2019年10月21日月曜日

【駆け出しのころ】東鉄工業執行役員建築本部副本部長兼建築営業部長・安田博昭氏

 ◇多彩な経験重ね人生を豊かに◇

 学生時代に工事のアルバイトをしたことがあります。建設業をやりがいのあるセクターだと思っていましたが、事務系なので建設会社への就職に当たって高い志を特段持っていたわけではありません。

 入社後は東京支店に配属され、自分の机はいきなり土木現場の事務所に置かれました。契約や労務管理など総務・経理関係の業務のほか、測量なども行い、新人の現場監督としてやるべきことは一通り経験しました。当時は土曜も普通に仕事でしたし、夜間作業もありました。現場勤務に最初は多少の戸惑いもありましたが、つらいとはまったく思いませんでした。

 現場勤務に続いて民間建築の営業部門に配属され、工場や事務所のほか、土地の有効利用などの案件を中心に担当しました。顧客先の信頼を得るため、親戚以上に深くつきあい、ある地主の方からはお孫さんの結婚式に呼ばれたこともあります。若いころに開拓し、今も継続的に仕事がもらえている顧客先もあり、営業マン冥利(みょうり)に尽きます。

 中堅世代になると、社内のシステム・仕組みの見直しや経営ビジョンづくりなどに取り組みました。広報・IR(投資家向け情報提供)にも長年携わり、自社の認知度向上に力を注ぎました。地道な活動が評価され、2015年度の「IR優良企業賞」の受賞はとてもうれしかった思い出の一つです。

 仕事に一生懸命まい進できたのも、子どものころから続けているサッカーがいい効果、影響を与えていると思います。選手として頑張ったのは高校時代まででしたが、コーチなど社会人になっても地域のサッカーチームと関わり続けています。

 これまでのサッカー人生では多くの出会いに恵まれました。その出会いの中には女子サッカー日本代表「なでしこジャパン」に選ばれた選手もおり、12年ロンドン五輪では応援に行きました。14年に韓国で開かれたサッカーのアジア大会では、アンダー11の日本代表チームの責任者として子どもたちと参加しました。社内サッカー部の創設にも関わり、現在はフットサル部へと形を変えましたが、同部の会長として活動をサポートしています。そうしたオン・オフが人生をより豊かにしてくれていると思います。

 サッカーの指導を通じて子どもたちに語り掛けてきた言葉「楽しむ心、諦めない気持ち」を常に大切にしています。社内で作成に関わった中期経営計画でも「粘り強さによって不可能は可能となり、可能は有望となり、有望は確実となる」というメッセージを入れました。何事も諦めず、チャレンジを続けることが大切です。

 若い人たちには同じ場所にとどまらず、いろんな経験をしてもらいたい。それによって仕事も生活も含め、人生をより豊かにすることができると思います。

2014年に韓国で開かれたアジアユース・サッカー・フェスティバル
に参加した日本代表チームの選手たちと(後列中央が本人)
(やすだ・ひろあき)1982年東鉄工業入社。経営企画本部広報・IR部長、執行役員管理本部総務部長などを経て2019年6月から現職。東京都出身、59歳。

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