関西国際(関空)、大阪(伊丹)、神戸の3空港の在り方を官民が協議する「関西3空港懇談会」(座長・松本正義関西経済連合会会長)が25日、大阪市内で開かれ、関空と神戸空港の発着回数拡大に向け、国土交通省が淡路島上空を通過する経路を増やすなど新たな飛行ルート案を示した。大阪湾内の混雑を分散させるため、陸上飛行高度を現在の8000フィートから5000フィートなどに下げる案も提示された。大阪府と兵庫、和歌山の両県は8月にも新ルートの妥当性を検討するための環境検証委員会を設置し、懇談会は2024年中に地元としての見解の取りまとめを目指す。
◇8月にも3府県が環境検証委設置へ
懇談会には大阪府の吉村洋文知事、兵庫県の齋藤元彦知事、和歌山県の岸本周平知事、神戸市の久元喜造市長、関西エアポートの山谷佳之社長、国土交通省航空局の久保田雅晴局長らが出席した。
冒頭のあいさつで松本会長は「昨年9月の懇談会では関空の容量拡張や神戸空港の国際化を含む活用の方向性が合意できた。今後はインバウンドが回復し、ビジネス需要が戻ってくると期待される。国際的な都市間競争に勝ち抜くための大きな足掛かりにするためにも昨年の合意内容の実現に向け、関係者が一丸となって一段とギアを上げなければならない」と強調した。
関空では現在、西日本や中国、韓国、東南アジア方面の出発便は明石海峡と淡路島の北部(北風時)を通る2ルートを設定しているが、見直し案では淡路島南部に二つのルートを追加する。友ケ島(和歌山市)の手前で同じルートを通っていた到着便(同)は、大阪府岬町沖から同じルートを通るようにする。
神戸空港は明石海峡上空を通過している発着便のうち、出発便は淡路島北部を通ることで両方向の運用を解消する。
大阪湾内を大きく迂回(うかい)していた出発時の飛行経路は、陸上通過時の高度を8000フィート以上から5000フィート以上に下げることで小回りが可能となる。
懇談会後の会見で国交省航空局の吉岡誠一郎近畿圏・中部圏空港課長は「安全の確保を最優先にしながら公害のない空港という基本理念を尊重して必要最小限の範囲で見直した」と説明した。
吉村知事は「騒音に関して客観的、科学的に検証する必要がある。地元の理解を深めながら関空と神戸空港の容量の拡大を実現したい」とし、齋藤知事は「淡路上空の通過ポイントが増えるが、住民の理解を得るために汗をかいて努力したい」と話した。
環境検証委員会は新ルート案の妥当性や騒音の影響と範囲を予測し、必要に応じて改善案を検討する。委員会には騒音や航空、地域政策分野などを専門にする有識者が入り、関西経済連合会がオブザーバーとして参加する。
昨年9月に開かれた前回懇談会では、3空港の年間発着回数の上限を現在の約40万回から30年前後をめどに、50万回に増やす方針を決定。関空は2025年大阪・関西万博までに1時間当たり最大46回を60回に引き上げ、30年代前半をめどに現在の年間発着回数23万回を3割増の30万回まで増やす。神戸空港は1日の発着回数80回を国際線40回を含めて160回に増やすことで合意した。万博時は国際チャーター便の運航を目指す。
source https://www.decn.co.jp/?p=154197
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