2018年9月4日火曜日

【記者手帖】豪雨の報道に触れながら

被災地でボランティア活動-。2018年7月豪雨の被害が各メディアのトップニュースとなるさなか、ある人気俳優の記事に目が止まった。この俳優、身内の知人が大ファンで、以前から人柄を知るエピソードなどを耳にしていた◆被災者にはコミュニケーションのつもりの何げない一言も、重荷となることがある。復旧支援に派遣されたある自治体職員は「一つ一つの会話にも気を配った」という。こうした感受性が、多様な人生を演じ分ける役者はより鋭く、行動に移させるのか。多忙の合間を縫った姿勢は、イメージの人柄を裏付けるようで頭が下がった◆同じころ、入院中の親戚が亡くなる不幸があった。まだ40代と若く、残された家族には夫と高校生の娘が一人。近しい人が突然他界する喪失感を、災害と病で比較はできまい◆状況によってはニュースがより身近に映ったり、どこかよそ事だったりする。今夏は、他者への共感の意味を改めて考えさせられた。報道の役割は、単に事実の記録だけではない。当事者も気付けていない解釈を与えられたら。それが理想だ。(も)

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