2023年9月29日金曜日

回転窓/『明日の神話』を未来へ

 東京・渋谷駅の連絡通路にある岡本太郎の巨大壁画「明日の神話」をご存じだろうか。メキシコで制作し、1969年に仮設置されたが行方不明に。2003年に同国で発見され、再生プロジェクトを経て08年から渋谷に落ち着いた▼「芸術は暮らしの中に生きるもの」という岡本の芸術観に沿った場所だが、15年たち傷みが進行。明日の神話保全継承機構(西村友伸理事長)が大規模な改修・修復を行うと21日発表した▼初弾の修復は10月から行われる。絵画修復家の吉村絵美留氏が参画。裏面からの補強や激しい汚れの除去、亀裂部分の再接着など繊細な作業が進められる▼絵画の修復では容易に除去できる材料を使用し、修復箇所が判別できるようにしておくという。将来より良い材料ができた時に、置き換えられるようにするための準備だ。以前に聞いた講演で吉村氏は「芸術家というより、むしろ技術者」と話していた▼豊かな都市にとって芸術は欠かせない要素。同機構は協力を募るクラウドファンディングを実施中だ。「明日の神話」が100年後も多くの人を魅了しているよう、支援の輪の広がりを期待したい。

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2023年9月28日木曜日

回転窓/近現代建築の貴重な資料

 建築家の伊東豊雄氏が最初期に取り組んだ建築のスケッチや図面、模型などをカナダ・モントリオールのカナダ建築センターに寄贈する。貴重な資料が海外に流出するのは残念だが、世界有数の建築ミュージアム・リサーチセンターに収蔵され、散逸や劣化は免れるだろう▼日本でそうした重要な役割を担う公共機関が文化庁「国立近現代建築資料館」(東京都文京区)。近現代建築の図面や模型などを収集・保管・展示する拠点であり、2013年5月に開館した▼一部の建築家のリトグラフなどに市場価値があるようだが、この資料館はお宝集めが目的ではない。建築の文化的側面に重きを置き、寄贈によって歴史資料を収集するという基本姿勢に共感を覚える▼開館10周年を記念した特別展「日本の近現代建築家たち」が2部構成で開催中(1部10月15日まで、2部11月1日~24年2月4日)。これまでの活動とともに、日本の近現代を創り上げてきた12人の建築家たちのコレクションを紹介している▼世界に誇れる日本の建築文化を多くの人に知ってもらい、次の世代へと受け継いでいく。そんなきっかけになってほしい。

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2023年9月27日水曜日

回転窓/三方良しの防災力強化

 アジア初となる危機管理学部を2004年に開設した千葉科学大学(千葉県銚子市、東祥三学長)。学生は専門のプログラムにより、日本防災士機構が認証する「防災士」の資格を取得できる▼防災士を取得した学生は、災害などの非常時には身に付けた知識やノウハウを生かし、自助はもちろん、周囲の人々への共助に大きく貢献すると期待される。発災時にとどまらず、平時でも活躍の場を創出するなど、資格取得のインセンティブを高める必要性を指摘する声もある▼関東地方整備局の利根川下流河川事務所は同大と連携し、防災士の学生らが地域の防災活動を支援する取り組みを始める。小中学校での防災教育の準備や授業などを手伝うという▼流域一帯の関係者の協力を促す流域治水の一環。学生はさまざまな経験を積め、事務所側は多くの学校で効率良く防災教育を実施できる。職員や先生たちの負担軽減にもつながる▼「防災は学生の素養」(東学長)とする同大では、防災士の女子学生が防災教育の授業で講師を務める練習を始めたそう。大学と行政、小中学校による三方良しの取り組みが地域の防災力をさらに高める。

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2023年9月26日火曜日

回転窓/秋を彩る彼岸の景色

 近所の河原を散歩していたら、土手の一面に真っ赤なヒガンバナが咲いていた。厳しい残暑が続いていた関東地方だが、秋の彼岸を迎えて気温が下がり、秋を告げる草花の開花も一気に進んだとみられる▼「秋分の日」だった先週末の23日は、太陽が真東から昇り、真西へと沈んだ。昼と夜の長さがほぼ同じとなり、これから冬至に向かって昼はだんだん短くなっていく。一方、「春分の日」は逆に夏至に近づくにつれて昼の時間が長くなる▼暑さ寒さも彼岸まで--。厳しい暑さは秋の彼岸、寒さも春の彼岸を過ぎれば、過ごしやすくなるとはよく言ったもの。四季の移り変わりに敏感な国民性ならではの言葉だろう▼お彼岸に墓参りを行うのは、太陽の日周運動とも関係する。仏教で西方にあるとされる極楽浄土には、太陽が真西に沈んだ日に最も近づけるという考えが広まり、先祖の供養と結び付いたようだ▼〈旅の日の いつまで暑き 彼岸花〉(臼田亞浪)。一昔前の俳人も長引く残暑にうんざりした様子がうかがえる。脱炭素化の取り組みで地球温暖化に歯止めをかけ、美しい四季の景色がなくならないよう願いたい。

