江戸時代に書かれた『機巧図彙(からくりずい)』は、和時計やからくり人形の仕掛けを解説した名著として知られる。当時は江戸での刊行に続き、大阪、京都で再版される人気の本であった▼著者の細川半蔵頼直は柱時計や茶運び人形などの仕組みを図解。現代語訳が付いた『完訳からくり図彙〔注解付き〕改訂版』(編訳・村上和夫、並木書房)を読むと、機巧図彙は国際的に貴重な文献であると高く評価されているという▼現代にも名著と評されるのはからくり技術の指南だけでなく、〈人と共存する独自のロボット文化〉を育んだ原点があるから。「ロボットが人間の愛すべきパートナーとなることさえ示している」と博物学者・荒俣宏氏は推薦文を寄せている▼建設産業ではこれまでも作業を自動化するロボットなど、生産性向上へさまざまな技術開発が進められてきた。ここ数年で建設用3Dプリンターが実用段階に入り、DXなども進展し建設生産の可能性は広がりを見せる▼もの造りの現場はどう変わるのか。その近未来像を発信することも必要だろう。後世になって評価される新たな建設技術文化は、今この時に育まれている。
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