2022年5月31日火曜日

中部整備局/川島大橋復旧へ鋼2径間アーチ橋新設、歩行者用仮橋は8月開通

 中部地方整備局岐阜国道事務所は27日、第4回川島大橋復旧方法検討会(委員長・村上茂之岐阜大学教授)を開き、復旧方法の検討内容を取りまとめた。新設する橋梁の形式は、施工性や経済性を考慮して鋼2径間アーチ橋を採用。現橋梁と同じ位置に建設する。工期を短縮するため既設橋の下部工撤去と新橋の下部工設置を並行して進める。また、下流部で設置作業を進めている歩行者用仮橋は8月頃に開通予定であることが報告された。
 木曽川と渡河する川島大橋(岐阜県各務原市川島笠田町~川島松原町)は、2021年5月の豪雨で橋脚が沈下。上弦材も座屈した。県の要請を受け国が権限代行で橋梁を新設することが決まり、橋梁形式や施工方法などの検討を進めている。第4回会合では新橋梁の位置について、現道への接続や用地買収の有無などを考慮し、同じ場所で架け替えることを決定。早期復旧や経済性などを総合的に判断し鋼2径間アーチ橋を採用する。今後は、早期復旧に向け出水期の施工も視野に入れた施工方法の検討を進める。
 そのほか、川島大橋の撤去と歩行者用仮橋の設置状況の報告も行われた。川島大橋は橋長約343メートル。既にP4橋脚とA2(右岸側)~P3橋脚間の橋桁の撤去、P3~A1(左岸側)の床版撤去が完了。P3~A1の橋桁撤去の準備を進めている。
 川島大橋の約300メートル下流部に設置中の歩行者用仮橋は延長約400メートル、歩道幅員約4メートル。仮橋架設と応急組み立て橋架設を両岸から進めている。現在、中央部の支持杭打ち込みを進めており、8月頃には開通できる見通しとなった。木曽川を渡河する川島大橋は通学路としても使われていたが、通行止めが続いている。



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厚労省/水管橋維持・修繕の規制強化検討、省令改正で実効性向上へ

 厚生労働省は和歌山市で昨年発生した「六十谷水管橋」の崩落事故を受け、水管橋の維持・修繕への規制強化を検討する。現行省令ではコンクリート構造物以外の水道施設についての記述が薄く、一般論としての規制にとどまっているという。今後の老朽施設の増加を見据え、省令を改正し規制の実効性向上を図る。構造上、目視点検のできない施設があるため、代替手段としてデジタル技術を使用できることも省令で明確化する。関連指針の充実も目指す。=2面に関連記事
 30日に東京都内で「水道の諸課題に係る有識者検討会」の初会合を開いた。座長には滝沢智東京大学大学院工学系研究科教授・水環境工学研究センター長が就いた。取りまとめの時期は決まっていない。
 水道法と同法施行規則では、水管橋を含む水道施設の点検について「構造を勘案して、適切な時期に、目視その他適切な方法により行う」と規定。点検の結果、異常を把握した場合は維持・修繕を行うとしている。水道施設のうち基幹施設に多く使われるコンクリート構造物だけは、5年に1回程度以上の頻度で点検することや、記録事項と保存期間も明記している。
 厚労省は崩落事故を受け、水管橋もコンクリート構造物のように維持や修繕に関するルールを具体的に打ち出す方向だ。維持・修繕の規制を強化して終わりではなく、経営状況が厳しい自治体がルールに基づき水道事業を着実に実施できるよう、支援策の在り方も論点になりそうだ。
 厚労省は水道事業者が取り組む施設点検や維持・修繕業務を後押しするため、2019年9月に指針を作成した。今後、道路などほかのインフラ分野を参考に指針を充実する。崩落事故を踏まえた留意点も新たに盛り込む。
 会議では和歌山市が設置した調査委員会で行った六十谷水管橋の破損原因の分析結果を説明。つり材が腐食によって破断し落橋したと結論付けた。腐食は振動やさびなど物理的な要因のほか、同水管橋の特徴や条件に応じた維持管理が行われていなかったという人為的な要因もあったとされる。
 同水管橋は1975年に竣工し、2023年に法定耐用年数を迎える予定だった。厚労省の調査によると、同水管橋と同じくつり材など補剛部材を使用した水管橋が全国に3481カ所ある。



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MEC Industry/鹿児島に木材製品工場完成、生産から販売まで1社で

 三菱地所ら7社が出資する総合木材会社MEC Industry(鹿児島県霧島市、小野英雄社長)の工場が鹿児島県湧水町に完成した。30日、株主各社や地元関係者などが出席する完成祝賀会が現地で開かれた。工場完成により、木材製品の生産、流通、施工、販売といった川上から川下までを1社で担う「統合型最適化モデル」を構築した。
 出資会社はほかに竹中工務店、大豊建設、松尾建設(佐賀市、松尾哲吾社長)、南国殖産(鹿児島市、永山在紀社長)、ケンテック(東京都千代田区、矢口慎也社長)、山佐木材(鹿児島県肝付町、有馬宏美社長)。
 県立栗野工業高校跡地で2021年8月に一部稼働した製造棟に続き、製材棟が完成。大豊建設・松尾建設JVが施工した。建物は総延べ2万6981平方メートルの規模。別の場所に設けた「鹿児島湧水素材センター」で国産材の原木の皮むき、バチ取り、選木を行った上で工場に持ち込み、CLT(直交集成板)や配筋付きデッキに木を加えたMIデッキなどを製造する。年間の消費原木量は5万5000立方メートルに及ぶ。
 祝賀会で池上滝一湧水町長は雇用や林業の活性化に期待。地元選出の国会議員らもメッセージを寄せた。三菱地所の吉田淳一社長は7社の技術を生かし「鹿児島から革新的イノベーションを起こしたい」と意欲を示した。
 新工場では、CLTや2×4(ツーバイフォー)パネルを使ったフレームを製作し、現場で組み立てるMOKUWELL HOUSEを初年度に100棟分、MIデッキは25万平方メートル分製造する。小野社長は「都市建築の木質化に貢献していきたい」と述べた。



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JR東海/リニア新幹線神奈川県駅(相模原市緑区)現場公開、施工は奥村組JV

 JR東海は30日、リニア中央新幹線の中間駅で唯一の地下構造を持つ「神奈川県駅(仮称)」(相模原市緑区)の工事現場を報道公開した。二つの開削工法を使って地下を掘り進め、駅舎などが入る深さ約30メートルの函体を整備。奥村組・東急建設・京王建設JVが施工を担当している。2019年11月にスタートした工事は本年度中に中央部分の掘削を完了する予定で、その後は函体の構築に着手する計画だ。
 神奈川県駅の計画地はJR横浜、相模両線と京王相模原線が乗り入れる橋本駅に近接する。移転した県立相原高校跡地を中心に、西側を通る国道16号とが交差する敷地に3層構造の函体を整備。函体の延長は約680メートル、最大幅が約50メートル。二つの開削工法を使って地下30メートルまで掘り進め、ホーム2面(線路4線)を整備する。4カ所設置する中間駅のうち、初弾に起工した案件だ。
 周囲に建物が立地する橋本駅と国道側の両端部は、地上から仮設の土留め壁を構築する。支保工で土留め壁を支えながら段階的に掘削する。敷地が狭い都市部で採用しやすい工法という。構造物が近接していない敷地のほぼ中央は、のり面状に掘削後、アンカーで支持する形で土留め壁を構築。作業ヤードを十分確保できるというメリットを生かしながら施工を行っている。
 現時点で約半分の地下約17メートルまで掘削が完了し、地下部分には土砂や資材運搬時に使用する仮設桟橋の橋脚などが設置されている。函体構築後は掘削した土を埋め戻す。工期は27年3月31日まで。
 JR東海中央新幹線建設部中央新幹線神奈川工事事務所の吉川太郎担当課長は「工事は順調に進んでいる」と進捗(しんちょく)状況を総括。今後も「安全に気を配りながら、着実に工事を進めていく」とコメントしている。



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万博協/民間パビリオン12者が構想概要、未来社会のデザイン提示

 2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)に出展する民間企業・団体12者は30日、東京都内で来場者が未来社会を体感し、感動を与えるパビリオンの構想概要を発表した。各企業らは今後、構想を固め設計を進める。2025年日本国際博覧会協会は民間企業らに大阪・夢洲の万博会場の東・西エントランス付近に設定したパビリオンの敷地を23年4月13日以降に引き渡す。24年7月13日までにパビリオンを完成させる。=1面参照
 飯田グループホールディングス(HD)は大阪公立大学と共同出展する。「ただいま/TADAIMA」をキーワードに大阪公立大学との共同研究テーマである「ウエルネス」(健康)や「人工光合成」技術を活用。万博のテーマ「いのち輝く未来社会」を、時空を超えるナビゲーターのメッセージとともに体感できるよう計画。
 住友EXPO2025推進委員会は「住友館」(仮称)で、未来をつくる子どもたちとすべての人に、リアルとデジタルを駆使した「森での体験」を提供。また、パビリオンには住友グループが全国に保有する森の木材を全面的に活用するなど、多様なアイデアや知恵を盛り込む。
 ゼリ・ジャパンのパビリオンは「BLUE OCEAN」(ブルーオーシャン)で、テーマは「海の蘇生」。カーボンファイバーでつくる。建築設計は建築家・坂茂氏、展示コンテンツは日本デザインセンターの原研哉氏・原デザイン研究所が担当。
 玉山デジタルテックのパビリオン名は「初志・創新」。同社は台湾貿易センターが出資した企業で台湾独自の技術と智能、文化、連携をコンセプトに「都市×地方、大自然、生命力」の三大エリアを設け、最新デジタル技術で人々の視覚・聴覚・嗅覚・触覚・味覚と感性に響く感動を提供する。
 電気事業連合会は「電力館(仮称)」を出展。テーマは「エネルギーの可能性で未来を切り開き、いのち輝く社会の実現へ」、コンセプトは「可能性のタマゴ」。エネルギーの可能性を集め、未来を体感してもらい未来へ進むきっかけをつくる。
 日本ガス協会の「ガスパビリオン」は、来場者、特に子どもたちの記憶に残り、豊かな心を育む原体験となる「来場者参加型エンターテインメントパビリオン」を目指す。カーボンニュートラルという地球規模の課題を考える展示を行う。
 NTTのパビリオンは「NTT PAVILION2025 NATURAL 生命とITの〈あいだ〉」。「拡張するパビリオン」と「生きているパビリオン」「一緒につくるパビリオン」「循環するパビリオン」をコンセプトとして、リアル・バーチャルで万博の来場者に「ワクワクするような未来、社会課題への気づき」を促す。
 バンダイナムコHDは「ガンダムパビリオン(仮称)」。「機動戦士ガンダム」をテーマに未来社会の課題解決に向けた実証実験の成果などを提供し、ガンダムが示す可能性が感じられるパビリオンをつくっていく。
 パソナグループのパビリオン名は「PASONA Natureverse」。同社グループの仕事は「人を活(い)かす」こと。誰もが健康で活躍できる社会の実現を目指しており、パビリオンでの体験を通じて、世界中のすべての人たちが、いのちを尊び、いのちへの感謝で包まれる世界や、多くの人の「ありがとう」が響き合う世界を目指す。
 パナソニックHDの「パナソニックパビリオン(仮称)」は「解き放て。こころとからだとじぶんとせかい。」がコンセプト。「ノモの国」と名づけた体験を通じて、自身の秘められた可能性「天分」に気付き、未来社会に向けて希望を抱いてもらえるようにする。
 三菱大阪・関西万博総合委員会は「三菱未来館」を出展。基本コンセプトは「いのち輝く地球を未来につなぐ」。「いのちの始まり、いのちの未来」「いのちの尊さ」「いのちの出会いと共に生きる奇跡」などの思いや不思議を共有してもらい、いのちと未来を想像する時間と空間を体験できるようにする。
 吉本興業HDは「よしもとパビリオン」を計画。テーマは「waraii」。キーワードは「世界の子どもたち」「笑い」「つながる」。「分断と対立の世の中に笑いの力を世界の子どもたちと示したい」考え。
 出展参加内定者の一つ大阪外食産業協会は、出展契約に向け協議中。各企業らはパビリオンの展示物は25年3月13日までに設置を完了する。



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2022年5月30日月曜日

国交省/建築設計・工事監理の業務報酬基準改定へ、5月30日から実態調査

 国土交通省は建築設計・工事監理の業務報酬基準の改定に向け、建築士事務所の業務内容や業務量を把握する実態調査を30日に始める。建築設計関係団体を通じて選定した数百社の建築士事務所へアンケートの協力を要請。現行基準の課題を踏まえ複合難易度や複合建築物、省エネ計算の取り扱い方などを反映させるためのデータを収集。8~9月に回答を締め切り、基準改定の議論に入る。遅くとも2023年度までに新基準を告示する予定だ。
 アンケートはウェブで行う。調査票は▽新築工事(一戸建て住宅)▽同(一戸建て住宅以外)▽改修工事(間取り変更を伴う住宅改修)▽同(省エネ計算を伴う断熱改修)-の4種類。18年4月以降に完了した設計・工事監理業務を対象に、該当案件に応じ複数の調査票に答えてもらう。回答期限は新築が8月12日、改修が9月12日。データの集計・分析を経て、学識者や関係団体で構成する「業務報酬基準検討委員会」で改定案を検討する。
 調査を前に、検討委は現行基準で対応しきれていない課題を中心にデータを重点的に収集する7項目を整理。このうち▽一戸建て住宅の実態に合わせた略算法の見直し▽難易度の観点に複数該当する場合の取り扱い▽複合建築物の取り扱い▽省エネ適合性判定・省エネ計算の取り扱い-の4項目は、有効なデータを集めて新基準に盛り込みたい考えだ。
 残りの▽BIMの業務の取り扱い▽工事監理業務の工事期間などによる業務量の増減▽改修工事の設計などに関する基準整備-の3項目は、次回以降の改定を見据え現状把握を目的に設問に加えた。
 前回改定時は約700社、約6000件のプロジェクトデータを収集した。今回は一戸建て住宅などでより多くのサンプルを集める必要があり1・5倍程度の回答社数を見込んでいる。
 建築士法に基づく業務報酬基準は、建築士事務所が建築主などと設計・工事監理受託契約を締結する際に報酬を算定するための基準となる。国が報酬の算定の考え方や略算方法を告示で定めている。現行基準は「国土交通省告示98号」として19年1月に公布・施行された。



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資材高騰/日建経/会員同士の共同購入後押し

 資材価格高騰などを受け、日本建設業経営協会(日建経、中村信吾会長)が会員企業同士の共同購入を後押しする。日建経を調整役に共同購入を希望する資材などの抽出や会員同士のマッチングに努める。共同調達で1回当たりの仕入れ量を増やすことで販売店と価格交渉しやすくなると分析。単体購入よりもコスト削減を見込めると見て共同購入への参加機運を高めていく。
 26日に東京都内で開いた定時総会後の幹部会見で、中村会長は「状況に合わせた素早い購買の工夫が必要になる」と強調。資材などのコスト上昇分が適切に工事費に転嫁されることに期待感を示すと同時に、受注者側の対応として「共同購入を本格検討したい」と表明した=写真。
 共同購入などを研究する日建経会員の担当者によると、鉄筋工事用の鋼製スペーサーをコロナ禍以前から現在まで会員8社で共同購入し、コスト削減につなげている実績があるという。今後は共同購入に参加する会員や対象資材などの拡大を視野に入れている。



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先端建設技術センターら/CO2地盤凍結で実証実験/配管効率化などコスト縮減へ

 先端建設技術センター(佐藤直良理事長)とケミカルグラウト、成和リニューアルワークスが、液化二酸化炭素(CO2)を用いた地盤凍結工法の高度化へ実証実験を展開中だ。水槽内の模擬地盤を凍結し、施工方法の効率化などを検証。従来は並列に設置していた凍結管を直列につなぎ、同等の効果が見込めることなどを確認した。作業の手間を軽減し、コストや工期の縮減につながるとみている。自動化を見据え、AIや3D計測を活用した検証も進める。
 高度化に取り組む地盤凍結工法「ICECRETE(アイスクリート)」は、地中に平型の凍結管を配置し、その中に液化CO2を循環させ、気化潜熱で冷却する。同センターらによると、自然冷媒による地盤凍結工法は世界初。不凍液(ブライン)やフロンガスを使う従来方式より熱交換効率が高く、設備の小型化が可能で、温室効果ガスも大幅に削減できる。7件の実績がある。
 実証実験は日本建設機械施工協会の施工技術総合研究所(静岡県富士市)で行っている。期間は4月4日~6月24日。液化CO2の循環方法や凍結管長さ、最適流量などを検証し、液化CO2循環の最適化や冷媒配管の合理化、凍土管理の高精度化などにつなげる。
 凍結管を直列につないだ実験では、従来型の並列つなぎと同等の凍土が形成できることを確認。限界凍結長を把握するため、1本2メートルの凍結管を7本直列でつないだ検証も進めており、順調に施工できている。液化CO2の最適流量や、液化CO2温度と凍土造成量の相関性も把握できた。
 実験用水槽の背面に凍結管を張り付けて凍土を造成する実験なども実施中。凍結プラントのクーリングタワーの性能評価や、温かいブラインを循環させて強制的に凍土を解凍する試験も行う。カメラで作業者の行動を記録して自動化が可能な作業を特定する試みや、3D計測で凍上や解凍沈下を評価する試みも進める。
 同センターらは25~27日に見学会を開いた。発注者、施工者、学識経験者ら約180人が参加。27日の見学会で佐藤理事長は「トータルで環境負荷を低減し、地盤改良のレベルを上げる開発だ。この種のトライは世界初で、実用化すれば世界に羽ばたける。同業者が手を組んで最終段階を迎えようとしている」と話した。ケミカルグラウトの立和田裕一社長は「実績を増やしており、この工法を進めたい」と意欲を示した。



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大成建設/固化改良地盤の強度を原位置で早期に把握できる装置開発

 大成建設は、軟弱地盤にセメントなどを添加・混合した固化改良地盤の強度を原位置で測定できる装置を開発した。地盤強度の最終的な性能評価に必要な一軸圧縮試験(JIS規定)に先立ち、簡易試験としても使われる「針貫入試験」に着目。原位置地盤に設けた孔内に針貫入装置を搭載した円柱形の測定装置を挿入し自動で試験を行う。容易に多点の実測強度分布データを取得でき、早期に地盤強度が把握できる。
 現行の性能評価は、固化改良地盤を造成し地盤が固化した段階でコアボーリングを実施。円柱の供試体に整形し一軸圧縮試験を行う。供試体は高さ10センチ程度が必要で1メートル当たり9点程度しか採取できず、手作業のため測定まで最低2日かかる。改良地盤の要求性能は一軸圧縮試験で評価するが、固化改良地盤の造成から28日後に強度が判明するため、強度不足の場合に工期に影響を及ぼすことがあった。
 開発した装置「T-GeoPenester(ティー・ジオペネスター)」は直径108ミリ、高さ413ミリでカメラを搭載。固化改良地盤に設けた孔内を深度方向、円周方向に自動で移動する装置を挿入し固定する。一軸圧縮強度と相関がある地盤工学会基準の針貫入試験を行う。
 1カ所当たり測定時間は約2分と短く、複数の測定位置の地盤強度が迅速に把握できる。測定データや画像の確認はパソコンでリアルタイムに行える。深度方向の測定間隔を2センチとした場合、1メートル当たり50点の強度分布データを約1時間半で取得できるという。
 同一孔内の同一深度で貫入装置を回転させることで繰り返し地盤強度を測定でき、同一箇所で強度変化の把握も可能だ。施工後1週間程度の早期材齢の地盤強度を基に28日後の材齢強度を高精度に推定。地盤強度の確認時期を早めることで施工の手戻りリスクを低減できる。
 今後は性能評価技術をさらに高め、実績を重ねることで一軸圧縮試験の代替として標準化を目指す。



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三菱地所/トーチタワー新築工事/優先交渉権者に清水建設

 三菱地所は東京駅前で進める複合開発「TOKYO TORCH(トウキョウトーチ)」で、国内最高となる高さ約390メートルの超高層ビル「Torch Tower(トーチタワー)」の新築工事の優先交渉権者を清水建設に決めた。既存2棟のビルの解体工事も任せる。2023年度にも新築工事に着手し、27年度の竣工を目指す。工事費は明らかにしていない。
 トーチタワーは地下4階地上63階建て延べ約54万4000平方メートルの規模。完成すれば、大阪市阿倍野区の「あべのハルカス」(約300メートル)や、森ビルが「虎ノ門・麻布台プロジェクト」(東京都港区)で建設中のメインタワー(約330メートル、23年竣工予定)を抜き、国内で最も高いビルになる。
 ビルは7~53階がオフィスフロアとなる。地下3階~地上6階は店舗、MICE(国際的なイベント)に対応可能なホールを3~6階に設ける。高層部には展望台やホテルに加え、大丸有(大手町・丸の内・有楽町)エリア初の賃貸住宅となる計50戸のレジデンスを整備する。設計・監理は三菱地所設計が担当している。
 年内に閉館する「日本ビル」と「朝日生命大手町ビル」の2棟を解体し、跡地にビルを建設する。プロジェクト全体では総延べ約74万平方メートルの施設群を整備する計画。昨年6月に「常盤橋タワー」(延べ14・6万平方メートル)、今年3月には「銭瓶町ビルディング」(延べ3万平方メートル)が竣工した。トーチタワーの着工でプロジェクトは最終段階に入る。



