企業の売上高はリーマンショック前の水準に戻らず-。
東京商工リサーチが2008年のリーマンショック後10年間の国内企業業績について調査したところ、07年度を100・0とする全企業の売上高合計は、17年度は98・8にとどまり、リーマンショック前の水準に戻っていないことが分かった。
利益合計は162・0に伸び、売上高と好対照となった。同社は震災復興や2020年東京五輪に向け好調な建設業や物流が盛り返した運輸業がけん引しているとみている。
同社が保有する国内最大級の企業データベース(約480万社)を活用し、リーマンショック前の07年度(07年4月期~08年3月期)から直近の17年度(17年4月期~18年3月期)までの11期連続で単体業績の比較が可能な26万5763社を抽出、分析した。
全企業の売上高合計は09年度に84・7まで下落し、その後は一度も100・0を回復していない。一方、利益合計は08年度に18・1と極端に落ち込んだが、13年度に100・0を回復し、17年度には162・0まで回復した。
非上場企業の売上高を産業別にみると、17年度時点で100・0を回復したのは、建設業、卸売業、不動産業、運輸業、情報通信業、サービス業他の6産業。17年度に最もポイントが高かったのは運輸業で、14年度に100・0を回復し、17年度は110・2を確保した。建設業は17年度、108・7となり全産業で第2位となった。
上場している不動産業の売上高は17年度に122・5まで上昇したが、非上場は103・1にとどまっている。上場企業は14年度、非上場企業は2年遅れの16年度以降、それぞれ100・0を上回り、不動産市況の過熱感がうかがえるとしている。
非上場企業の利益合計で、17年度に最もポイントが高かったのは建設業で423・4。公共投資の増加に加え、震災復興や東京五輪の特需が寄与。民需もマンション、オフィスビルなどの活況を背景に大幅に改善したと分析している。
上場建設企業の17年度の利益合計は678・4となり、この10年で大幅に伸びた。建設業の上場と非上場の格差は、14年度59・3、15年度176・9、17年度255・0と、年を追うごとに広がっている。製造業は17年度まで一度も、上場・非上場ともに100・0に届かなかった。製造拠点の海外シフトが進み、国内の空洞化が進んでいる可能性があるとみている。
同社はリーマンショック後の日本経済は回復過程にあるが、建設業など一部の業種に支えられている側面が強いと指摘。ものづくりの根幹を担う中小製造業の付加価値力の向上が急がれるとしている。
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