2024年4月26日金曜日

回転窓/旅と学び

 新型コロウイルスの5類移行後初となるゴールデンウイーク(GW)が、明日から始まる。心待ちにしている人も多かろう▼個人旅行を手掛ける近畿日本ツーリストブループラネットでは、GWの旅行販売高が前年比11%増と伸びている。伸び率を見ると、福井県が前年比3倍超となって全国1位に。北陸新幹線の延伸効果もあり多くの人でにぎわいそうだ▼観光やリラックスなど旅の目的はさまざま。文化人類学者の松村圭一郎岡山大学大学院准教授は「旅する大学」という試みを展開中だ。学びを求める地域から要望を受けて、講師と共に旅に出る▼ウェブメディア「note」での連載によれば、学びを旅行の中心に置いた新しい旅のスタイルとして考えている。地域の人に教わる場面も設けており、新しい学びの場ができれば、何度も行きたくなるはずだと▼手段としての学びばかりが重視される傾向への危機感もあるという。学ぶこと自体の喜びを見つめ直す建設的な提案と連載には記している。鳥取県智頭町で実施する次回企画は予約でいっぱいになったそう。せっかくの連休。自分なりの旅を探しに行くのも悪くない。

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2024年4月24日水曜日

回転窓/スポーツ×まちづくりの可能性

 プロ野球・北海道日本ハムファイターズの新球場「エスコンフィールド北海道」が3月末で開業1年を迎えた。運営会社によると1年目の売上高は251億円となり、札幌ドームを本拠地にしていたコロナ禍前の19年に比べ93億円増収した▼「毎日オープンしているボールパーク」として試合のない日も営業する。ホテルやサウナ、レストランだけでなく、球場ツアーやサマーキャンプ、冬の雪上体験など多種多様なイベントも楽しみに来場する人は多い▼新球場周辺には広大な開発用地も残り、当面は大学や病院などの建設が予定される。札幌や新千歳空港とアクセスする鉄道の最寄り駅が開業する28年には、来場者数で23年(346・4万人)の2倍となる700万人を目指す。今後も運営会社の挑戦から目を離せない▼東京都が19日、築地中央卸売市場跡地の再開発事業者に11者で組成する企業グループを選定した。提案では約5万人収容の全天候・超多機能型スタジアムやMICE施設などを建設する▼エスコンフィールドと共通するのはスタジアムを核としたまちづくり。食のまちがどう進化するのか楽しみが尽きない。

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2024年4月23日火曜日

回転窓/春の月見のお供に

 昔から丸い形は縁起が良いとされている。贈答品やお土産などの菓子類にも丸い商品は数多い。その形から名が付けられ、「月」の文字を含んだものが目立つ▼思い付くままに挙げると、宮城県を代表する銘菓「萩の月」。名の由来は、満月を連想させる見た目と県花の「ミヤギノハギ」から来ているようだ。製造・販売元の菓匠三全(仙台市)のサイトでは、「萩の咲き乱れる宮城野の空にぽっかり浮かぶ名月」をかたどったと紹介している▼まろやかでやさしい風味のカスタードクリーム、ふんわりとした丸いカステラ生地。老若男女に広く好まれる組み合わせは、全国各地で類似品も少なくない▼栃木・那須塩原の出張帰りに先日購入した「御用邸の月」もその一つ。見た目や名前が似ていても味わいや食感などはそれぞれ異なり、旅先で食べ比べてみるのも面白そう▼周期的に満ち欠けする月は古来、不思議な力を持つとされて信仰の対象となり、日本の文化や美意識にも深く関わってきた。あす24日の満月は「ピンクムーン」と呼ばれ、恋愛運をもたらすとも。お気に入りの丸いお菓子をお供に、春の月見を楽しんでみては。

