宇宙航空研究開発機構(JAXA、山川宏理事長)と鹿島は18日、1000キロ以上離れた遠隔地からの建設機械操作と自動運転による施工実験に成功したと発表した。
月面の有人拠点建設を見据えた共同研究の一環。月面施工時に生じる通信遅延を疑似的に発生させて、振動ローラー1台の遠隔操作と自動運転の実現可能性を確認した。今後は、複数台の重機への適用などを見据える。鹿島は、海外土木工事や災害応急復旧への導入を視野に入れる。
3月に、相模原市中央区のJAXA相模原キャンパスと鹿児島県南種子町のJAXA種子島宇宙センターを結んで実験した。月面へ輸送した建設機械を施工箇所まで遠隔操作で走行させる状況を想定。公衆電話回線を用いて障害物をよけつつ施工箇所まで遠隔操縦し、自動運転に切り替えて転圧した。複数の汎用(はんよう)建機を自律自動運転で施工できる鹿島の次世代型建設生産システム「クワッドアクセル」を活用した。
月面での作業時には地上から3~8秒程度遅延するため、通信遅延に対応した操作支援システムを導入。地形変化に対応した動作判断機能や建設機械の協調作業機能などを取り入れ、制約下でも安定した作業が実施できたという。
JAXAらによると、衛星利用測位システム(GPS)が無い状況下での測位技術の確立や、月面のようなでこぼこがある場所での施工方法、地盤情報データの収集法法など実現には多くの課題があるという。JAXAは幅広い企業と連携しながら研究開発を進めるとしている。
月面探査の具体的な実現時期は未定。JAXAは、今後の開発目標などを示す宇宙探査シナリオの見直し作業を進めている。月面の宇宙探査では水素ステーションの構築が最初の作業になるとみている。
0 comments :
コメントを投稿