建築物や橋梁などに設置する免震・制振部材の性能を高精度に測定できる実大免震試験施設「E-アイソレーション」が兵庫県三木市内に完成し、18日に国や研究機関、自治体などの関係者に披露された。内閣府の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)として京都大学、東京工業大学、免震研究推進機構の共同チームが製作した。実験と数値解析を融合し、世界で初めて補正せず瞬時に計測結果を出せるのが特徴だ。設計・施工は大成建設が担当し、機械部分は三菱重工機械システムが担った。 同施設は、日本に初めて建設された公的な実大免震試験機。実大三次元震動破壊実験施設「E-ディフェンス」に隣接し、昨年3月に着工した。規模はS造2階建て延べ1658平方メートル。高さは16・2メートル。今年3月に完成し、6月に運用を始めた。 海外にも同様の試験機はあるが、可動部分に摩擦力が入ることで実験の成果を得るのに数カ月かかっていた。同施設は、水平方向に設置した鋼管に与える力を測ることで、摩擦力と慢性力を含まずに試験体へ作用する力を直接的に測定する。これによって瞬時に精度よく測定できる。 実大の積層ゴムや球面滑り支承などを対象に、大地震時に生じる水平変位のほか、免震構造や制振構造に組み込まれる実大ダンパーに大地震時に相当する実変位と実速度を動的に与えることができる。 当日の披露見学会では関係者によるテープカットが行われ、完成を祝った。和田章免震研究推進機構代表理事、山内隆司大成建設取締役名誉顧問、益一哉東京工業大学学長のあいさつに続き、元国土交通相の太田昭宏氏や奈須野太内閣府科学技術・イノベーション推進事務局統括官、橋本公博日本建築センター理事長らが祝辞を述べた。 見学会後の会見で和田代表理事は「世界でトップレベルの精度を持つ試験機は海外からのニーズにも対応できる。E-ディフェンスとともに、この地が世界の耐震工学のメッカになると期待される」と話し、プロジェクトリーダーの高橋良和京都大学教授は「時々刻々と正しい加重を測定できる。質の高い実データを計測してシミュレーションできるのは非常に有利だ」と強調した。 大成建設設計本部の篠崎洋三副本部長は「研究開発と設計、施工が同時に進んだが、いろんな知恵と経験が生かされた。免震の利用はまだまだ少なく、一般の住宅まで広がるようにしたい」と期待した。
三木市内に完成したE-アイソレーション source https://www.decn.co.jp/
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