2024年10月8日火曜日

奥村組ら/山岳トンネル現場の覆工コンクリを自動打設、安定した品質確保に貢献

 奥村組と北陸鋼産(富山県滑川市、酒井正社長)は山岳トンネル工事現場の生産性向上策として、覆工コンクリートの自動打設システムを開発した。奥村組が保有している「高速打設システム」と「圧力計による打設高さ検知システム」を組み合わせ、これらに圧送ポンプ機のリモコンとバイブレーターの制御盤を接続。あらかじめ設定した打ち上がりの高さに応じ、ポンプの圧送速度や部位ブレーターの稼働、停止を自動制御する。打設口の切り替え作業を除き覆工コンクリを自動で打設できる。
 同システムは1系統の打設ルートを移動式型枠(セントル)の左右に分岐させ同時に打設する技術と、コンクリをセントル内の打設口高さに到達するまで流入した後も配管を切り替えず打設空間の上方へ圧入する技術を組み合わせた。配管切り替え作業の回数削減や同作業に伴う打設中断時間を短縮する。
 セントルに設置した圧力計で計測したコンクリの圧力から打設高さを算出。一定の高さに達したことを感知するセンサー設置による従来の計測方法に比べ、少ないセンサーの数で正確に打設高さを把握する。
 一般的に多くの熟練技能者が必要となる覆工コンクリの打設作業を省人化、省力化し、安定した施工の品質を確保する。奥村組によると、慢性的な人手不足で十分な熟練技能者の人数を確保するのが難しくなっている。技能者のスキルも異なるため品質にばらつきが生じやすい。狭い場所で繰り返しの作業も多く技能者にかかる負担が大きいことも課題だった。
 茨城県つくば市にある同社技術研究所で同システムの有効性を確認し、現在は実際の道路トンネル工事で試行中。今後は試行結果をフィードバックし技術のさらなるブラッシュアップを目指すとともに、移動式の鋼製型枠据え付け(セントルセット)やコンクリ養生など他の工程でも自動化を推進する。山岳トンネル工事のさらなる生産性向上に努める。




from 技術・商品 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=167742
via 日刊建設工業新聞

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