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2022年5月27日金曜日

大建協・錢高久善新会長が会見/価格・工期対策を推進、幅広く情報発信

 大阪建設業協会(大建協)の2022年度定時総会で新会長に就任した錢高久善錢高組社長と副会長の再任が決まった中道正伸中道組社長が25日の総会後に記者会見し、錢高会長は「建設資機材の価格が高騰し不足している。24年4月の時間外労働の上限規制規定適用も控え、適切でない価格と工期のダンピング対策に取り組む」方針を明らかにした。情報発信にも言及し「建設業・建設産業に縁のない人たちにも魅力や面白さを発信して将来的な担い手確保につなげるという問題意識を持ち、取り組みたい」と語った。
 錢高会長は「蔦田守弘前会長は激変の環境の中、さまざまな施策を打ってきた。まずその施策に取り組み、成果を出したい」と説明。本年度の活動方針に触れ「方針に基づき一つ一つ取り組む。中でも物価上昇や残業時間の課題は、建設会社と業界だけで解決できない。近畿地方整備局など行政と連携し、社会に現状を正しく理解してもらえるように啓蒙・情報発信したい」考え。
 大阪・関西圏の活性化については「特に2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)は重要なイベント。開催地の建設団体であることを自覚し、成功に貢献したい」との認識を示し「品質の良い万博の建築物・構造物をつくる。工期が限られる中で関係機関と課題を話し合い、円滑に仕事を行うための解決策を模索したい」と述べた。「万博の会場整備を通じて、建設業の魅力が光り、社会から認知されるような仕掛けを考える。個人的にも万博の成功がとても楽しみだ」と語った。
 建設キャリアアップシステム(CCUS)について「技能労働者の将来的な生活設計のために意義のある制度」とし、「会員企業だけでなく幅広い事業者の登録が進むよう取り組む」方針だ。
 中道副会長は「建設資材高騰で、中小・中堅企業は非常に厳しい経営環境にある。時間外労働時間の上限規制適用も近い。中小・中堅企業は民間建築工事を多く施工しており、4週8休実現には適正な工期設定が必要。近畿整備局などに公共工事と同様の対応を求めたい。生産性向上の取り組みもDXが主体となる。セミナー開催も検討したい」と語った。



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自民CLT地方創生実現議連/利用拡大へ法整備、耐火規制見直しで提言

 自民党の国会議員でつくる「CLTで地方創生を実現する議員連盟」(会長・石破茂衆院議員)は26日に東京都内で総会を開き、建築物へのCLT(直交集成板)の利用拡大へ法整備を目指す考えを明らかにした。基本理念などを位置付ける根拠法を新たに作り、国家的な取り組みとしてCLT活用を推進する体制を整えたい考えだ。総会後、日刊建設工業新聞社の取材に応じた石破会長は「新法は議員立法がなじむ。早ければ次期通常国会にも法案を提出したい」と意気込みを語った。
 石破会長は新法について、CLTの利用に関する基本理念を法的に位置付け、国や地方自治体などの責務を明示することをイメージしている。総会では古屋圭司会長代理も「CLTの推進に関する基本法が必要」と指摘した。石破会長はCLTを飛躍的に普及させる工夫として「CLT特区」の創設を提案した。
 議連は立法化と併せて、CLTなどを採用した中高層木造建築物の拡大を目指し、政府への働き掛けを強めている。総会で「中高層建築物の木造化促進についての提言」を決定。近く松野博一官房長官に提出し「経済財政運営と改革の基本方針2022(骨太の方針)」への反映を狙う。
 提言では中層木造建築物の耐火規制の見直しを要求した。現行規制では、1時間耐火を超えて2時間耐火の性能を求める建築物の範囲が広く、普及の妨げになっているという。基準をきめ細かくするなど普及を後押しするものに変更するよう求めた。総会に出席した国土交通省の淡野博久住宅局長は「中層の9層位までの建物について、耐火時間規制の見直しにスピード感を持って取り組む」と応じた。
 設計者や施工者が取り組みやすい環境を整備するため、CLTの部材と設計法などの標準化や規格化も訴えた。標準的なBIM木質部材データの整備も必要とした。地方都市にも標準規格を着実に浸透させるため、地方の官民協働体制の強化を提言した。高層木造建築物の普及に向けて、先導的・先駆的なプロジェクトを大臣認定制度や補助事業で積極的に支援するよう求めた。



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再エネ電力20年度は利用限定的、50年CNへ導入加速/日建連調査

 日本建設業連合会(日建連、宮本洋一会長)は、再生可能エネルギーでつくる電力の2020年度利用実績をまとめた。環境委員会の会員41社を対象に初めて調査したところ、再エネ電力を作業所やオフィスなどで活用しているのは一部にとどまることが判明した。政府が20年10月に50年カーボンニュートラル(CN)を宣言して以降、官民挙げて取り組みが加速。日建連は今後、再エネ電力の導入や活用が一段と広がるとみている。
 「自社における再生可能エネルギーの使用状況調査」として初めて実施した。調査時期は昨年12月17~24日。環境委の構成企業41社を対象に行った結果、37社が回答した。会員の再エネ電力利用状況を共有することにより、参考データとして今後の二酸化炭素(CO2)排出量の削減対策に役立ててもらう。
 再エネ電力の導入会員数は12社。発電種別(複数回答)の使用量を集計した結果、バイオマスが最も多い2206万1787キロワット時(4社)。全体の48%を占めた。次いで太陽光1152万2634キロワット時(8社)、風力850万キロワット時(1社)、水力25万2771キロワット時(1社)、その他341万8085キロワット時(3社)の順になった。
 使用場所は回答15社のうち、作業所が11社、自社オフィスと技術研究所が各2社だった。
 回答企業からは「再エネ電力を利用する拠点や作業所では脱炭素意識が向上する傾向にある」という前向きな意見が挙がった。一方、「再エネ電力の需要が多くなることで(電力全体の)不足や価格上昇が懸念される」「JVサブでは脱炭素よりもコストが優先されるケースが多く、再エネ電気が高くなる場合は説得が困難」といった声も寄せられた。
 日建連は昨年4月に「建設業の環境自主行動計画第7版」を公表し、施工段階のCO2排出抑制目標として13年度比で30~40年度の早い時期に40%削減(原単位)を目指している。再エネ電力は有効な対策になる半面、コストの増加を招く可能性も高い。そのため会員には経営への影響を最大限考慮しつつ再エネ電力の導入を促していく。



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沖縄・運天港軽石大量漂着/国交省の除去活動が進展、6月9日まで活動

 海上に浮遊した軽石が沖縄県などの港湾や海岸に漂着している問題で、国土交通省による回収活動が進展している。沖縄県の本島北部に位置する「運天港」(今帰仁村)では1月以降、県と連携した軽石対策を展開。砂利採取運搬船やバックホウなどを使い、9日までに約5万m3を除去した。国の活動期間は同日までの予定だったが、港内に依然軽石が残っている状況を踏まえ、6月9日まで活動を延長する。
 運天港は湾口が細長く内海が広い。内海に入り込んだ軽石が自然に出て行かず、県が対応に苦慮していた。国交省は県の要請を受け、昨年12月に港湾管理の代行を開始。1月には直轄による除去活動にも乗り出し、同月中に離島フェリーの運航を正常化させた。
 軽石の漂着は落ち着いたが、現在も続いているという。海洋研究開発機構(JAMSTEC、大和裕幸理事長)によると、当面は沖縄・鹿児島両県近海の広範囲で漂流を続ける見通しだ。



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NTTアーバンソリューションズら/デジタル活用し快適なオフィス創出へ

 NTTアーバンソリューションズとNTT都市開発は、デジタル技術を導入したオフィスづくりに力を入れる。ワーカーの行動履歴やスケジュールなどのデータに応じて、それぞれに合った働き方を提案。快適で効率の高い作業を後押しする。両社が本社を置く「秋葉原UDX」(東京都千代田区)に実験的に技術を導入し、その効果を検証していく。
 秋葉原UDXの6階フロアに「未来のオフィス 4×SCENE(フォーシーン)」を開設した。NTTアーバンソリューションズの一部の社員らが実際に利用し、それぞれの趣向やスケジュール、行動履歴などを取得。複数のデータを基に働く場所や出社時間、休憩のタイミングなどを提案し、生産性を高めてもらう。各ブースの利用状況も収集し、今後のオフィス開発に役立てる。
 約1000平方メートルのオフィスには、各ワーカーのニーズに柔軟に対応できるよう四つの空間を整備した。ブースやソファなど豊富な席を用意し、個人で仕事に集中できるようにしたスペースや、リモート勤務の社員なども集まる共同執務スペースを設けた。
 カフェを配置し音楽や照明による演出も可能な交流スペースや、モニターによって来訪者へのプレゼンテーションに活用できるスペースなども整備した。オフィスには初めての採用になるという「瞑想(めいそう)室」も設け、ワーカーのウエルビーイング(幸福)を高める。
 NTTアーバンソリューションズの担当者は「一人一人が最適な体験をできるようにデジタルでサポートしていく。データを使用したレコメンドができる点は、NTTグループならではの強みになる」と話した。



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2022年5月26日木曜日

東京都/首都直下地震被害想定見直し、建物被害19万棟・死者6100人

 東京都は25日に都庁で防災会議(会長・小池百合子知事)を開き、首都直下地震による被害想定を10年ぶりに見直した。都心南部で直下地震(マグニチュード7・3)が発生した場合、都内の建物被害は19万4431棟、死者は6148人に上ると推計した。建物の耐震化や不燃化の進展を受け、2012年公表の従来想定と比べ、被害を3~4割軽減できると見込んだ。
 建物被害の要因別では「揺れ」が8万2199棟(従来想定11万6224棟)、「火災」が11万2232棟(18万8076棟)だった。都はこの10年で特定緊急輸送道路沿道建物の耐震化率を81・3%から86・7%に、住宅の耐震化率を81・2%から92・0%に引き上げた。不燃化も進み、1万6000ヘクタールあった木造住宅密集(木密)地域が8600ヘクタールに減った。
 新しい被害想定を踏まえ、都は地域防災計画(震災編)の改定作業に入る。同日の防災会議では改定方針も示され、10年後に達成すべき減災目標を設定するとした。タワーマンションの入居者の増加や、テレワークの浸透など社会環境の変化による防災上の課題を洗い出し、対策を講じる。23年1月下旬に修正素案を公表し、4月以降早期に決定する。
 併せて「都市強靱化プロジェクト推進会議」も立ち上げる。都市の強靱化に向け長期的な視点で取り組むべき施策を協議する。武市敬副知事が座長を務め、各局長が委員として参加する。



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資材高騰「影響あり」92%/請負額・工事費の乖離など課題/群馬建協調査

 群馬県建設業協会(青柳剛会長)は25日、会員企業に行った資材価格の高騰に関する調査結果を発表した。92%に相当する222社が「影響が出ている」と回答。請負額と工事費の乖離(かいり)や、民間工事の工期・契約金額の確定などに影響があるという。民間工事で契約の課題が浮き彫りになり、工事を中止する施主がいた。調査結果は発注機関との意見交換の基礎資料などに使い、必要な対応を求めることにしている。
 2020年度から今年4月30日までの契約工事を対象に5月10~17日に回答を求めた。全会員の90%に当たる242社が回答した。
 資材価格の高騰は「影響が大きく出ている」が107社(回答割合44%)、「少なからず影響が出ている」が115社(48%)で、「今のところ影響が出ていない」は20社(8%)だけだった。「発注者の予算に合わない」「工事費がかかりすぎ、利益が上がらない」といった窮状を訴えたり、下請価格の高騰、受注単価と資材調達単価の差異を指摘したりする意見が多く届いた。
 影響が出ている資材は、生コンクリート、鋼材、木材の順に回答が多かった。公共工事を受注する会員企業が多いため、影響のある工事は▽公共土木▽公共建築▽民間土木▽民間建築-の順に多かった。
 公共工事は賃金と物価の高騰時に請負額を変える契約のスライド条項を197社(82%)が「知っている」と回答したが、191社(97%)が「あまり有効でない・見直しが必要」または「有効であるが運用を改善してほしい」と回答した。
 民間工事は物価変動に伴って請負工事費を変更する条文のある契約書を使用しているのが58社(30%)にとどまり、「使用していない」が134社(70%)だった。使用している会社は、「変更に応じてくれた」という回答が6社(9%)あったが、計画や工事によって応じてもらえない場合が多いことが分かった。会員企業からは「物価変動リスクは請負者が負うべきという認識がある」「相手企業の予算枠が決定している。物価高騰を理由にした値上げは強く主張できない」などの意見があった。
 民間工事は資材価格の高騰を理由にした工事の延期・中止が「ある」というのが71社(37%)と高い割合になっていた。



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海外受注V字回復、21年度60・2%増の1・8兆円に/海建協まとめ

 新型コロナウイルスの影響で落ち込んだ建設関連企業の海外受注がV字回復--。海外建設協会(海建協、相川善郎会長)がまとめた会員企業51社の2021年度海外建設受注実績は、前年度比60・2%増の1兆7855億円になった。コロナ禍から経済・社会活動の回復が進む国や地域で、会員企業の現地法人の手掛ける民間建築が堅調だった。過去最高の2兆円台を記録した19年度実績と比較しても87%の高水準となった。
 ただ資機材の高騰やウクライナ情勢など不確実性が高まっており、今後も予断を許さない状況が続くとみられる。受注件数は合計1866件だった。受注実績の内訳は日本の企業本体(本邦法人)が13・2%増の3902億円、現地法人が81・3%増の1兆3953億円だった。
 8地域別の受注実績は多い順に▽アジア=9846億円(前年度比52・5%増)▽北米=5021億円(115・3%増)▽大洋州=1420億円(72・0%増)▽東欧=903億円(18・8%増)▽欧州=202億円(91・3%増)▽アフリカ=198億円(60・6%減)▽中南米=145億円(64・7%増)▽中東・北アフリカ=120億円(66・2%増)。コロナ禍からの回復が早い先進国を中心に、前年度から大幅に上昇した。
 25日に東京都内で記者会見した海建協の山口悦弘副会長専務理事は21年度実績について「かなり回復できた」と手応えを語った。一方、22年度の見通しは「先行きが不透明」と分析。資機材の価格上昇とサプライチェーン(供給網)の確保、エネルギー価格の高騰や人件費の上昇圧力、ロシアのウクライナ侵攻の影響など、事業を取り巻く環境が依然として厳しいためだ。海建協は会員企業への支援を含め不安定要素への対策をしっかりと講じ、さらなる回復につなげたい考えだ。



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前田建設ら/交通危険事象検知システム開発、車両前方画像をAIで解析

 前田建設は25日、車両前方を撮った画像をAIで解析し、危険事象を検知するシステムを実用化したと発表した。ビッグデータ解析技術などの開発を行うCreate-C(クリエイト・シー、東京都千代田区、仲条仁社長)との共同開発。工事車両の運転管理やドライバーへの注意喚起に役立てる。ハザードマップも自動生成し、経路上の危険箇所の共有が可能だ。
 交通危険事象検知システム「AI SAVE」は、車両に取り付けたスマートフォンで前方の画像を1秒1枚、フルハイビジョン画質で撮影。クラウドに集めた画像約72万枚をAIに学習させた。危ない動きや注意すべき通行区間など8項目で、危険を検知した場合にドライバーに警告する。深層学習と画像解析の技術を統合し車線逸脱や人の検出、車間距離などの算定を実現した。スマートフォンのセンサー情報と外部データを組み合わせ、速度超過や一時不停止なども把握できる。
 検知した危険は管理者も確認が可能。管理用ウェブサイトで現場別や運転手別、日付別などで検索や集計ができ、事象が起こった箇所を地図に印付けたハザードマップを自動生成する。危険事象の前後は動画で確認できる。ドライバーに注意喚起しやすくなり、安全意識の向上につなげる。現在、特許を出願中。今後は検知精度の向上などシステムの改良を進める。
 従来の車載加速度センサーやドライブレコーダーだけでは、危険な出来事の判定基準があいまいで警告のタイミングがはっきりせず、運転手に具体的な注意が難しかった。管理者側も詳細な運転状況を把握するために、時間をかけて動画を確認する必要があった。



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福田道路/愛知総合工科高で体験学習、生徒がアスファルト敷きならし体験

 福田道路中部支店は、愛知県立愛知総合工科高校(名古屋市千種区)の生徒を対象に舗装工事の体験学習を開催した。18人の生徒が参加。舗装の種類や構造、整備工程などの基本を座学で学んだ後、校内のテストヤードでアスファルトの敷きならしを体験した=写真。
 参加したのは、クラブ活動の一つである建設技術部に所属する1~3年生18人。建設業に関心のある生徒が、建設に関する知識や技術を学んでいる。開校当時からある部で、現在は26人が所属。今回の体験学習は同社の提案で実現した。
 同校を訪れた斎藤望業務管理部次長と本間悟技術部課長は、パワーポイントや動画でアスファルト舗装の基礎を解説。舗装は見えているのは表面だけで、実際は何層にも重なっていることや、アスファルトは150度以上の高温で溶け、砕石と砂の割合で性能が変わることを説明した。
 その後、体育館横の空き地に同社が午前中に整備したテストヤードに移動。路盤の上にバックホウでまかれたアスファルトの敷きならしを、同社の担当者がレーキを使って実演。生徒たちは「温度が下がると作業がしにくくなる。締め固めを考慮し少し厚く盛り、熱いうちに手早く作業することが必要」とアドバイスを受けながら、アスファルトを平らにならす作業を体験した。
 参加した生徒は「思ったより熱いし、アスファルトが重い。夏は作業が大変そう」と感想を話した。また、締め固められたアスファルト舗装の上を歩き、自分たちが行った敷きならしの出来栄えを比べていた。建築科の富永建也教諭は「建築科の生徒でも授業で舗装は学ばず貴重な体験。知識だけでなく肌で感じる方が興味を持ってもらえるだろう」と話した。



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2022年5月25日水曜日

内閣官房/国土強靱化へ民間主導の対策促進、補助金や税制措置で支援

 内閣官房は国土強靱化施策の効果を高めるため、官民連携を拡大する。民間主導の取り組みを引き出すため、補助金や税制措置などの支援を手厚くする方針。既存の措置でカバーできていない分野への対応、民間の自由な発想や行動を引き出す仕掛けを検討する。国土強靱化施策の根幹となる「基本計画」を変更し、民間の投資促進策などを反映する。次期基本計画は2023年末の閣議決定を目指す。
 内閣官房がナショナル・レジリエンス(防災・減災)懇談会(座長・藤井聡京都大学大学院工学研究科教授)の会合を24日に東京都内で開き「官民連携の促進と民間主導の取り組み活性化のあり方素案」を提示した。
 政府は現在も国土強靱化関連の補助制度31件、税制23件のメニューを用意し、民間の取り組みを財政支援している。ただ、民間は限られた予算を足元の課題解決や将来の収益確保へ優先配分せざるを得ないため、国土強靱化の対策費用を確保しづらい傾向もある。
 業界団体からは「民間投資を誘発する国土強靱化税制の創設」(経団連)を求める声や、「民間企業は自主的な防災・減災投資の取り組みへの後押し(予算や税制)を求めている」(全国8経連)といった意見が出ている。そうした実情を踏まえ、補助金や税制などの拡充を検討。民間の自由な発想や工夫を生かせるルールや要件を模索する。
 民間の防災投資を評価する仕組みや、民間企業が管理する公共インフラの強靱化について官民連携と役割分担の在り方も考える。
 基本計画の見直しに当たり、脆弱(ぜいじゃく)性評価の前提条件とする45項目の「起きてはならない最悪の事態」も見直す。近年の災害から得た教訓や社会情勢の変化など新たな観点を追加。必要に応じて項目の統合や再整理を行う。
 追加が必要な観点として、19年台風19号のように広域的に被災し、多数の死傷者や社会経済活動の停滞などが発生するケースを想定。大規模・長期間の電力供給の停止、感染症まん延下での災害発生なども列記した。



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日空衛/新会長に藤澤一郎氏(ダイダン社長)選出

 日本空調衛生工事業協会(日空衛)は24日、東京都千代田区の帝国ホテルで定時総会を開き、新会長にダイダンの藤澤一郎社長を選出した。任期は2年。
 藤澤 一郎氏(ふじさわ・いちろう)1979年愛媛大学工学部生産機械工学科卒、大阪電気暖房(現ダイダン)入社。2009年取締役兼執行役員産業施設事業部長、11年同常務執行役員技術本部長、13年同専務執行役員東日本地区担当兼東京本社代表、16年同副社長執行役員東日本地区担当兼東京本社代表兼開発技術グループ長、18年から現職。団体活動では18年に日空衛理事、19年に副会長を務めた。岡山県出身、65歳。



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IPEF参加13カ国が共同声明/インフラを重要分野に、開発支援で競争力向上

 岸田文雄首相は23日、米国主導の経済圏構想「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」の立ち上げに関する首脳級会合に出席した。枠組みに参加する米国や日本、インドなど13カ国が共同声明を発表。声明では重要な分野の一つにインフラを位置付けた。持続可能で耐久性のあるインフラの開発支援や技術協力などで競争力を高める方策を探る。貿易やインフラ投資などで台頭する中国に対抗するため、民主主義主導の経済協力関係の構築を目指す。
 会合で岸田首相は「IPEFを通じて、これからのインド太平洋の持続可能な成長、平和と繁栄を実現するための経済秩序を作りあげていこう」とスピーチした。バイデン米大統領は「持続可能で包括的な経済成長を目指し、地域の諸課題に取り組んでいく」と決意を語った。
 IPEFは民主主義の価値観を共有する国や地域が共通のルールで投資や貿易に取り組む仕組み。共同声明では当面の協力分野として▽貿易▽サプライチェーン(供給網)▽クリーンエネルギー、脱炭素化、インフラ▽税、腐敗防止-の4分野を設定した。
 岸田首相とバイデン大統領は同日に二国間の首脳会談も開き、質の高いインフラ投資の重要性を再確認した。先進7カ国(G7)などと協力しながら世界のインフラ需要に対応するため、取り組みを一段と推進する。会談の成果として、共同声明「自由で開かれた国際秩序の強化」を発表した。
 日米両国の競争力・強靱性の強化に向けた「日米競争力・強靱性パートナーシップ」の施策も議論。インド太平洋地域での協力として、2019年に大阪市で開かれた20カ国・地域(G20)大阪サミットで採択された「質の高いインフラ投資に関するG20原則」などを踏まえ、質の高いインフラプロジェクトを認証する枠組みの設計を促すとした。新興国での質の高いインフラ開発を支援。気候やデジタル経済、持続可能な開発など国際的な課題解決に向けたインフラプロジェクトを後押しするよう、日米の民間事業者を誘導していく。



