2023年6月28日水曜日

労研首脳安全教育推進で後進育成上限規制対応の安全衛生方策が課題

 建設労務安全研究会(労研)の細谷浩昭理事長と5月18日付で就任した佐藤恭二、稲直人両副理事長が日刊建設工業新聞など専門紙各社の取材に応じ、本年度の活動方針を語った。先月で就任2年目を迎えた細谷氏は、建設現場の労働災害撲滅に向け「安全は地道な取り組みの積み重ねであり、その在り方は時代とともに変わるものだ」と指摘。安全教育の推進による後進の育成に意欲を見せた。当面は2024年4月に迫る時間外労働の罰則付き上限規制に対応した労働安全衛生方策の推進も検討課題になるとの見方を示した。
 労研によると、依然として建設現場で発生する労働災害の大部分を墜落・転落や建設機械・クレーンとの接触、倒壊・崩壊といった「三大災害」が占めている。近年は建設現場に他産業からの転職や外国人労働者も増加傾向にある。細谷氏らは建設業の労働安全衛生を巡る現状について、労災発生リスクに関する現場で働く人たちの危険感受性が落ちていると指摘。コロナ禍の影響も重なり、直接的なコミュニケーションが不足していることが要因にあると見る。
 佐藤氏は「IT化の中で本当のコミュニケーションが大切になる」と問題提起した。稲氏は「現場で扱う機械や技術、工法も増えており、労働安全衛生の面でも昔になかった選択肢が増えている」と分析し、「労働時間の規制もありITを使わないと現場が成り立たない部分は理解できる。だからこそ安全教育に対しても元請と下請が力を合わせてやっていかないといけない」と訴えた。
 細谷氏ら3氏はこうした現状も踏まえ、そろって安全教育の重要性を強調。基礎的な知識の習得とともに、一人一人が理解し合うコミュニケーションの大切さを伝えていく必要があるとした。
 細谷氏は本年度にスタートした国の5カ年の第14次労働災害防止計画や6月に変更を閣議決定した建設職人基本計画を注視し、安全衛生経費の確保や健康確保策の強化などフォローアップしていく方針も表明。厚生労働省が議論している一人親方など個人事業者の安全衛生対策にも触れ、これまで以上に実効性を高める必要性を求めた。
 佐藤、稲両氏は就任の抱負も表明。佐藤氏は「労研の活動がみんなに分かりやすく見えるよう進めていく。全体で労働安全衛生のレベルアップを図っていきたい」と述べた。稲氏は「(労研の会員企業として)せっかく39社のゼネコンが集まっているのだから、多くの会員企業が問題と認識している労働安全衛生の課題を検討し解決できるようにしたい。少しでも業界全体と働く人たちが幸せになればよい」と話した。



source https://www.decn.co.jp/?p=154209

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