2019年10月24日木曜日

【青海地区へIR誘致を】東京ベイエリアビジョン、官民連携組織が最終提案

MICE、IR施設の整備イメージ(官民連携チーム提案書より)
東京臨海地域の新たな将来像「東京ベイエリアビジョン」を検討する組織として都が設置した官民連携チームが、江東区の青海地区へのIR(統合型リゾート)誘致を含む最終提案をまとめた。臨海地域は建物の高層化が難しく、容積率緩和が民間開発のインセンティブになりにくいと提案書で指摘。IRのスキームの活用で民間投資を呼び込むとともに、大胆な公共空間や収益性の低い文化交流施設の整備を後押しできるとした。

 提案書は21日に都が受理した。11の提案項目の一つとしてMICE(国際的イベント)やIR施設の整備を明記。候補地に東京国際クルーズターミナルが近接し、商業施設も集積している青海地区を挙げた。IR導入で水辺や公園などの公共空間を生かしながら、劇場やホール、野外コンサート会場といった都心部では整備が難しい文化交流施設を配置。日本の強みである食文化や先端技術を発信するなど魅力的なコンテンツを集積させるとした。

 都心部や羽田空港へのアクセス性向上も提案し、▽羽田空港アクセス線▽地下鉄8号線延伸▽都心部・臨海地域地下鉄構想▽都心部・品川地下鉄構想-の四つの鉄道整備プロジェクトを実現するとした。中央防波堤外側などの無人エリアを自動運転や建設ロボットなど先端技術の実験場としてオープン化し、周辺海域では海上太陽光発電や海洋エネルギー発電の実現に取り組むといった斬新な提案もあった。

 官民連携チームは外部有識者と都庁の若手職員による▽魅力ある街づくり▽活力と躍動感のある街▽最先端技術の街-の三つのワーキンググループ(WG)で構成。都市デザインの観点で提案内容を詰めた「魅力ある街づくりWG」には中島直人東大大学院准教授を座長に、建築家の田根剛氏や大手デベロッパー(三井不動産、三菱地所、住友不動産、森ビル)の若手社員が参加した。

 都は官民連携チームの提案を今後の庁内検討に向けた「参考材料」と位置付ける。都港湾局の担当者は「自由な発想で提案してもらった。提案の趣旨は生かすが、すべて反映させるわけではない。今後は(関係局が参加する)庁内検討委員会に検討の場は移る」と話す。当初は年内のビジョン策定を目指していたが、都の長期戦略の検討内容と調整し2020年東京五輪・パラリンピック後の策定を目指す方針に改めている。

 観光庁が主要自治体を対象に実施したIR誘致の意向調査で、都は「認定申請を予定・検討している」と回答した。同月の都議会ではIR誘致に対する都の姿勢を問う質問が相次いだが、小池百合子都知事は「メリット、デメリットの両面があることから総合的に検討していく」と話すにとどめ、IR誘致に乗りだすかどうか明言を避けている。

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