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GEヘルスケア、清水建設/医療現場の生産性向上へ協業

 医療機器メーカーのGEヘルスケア・ジャパン(東京都日野市、多田荘一郎社長兼最高経営責任者〈CEO〉)と清水建設が、DXを追求したスマート・ホスピタルの構築に向け協業する。GEヘルスケアと社会医療法人誠光会淡海医療センター(滋賀県草津市)が協働で導入した国内初の中央管制システム「コマンドセンター」と、建物設備と各種アプリなどを相互連携する清水建設の建物オペレーティングシステム(OS)のデータを連携。医療現場の生産性向上に取り組む。
 病院運営と施設運営のデータを連携しDXを駆使することで予見性の高い分析能力の強化や、運営全体の効率化・最適化を図る。将来的には新築・改築案件を対象にトータルプロデュースサービスとして設計から施工、医療システム、機器最適配置、運用モデルまでデジタルサービスを基軸とした共同提案を目指す。
 舞台となる淡海医療センターのコマンドセンターでは、医療情報システムから収集した電子カルテなどのデータをリアルタイムに分析。病床の稼働状況やスタッフの業務を画面で見える化し、病床の割り当てやスタッフ配置など迅速な意思決定を支援している。
 協業の事前準備として淡海医療センターの既設設備機器を集中監視するプラットフォームを清水建設の建物OS「DX-Core」で構築。コマンドセンターとのデータ連携とともに、病院運営の効率化に向けた課題を抽出する。次のステップで両システムのデータ連携を実証。最終段階では実証成果を踏まえ、地域医療連携推進法人湖南メディカル・コンソーシアム(草津市)に加盟する31法人99施設に連携システムの展開を目指す。
 清水建設の井上和幸社長は「DX-Coreはデジタルな空間、サービスを提供する代表格の技術だ。誠光会とGEヘルスケアとの協業で培った知見を展開することで医療施設に導入が進み、業務効率化に貢献することを期待している」とコメントした。



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北陸整備局/インフラDX人材育成拠点を整備、検討業務はエイト日技に

 北陸地方整備局は24日までに、「令和3年度北陸インフラDX人材育成センターの整備検討業務」の委託先にエイト日本技術開発を選定したことを明らかにした。近く契約を結ぶ予定。簡易公募型プロポーザル方式で選定した。同業務にはほかに日本工営、開発技建・先端建設技術センターJVが参加表明書を提出した。
 業務内容は、2022年度内に北陸整備局北陸技術事務所(新潟市西区山田)内に設置予定の北陸インフラDX人材育成センターの基本構想立案、同センターの設計、インフラDXの教育・研修拠点になる「DXルーム」の基本構想立案と設計各一式。履行期間は23年1月31日まで。
 23日に発表した北陸整備局が22年度に実施するインフラDXの主な取り組みによると、人材育成センターには、遠隔操作が可能なバックホウの操縦が学べる現場実習フィールド、DX技術が体験できる各種研修に利用可能なDXルームなどを設ける。



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2022年5月24日火曜日

日建連、トンネル専門協/肌落ち災害防止へ指針、切羽立入の判断基準明確化

 日本建設業連合会(日建連、宮本洋一会長)と日本トンネル専門工事業協会(トンネル専門協、野崎正和会長)は、掘削作業時の切羽(掘削最先端)肌落ち災害対策を強化する。一連の作業項目ごとに作業員が切羽に立ち入る必要可否の判断基準を明確にした。立ち入らせる際に必須もしくは推奨する安全確保対策も示した。今後は日建連とトンネル専門協の考え方を実際の工事に反映するため、厚生労働、国土交通両省や発注者に要望項目を伝え対応を求める。
 23日に「トンネル切羽範囲内立ち入り作業における安全対策指針」を公表した。昨秋に日建連の会員企業が施工しているリニア中央新幹線のトンネル工事現場の切羽で肌落ちによる労働災害が相次ぎ発生。日建連は専門的見地から対策を考える必要があると判断し、トンネル専門協と共同で同指針を策定した。
 指針では掘削作業の前提条件として、天端から手前に45度の範囲内を立ち入り可能な切羽近傍エリアとする。トンネル断面は高速道路会社が標準とする80平方メートル程度を想定。重機に搭乗しての立ち入りは可能とし、発破確認時の立ち入り作業は原則認めない。
 掘削作業のサイクルを構成する▽穿孔(せんこう)・装薬▽発破▽ずり出し▽コソク・当たり取り▽1次吹き付けコンクリート▽鋼製支保工建て込み▽2次吹き付けコンクリート▽ロックボルト打設-などの項目を抽出。それぞれ切羽への立ち入り必要可否の判断基準を明確にした。
 各作業項目で作業員を立ち入らせる際に必須または推奨する安全確保対策も整理。全体的に地山が軟弱な状態にある、穿孔・装薬や発破といったサイクル前半の項目ほど必須とする安全確保対策の数が多い。
 日建連とトンネル専門協は厚労、国交両省や発注者に対し、実際の工事で指針の内容を反映していくための対応を求める。厚労省には切羽への労働者の立ち入りを原則禁じている「山岳トンネル工事の切羽における肌落ち災害防止対策に係るガイドライン」の見直しを要望。国交省には受発注者協議の省力化や適正な安全対策経費を計上するための積算基準見直しなどを呼び掛ける。発注者には指針に沿った必要な工程などを設計段階から十分に考慮するよう求める。



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鹿島、金沢工大/セメント系3Dプリンティングの共同研究開始

 鹿島と金沢工業大学(KIT)は23日、セメント系3Dプリンティングに関する共同研究を開始すると発表した。同大やつかほリサーチキャンパス(石川県白山市)内に設置した「KIT×KAJIMA 3Dプリンティングラボ」を拠点に、3Dプリンティングで環境配慮型コンクリートの構造物を具現化する研究を進める。2023年度中に3Dプリンティングした製作物の北陸地方での設置を目指す。
 共同研究ではセメントの3Dプリンティングに最適な材料の選定、ロボット制御、補強材の設置を含めた構造計算、解析によるシミュレーションなどを行う。3Dプリンティングには鹿島、中国電力、デンカが開発した環境配慮型コンクリート「CO2-SUICOM(スイコム)」を適用する。CO2-スイコムは、コンクリートの製造過程で大量の二酸化炭素(CO2)を強制的に吸収・固定化させることで、CO2排出量をゼロ以下にする。
 鹿島と金沢工大は4月1日に同大やつかほリサーチキャンパス内に3Dプリンティングラボを設立し、ロボットアーム式3Dプリンターを設置している。
 セメント系3Dプリンティングは、ロボットアームの先端からセメント材料を吐出して積層しながら部材を製作する。3Dデータを直接3Dプリンターに読み込ませることで、図面作成から部材製作まで一連の作業をデジタルで完結でき、コンクリート構造物の製作で省人化が期待されている。一方、コンクリートの製造工程では大量のCO2を排出するため、CO2の排出量を削減する新しいコンクリートの開発が建設業界を中心に進んでいる。



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日揮HD/福島・浪江町で陸上養殖実証、12月までにプラント建設着手

 日揮ホールディングス(HD)は20日、福島県浪江町に統合環境制御システムを備えた陸上養殖プラントを建設すると発表した。関連技術の開発が目的。グループのエンジニアリング技術力を駆使し、閉鎖循環式陸上養殖システムの確立を目指す。センサーや画像から生産環境を可視化。収集したデータをAIなどで解析しながら生産を支援する。
 技術開発と生産実証、生産した魚の販路構築を手掛ける新会社「かもめミライ水産」を昨年8月に設立している。12月末までに北幾世橋地区で着工し完成後に魚の安定生産を実現する環境や設備機器の最適な組み合わせを実証する。需要が高いサバの生産を2024年に開始。まずは年間30トンを養殖し、27年ころまでに60トンへ引き上げる。福島の水産業を活性化するため、実証はいわき魚類(福島県いわき市、鈴木健寿社長)と共同で取り組む。
 日揮は岡山県内に閉鎖循環式の陸上養殖施設を建設済み。新会社は陸上での安定生産に向けて技術を確立するため、復興庁の復興特区支援利子補給金を支給する「復興推進計画」の認定を受け事業を実施。陸上養殖の普及を通じ海洋資源を保護とともに持続可能な水産業を目指す。



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JR東日本/浜松町駅(東京都港区)線路切り替え、京浜東北線ホーム拡張へ

 JR東日本は、東京都港区の浜松町駅で21~23日に実施した線路切り替え工事の現場を報道公開した。乗り入れる京浜東北線・大船方面のホームを拡充するため、駅の真横に位置する「浜松町架道橋」の橋桁を移設。並行して線路を横方向に切り替える工事が夜を通して行われた。山手線内を対象とした線路の切り替えは、2021年10月の渋谷駅以来という。
 JR東日本は浜松町駅に入線する京浜東北線・大船方面の線路を切り替え、ホーム幅を最大3・6メートルに広げる工事を進めている。施工者は土木・建築が鉄建建設、軌道を東鉄工業、電気は日本リーテックが担当している。ホーム幅を拡幅した上で、北口に設ける東西自由通路や26年度末の完成を目指す橋上駅舎を整備。周辺で進行中の「浜松町二丁目4地区再開発」に伴う利用者の増加を見込み、駅の利便性を一層高める。
 切り替え工事は26台の重機を使用し、全体で約1400人の作業員が携わっている。ホーム改良に当たり、まずは大門通りの頭上を通過する浜松町架道橋の橋桁を海岸方向へ最大5・6メートル移設。同時に延長約422メートルの線路を横方向へ1・8メートル~2・3メートル程度ずらす作業を行った。
 切り替えを完了した後は、作業員総出で路線にバラストを敷き詰める作業を行った。作業中、京浜東北線の田端~田町駅間は山手線の線路を利用して運行。京浜東北線の大船方面、山手線の外回りも一部本数を減らすなどして対応した。21日午後10時頃から作業を開始し、23日の始発に無事工事を完了した。



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JICA/南スーダン・ナイル架橋建設工事が完了、施工は大日本土木

 国際協力機構(JICA)が無償資金協力して南スーダンで進められていた「ナイル架橋建設工事」のプロジェクトが完了し、19日に開通した。武力衝突や新型コロナウイルスの流行で工事は計3回中断。多くの苦難を乗り越え、10年越しの開通となった。同日、現地で行った開通式でサルヴァ・キール・マヤルディット大統領が完成を祝った。
 同プロジェクトはJICAの無償資金協力による政府開発援助(ODA)案件として南スーダンが発注した。同国の首都ジュバ市を流れるナイル川に架設する橋梁で延長は560メートル。詳細設計やコンサルタント業務は建設技研インターナショナル、施工を大日本土木が担当している。総事業費は約121・6億円を見込む。
 2013年3月に開始した建設工事は難航を極め、クーデター未遂事件で同12月~15年2月に工事が中断。政府軍と反政府軍との武力衝突も重なり、16年6月以降工事が進んでいなかった。18年の和平合意を経て、19年に工事を再開。コロナ禍での一時中断を経て完成した。平和と自由を象徴するという思いを込めて「フリーダム・ブリッジ」と命名した。
 開通式にはキール大統領を含む政府関係者、堤尚広在南スーダン日本国大使館大使らが出席。同席した相良冬木JICA南スーダン事務所長は「幾多の困難を乗り越え、大きな事業を成し遂げられた。人々の生活、経済の向上に貢献していくことは非常に大きな意味がある」と完成を喜んだ。



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2022年5月23日月曜日

政府/入契法適正化指針の一部変更決定、資材高騰を契約変更事項に

 政府は公共工事入札契約適正化法(入契法)に基づく適正化指針の一部変更を20日に閣議決定した。建設発生土の適正処理を含む災害対応力の強化やダンピング対策の徹底、建設キャリアアップシステム(CCUS)活用推進への方策を拡充。適切な契約変更が必要となる事例として資材などの著しい価格変動や納期遅延を明記し、受発注者間で適切な価格転嫁が行われるよう働き掛けを強める。=2面に関連記事
 国や地方自治体などの公共発注者は適正化指針に従って必要な措置を講じる努力義務を負う。3月の中央建設業審議会(中建審)で示した変更案をベースに内容を一部修正。国土交通省は総務省、財務省と共に、今回の変更で盛り込まれた事項について各発注者に対応を求める文書を近く送付する予定だ。
 斉藤鉄夫国交相は同日の閣議後会見で「建設資材などの価格高騰への対応として必要な契約変更を適切に実施すべきことについて明記した」と説明。資材高騰への対応策は中建審以降の情勢変化を踏まえ追加を判断した部分であり、公共発注者に早急な対応を促す。
 建設発生土関連では、設計図書に搬出先の情報を明示するよう明記。運搬と処分に要する費用を踏まえ適正な積算を行うべきだと明確化し、発注段階で搬出先の「指定利用」につなげる。大規模災害時の施工体制を確保する目的で、共同企業体の類型に「復旧・復興建設工事共同企業体(復旧・復興JV)」を追加した。
 ダンピング対策の理由として公共工事受注者が適正利潤を確保する必要性を明記。CCUSでは工事成績評定の加点措置など現場利用を推進する具体策を地域の実情に応じて講じることとした。

 □入契法に基づく適正化指針の変更のポイント
 1.復旧・復興JV、建設発生土の適正処理
 △大規模災害の被災地域で施工体制を確保するため、共同企業体の類型として復旧・復興JVを追記
 △建設発生土の適正処理の推進のため、
 ・設計図書に明示するなど関係者間で共有すべき情報の例示に建設発生土の搬出先に関する情報を明記
 ・予定価格の設定に当たり適正な積算を行うべきものの例示に建設発生土等の運搬・処分等に要する費用を明記
 2.適切な契約変更
 △契約変更の必要性が生じうる事情の例示に資材等の価格の著しい変動、納期遅れ等を明記
 3.その他
 △ダンピング対策の理由として、公共工事を実施する者の適正な利潤の確保について追記
 △ダンピング対策を徹底するため、低入札価格調査基準等を適正な水準で設定することについて追記
 △技能労働者の育成・確保に資する労働環境を整備するため、国・発注者によるCCUS活用促進の取り組みについて追記



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中日本高速東京支社/東名多摩川橋リニューアル現場公開、施工は大林組JV

 中日本高速道路東京支社は20日、東名高速道路東京IC~東名川崎IC間に架かる東名多摩川橋(東京都世田谷区、川崎市多摩区)のリニューアル工事の現場を報道公開した。老朽化したコンクリート床版の全面取り換えで、首都圏6車線区間では初めて。最新工法を導入し、大規模渋滞が起きないよう車線数を極力維持しながら作業を進めている。施工は大林組・大林道路JVが担当している。
 東名多摩川橋は1968年に開通した区間に位置する。橋長は上下線495メートル。開通から54年が経過し、大型車交通量が多いこともあり床版下面のコンクリート剥離といった損傷が進行。床版取り換えによる抜本的な対策が求められている。取り換え対象の床版は1万5500平方メートルに及ぶ。準備工事も含めた全体工期は、2020年7月~24年11月。総工費は126億5000万円(税込み)。
 従来工法では大型クレーンを使うため、道路の片側封鎖など車線数の減少が不可欠だった。ただ東京IC~東名川崎IC間は1日当たり10万台の交通量があり、車線数を減らした場合の社会的影響が大きい。
 今回の工事では路肩と中央分離帯のスペースも活用し、工事中も車線数を極力維持(一部工程で夜間のみ5車線化)。道路上の限られたスペースでも床版取り換えを可能とする「移動床版仮設機」(ハイウェイストライダー)を活用。大型クレーンに劣らない荷重14・4トンのパワーを発揮し、コンパクトで効率良い交換作業を実現。東名多摩川橋JV工事事務所の兼丸隆裕現場代理人・所長(大林組)は「ハイウェイストライダーの活用により橋梁の拡幅工事も不要となったため、工期短縮やコスト削減にもつながる」と説明した。
 同日の現場は全工程の第1段階に当たる上り線側(東京IC方面)の作業。開通以来使われてきた古い床版を撤去し、新たな床版を組み込んでいく様子を公開した。今後車線切り替えを行いながら、全6段階に分けて順次、床版取り換えを進めていく。



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大林組/横浜市に次世代自社研修施設、国内初の高層純木造耐火建築

 大林組が横浜市中区に建設していた国内初の高層純木造耐火建築物となる次世代自社研修施設「Port Plus」が完成した。地上部の全構造部材に木材を採用し、S・RC造と同等の強度と剛性を確保する接合方法「十字形の剛接合仕口ユニット」など独自技術を多数取り入れた。免震構造と組み合わせて高い耐震性も確保している。
 建設地は弁天通2(敷地面積約563平方メートル)。建物は地下1階地上11階建て延べ3502平方メートルの規模。高さは44メートルで地下部がRC造、地上部が木造となる。
 躯体や内装材に1990立方メートルの木材を使用。約1652トンの二酸化炭素(CO2)を長期間、安定的に固定する。材料製作から建設、解体・廃棄までのライフサイクルコスト全体ではS造に比べ約40%のCO2削減効果があるという。
 十字形の剛接合仕口ユニットは接合ロッドと接着剤で木材を接合する「GIR接合」と貫構造を組み合わせた3層構造。柱と大梁の接合部の剛性や耐力、靱性を確保する。構造部材に同社の耐火木造技術(オメガウッド)を導入し、国内初の3時間耐火仕様を採用した。床の遮音性能を高めたCLT(直交集成板)床も採用した。
 部材を事前に工場製作することで高い施工品質を確保。施工スピードが向上し、1フロアの施工期間はS造の通常10日程度から7日まで短縮した。
 施設には研修スペースと宿泊室などが入る。フロアごとに集合研修やディスカッション、個人のワークスペースなどの用途を設定。使用目的に沿って木や緑、光を使った五感を刺激する空間を創出している。



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阪急阪神HD/梅田ビジョン発表、新阪急ホテルなど建て替え着手

 阪急阪神ホールディングス(HD)は20日、阪急電鉄の大阪梅田駅(大阪市北区)周辺が対象の「梅田ビジョン」を発表した。JR大阪駅北側の「うめきた2期地区」開発に続く大規模プロジェクトとして、大阪新阪急ホテルと阪急ターミナルビルの建て替え、阪急三番街の全面改修に取り組む。今後、行政機関との協議を加速し、早期の具体化を目指す。2030年代後半を見据えた「長期ビジョン」には、梅田と新大阪を結ぶ「なにわ筋連絡線・新大阪連絡線計画」も盛り込み、35~40年ごろの開業を想定する。
 ビジョンは梅田駅周辺エリアの価値向上に向けた構想で、エリア内にある資産の建て替えなどを連続的に行うことで都市空間の魅力を高め、世界と関西をつなぐ「国際交流拠点」を目指す。
 ビジョンには▽共創により新しい価値が生まれる街づくり▽出会いと交流を促進する街づくり▽持続可能な街づくり-など六つの基本方針を設定。大学や研究機関を呼び込むほか、商業・飲食やエンターテインメント施設間の連携を強化することで面的なにぎわいを創出する。
 大規模開発として大阪新阪急ホテルと阪急ターミナルビルの建て替え、阪急三番街を全面改修する「芝田1丁目計画」に着手し、ターミナル駅としての機能を強化しながら梅田の玄関口にふさわしい複合機能拠点の開発を目指す。
 今後、具体的な開発計画を検討するほか、行政など関係機関との協議を加速する。大学や研究機関などの誘致に加え、国際交流拠点にふさわしい機能について検討する。
 22~25年度には成長投資として2900億円を投入し、うめきた2期地区開発や芝田1丁目計画、千里中央地区の再整備構想などを進める。
 阪急電鉄の嶋田泰夫社長は「なにわ筋連絡線や新大阪連絡線が実現すれば、梅田へのアクセスが飛躍的に向上し、梅田は国土軸の活力や世界のパワーを取り込める。梅田全体の価値を上げたい」と話した。



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政府/高速道路会社の社長人事、東日本など3社が交代

 政府は20日、高速道路会社6社の社長人事を閣議了解した。東日本と中日本、本州四国連絡の3社の社長が交代する。東日本高速道路会社の社長には国土交通省出身で元復興庁事務次官の由木文彦氏が就く。6月下旬の各社の株主総会を経て正式決定する予定だ。
 中日本高速道路会社はプロパーの小室俊二参与が社長に昇格。本州四国連絡高速道路会社の社長には民間出身の後藤政郎双日取締役専務執行役員を起用する。西日本高速道路会社の前川秀和社長、首都高速道路会社の前田信弘社長、阪神高速道路会社の吉田光市社長は続投する。
 政府はこのほかJR北海道、JR四国、JR貨物の会長・社長人事も了解。JR北海道は綿貫泰之取締役副社長が社長に昇格し、島田修社長が代表権のある会長に就く。JR四国の西牧世博社長は再任。JR貨物の社長は犬飼新取締役兼常務執行役員経営統括本部長、代表取締役会長には真貝康一社長兼リスク統括本部長が就任する。
 【東日本高速道路会社社長】
 由木 文彦氏(ゆき・ふみひこ)1983年東京大学法学部卒、建設省(現国土交通省)入省。国土交通審議官、復興庁事務次官、三井住友海上火災保険顧問を経て2022年4月から東日本高速道路会社顧問。61歳。
 【中日本高速道路会社社長】
 小室 俊二氏(こむろ・としじ)1978年東京大学工学部卒、日本道路公団入社。中日本高速道路会社取締役兼常務執行役員経営企画本部長などを経て2017年6月から参与。67歳。
 【本州四国連絡高速道路会社社長】
 後藤 政郎氏(ごとう・まさお)1980年慶応大学法学部卒、日綿實業(現双日)入社。関西支社長などを経て2020年6月から取締役兼専務執行役員。64歳。
 【JR北海道代表取締役会長】
 島田 修氏(しまだ・おさむ)1980年東京大学経済学部卒、国鉄入社。JR北海道常務取締役鉄道事業本部副本部長、JR北海道ホテルズ社長を経て2014年4月からJR北海道社長。64歳。
 【JR北海道社長】
 綿貫 泰之氏(わたぬき・やすゆき)1985年北海道大学経済学部卒、国鉄入社。JR北海道常務総合企画本部長などを経て2020年6月から取締役副社長。60歳。



