2024年10月15日火曜日

大分県別府市/新湯治・ウェルネス研究施設、扇山ふもとに建設25年度に基本計画

 大分県別府市は新たな観光の形として推進する「新湯治・ウェルネスツーリズム事業」の中心的な役割を担う研究・実践拠点施設について、建設予定地を大平山(扇山)のふもとにある市有地約4ヘクタールとする方針を発表した。事業手法はPFIなど公民連携を検討しており、2025年度に策定する基本計画の中で最適な手法を決定。25年1月に基本計画策定業務の委託先選定の手続きに着手し、同3月中に業務委託する。
 研究・実践拠点施設は入浴が腸内細菌にもたらす効能について解析・分析を行う「ラボエリア」、市民の日常利用を想定した「市民エリア」、観光客をターゲットにした「ゲストエリア」、民間事業者による「民間提案ゾーン」の4機能と駐車場で構成する考え。
 周辺インフラについては現在は大型バスの通行が厳しい状況であるため、歩道整備を含めた道路拡幅を実施する。
 事業手法は従来方式のほか、PFIや設計・施工一括(DB)方式、DBO(設計・建設・運営)方式などを視野に幅広く検討していく。基本計画の策定段階では施設規模やスケジュールの検討、事業費の算定なども進める。基本計画策定の業務委託費を24年度12月補正予算案で盛り込む。
 長野恭紘市長は10日の記者会見で、「研究・実践拠点施設がハブの役割を果たし、市民や地元事業者がしっかりと潤うようにしていかなくてはならない」と述べた。今後の市民らへの説明用に建築家の坂茂氏が作成した施設のデザインイメージも公表した。
 坂氏のデザインイメージでは扇山の傾斜に沿う形で施設を設けることで地形を大きく変えず、石や樹木といった自然素材を活用して景観にも十分に配慮する案が示された。長野市長は「現段階での予想図で、今後民間事業者との議論を進める中で大幅に変わる可能性はある」とした。
 建設予定地は阿蘇くじゅう国立公園内の鶴見大平4550の1ほか。東九州自動車道別府ICの北西約2・5キロに位置する。国立公園内での施設整備になることについて、長野市長は環境省と協議を行う中で「おおむね問題はないと理解している」と話し、今後も関係団体を含めた調整に努めるとした。
 同施設は長野市長がアイスランドにある世界最大の露天風呂を備えた温浴施設を参考に、市内に大規模温浴施設を整備する「東洋のブルーラグーン構想」に由来する。同構想は新規の温泉採掘による周辺泉源への影響を懸念する声もあり断念。これに代わるものとして新型コロナウイルスの感染拡大に伴う健康増進に関する社会的ニーズの高まりに対応することを目指して新たに検討を開始した。
 ブルーラグーン構想で不安視された泉源への影響について長野市長は「新規の掘削はしない。今ある泉源、廃棄している温泉を有効活用し、全体的なマネジメント計画の中で研究・実践拠点施設にも温泉を供給する」と環境面への問題はないと説明した。
 同事業の調査業務はパシフィックコンサルタンツが担当。




from 工事・計画 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=167908
via 日刊建設工業新聞

0 comments :

コメントを投稿