2019年8月20日火曜日

【記者手帖】変わり身の早い建設業

夏休みを利用して全国の建設現場で開催されている「リコチャレ」や「けんせつ小町」などのイベント。取材中、主催者が女子児童や生徒に「建設業で活躍する女性はたくさんいる」と強調する場面を度々見かける◆「当社ではかつて、『女子学生は本社で面接する前に落とせ』と言われていた」。ゼネコンの採用担当者がこっそり明かしてくれた。女性は転勤を嫌がり、結婚や出産で辞めてしまうから、というのが言い分だ。医学部の入試で女子学生が不正に差別された問題が報じられたとき、その言葉を思い出した◆女子校に在学中、当時の担任は「理系に進む生徒は男子と戦うことを覚悟しろ」と警告した。何を言っているのだろうと当時は思ったが、理系の女性が進学や就職の段階で冷遇される現実を彼は知っていたのではないかと、今になって思う◆時代は令和になり、建設業の状況は一変した。合同就職説明会ではゼネコンのブースに「女子学生積極採用」の文字が並ぶ。女子学生の採用ノルマを課す会社も出てきた。建設業のこの「変わり身」について、あの担任は何と言うだろう。(ゆ)

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