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2022年5月20日金曜日

国交省/直轄土木CCUSモデル工事、対象規模・工種を拡大

 国土交通省は直轄土木工事を対象とした建設キャリアアップシステム(CCUS)モデル工事の対象範囲を広げる。一般土木工事は本官発注分(北海道開発局は本官発注のうち予定価格2・5億円以上が対象)に原則適用する。一般土木工事以外でも業界要望などを踏まえ地方整備局単位でモデル工事の発注を積極的に検討。すべてのモデル工事でカードリーダーの設置費用と現場利用料を発注者負担とする措置も含め、7月1日以降の入札公告案件に適用する。
 CCUSモデル工事に関する新たな運用規定を先月末、各地方整備局と北海道開発局に通知した。2021年度に一般土木工事のうちWTO政府調達協定対象案件でモデル工事を原則化したが、さらに対象範囲を拡大する方向で見直した。
 CCUS活用を発注者が指定する「CCUS義務化モデル工事」はWTO対象の一般土木工事に限定して適用を認めてきたが、7月以降はそうした線引きも無くす。受注者と協議が必要な「CCUS活用推奨モデル工事」を含む2種類の発注方式を柔軟に選択できるようにする。
 分任官発注分や一般土木工事以外のモデル工事は建設業界の要望や理解の状況を考慮した上で、個別の対象案件や実施件数、発注方式を整備局単位で検討してもらう。日本道路建設業協会(道建協)やプレストレスト・コンクリート建設業協会(PC建協)といった業界団体の要望も踏まえ、より幅広くモデル工事を発注できる環境を整える。
 カードリーダー設置費用と現場利用料を発注者負担とする対象は、これまで義務化モデル工事に限られていた。これに活用推奨モデル工事も加える。整備局などに通知した積算上の取り扱いによると、関連費用は精算変更時の支出実績に基づき現場管理費として計上する。
 うちカードリーダー設置費用は基本ソフト(OS)がWindowsの場合は1台当たり1万円、iOSは同3万円を上限に計上する。顔認証カメラや顔認証型のリーダーで入構管理する場合もOSごとに費用計上する。リースの場合は費用を負担しない。



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和歌山水管橋崩落/土木学会関西が報告書、つり材の破断・腐食を検証

 土木学会関西支部は、2021年10月3日に和歌山市の紀の川に架かる六十谷水管橋が崩落したことを受けて実施していた調査・解析の報告書をまとめた。
 六十谷水管橋は、支間長約60メートルのランガー桁形式の7径間連続アーチ橋で、4径間目が崩落。崩落箇所の隣接径間でつり材の腐食や破断が確認されている。土木学会関西支部では、杉浦邦征京都大学大学院地球環境学堂教授を団長とする調査団を現地に派遣。21年10月17日と11月2日に現地調査を行い、2月に回収した部材の検分を行った。
 調査報告書は、京都大学による現地調査、腐食に関する現地計測、数値解析と土木研究所による腐食に関する分析で構成されている。
 現地調査では、崩落した径間とその右岸側の隣接径間でつり材の破断箇所が上部と下部の2カ所存在することを確認。上部破断の場合はブレーズ材がアーチリブとつり材を連結し、水管の死荷重がアーチリブに伝達されるが、下部破断の場合はつり材がアーチリブから切り離され荷重を受け持たなくなる、とした。また、崩落以前に撮影された画像情報から3カ所のつり材上部が20年12月地点で破断していることも確認できたという。
 数値解析では、水管橋が崩落に至るには、つり材の一部が破断し、さらにブレース材も腐食などにより本来の強度を発揮できずに破断し、その際に生じる荷重の再分配によって他構造部材に想定外の応力が発生することが原因だと推測できた、としている。
 解析によって得られた崩壊シナリオは次の通り。
 ▽複数箇所のつり部材上部が破断し、ブレース材によって荷重を伝達している状態となる▽いずれかのつり部材が破断したことによりブレース材の作用する荷重が増加し破断する▽アーチリブの4分の1点に過大な鉛直荷重が作用し、面内座屈によりアーチリブが崩壊する▽アーチリブの免罪座屈により径間全体で支持機能を喪失した本管も自重に耐えられずに崩壊する。
 調査により、同支部は、バックアップルートの確保が難しい水管橋の特殊性と重要性、水道システム全体のより合理的で効果的な点検・維持管理手法の必要性を強く再認識した。同手法確立への道は険しいものだが、調査報告書がその一助になることを願う、と締めくくっている。
 報告書は土木学会関西支部のホームページで公表している。



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グラウンドデザイン研/グラウト材自動攪拌機、1人で混練作業可能に

 ヒノデグループのグラウンドデザイン研究所(福岡市東区、木塚勝則社長)は、セメント系グラウト材の自動攪拌(かくはん)機「KNEADRUM S(ニードラムエス)」を開発した。2人作業が標準のグラウト材の混練を、1人で行うことを可能にした。工事業者やリース会社への直接販売のほか代理店経由でも販売。年間500台の販売を目標とする。
 自動攪拌機は、現場の効率化や品質の標準化、作業環境の改善を目的に開発した。混練作業では、規定量の水を入れたペール缶の上部に機械をセットした状態で袋詰めのグラウト材を投入。スイッチを押すだけで攪拌する。
 攪拌は2本の羽根で行うので、むらが無く、誰が作業してもグラウト材の性能を100%引き出せる。電源はAC100ボルトで作業場所を選ばず利用できる。機械本体とペール缶を分割できるので清掃も容易で搬送時もかさばることはない。
 土木や建築の現場では、柱や設備の基礎部分の充填(じゅうてん)材としてセメント系グラウト材を使うケースが多い。従来は、1人がハンドミキサーで攪拌し、もう1人がグラウト材を少量ずつペール缶に投入する2人作業が標準だった。ハンドミキサーによる作業は、品質にばらつきが出るとの指摘もあった。粉体投入時の粉じんや混練後のペール缶洗浄時に出る汚水処理も課題とされていた。複数袋を混練する自動攪拌機はこれまでもあったが、100キロ超の大型装置で動力源の確保が難しいという指摘もある。
 製品は付属品の20リットルペール缶をセットで販売。価格は税込み23万1000円。



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竹中工務店ら4社/高所作業車の鍵管理手間削減、アプリで解錠

 竹中工務店は19日、東海理化と東海理化クリエイト、レンタルのニッケンと共同で、位置プラスの業務効率化アプリ「高車管理」を使って高所作業車(高車)を解錠するシステムを開発したと発表した。高車の鍵部分に専用のキーレスデバイスを取り付け、アプリの予約機能と東海理化が開発したデジタルキーを連動し解錠する。手間がかかっていた元請・協力会社の鍵管理が大幅に削減できる。
 竹中工務店が開発した位置プラスは発信機(ビーコン)などのIoTデバイスで現場の人・モノの位置情報を把握する「位置認識プラットフォーム」と、収集した情報で作業所管理を効率化する業務アプリで構成。「高車管理」は位置情報と工事情報を連携し、高車の位置や予約状況がモバイル端末などで把握できる。
 システムは建設現場への搬入前に高車の鍵部分に取り付ける「外付けキーレスデバイス」と、スマートフォンで操作する「解錠システム」で構成する。システムで使うデジタルキーはスマートフォンのデジタルデータを基に利用者を認証し、鍵の施錠・解錠を行う仕組み。今回は解錠機能として活用する。
 解錠システムは「高車管理」アプリの予約機能とデジタルキーを連動させ、予約者のスマートフォンアプリを通じてBluetoothの解錠信号を送信。外付けキーレスデバイスが信号を受け付け解錠の制御を行う。建設現場で流通する22種類の高車に取り付けが可能だ。
 大阪市内の建設現場で行った実証試験では、鍵の返却管理が不要になるなど職員の業務が1日当たり約30分削減。協力会社の職長も鍵の貸し借りの手間がなくなり、15分の業務削減効果を確認した。外付けキーレスデバイスはレンタルのニッケン、高車管理アプリと連動する解錠システムは竹中グループの朝日興産を通じ、9月ごろに提供を始める予定だ。



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ホリプロら/川崎駅西口市有地活用施設が着工、23年秋開業へ

 大手芸能事務所のホリプロ(東京都目黒区、堀義貴社長)と、建築設計などを手掛けるスピーク(東京都新宿区、林厚見・吉里裕也共同代表)の2社グループが、JR川崎駅西口大宮町地区の川崎市有地を利活用して整備するエンターテインメント施設の建設工事に着手した。音楽ホールや多目的スペース、屋上広場などを備える。設計・工事監理はスピーク、施工は青木工務店が担当する。2023年秋ごろのオープンを目指す。
 建設地は幸区大宮町1の13ほか(敷地面積1027平方メートル)。施設は4階建て延べ約1580平方メートルの規模。計画によると音楽ホール「グリーンアートシアター」など大小二つのホールを設ける予定。コンサートや講演会といった大規模イベントからダンス教室まで幅広い催しに対応できるようにする。
 屋上を階段状にして緑化し、市民が楽しめるようにする。隣接する街区とペデストリアンデッキで接続。JR川崎駅などからのアクセス性も高める。災害時には一時避難場所としてホールを開放。防災備蓄倉庫も設置する。
 川崎市は緑化を視野に入れ開発を保留していた同地区の活用方針を20年7月にまとめ、事業者を公募した。同グループを事業者に選定し、21年2月に基本協定、同5月に定期借地契約を締結した。借地期間は43年3月31日まで。



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2022年5月19日木曜日

富山建協/技術者・技能者充足率が上昇、不足傾向に変わりなく

 富山県建設業協会が技術職、技能職について採用予定数と採用数から充足率を算出したところ、新卒者の充足率が少しずつではあるが年々上昇していることが分かった。2021年度の新卒者全体の充足率は20・9%。19年度(14・2%)と比較すると6・7ポイント上昇。20年度との比較でも5・7ポイント増えている=表参照。
 ただ、上昇しているとはいっても、技術者、技能者が大幅に不足しているという傾向に変わりはない。
 21年度の新卒者の採用予定数と採用数の違いを見ると、技術職は予定数394人に対し採用91人(充足率23・1%)で不足数303人。技能職は予定数179人に対し採用29人(同16・2%)で不足数150人。需要を満たすためには技術職・技能職を合わせ新卒者がさらに453人必要な計算になる。
 必要な人数を満たせなかった分は翌年に繰り越されるため採用予定人数は年々増加していくと考えられ、充足率が低い傾向は今後も続くと推測される。
 中途採用者は、新卒者と比較して充足率が高い傾向にあるが、それでも21年度は28・3%(予定数481人に対し採用136人)。19年度の44・9%、20年度の48・4%と比較して低水準となっているが、21年度は年度途中の数値。年度末にかけて採用数は増加していると考えられる。
 富山建協は、技術者、技能者の充足率が低いことについて、「施工現場を支える技能労働者の確保は喫緊の課題。働き方改革など就労環境を改善するとともに、に建設業のやりがいや魅力を広く発信し、公務員や大手ゼネコン、他産業を志望する学生や生徒が地元建設業への就職を志すよう、引き続き働き掛けていく必要がある」としている。
 充足率は、会員の雇用実態と経営状況を調べるために毎年行っている調査から算出した。21年度は21年9月7~24日に会員528社を対象に実施。回答数は391社(回答率74・1%)だった。



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災害復旧の不可抗力損害、受注者負担ゼロに/中建審が約款改正勧告

 中央建設業審議会(中建審、柳正憲会長)は公共工事標準請負契約約款を改正し、災害復旧工事で不可抗力による損害が発生した場合の受注者負担をゼロにする規定を盛り込んだ。改正内容の実施を公共発注者や建設業団体に18日付で勧告した。2023年4月1日に施行する。国土交通省は受注者負担を求めない工事の詳細など運用に関する具体的事項を夏ごろまでに固め、地方自治体などに通知する予定だ。
 公共約款では不可抗力による損害額のうち請負代金額の1%分を受注者が負担すると規定している。ただ災害復旧工事は二次災害にさらされるリスクがあり、平常時より人員や資機材の確保も困難など、受注者負担が大きい傾向がある。1%の負担であっても受注ハードルが上がり、円滑な災害復旧に支障を来す可能性もある。地域建設業団体などから負担軽減を求める声があった。
 改正後は条文に「災害応急対策または災害復旧に関する工事における損害については、発注者が損害合計額を負担する」と追記した。受注者負担の軽減で災害復旧工事が受注しやすい環境を整える。災害復旧工事以外での不可抗力による損害は請負代金額の1%分を受注者、それ以外は発注者が負担する従来通りの運用を続ける。
 改正内容を了承した3月の中建審会合で、国交省は対象工事に想定する具体的内容として▽災害復旧事業(関連事業など含む)の対象工事▽発災直後の応急対策(災害協定に基づく契約・指示で実施する工事や維持管理契約内で指示を受けて対応する工事)-の二つを示していた。



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関東整備局荒川調節池工事/土砂運搬にAI技術導入、大規模築堤工事で活用

 関東地方整備局荒川調節池工事事務所は、大規模な築堤で使う土砂の運搬を大幅に効率化するため、AI技術によるシミュレーションを導入した。荒川調節池整備に携わる奥村組土木興業が開発し「R2荒川右岸古谷上築堤工事」に活用した。既存の交通量推計ソフトと道路交通モデリング技術を組み合わせ、短時間、低コストで技術開発にこぎ着けた。目視計測と比較検証した結果、十分な再現性を確認できたという。
 交通量計測にはフューチャースタンダード社(東京都文京区、鳥海哲史社長)の「SCORER Traffic Counter」を活用した。土砂の仮置きヤードから築堤の現場までの間で、交差点に設置したカメラで撮影した映像をAIで解析し交通量を測定。この結果と、フォーラムエイト(東京都港区、伊藤裕二社長)のリアルタイム・シミュレーションソフト「UC-win/Road」を組み合わせ、交通シミュレーションの仕組みを構築した。
 交通シミュレーションの活用により、交通量調査の効率性を高め、省人化も可能となる。天候に関係なくリアルタイムに土砂運搬で最適な数のダンプを割り出し、運搬終了時刻の正確な予測、モデリングによる交通の可視化、二酸化炭素(CO2)排出量の削減につながったという。
 荒川調節池工事事務所はDX分野のモデル事務所で、BIM/CIMモデルの一般公開や3Dモデルの活用方策を公募するなど先進的な取り組みを行っている。本年度、事務所のロゴマークに建設DXの文字を加え、DXの取り組みに一層力を入れる方針だ。



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世界貿易センタービルら/浜松町駅エリア整備計画、自由通路や広場で駅と街つなぐ

 世界貿易センタービルディング(東京都港区、宮崎親男社長)や野村不動産ら5社は、浜松町駅エリアの整備計画を18日に公表した。世界貿易センタービルの建て替えや、芝浦プロジェクトといった駅周辺で進む大規模開発に並行し、駅に新たな自由通路や広場空間を整備。駅と街をつなぐ円滑な動線を確保し、鉄道やモノレールの乗り換え効率も高める。=4面に詳しく



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清水建設/東京木工場建て替え、工場・来客棟で総延べ約5000平米

 清水建設は東京都江東区にある東京木工場の建て替え計画を発表した。建設から50年以上が経過した既存施設群を順次解体し、工場機能を維持しながら工場棟と来客棟の2棟を建設する。木鋼ハイブリッド構造で総延べ床面積は約5000平方メートル。3月から解体工事を進めており、9月に来客棟の建設工事に先行着手する。全施設の竣工は2025年9月末を予定している。
 東京木工場(木場2)は清水組の木材加工場として1884年に開設。1945年に戦火で焼失したが直ちに復旧し、戦後復興とともに工場設備を拡充してきた。職人によって磨かれ、生かされてきた精巧な木工技術を伝承し続けている。
 現施設は第1~4工場や倉庫、事務所棟など計11施設で総延べ床面積は約5500平方メートル。抜本的な老朽化対応や工場機能の向上、業務の効率化に加え、近年の木造需要の高まりを受け、全面建て替えを決めた。
 新設する工場棟は3階建て延べ3555平方メートル。1階に多軸ロボットやNC加工機など最新工作機械で新たな木造・木質建築に対応する技術開発ゾーンを配置。2、3階は伝統の木工技術を駆使した加工で文化・技術を継承する伝統技術ゾーンとなる。各ゾーンに見学エリアを設ける。
 来客棟は2階建て延べ1291平方メートル。1階中央に資料館を設け、過去に製作した有名建築の内装や伝統工具、図面類を展示する。木育室を常設し地域住民などを対象に木工教室を開く。年間約3000人の見学者を受け入れ、木の文化や技術、魅力を発信する計画だ。2階に事務室と会議室が入る。敷地内には木育の一環で緑豊かな森も設ける。
 新設工事は工場を稼働させながら段階的に行う。先行する来客棟は23年7月に完成。同年12月に工場棟の新築工事に着手する。24年12月の竣工後、外構工事に入る。東京木工場の和田昌樹工場長は「木工場の本当の仕事を一般の方にも知ってもらい清水ファン、木工場ファンを増やしていきたい」と話している。



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2022年5月18日水曜日

国交省/遠隔臨場で建築工事完了・中間検査、申請・審査者双方の指針整備

 国土交通省は建築工事の完了検査・中間検査で、遠隔臨場を可能とする運用指針を整備する。申請側の工事監理者や施工管理者と、審査側の建築主事や指定確認検査機関の両方を対象にデジタル技術を活用した遠隔臨場を許容する判断基準を設ける。申請側の立ち会いの遠隔化は小規模物件に適用を限定する形で運用指針を策定済み。審査側の遠隔検査手法の検討をこれから本格化し、2023年度の実証実験を経て適用を目指す。
 完了検査や中間検査は通常、申請側と審査側の担当者が現地で立ち会って行われる。そもそも建築基準法は現地での立ち会いを規定していないが、指針整備を通じて遠隔臨場の実施手法や適用範囲、留意事項を明確化することで活用を後押しする。住宅関係業界からの要望も踏まえた対応で、現場担当者の移動時間や負担を減らし建築生産の効率化や働き方改革につながると期待されている。
 申請側の運用指針は建設・住宅関係団体や各都道府県に9日付で通知した。審査側は現地で通常通りの検査業務に当たり、申請側はICT機器による映像を介して遠隔で立ち会う。遠隔臨場の準備・運営などを担う「補助者」を申請側で用意することが要件。新築する小規模な一戸建て住宅や共同住宅の完了検査を適用対象としているが、適正な検査実施を前提に審査側で個別に実施可否を判断してもらう方針だ。
 小規模物件の工事監理者や施工管理者は複数現場を掛け持ちする場合が多く、検査時の遠隔臨場に一定のニーズがあることが背景にある。一方、大規模物件は検査内容が複雑になるため審査側の人員が多く1日で終わらないケースもある。現状の運用指針ではむしろ非効率になる可能性があり、実際の適用物件は限定的になる見込みだ。
 審査側の遠隔臨場は、現地の補助員に指示を出しながら現場での測定や映像による確認、設備などの動作確認などを行う方向で検討する。検査の見落としがあれば居住者や周辺住民に被害が及ぶなど懸念も指摘されており、多くの課題を考慮しながら適用範囲や効率的な実施手法を見極める。
 23年度に予定する遠隔検査手法の実証実験で、まずは小規模物件から有効性を探る。難易度が増す大規模物件や複雑な敷地形状の物件にも少しずつ実証対象を広げながら適用可能性を検証していく道筋を描く。



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首都圏民鉄8社/22年度設備投資計画、全社が前年度計画上回る

 首都圏の民間鉄道大手8社の2022年度設備投資計画が17日出そろった。8社の総額は前年度の当初計画と比べ11・6%増の2124億円。コロナ禍で設備投資を抑える傾向から転じ、全社が前年度よりも高い投資見通しとなった。ホームドア設置や自然災害対策といった安全面への投資を強化する動きが目立つ。施設保守業務の効率化に向け新技術の開発や導入を進める向きもある。
 計画を公表したのは▽東急電鉄▽東武鉄道▽京王電鉄▽小田急電鉄▽西武鉄道▽京浜急行電鉄(京急)▽京成電鉄▽相鉄グループ-の8社。各社の平均投資額は265・5億円となった。
 連続立体交差事業は6社が推進する。東武は3月に高架化が完了した竹ノ塚駅周辺で、地平設備の撤去や引上線の高架化工事を進める。昨年12月に国から事業認可を受けた東上線大山駅付近(下板橋~中板橋駅間)では、東京都施行の連立事業として施行協定を結び、設計などに取り組む。
 ホームドアの整備や設置検討を進める社は多いが、ホームドアに必要な半導体の入手が難しい状況も発生している。京急は22年度から23年度にかけて10駅で設置を終える計画だが、半導体不足が影響し昨年度時点の整備予定に一部遅れが出ている。部品の調達状況によりスムーズに整備が進まない可能性もありそうだ。
 自然災害対策では大地震に備えた高架橋や地下トンネルの耐震補強を実施する社が多い。大雨で線路脇の斜面から軌道内に土砂が流れ込むのを防ぐため、のり面改良などの取り組みも目立つ。東急は田園都市線宮崎台~宮前平駅間、同大井町線等々力~上野毛駅間で施工予定。山岳路線の西武秩父線ではのり面整備に加え、落石防止柵の設置を前年度に引き続いて行う。
 施設保守のDX化で、京王は土木構造物や電気設備の維持管理を効率化する検査システムの構築を進める。東武は列車搭載カメラやAIを使い、施設状態が検測できる新システムの設計をスタートさせる。
 駅設備の改良は、相鉄が海老名駅の駅舎建て替えプロジェクトで北口改札を新設し、南口改札の新設に向けた準備工事に取り掛かる。西武はとしまえん跡地(東京都練馬区)に来春開業予定の「スタジオツアー東京-メイキングオブハリー・ポッター」の開発に伴い、最寄りの豊島園駅で新駅舎を整備する。



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大成建設/施工状況・資機材保管場所を図面表示、撮影動画でAIが自動認識

 大成建設は360度カメラで撮影した動画を基に、AIが施工状況や資機材の保管場所を自動認識し、図面に表示するシステムを開発した。工事の進捗(しんちょく)状況や使用資機材の所在が迅速かつ明確に把握でき、施工管理業務の省力化と効率化に貢献する。
 現場内に図面位置情報を登録した2Dコードを1フロア当たり数カ所設置。スマートフォン専用アプリで位置情報を読み取った後、360度カメラで動画を撮影しながら現場を巡回する。撮影動画を基に壁や天井などの内装工事や資機材をAIが自動認識。専用アプリの位置測位の結果を組み合わせ、各工事の施工状況と資機材位置を同時に図面上に反映する。
 各種資機材の名称を検索すると保管場所が表示され、所在を簡単に把握できる。動画は撮影場所とひも付けてシステムに記録。図面位置を指定することで施工状況をリモートで360度確認できる。工事関係者とのスムーズな合意形成や情報共有、現場確認作業の負担軽減に大きく貢献する。
 同社ではDX標準基盤「T-BasisX」や、四足歩行ロボットを使った建設現場の遠隔巡視システム「T-iRemote Inspection」との連携を進めている。今後、四足歩行ロボットが現場巡回を行う際にシステムを活用することも想定しており、施工管理のさらなる省力化、効率化を目指していく。



