国土交通省は建設キャリアアップシステム(CCUS)レベル別年収の試算結果を公表した。2022年10月の公共事業労務費調査で把握した技能者の賃金実態を踏まえ、能力評価(レベル判定)を行っていない技能者も相当するレベルに振り分けた上で算定。職種に関係なく試算結果を見た場合、例えばレベル3の中間程度に当たる年収は628万円となる。若い世代にとって処遇面のキャリアパスを明確に示し、これを念頭に適切な賃金を行き渡らせる対応を業界関係者に働き掛けていく。=2面に各職種のレベル別年収の一覧
レベル別年収は公共工事設計労務単価と同じく必要な費用を反映し、週休2日を確保した労働日数(234日)で算定。能力評価を行っていない技能者は、経験年数と保有資格を基に▽レベル1相当=5年未満▽レベル2相当=5年以上10年未満▽レベル3相当=10年以上または1級技能士▽レベル4相当=登録基幹技能者-と推定し試算に組み込んだ。
設計労務単価と能力評価の職種が合致する32職種ごとの年収も公表。レベルが同じでも年収分布にばらつきがあるため、各レベルの上から15%程度を「上位」、50%程度を「中位」、85%程度を「下位」として年収額を示した。
産学官で構成する「CCUS処遇改善推進協議会」の15日の会合で国交省が説明した。長橋和久不動産・建設経済局長は登録が伸びる一方で能力評価が道半ばという中、レベルに応じた処遇改善の絵姿を示す重要性を強調。客観的指標に基づくレベル別年収を公表することで「業界全体で技能や経験に応じた賃金支払いの具体的なイメージを共有し、賃上げや適正価格での受発注につながることを期待する」と述べた。
会合では担い手確保の観点から多くの建設業団体がレベル別年収を踏まえた処遇改善に期待を示した。一方、元請が下請に支払った労務費が技能者に行き渡る担保策や、賃金の原資確保に向けた民間発注者の理解の必要性を指摘する声も上がった。
国交省は中央建設業審議会(中建審)の議論を踏まえ適切な労務費の確保に向けた制度的な対応を検討していく方針だ。
source https://www.decn.co.jp/?p=153873
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