2021年5月10日月曜日

【回転窓】猫目線の東京計画

  ペットは大切な家族と溺愛する方は多い。中でもネコは特有の生態や習慣から、思いがけない行動や反応につい目を細めてしまう▼都市の未来はネコに学べと、建築家の隈研吾氏が提唱している。1カ所に定まらず「テンテン」と暮らし、「スキマ」に入り込んで自ら「ノラミチ」を作っていく。ネコの生態にコロナ禍以降の人々は学ぶべきだと問い掛ける▼かつて建築家の丹下健三氏(1913~2005年)は都市計画「東京計画1960」で、海上の人工都市を俯瞰(ふかん)する視点から東京の都市構造の改革を提案した。これに対し隈氏は地面に近いネコの視点から都市での生活を見直すリサーチプロジェクト「東京計画2020ネコちゃん建築の5656原則」を提案する▼対照的なのは都市へと向かう視点だ。今の時代、都市について何かを提案するとしたら、高度成長期のように都市を上から見るのではなくて下から見る。公共空間と私的空間を自由に乗り越えるネコから、未来の都市をどう考えるか▼6月に都内で開催される隈研吾展で猫目線の東京計画を発表する。ほっこりとしつつも、大胆な提案を楽しみに待ちたい。

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