大林組と慶応大学が「リアルハプティクス」と呼ばれる力触覚再現技術を建設機械の操作に活用する技術開発に取り組んでいる。物体に触った時に感じる硬さや軟らかさをオペレーターの手元で再現。建機を感覚的に操作するシステムの実用化を目指している。
リアルハプティクス技術は、同大の大西公平特任教授が発明した。現実の物体や周辺環境との接触情報を双方向で伝送することで、物体に触った時に感じる硬さや柔らかさなどを、遠隔操作しているオペレーターの手元で再現する。力加減の倍率などを任意に設定することも可能。
レバー型操作装置には、オペレーターが最適な力加減で建設資材を握って、その力加減を維持できる機能を搭載している。グローブ型操作装置では、手の動きと実機のグラップルの動きを同期させており、重機操縦に慣れてない場合でも感覚的に操作ができる。
今回の実験では、油圧シャベル側の力を2000倍に、距離を16倍に設定してグラップルを稼働させ、試験体を把持した。厚さ0・5ミリの薄肉鋼管やH形鋼、木材など10種類の建設資材に適用したところ、いずれもオペレーターの手元で力触覚を再現でき、変形しやすい薄肉鋼管も、つぶすことなく運ぶことができた。
力触覚を感じながら把持する方が、無い場合よりも作業効率が向上するという。既存の油圧駆動の重機に後付けシステムを搭載できるため、導入費用や期間は過大にならないとしている。
大林組は、熟練オペレーターによる操作のデータ化を進め、重機の自動運転化や若年技能労働者のトレーニングへの活用にも生かしていく。
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