2023年6月28日水曜日

半導体関連産業集積へ/熊本県内で企業誘致の動き拡大、TSMC新工場が12月末完成

熊本県菊陽町で半導体メーカー・台湾積体電路製造(TSMC)の新工場建設が12月末の完成を目指して進む中、周辺地域で半導体関連企業の誘致に向けた動きが広がる。菊陽町はTSMC進出に伴い、町を巡る情勢が大きく変化したのを受け、2023年度内に「都市計画マスタープラン」の改定に着手する。県も菊池市など周辺自治体での工場立地を後押しするため、工業団地整備などの準備を着々と加速させる。
菊陽町は都市計画マスタープランを21年度に改定したが、その後にTSMCの工場建設が決まり、都市計画を巡る状況が一変。関連産業の工場立地や住宅用地の需要が高まっているのを背景に、マスタープランの見直しを決めた。
同町で開発が可能な市街化区域に指定されている区域は町域全体の約15%とわずかな範囲に限られる。農地保護の観点を踏まえ、土地利用の在り方について関係者との協議を重ねる。必要に応じて23年度補正予算を編成し、改定の関連経費を計上する。
県はTSMC新工場の北側に位置する既存の県営工業団地「菊池テクノパーク」(菊池市)の西側隣接地で、新たな工業団地の整備を目指している。対象区域は約25ヘクタール。実施設計の委託先を決める指名競争入札の手続きに向けた最終準備を進めている。24年度末までに造成工事に着手し、26年度末までの分譲開始を見込む。県は合志市内にも工業団地を計画中で、用地取得に向けた協議を進めている。
TSMC新工場の誘致による余波は菊陽町に隣接する合志市などを含めた周辺自治体に広範囲に及ぶ。県は企業の事業活動に必要な工業用水を供給できる新たなインフラの整備も構想している。
県企業局は、1級河川菊池川水系の迫間川にある竜門ダム(菊池市)を水源とする有明工業用水道の未利用水の一部活用に向けた検討を本格化。既設の農業用パイプラインを経由し、同ダムから取水した水を合志市や菊陽町方面に送り込むことを想定する。
同局は必要な新浄水場に向けた概略設計や、農業用施設からの取水に関する調査検討などを日水コンに委託。23年度内に事業化の判断を下す。同局の担当者は概略設計業務を通して「農業用パイプラインからどれだけの工業用水を引けるか、水理計算をしながら検証する。工場立地を推進できるような良い結果につなげたい」と力を込める。


source https://www.decn.co.jp/

0 comments :

コメントを投稿