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市況変動/デベロッパー各社、資材価格高騰で対応模索

 建設資材の価格高騰を受け、デベロッパー各社が神経をとがらせている。適正な価格で高品質な物件を提供してきた各社にとって、セメントや鋼材価格の急騰は経営の根幹を揺るがしかねない。一部企業からは「マンションの販売価格に影響するのでは」という不安の声が漏れ聞こえる。同時に協調関係にある建設会社へのしわ寄せも懸念され、徹底したコスト管理も求められる。大手総合デベロッパーや物流デベロッパーなど複数社の対応状況を追った。
 建設資材の価格動向を数値化している経済調査会の「建設資材価格指数」によると、建築部門の平均値は2021年度時点で137・2。15年度に比べて37・2ポイント上昇し、過去8年間で最高水準に達した。あるゼネコンからは「今期(22年度)も資材価格は上昇し、ウクライナ危機でさらに拍車が掛かる可能性がある。経営努力ではカバーできない状況だ」と悲鳴にも似た声が上がっている。
 資材価格が軒並み高騰する中、大手デベロッパーの幹部は「今期分の工事は契約済みで、直ちに影響が出ることはない」としつつ、「世界的な傾向を見ても、今後の建設費が上昇していくことは間違いない」と断言する。
 さらに資材価格の高騰に加え、工期遅延に伴う労務費の上昇も見過ごせない問題だ。物流デベロッパーの担当者は「調達期間の延伸や作業所での完全週休2日制の導入によって、工事費の上昇に拍車を掛けるのでは」と不安を募らせる。
 公共発注機関などで適用を検討している「スライド条項」など具体的な取り組みに対しては、複数企業が「検討課題として認識している」や「各事業ごとにゼネコンと個別に協議していく」と回答。ただ一部企業は「(スライド条項の適用は)現時点で検討していない」とするなど、各社によって対応方針が分かれている。
 工事費の上昇を抑制しながら、いかに品質を落とさないかがデベロッパー各社の最重要課題と言えよう。あるデベロッパーは「価格の安い代替品の採用や工期短縮による人件費削減などが必要になる」と説く。物流関連のデベロッパーも「ゼネコンに費用を抑える工法の提案や早期の資材確保をお願いしている」と先手を打った対応を講じる考え。だが工事費の上昇は各社の自助努力だけでは解決できない。各社の経営トップは「増加したコストをどこで回収するのか」と吐露。難しいかじ取りが迫られている。
 こうした状況下、工事費の高騰分を販売価格や賃料に上乗せする動きも出始めている。特に分譲マンションは価格上昇の影響をもろに受ける可能性がある。
 不動産経済研究所が発表した首都圏の新築マンションの平均価格は、3月時点で1戸当たり6518万円。土地の価格上昇に起因し、近年の販売価格はバブル期を超える過去最高の水準で推移している。都心分譲マンションの人気が依然根強い中、不動産業界の関係者は「現在の価格相場を上回ると、買い手の減少につながるのではないか」と不安を口にする。あるデベロッパー幹部も「情勢次第では販売価格に影響する」と指摘する。
 価格を維持するためにも高付加価値化や差別化がますます重要となる。駅に近い物件やタワーマンションなど顧客が付加価値を認識しやすい案件をターゲットに設定するなど、他社との差別化を虎視眈々(たんたん)と狙っている。
 建設資材の価格高騰は国会でも頻繁に取り上げられている。11日の参院本会議で国の対応を問われた斉藤鉄夫国土交通相は「建設資材で価格の上昇や一部納品の遅延などが生じており、価格転嫁や工期の見直しが適切になされることが重要」と強調。原油価格・物価高騰への対応を目的に決定した政府の「総合緊急対策」を踏まえ、デベロッパーを含む官民発注者に対して適正な予定価格の設定やスライド条項の適切な適用を働き掛けている。
 国交省は民間発注者団体に対して、民間の契約約款で示されている請負代金や工事・工期の変更についての規定を伝達している。不動産協会も「政府からの通知は会員各社に周知しており、引き続き協会としても資材価格高騰などの動向をしっかりと注視していく」とコメントしている。
 工事価格の抑制に向けて、各社がゼネコンとの連携強化を訴える。あるデベロッパーは「受発注者双方で協力し、高い商品性を維持しつつ、資材や設備の選別を行っていきたい」と覚悟を示す。別の会社も「コスト削減をゼネコンに一任せず、施主の立場からも方策を検討していきたい」と語る。
 来年以降、資材価格の高騰が「ボディーブローのように効いてくる」と先を読むデベロッパーもある中、ゼネコンとの契約調整や工事費縮減に向けた取り組みは一段と熱を帯びそうだ。



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インボイス制度一人親方の扱いは、適格事業者登録が得策/蟹澤宏剛氏が解説

 2023年10月に導入される消費税の仕入れ税額控除の新方式「適格請求書等保存方式(インボイス制度)」での一人親方の扱いは--。芝浦工業大学の蟹澤宏剛教授は16日に福岡市内で開かれた専門工事業の会合で講演し=写真、具体例を挙げて解説した。一人親方が適格請求書発行事業者とならない場合の支払いや税負担を二つの選択肢で説明。その上で「一人親方も適格事業者となった方が良いだろう」との見方を示した。
 インボイスは「売り手が買い手に対し正確な適用税率や消費税額等を伝えるための手段」。これを交付できるのは、税務署長に申請して登録を受けた適格事業者に限定される。
 講演で蟹澤教授は、一人親方に支払う日当を消費税込みで2万円とした場合を例に現制度下とインボイス導入後の違いを説明した。
 現制度で専門工事会社などの事業者は、日当1万8182円に消費税1818円を加えた2万円を一人親方に支払った上で、確定申告時に消費税を控除することができる。一人親方は「(課税売上高1000万円以下の)免税事業者であることがほとんどであり、そもそも税金を支払っていない場合もあり益税となる」(蟹澤教授)とし、2万円がそのまま手元に入っているのが実情だとした。
 インボイス制度導入後は、一人親方が適格事業者とならない場合の二つの選択肢を提示。従来通り、一人親方の手元に2万円が残るようにするには、消費税1818円を事業者が肩代わりして収めなければならず負担増となる。一方、消費税を差し引いた1万8182円だけを一人親方に支払い従来通りの負担とすることも考えられるが、こうしたケースでは「(減収で)一人親方がその事業者の元で仕事を続けてくれず、ほかの事業者に移ってしまう可能性が出てくる。高齢化も進んでおり、(インボイス導入を機に)大半が辞めてしまうのではないかとも言われている」とした。
 一人親方が適格事業者となり、事業者が従来通り2万円を日当として支払った場合、課税売上高が1000万円以下でも免税事業者とならないため、消費税1818円を一人親方が納付する必要がある。仮に2万円を一人親方の手元に残したければ、事業者は消費税2000円を上乗せした税込み2万2000円を日当として支払い、その後に一人親方が納税するというやり方も考えられる。
 これら選択肢を説明した上で蟹澤教授は「一人親方にもしっかりと適格事業者として登録してもらわないと、(インボイス導入後に)ゼネコンの現場に出入りできなくなる可能性が出てくる」と指摘。法制度に基づき適正に納税義務を果たしていく必要があるとの見解を示した。



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2022年5月17日火曜日

東北整備局/成瀬ダム(秋田県東成瀬村)が定礎、26年度完成めざす

 東北地方整備局が雄物川水系成瀬川の上流に建設している「成瀬ダム」(秋田県東成瀬村)が14日に定礎式を迎えた。完成すると台形CSGダムとして国内最大規模になる。堤体打設の進捗(しんちょく)率は2021年度末時点で約24%。最新鋭の土木技術を駆使し基礎掘削や打設を24時間体制で推進している。完成は26年度を予定している。
 堤体打設工事(第1期)は鹿島・前田建設・竹中土木JVが施工している。自動運転が可能な複数の建設機械で施工する次世代型建設生産システム「クワッドアクセル」など、最新の土木施工技術を投入。原石山採取工事(第1期)の施工は大成建設・佐藤工業・岩田地崎建設JV。原石山3Dモデルを使い毎月の掘削度量を自動計算し進捗管理を簡素化するなど、効率的で高品質な施工を推進している。
 定礎式は14日にダムサイトで開いた。国会議員や国土交通省、秋田県、東成瀬村、施工関係者ら約250人が出席した。秋田県の佐竹敬久知事は「雄物川流域は浸水や渇水で大きな被害を受けてきた。治水だけでなく利水の観点からもダムの早期完成が求められている」と述べた。
 式典では中山展宏国土交通副大臣のあいさつを井上智夫水管理・国土保全局長が代読した後、来賓が祝辞を述べた。続いて東北整備局成瀬ダム工事事務所の花篭利行所長が先導し、木やり歌に合わせて工事関係者が礎石を搬入して堤体の中心点に据えた。
 花篭所長の定礎宣言後、CSGを礎石の周りに置く「鎮定の儀」、CSGをならす「斎鏝の儀」、木づちで定石を打つ「斎槌の儀」を行った。鎮定の儀は井上局長、佐竹知事、高橋大秋田県横手市長、佐々木哲男東成瀬村長らが執り行った。斎鏝の儀は御法川信英衆院議員、石井浩郎、足立敏之両参院議員らが担った。
 斎槌の儀は鹿島の茅野正恭代表取締役副社長、前田建設の中西隆夫代表取締役専務執行役員、竹中土木の竹中祥悟社長、堤体打設JV工事事務所の奈須野恭伸所長、大成建設の田中茂義代表取締役副社長執行役員、佐藤工業の平間宏社長、岩田地崎建設の関博之代表取締役副社長、原石山採取工事作業所の池田千博所長が実施した。
 礎石が堤体と一体になるよう土砂をかぶせる「埋納の儀」では県の田中倫英建設部長らが礎石に土砂を盛った後、無人の大型ダンプでCSGを運び、自動運転のブルドーザーが敷きならすクワッドアクセルの技術を披露した。
 成瀬ダムは堤高114・5メートル、堤頂長755メートル、堤体積485万立方メートルの規模。総貯水量は7850万立方メートルを見込み、総事業費は2230億円を計画している。22年度は232億円を投入し本体建設や管理庁舎整備、取水・放流設備、国道付け替え舗装などの工事を予定。花篭所長は「地域の皆さんに協力していただきながら進めてきた。今後も関係者が一体になり早期完成に向け施工していく」と話した。



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21年度土木学会賞/21部門131件が受賞、功績賞に13氏選定

 土木学会(谷口博昭会長)は16日、2021年度の土木学会賞を発表した。応募265件の中から、功績賞や技術賞など21部門で計131件を選定した。表彰式は6月10日に東京都千代田区のホテルメトロポリタンエドモントで開く。=12面に詳しく
 土木工学の進歩や土木事業の発達、学会活動に多大な貢献があった会員に贈る功績賞には▽石垣泰輔(関西大学名誉教授・特別契約教授〈環境都市工学部〉)▽上田多門(深〓(土へんに川)大学特聘教授、北海道大学名誉教授)▽小林潔司(京都大学名誉教授・同大学院経営管理大学院特任教授)▽清水則一(関西大学先端科学技術推進機構特別任命教授、山口大学名誉教授)▽須野原豊(日本港湾協会理事長)▽高田至郎(NPO法人防災白熱アカデミィ理事長)▽高橋重雄(沿岸技術研究センター上席客員研究員)▽寶馨(京都大学防災研究所特任教授)▽西垣誠(非営利共益法人統合物性モデル技術研究組合〈IMTERA〉理事長、岡山大学名誉教授)▽二羽淳一郎(東京工業大学名誉教授)▽馬場俊介(岡山大学名誉教授)▽日野伸一(九州建設技術管理協会学術顧問)▽山崎隆司(JR東日本クロスステーション常勤監査役)-の13氏を選んだ。
 石垣氏は、地下浸水の予測や対策などに関する研究を先駆的に行ってきた。上田氏は、せん断疲労に対する安全性照査の予測式などを構築し、コンクリート標準示方書に採用された。小林氏は、日本学術会議の土木工学・建築学委員長として提言や議論の取りまとめに尽力した。清水氏は、地盤・構造物の安全管理や斜面防災、災害復旧の高度化などに貢献してきた。
 須野原氏は「臨海部産業エリア形成促進港」の指定など先導的な施策をリードした。高田氏は、都市ライフライン施設の地震防災技術の開発に貢献した。高橋氏は、津波・波浪・高潮に対する構造物の性能の基礎研究に尽力した。寶氏は、洪水時の確率的実時間予測手法および物理分布型流出モデルを開発した。
 西垣氏は、地下水環境に関するさまざまな問題の解決に取り組んだ。二羽氏は、構造設計の高度化などコンクリートに関する研究に力を尽くした。馬場氏は、構造力学の手法を用いた新たな「土木史」の在り方を開拓した。日野氏は、橋梁工学・構造工学の研究開発で優れた成果を残した。山崎氏は、東日本エリアの鉄道輸送網整備の調査・計画で中心的役割を担った。



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日建連意見交換会/関東地区からスタート、時間外規制適用備え対応を

 日本建設業連合会(日建連、宮本洋一会長)と国土交通省など公共発注機関による2022年度「公共工事の諸課題に関する意見交換会」が16日、さいたま市中央区のさいたま新都心合同庁舎2号館で開いた関東地区の会合でスタートした。3年ぶりに対面形式で開催。日建連側はさらなる働き方改革や生産性向上の環境整備を求める。2年後に迫る時間外労働の罰則付き上限規制適用開始に備え週休2日工事の拡大も訴える。=2面に出席者一覧
 国交省の若林伸幸関東地方整備局長は「魅力ある建設業になるため受発注者でしっかりとコミュニケーションを取っていきたい」と呼び掛けた=写真。押味至一副会長土木本部長は「一堂に会することで意見交換会が果たす役割は非常に大きい」と応じた。
 議論のテーマは日建連側が提案した▽適切な公共工事▽担い手確保▽改正公共工事品質確保促進法(公共工事品確法)の的確な運用▽生産性向上-の四つ。
 適切な公共工事は、日建連が工期設定の適正化につなげるため発注予定公表手続きの改善を要望。関東整備局はWTO政府調達協定が適用される一般土木工事を対象に、速やかに公告予定月の事前情報開示を検討すると応じた。
 担い手確保は、日建連が中部、四国両整備局が試行する土日閉所による完全週休2日モデル工事の拡大を求めた。これに対し、関東整備局は本年度にWTO一般土木工事で同様のモデル工事試行を考えると答えた。4週8閉所が工程的に難しそうな工事に関してはプレキャスト(PCa)化の活用を探るとした。
 改正公共工事品確法の的確な運用は、入札契約制度の改善の在り方を議論した。日建連は活用拡大を求めた国交省の一括審査方式で配置予定技術者が単名申請となっている状況を説明。応札者の欠格リスクが高く通常工事と同様に複数名申請も可能にするよう求めた。関東整備局もWTO一般土木工事で検討することを明らかにした。
 生産性向上は、関東整備局が遠隔臨場の一環で23年度に「デジタルデータを活用した鉄筋出来形計測」の現場実装を目指すとした。
 意見交換会は6月13日の九州地区まで全国9地区で行う。



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空調設備工事4社/22年3月期全社で増収、再開発や設備投資持ち直し

 空調設備工事上場会社4社の2022年3月期決算が16日に出そろった。大都市圏の再開発事業や製造業を中心とした設備投資が持ち直し、全社が増収となった。最大手の高砂熱学工業は前年同期を10・0%上回った。本業のもうけを示す営業利益は2社が増益となった。業績の先行指標となる受注高(単体ベース)も全社が増加した。
 連結売上高は全社が前期実績を上回った。大気社は環境システム事業で国内産業空調分野が減少したがフィリピンやインドなどで増加した。三機工業はビル空調衛生と環境システムの大型工事を中心に期首からの繰越工事が進行した。ダイダンは、産業施設工事で15年の開示以来過去最高となる696億円を記録した。海外工事も14年ぶりに100億円を超えた。空港や医療施設関連の大型工事、リニューアル工事の大・中規模案件が順調だった。
 本業のもうけを示す営業利益は大気社とダイダンが減少。ダイダンは受注競争の激化や資機材価格の高騰のほか、竣工を迎える物件が少なく完成工事総利益率が低下。減益となった。
 単体受注高は全社が増加した。高砂熱学工業は産業設備分野で18・4%増と全体を押し上げた。大気社は、タイで大型案件の受注があった反動で海外事業が減少したが国内産業空調分野がカバーした。三機工業は産業空調の半導体関連の受注回復や電気、環境システムの大型工事の受注を要因に前年度を上回った。ダイダンは、医療施設、首都圏の再開発案件、産業施設案件を中心に大型工事を受注した。半導体やECの需要拡大を受け、設備投資が回復し、特に大型工場、物流施設案件が好調だった。
 23年3月期は大気社、三機工業、ダイダンが増収増益を見込む。増収減益としたのは高砂熱学工業。資機材不足、資機材価格の高騰、工程の遅延、人材不足に伴う更なる労務費高騰などを理由に挙げた。中期経営計画(20~23年度)も取り下げ、計画を練り直すことを発表するなど今後の市場環境を慎重に見極めていく。



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都市機構西日本支社/うめきた2期防災公園整備に本格着手、施工は大林組JV

 都市再生機構西日本支社は、JR大阪駅北側の再開発地区「うめきた2期」(大阪市北区)で防災公園(約4・5ヘクタール)の整備に本格着手する。地区内では複数の超高層ビルを建設する民間開発が進んでおり、敷地全体を「みどり」の大地として捉え、自然豊かな都市空間を形成する。2024年夏ごろに先行開園し、27年春ごろの全体開園を目指す。施工は大林組・竹中工務店・竹中土木JVが担当する。
 防災公園「(仮称)うめきた公園」は超高層ビル群が立つ北街区と南街区の間に計画され、大阪府と大阪市、都市機構、三菱地所ら9社が連携し、大阪の新しい名所となる公園整備を進める。
 大阪市と都市機構が防災公園街区整備事業として公園の基盤を整備し、民間事業者がまちの魅力を高めるさまざまな施設を設置する計画だ。完成後、市に移管する。
 コンセプトは「未来へのひらめきと原動力となる『みどり』」。南側は都市的な空間、北側は自然豊かな空間とし、それぞれ象徴的な風景を作り出す。
 南公園には天然芝の広場や大屋根のイベントスペースを設け、1万人規模のイベントを開けるほか、段丘状の丘や水遊びができる場所も作る。北公園は池や滝がある憩いの空間「うめきたの森」を設ける。桜をはじめ、日本らしさや大阪らしさを感じられる植栽を施す。
 公園内には大規模災害時に避難者を受け入れる約3・4ヘクタールのスペースを確保し、照明やトイレ、備蓄倉庫も配置する。
 24年夏ごろの一部先行まち開きに合わせ、公園も部分開園する。基本設計は日建設計と三菱地所設計、実施設計は日建設計が担当した。



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2022年5月16日月曜日

主要ゼネコン25社/22年3月期決算、建築で採算悪化し14社減収

 主要ゼネコンの2022年3月期決算が13日に出そろった。決算発表日が流動的となっているナカノフドー建設を除く25社の連結売上高は14社が前年同期を下回った。原油や資材価格の高騰などで民間建築を中心に工事採算が悪化。本業のもうけを示す営業利益は黒字の会社のうち16社が減少した。23年3月期の業績予想は全社が増収を見込む。ウクライナ危機に伴い物価上昇に拍車がかかるとの懸念もあり減益を見込む企業が目立った。
 増収となったのは手持ち工事を順調に消化した鹿島や大林組、大成建設、清水建設、長谷工コーポレーション、フジタ、東急建設、奥村組、東亜建設工業、飛島建設の10社だった。期首手持ち工事の減少や海外工事の遅延などで多くのゼネコンが苦戦した。
 営業利益の水準維持が難しい状況の中で「土木事業で好採算の工事が積み上がった」(中堅ゼネコン)など6社が前年同期を上回った。工事の採算性を示す単体の完成工事総利益(粗利益)率は、国内外の大規模建築事業で工事引当金を計上した企業などで大幅に低下。18社が前期実績を下回った。2桁台だったのは鹿島や大成建設、長谷工コーポレーション、インフロニア・ホールディングス(HD)など15社だった。
 業績の先行指標となる単体受注高は民間投資が回復基調にあることや堅調な公共投資の推移などで13社が増加。引き続き新型コロナウイルス感染の再拡大など先行き不透明な部分はあるものの「国内外ともに決して市場環境は悪い状況ではない」(複数のゼネコン)との見方が強い。23年3月期予想では受注増を見込む企業が目立つ。
 原油や資材価格の高騰に関して複数のゼネコンで「今後はさらに影響が出てくるのではないか」と警戒感を強める。競争環境の激化も加わり受注時採算は悪化しつつある。ある中堅ゼネコンは「コスト削減を提案しつつ適性な利益を確保できるよう交渉を続けるしかない」と話す。今後も厳しい状況は続くことが予想され、生産性向上や原価低減などの取り組みも一層求められそうだ。



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大林組ら/顔認証統合IDプラットフォーム構築へ、作業員にサービス提供

