざま。富裕層の別荘になっているケースもあれば、仕事や家庭の事情で一時的に離れざるを得ない人もいる。ひとくくりの課税への反発もある▼私有財産なので、どう使おうとも個人の自由。そうした考え方もあるだろうが、住まいとして快適に利用できるのはライフラインが整っているからであり、そこには公的負担が生じている▼2地域居住やリモートワークなど多様な住まい方・働き方が広がっている。そうした人の力も取り入れて都市を支える視点が不可欠。良い所取りではない公平で適正な負担の下で、持続可能性を高めていくことが必要なのだろう。

【三浦半島の滞在拠点再整備など加速】京急電鉄、油壺マリンパーク閉館で再開発検討

ふふ城ケ島の建設予定地

  京浜急行電鉄は、神奈川県の三浦半島で展開しているエリアマネジメントを加速する。老朽化した油壺マリンパーク(三浦市三崎町小網代1082)を9月末で閉館し、大手デベロッパーと共同で跡地を開発する。新たな施設は2025年度に開業する予定。20年5月に閉館した城ケ島京急ホテル(三浦市三崎町城ケ島693)はヒューリックと共同で、高級温泉旅館「ふふ城ケ島」(仮称)として24年度のリニューアルオープンを目指す。

 同社は21年度からスタートした中期経営計画で「都市近郊リゾートみうらの創生」を重点施策の一つに掲げ、三浦半島でのエリアマネジメント活動を強化する方針を明らかにした。

 京急油壺マリンパークは1968年、京急電鉄創立70周年の記念事業として開業した。開業当時、東洋一といわれた大回遊水槽など世界的規模の水族館として人気を集めた。施設の老朽化で維持管理が困難と判断し、9月30日に閉館することを決めた。水族館は閉館するが、隣接するホテル京急油壺観潮荘は営業を継続する。解体後の跡地は大手デベロッパーと共同で滞在拠点の一体的開発を検討する方針だ。デベロッパーは選定協議中。

 城ケ島京急ホテルは、ヒューリックと共同で高級温泉旅館「ふふ城ケ島」(仮称)として生まれ変わる。両社は12日、開業に向けた基本協定を締結した。開業は24年度を予定する。施設規模などは未定だが既存施設は解体する見通しだ。

 横須賀市の長井海の手公園ソレイユの丘(横須賀市長井4)では、公園を再整備し管理運営するエリアマネジメント横須賀共同事業体グループ(代表企業・日比谷花壇)に参画している。宿泊できるグランピング施設や大型アスレチック施設、飲食施設などを整備。23年4月のリニューアルオープンを目指す。

 三浦海岸エリアの京急沿線では、地域活性化に向けた多世代共生街づくりを検討している。今後は三浦海岸エリアを中心に分譲マンション、介護・医療と連携した高齢者向け住宅などの事業化を目指す。

2021年5月13日木曜日

【回転窓】気象予報士の責務

 沖縄・奄美地方に続き、九州南部が梅雨入りしたようだと、気象庁が発表した。昨年よりも19日早いそう。例年なら5月下旬から6月上旬にかけて梅雨前線が徐々に北上していくところだが、今年は前倒しの気配が漂う▼曇りや雨の日が多くなる梅雨期は、日々の天気予報のチェックが欠かせない。大雨による災害が発生しやすい時期でもあり、気象情報には細心の注意を払う必要がある▼気象庁が提供する数値予報資料など高度な予測データを、適切に利用できる気象予報士。防災情報と密接な関係を持つ気象情報を、不適切に流して混乱を引き起こさないよう、予報士に課される社会的責務は小さくない▼気象だけでなく、高速道路の渋滞予報も人々の暮らしや経済活動に欠かせない。渋滞による時間的損失を回避し、より効率よく目的地に着くためのルート選定に役立つ渋滞予報は、ビッグデータや人工知能(AI)分析などで高度化が進む▼昨今のコロナ下では天気や渋滞よりも、感染者数の増減予測が気になるところ。感染拡大を抑え込み社会的混乱を早く収束させるためにも、確かな情報に基づいた行動を心掛けたい。