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2024年4月22日月曜日

回転窓/地球環境時代の早生桐

 もうすぐ桐の木が淡い紫色の花を咲かせる時季である。桐は昔から縁起がよく幸福をもたらす花木とされ、身近なもので500円硬貨の表にも描かれている▼桐の材質は軽くてやわらかいが丈夫で、調湿性や耐火性に優れる。日本の気候風土に合い、家屋の内装や家具、下駄、箱などの材料に広く使われてきた▼ここ数年来、地球環境保全の観点から大きく注目されている桐がある。「早生桐」と呼ばれる早生樹の一種で、一般的な桐と比べても成長が早く、わずか5、6年で成木になるという▼特徴は成長の早さだけでない。スギやヒノキと比べて1年間の二酸化炭素(CO2)吸収量は数倍とも言われる。空港会社や電力会社、建設関連会社などがその特性に着目し、各地で実証事業や試験栽培も含めた植栽が行われている。自治体の関心も高く、群馬県安中市は昨年度から植栽に対する補助事業をスタートさせた▼政府が掲げる2050年カーボンニュートラル実現に寄与し、一方で植樹から伐採、供給までのサイクルが短く持続的な林業経営にもつながる。地球環境時代に幸福をもたらす木として早生桐への期待は膨らむ。

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2024年4月19日金曜日

回転窓/災害への備えを

 17日深夜に豊後水道を震源とするマグニチュード6・6の地震が発生した。津波は発生しなかったものの、愛媛県愛南町と高知県宿毛市で震度6弱の揺れを観測。両県で震度6弱以上の地震は初めてで、不安な夜を過ごされた方が多かろう▼政府や地方自治体らは発災直後から対応に追われた。岸田文雄首相は、政府一体となって災害応急対策に全力で取り組むよう指示した▼18日午前時点では、土砂崩れや落石、倒木により一部道路が通行止めとなっている。宿毛市内では水道管が破損して漏水も発生。応急復旧作業が進められている▼今回の地震は南海トラフ巨大地震の想定震源域内だった。不安がよぎるが、気象庁は17日未明の会見で、巨大地震の可能性が急激に高まっている状況にはないとの見解を説明。地震の規模が基準を下回っていることや、地震の発生メカニズムが違うことを理由に挙げた▼どちらにせよ、備えが大事であることに変わりはない。これから梅雨の時期が近づいてくる。自然災害の予測は難しいが、被害を軽減する技術は整ってきている。国土強靱化に向けて事前防災対策をしっかりと推し進めたい。

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2024年4月18日木曜日

回転窓/エアコンも体も夏の備えを

 今週初めはたっぷりの日差しと季節先取りの暖気の影響で気温が上がり、各地で最高気温25度以上の夏日を観測した。慌てて夏服を引っ張り出した方も多かったのではないだろうか▼1週間前の4月10日は、「4運10(しうんてん)」の語呂合わせから「エアコン試運転の日」。日本冷凍空調工業会が制定し、経済産業省や関係団体と共に、エアコンの不具合の有無を早めに点検するよう呼び掛けている▼ダイキン工業によると、まずは冷房の設定温度を最低(16~18度)にして10分ほど運転し、異常を示すランプが点滅していないか確認。さらに約30分運転し、室内機からの水漏れや異音、異臭がないかを調べる。そして異常があれば店舗やメーカーに問い合わせるという試運転の流れを紹介している▼夏場にもし故障が見つかった場合、工事が遅れて冷房を使えない期間が長引く恐れもある。今やエアコンは熱中症予防に欠かせない家電の一つ。試運転は実施率が2~3割にとどまるそうだが、今後重要な夏の備えとなろう▼暑さに慣れていないのはエアコンだけではない。猛暑の夏に耐えられる健康な体づくりも急ぎたい。

