東京都が下水を処理する水再生センターやポンプ所の耐水機能強化に取り組んでいる。高潮や複合災害に伴う洪水を想定。必要な高さの止水板を配置するほか、換気口の位置も上げる。下水処理機能の消失による経済活動の停滞や衛生環境の悪化を防ぐ。都は防災対策のレベルを上げる「TOKYO強靱化プロジェクト」で、全110カ所の下水道施設のうち、2030年までに40カ所、30年代までに残り70カ所の施設で耐水化する目標を掲げている。
水再生センターは下水処理を行う施設。ポンプ所は自然流下した下水をくみ上げ、同センターに送水するほか、雨水を揚水し川や海などに放流する機能を持つ。都内には同センターが20カ所、ポンプ所は90カ所設置している。
都は下水道施設の浸水原因として、これまで主に津波を想定。非常時には防水扉や止水板を建物入り口などの開口部に設置してきた。今後は津波に加え、高潮や複合災害による、より高い水位の洪水に対応する。止水板や換気口の高さの引き上げで対応できない場合は施設の改築のタイミングで対応する。「改築時に、例えばポンプの電気設備を2階に上げるなど根本的に再構築する」(下水道局担当者)。
災害ごとに対策高も設定。津波は、首都直下地震によって発生する最大高さ(東京湾平均海面〈TP〉プラス2・63メートル)に対応する。TPプラス3・6666~4・866メートルの高潮による浸水深にも備える。河川洪水では、荒川など国直轄河川で国土交通省がシミュレーションした浸水深(年超過確率200分の1)に対応。都管理河川は00年9月に発生した東海豪雨に伴う洪水(年超過確率100分の1以下)を想定し対策を急ぐ。
同センターとポンプ所は、立地場所や築年数などによって対策が異なる。下水道局では、23年度から施設の調査設計を続けている。「個々の施設でどのくらいの規模の止水板が必要だとか、ダクトをどのくらい上げないといけないかなどを調べている。工事に入る時期は具体的には決まっていない」(下水道局担当者)。
都は引き続き調査を続け、具体的な対策を導き出す考えだ。
from 行政・団体 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=168179
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