2023年6月26日月曜日

建設環境研究所/DX関連の取り組み強化、ゲームエンジン活用し3Dモデル

建設環境研究所(東京都豊島区、浦川雅太社長)がICTなどを活用した建設コンサルタント業務のDXに力を注いでいる。ゲームエンジンを使って河川の将来景観を3D化し計画検討に役立てる技術、データ入力やカメラ、GNSS測位などの機能を集約した野外調査用電子野帳システムなどを実用化。業務負担の軽減や円滑な意思決定などに役立てている。
同社は環境関連を基軸に公共、民間の両分野でコンサルティングサービスを提供している。技術者の知識や経験に頼る部分も多かった領域で業務効率を高め、より質の高いサービスを提供するため、異分野の技術も活用したDXに取り組んでいる。
河川環境CIMは、米エピックゲームズが開発したソフトウエア「Unreal Engine」を活用し、水環境の将来を3Dで可視化できる。航空写真や植生図、測量成果といった2Dデータをゲームエンジンの機能で統合し、3Dで表現する。
環境データと地形を高度に処理した表現は、計画立案から設計、施工までさまざまな段階で活用可能。「プログラミングのノウハウがなくてもゲームが作れる」「他のソフトウエアで制作したデータをシームレスに変換・統合できる」というUnreal Engineの特徴を生かし、きめ細かいサービスでプロジェクトの合意形成に役立てる。
野外調査用電子野帳システムは、「Wild-K」の名称で独自開発した。データを書き込む野帳、自動測位、カメラ、地図などの機能を携帯端末に集約。現地調査の結果を音声や電子ペンで入力すれば、クラウドサーバーにデータが格納される。
書類の清書や転記が不要になるだけでなく、データのアクセス権限がある関係者で情報が素早く共有できたり、現場担当者の作業負担が軽減できたりする。人力に頼らず、データ形式も統一することで、従来は難しかった経年比較や広域分析も容易になる。
開発段階の技術には、ブラックライトを使ったコンクリート壁面のひび割れ検知システムがある。探傷剤をコンクリート構造物に塗布し紫外線を当てると、目視では発見できない微細なひび割れが検知可能になる。撮影した画像データはタブレットを使えばその場で確認でき、ひび割れ幅も算出できる。
プロトタイプの小型装置を開発済み。インフラ施設の維持管理・点検業務を効率化するDXツールとして公共機関などに提案活動を展開するとともに、実務で使用できる装置を開発して現場に投入する計画だ。

ゲームエンジンで作成したノウルシの群生3D景観(建設環境研究所提供)

source https://www.decn.co.jp/

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