2023年12月28日木曜日

回転窓/強くしなやかな国に

 暮れも押し迫る23日夜、奈良県下北山村の国道169号で大規模な土砂崩れが発生した。道路沿いの斜面が高さ約5メートル、幅約30メートルにわたって崩落し道路をふさいだ。二次災害の危険性も伴い復旧のめどは立っていない▼雨も降らずに土砂崩れが起きた要因として指摘されるのは「凍結融解」。水が凍ったり溶けたりを繰り返す現象で、斜面の地中で起きると土砂の隙間が広がり、土砂崩れが起きやすくなるという▼気候変動などで災害発生のリスクが複雑化・多様化しているのか、被害は多発傾向にある。堤防決壊や越水での浸水被害、地滑りやがけ崩れなどの土砂災害が各地で発生。国土交通省の調査によると、2022年の水害被害額(暫定値)は全国で約6000億円に達した▼13~22年の10年間で4番目の被害額で、静岡県と石川県は1961年の統計開始以来最大となった。全壊や半壊といった被災建物数が約2万2000棟、水害区域面積は約3万1000ヘクタールに上るなど被害の甚大さに改めて驚く▼23年も風水害や地震など多くの災害に見舞われた。今後もこの傾向は続くだろう。強くしなやかな国づくりに終わりはない。

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2023年12月27日水曜日

回転窓/工事再開への期待

 JR飯田線の豊橋駅(愛知県豊橋市)と飯田駅(長野県飯田市)を行き来する特別急行列車「伊那路」に乗車した。飯田行きの車内で気になったのは、右側に座る人が目立つこと。車窓から見える景色が素晴らしいのだろうか▼この路線は秘境駅を訪れたり、渓谷美を楽しんだりするファンが多いと聞いた。飯田駅近くの飲食店に入り、「豊橋からなら右がお薦め」と店主。やはり乗客の位置は偶然でなかったようだ▼リニア中央新幹線の東京・品川~名古屋の開業が、2027年以降に遅れることになった。(仮称)長野県駅が整備され、東京都心までの移動が3時間ほど縮まる長野・伊那地域からは「とても残念」(佐藤健飯田市長)との声が挙がる▼それでも水資源などの問題でトンネルの本体掘削を行えていない工区のある静岡県が先日、JR東海が示した対策に理解を示したのは大きい。掘削開始の時期は見えないものの、ここにきて転機を迎えたとの見方もある▼店主はリニア開業を「楽しみ」とも話してくれた。ゆっくり行きたい人も、早く着きたい人も迎えられるのが理由だという。工事再開への期待は膨らむ。

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2023年12月26日火曜日

回転窓/物流のチームワーク

 クリスマスが過ぎ、今週末までに正月休みに入る方は多かろう。一般的な年末年始の休暇は29日から2024年1月3日までのようだが、前後を休みにして10日以上の連休にするところもある▼建設関連各社トップへの新春インタビューの中で正月の予定を聞くと、「自宅でのんびり過ごす」との回答がほとんど。自社の休業期間にかかわらず4日には銀行や顧客先などへのあいさつ回りがあり、三が日は遠出せずに英気を養うようだ▼自宅での過ごし方について話を振ると、「箱根駅伝のテレビ観戦」が目立つ。近所を通るコースまで応援に行く方には、チームのたすきをつなぐ中継所付近など観戦場所へのこだわりも。100回記念大会の今回は例年以上に注目が集まっている▼24年4月から時間外労働の規制が強化される物流業では、長距離輸送の道中で貨物を引き継ぐ中継拠点を整備する対策費が24年度予算案に盛り込まれた。高速道路を走る大型トラックなどの法定最高速度を時速80キロから90キロに引き上げる法改正も進む▼いかに目的地まで安全かつ早く到達するか。駅伝同様、物流業界にもチームワークが求められる。

