食材や漬け方などによって種類豊富な漬物は、世界に目を向けると数千年の歴史があるという▼古代中国では万里の長城を築くのに酢漬けの野菜が作業員たちを支えたらしい。欧州でも酢とハチミツに漬けて塩を振ったキャベツほど、消化不良に効くものはないとするローマ時代の記述が残る。そうした古くから重宝されてきた漬物の歴史は『「食」の図書館 ピクルスと漬け物の歴史』(ジャン・デイヴィソン著、甲斐理恵子訳、原書房)に詳しい▼今年6月、日本で漬物の製造販売が全面的に営業許可制へ移行した。改正食品衛生法(2021年施行)の経過措置期間を経て完全実施となり、生産者はHACCP(国際的な食品衛生管理基準)への対応も義務づけられた▼例えば自家製の漬物を道の駅などに出荷する農家も相応の設備投資が必要となる。このため手作り漬物の商品が無くなる危機とメディアで報じられている▼法改正は12年に起きたハクサイの浅漬けが原因の集団食中毒などが背景にある。食の安全を守るのは絶対だが、日本の食文化に欠かせない地域の味がこれからも引き継がれていく道筋を探ってほしい。
from 論説・コラム – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=168339
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