日本建設業連合会(日建連、宮本洋一会長)は都市部の浸水被害を軽減する観点から、調節池や放水路といった地下河川施設の計画容量を大幅に増やす「併設トンネル」の整備を提案した。これから技術開発のさらなる進展が見込まれるトンネルのシールド工法を応用するイメージ。地上にまとまった土地が少ない都市部の地下空間を最大限有効に活用できるよう、既設地下河川の上下もしくは左右にシールドトンネルをもう一本併設する「二重化」を実現すれば、都市部の浸水対策を大幅に強化できると期待する。
併設トンネルの整備案は、26日に東京都内で開かれた国土交通省の「浸水被害軽減に向けた地下空間活用勉強会」で披露した。シールド工法の採用を前提にしている。
日建連によると、左右併設の地下トンネル案は川幅も含め事業用地の幅が広い場合に推奨。施工深度は比較的浅くできるため、これまで道路トンネルなどで施工実績が多く止水対策も大きな課題はないという。
上下併設のトンネル案は事業用地の幅が狭く周辺地盤が硬質であるケースに推奨している。ただ既設地下河川のさらに直下に新設する場合には深度も深くなり、施工の難易度は高いことを想定。立坑の大深度化や完成時の止水対策に留意することも必要と見る。
現在、シールド工法による左右併設の地下トンネルは新名神高速道路枚方トンネルで上下線1本ずつの整備を計画中。シールド外径は世界最大級の17・68メートルで、最小土被り4・6メートルで船橋川の地下を斜横断する。切羽の安定や裏込め注入材の流出防止、セグメント浮き上がり対策などが課題という。上下併設の地下トンネル整備は首都高速道路大橋トンネルで実績がある。いずれも道路分野で先行しており、実績のない河川分野で実現した場合は参考になりそうだ。
日建連によると、これからシールド工法の技術開発はさらなる進展が見込まれている。施工中の安全・安心確保に向け、周辺環境のモニタリングやシールドマシンの掘進によって発生する騒音・振動を抑える技術の開発が進展中。施工のコスト縮減関連では、シールドの長距離・高速施工技術の高度化や、立坑の削減・規模縮小に関わる技術開発が進んでいる。さらに掘削土の効率的に改良・改質する技術の開発もさらに進む見通しだ。
source https://www.decn.co.jp/?p=154206
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