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2023年12月25日月曜日

回転窓/腹が立っている時に

 通信社が選んだ今年の十大ニュースを見ると、この1年もいかに暗いことが多かったのかを実感させられる▼国内外それぞれの十選で明るいニュースと言えば、藤井聡太棋士の八冠制覇や米大リーグでの大谷翔平選手の活躍などわずか。年末年始くらいは腹立たしい事件もなく楽しい話題に包まれたい▼童話『100万回生きたねこ』などの名作を残した絵本作家・佐野洋子さんに、腹が立っている時について書いたエッセーがある。〈気分転換など自分でするものだと思っていない。あちらからやって来る〉(『ヨーコさんの“言葉”』講談社)▼例えば買った本が期待外れの場合、腹が立った箇所に印を付けながら読み終えるとたたきつけて、また同じ著者の別の本を買ってくる。こうしてその人の本を全部読んでしまう。そんな腹が立っている時は自分が〈実にまっとうな人間であるような気がして元気が出る〉と▼佐野さんの作品『わたしクリスマスツリー』はもみの木が主人公であり、ちょっと切なくも心温まるストーリーがいい。きょうはクリスマス。すてきな本を読み返そう。ささいなことで生まれた腹の虫ならきっとおさまる。

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2023年12月21日木曜日

回転窓/街路樹再生への思い

 自宅近くにある350メートルほどの通りは桜並木の名所で、植樹から60年以上の老木が立ち並ぶ。毎春に美しい花を咲かせるが、立ち枯れなどによる倒木を防ぐため伐採が進んでいる▼2018~22年度の5年間の平均で全国の街路樹約5200本が台風などによって倒れたことが、国土交通省の初調査で判明した。調査対象は国や自治体が管理する道路沿いにある街路樹約720万本。災害の有無で年によって濃淡があるため、5年間の平均を算出した▼約5200本のうち、約3700本が強風などの災害による倒木で、残り約1500本は立ち枯れや腐食など災害以外の要因で倒れたという▼道路管理者による点検の結果、倒木が発生する前に伐採された街路樹は年平均で約2万6700本に上った。倒れた木が原因で事故も起きている。倒木を減らすには、日常的な点検と必要に応じた伐採を着実に進めていかなければならない▼近所の通りでは伐採した木の株が残り、若木に植え替えられていない。それではどこか寂しく、通りの活気も色あせて見える。伐採と植樹がセットで街路樹を再生していくことも大切だと思うのだが。

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2023年12月19日火曜日

回転窓/だるまのような1年に

 地元の神奈川県小田原市にある飯泉山勝福寺(飯泉観音)で17、18の両日、だるま市が開かれた。関東地方で一番早いだるま市の御利益にあやかろうと、商売繁盛や家内安全を願う多くの人たちでにぎわった▼鎌倉時代初期に源頼朝の発願で開設された坂東三十三観音の五番札所である飯泉観音。周辺は生活用品などを販売する門前町として栄えた。正月準備の時期になると、数々の物品を求めて人々が訪れ、江戸時代に縁起物のだるまが市に並ぶようになったものが今に続く▼起き上がり小法師のだるまが作られるようになったのも江戸時代だそう。禅をインドから中国に伝えた達磨(だるま)大師をモチーフにしただるまは、赤い服が疫病よけのまじないになると爆発的に売れたという▼達磨大師にまつわる言葉の「七転八起」は、何度失敗しても諦めずに挑戦を続けるといった意味を持つ。倒れても起き上がるだるまの姿は、まさに言葉の通りだ▼コロナ禍でつらいことが続いた世の中も落ち着き、恒例の行事やイベントが通常通り行われるようになった。先行きが見通せず、浮き沈みの激しい社会情勢だが、新年もくじけず進んでいこう。

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2023年12月15日金曜日

回転窓/税と国家

 日本漢字能力検定協会の「今年の漢字」に「税」が選ばれた▼増税議論に加え、適格請求書等保存方式(インボイス制度)が始まったことなどが影響したのだろう。今年の漢字を揮毫(きごう)した京都・清水寺の森清範貫主は「国民がシビアに税の行方を見ている」とコメントした▼政治資金パーティー収入に関する疑惑で政界が揺らいでいる。総務省の政治資金収支報告書によると2022年の政党交付金は約315億円。政党活動は税金でも支えており、誠実な対応が求められるのは言うまでもない。13日に会見した岸田文雄首相は「信頼回復に向け先頭に立って闘う」と強調した▼不信感の払拭(ふっしょく)が求められるのはもちろんだが、取り組むべき課題は、そのほかにも山積み。デフレからの完全脱却や「成長と分配の好循環」の実現は多くの国民が望む方向性であろう。強固な布陣でしっかりと前進させてもらいたい▼「来年は『和』を書きたい」とは森貫主の言葉。われわれは世界の平和が揺らぐ事態を目の当たりにしている。不幸な歴史を繰り返してはならず、国民も政治の側も緊張感を持ち、正しい選択を導いていく必要がある。