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2023年9月25日月曜日

回転窓/現代の読み書きそろばん

 現代の〈読み書きそろばん〉とも言われる〈数理・データサイエンス・AI〉は、デジタル時代に欠かせない知識である。ここ数年で大学が関連学部・学科を新設するなどの動きも活発化しているようだ▼政府の「AI戦略2019」で掲げられた目標は、25年度までに全ての大学・高等専門学校生が初級レベルの〈数理・データサイエンス・AI〉を習得すること。21年度に文部科学省の教育プログラム認定も始まった▼今年8月時点で基礎的な「リテラシーレベル」に382件が認定されている。実践的な能力を育成するプログラムが対象の「応用基礎レベル」認定(22年度から)は147件を数える▼1990年代からインターネットが普及し、これまでにAIのディープラーニング(深層学習)や生成AIなども誕生した。こうしたデジタル革命がわずか数十年の間に起きたことに改めて驚かされる▼多種多様な情報を効果的に生かすための情報活用力は、これからの時代にますます重要となる。建設産業にもデータサイエンスなどの教育を受けた人材が増えていけば、大きなイノベーションにつながると期待は膨らむ。

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2023年9月22日金曜日

回転窓/日越国交樹立50周年

 日本とベトナムの外交関係樹立から21日で50周年を迎えた。「自由で開かれたインド太平洋」を目指す日本にとって重要なパートナー。さらに親善を深めるために記念式典など関連行事が展開中だ▼ベトナムでは社会見学ツアーも開催。国際協力機構(JICA)の円借款で整備が進むホーチミンメトロの駅や地下トンネルを子どもたちが見て回り、国内初の地下鉄に「開通が楽しみ!」などの声が上がった▼同国は東南アジア諸国連合(ASEAN)の中でも高い水準で経済成長が続いており、さらなる発展が見込まれる。両国関係は過去最高の状況にあるとされ、好循環を生み出す方向だ▼「投資や貿易に加え、インフラ、政府開発援助(ODA)、DXやGX、近代化・工業化、人材育成といったさまざまな分野で協力を強化したい」。記念事業の日本側実行委員長・山田滝雄駐ベトナム特命全権大使は、特設サイトでそうコメントしている▼勤勉な国民性から日本に来て建設技術を習得して活躍する人も多く、業界からは熱い視線が注がれる。人材面でも交流が加速し、豊かな社会づくりに貢献していくよう期待したい。

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2023年9月21日木曜日

回転窓/120年ぶりの大規模修理

 先日の3連休は9月と思えない暑さに見舞われ、外出を極力控えた。今年は10、11月にもそれぞれ3連休があり、秋の小旅行を楽しみにしている人も多いだろう▼旅先で社寺を訪れると、改修工事のために仮設の素屋根で覆われた建物を見ることがある。外観を見学できず残念だが、素屋根の下では文化や技術を継承する大切な作業が行われているのだと考えれば我慢もできる。時には見学可のチャンスに巡り合え、非常に貴重な体験となる▼奈良市にある興福寺の国宝・五重塔で約120年ぶりとなる大規模修理が7月に始まった。2031年3月までの予定。素屋根の設置後、塔は解体せずに瓦屋根のふき替えやしっくい壁の塗り直しなどを行う▼塔には約6万点の瓦が使用されている。1900~02年に修理したが、屋根全体にかけて瓦のずれが見られるなど劣化が進んでいた。瓦の状態を一つ一つ確かめ、使えるものは再度使用するなど丁寧な修理をしていくという▼素屋根の設置は来年7月ごろに終わる。古都奈良でシンボルの一つとなっている五重塔とはしばらくの間お別れとなるが、関心を持って見守っていきたい。