【若手の発案、国交大臣賞に】茨城県守谷市、壁面緑化でホップ栽培、地ビールを醸造・販売

  茨城県守谷市がグリーンインフラの取り組みに力を入れている。壁面緑化で育てたホップを原料に地ビールを醸造。市内の酒店などで販売して売り上げの一部を寄付してもらう。この手法が高く評価され、国土交通省の第1回グリーンインフラ大賞で「国交大臣賞」を受賞した。市は遊水地の活用など第2弾も検討している。

 壁面緑化に使っているホップはアサ科のつる性多年草。雌しべに含まれるルプリンはビールの苦みや香りに欠かせない。ホップで壁面を緑化するというアイデアは、2018年に始まった若手職員によるグリーンインフラの検討会で生まれた。市内には大手ビール会社の工場がある。海外の姉妹都市にもビールの名産地があることで、ホップの採用という案が挙がった。はじめは単なる壁面緑化だけを考えていた。だが「せっかく育てるなら」と、ビール造りにもチャレンジすることにした。醸造やホップ以外の原料調達は、市と包括連携協定を結ぶ企業に依頼した。

 プランターを使って市役所南側のガラス壁面で30株程度から育て始めた。株分けにより今では百数十株に増え、市内の中学校や子育て支援センター、商業施設などでも育てている。昨年は330ミリリットル缶で約2万本分に相当する4~5キロが収穫できた。販売範囲を市内だけでなく周辺自治体のスーパーなどにも拡大。売り上げも好調で昨年の製造分は既にほぼ完売状態という。

 地ビールづくりの取り組みは市の予算をほとんど使っていない。ビール缶1本につき40円を市に寄付してもらい、次年の肥料代や消耗品代に充てている。

 市はほかにも、グリーンインフラの一環として、スマートフォン向けアプリを使った「生き物調査隊」や市内のNPOと連携した「野鳥の道」などを実施。親子連れや自然愛好家に喜ばれている。取り組みが軌道に乗ってきたことで市は次の手を検討し始めた。

 その一つが利根川遊水地の有効活用だ。遊水地を管理する関東地方整備局から約15ヘクタールの遊休地を借り受け、グランピングやバーベキューも楽しめるスポーツ広場の整備を計画している。周辺では常磐自動車道のスマートIC整備が計画されており、市内外から集客が見込める。市の担当者は「常磐道から見え市の玄関口となる場所。通った人が立ち寄ってみたいと思えるような仕掛けを考えたい」と話す。

 市の特徴は「つくばエクスプレス(TX)」で都心に直結アクセスできる利便性の良さと緑豊かな自然。働く世代にとって住み良い環境をアピールし定住人口を増やすため、これからもグリーンインフラの取り組みに力を注ぐ。

【110億円投資、登録文化財「弥栄会館」の一部を活用】帝国ホテルら、京都市東山区に2026年ホテル開業

本棟外観(帝国ホテル報道発表資料より)
  帝国ホテルと八坂女紅場学園(京都市東山区、太田紀美理事長)は12日、新しいホテル計画の概要を明らかにした。京都市東山区にある同学園の土地にホテルを建設し運営する。

 新ホテルはSRC・RC・S造地下2階地上7階建て延べ1万0804平方メートルの規模。高さ約32メートル、約60室の客室やレストラン、ウエルネス施設などで構成する。2022年4月の着工、25年10月の竣工を予定している。総事業費は約110億円を見込む。

 計画地は東山区四条通大和大路東入祇園町南側570の2。帝国ホテルと同学園は、19年10月に基本合意書を交わし、東山区の祇園甲部歌舞練場敷地内にあり、国の登録有形文化財の「弥栄会館」(SRC造地下1階地上5階建て)の一部を活用したホテル開発を検討していた。

 京都市の都市計画の景観地区や高度地区を巡る公開審議や景観配慮などに関する手続きが完了し、建設計画を進めることにした。

【無人化施工に対応、実証実験で技術検証】日立建機、運転席無しの未来型振動ローラー開発へ

  日立建機は自動操縦を前提とした振動ローラーを開発する。振動ローラー自律転圧システムと転圧管理システムを組み合わせた無人化施工を目指している。自社サイトで実証実験に入っている。年度内に顧客のサイトを利用した実証実験を始め製品化につなげる。

