◇港を通じた地域の未来に種まき◇
1864年開港の下関港(山口県下関市)を管轄する国土交通省九州地方整備局下関港湾事務所の所長に4月就任。港湾系初の女性所長だが、身構えることなく「港を中心とした地域の将来を見据えて良い港を作りたい」と語る。
筑波大学、同大学院を通じて生物学を専攻。馬術部に所属したことで「人間だけでなくすべての生物が暮らしやすい社会」を意識するように。就職活動で興味を抱いた国土づくりで「環境をおもんばかる人がいれば、世の中に役立つのでは」と考え、2005年に国交省に入った。
東京湾の再生や国境離島の沖ノ鳥島と南鳥島の港湾整備などに携わってきた。所長として職員の個性や能力を引き出しながら、楽しく仕事ができる環境作りに徹する構えだ。
本州と九州をつなぐ下関港は、多くの観光客も受け入れる。この春、世界最大級のクルーズ船が寄航できるようになり、港の魅力向上の検討も始めた。
外浦地区に完成した親水護岸には、遊歩道にアミノ酸入り消波ブロックによって「海藻が生えやすく、魚たちが集う魚礁になる」ことを説明した漫画入りの看板を設置した。生物との共存を多くの人に知ってもらうきっかけにしたかったという。
港湾は地域を支える大きな礎。港湾の整備を通して、地域の未来へ種をまき続ける覚悟だ。
(下関港湾事務所長、とたに・ようこ)
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