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2024年4月17日水曜日

回転窓/幸せと戦争の追憶

 夏のような汗ばむ陽気となった14日の日曜日。この春に入学した近所の中学生らが所属するサッカーチームの試合を観戦するため、南関東の海辺の街を訪れた▼小学生時代の8人制に慣れた選手たちは、大人と同じ広さのピッチと11人制に戸惑った様子。いつもと違う環境に苦労しつつも、はつらつとプレーする姿がほほ笑ましかった▼海からの心地よい潮風に乗って桜の花びらがピッチに舞い込む。子どもと大人たちの楽しげな声が響き渡る観客席にいると、平和の大切さを改めて感じた▼中東では同日、大使館攻撃への報復としてイランがイスラエルへの武力行為に踏み切った。遠く離れた日本でも日常生活への影響が懸念される。対応を協議した岸田文雄首相ら先進7カ国(G7)の首脳は、これ以上の攻撃を行わず、反撃も思いとどまるよう求める内容の声明を出すことに。戦禍の拡大を防ぐ国際社会の行動力が問われよう▼いつの時代も大人が起こした戦争で傷つくのは子どもたち。祖母が幼い頃に聞かせてくれた太平洋戦争での悲惨な出来事を繰り返してはなるまい。身近な幸せのありがたみと合わせ伝えていきたい。

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2024年4月16日火曜日

回転窓/宇宙滞在のレジェンド

 人類が宇宙へ飛び出し、暮らし続けることは可能なのか--。かつてマンガやアニメなど空想世界で思い描いた夢物語は、グローバル規模で官民が協働し実現に取り組んでいる▼宇宙空間での長期滞在は、約400キロ上空で実証されている。現在、国際宇宙ステーション(ISS)に滞在するロシアの宇宙飛行士オレク・コノネンコさんが宇宙滞在の史上最長記録を更新中。これまでの最長記録(通算878日11時間29分48秒)を2月に抜き、6月には通算1000日を超える見通し。最終的に1110日滞在して9月に地球へ帰還する計画だ▼日本人の最長記録保持者は若田光一さん。計5回の飛行で宇宙滞在は通算504日余りに上る。日本人初のISS船長を務めるなど、宇宙開発分野では日本を代表するレジェンドの一人と言えよう▼先月末で宇宙航空研究開発機構(JAXA)を退職した若田さんは、米国の宇宙関連企業に所属し生涯現役を貫く。宇宙滞在記録が今後さらに伸びそうだ▼先週の日米首脳会談によると、日本人の宇宙飛行士が月面に2回着陸する機会が提供されるという。月での街づくりに期待が膨らむ。

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2024年4月15日月曜日

回転窓/浜名湖の旬と酒造り

 静岡県の浜名湖で鮎子の水揚げが始まった。そのおいしい揚げたてを味わえる季節到来である▼今月初めに浜松市を訪れた。料理店でシーズン終盤のカキと旬の鮎子をどちらも天ぷらにしてもらい、2年前に発売された地酒とともに堪能した▼浜松産のコシヒカリと水で造られた地酒「Enshu」は香りも味もよく、小欄が知る日本酒とはまた違ったうまさ。二つの酒造会社から同じ銘柄で浜松パワーフード学会員の店に提供されている▼コロナ禍で消費が低迷していた中、浜松の食用米で新しい酒をつくり、食品ロスを防ぐなど地産地消の取り組みに貢献しよう--。そうした目的で地元の料理人と農家、杜氏(とうじ)が協力し合った▼浜名湖では16年前から建設業や漁業、観光業などの関係者で構成される浜名湖地域舟運都市構想研究会が活動する。業種を超えた連携で貴重な観光資源を生かし、地域の活性化を図るのが狙いだ。浜松での新たな酒造りとも通じるものがある▼「Enshu」の命名者は、徳川宗家19代当主の徳川家広氏(同学会特別顧問)。地域の人たちの思いが結実し生まれた銘酒は、浜松の魅力の一つに加わった。

