富山・黒部渓谷の玄関口である宇奈月温泉が11月に開湯100周年を迎える。つるつるしてすべすべになる「つべつべ美肌湯」で有名だ▼1世紀というと温泉の歴史としては浅い。きっかけは黒部川の豊富な水を利用して進められた電源開発だった。その前線基地となった台地に温泉地を開こうと土木技師の山田胖が主導。断崖絶壁もある中、約3500本の引湯管を上流の源泉からつないだ▼電源開発も困難を極めた。黒部川第3発電所などの建設では作家・吉村昭氏の小説にもなった高熱の隧道を掘り進めた。黒部川第4発電所(くろよん)では、資材輸送用トンネルの掘削中に土砂と地下水が大量に噴き出る破砕帯に直面。関係者が団結して工事を進めた姿は映画『黒部の太陽』でも描かれている▼今月はくろよん竣工から60周年に当たる。8月には管理用通路などを公開する特別見学会を予定。来年には新観光周遊路「黒部宇奈月キャニオンルート」の一般開放が始まる▼山中を貫くエレベーターや機関車で通過する高熱隧道、剣岳の雄大な景色など見どころが満載。建設技術と先人の熱意を感じる機会にもなると期待したい。 source https://www.decn.co.jp/
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