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2023年12月14日木曜日

回転窓/“ONIGIRI”へ進化

 近所におにぎり専門店がオープンし、開店記念の半額サービスもあり長蛇の列を作っている。少し落ち着いてきたら、ぜひ味わいたいと楽しみにしている▼「食」に関する調査研究や情報提供を行う、ぐるなび総研(東京都千代田区)が2023年を象徴する「今年の一皿」に、ふんだんに具材を使った「ご馳走おにぎり」を選んだ。専門店の開業が相次ぎ、22年1~12月と比べ23年1~10月の開業数は約1・5倍に増えたという▼同総研では豊富な種類の具材から選べる楽しみと、飲食店で握りたてを味わうスタイルが消費者に受けたと分析。海外でも“ONIGIRI”の名で販売され、日本の伝統的な食文化が浸透しつつあるそうだ▼和食が国連教育科学文化機関(ユネスコ)無形文化遺産に登録されて10年がたった。国立科学博物館(東京都台東区)でも特別展「和食~日本の自然、人々の知恵~」が開催中とあって、和食を再考する機運も高まりを見せる▼おにぎりがご馳走へと進化したように、伝統は常に革新、刷新することで受け継がれていくのだろう。建設業でも多くの“ONIGIRI”が誕生してほしいものだ。

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2023年12月12日火曜日

回転窓/情報の稼ぎ方

 新聞記者として働き出した四半世紀前、会社では原稿作成などの編集業務にパソコンを本格導入した頃だ。原稿用紙にペンを走らせていた先輩たちと同じ経験はないものの、書き直しが簡単にできず当時の苦労はよく分かる▼1990年代半ば以降、パソコンは一般家庭にも普及。インターネットが身近になり、あらゆる情報を検索できる。記者にとっても欠かせないツールになった▼昨今注目を集める生成AIは、18世紀後半の産業革命後で最大級の変革をもたらすと目される。AI利用の垣根が一気に下がり、誰でも気軽に文章や画像を自動で作成可能。情報収集や記事の文案作成など、記者の仕事にも大きな影響を与えそうだ▼生成AI関連の製品開発や安全性向上に向けた産官学協働の取り組みも活発化している。期待が膨らむ一方で秘密情報の流出や偽情報の拡散などのリスクも指摘され、国際的なルールづくりが急ピッチで進む▼デジタル社会の進展で生産性が高まるのは歓迎すべきこと。原稿作成も手書きの時代から大きく変わったが、「情報は足で稼ぐもの」と指導してくれた先輩たちの言葉は、今も強く響いている。

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2023年12月11日月曜日

回転窓/大掃除と業務の棚卸し

 師走になるとどうにも気になって仕方がない。いつやるか、どこからやるか、それともやめてしまおうか。毎年のように家でも職場でも大掃除を行うのは気が重い▼積水ハウスから興味深い調査結果が先日発表された。同社住生活研究所が全国の20~60代既婚男女を対象に実施した「年始に向けた大掃除調査(2023年)」によると、師走に「年末年始の準備をする」とした人は約9割に上り、その内容では大掃除が7割以上と最も多かった▼師走を忙しいと感じている人ほど、さまざまな年末年始の準備をしているよう。準備で大変なことも調べ、大掃除が約6割とトップだった▼大掃除のついでにいつのまにか増えた余計なモノも思い切って整理したいところ。実践マニュアル本を読んでいるうちに、仕事にも通じるのでないかと気づかされる▼無駄と思えても実は役立つ「無駄の効用」という言葉もある。効率さえ良ければいいわけではないが、例えば本当にこのルールや作業、会議、議事録、資料、社内メールなどは必要なのか。そんなことが気になり始めたら、それぞれの組織で業務を一度棚卸しする時期かもしれない。

