国土交通省は元請各社の支店や現場所長に取引実態を直接ヒアリングする「モニタリング調査」の一環で、個別工事の労務費と法定福利費の確保状況を元下間だけでなく下下間でもチェックした。法定福利費が元下間で適正に計上されていても、1次下請と2次下請の間で少なく計上され、結果として2次以下の下請や技能者へのしわ寄せにつながっているケースなどが散見された。国交省は建設業法の規定を踏まえ、元請には自らの行為だけでなく下請への指導義務も果たす必要があると訴える。 2021年10月から継続的に実施しているモニタリング調査では、元下間で契約額に占める法定福利費の割合が著しく低いケースや、端数処理とは思えない大幅な一括値引きがあるケースなどが確認されている=表参照。国交省によると労務費と法定福利費が適正に見積もられていなかったり、実質的に賄えない請負金額となったりしている恐れがある。 労務費と法定福利費は建設業者が義務的に負担しなければならない必要経費として適正額の確保が求められる。下請の見積もりを基に元下間で契約が行われれば確保されるとの見方もできるが、重層下請構造の中で適正額が確実に行き渡っているとは言い切れない。 そこで4月以降は初めての試みとして、元請に調査したのと同じ工事を対象に1次下請にも2次下請との契約実態を聴取した。法定福利費が元下間で少なく計上され、そのまま下下間でも少なく計上されているケースがあったほか、元下間で適正に計上されていても下下間で少なく計上されているケースもあった。 一方、元下間で少なく計上されているにもかかわらず、下下間では適正に計上されているケースもあった。1次下請が法定福利費分をかぶっているとみられる。現状の法規制で対処できないケースだが、国交省は中央建設業審議会(中建審)などの議論を踏まえ「今後は制限対象となる可能性がある」と指摘する。受注者や下請の自らの意思による「安売り競争」を廉売行為として取り締まる制度改正の議論が進んでいることを頭に入れておく必要がありそうだ。
source https://www.decn.co.jp/
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