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2023年9月20日水曜日

回転窓/ブドウ栽培とロボット

 近所の観光農園で今年もブドウ狩りの受け入れが始まった。糖度が高く蜂蜜ブドウとも呼ばれる「ブラックオリンピア」、国内で最も多く栽培されている「巨峰」など種類も豊富にあり人気の農園だ▼おいしさの見極め方を聞くと、皮の色が濃く、ふっくらとした実のものがお薦めなのだそう。直売所では猛暑の影響で色付きが進まず、割引価格になったブラックオリンピアが思いのほか好評のようだ▼山梨県が農業用AIロボットを使ったブドウ運搬実験の支援を始めた。収穫後の運搬で人とロボットそれぞれの作業時間を計測し、人件費の削減効果などを比較検証する▼同県はブドウの生産量が日本一ながら、人口減少と高齢化で農業の担い手不足が深刻化。実験で作業者の消費カロリーや心拍数、身体への負荷も調べ、人とロボットの役割分担などの検討に役立てる▼農地を受け継いだ若手農家の頑張りにも期待したいところだが、昨今の物価高によるコスト増や労働力の確保に頭を悩ませているという。栽培から出荷までにロボットをどう生かすか。人とロボットの良さを組み合わせ、おいしいブドウを実らせてほしい。

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2023年9月19日火曜日

回転窓/メキシコの9月19日

 偶然とは思えない大地震の特異日があるとすれば、北アメリカ南部のメキシコは9月19日がそれだろう。過去約40年間でこの日に3度も見舞われた▼1985年にマグニチュード(M)8・0の地震が発生。首都メキシコ市で建物が崩壊し、1万人超の犠牲者を出した。続いて2017年、M7・1の地震で数百人が犠牲に。そして昨年にM7・7の地震が発生した▼メキシコは日本と同様に地震の多発国として知られる。なぜ同じ日に大地震が起きるのか。やはり自然の脅威は計り知れない。1985年の地震以降、メキシコでは9月19日に防災訓練が実施されている▼大地震に襲われたメキシコなど他国にも調査団を送ってきた日本建築学会は今月、100年後の理想的な建築・まち・地域の実現に向けた「新常識」を提言案にまとめた。免震構造を基本とし、新築時でなく30~40年後に評価される建築を目指すという▼日本時間9日朝に強い地震が起きたモロッコで、先週までに死者は3000人近くに上ると報じられている。地震国が知見を共有し、それぞれの国や地域に必要な防災技術を適用して、安全な生活が守られるよう願う。

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2023年9月15日金曜日

回転窓/第2次岸田再改造内閣

 第2次岸田再改造内閣が発足した。斉藤鉄夫国土交通相は続投。岸田文雄首相は13日、「災害対応、物流問題、地域交通など地域社会の重要課題に引き続き取り組んでもらう」と狙いを語った▼岸田首相は「変化を力にする内閣」と位置付け、「思い切った経済対策をつくり、早急に実行していくことを最優先にしたい」と表明。必要な予算に裏打ちされた形で取り組む考えを示した。来月中の取りまとめを目指す方向だ▼緊迫する世界情勢や気候変動、加速化する少子高齢化など課題は山積み。こうした社会課題を乗り越えることこそが、大きなチャンスになるという考えだ。「明日は今日より良くなる、誰もがそう思える国づくりを一緒に行っていこう」と国民に訴えかけた▼「社会変革を起動する。それには災害対策を含めて国民の安全・安心を確保する」とも明言した。今年も日本各地で記録的な大雨が相次いでおり、モロッコを襲った大地震やリビアでの大規模洪水など世界中で自然災害が猛威を振るっている▼イノベーションには安定した社会基盤が不可欠。チャンスを得るためにも、そうした基本を忘れずにいたい。

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2023年9月13日水曜日

回転窓/それぞれのタイムラインを

 台風13号の大雨が降った先週8日の朝、近所の小学校では児童を送ってきた保護者の車を校長先生が誘導していた。手際の良さに関心しつつ、激しい雨に打たれながらの姿を見て頭の下がる思いだった▼教室で児童を待つ担任の先生や、外部との連絡係となる教頭先生は外に出られないのだとか。このため非常時の誘導は校長先生の担当であることがタイムライン(防災行動計画)に定められていると聞いた▼今回の大雨で避難指示が出た地域は少なくない。千葉県袖ケ浦市では市が作成した「保存版総合防災ハザードマップ」を、住民が避難の検討に役立てたという▼これは地震や洪水など災害ごとの防災マップが1冊に集約されたもので、洪水浸水想定区域や土砂災害警戒区域が一目で分かる。住民が状況に応じて取るべき自分の行動を整理しておくマイ・タイムラインの記入欄もあり、地域の全世帯に配布されている▼行政機関やインフラ管理者から策定が始まったタイムラインは、企業や学校などに広がりつつある。住民一人一人が〈自ら考え命を守る避難行動の一助〉となるマイ・タイムラインも作成して災害に備えたい。