 開発中の「キャブレス自動化試験機」を千葉市美浜区の幕張メッセで開催中の第3回「建設・測量生産性向上展(CSPI-EXPO)」で初公開した。運転席は無い。転圧管理システムを搭載し作業状況をモニターで管理しながら無人化施工するイメージだ。道路施工用の振動ローラーは限られた範囲内で稼働するため油圧ショベルより自動化しやすいと見ている。

 福本英士執行役常務兼最高技術責任者(CTO)は「思い切ってトライした。未来を感じてほしい」と話している。

2021年5月12日水曜日

【回転窓】鷹渡りと鷹柱

 名古屋に勤務していた3年前のこと。ある道路会社の新支店長に就任の取材にいくと、「鷹(タカ)渡り」を早く見たいと言っていた▼その支店長はバードウオッチングが趣味で、週末になると双眼鏡を抱え観測スポットに出掛けるという。名古屋勤務は初めてで、地元でしか見られない野鳥の観測が今から楽しみだとも▼タカは寒い冬に備え、秋(10~11月)に東南アジアへ移動し、春(3~5月)に本州の里山に戻る。愛知県の渥美半島はその鷹渡りのルートの一つで、タカの群れが上昇気流に乗って上空へと昇る「鷹柱」も見ることができる。バードウオッチャーとしては見逃せない場所に違いない▼渥美半島から直線で結んだ徳島の鳴門海峡周辺もルートに当たる。日本野鳥の会徳島県支部によると、今春越冬を終えて戻ってきたタカの数は約3000羽。ここ数年、数は安定しているという(徳島新聞5月10日付)▼タカやワシなどの猛きん類は生態系の上位に位置し自然の豊かさを象徴する生き物とされる。16日まで「愛鳥週間」。この機会に近所の野鳥スポットに出掛け、にわかウオッチャーになってみてはどうか。

【総延べ14.5万㎡、2022年秋開業へ】三井不、ららぽーと堺(堺市美原区)の建設に着手

  三井不動産は、大阪府堺市美原区に計画している商業施設「(仮称)三井ショッピングパーク ららぽーと堺」の建築工事に着手したと11日に発表した。

 2022年秋の開業を目指す。総延べ約14・5万平方メートルの施設群を整備する。基本設計は石本建築事務所、実施設計・監理は大成建設が担当。店舗棟・外構工事を大成建設、基盤整備工事は竹中土木、立体駐車場棟工事をIHI運搬機械が施工する。環境デザインは大成建設と丹青社が手掛ける。

 計画地は黒山22の1ほか(敷地面積約7万4300平方メートル)。美原区役所(黒山167の1)に近接する。阪和自動車道美原南ICから約1キロ、美原北ICから約2・5キロに位置し、広域からのアクセスに優れた立地となっている。

 施設は店舗棟と立体駐車場棟で構成。店舗棟はS造3階建て延べ約9・2万平方メートルの規模となる。店舗面積は約5万6200平方メートルで、約220店舗が入居する。立体駐車場棟はS造3階建て1棟と、S造6階建て2棟の計3棟を建設する。総延べ床面積は約5・3万平方メートル。約3050台を収容する。敷地内には約2400平方メートルの広場も併設し、地域のにぎわいの場を創出する。

【契約金額は233.6億円】広島市、サッカースタジアム整備で大成建設JVと契約

 広島市は設計・施工一括(DB)方式で行う「サッカースタジアム等整備事業」で優先交渉権者に選定していた大成建設・フジタ・広成建設・東畑建築事務所・環境デザイン・復建調査設計・あい設計・シーケィ・テックJVと契約した。

 契約額は233億6000万円(税抜き)。2023年12月末のスタジアム本体完成、24年1月末のペデストリアンデッキ完成、同7月31日の事業完了を目指す。

 市は、中区にある中央公園広場にサッカースタジアムを建設するとともに、効果的なにぎわい機能の導入などで中央公園広場全体が一体的に機能するよう広場エリアを再整備する。「世界に誇れるサッカースタジアム機能を核とし、多目的かつ多機能化した都心交流型スタジアム」として県内外から広く集客し、効果が県内各地に波及することを目指す。

