2019年10月18日金曜日

【回転窓】中小企業と「国運の分岐点」

「先進国の中で唯一、経済成長していない」「デフレからいつまでたっても脱却できない」-。今の日本経済が抱える課題ははっきりしている。直面する明確な課題に対し、その根本要因を深く追求する視点はどうやら不足していたようだ▼小西美術工芸社の社長でアナリストのデービッド・アトキンソン氏が近著『国運の分岐点』(講談社+α新書)で挙げた、その根本要因とは「中小企業の多さ」。これまでにない視点だが、分析を重ねた上での結論には説得力がある▼「この20年間、先進国の給料は約1・8倍となっているのに対して、日本は9%の減少」に甘んじているのも生産性が低いからに他ならない。生産性は1990年の世界9位から28位まで低下しているのが現実の姿だ▼人口減少と少子高齢化の加速度的な進行という避けられない課題への対応策が「生産性の向上」であることは明確だ。ところが日本企業の99・7%を占める「中小企業」の多さが生産性向上の阻害要因という▼日本経済に対する著者の指摘を建設業に照らし合わせてみると符合する点が数多い。「新しいグランドデザイン」が求められている。

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