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2024年4月12日金曜日

回転窓/大阪・関西万博まで1年

 大阪市此花区夢洲で予定されている2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)が13日で開幕まで1年となる。万博協会は同日、魅力を発信するイベントを開催する。会場スタッフの公式ユニフォームも披露する予定だ▼参加する国・地域らが行う公式イベントの第1弾となる116件の発表内容は音楽や舞台、展示、講演などさまざま。多彩な催しで世界の国々らと盛り上げていく▼会場整備を担う建設業界としては工事の進捗が気に掛かるところ。シンボルとなる「大屋根リング」は、木組み構造の約8割が組み上がった。1周約2キロで、9月末に全周がつながる見通し。完成すれば世界最大級の木造建築となる▼パビリオンも続々と着工し、工事が本格化している。自見英子万博担当相は9日の会見で、海外パビリオン建設に対して「開幕までに工事を完了させられるように準備を進めることが重要」と強調した▼博覧会国際事務局の幹部は「準備万端」と太鼓判を押すが、建設業に時間外労働の上限規制が適用されたタイミングで佳境に入る万博工事。厳しい工期の中でも優れた技術を駆使し安全施工に徹してほしい。

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2024年4月11日木曜日

回転窓/銭湯ブームの再燃へ

 自宅近くの銭湯に行くのが最近のルーティンとなっている。隅々まで清掃が行き届いた店内と雰囲気が気に入り、1年ほど前から通い始めた▼全国公衆浴場業生活衛生同業組合連合会(全浴連)の調べによると、2023年の銭湯数(組合加入)は1755軒。この半世紀にわたり減少を続け、1968年のピーク時と比べて1・6万軒以上も減っている▼銭湯を取り巻く環境が厳しい中でも、近頃は「銭湯トレカ」なるものがひそかなブームになっているという。集客アップに向けて京都市内に住む男性が制作。お湯の種類や魅力などを記した手のひらサイズのカードで、これ目当てに銭湯を利用する若者も少なくないようだ▼東京・原宿では17日開業する商業施設「東急プラザ原宿 ハラカド」に銭湯が設置される。東京・高円寺の老舗「小杉湯」が運営し、新たなコンセプトで誕生する都心の銭湯として大きな話題となっている▼銭湯に行くと番台に座る人や他の利用客と交わすたわいもない会話が楽しい。コロナ禍を契機にリモートでのコミュニケーションが広まったとはいえ、そんな日常の社交場を盛り上げていきたい。

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2024年4月10日水曜日

回転窓/国内外の安全・安心に貢献

 イスラエルによるパレスチナ自治区ガザ地区への攻撃で、世界銀行と国連はインフラ被害額が1月末時点で約185億ドル(約2兆8000億円)に上ったとする報告書を2日公表した▼最も物的被害が大きい住宅は被害額の72%に達し、100万人以上が家を失った。教育システムは崩壊し、子どもたちの全員が学校に通えていない。かろうじて残った公共サービスの施設は電気や水などが不足し、医療システムも崩壊寸前にある▼ロシアによるウクライナ侵攻も長期化している。こうした世界の戦禍は日本にとっても対岸の火事ではない。「戦後最も厳しく複雑な安全保障環境」に直面しており、いつ紛争に巻き込まれないとも限らない▼政府は1日、防衛力を強化するため「特定利用空港・港湾(特定重要拠点)」に7道県の16施設を決定した。滑走路の延伸や大型艦が接岸できる岸壁の整備などが進められる予定だ▼つい2カ月前には国土交通省がウクライナ地方・国土・インフラ発展省と官民によるインフラ復旧協力に向けた覚書を交わした。国内外での整備を通じ、安全・安心な社会の実現に貢献する建設業の役割は大きい。

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2024年4月9日火曜日

回転窓/旬を味わう食文化

 春に旬を迎える食材を楽しむ方も多かろう。居酒屋などのおすすめメニューにも、この時期に採れる山海の幸を使った一品が並ぶ▼冬の寒さに耐えてきた春野菜は栄養をしっかりと蓄え、特有の苦みを持つものも少なくない。暖かくなって他の生き物の動きが活発になり、外敵から身を守るために苦みの成分を多く含む。その苦みは体の新陳代謝を促すそう▼先日訪れた飲食店で季節の天ぷらを注文し、タケノコとアスパラガス、サクラエビが入ったかき揚げをいただいた。それぞれの旬の食材が持つおいしさを一度に味わえ、春の味覚を堪能させてもらった▼サクラエビの国内水揚げは静岡の駿河湾のみ。資源保護のため、漁期は3月中旬~6月初旬の春漁、10月下旬~12月下旬の秋漁の年2回となる。2018年以降は不漁続きだったが近年は回復傾向にあり、今年の春漁もまずまずのようだ▼〈おらが世やそこらの草も餅になる〉(小林一茶)。最新の生産施設で季節に関係なく食材が手に入る現代だが、育つ場所や時期が変われば香りや味、栄養価も異なる。自然や季節を感じながら旬を味わう食文化は残さねばならない。