 事業範囲はサッカースタジアム新築、広場エリアの整備、ペデストリアンデッキ新設に伴う設計業務、工事および工事監理業務。計画地は基町15の中央公園広場約8万5600平方メートル(公園全体約42万7600平方メートル)。大成建設JVは「『希望の翼』と『交歓の環』~平和都市にふさわしいみんながつながるスタジアムパーク~」をコンセプトに提案。「街なかスタジアム」と「みんなでつくるサッカースタジアム」の実現を目指すと同時に、「広島らしさ」も発信していく。

 スタンドは6階建て。座席配置は西メインスタンド(わがまちスタンド)8407席、東バックスタンド(もとまちスタンド)1万0203席、南サイドスタンド(しまなみスタンド・ホームサイド)7346席、北サイドスタンド(やまなみスタンド・ビジターサイド)3186席を計画する。

2021年5月11日火曜日

【回転窓】3年生に心からのエールを

 春の大型連休が終わり中学校や高校の運動部は大会シーズンに入る。3年生の多くは大会後に引退し受験モードに切り替わる▼緊急事態宣言が月末まで延長され、警戒を強めながら大会を開く場合も多いと聞く。開催を見送るケースもあった昨年に続き、部活に打ち込んできた選手、子どもの活躍をじかに応援できない親にはつらい状況であろう▼スポーツに打ち込む若い世代にとって、進学や就職はプレーを続けるかどうか判断を迫られる岐路になることが多い。受験勉強や就職活動でトレーニングや試合に空白期間が生まれ、距離を置くことで注いできた情熱が冷めてしまうケースもある▼仕事とスポーツの両立を目指す学生を積極的に採用している建設会社が兵庫県にある。吉田組(姫路市広畑区、壺阪博昭社長)は社会人野球のチームでプレーしながら、土木や建築の知識が習得できる環境を整えた。ユニークな採用活動が評判になり、2020年春採用で5人だった新入社員は今春、甲子園に出場経験のある選手を含め32人に増えたそうだ▼苦難を乗り越え精いっぱい頑張れ。これから大会に挑む選手に心からエールを。

【ご冥福をお祈りします】建築家・内田祥哉氏が死去、建築構法・生産システム確立に功績

  戦後日本の建築界をけん引してきた建築家の内田祥哉(うちだ・よしちか)氏(東京大学名誉教授)が3日に死去した。96歳だった。葬儀は近親者で済ませた。

 東大教授として建築構法や建築生産システムの在り方を社会に提示。後進の育成にも力を注いだ。建築家やゼネコンの経営者ら、後に業界で活躍する学生が内田研究室で建築を学んだ。

 建築学者で東京帝国大学(現東大)総長を務めた内田祥三(1885~1972年)の次男として1925年に東京で生まれた。

 東大で建築を学び、卒業後は逓信省や日本電信電話公社建築部(現NTTファシリティーズ)に勤務。数々の設計作品を世に送り出したした。

 70年から東大教授に就任。建築構法計画学の確立と普及、建築生産のオープンシステムに関する研究に取り組み、学問として建築生産と建築学に道筋を付けた。

 建物使用者や発注者の要求を満たす設計の解を工学的に導いた。木造建築の再評価にも尽力し、既存の生産組織や伝統技術と現代技術が共存した建築生産システムの在り方を提示。日本建築学会賞大賞などを受賞した。


 学術振興にも尽力した。第43代建築学会長(1993、94年)に就任。就任あいさつで内田氏は「建築は学術と技術、芸術の三つの分野の力を借りて空間を総合的に組み立てるものだ。その進歩発達を図るのが学会の目的」と指摘。3万人を超える当時の会員に向け「余裕ある運営組織を目指す」と抱負を語った。