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2023年9月12日火曜日

回転窓/愛称とブランド力

 今年は球技の世界大会が相次ぐ。日本代表が優勝したワールドベースボールクラシック(WBC)は大いに盛り上がった。女子サッカー、男子バスケットボールに続き、先週8日にはラグビーのワールドカップが開幕した▼代表チームの愛称に目を向けると、「サムライ」や「なでしこ」といった日本を象徴する言葉を冠したり、指揮官の名前を付けたりしている。親しみのある愛称とし、多くの人に応援してもらう狙いも▼バスケの日本代表は男女や3人・5人制に関係なく、昨年から愛称を「AKATSUKI JAPAN」に統一した。夜明けを意味する暁(あかつき)は、日の丸にも通じる。世界に挑む代表チームに「日の出の勢い」をもたらす意味が込められているという▼愛称によるブランディングは、人々の関心を集める上で重要な戦略の一つ。建設業界でも現場などで働く女性を「けんせつ小町」と親しみを込めて呼び、魅力向上に一役買っている▼業界への理解を深めて入職者を増やそうと、建設関連の団体・企業は広報戦略に力を入れる。その一端を担う専門紙として、さまざまな形で発信力を高めていきたい。

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2023年9月11日月曜日

回転窓/縁起物のたぬき

 店の前などに置かれた〈たぬき〉と言えば、頭に編み笠、手には徳利(とっくり)と通帳、そして大きなおなかが定番であろう。有名なのが信楽焼のたぬき。街で見掛ける多くが信楽産のようだ▼現スタイルの原型となる置物は、明治期に陶芸家・藤原銕造が制作した。ある日竹林でたぬきたちが踊るのを見たのが始まりという。こうして誕生した信楽焼たぬきは、昭和天皇が信楽町(滋賀県甲賀市)を訪問されたことがきっかけで全国に広まる▼昔から人々の暮らしに身近な存在だったせいか、たぬきには人を化かすなどのイメージも伴う。だがたぬきの置物は商売繁盛や開運の縁起物として重宝されてきた▼では街にどれくらいの置物があるのか。村田哲郎氏らの共著『たぬきの本 里山から街角まで』(共和国)にSNS(インターネット交流サイト)を利用した調査結果が紹介されている。県別の最多は滋賀。信楽焼の産地であり納得がいく▼会社近くの店先に立ち、毎朝の通勤時にも会うたぬきとは30年以上の付き合いとなる。もうすぐ秋の彼岸。まだ暑さに耐える日々だが、今朝はどこか季節の変わり目を感じている表情に見えた。

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2023年9月8日金曜日

回転窓/下水道がなかったら

 「昔の多摩川は本当に汚かった」。地域の昔の姿や街づくりを話すイベントで地元の方に聞いた。「大雨で町中に水があふれて汚れや臭いがひどかった。快適になったのはつい最近だ」とも▼地元では土地区画整理事業が進行中で、街並みが大きく変わりつつある。建物に目が行きがちだが、最も大きな変化は下水道。急行停車駅にもかかわらず、駅近くの一部のトイレはくみ取り式のままだった▼汚れた川の水があふれて、家も悪臭で包まれる--。東京都が下水道教育用に制作した漫画「もしもこの世界に下水道がなかったら」では、こうした世界が描かれている▼日本で大都市以外も含めて下水道が本格的に広がったのは、第2次世界大戦以降。下水道事業を行う市町村が全体の5割を超えたのは1993年のことだ▼これからは快適な当たり前の暮らしを、どう維持するかがより問われる時代と言えよう。9月10日の「下水道の日」に合わせて各地でイベントが開かれる。親子向け行事が多いが、しっかり理解しておくべきは大人の方かも。整備や維持管理を担う建設産業の一人一人が伝えていくことも大きな力になる。

