2024年4月9日火曜日

回転窓/旬を味わう食文化

 春に旬を迎える食材を楽しむ方も多かろう。居酒屋などのおすすめメニューにも、この時期に採れる山海の幸を使った一品が並ぶ▼冬の寒さに耐えてきた春野菜は栄養をしっかりと蓄え、特有の苦みを持つものも少なくない。暖かくなって他の生き物の動きが活発になり、外敵から身を守るために苦みの成分を多く含む。その苦みは体の新陳代謝を促すそう▼先日訪れた飲食店で季節の天ぷらを注文し、タケノコとアスパラガス、サクラエビが入ったかき揚げをいただいた。それぞれの旬の食材が持つおいしさを一度に味わえ、春の味覚を堪能させてもらった▼サクラエビの国内水揚げは静岡の駿河湾のみ。資源保護のため、漁期は3月中旬~6月初旬の春漁、10月下旬~12月下旬の秋漁の年2回となる。2018年以降は不漁続きだったが近年は回復傾向にあり、今年の春漁もまずまずのようだ▼〈おらが世やそこらの草も餅になる〉(小林一茶)。最新の生産施設で季節に関係なく食材が手に入る現代だが、育つ場所や時期が変われば香りや味、栄養価も異なる。自然や季節を感じながら旬を味わう食文化は残さねばならない。

source https://www.decn.co.jp/?p=162551

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