 内田氏の訃報を受け、建築関係者が哀悼の意を示した。竹脇出建築学会長は「就任早々、本会の組織・機構を根本から見直す『組織・機構検討委員会答申書-日本建築学会・波濤(はとう)を越えて』をまとめられた。技術報告集や作品選奨の創設、諸外国との協力協定など学会活動の幅を大きく広げられた」と別れを惜しんだ。

 内田研究室で薫陶を受けた清水建設代表取締役会長で日本建設業連合会(日建連)会長も務める宮本洋一氏は「内田祥哉先生の突然の訃報に接し、惜別の念を禁じ得ない。内田先生は、建築構法と建築生産の研究を中心に戦後の日本の建築界に多大な貢献をされた。多くの後進を育てられ、内田研究室からは学術界のみならず、実業界にも多数の人材が輩出された。先生の人柄を慕う人も多く、在りし日の元気なお姿がしのばれる。ここに謹んで哀悼の意を表し、心からご冥福をお祈りする」と恩師をしのんだ。

 同じく内田研究室で学んだ建築家の隈研吾氏は「内田先生は戦後日本の建築の工業化、近代化のリーダーであるが最大の批判者でもあった。建築の規格化、プレハブ化でも世界のトップを走ることができたのは内田先生の力があったから。非人間的な都市をつくることの危険に対しても警鐘を鳴らし続けた」と功績をたたえた。

【長野県軽井沢町に農場用地確保】奥村組ら、いちごの栽培・販売事業に参入

  奥村組は新規事業開拓の一環として、夏秋いちごの栽培・出荷・販売事業に参入する。小諸倉庫(長野県小諸市、篠崎友宏社長)と共同出資会社「軽井沢いちご工房」を設立。栽培に適した冷涼な長野県軽井沢町に農場用地を確保し、7月上旬に出荷を始める。

 事業会社の出資比率は奥村組51%、小諸倉庫49%。農場所在地は軽井沢町発地前田618。長野県から耕作放棄地約1.2haを賃借し、農業用ビニールハウス(7.2m×46m)4棟、高設ベンチ(1棟当たり6列)、かん水系統2系統を整備した。

 栽培は農業・食品産業技術総合研究機構東北農業研究センターが開発した「なつあかり」と、信州大学農学部が開発した「信大BS8-9」の2品種。冬春いちごに劣らない香りや甘みが特徴で年間収穫量は3.5tを見込む。まずは安定栽培のノウハウを習得し、将来的に事業規模の拡大を目指す。施設を段階的に拡張し28棟まで増やす計画だ。

【日本橋区間地下化工事の治水影響回避】首都高速会社、都心環状線呉服橋・江戸橋出入口を廃止

廃止した首都高都心環状線の呉服橋入口(東京都中央区、10日撮影)

  首都高速道路会社は、都心環状線の呉服橋・江戸橋の両出入り口を10日午前0時に廃止した。日本橋区間地下化事業(神田橋JCT~江戸橋JCT間、約1・8キロ)の一環。日本橋川で工事を進めるため、橋脚などを撤去し水位を下げる。「(改)都心環状線(日本橋区間)呉服橋・江戸橋出入口撤去工事」として、清水建設・JFEエンジニアリングJVが作業を担当する。

 日本橋区間を含む都心環状線は1964年の東京五輪前年に開通した。1日約10万台が走行し、鋼桁や支承、コンクリート床版の損傷が激しい。五街道の起点・日本橋などの上空に橋桁が架かる。周辺は大型の再開発プロジェクトが進行中で、景観や環境の改善と構造物の抜本的な更新を目的に、日本橋や一石橋など約1・8キロ区間の一部を地下ルートに変更。現計画では2035年までに新ルートを整備し、40年までに高架橋を撤去する。本体工事に向け施工方法の検討や設計が進む。

 河川内の工事が多く、先行して既存橋脚の本数を減らすことで水位を下げ、治水への工事の影響を少なくする。呉服橋と江戸橋の両出入り口は1963年12月21日に供用を開始した。清水建設JVの工事場所は東京都中央区八重洲1丁目ほか。両出入り口の床版と高欄、鋼桁を撤去。壁高欄を設置するとともに鋼上部工補強の実施設計、部材製作、施工を担う。首都高速会社は両出入り口の廃止に伴う代替路をホームページで紹介している。