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2024年4月8日月曜日

回転窓/「20××年問題」への対応

 建築評論家の馬場璋造氏(1935~2021年)は、00年2月4日付本紙に「建築界のパラダイムシフトの行方」と題した文章を寄せている。冒頭に書いたのはコンピューターの誤作動が懸念された「2000年問題」のこと▼「1900」の上2桁を省略した結果がこの問題であり、当時起きた東海村のウラン加工施設臨界事故なども関係者に省略の意識が働いているからだと指摘。知恵を省略の方に向けてはいけないと警鐘を鳴らした▼建設・不動産業は幾たびか「20××年問題」に直面してきた。オフィスの供給過剰でテナント獲得競争が激化する「2003年問題」。世界的な金融危機などを背景にオフィス需要が減退する「2010年問題」も取り沙汰された▼団塊世代の大量退職が始まる「2007年問題」も記憶に新しい。これを契機に技術・技能の継承が喫緊の課題として広く認識されたと言えよう▼4月から建設業に時間外労働の罰則付き上限規制が適用された。いわゆる「2024年問題」では、さまざまな知恵を集約しながら継続的な取り組みが必要だ。建設業のパラダイムシフトが本格化していく。

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2024年4月5日金曜日

回転窓/チェーンと個人店

 玩具などを扱う地元の個人商店が3月末で閉店した。60年以上続いていたが、街づくりが進む中で移転を余儀なくされ、賃料が上昇している状況での事業継続は難しいと判断したようだ▼最終日に立ち寄ると常連客や親子連れで行列になっていた。インターネット上に商品一覧などは出しておらず、掘り出し物を探しにマニアも来ていたよう。前に並んでいた中年客は数万円の商品を買っていった▼地元では大型商業施設が今月オープンするが、全国展開のチェーン店ばかりが並ぶ。物価や賃金の上昇が向かい風となり、個人経営がより一層厳しくなっているというのが一般的な見方か▼とはいえ大手以外にも行列になる店はある。ある再開発ビルでは当初想定していなかった高級食材店が入居。不安の声もあったようだが、ニーズが合致し連日にぎわっているそう▼社会や環境に配慮する「エシカル消費」や、共感などを重視する「エモ消費」が広がっている。地域に根差した多彩な個人店と、均質なサービスを得られる大手チェーンでは役割が異なる側面もあろう。特長を生かしてどちらも発展していく街づくりを期待したい。

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2024年4月4日木曜日

回転窓/若手成長への環境づくり

 プロ野球のセ・パ両リーグが先月29日開幕した。今年は日本のプロ野球誕生から90年の節目の年。特別展示などの企画も楽しみだが、記念ロゴ入りのキャップを着用した選手たちのはつらつとしたプレーに期待している▼日本のプロ野球は65年にわたって12球団で行われてきたが、今季からファーム・リーグ(2軍戦)が14球団に拡大。ウエスタン・リーグに静岡市が本拠地の「くふうハヤテベンチャーズ静岡」、イースタン・リーグに独立リーグで戦ってきた「オイシックス新潟アルビレックス・ベースボール・クラブ」の2球団が加わった▼2軍戦には将来有望な選手が多数出場する。これまで球団がなかった地域の子どもたちにも高い技術やスピード感あふれるプレーを披露し、スポーツの醍醐味(だいごみ)を伝えてもらいたい▼ここ数年、2軍本拠地を移転・再整備するなど、育成拠点を充実させる球団が多い。若手選手の成長を後押しし、チーム力の強化を図るのが狙いだろう▼新年度に入り建設産業も有望な若者たちを迎えた。企業力や施工力を担う人材に成長してもらうため、これからもさまざまな環境づくりが欠かせない。