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2023年12月8日金曜日

回転窓/一人ニーズの力

 過半数が一人の方が好き--。博報堂生活総合研究所が首都圏に住む25~39歳の男女を対象に「ひとり意識・行動調査」を実施したところ、皆でいるよりも一人を好む回答が56%を占めた▼1993年に実施した調査では皆でいる方が好きとの回答が56%と多かったが、30年で逆転した。一人で行きたい場所を見ると、「喫茶店・カフェ」や「映画館」は回答数が倍増。同研究所は、一人を志向する生活者が大幅に増加し意識と行動が変化していると分析している▼こうしたニーズを反映してか、一人でも気兼ねなく楽しめる場は確実に増えている。旅行会社のクラブツーリズムは、一人参加向けツアーを97年から展開中。コロナ禍を経て顧客が戻り、11月時点で過去最高を更新中という▼訪れた場所や食事を心ゆくまま楽しんだり、たまたま居合わせた人と仲良くなったり、一人でいるからこそ広がる可能性もある。単独行動だから寂しいということではない▼帝国データバンクの景気動向調査によれば、景気は改善傾向が見られるが、個人消費は低調に推移したまま。ニーズを上手に盛り上げて消費の好循環を生み出していきたい。

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2023年12月6日水曜日

回転窓/駐屯地とまちづくり

 ふるさとの自衛隊駐屯地で開かれた航空祭で、航空機に乗せてもらったことがある。機内では右と左の列に搭乗者が向き合わせで座り、子供ながらに離陸して窓から見えた遠ざかる滑走路や港町の景色を鮮明に覚えている▼先日この駐屯地がコロナ禍で中止していた一般開放を4年ぶりに再開。大勢の人が訪れ、駐屯地の公式SNS(インターネット交流サイト)が「皆さまとお会いし、同じ時間をともに過ごせました」とお礼のメッセージを発信した▼駐屯地の歴史は、旧海軍省の航空隊設置から続いてきた。来年は開設から90年を迎える。地元の自治体担当者は「生まれたときから駐屯地の存在が当たり前の人が多い。共存のまちです」と話す▼駐屯地周辺には、高さ制限の関係で市街化や開発が遅れてきた地域がある。その自治体は防衛省の補助金を活用した文化施設の整備を計画中。建設費の75%に充当される「補助金前提の事業」という▼本年度から5年で43兆円規模の予算を投じる防衛力整備の行方は、自治体も注視している。必要な施設と共に周辺のまちづくりや補助事業も地域の望む形で進んでいくよう期待したい。

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2023年12月5日火曜日

回転窓/琵琶湖の水

 琵琶湖の水止めたろか--。出張先の滋賀県内で立ち寄った土産物店の一角に、このようなフレーズを使ったグッズが数多く並んでいた▼聞き慣れない言葉の由来を店員に尋ねたところ、琵琶湖の水を利用している大阪や京都など近隣の人たちから滋賀のことをばかにされた際、相手に言い返す定番文句だそう。治水・水利を巡る地域間の歴史的背景がユーモアたっぷりに表現されていて人気の商品という▼日本最大の淡水湖である琵琶湖は、およそ400万年もの歴史を有する日本最古の湖。管理者である滋賀県のホームページによると、一般的な湖は土砂の堆積の影響を受けて1万年ほどで消失するが、10万年以上の歴史をもち、固有種がいる湖(古代湖)は琵琶湖を含めて世界に約20しかない▼近畿圏1450万人の生活や産業に欠かせず、貴重な自然環境を育む国民的資産は現在、渇水が危惧されている。降雨量の減少で琵琶湖の水位が下がり、このままでは取水制限を検討する水位に達する恐れも▼恵みの雨に期待しつつ、日頃の節水対策が重要だ。定番文句が現実にならぬよう、みんなで協調した対応が求められる。

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2023年12月1日金曜日

回転窓/COP28が開幕

 今年も国内外でさまざまな動きがあった。世相を反映した言葉を選ぶ「ユーキャン 新語・流行語大賞」がきょう発表される予定。新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けである「5類」や、すっかり知れ渡った「生成AI」「ChatGPT」などがノミネートされている▼「地球沸騰化」も候補の一つ。今年は観測史上最も暑い夏となった。国連のグテレス事務総長は「地球温暖化の時代は終わり、地球沸騰化の時代が来た」と世界に警告している▼11月30日に国連の気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)がアラブ首長国連邦(UAE)で開幕した。特に注目されるのが、気候変動対策の進捗(しんちょく)を評価する「グローバル・ストックテイク」の議論だ。今回初めて実施される▼産業革命前からの気温上昇を1・5度にとどめるという国際枠組み「パリ協定」で掲げた目標に対し、実施状況をレビューする試み。機運を醸成し対策進展につなげることが期待される▼流行語は時を経て変わっていく。「地球沸騰化なんて言葉が昔あったね」と懐かしむようにできるのか--。世界の本気度が問われている。

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