2018年9月7日金曜日

【回転窓】生かしてこその教訓

「天災は忘れたころにやってくる」とは防災を論じる時に使われる警句の一つ。その忘れたころにやってくる天災が最近は頻発している▼15年は御岳の噴火災害と関東・東北豪雨による鬼怒川の決壊、16年は熊本地震と北海道の豪雨災害、今年7月の西日本豪雨災害と枚挙にいとまがない▼そして4日に四国、近畿を襲った台風21号による記録的な高潮と浸水、暴風、5日に北海道を襲った大規模地震で空港や道路など輸送機能の停止、断水、停電、通信障害など人々の暮らしに支障が生じている。建設関連各社の早期復旧に向けた奮闘はいうまでもない▼地球温暖化の影響で豪雨災害は常態化し、巨大地震はいつどこで起こってもおかしくはない。西日本と東日本、豪雨と地震という地域も災害の種類も異なる広域・多重の災害にどう備えるかが、日本の防災・減災対応への課題でもある。災害はもはや対岸の火事ではない▼「人間も何度、同じ災害に遭っても決して利口にならぬものである」とは物理学者・寺田寅彦の手厳しい弁。目の前の災害から何を学ぶか。教訓とは生かしてこそ価値がある、と深く心に刻み込みたい。

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