 大林組とパナソニックコネクト(東京都中央区、樋口泰行社長兼最高経営責任者〈CEO〉)は、顔認証を活用した統合IDプラットフォームの構築に着手した。建設作業員への多様なサービス提供が目的。顔認証を活用し、作業員がカードやデバイスを持たずに本人証明できるようにする。プラットフォームに顔画像情報と本人情報をID連携することであらゆるサービスを提供する。
 顔認証を活用した統合IDプラットフォームは、パナソニックコネクトのクラウドサービス「KPASクラウド」と開発中の「Hybrid-ID」を利用。通勤時のシャトルバスへの乗降確認や入退場時のセキュリティーチェックなどを想定した顔認証の実証実験を実施。通勤用シャトルバスへの乗降や建設現場入退場時で顔認証の確実性とスムーズさを確認した。
 顔認証の精度は、屋内、屋外、時間帯の違いで環境変化、顔の露出量、マスクやヘルメットの着用など条件変化を加え検証したが、誤認証は発生しなかった。時間当たりの乗降可能人数確認では、想定乗車人数を1台40人とした場合、平均して3分半程度で乗降ができたという。
 今後、実験結果を基にサービスの具体化を進め、通勤専用シャトルバスの乗降確認や入退場ゲートでのセキュリティーチェックの実用化を目指す。現場内でレンタルする資機材や配達物の受け取り時の本人確認などのサービスも展開する予定だ。



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森ビル/災害時の状況可視化システム、地盤情報ひも付けし建物危険度判定

 森ビルが3DマップとIoTデバイスデータを組み合わせた「災害時の状況可視化・情報連携システム」を開発した。地図に表示された建物の構造や用途と、地震センサーで取得した地盤情報などをひも付けし、建物の危険度などを判定する。今後、「デジタル田園健康特区」の指定を受ける長野県茅野市と連携して実証実験に取り組む方針だ。
 可視化システムは、内閣府が委託する「スーパーシティ構想の実現に向けた先端的サービスの開発・構築等に関する実証調査業務」の一環で開発した。IoT技術をベースに構築した地震センサーで地盤や建物の揺れデータを取得。3Dマップに表示された建物情報(構造・用途)を掛け合わせて使用する。
 災害時に倒壊が懸念される建物などを把握できるだけでなく、災害時要援護者情報を入力すると安否確認の優先度を自動で割り出せる。医療や健康関連の課題に重点的に取り組んでいる茅野市と協力し実証実験に着手する。システムの早期確立を目指す。
 人口密度が低い地方都市の場合、行政職員や消防団、地域住民が直接訪問して安否確認を行っている。可視化システムを活用すると災害時に要援護者の状況を素早く把握でき、過疎化や高齢化が進む地方都市で迅速な初動対応が可能になる。



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東京エレクトロン/宮城・大和町に開発棟新設、設計・施工予定者は大成建設

 半導体製造装置メーカーの国内最大手、東京エレクトロンは宮城県大和町に開発施設を建設する。製造子会社である東京エレクトロン宮城の工場敷地内に、全免震構造のS造3階建て延べ約4万6000平方メートルの建物を整備する計画だ。設計・施工予定者は大成建設。建設費は約470億円(関連設備含まず)。2023年春の着工、25年春の竣工を目指している。
 建設地は大和町テクノヒルズ1。東京エレクトロン宮城本社工場は6棟の建物がある。駐車場などのスペースを活用し開発棟を建設する。建物は装置の納入先である半導体工場と同様の環境を整えるため、高い空気清浄度を再現するクリーンフロア、直下の階に電源などの機械設備を配置する補機エリアを設ける。実験スペースのフロアと合わせ3層構造になる。
 東京エレクトロンは技術開発力を強化し、拡大している半導体市場の需要に対応。顧客が求める機能を備えた製品を提供していく。



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名古屋市/名勝二之丸庭園整備計画、3万平米を6期で整備・1期は茶屋移築再建

 名古屋市観光文化交流局は、名勝名古屋城二之丸庭園(中区二の丸)の整備計画をまとめた。歴史的経緯を踏まえた修復や、文化を体験できる公開活用施設の整備を方針に示した。工事は名勝指定範囲3万0463平方メートルを対象に、6期に分けて行う。1期当たりの期間は3~5年で、2048年度までの全体整備完了を見込む。
 名古屋城東側にある同庭園は、1953年に愛知県内で初めて国の名勝指定を受け、2018年には追加範囲も指定された歴史的庭園。
 計画によると、本年度から25年度までの第1期では、主に庭園中心部を対象に、江戸期の御茶屋「余芳」の移築再建などを行う。余芳は現在、解体部材が名古屋城内で保管されている状態で、本年度に復元の基本設計を進める。
 26年度以降着手する第2期の対象は庭園北東部の東御庭や北御庭の一部。3期は南東部の南御庭と中御庭、4期は北部の北御庭と外縁西で整備を進める。5期の対象は南西部の近代前庭と外縁東。
 6期は庭園南部の二之丸御殿跡を整備する。二之丸庭園整備計画ではガイダンス施設などの整備を予定しているが、近接する愛知県体育館が名城公園北園へ移転する。このため、二之丸南部の整備計画を別途作成し、整備内容を検討することにしている。



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2022年5月13日金曜日

国交省/CCUS能力評価見直し検討、職種ごと柔軟に対応

 建設キャリアアップシステム(CCUS)登録技能者の能力評価(レベル判定)制度を巡って、国土交通省が制度見直しを視野に入れた検討を始めた。11日に東京都内で開かれた会合で大澤一夫官房審議官(不動産・建設経済局担当)は「制度を固く持つというより、むしろ専門工事団体の考えに沿って柔軟に進めていく。評価の仕方や基準も柔軟な対応に方針を変えていく」と明言。建設業団体から意見や要望を吸い上げ、技能者の処遇改善に一段とつながる制度を目指す考えを示した。
 国会議員や建設業団体などが参加した「『建設職人基本法』超党派国会議員フォローアップ推進会議」(議長・二階俊博衆院議員)の会合でCCUSの取り組み状況として報告した。
 現行制度は国が能力評価の統一的なガイドラインを設け、全職種共通で技能レベルを4段階評価する仕組み。大澤審議官は会合で、一部の専門工事団体から「(レベル分けを)四つではなく八つにしてほしい」など、現場の実情に即した制度改善を望む意見が挙がっていることを紹介した。
 CCUSの運用開始から3年が経過したが、技能者が登録メリットを実感できないという声は依然多い。登録者数を増やすだけでなく能力評価制度が業界に浸透し、技能者の処遇改善に直接機能していく形にならなければメリットは顕在化しない。
 国交省はこうした問題意識を背景に、レベル分けの細分化など職種ごとの柔軟な対応を許容する方向にかじを切る考えだ。主要な専門工事団体などと意見交換する「CCUS評価制度懇談会」を昨年末に新設しており、制度改善のヒントやニーズを吸い上げる場とする。
 制度見直しにはさまざまな関係者とひざ詰めで意見を交わすことが不可欠だ。全職種共通の4段階評価や官民の役割分担といった現行制度の枠組みは、建設業界統一のルールにすることを前提に構築した経緯がある。能力評価の客観性や職種間のバランスを確保する必要性は当初から指摘されていた。制度創設時の議論に立ち返りつつ適切な解を導き出すには慎重な議論が必要だ。



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都市環境改善センター/工事車両の路上待機解消へ提案、国交省らと意見交換

 工事現場に資機材を搬入する大型車両が公道に待機駐車する問題の解決を目指し、都市環境改善センター(代表理事・上坂元勇次ユーシン代表取締役)が提案活動を本格化している。道路高架下などにトラック数台が停車できる待機所を用意し、予約した工事関係車両が駐車する対策を提案。災害時には緊急支援施設として利用し、国土強靱化にもつなげるアイデアだ。国土交通省と東京都、警視庁との意見交換を始めており、具体化へ議論していく。
 同センターは都市部の再開発工事に伴う交通問題や環境問題の改善を図り、カーボンニュートラル(CN)実現などに貢献する狙いから昨年9月に発足した。
 資材搬入車両を巡っては、指定時間ちょうどに現場に到着するよう近接地などの道路で待機し、交通渋滞や交通事故が発生している。警視庁によると、「違法駐車は交通の安全と円滑を阻害する大きな問題点。待機場所の確保を指導している」(交通部)状況がある。工事現場で待機先を確保しているケースもあるが、十分なスペースの準備は難しいのが実情。路上待機車両を取り締まっても、別の場所に移動して待機すれば根本解決には至らない。
 このため同センターは幹線道路などの高架下や公園、公共駐車場、河川敷などの既存インフラ施設の隙間空間を利用して、トラック2~5台程度が駐車できる場所を確保するアイデアを考えた。待機所は指定法人が運営管理し、会員登録した工事現場の関係車両だけが利用するイメージだ。多数の待機所を分散して配置することで利便性を高める。
 待機所には休憩施設やトイレ、飲料・軽食自動販売機などを会員向けに用意し、トラック運転手の労働環境改善につなげる。アイドリングストップの徹底などでCN対策にも貢献する。災害時には施設を市民に開放して帰宅困難者などを支援する。
 実現には国や自治体との調整、法整備などが必要とみており、関係行政機関との意見交換会を始めた。初回の11日には、国交省の都市局まちづくり推進課と不動産・建設経済局建設業課、東京都都市整備局、警視庁の交通部駐車対策課、交通規制課の幹部らが参加した。社会実験の実施に向けて協議会の立ち上げを見据える。上坂元代表理事は「地球環境対策と災害に強い強靱化された都市づくりにつなげたい」と話している。



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水産庁/漁港漁場優良請負者表彰の受賞者決定、農水大臣表彰に3人

 水産庁は2022年度「漁港漁場関係事業優良請負者表彰」の受賞者を決めた。農林水産大臣表彰に3人、水産庁長官表彰として10人を選んだ。12日に東京都内で表彰式を開き、神谷崇長官が受賞者に表彰状を手渡した。
 表彰式で神谷長官は大規模災害の多発に触れ、被災した漁港や漁場で初動対応に奔走する建設事業者に謝意を示した。その上で「水産庁は関係者が安心して施工できる環境を確保し、技術力を高められるよう全力を挙げて取り組む」と表明。漁港漁場関係事業を通じた水産業と漁村の発展へ期待を語った。
 受賞者は次の通り。▽氏名(所属)=推薦者。
 【農林水産大臣表彰】
 ▽小針武志(小針土建社長)=北海道▽佐野茂樹(青木建設代表取締役)=静岡県▽寺澤孝憲(西海建設社長)=長崎県
 【水産庁長官表彰】
 ▽數土勉(機械開発北旺社長)=北海道開発局▽中塚徹朗(中塚建設代表取締役)=北海道▽佐々木宏明(橋本店社長)=宮城県▽中元將人(中元組社長)=新潟県▽金田隆徳(金田建設社長)=島根県
 ▽大坪弘成(大坪建設代表取締役)=長崎県▽安東建治(安東建設代表取締役)=大分県▽志多宏彦(志多組社長)=宮崎県▽西園彰(西園組代表取締役)=鹿児島県▽武富和裕(共和産業社長)=沖縄県。



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西松建設ら/盛り土材料の品質確認装置、画像解析で粒度と色合い測定

 西松建設と計測機器開発などを手掛ける西華デジタルイメージ(東京都港区、福里克彦社長)は、土砂の品質を現場で効率的に確認できる装置を共同開発した。画像解析技術により粒度と色合いを測定し品質を確認する。従来のふるい試験に比べ大幅に時間と手間が短縮できる。装置は現場で持ち運べるようなサイズや重量にした。土質が変わりやすい土砂を適切に管理し、盛り土や埋め戻し工事の品質向上に役立てる。
 「盛土材料品質確認装置」は1試料当たり数十分ほどで測定でき、1日に複数種類の土砂を確認できる。新装置は実証実験を始めており、今後は測定方法を確立し実現場への適用を図る。
 新装置は測定用カメラで撮った画像を解析し、土砂の粒度分布と色彩を基に土質を確認できる。大きい粒径と小さい粒径を測る異なる二つの測定手法を組み合わせ、75マイクロ~75ミリの幅広い粒度に対応した。粒が大きい土砂は装置上部のホッパーから試料を投入し、落下する様子の連写画像を解析する。粒が小さい土砂は装置の底に固定して撮影し測る。作業者の手間を大幅に減らしつつ、ふるい試験と同等の測定精度を再現できることを確認した。
 従来は施工前の物性試験以降、担当者の目視や含水比などで日々の土質の変化を判断していた。現地で粒度試験を行うには、試験室を設けた上で、試験自体に2日間以上かかるなど多大な時間と手間を要した。



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西新宿三丁目西地区再開発(東京都新宿区)/組合設立手続き着手、6月中に都へ申請

 東京都新宿区で総延べ約38万平方メートルの再開発ビルを計画する「西新宿三丁目西地区市街地再開発準備組合」(八木秀夫理事長)が、組合設立の申請手続きを始めることが分かった。6月中に都へ設立認可の申請を行えるよう、区とも調整していく。申請手続きが順調に進めば、9月ごろにも本組合設立となる見込みだ。準備組合の立ち上げから20年を超える中、プロジェクトがいよいよ本格化する。
 計画地は西新宿2と3、4内(区域面積約4・6ヘクタール)。エリアの南西側約300メートルに京王電鉄初台駅が位置し、甲州街道や山手通りなどの主要道路が街区を囲む。組合設立後は権利変換計画の認可を経て、2024年度にも既存建物の解体を含む工事に着手。34年度ごろの竣工を目指している。
 準備組合には事業協力者として野村不動産、東京建物、住友商事、首都圏不燃建築公社、前田建設の5社が参画。事業コンサルタントは佐藤不動産鑑定コンサルティング、上野計画事務所、梓設計、環境管理センターが務める。梓設計は施設の基本設計も手掛けた。
 21年7月時点の計画によると、A-1~3の三つの街区に分けて再開発ビルを建てる。A-1街区には北棟(地下4階地上63階建て延べ約18万3800平方メートル)と南棟(地下4階地上62階建て延べ約19万5000平方メートル)の2棟を整備する。
 A-2街区には地下1階地上9階建て延べ約3400平方メートル、A-3街区に9階建て延べ約1400平方メートルの規模となる。合計で約3200戸の住宅や商業施設、オフィスなどが入る。区画道路や歩行者デッキ、広場も併せて整備する。
 対象区域は1981年以前の旧耐震基準に基づく建物が多く立地。幅の狭い道路もあり、防災面で課題を抱えている。準備組合は01年に発足し、事業の区域や計画などを検討。19年3月に区から都市計画決定の告示を受けた。組合設立に向けた地権者の同意率が7割を超え、都市再開発法に基づく設立手続きに着手できる段階を迎えた。



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2022年5月12日木曜日

国交省/歩切りの違法性周知、定義解説リーフレット自治体に送付

 国土交通省は公共工事の設計金額の一部を切り下げて予定価格にする「歩切り」を行わないよう、地方自治体などに改めて働き掛ける。昨年1月の実態調査以降、全自治体で歩切りの根絶を確認したが、建設業団体から市町村などで歩切りがまだ存在すると指摘する声がある。歩切りの定義や違法性を分かりやすく解説するリーフレットを新たに作成し、11日付で都道府県などに送付。関係部局で歩切りへの認識を共有し適切な対応に当たるよう要請した。
 リーフレットは都道府県と政令市に加え、独立行政法人や特殊法人を所管する府省庁にも送付。都道府県には管内市区町村への周知も要請した。公共工事品質確保促進法(公共工事品確法)では予定価格の適正な設定が発注者の責務と位置付けられている。府省庁の所管法人も含む公共発注者全般に歩切りの違法性を周知し注意を促す。
 実務担当者にも理解しやすいようリーフレットには歩切りの該当例を明記。単なる慣例であったり、財政健全化や公共事業費削減、追加工事発生時の備えなどの目的があったりする場合も「運用を是正することが必要」と指摘した。予定価格の漏えい防止や事務効率化のための端数処理も歩切りに該当するが、入札契約手続きの透明性や公正性を確保するために合理的で極めて少額にとどまる場合「やむを得ない場合もある」とした。
 見積もりなどを参考に予定価格を設定する場合、市場実態や妥当性を確認せず発注者が独自に乗率などを設定する運用も「実質的に歩切りと類似する結果を招く恐れがある」と明記した。資材などの実勢価格を適切に反映した積算の徹底を呼び掛ける。
 昨年1月の実態調査では16市町村が「歩切りを行っている恐れがある」と判明したが、国交省の働き掛けでいずれも運用を見直した。再発防止を徹底するため国交省は、歩切りがダンピング受注の助長や、下請業者や現場職人へのしわ寄せにつながりかねないと注意喚起。歩切りの問題点と公共工事品確法の趣旨を理解し「安ければいい」という意識や慣例を見直すよう求めている。



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労研/理事長に細谷浩昭氏(鉄建建設)就任

 建設労務安全研究会(労研)は11日に東京都内で定時総会を開き、任期満了に伴う役員改選で理事長に細谷浩昭副理事長(鉄建建設)を選任した。同日付で就任した。=2面に関連記事
 細谷 浩昭氏(ほそや・ひろあき)1984年駒沢大学法学部法律学科卒、鉄建建設入社。安全品質環境本部安全品質環境部担当部長、東京支店安全品質環境部長、安全推進室安全品質環境部長などを経て、今年4月から執行役員安全推進室副室長兼安全品質環境部長兼鉄建24時間情報センター部長。労研では2017年5月から副理事長を務める。神奈川県出身、60歳。



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建機大手4社22年3月期決算/3社が増収増益、北米・アジア中心に需要増

 建設機械メーカー大手4社(コマツ、日立建機、コベルコ建機、住友重機械工業のロジスティックス&コンストラクション部門)の2022年3月期決算が11日に出そろった。北米やアジアを中心にコロナ禍から経済活動が回復し建機需要が増加したことや、円安の影響で3社が増収増益となった。好調だった21年度だが、今期は不透明感が漂う。資材高騰や材料の調達難、ロシアのウクライナ侵攻などの影響がさまざまな部分に出てきそうだ。
 22年3月期の連結業績では、コマツは売上高が主力の建設機械・車両部門で2兆5643億円(前期比29・8%増)となった。一般建機と鉱山機械の需要が好調に推移した。日立建機の建設機械ビジネスセグメントの売上高は、9338億円(27・2%増)。世界全体で油圧ショベル需要が増加。鉱山の操業が正常化し、マイニング需要も堅調に推移した。営業利益は、物流コスト上昇などが影響したものの、損益改善や円安の影響で、コマツが前期比91・8%増、日立建機が同233・1%増となった。
 住友重機械工業のロジスティックス&コンストラクション部門は、国内市場の堅調な推移と北米地区の需要が増加した。コベルコ建機は、東南アジアと欧州を中心にインフラ投資の拡大で需要が回復して増収となったものの、調達コスト増加などで経常減益となった。
 各社の建設機械部門の23年3月期業績予想は、コマツやコベルコ建機が増収を予想するものの、日立建機は減収を見込む。ウクライナ危機の影響を見ると、コマツはロシア向け出荷を停止中で、現地での生産も止めている。22年度の独立国家共同体(CIS)地域の売上高は前期比63・7%減を見込む。コマツの小川啓之社長兼最高経営責任者(CEO)は「ロシア市場からの完全撤退は考えていない」としつつも、「はっきりとした方針があるわけではない」と説明する。日立建機も順次、ロシアでの生産と出荷を停止していく。両社ともロシアとCIS地域の売り上げが占める割合は小さいが、「(ウクライナ情勢による)資源価格の上昇は欧州市場に影響しそうだ」(日立建機の平野耕太郎社長兼CEO)と警戒の声が上がる。
 住友重機械工業は、22年度に決算期を「3月31日」から「12月31日」に変更する。22年4~12月の9カ月間の業績予想は、売上高3080億円、営業利益145億円。22年4月~23年3月の12カ月間の参考値は売上高3720億円、営業利益180億円を見込む。



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首都高速会社/ローカル5G無線通信エリア構築へ、共同研究を開始

 首都高速道路会社は、災害時の情報収集などを目的に「ローカル5G無線通信エリア」を高速道路上に構築する共同研究を始めた。線状の無線通信エリアを構築するための手法や導入時の課題点などを抽出する。研究期間は1年程度を見込んでいる。
 研究体制は▽首都高速会社▽日本無線(東京都中野区、小洗健社長)▽ノキアソリューションズ&ネットワークス合同会社(同港区、ジョン・ランカスターレノックス社長)▽東芝インフラシステムズ(川崎市幸区、今野貴之社長)-の4者。無線通信エリアの構築に向けた可能性を調査し、実測データの取得やシミュレーションを行う。災害時の情報収集に加え、平常時の業務効率化につなげる。



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水資源機構/子ども向けホームページ拡充、ペーパークラフトや動画コンテンツ

 水資源機構はこれから迎える夏休みをにらみ、子ども向けホームページ(HP)を大幅に拡充した。夏休みの自由研究を想定し、ダムや水路についての動画コンテンツを掲載。工作に使えるペーパークラフトやダムカードをコレクションするための「御水印帳」なども作り、家族全員で楽しめる内容へと充実させた。
 動画コンテンツは、同機構が管理する全国のダムや水路などの情報を分かりやすく紹介。クイズ形式で同機構の役割やダム、水路の大切さを説明するコンテンツも作った。
 ペーパークラフトはダムやポンプ車など10種類をラインアップ。ダムはロックフィルダムと重力式の2種類を用意し、放水状態が再現可能な本格仕様となっている。旧吉野川河口堰(ぜき)をモデルにしたペーパークラフトは、横に6個つなげると迫力ある可動堰が再現できる。御水印帳は表紙に好きな写真などを貼り付けて使えるタイプと和風のタイプの2種類をそろえた。
 ペーパークラフトは同機構本社(さいたま市中央区)の総合受付にも展示している。キッズページはHP(https://www.water.go.jp/honsya/honsya/kids/)からアクセスできる。