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2024年4月3日水曜日

回転窓/眼鏡から見る桜

 〈見えないモノを見ようとして 望遠鏡を覗(のぞ)き込んだ〉。メンバー全員が千葉県佐倉市出身のバンド、BUMP OF CHICKENのヒット曲「天体観測」の歌詞にその一節がある▼曲は2001年のリリース。聴いた人によって連想する場面や印象が異なるという歌詞と、爽快なメロディーは今も人気だ。有名音楽チャートではストリーミングの累計再生が22年に1億回を超えた▼趣味で手元が見えにくく難儀するようになり、先日、眼鏡を初めて購入した。ピントが合わず見えづらかった距離の文字もはっきりと認識でき、感想は驚きより感動に近い▼これまで幸いにも眼鏡とは無縁の生活だった。掛けた姿を人に見られるのを気恥ずかしくも思ってきたが、もっと早く手にすべきだったと後悔しきり。趣味だけでなく原稿の作成や記事の校正にもう手放すことはできない▼佐倉市の佐倉城址公園は桜の名所として知られる。千本以上の桜が咲き誇る花景色は、幼い頃に訪れた記憶のままきっと美しいだろう。今週末にも新しい眼鏡を持って見に出掛けたい。年月を経て自分がどれだけ変わったのか観測できるかも。

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2024年4月2日火曜日

回転窓/沸騰化時代の衣替え

 3月最後の土日は半袖のTシャツ、短パンにサンダルなど夏服姿の方をよく見掛けた。春を通り越し、一気に夏が来たかのような暑さに衣替えも追い付かないほど。各地で25度以上の夏日となり、3月として観測史上最高気温を記録したところも▼暖冬でサクラの開花時期は例年より早まるかと思いきや、天候不順で当初予想より遅れた地域が少なくない。この季節外れの暑さでサクラのつぼみも成長し、開花宣言が相次いだ▼気象庁が奈良や水戸、前橋などの開花を3月31日に発表し、高知は全国で今年初めて満開に。いずれの発表時期も去年と比べて1~2週間ほど遅いという▼「四月一日」の名字を「わたぬき」と呼ぶ由来は、冬に防寒として着物に詰めた綿を旧暦の同日に抜いていたから。現在の5月上旬に行われていた昔の慣習だが、温暖化の進展で衣替えの時期が早まっているのは確かだろう▼「地球沸騰化」のキーワードが話題に上った昨年は、世界的に観測史上で年間平均気温が最も高かった。温暖化による気候変動は地域の暮らしや風習にも大きな影響を与える。あらゆる策を講じて沸騰を抑え込まねばならない。

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2024年4月1日月曜日

回転窓/どんな時も一人ではない

 競泳の池江璃花子選手(23)がパリ五輪代表に選ばれ、3大会連続の出場を決めた。先月の代表選考会で女子100メートルバタフライ決勝後に話した「水泳も、きついことも楽しいと思える日をどんどん増やしたい」(時事)のコメントが頼もしく、五輪での活躍が期待される▼白血病を克服し、実戦復帰したのは4年前。翌年の東京五輪に出場するが、五輪の個人種目で戦うのは2大会ぶりとなる。心からエールを送りたい▼10代で長期療養を余儀なくされた。日本のトップスイマーに返り咲くまでにどれほどの努力を重ねたのか。強い意志を持ちつつも不安な日々であったかもしれない▼きょう1日は各地で入社式や入庁式が行われる。新社会人の皆さんは期待と不安が入り交じった心境だろうか。一人で悩みを抱え込まず、周りの人に相談し支えてもらう。そう思えることもこれからの社会人生活ではきっと大きい▼池江選手は以前、〈応援してくださる皆様へ〉とこんなメッセージをつづっている。「どんな時でも1人ではない事を忘れません」(オフィシャルサイトより)。支えてくれる多くの人の思いと一緒に臨む五輪であろう。

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