2021年5月10日月曜日

【回転窓】猫目線の東京計画

  ペットは大切な家族と溺愛する方は多い。中でもネコは特有の生態や習慣から、思いがけない行動や反応につい目を細めてしまう▼都市の未来はネコに学べと、建築家の隈研吾氏が提唱している。1カ所に定まらず「テンテン」と暮らし、「スキマ」に入り込んで自ら「ノラミチ」を作っていく。ネコの生態にコロナ禍以降の人々は学ぶべきだと問い掛ける▼かつて建築家の丹下健三氏(1913~2005年)は都市計画「東京計画1960」で、海上の人工都市を俯瞰(ふかん)する視点から東京の都市構造の改革を提案した。これに対し隈氏は地面に近いネコの視点から都市での生活を見直すリサーチプロジェクト「東京計画2020ネコちゃん建築の5656原則」を提案する▼対照的なのは都市へと向かう視点だ。今の時代、都市について何かを提案するとしたら、高度成長期のように都市を上から見るのではなくて下から見る。公共空間と私的空間を自由に乗り越えるネコから、未来の都市をどう考えるか▼6月に都内で開催される隈研吾展で猫目線の東京計画を発表する。ほっこりとしつつも、大胆な提案を楽しみに待ちたい。

【超大型陸上風力に照準】清水建設ら、移動式大型タワークレーンの製作着手

  清水建設は、全額出資子会社のエスシー・マシーナリ(横浜市瀬谷区、杉原克郎社長)、IHI運搬機械と共同で、陸上風力発電施設の建設プロジェクトに使用する移動型タワークレーンの設計・製作に着手したと7日に発表した。高さ150メートル、5メガワット級の超大型施設に対応できる。国内最大・最高性能のタワークレーンとして製作に約11億円を投資する。2023年6月の完成を予定している。

 同社の予測によると、陸上風力発電施設の建設市場は5兆円規模が期待できるという。市場の成長を見込み、大型施設の建設に対応したクレーンで受注競争力を強化する。

 製作するタワークレーン「S・Movable・Towercrane(エス・ムーバブル・タワークレーン)」の最大作業高さは152メートル。最大揚重能力は145トンに達する。移動型のため陸上風力発電施設の施工で不可欠なクレーンの移設に柔軟に対応できる。マストの一部と基礎部を解体するだけで、タイヤ式の自走式搬送車両(ドーリー)で次の建設ヤードに移動可能。工期短縮に効果を発揮する。発電事業者にとって工期と費用の両面でメリットになる。

 政府が目指す2050年までのカーボンゼロを受け、風力発電を中心とする再生可能エネルギーへの期待が高まっている。

 建設時に移動式クレーンを使う陸上風力発電は旺盛な新設需要がある。老朽化した施設の更新需要も期待できる。

 従来の移動式クレーンは高さ100メートル、4メガワット程度の中型施設の建設が限界だった。より大規模な施設を建設するには特殊な大型クレーンが必要になるものの、プロジェクト単位で用意するのは効率が悪く、実用的でなかった。

【運動場や図書館を一般開放】MUFGら、西東京市の保養施設を再整備

 三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)と三菱UFJ銀行は、東京都西東京市に保有する社員向け保養施設「武蔵野運動場」を再整備する。

 運動場や図書施設を備えた「MUFGパーク(仮称)」として一般開放。スポーツや文化活動を通じ地域の憩いの場として利用できるようにする。2023年6月のオープンを目指す。設計・施工者は未定。詳細な整備スケジュールは今後決める。

 所在地は柳沢4の4ほか。約6ヘクタールの敷地を▽ネーチャー▽スポーツ▽コミュニケーション-の3エリアに分ける。ネーチャーエリアは植樹や芝生の養生で緑に直接触れながら遊べる広場にする。

 スポーツエリアはテニスコート(11面)を配置。サッカーやラグビーに利用できるグラウンドも設ける。コミュニケーションエリアは図書施設を整備し、住民らの交流にも利用できるようにする。