熊本市は市電の熊本市民病院方面(東区東町)への延伸計画について、全線複線で想定していた延伸区間(約1・5キロ)の約3割を単線化する考えを示した。用地取得の範囲を縮小して事業費を抑え、早期の延伸実現につなげる。今後、2020年度にまとめた延伸の基本設計の見直しに着手。年度内に市議会で延伸方針が承認されれば、市は24年度にも実施設計を行い、早ければ29年度に一部区間で先行開業できるとの見通しを立てている。
延伸ルートは現在の終点・健軍町電停(東区若葉)から県道28号熊本高森線上を約490メートル東進。東野一丁目交差点で北側に進路を変え、熊本市民病院付近まで直進する。熊本市民病院付近を含めて新たに4カ所の電停を設ける。
単線化の方針を示したのは複線の用地確保が難しく、延伸の障壁となっていた県道28号上の区間。健軍町電停付近と東野一丁目交差点付近を除いた約430メートルを単線で整備する。
全線複線案では道路幅が広く用地取得がしやすい熊本市民病院側から先に整備する考えもあったが、路線が分断されることが課題となった。市の木村仁洋移動円滑推進課長は「単線であっても既設路線をそのまま延伸させるだけなので、一部区間での先行開業が可能といったメリットがある」と話している。
20年度の基本設計で示した延伸全体の概算事業費は約135億円。20年度時点の資材価格などを基準にすると、一部単線化により22億円程度は削減できる見通しだ。基本設計業務を担当したトーニチコンサルタントと近く随意契約を結び、基本設計の修正業務を委託。9月の市議会定例会に最新の資材価格動向を踏まえた基本設計の修正案を提出する。
市は基本設計の修正案が承認されれば、市民の意向を聞き取るアンケートも実施する予定だ。
市電延伸は新型コロナウイルスの感染症対策への集中を理由に議論や実施設計を中断していた。本年度6月補正予算案で市電延伸調査の関連経費として総額4700万円を計上。内訳は基本設計修正3370万円、軌道運送高度化実施計画1000万円、都市計画図書作成330万円。
source https://www.decn.co.jp/?p=154324
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