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2022年5月11日水曜日

遠隔臨場現場7割以上で負担軽減実感、自治体など普及課題/日建連調査

 遠隔臨場を導入した土木工事現場の7割以上で監督・検査業務の負担軽減を実感できていることが、日本建設業連合会(日建連、宮本洋一会長)の調査で分かった。映像や音声の双方向通信機器を用いて遠隔地で材料確認や段階確認(出来形確認)、立ち会い検査を実施。受注者にとっては発注者との日程調整や当日の帯同が軽減され、待ち時間の解消などにもつながっている。当面は地方自治体や機構などへの普及拡大が課題になりそうだ。
 公共積算委員会が加盟65社を対象に昨年11月、「円滑な施工の確保に関する調査」を実施。2020年10月~21年9月に完了または施工した3億円以上の公共土木工事(高速道路会社や機構など含む)の1666現場を対象に調べた。
 遠隔臨場の有効性を確認した結果、回答246現場のうち「大いに有効」(23%)、「おおむね有効」(51%)という前向きな回答が74%に上った。有効な理由として▽立ち会いの待ち時間短縮▽立会実施日時が調整しやすい▽立ち会い対応の省人化・省力化-といった声が数多く寄せられた。
 発注者別に遠隔臨場を導入した現場割合も確認。▽国土交通省(道路・河川、回答現場243現場)=38%▽同(港湾・空港、191現場)=21%▽高速道路会社(246現場)=42%▽機構・事業団(160現場)=9%▽自治体(380現場)=10%。国(道路・河川)や高速道路会社は約4割の現場で導入しているものの、機構・事業団や自治体は1割と遅れが目立つ。
 日建連は調査結果を踏まえ、16日から全国9地区で開く公共発注機関との意見交換会で遠隔臨場の導入拡大を呼び掛ける。国交省に対しては長さや幅などの計測を想定し、段階確認時にデジタル化した計測方法の現場実装を要望。同省以外の発注機関には遠隔臨場の実施要領制定を求め、全面的な導入を訴えていく。
 高度で安定した通信環境の整備も不可欠と主張。着工前に整備を促す仕組みとして、発注者と通信事業者による協議を発注前の条件明示リストに加え、ルール化することを提案する。国交省地方整備局などが展開している中間技術検査や完成検査の遠隔臨場の試行継続も要望する。



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四国整備局/長安口ダム(徳島県那賀町)本体改造が完成、堤体切削量は国内最大級

 四国地方整備局が頻発する那賀川の洪水被害の軽減を目的に、2007年度から進めてきた長安口ダム(徳島県那賀町)の本体改造事業が完成した。ダムの運用を継続しながら堤体を切削し洪水吐きを増設する国内初の工事で、幅10メートル、高さ26メートル(うち固定部約6メートル)の国内最大級となるクレストゲートを2門設置した。主要工事は鹿島と鹿島・日立造船JV、IHIインフラシステムが施工した。総事業費は約390億円。
 既設ダムの切削は、左岸側で高さ約37メートル、幅約11メートル(体積約4680立方メートル)で、既設ダム堤体の切削量としては国内最大規模となった。予備ゲートを設置し工事中は仮締め切りとして使用した。確実な締め切りとなりダムを運用管理しながらの施工を可能にした。堤体にブラケット形式の底部架台を設置し、その上に予備ゲートを据え付けた。
 設計洪水流量は毎秒9200立方メートル、計画最大放流量は同7400立方メートル。他のダムと比べて減勢工の対象流量が大きいことから、増設したゲートからの放流水を既設ゲートからの放流水にぶつけて減勢する方式を採用した。予備ゲートの据え付け、減勢工の方法は国内初の方式となった。
 15日に現地で完成式を開く。前日の14日には相次ぐ台風被害を受け16年度に工事着手した加茂地区(徳島県阿南市)の那賀川床上浸水対策特別緊急事業の完成式が行われる。



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大建協/次期会長に錢高久善氏(錢高組社長)内定

 大阪建設業協会(蔦田守弘会長)は9日の理事会で、次期会長に錢高久善錢高組社長が就任する人事を内定した。副会長には中道正伸中道組社長を再任する。
 25日に開く定時総会で正式決定する。
 錢高 久善氏(ぜにたか・ひさよし)1998年慶応大学大学院政策メディア研究科修士課程修了。2000年錢高組入社。01年取締役、03年同兼常務役員、08年同兼専務役員、14年同兼副社長役員、16年6月社長。大阪府出身、48歳。



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タイムライン防災国民会議が発足/連携強化し実効性向上、普及啓発活動も展開

 災害発生を前提に取るべき防災行動計画を時系列で整理する「タイムライン防災」の推進を目指す首長らが「タイムライン防災・全国ネットワーク国民会議」(議長・西田健三重県紀宝町長)を立ち上げた。タイムライン防災に取り組む関係者が連携を強化。情報交換を通じてタイムライン防災の実効性を高める。人材育成の推進や全国の防災機関への普及啓発活動も展開する。10日に東京都千代田区のホテルルポール麹町で設立総会を開いた=写真。
 タイムライン防災はさまざまな自然災害を時間軸で考え、災害時の対応を具体的に示す防災行動計画。従来の防災計画を補完する仕組みとして、2014年に始まった。20年7月豪雨など実際の災害で活用され、人的被害の防止につながった事例もある。
 同会議ではタイムライン防災の普及拡大や実効性向上を目指す。情報交換しながらタイムラインの運用スキルを高めたり、課題を解決したりする。タイムライン防災を地域で策定し、運用を支援する人材の育成支援にも力を注ぐ。
 総会の冒頭、技術顧問の河田恵昭関西大学社会安全学部特別任命教授が「タイムライン防災を現実的にどう実行するか、知恵を出さないといけない」と指摘した。特別顧問を務める足立敏之参院議員はタイムライン防災の意義を踏まえ「国民会議の発足にまでつながり感慨無量だ」とあいさつ。特別顧問の太田昭宏元国土交通相が「ハザードマップとタイムライン、マイタイムラインをどう結び付けていくかが大事な課題だ。展望が見いだせるよう論議をし連携を強め、提言をいただきたい」と述べた。
 総会では政府への要望事項を盛り込んだ決議文を採択した。決議文で政府の防災基本計画にタイムラインを活用した防災対策を位置付けるよう要請。地方自治体への支援を財政、技術両面で一段と拡充することも求めた。
 タイムライン防災を提唱した松尾一郎東京大学大学院情報学環客員教授が「タイムライン防災・全国ネットワーク国民会議の目指すこと」をテーマに講演した。



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建設技術研究所/除雪作業省力化で実証実験、車両位置高精度に測定

 建設技術研究所は10日、北海道の稚内空港で実施した除雪作業の運転支援システムに関する実証実験の結果を発表した。実証実験では運転支援ガイダンスシステムを搭載した除雪車両を使い、自車位置を高精度に把握しながら円滑に作業できるかどうかを検証。支障物がモニターに表示される機能や、高精度に自車位置を測定できる技術などにより、オペレーターの作業負担が軽減できることを確認した。
 実証実験はアイサンテクノロジー(名古屋市中区、加藤淳社長)、マップフォー(名古屋市中村区、橘川雄樹代表取締役)と共同で実施。より低コストな位置推定手法を使った。国土交通省航空局による「自車位置測定技術を用いた運転支援ガイダンスシステム」に3社で参加した。
 実証実験は2月に実施した。稚内空港の制限区域を走行し、安全性や実用性といった支援システムの運用上の課題を検証した。GNSS(全球測位衛星システム)受信機とIMU(慣性計測装置)、除雪車両の車速を複合し、絶対座標値を算出する手法を使うことで自車位置を高精度に測定した。安全性を高めるため、支障物に車両が接近すると車内のモニターにアラームを表示する機能や除雪方向を表示する機能も搭載した。
 実証実験に参加したオペレーターにヒアリングしたところ、省力化に有効なことを確認した。



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2022年5月10日火曜日

土木技術者30年に40代半数以下、若手登用モデル工事提案へ/日建連推計

 2030年までに40代の土木技術者が半数以下に減る見通しが、日本建設業連合会(日建連、宮本洋一会長)の推計で分かった。会員企業で働く土木技術者のうち、20年時点で2割だった40代の割合は1割程度にまで減ると予測。40代の土木技術者には監理技術者や主任技術者、所長といった現場で重責を担う人も多い。こうした状況を踏まえ、日建連は公共発注機関に若手技術者の登用を促すモデル工事を提案していく。=2面に関連記事
 推計結果は、20年9~10月に行った「土木技術者の年齢構成実態調査」の結果に基づき算出。公共工事委員会に参加している会員44社を対象に実施したところ43社が回答した。
 20年時点で、43社に所属していた土木技術者は計2万8090人。40代の割合は24%を占めた。30年に土木技術者の総数が同じと仮定し年齢構成割合を試算した結果、40代は13ポイント減の11%に落ち込み、半数以下に減ると予測している。
 40代以外の年齢構成割合は▽60代以上=15%(20年比増減無し)▽50代=24%(4ポイント低下)▽30代=22%(11ポイント上昇)▽20代=28%(6ポイント上昇)。こうした結果を受け、日建連では10年先を見据え現在20~30代の登用を促す必要があると判断した。
 日建連は、一部の国土交通省地方整備局が監理技術者の不足を補完するため直轄工事で展開している「専任補助者制度」と、関東整備局が試行する「監理技術者育成交代モデル工事」の運用を組み合わせた、独自の「若手技術者登用促進モデル工事」を提案。16日から全国9地区で開く公共発注機関との意見交換会で伝えていく。
 日建連が提案する若手技術者登用促進モデル工事は、落札後に受注者が専任補助者や監理技術者育成交代モデル工事といった制度を選択し、発注者と協議できるようにする。配置する若手技術者の実績要件を緩和。当初設定した工期の半分以上が経過すれば、監理技術者または主任技術者を、ベテランから若手に交代することを認める。ベテランは他の現場配置も可能にする。工事完了時、ベテラン、若手それぞれ監理・主任技術者として従事した期間を評価し成績評定に反映させる。同一現場の場合、監理・主任技術者の立場ではない期間も評価。若手登用やベテランの活躍を後押しする。
 監理技術者も多い40代の土木技術者の不足は公共工事の品質確保に支障を来しかねない。日建連は若手の登用促進が必要として、独自に提案するモデル工事の実施を全公共発注機関に促す方針だ。



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国交省/建設業許可業者数21年度末0・3%増、ピーク以降初の4年連続増

 国土交通省は9日、2021年度末(22年3月末)時点の建設業許可業者数を発表した。総数は47万5293業者。前年度末に比べて0・3%、1341業者の増加だった。ピークだった1999年度末(60万0980業者)以降、4年連続の増加は初めて。これまでの傾向に照らすと20、21年度は許可失効が新規取得を上回るはずだった。予想と異なる結果が続いたことで業者数の底打ち感がより鮮明になった。
 新規の許可取得は1万8806業者(前年度比5・4%、1064業者減)。許可失効は1万7465業者(5・0%、926業者減)で、内訳は廃業を届け出たのが8043業者(3・3%、273業者減)、更新手続きを行わなかったのが9422業者(6・5%、653業者減)だった。
 1994年に許可の有効期限が3年から5年に延長されてから、更新期を迎える業者の多寡に比例し許可業者数は「2年増加」と「3年減少」を繰り返してきた。通常であれば減少する年度に当たる20、21年度ともに周期性を覆す結果となった。
 許可業者数のうち、大臣許可は1万0373業者(1・0%、106業者増)、知事許可は46万4920業者(0・3%、1235業者増)。一般・特定許可別では一般許可が45万0901業者(0・2%、825業者増)、特定許可は4万7823業者(1・6%、768業者増)だった。
 29の業種区分の許可総数は167万3673業者で、前年度末に比べ2・0%増加。複数業種の許可を受けた事業者の割合は53・3%となり、前年度末に比べ0・4ポイント増加した。
 取得業者数が増加したのは前年度と同じ25業種。増加数のトップは「とび・土工」の2617業者(前年度比1・5%増)。減少数のトップは「建築」の1717業者(1・2%減)だった。
 許可業者数を資本金階層別に見ると、中小企業者(個人と資本金3億円未満の法人)の数が47万2839業者で許可業者全体の99・5%を占める。うち「個人」は7万0920業者(前年度比3・5%、2554業者減)と年々減少しており、構成比も過去最低を更新し14・9%となった。



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中日本高速会社/事務系職員が富士教育センターで研修、構造物の基礎学ぶ

 中日本高速道路会社が9、10日の2日間、静岡県富士宮市の富士教育訓練センターで新入社員研修を行っている。4月に入社した事務系職員25人が参加し、構造物や点検に欠かせない基礎知識を習得。同社は企業理念として掲げている「安全を何よりも優先する」の実現に向け、人材育成に一層力を入れている。
 社員研修は技術系社員に比べて現場に行く機会が少ない事務系社員が、自ら技術系部門と連携し点検・補修に関連した業務に参画できるようにする狙いがある。研修内容は▽コンクリートの試験練り▽RC構造物の診断方法▽ハーネスの取り扱い-など。同センターを利用して研修を行うのは他の高速道路会社でも中日本高速会社が初めてという。
 初日は研修内容のガイダンスに続き、座学形式で生コンや鉄筋の性質、構造物の施工方法と不具合などを習得。同センターの講師は「技術者とのコミュニケーションや発注業務を行うには、専門用語を覚えるところから始まる」と新入社員にアドバイスした。実技研修では供試体の作製や受け入れ試験といった試験練りを体験し、高速道路の整備や維持管理に必要な基礎知識を学んだ。
 2日目も鉄筋とコンクリートの性質や検査法などをテーマに研修。RC構造物の診断手法の一つである圧縮強度や中性化試験の内容、ハーネスを装着した状態での足場の歩行研修を行う。



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日建設計ら5社/AIで地域冷暖房運転効率化、大規模ビルや病院に適用へ

 日建設計ら5社は、AIを活用して地域冷暖房設備の運転を効率化するシステムを開発した。熱量や送水量の需要予測や、送水温度の判定、最も省エネ性能が高い機器の判定をAIで実施できる。AIプログラムを組み込んだパソコンを設置して、運転データを読み込ませるだけで導入可能。需要動向を見える化し、効率的な設備運転を支援する。大規模開発ビルや病院などの熱源設備に適用でき、二酸化炭素(CO2)やコストの削減に貢献する。
 「AI地域冷暖房(通称・AIちれい)」は、同社と日建設計総合研究所(東京都千代田区、朝倉博樹代表取締役)、東邦ガス、住友商事マシネックス(東京都千代田区、佐橋明三社長)、アラヤ(東京都港区、金井良太代表取締役)が開発した。
 気象データや送水流量データ、温度データ、熱源機器データなどを踏まえ、数時間先の冷暖房に必要な需要量などを予測する。必要最小限の熱源機を運転し、無駄をなくす。需要家側の室内温度や熱負荷の状況を踏まえた送水温度判定や、熱源機の省エネ判定もできる。
 熱量・送水量需要予測AIを対象に、名古屋市内の地域冷暖房設備で実証実験を行う。予測の模擬運転結果では、過去データの熱需要量を99%の精度で予測できたという。実証期間は今月から2024年3月までを予定。実験で得た知見を活用して、さらなる省CO2化につなげる。



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鉄道総研/軌道の変位測定装置開発、専用車両不要・低コストにゆがみ把握

 鉄道総合技術研究所(鉄道総研)は、列車通過時に生じる軌道変位を割り出す測定装置を開発した。専用車両を使わず、保守用車や営業車などに搭載するだけでレールのゆがみを把握する。鉄道総研が開発した車載型検測装置と比べても10分の1のコストで済む。遠隔操作機能を活用すると事務所などのパソコン画面で測定作業を指示できる。測定装置を駆使し、重大事故の防止につなげる。
 装置の名称は「動的軌間・平面性測定装置TRACK2er(トラック・トラッカー)」。装置の心臓部であるセンサーユニットは、レールの位置を測定する「2Dセンサー」と軌道に対する傾きを補正する「角度センサー」で構成する。精度は軌間変位がプラスマイナス0・5ミリ、平面の変位はプラスマイナス1ミリ以内と軌道検測車と同等のレベルを確保している。
 測定データはパソコン画面で確認可能で、事前に軌道修正を行うための目安値を設定できる。目安値を超過した箇所は赤色表示されるため、見落としも少ない。レール断面を写し出した形状図には変位算出で使用した測定点を表示。異常を確認した段階で測定による誤差か軌道変位かの判断に役立つ。
 鉄道事業者は▽高低▽通り▽軌間▽水準▽平面性-の五つから軌道変位を測定している。軌道変位は荷重を伴わない静的変位と実際に車両を走行させる動的変位がある。脱線事故を未然に防ぐには動的変位の管理が有効だが、動的変位を把握するには事前の準備と専用の検測車を使用するなどの課題を抱えていた。



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2022年5月9日月曜日

土木現場の半数で当初工期「短すぎ」、大規模は余裕期間制度を/日建連調査

 建設現場の週休2日取得に欠かせない適切な工期設定が土木工事で十分に行われていないことが、日本建設業連合会(日建連、宮本洋一会長)の調査で分かった。当初発注段階で設定工期が「短すぎた」現場は半数に達した。国土交通省の現場で4割弱、地方自治体や高速道路会社などが5割超に上る。こうした実態を踏まえ、日建連は16日から全国9地区で開く国交省地方整備局など公共発注機関との意見交換会で適切な対応を訴えていく。
 調査は「円滑な施工の確保に関する調査」として昨年11月に会員65社を対象に実施。2020年10月から21年9月末までに完了もしくは施工中だった3億円以上の公共土木工事(高速道路会社や機構など含む)の1666現場を調査。結果は意見交換会で参考データとして紹介する。
 週休2日取得に向け当初発注工期が適切だったかを調べたところ、回答1211現場の50%が「短すぎた」で最多。次いで49%が「適切だった」、1%が「長すぎた」の順になった。
 「短すぎた」の回答割合を発注者別に見ると、▽国交省(道路・河川=248現場)38%▽同(港湾・空港=192現場)36%▽自治体(365現場)52%▽高速道路会社全体(246現場)56%▽機構など(160現場)73%-となっている。
 契約工期の不足度合いも確認。当初工期に対して、足りなかったと考えるおおよその日数がどれくらいの割合か調べた結果、全体平均で約20%だった。発注者別内訳は▽国交省(道路・河川=83現場)17%▽同(港湾・空港=59現場)18%▽自治体(154現場)21%▽高速道路会社(117現場)19%▽機構など(94現場)19%-だった。
 日建連は調査結果から自治体や高速道路会社、機構などの工事で設定工期が短い傾向にあると分析。国の中央建設業審議会(中建審)が作成した「工期に関する基準」の順守徹底が求められるとして、意見交換会の場で発注者に対し工期設定の前提にした情報の開示などを要望する。WTO政府調達協定が適用される工事など規模が大きく不確定要素の多い工事を想定し、実工期を柔軟に設定できる余裕期間制度の活用も促す。



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ベターリビングら/高田松原(岩手県陸前高田市)再生へ、初の枝打ち

 ベターリビング(井上俊之理事長)とNPO法人の高田松原を守る会(鈴木善久理事長)は、東日本大震災で大きな被害を受けた高田松原(岩手県陸前高田市)の再生に向けた育樹祭を4月23日に開いた。2017年に植樹を開始してから初となる枝打ちを実施。約60人が参加し、順調に成長する松の若木がさらに伸びるように願いを込め作業した。
 高効率ガス給湯・暖房機や家庭用燃料電池コージェネレーションシステムの普及に合わせて植樹活動の支援を行う「ブルー&グリーンプロジェクト」の一環。高田松原では、この5年間に約4万本が植樹された。このうち約1万本をベターリビングが寄贈している。
 鈴木理事長は「名勝にふさわしい高田松原になるのを目指して、これからも頑張る」、井上理事長は「植樹後初めてとなる枝打ちに心を込めて当たらせていただく」とあいさつした。



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清水建設ら/人吉医療センター(熊本県人吉市)水害タイムライン防災計画策定

 地域医療機能推進機構人吉医療センター(熊本県人吉市)と京都大学防災研究所、清水建設の3者が2020年7月豪雨で浸水被害を受けた同センターの水害タイムライン防災計画を策定した。医療現場と工学の知見を生かした防災計画の有効性を検証するため、6日に現地で大規模な防災訓練を行った。清水建設は今回の防災計画を標準化し、全国で医療機関の支援に役立てていく考えだ。
 20年7月豪雨では熊本県南部を流れる球磨川が氾濫。1階部分の浸水対応に追われた人吉医療センターは災害拠点病院の機能を維持しつつ、水害対応が迅速に行えるよう防災計画の見直しを進めてきた。
 京都大学と清水建設は、水害対策が必要な医療機関が全国に多数存在することを受け、医療施設に特化した防災計画の研究を昨年6月に開始。研究の過程で同センターにタイムライン防災計画の策定を提案、3者共同の検討が実現した。
 水害タイムラインの策定では清水建設が病院の建築・設備の実態に基づく水害リスクを評価。3者が必要な水害対応や実施判断基準、担当者間の連携方法を整理した。7段階の災害ステージに沿って時系列的に水害対応を順次実行する計画を取りまとめた。
 水害時にセンター各部署が行う水害対策の想定所要時間から水害ステージごとにリードタイムを設定。タイムラインに反映している。重要な判断は気象情報に加え、京都大学が内閣府の戦略的イノベーション創造プログラムの一環で開発してきた降雨・流出・氾濫解析モデル「全国版RRIモデル」を活用する。
 防災訓練は20年7月豪雨と同レベルの降雨で70センチ程度浸水したことを想定。センター職員ら約150人が参加しタイムライン防災を体験した。今後は訓練の評価結果を反映し、より実践的な計画を策定する。
 京都大学はRRIモデルの実用化に向けたシステムの実証と改良を実施。清水建設はタイムライン防災計画の標準化を進め、全国の医療機関を対象に防災計画の立案支援を行う。



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データセンター誘致、関東は群馬と栃木で高い関心/経産省調査

 経済産業省がまとめた「データセンター誘致に前向きな地方公共団体」リストによると、3月14日時点で関東各都県内は7自治体(群馬5、栃木2)が誘致に関心を表明している。群馬県は大規模地震など自然災害のリスクが相対的に少ないというメリットをアピール。データセンターの誘致によりIT系企業の集積も期待する。栃木県は「注目されている事業であり、関連する電力・通信などインフラ面で誘致する県内自治体をサポートしたい」としている。
 群馬県内は県企業局が造成・分譲する「高崎玉村スマートインターチェンジ北地区工業団地」(玉村町)のほか、▽伊勢崎市▽沼田市▽下仁田町▽千代田町-が誘致に名乗りを挙げる。県は「製造業の集積度は高い半面、情報・通信系の産業はそれに比べて弱く、データセンターを誘致することで周辺にIT系の立地が促進されることを期待している」(産業経済局産業政策課)としている。県内では富士通のデータセンターが館林市に立地する。
 人口減少が進む中で、雇用の場を確保したいという自治体の意向もある。4月24日の市長選で沼田市の新市長に選ばれた星野稔氏は、「工業団地造成と企業誘致」を公約に掲げた。旧3市町(沼田市、白沢、利根の各村)が合併し、新市が発足した時点の人口は約5万5000人だったが、今年3月末には4万5721人と1万人近く減少している。
 栃木県内では栃木市と那須町が誘致に前向き。栃木市は東北自動車道栃木ICの西側で「栃木インター西産業団地」(23・1ヘクタール)の造成に2022年度着手。24年度から順次、分譲を開始する。ICの北側への産業団地拡張も計画する。
 栃木市は「物流、製造業の引き合いも多いが、データセンターも誘致対象に加えて、今後誘致に取り組む」(産業振興部産業基盤整備課)とコメントしている。