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2023年9月7日木曜日

回転窓/科博のクラファン

 国立科学博物館(科博、東京都台東区)がコロナ禍や光熱費高騰などで運営資金が危機的な状況にあるとして、クラウドファンディングで支援を呼び掛け7日で1カ月となる。3カ月で1億円を目標にスタートしたが、わずか3日間で寄付額は5億円を突破した▼6日正午時点で支援者数は4・6万人を超え、額も7・4億円以上が集まっている。国立の博物館が資金難に陥っていることに衝撃を受けた人も多く、支援の殺到につながったのだろう▼500万点以上の標本や資料のほとんどを保管する科博の収蔵庫(茨城県つくば市)は温湿度管理で空調を動かし続ける必要がある。年間数万点ずつ増え、標本登録に携わる人件費もかさむ。その結果、廊下に山積みとなっている資料や新たな受け入れを断ることもあるという▼文化庁は2024年度予算概算要求で科博の収蔵庫新営(収蔵棚等)に約7・8億円を新規計上した。文化振興を支える拠点の整備や充実に向けた予算の確保に期待したい▼企画展はもちろん常設展示によく足を運ぶこともあり、少額だが寄付させていただいた。科博を守りたい人たちの思いが届いてほしい。

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2023年9月6日水曜日

回転窓/にぎわい広げるLRT

 9月最初の日曜となった3日、JR宇都宮駅(宇都宮市)が大勢の観光客らでにぎわった。ホンダの人気イベントや地元のJリーグチーム・栃木SCの試合などが重なり、名物のギョーザを食べ歩く人たちも多かった▼この日、隣の芳賀町の工業団地では「栃木Honda祭り」が4年ぶりに開かれ、往年のレーシングカーなどが来場者を魅了。宇都宮が拠点の栃木SCは今シーズン初となる栃木県グリーンスタジアム(グリスタ)での試合に勝利し、大きな盛り上がりを見せた▼宇都宮駅東口と芳賀町の工業団地を結ぶ次世代型路面電車(LRT)「宇都宮芳賀ライトレール」が8月26日に開業してから1週間。最初の休日は「とても便利になった」「乗れてよかった」と好意的な意見が目立ったと、地元紙や報道番組が伝えていた▼全国初となる全線新設の路面電車は延長14・6キロ。ホンダの四輪車開発拠点やグリスタが沿線に点在する。3日は同社のファンやサッカーのサポーターらも新線を利用したという▼にぎわいが沿線に広がれば、地域はさらに活気づく。国内の開業は75年ぶりとなった新たな路面電車の活躍が楽しみ。

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2023年9月5日火曜日

回転窓/場所・空間の価値

 まだまだ厳しい残暑が続き、仕事帰りに冷たいビールで喉を潤したくなる方も多かろう。屋外の開放的な雰囲気や景色を楽しめるビアガーデンは、アフターコロナの社交場としても人気のようだ▼都心部ではビルの屋上やテラスを利用し、飲食しながら夜景を堪能できる。はやりのバーベキュー(BBQ)スタイルで、ちょっとしたレジャー気分を味わえる店も目立つ▼自然に囲まれた山あいにも人気のビアガーデンがある。東京都心から近く、気軽に登山を楽しめる高尾山で夏から秋に営業する「高尾山ビアマウント」。体力に自信のない方はケーブルカーやリフトで一気に上がれる。ムササビがすむ森の中、普段とは違ったひとときを過ごすことができる▼今月1日、JR名古屋駅構内に地元で有名な居酒屋「世界の山ちゃん」が10月末までの期間限定で出店した。リニア新幹線の関連工事に伴い、現在利用していない1番線の線路上の空間やホームの既存店舗を活用。運行列車を間近で見られるなど、非日常的な場所での宴席は好評のようだ▼場所・空間が持つ価値はさまざま。商機は意外と身近なところにあるのかもしれない。

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2023年9月1日金曜日

回転窓/関東大震災100年

 100年前のきょう1日、建築家フランク・ロイド・ライトが設計した帝国ホテルの2代目本館が東京都内で開業した。豊かな装飾や幾何学模様の内装などが調和した名建築。あまりの美しさから「東洋の宝石」と称された▼同日昼、首都圏は関東大震災に襲われる。建物倒壊や火災、津波などで死者・行方不明者は10・5万人に上った。だがライト館の被害は軽微で、被災企業らの復興拠点として機能した▼関東大震災は社会構造を変えていった象徴的な出来事の一つとされる。デマが飛び交い不幸な虐殺事件も起きた。大正デモクラシーの雰囲気は一掃され、金融恐慌などを経て戦争へと突き進むことになる▼歴史に「もしも」はないが、仮に大部分の建物などが地震に耐えていたら、どうなっていただろう。市民が不安に駆られ経済が低迷する事態は避けられ、未来は変わっていたかもしれない▼インフラや建物は社会基盤と呼ばれる。構造物としての機能だけではなく、社会そのものを支えているということ。その担い手である建設産業は、平穏で豊かな社会を守る最前線にいる。この大切な役割はこれからも変わらない。

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