2023年6月29日木曜日

回転窓/世界遺産登録10年に考える

富士山の麓で生まれ育ち、あまりに身近な存在であるためかこの山が特別な存在という認識がどうも薄いかもしれない。とはいえ厚い雲に覆われて見えなくとも、どの位置にどのくらいの大きさでそびえているか、ふるさとの景色はよく分かる▼富士山が国連教育科学文化機関(ユネスコ)世界文化遺産に登録されて10年を迎えた22日、都内や地元でイベントが開かれ、大勢の人でにぎわった。コロナが落ち着き、間もなく迎える夏の登山シーズンに期待も大きいようだ▼同日の記念式典で山梨、静岡両県の知事が信仰の対象などにもなった富士山の普遍的価値を守り、地域のさらなる発展を目指す共同宣言に署名した。この10年で文化財の整備などが進み、富士山を守ろうとする意識も高まっている▼一方で、観光客が増加し環境保全の面で問題が生じているのも事実。山梨県が麓と5合目を次世代型路面電車(LRT)で結ぶ「富士山登山鉄道構想」を打ち出すなど、解決に向けた検討も進んでいる▼国内外で存在感がひときわ大きくなっている富士山。恵まれた美しい自然を、次代にしっかり伝えていかなくてはいけない。

source https://www.decn.co.jp/

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