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大阪府/枚方・高槻淀川新橋梁、22年度に詳細設計着手へ

 大阪府は本年度、枚方市と高槻市を結ぶ淀川をまたぐ新橋梁「都市計画道路牧野高槻線橋梁」の詳細設計に着手する予定だ。設計者を決める手続きを始める時期は検討中。設計期間は2カ年を見込む。橋梁中央部の幅員は26・3メートルで、橋梁形式は鋼7径間連続少数鈑桁橋(延長370メートル)と鋼6径間連続鋼細幅箱桁橋(460メートル)で計画。国に河川占用許可申請協議を行い、事業用地取得が順調に進めば、2024年度に工事着手し、29年度の完成を見込んでいる。
 現在、枚方市と高槻市を結ぶ道路橋梁は国道170号大阪外環状線枚方大橋だけで、特に朝夕は渋滞が頻発している。そこで府は都市整備中期計画に牧野高槻線淀川渡架部の新規着手を位置付け、20年2月に新橋梁を含む主要地方道枚方高槻線(都市計画道路牧野高槻線)道路改良事業と関連道路改良事業の実施を決めた。
 昨年12月に事業用地と民有地の境界を確定するための地元説明会を開催し現在、境界確定作業を進めている。
 「主要地方道枚方高槻線(都市計画道路牧野高槻線)土質調査委託」(ソイルシステム〈大阪市東成区〉)と「主要地方道枚方高槻線(都市計画道路牧野高槻線)土質調査委託(その2)」(興亜開発〈堺市北区〉)も行われている。
 17年4月に「都市計画道路牧野高槻線橋梁予備外設計委託」を三井共同建設コンサルタント(東京都品川区)に委託した。



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2022年5月6日金曜日

富山建協/完全週休2日が着実に増加、22年度は40・7%に

 富山県建設業協会が2020~22年度の3カ年間にかけての週休制度の推移を会員に聞いたところ、「完全週休2日(土日に限らない4週8休含む)」は増加しており、22年度の予定では回答企業の159社、率にして40・7%に達することが分かった。20年度の「完全週休2日(同)」は26・9%だったので、2年間で13・8ポイント増えたことになる=グラフ参照。調査には390社が回答した。
 3カ年で「4週4休」「4週5休」「4週6休」は徐々に減少し、「4週8休」「完全週休2日」は増加している。21年度には「4週7休」「4週8休」「完全週休2日」の合計が232社(59・5%)と半数を超え、22年度は237社(60・7%)になる見込みだ。
 22年度を完成工事高別で比較すると、「完全週休2日」の割合は30億円以上が44・4%と最も多く、10億円以上30億円未満が31・4%、5億円以上10億円未満が24・5%と続く。完成工事高が小さくなるにつれて、休みが少なくなっている。
 業種別では、「完全週休2日」と「4週8休」を合わせた割合では「建築」が50・0%で最も多く、「舗装」が47・0%、「その他」が46・7%、「土木」が39・2%、「とび土工」が29・4%となっている。
 「完全週休2日」の割合は「その他」が20・0%で最も高く、「舗装」17・6%、「土木」16・0%、「とび土工」11・8%、「建築」8・3%と続く。
 「建築」「とび土工」の割合が低い理由として富山建協は、建築は民間発注工事で休日対応を求められる場合が多いこと、とび土工は下請工事の割合が高く元請企業のスケジュールに合わせざるを得ないことに起因していると分析している。
 調査は21年9月7~24日に全会員企業528社を対象に実施した。



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国交省/技術基本計画策定、防災・減災など重点6分野設定

 国土交通省は2022年度から5カ年の技術政策の指針となる「第5期国土交通省技術基本計画」を策定した。社会経済的な課題に対応するため、▽強靱性の確保▽持続可能性の確保▽経済成長の実現-の三つの方向性を提示。その上で「防災・減災が主流となる社会の実現」など六つの重点分野を設定し、技術的な研究開発や基準策定などに取り組む。
 重点分野はほかに▽持続可能なインフラメンテナンス▽持続可能で暮らしやすい地域社会の実現▽経済の好循環を支える基盤整備▽DX▽脱炭素化・インフラ空間の多面的な利活用による生活の質の向上。今後5年で各分野の戦略的な研究開発を推進する。技術政策を推進する横断的施策として国際展開や人材育成、社会の信頼確保にも取り組む。
 初の試みとして20~30年先を見据えた「将来の社会イメージ」を掲載。建設現場のイラストは、担い手不足でも生産性や安全性の向上を可能にする建設施工の自律化・遠隔化を目指すことを表現した。



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施工管理技術検定/1級技士補4・9万人誕生、21年度制度見直しで

 建設業法に基づく施工管理技術検定で2021年度に1級で4万9092人、2級で7万9047人の「技士補」が誕生した。21年4月施行の改正業法を受け新たに創設された技士補資格の初の取得者となる。1級技士補の主任技術者は監理技術者補佐と位置付けられ、現場に専任配置した場合、監理技術者が2現場を兼務できる。1級の第1次検定が実務経験年数に関係なく受験可能になったことを踏まえ、同検定だけを受験したのは9410人だった。
 技術検定は監理技術者や主任技術者になれる国家資格「施工管理技士」を取得するための試験。21年度は「技士」を取得した第2次検定の合格者が1級で2万7237人、2級で3万5046人だった。技士補資格は第1次検定の合格者に与えられる。
 受験者数は1級の第1次検定が10万4252人(前年度9万4276人)、第2次検定が6万0487人(6万4703人)。2級の第1次検定は13万6851人(9万9666人)、第2次検定が7万0992人(5万7146人)だった。新型コロナウイルスの影響で20年度に2級学科試験のうち前期試験を取りやめるなどの措置を講じたことの反動とみられる。2級の受験者数は1989年度以降で最多だった。
 1級、2級ともに女性の受験者は増加傾向にある。第1次検定受験者の女性比率は1級が4・7%(4・1%)、2級が9・7%(9・1%)。第2次検定合格者の女性比率は1級が6・3%(5・7%)、2級が9・2%(9・7%)だった。2級の第2次検定の女性合格者数は3379人で過去最多を更新した。
 1級の第1次検定だけの受験者数は、種目別に▽土木5233人▽建築1709人▽電気工事889人▽管工事1035人▽電気通信工事281人▽造園193人▽建設機械70人。



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JS/研修センター新寮室棟完成、研修生のプライバシー確保と交流実現

 日本下水道事業団(JS)は4月27日、埼玉県戸田市の研修センターで新寮室棟の完成披露会を開いた。森岡泰裕理事長は「新寮室棟は宿泊部屋が個室で、学習室は4人1部屋となっている。プライバシー確保と研修生同士の交流の両面が実現するよう工夫した」と施設概要を説明。来賓の伊田恒弘埼玉県下水道局長は「素晴らしい環境とともに、より充実した研修を期待している」とあいさつした。
 研修センターの所在地は下笹目5141。新寮室棟は建築面積が766平方メートルで、RC造5階建て延べ2800平方メートルの規模。設計は昭和設計、施工は佐藤工業・スミダ工業JVが担当。2月末に竣工した。
 新寮室棟は増加する女性研修生が利用しやすいよう配慮し、防犯性を確保できる上層の4階を女性専用フロアとした。宿泊部屋は男性用の寮室も含め全体的に個室化を進めた一方、研修生同士の交流を促すために談話ラウンジや多目的ルームも設けた。
 日射を抑制する木製ルーバーを外壁に使い、環境面にも配慮。基礎構造には免震装置「球面すべり支承」を採用し、災害時でも安全な環境を整えた。



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建築へ/emCAMPUS(愛知県豊橋市)、先行街区がオープン

 愛知県豊橋市の「豊橋駅前大通二丁目地区市街地再開発組合」(石黒功理事長)が整備を進めている「emCAMPUS(エムキャンパス)」。昨年11月に先行街区がグランドオープンし、商業店舗や図書館などには多くの市民が集っている。特徴的なのは再開発ビルと広場、そして街とが一体に溶け合い結び付くように設けた「まちなか広場」。どのような思いを込めたのか--。設計・監理を担当するK計画事務所(東京都世田谷区)の北山孝二郎代表に同行して現地を取材した。
 計画地は駅前大通2の81ほかの約1・5ヘクタール。東海道新幹線をはじめとするJR東海各線や名古屋鉄道などが発着する豊橋駅に近接する。既存施設の老朽化などを背景に街づくりの機運が高まり、2016年に再開発組合が発足。先行する東棟「EAST(イースト)」(RC一部S造地下1階地上24階建て塔屋2階延べ3万3429平方メートル)が昨年に竣工した。
 エネルギーや街づくりなどを展開するサーラグループ(豊橋市、神野吾郎グループ代表兼最高経営責任者〈CEO〉)の中部ガス不動産(同、赤間真吾社長)が参加組合員として参画。設計・監理は「北山孝二郎+K計画事務所」とアール・アイ・エーが、施工は特定業務代行者である鹿島が担当している。
 掲げたコンセプトは「みんなが主役となり つながりを生み出す まちの拠点をつくる」。食と健康、学びを楽しめる「笑む」(えむ)にあふれた一生涯のキャンパスにしようと「エムキャンパス」と命名した。東棟は地上1階に同市など東三河地域の食の発信拠点となる店舗やレストランなど、2~3階に市の「まちなか図書館」や国際交流協会、4~5階にオフィスや共創拠点など、6~24階に住宅を配置。低層棟の屋上には農園を設けた。
 街区中央には楕円(だえん)形の広場「まちなか広場」が設けられた。北山氏は「街と公園、再開発ビルを一体にしたいと考えた。接する距離ができるだけ長くなるように円形の広場を提案した」と説明する。途中段階には南北に細長い広場を設ける案や、南側に広場を集約化する案なども浮上していた。だが、より多くの交流やにぎわいを生み出す機能を高めるため、東棟と西棟の間に大きな路地状の広場を配置する案が採用された。
 北側に隣接する大通りや、西側と南側の道路とも通路が結ばれており、街区の外からも広場が見える。周りを通行する人たちが、広場のにぎわいを感じて引きつけられるような仕掛けとなっている。2階レベルに広場を取り囲むようにデッキを設け、図書館の入り口とつなぐなど空間を立体的に生かす工夫も凝らした。
 東棟の広場側には張り出すようにベランダを設け、広場を見下ろせるようにした。まっすぐな壁面ではなく、あえてせり出す部分を作ることで、広場のイベントをベランダから見たり、逆に広場からベランダにいる人たちに目を向けたりする動きが生まれる。「建物と広場を立体的につなげて、街との関わりを作る」(北山氏)狙いだ。ベランダの下側の階からすれば、屋根付きのテラスとして利用できるメリットもある。
 「建物が大型化してもヒューマンスケールを維持する」(北山氏)ことも重視した。そのための工夫が、外壁にちりばめたスリットの入った有孔鋼板だ。「ブリーズ・ソレイユ(日よけ)として西日を遮るとともに、ダブルスキンで建物に変化を持たせて優しい空間にした」(北山氏)。空調設備を据え付ける部分にも有孔鋼板を設置し、どの角度からも同様なイメージを持てるようにした。低層部には壁面緑化を積極的に導入。周辺の街並みに溶け込むようにした。
 一連の工夫が実を結んだ背景には、まちなかのにぎわい創出に強い意欲を持った市や再開発組合ら関係者の「情熱」(北山氏)があったという。市には分野横断的に中心市街地活性化に取り組む部署「まちなか活性課」があり、「セクショナリズムに陥ることなく、全体を良くするために調整してもらえた」と北山氏は振り返る。
 サーラグループの神野代表兼CEOは「人と人がきちんとつながって街を思い、そして暮らしていく」という姿を思い描く。現地では既存建物の解体工事が進む。24年には西棟「WEST(ウエスト)」(RC造地下1階地上16階建て塔屋2階延べ1万3840平方メートル)が完成し、全体ができあがる予定だ。笑顔で満ちあふれた街の実現へ--。再開発事業は仕上げの時期に入っていく。



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2022年5月2日月曜日

資材高騰/日建連・宮本洋一会長、経団連に価格転嫁協力要請

 日本建設業連合会(日建連)の宮本洋一会長が経団連(十倉雅和会長)の久保田政一副会長・事務総長を4月27日訪ね、高騰する建設資材の価格転嫁に協力を求めた。宮本氏は工事契約を念頭に「(下請で働く技能者の)労務費にしわ寄せが行かないようにしたい」と強調。価格転嫁には幅広い分野の企業が名を連ねる経団連会員の協力が必要との認識を示した。
 同日に東京都千代田区の経団連会館で面会。宮本氏が十倉会長宛の要望書を久保田氏に手渡した。日建連側は山本徳治事務総長と上田洋平専務理事、経団連側は岩崎一雄総務本部長が同席した。
 宮本氏は国の総合緊急対策に触れ、国土交通省が官民の発注者団体などに通知した▽直近の資材価格や調達状況を反映した価格・工期での契約締結▽民間建設工事標準請負契約約款などを活用した契約締結▽既に締結された契約で資材高騰に伴う個別協議-の3項目について、経団連会員の協力を求めた。
 久保田氏は「建設資材のアップ率は高い」との認識を示し、会員企業の行動憲章で「適正な取引価格、取引形成の実行」、元下間のパートナーシップ構築宣言の枠組みに「適正な取引価格、価格転嫁が一番の肝になる」と明記されていると紹介。日建連の要望内容には「さまざまな形で会員に周知していく。幹事会でも報告したい」と応じた。



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物価高騰の契約変更を発注者25%拒否、民間工事厳しさ顕著に/国交省調査

 国土交通省が主要な元請企業を対象に1~3月に行った調査で、資材や原油の価格高騰を踏まえた契約変更の申し出が発注者に受け入れてもらえないケースが25%あったことが分かった。下請からの契約変更の申し出を元請が断っているケースも14%あった。元下間より受発注者間で契約変更が適切に行われていない傾向が強く、発注者への価格転嫁が滞っている実態が浮き彫りになった。
 労務費や原材料、燃料のコスト上昇分の価格転嫁の円滑化を推進する政府方針を踏まえ、完成工事高上位の元請を中心としたモニタリング調査に併せてヒアリングを実施。元請の支店や現場所長を対象に、公共・民間問わず最近請け負った工事全般で物価高騰の影響を聞いた。
 物価変動に基づく契約変更条項が受発注者間で含まれていないケースは15%。うち6%は「公共では含まれるが民間では含まれていない場合がある」と回答し、公共工事標準請負契約約款に物価変動を理由とするスライド条項が含まれる公共工事との格差があらわになった。元下間で契約変更条項が含まれていないケースも10%あった。
 個別回答を見ると、民間発注者を念頭に置き「顧客の要望で物価変動の条項を削除せざるを得ない状況もある」「物価変動リスクは請負者負担という考えが根強い」との声があった。契約変更条項は適正取引を担保する協議や相談を受け入れる起点となるだけに徹底した設定が求められる。
 契約変更の申し出が発注者に受け入れてもらえない理由として「客先の予算枠の都合」「営業と客先の関係が良好な場合は協議することがある」などが挙がっている。
 下請からの契約変更の申し出を断っている背景に「発注者に契約変更の申し出を行いづらい雰囲気がある」とし、「自社の利益を削ってでも下請の要望に応えることもある」との回答があった。
 物価高騰を考慮した積算を実施し発注者に提示している割合は91%。こうした積算や説明を発注者に受け入れてもらえている割合は65%だった。調査期間内にウクライナ危機が深刻化し物価高騰が新たな局面に入ったことを考えると、現場への影響がヒアリング結果以上に大きくなる可能性は高い。受発注者間と元下間の両方で円滑な価格転嫁に向けた適切な対応が急がれる。



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22年春の叙勲/旭日重光章に小野寺研一氏ら

 政府は2022年春の叙勲受章者を決定し、4月29日付で発令した。大綬章親授式と重光章伝達式は10日に皇居で行う。新型コロナウイルスの流行などを踏まえ、中綬章以下の受章者が天皇陛下に会う拝謁(はいえつ)は見送り、宮殿内見学と写真撮影を検討している。国土交通省の伝達式、建設業関係11団体が主催する叙勲祝賀会も取りやめる。中綬章以下の勲記と勲章は推薦団体を通じて受章者に授与する。=2面に建設・不動産関係の受章者一覧
 旭日重光章は元不動産協会副理事長の小野寺研一氏(住友不動産会長、75)、住宅生産団体連合会副会長の竹中宣雄氏(元ミサワホーム社長執行役員、73)らが受章した。旭日小綬章は山梨県建築士会会長の雨宮健一氏(元竜巳一級建築設計事務所代表取締役、72)、元青森県建築士会会長の川島芳正氏(川島隆太郎建築事務所代表取締役、73)、元鳥取県建設業協会会長の藤原正氏(藤原組取締役社長、70)らが受章した。
 旭日双光章は元日本造園組合連合会理事長の荻原博行氏(元楽月園社長、76)、元宮崎県鉄筋業組合理事長の田中誠二氏(田中鉄筋工業代表取締役、73)、元山口県管工事工業協同組合理事長の田中文雄氏(元桂工業代表取締役、82)、元福島県空調衛生工事業協会会長の松原兼一氏(三共設備代表取締役、73)、元静岡県建具工業組合理事長の村松傳氏(77)らに贈られた。
 元内閣官房地域活性化統合事務局長で元国土交通省都市局長の加藤利男氏(70)らが瑞宝重光章を受章。元国土地理院長の小牧和雄氏(71)、元国土交通省港湾局長の須野原豊氏(70)、元国土交通省都市・地域整備局下水道部長の谷戸善彦氏(70)、元国土交通省国土計画局長で元内閣府経済社会総合研究所総括政策研究官の渡邊東氏(70)らには瑞宝中綬章が贈られた。



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電気設備大手5社/22年3月期決算3社が増収、今期は資機材高騰影響を加味

 電気設備工事上場大手5社の2022年3月期連結決算が4月28日に出そろった。新型コロナウイルスやロシアのウクライナ侵攻で資機材価格、サプライチェーン(供給網)に影響が出たものの3社が増収となった。本業のもうけを示す営業損益は3社が増益。関電工は、収益認識に関する会計基準適用後の参考値比較で減収するも、完成工事総利益率が向上し前年度並みの利益を確保した。業績の先行指標になる単体受注高は4社が増加した。
 連結ベースで見た売上高は3社が増収。5000億円を超えたきんでんは一般電気工事関連が増加。事務所ビルや物流施設が堅調に推移した。九電工は資材調達遅れや大型太陽光工事の着工遅れを要因に減少した。ユアテックは6期ぶりの増収。再生可能エネルギー関連や送電関連の売り上げが好調だった。
 営業利益は3社が増益、2社が減益となった。トーエネックは工事採算性の低下と働き方改革に関する一般管理費が増加し利益が下がった。ユアテックはベトナムの設備会社を完全子会社化し業績を計上。利益の押し上げ要因になった。
 受注高は、関電工が半導体や自動車関連工場、官公庁案件で底堅い受注を確保した。ユアテックは屋内配線工事(26・3%増)、配電線工事(13・7%増)で2桁の伸び率を記録した。九電工も18・4%増と大きく伸ばした。
 23年3月期連結業績予想は4社が増収営業増益を見込む。資機材価格高騰の影響を加味したのは4社だった。関電工は「コロナ禍で延期・凍結していた計画案件の再開が期待できる。電力設備投資も、高度成長期の送配電網で設備更新が段階的に実施される」とし増収増益を見込む。一方、ユアテックは23年3月期業績予想に「(影響を)考慮していない」とした。資機材サプライヤーと価格交渉し、顧客にも受注価格のアップを要請していくという。銅線など価格上昇が顕著な資機材は見積もりに反映する方針もとる。
 各社は「ロシアのウクライナ侵攻で原材料・エネルギー価格の上昇や為替市場の変動、資機材供給の影響など下振れリスクが懸念材料となる」との見方を強める。今後の影響が読めない中、慎重なかじ取りが求められそうだ。



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仙台・定禅寺通の街づくり基本構想策定、ひと中心の空間づくり/検討会

 仙台市内にあるメインストリートの一つ「定禅寺通」(青葉区)の街づくりを検討していた定禅寺通活性化検討会(田村忠嗣会長)が基本構想をまとめ、郡和子市長に4月28日提出した。延長約700メートル、幅員46メートルの道路空間と同12メートルの中央緑道で構成。歩道部分と合わせ4列のケヤキ並木がある。同検討会は段階的に「ひと中心の空間づくり」を目指すべきだとした。通り全体をせんだいメディアテークなどが立地する「豊かに暮らせる西エリア」と、移転予定の県民会館がある「24時間楽しめる東エリア」に分け、ブランディング戦略を明確にした上で官民連携の街づくりに取り組むよう求めた。
 道路空間はシンボルであるケヤキ並木の育成状況に応じ、適切に保全管理しながら片側1車線の削減を基本に歩道空間を拡幅。歩行や滞在、活用が可能なスペースを生み出す。
 多くの来場者があった県民会館(東京エレクトロンホール宮城)は移転が決まっている。同検討会はにぎわい創出に大きな影響があるとして、跡地を定禅寺通の要と位置付け有効活用を図るよう市に求めた。近接するせんだいメディアテークとともに、文化芸術活動や観光交流を支える拠点が必要と提言している。
 基本構想の策定で同検討会は解散し、今後は定禅寺通街づくり協議会と定禅寺通エリアマネジメントが役割を引き継ぐ。地元関係者や不動産・建設関連会社、有識者などが連携。市とも協力しながらプロジェクトを具体化、推進する。街づくりの方針を決定・評価する合意形成組織と、事業を実施する実行組織の体制で基本構想の実現を目指す。



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